JP2007005064A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池から排出されるオフガスが流通するオフガス流路に配設された湿度センサが、水蒸気飽和状態のような高湿度雰囲気に置かれることを防止し、燃料電池内の水分量を常に適切に維持することが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池10から排出されるオフガスを流通させるオフガス流路が、メイン流路21とバイパス流路22に分岐され、メイン流路21またはバイパス流路22の切替を行う切替手段の切替を制御する切替制御手段51と、オフガスの湿度を推定する湿度推定手段52と、メイン流路21に配設された湿度センサ25を有し、切替制御手段51は、湿度推定手段52で推定された湿度または湿度センサ25で測定された湿度が第1の閾値以上である場合に、バイパス流路22にオフガスが流通し湿度推定手段52により推定された湿度が第2の閾値を下回った場合にメイン流路21にオフガスが流通するよう切替手段を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システムにかかり、特に燃料電池から排出されるオフガスの湿度を測定する湿度センサを備えてなる燃料電池システムに関する。
従来から、一般的な固体高分子型燃料電池は、イオン交換膜からなる電解質膜と、この電解質膜の一方の面に配置されたアノード電極(燃料極)と、前記電解質膜の他方の面に配置されたカソード電極(酸化剤極)からなる膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly、以下、単に「MEA」という)と、このMEAを挟んだ両側に各々配設されたセパレータとにより単セルを構成し、この単セルを複数積層して燃料電池スタックとしているものがある。
このような燃料電池では、通常、前記スタックに酸化ガス(例えば、酸素を含むガス、通常は空気)及び燃料ガス(例えば、水素を含むガス)が供給されると、酸化ガスが各セパレータの一方の面に形成された酸化ガス流路から各セルのカソード電極に供給され、燃料ガスが各セパレータの他方の面に形成された燃料ガス流路から各セルのアノード電極に供給される。そして、この酸化ガスと、燃料ガスとが、前記セルにおいて電気化学反応を生じさせることにより発電し、電力が得られるようになっている。
また、このような燃料電池は、より効率のよい発電を行うため、燃料電池内の水分量の過剰な増加や過剰な減少を抑止する必要がある。そこで、燃料電池の酸化ガス供給路、燃料ガス供給路、酸化ガス排出路、及び燃料ガス排出路に温湿度センサを配設し、燃料電池に供給される酸化ガス及び燃料ガスの温湿度と、当該燃料電池から排出されるオフガスの温湿度を測定し、これらの測定値に基づいて、燃料電池内に供給する酸化ガス及び燃料ガスに混入される水分量を制御することで、燃料電池内に存在する水分量を調整する燃料電池発電設備が紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−313381号公報 特開昭64−76681号公報 特開2003−51328号公報 特開2004−119052号公報 特開2004−192973号公報
しかしながら、燃料電池から排出される空気系オフガスは、通常、水蒸気飽和しており、このような高湿度雰囲気に温湿度センサを配設すると、温湿度センサが濡れてしまうことがあり、このように一度濡れた温湿度センサは、湿度を正確に測定することが困難である。また、高湿度雰囲気に温湿度センサを配設すると、温湿度センサに不具合が生じる虞もある。
例えば、静電容量型の湿度センサの一部には、高分子系材料を含むものがあり、オフガスの湿度が100%になると高分子系材料の物性が不可逆的に変化する場合があり、湿度を正確に測定することが困難である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、燃料電池から排出されるオフガスが流通するオフガス流路に配設された湿度センサが、水蒸気飽和状態のような高湿度雰囲気に置かれることを防止可能であると共に、オフガスの湿度を正確に認知でき、燃料電池内の水分量を常に適切に維持することが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
この目的を達成するため、本発明は、燃料電池と、前記燃料電池に接続され且つ当該燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス流路と、前記燃料電池に接続され且つ当該燃料電池から排出されるオフガスを流通させるオフガス流路と、を備えてなる燃料電池システムであって、前記オフガス流路は、メイン流路と、バイパス流路とに分岐されてなり、前記オフガス流路を、前記メイン流路またはバイパス流路に切替える切替手段と、前記切替手段の切替を制御する切替制御手段と、前記オフガスの湿度を推定する湿度推定手段と、前記メイン流路の、前記バイパス流路との分岐点よりも下流側に配設された湿度センサと、を備え、前記切替制御手段は、前記湿度推定手段により推定された湿度、及び前記湿度センサにより測定された湿度のいずれか一方の値が第1の閾値以上である場合に、前記バイパス流路にオフガスが流通するよう前記切替手段を制御し、前記湿度推定手段により推定された湿度が第2の閾値を下回った場合に、前記メイン流路にオフガスが流通するよう前記切替手段を制御する燃料電池システムを提供するものである。
この構成を備えた燃料電池システムは、切替制御手段によって、切替手段を切り替えることで、オフガスがメイン流路及びバイパス流路のいずれか一方を流通することになる。また、湿度センサが、メイン流路の、バイパス流路との分岐点よりも下流側に配設されているため、オフガスが、バイパス流路を流通する際には、湿度センサがオフガスに晒されることがない。
ここで、前記オフガスは、前記湿度推定手段により推定された湿度、及び前記湿度センサにより測定された湿度のいずれか一方の値が第1の閾値以上である場合、即ち、オフガスが高湿度である場合に、前記バイパス流路を流通し、前記湿度推定手段により推定された湿度が第2の閾値を下回った場合、即ち、オフガスが水蒸気飽和状態でない場合に、前記メイン流路を流通することになるため、湿度センサが、水蒸気飽和状態のような高湿度雰囲気に置かれることを防止することができる。したがって、湿度センサの寿命を向上することができると共に、正確な湿度を測定することができる。
また、本発明にかかる燃料電池システムでは、前記湿度推定手段は、前記反応ガスに含有される水分量、前記燃料電池の発電により生成された生成水の量、前記燃料電池の温度、前記燃料電池の発電により得られる電圧、のうち少なくとも一つを用いて前記オフガスの湿度を推定することができる。
そしてまた、本発明にかかる燃料電池システムでは、前記第1の閾値は、前記第2の閾値以上となるよう設定することができる。
また、本発明にかかる燃料電池システムは、前記湿度推定手段で推定された湿度と、前記湿度センサで測定された湿度のいずれか一方に基づいて、前記燃料電池内の水分量を推定する水分量推定手段をさらに備えることができる。この構成により、前記利点に加え、燃料電池内の水分量を把握することができ、燃料電池内の水分量を常に適切に維持することができる。この場合、前記反応ガスと共に前記燃料電池に供給される水分量を制御する水分量制御手段をさらに備え、当該水分量制御手段は、前記水分量推定手段により推定された値に基づいて、前記燃料電池に供給される水分量を制御するよう構成することができる。
そしてまた、本発明にかかる燃料電池システムは、前記反応ガスと共に前記燃料電池に供給される水分量を制御する水分量制御手段をさらに備え、当該水分量制御手段は、前記湿度センサで測定された湿度が第3の閾値を下回った場合に、当該湿度に応じて、前記水分量が増加するよう制御する構成とすることができる。この構成により、前記湿度センサで測定された湿度が第3の閾値を下回った場合、即ち、燃料電池内の水分量が低下した場合に、燃料電池に適切な水分補充を行うことができ、前記利点に加え、燃料電池内の水分量を常に適切に維持することができる。
さらにまた、本発明にかかる燃料電池システムは、前記燃料電池に供給される冷媒の供給条件を制御する冷媒制御手段をさらに備え、当該冷媒制御手段は、前記水分量推定手段により推定された値に基づいて、前記冷媒の供給条件を制御するよう構成することもできる。このように構成することで、前記オフガスに含有される水分量、即ち、燃料電池から外部に排出される水分量を制御することができる。したがって、前記利点に加え、燃料電池内の水分量を常により適切に維持することができる。
また、本発明にかかる燃料電池システムは、前記燃料電池に供給される冷媒の供給条件を制御する冷媒制御手段をさらに備え、当該冷媒制御手段は、前記湿度センサで測定された湿度が第3の閾値を下回った場合に、当該湿度に基づいて、前記燃料電池の温度が低下するよう前記冷媒の供給条件を制御する構成とすることもできる。この構成により、前記湿度センサで測定された湿度が第3の閾値を下回った場合、即ち、燃料電池内の水分量が低下した場合に、燃料電池からオフガスと共に外部に排出される水分量を減少させることができる。したがって、前記利点に加え、燃料電池内の水分量を常により適切に維持することができる。
そしてまた、本発明にかかる燃料電池システムでは、前記温度センサを、前記メイン流路の、前記バイパス流路との分岐点よりも下流側且つ合流点よりも上流側に配設してもよい。
また、本発明は、燃料電池と、前記燃料電池に接続され且つ当該燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス流路と、前記燃料電池に接続され且つ当該燃料電池から排出されるオフガスを流通させるオフガス流路と、を備えてなる燃料電池システムであって、前記オフガス流路は、メイン流路と、当該オフガス流路を流通するオフガスを排出するオフガス排出流路と、に分岐されてなり、前記メイン流路及びオフガス排出流路を流通するオフガス量を変更する切替手段と、前記切替手段の切替を制御する切替制御手段と、前記メイン流路の、前記オフガス排出流路との分岐点よりも下流側に配設された湿度センサと、を備え、前記切替制御手段は、前記湿度センサによる検知結果に応じて、前記切替手段の切替をを制御し、当該湿度センサが設けられた流路を流通するオフガス量を制御する燃料電池システムを提供するものである。
この構成を備えた燃料電池システムは、湿度センサによる検知結果に応じて、切替制御手段によって前記切替手段の切替を制御することで、メイン流路及びオフガス排出流路を流通するオフガス量を変更することができる。したがって、例えば、温度センサにより、オフガスが水蒸気飽和状態であると検知された場合、切替制御手段によって前記切替手段の切替を制御し、湿度センサが設けられた流路に、オフガスが流通しない、あるいはオフガスの流通量を制限する(減らす)ことができる。このため、湿度センサが、水蒸気飽和状態のような高湿度雰囲気に置かれることを防止することができる。したがって、湿度センサの寿命を向上することができる。
本発明にかかる燃料電池システムは、湿度推定手段により推定された湿度、及び湿度センサにより測定された湿度のいずれか一方の値が第1の閾値以上である場合に、オフガスをバイパス流路に流通させ、前記湿度推定手段により推定された湿度が第2の閾値を下回った場合に、オフガスを前記メイン流路に流通させることになる。したがって、当該メイン流路に配設された湿度センサが、水蒸気飽和状態のような高湿のオフガスに晒されることがない。この結果、湿度センサの寿命を向上することができると共に、正確な湿度を測定することができる。
また、本発明にかかる燃料電池システムは、湿度センサによる検知結果に応じて、切替制御手段が、前記切替手段の切替を制御するため、湿度センサが設けられた流路に、例えば、水蒸気飽和状態のような高湿のオフガスが流通することを無くす、あるいは制限する(減らす)ことができる。この結果、湿度センサが、水蒸気飽和状態のような高湿度雰囲気に置かれることを防止することができる。したがって、湿度センサの寿命を向上することができる。
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる燃料電池システムについて図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
図1は、本発明の実施の形態にかかる燃料電池システムの概要図、図2は、図1に示す燃料システムの制御動作を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施の形態にかかる燃料電池システムは、燃料電池10と、燃料電池10に空気供給路11を介して接続され、酸化ガスとしての空気を燃料電池10に供給する空気供給源12と、燃料電池10に水素供給路(図示せず)を介して接続され、燃料ガスとしての水素を燃料電池10に供給する水素供給源(図示せず)と、燃料電池10に接続され、燃料電池10から排出された空気系オフガスを流通させる空気系オフガス流路13と、燃料電池10から排出された水素系オフガスを流通させる水素系オフガス流路(図示せず)と、空気供給路11及び空気系オフガス流路13に配設された加湿器14と、燃料電池システムの制御を行う制御部50と、を備えて構成されている。
空気系オフガス流路13は、メイン流路21と、分岐点Aにおいてメイン流路21から分岐されたバイパス流路22とから構成されており、メイン流路21から分岐されたバイパス流路22は、合流点Bにおいて再びメイン流路21に合流されている。
メイン流路21の分岐点Aよりも下流側には、開閉バルブ23が配設されており、バイパス流路22の分岐点Aよりも下流側には、開閉バルブ24が配設されている。そして、これらの開閉バルブ23及び24の開閉を切替えることにより、空気系オフガスは、メイン流路21を流通するか、バイパス流路22にバイパスされて合流点Bを経てメイン流路21に流通するか、のいずれか一方の経路をとることになる。
メイン流路21の開閉バルブ23よりも下流側には、ここを流通する空気系オフガスの湿度を測定する湿度センサ25が配設されている。この湿度センサ25で測定された湿度の値は、後に詳述する制御部50の切替制御手段51に出力されるようになっている。
加湿器14は、空気供給源12から供給される空気と、燃料電池10から排出される空気系オフガスとの間で水交換(水分授受)を行い、空気供給源12から供給される空気を加湿することが可能である。
制御部50は、開閉バルブ23及び24に接続され、開閉バルブ23及び24の開閉の切替えを制御する切替制御手段51と、空気系オフガスの湿度を推定する湿度推定手段52と、燃料電池10内の水分量を推定する水分量推定手段53と、燃料電池10内に供給される水分量を制御する水分量制御手段54と、燃料電池10に供給される冷媒の供給条件を制御する冷媒制御手段55と、を備えている。
切替制御手段51は、湿度推定手段52によって推定されたオフガスの推定湿度、及び湿度センサ25により実測された測定湿度のいずれか一方の値が、第1の閾値を超えた場合に、空気系オフガスがバイパス流路22を流通するように、開閉バルブ23を閉状態にすると共に、開閉バルブ24を開状態となるように切替える。一方、湿度推定手段52により推定された推定湿度が、第2の閾値を下回った場合には、空気系オフガスがメイン流路21を流通するように開閉バルブ23及び24の開閉を切替える。即ち、開閉バルブ23を開状態にし、開閉バルブ24を閉状態にする。
湿度推定手段52は、空気系オフガスに含有される水分量、燃料電池10の発電により生成された生成水の量、燃料電池10の温度、燃料電池10の発電により得られる電圧または電流、のうち少なくとも一つを用いて空気系オフガスの湿度を推定する。
水分量推定手段53は、湿度推定手段52で推定された推定湿度と、湿度センサ25で実測された測定湿度のいずれか一方に基づいて、燃料電池10内の水分量を推定する。
水分量制御手段54は、水分量推定手段53により推定された推定水分量に基づいて、燃料電池10に供給される水分量を制御する。
冷媒制御手段55は、燃料電池10に供給され、燃料電池10内の温度を調整する(冷却する)冷媒の供給条件を制御する。この制御により、燃料電池10内の温度が調整される。
次に、本実施の形態にかかる燃料電池システムの具体的動作について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、図2に示すように、初期状態では、開閉バルブ23が閉状態、開閉バルブ24が開状態に設定されており(ステップS101)、燃料電池10から排出される空気系オフガスがバイパス流路22を流通するようになっている。この状態で、空気供給源12から所定量で供給される空気を、空気供給路11を介して燃料電池10に供給する。
この時、前記空気は、加湿器14によって加湿されており、所定の水分が含有された空気が燃料電池10に供給される。一方、図示しない水素供給源から所定量の水素が燃料電池10に供給される。これらの反応ガス(空気及び水素)が燃料電池10に供給されると、
アノード電極側では、 H2→2H++2e-
カソード電極側では、 (1/2)O2+2H++2e-→H2
燃料電池全体としては、 H2+(1/2)O2→H2
の電気化学反応が起こる。
この電気化学反応が生じた燃料電池10からは、空気系オフガスが、空気系オフガス流路13に排出され、水素系オフガスが、図示しない水素系オフガス流路に排出される。空気系オフガス流路13に排出された空気系オフガスは、バイパス流路22を経て加湿器14に供給され、加湿器14では、空気系オフガスと、空気供給源12から供給される空気との間で水交換が行われる。一方、水素系オフガス流路に排出された未反応の水素は、気液分離、不純物除去等の所望の処理が施された後、再び燃料電池10に供給される。
この一連の動作において、湿度推定手段52には、燃料電池10に供給される空気の入口温度(Tin)、空気系オフガスの出口温度(Tout)、燃料電池10に供給される空気流量(Q)、燃料電池10における発電電流(i)が入力される。(ステップS102)。
次に、湿度推定手段52では、単位時間当たりに燃料電池10に持ち込まれる水分量(Win)を、空気の入口温度(Tin)と空気流量(Q)に基づいて、下記に示す式(1)により算出する。(ステップS103)。この燃料電池10に持ち込まれる水分量(Win)は、本実施の形態では、入口温度(Tin)における飽和水蒸気を含むものとして算出される。即ち、入口温度(Tin)における飽和水蒸気圧から燃料電池10に供給される空気の単位体積当たりの水量を求め(式(1)中の関数(f1))、これに空気流量(Q)と換算係数(k1)を乗じて求めるのである。ここで、換算係数k1は、加湿器14による加湿により増加する流量を反映するものとして設定されている。
Win=k1・Q・f1(Tin) 式(1)
また、湿度推定手段52では、単位時間当たりに燃料電池10から持ち出される水分量(Wout)を、空気系オフガスの出口温度(Tout)と空気流量(Q)とに基づいて、下記に示す式(2)により算出する。(ステップS103)。この燃料電池10から持ち出される水分量(Wout)も燃料電池10からの空気系オフガスが出口温度(Tout)における飽和水蒸気を含むものとして算出される。即ち、持ち込まれる水分量(Win)と同様に、出口温度(Tout)における飽和水蒸気圧から空気系オフガスの単位体積当たりの水量を求め、これに空気流量(Q)と換算係数(k2)を乗じて求めるのである。ここで、換算係数k2は、燃料電池10の発電に伴って消費される空気中の酸素の消費量と燃料電池10の発電に伴って生成される生成水が気化した際の水蒸気による増加分とを反映するものとして設定されている。
Wout=k2・Q・f1(Tout) 式(2)
また、湿度推定手段52では、入力された発電電流(i)に基づいて、電気化学反応によって生成する生成水の量(Wfc)を算出する。(ステップS104)。
次に、湿度推定手段52では、下記に示す式(3)のように、燃料電池10に持ち込まれる水分量(Win)と生成水の量(Wfc)との和から、持ち出される水分量(Wout)を減じて収支水量(Wb)を算出する。(ステップS105)。次いで、算出された収支水量(Wb)から燃料電池10の空気系オフガスの推定湿度を、予め湿度推定手段52のメモリに記憶されている換算表に基づいて算出し、この情報を切替制御手段51に出力する。(ステップS106)。
Wb=Win+Wfc−Wout 式(3)
なお、湿度推定手段52で算出される推定湿度は、実際に湿度センサ等によって測定した値ではなく、理論上(演算上)の値である。したがって、収支水量(Wb)が、正の値になった場合は、その値に応じて推定湿度が、100%を超えた値を示すように設定することができる。これにより、後に詳述する水分量推定手段53では、推定湿度の値に応じて、燃料電池10内に存在する水分量を算出することが可能となる。
次に、切替制御手段51では、湿度推定手段52から受け取った推定湿度が、第1の閾値以上であるか否かを判断する。(ステップS107)。推定湿度が、第1の閾値以上である場合(ステップS107:YES)は、開閉バルブ23及び24の切替は行わずにステップS108に進む。一方、推定湿度が、第1の閾値を下回る場合(ステップS107:NO)は、ステップS112に進む。なお、本実施の形態では、第1の閾値を100%(80℃)に設定した。
ステップS108では、推定湿度が、第2の閾値以上であるか否かを判断する。推定湿度が、第2の閾値以上である場合(ステップS108:YES)は、この推定湿度の値を水分量推定手段53に出力し、ステップS109に進む。一方、推定湿度が、第2の閾値を下回る場合(ステップS107:NO)は、ステップS112に進む。なお、本実施の形態では、第2の閾値を80%(80℃)に設定した。
水分量推定手段53では、切替制御手段51から受け取った推定湿度から、燃料電池10内の推定水分量を、予め水分量推定手段53のメモリに記憶されている換算表に基づいて算出し(ステップS109)、この算出された推定水分量を、水分量制御手段54に出力する。
水分量制御手段54では、水分量推定手段53から受け取った推定水分量が、第4の閾値を超えているか否かを判断する。(ステップS110)。ここで、第4の閾値は、燃料電池10内に水が溜まり過ぎることなく、燃料電池10が良好に発電を継続することができる状態の値に設定されるものであり、燃料電池10の規模等によって定められる。推定水分量が、第4の閾値を超えている場合(ステップS110:YES)は、この推定水分量から、燃料電池10に供給すべき空気流量(Q)を、予め水分量制御手段54のメモリに記憶されている換算表に基づいて算出して新たな空気流量(Q)を設定し(ステップS111)、この新たな空気流量(Q)で、空気を燃料電池10に供給する。この場合は、燃料電池10に存在する水分が過剰気味であるため、空気流量(Q)を減少させ、燃料電池10内に持ち込まれる水分量を減少させる。一方、推定水分量が、第4の閾値以下である場合(ステップS110:NO)は、燃料電池10内の水の状態が良好であり、供給される空気の加湿状態も良好と判断する。
また、切替制御手段51において、推定湿度が、第1の閾値を下回る場合(ステップS107:NO)と判断されて進むステップS112では、開閉バルブ23及び24の切替を行い、開閉バルブ23を開状態とし、開閉バルブ24を閉状態とする。この動作により、燃料電池10から排出される空気系オフガスは、バイパス流路22を流通せずに、メイン流路21を流通することになる。
次に、メイン流路21を流通するオフガスの湿度を湿度センサ25によって実測する。(ステップS113)。この実測された測定湿度は、切替制御手段51に出力される。次に、切替制御手段51では、湿度センサ25によって実測された測定湿度が、第1の閾値以上であるか否か判断する。(ステップS114)。測定湿度が、第1の閾値以上である場合(ステップS114:YES)は、ステップS101に戻る。
ここで、このステップS112における開閉バルブ23及び24の切替は、推定湿度が第1の閾値を下回った際、即ち、空気系オフガスの推定湿度が100%未満であると判断された際に行われる。したがって、メイン流路21には、水蒸気飽和している高湿度なオフガスが流通することがない。この結果、湿度センサ25が、水蒸気飽和状態のような高湿度雰囲気に置かれることを防止することができ、湿度センサの寿命を向上することができると共に、正確な湿度を測定することができる。
一方、測定湿度が、第1の閾値を下回る場合(ステップS114:NO)は、この測定湿度を水分量推定手段53に出力する。水分量推定手段53では、切替制御手段51から受け取った測定湿度から、燃料電池10内の推定水分量を、予め水分量推定手段53のメモリに記憶されている換算表に基づいて算出し(ステップS115)、この算出された推定水分量を、水分量制御手段54に出力する。
水分量制御手段54では、水分量推定手段53から受け取った推定水分量が、第3の閾値を超えているか否かを判断する。(ステップS116)。ここで、第3の閾値は、燃料電池10内が乾きすぎることなく、燃料電池10が良好に発電を継続することができる状態の値に設定されるものであり、燃料電池10の規模等によって定められる。推定水分量が、第3の閾値以下である場合(ステップS116:NO)は、ステップS111に進み、新たな空気流量(Q)を設定し、この新たな空気流量(Q)で、空気を燃料電池10に供給する。この場合は、燃料電池10に存在する水分が不足気味であるため、空気流量(Q)を増加させ、燃料電池10内に持ち込まれる水分量を増加させる。一方、推定水分量が、第3の閾値を超える場合(ステップS116:YES)は、燃料電池10内の水の状態が良好であり、供給される空気の加湿状態も良好と判断する。
なお、本実施の形態では、空気系オフガスの湿度について推定または実測した場合について説明したが、これに限らず、水素系オフガス流路を、メイン流路21と、メイン流路から分岐されたバイパス流路22から構成し、メイン流路21の分岐点Aと合流点Bとの間に湿度センサ25を配設して、水素系オフガスの湿度を実測するか、あるいは湿度推定手段52によって湿度を推定し、図2に示すフローチャートのような処理を行ってもよいことは勿論である。
また、本実施の形態では、第1の閾値が、第2の閾値よりも大きくなるように設定したが、第1の閾値と第2の閾値は、所望により同一であってもよい。また、第1の閾値及び第2の閾値は、第1の閾値が第2の閾値以上であれば、任意に決定することができる。
そしてまた、本実施の形態では、燃料電池10から持ち出される水分量(Wout)を、空気系オフガスの出口温度(Tout)と燃料電池10に供給される空気流量(Q)とに基づいて算出した場合について説明したが、これに限らず、燃料電池10から持ち出される水分量(Wout)は、酸素系オフガスの流量や、圧力等、他のファクタに基づいて推定(算出)することもできる。
また、本実施の形態では、湿度推定手段52において、燃料電池10の温度(Tin、Tout)、空気流量(Q)、生成水の量(Wfc)に基づいて空気系オフガスの湿度を推定したが、これに限らず、湿度推定手段52は、他のファクタを固定しておけば、反応ガスに含有される水分量、燃料電池10の発電により生成された生成水の量、燃料電池10の温度、燃料電池10の発電により得られる電圧、のうちの一つのファクタを用いて、オフガスの湿度を推定することもできる。
そしてまた、本実施の形態では、水分量制御手段54において、燃料電池10に供給される空気流量(Q)を制御することで、燃料電池10内の水分量を制御する場合について説明したが、これに限らず、燃料電池10内の水分量は、例えば、冷媒制御手段55から燃料電池10に供給される冷媒の温度や流量等によって、燃料電池10内の温度を制御することで調整してもよい。
また、本実施の形態では、初期状態を、開閉バルブ23が閉状態、開閉バルブ24が開状態に設定した場合について説明したが、これに限らず、初期状態を、開閉バルブ23が開状態、開閉バルブ24が閉状態に設定してもよい。この場合は、先ず、湿度センサ25で、燃料電池10から排出されたオフガスの湿度を実測し、この実測値が第1の閾値以上となった際に、図2に示すステップS101に進めばよい。
そしてまた、本実施の形態では、湿度センサ25によって実測された測定湿度を、湿度推定手段52にフィードバックし、必要に応じて湿度推定手段52におけるオフガスの推定値を修正することで、より正確な湿度の推定を行ってもよい。
また、本実施の形態では、湿度センサ25を、メイン流路21のバイパス流路22との分岐点Aよりも下流側且つ合流点Bよりも上流側に配設した場合について説明したが、これに限らず、湿度センサ25は、メイン流路21のバイパス流路22との分岐点Aよりも下流側に配設されていればよい。また、この場合は、バイパス流路22を加湿器14に直接接続してもよい。さらにまた、湿度センサ25は、加湿器14の下流側に設けてもよい。
また、本実施の形態では、空気系オフガス流路13を、メイン流路21と、分岐点Aにおいてメイン流路21から分岐されたバイパス流路22とから構成した場合について説明したが、これに限らず、バイパス流路22の代わりにオフガス排出流路(図示せず)を配設し、湿度センサ25による検知結果に応じて、切替制御手段51によって開閉バルブ23及び24の切替を制御し、湿度センサ25が設けられたメイン流路21を流通するオフガスの量を制御してもよい。なお、この場合、開閉バルブ23及び24は、ON/OFF切替の他、流路を絞る(オフガスの流通量を制限する)機能を備えていてもよい。
具体的には、湿度センサ25によって、オフガスが水蒸気飽和状態であると検知された場合、切替制御手段51によって開閉バルブ23閉じ、あるいは絞り(制限し)、湿度センサ25が設けられたメイン流路21にオフガスが流通しない、あるいはオフガス量を減らし、湿度センサが、水蒸気飽和状態のような高湿度雰囲気に置かれることを防止する。一方、開閉バルブ24を開け(全開、あるいは所望開度で開け)、水蒸気飽和状態のオフガスを、オフガス排出流路(図示せず)から排出させる。この構成の場合も、湿度センサ25の寿命を向上することができる。この構成の場合、前述した実施の形態と同様に、湿度推定手段52によって、オフガスの湿度を推定し、開閉バルブ23及び24の切替を行うことができる。
本発明の実施の形態にかかる燃料電池システムの概要図である。 図1に示す燃料システムの制御動作を示すフローチャートである。
符号の説明
10…燃料電池、11…空気供給路、12…空気供給源、13…空気系オフガス流路、14…加湿器、21…メイン流路、22…バイパス流路、23、24…開閉バルブ、25…湿度センサ、50…制御部、51…切替制御手段、52…湿度推定手段、53…水分量推定手段、54…水分量制御手段、55…冷媒制御手段

Claims (10)

  1. 燃料電池と、前記燃料電池に接続され且つ当該燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス流路と、前記燃料電池に接続され且つ当該燃料電池から排出されるオフガスを流通させるオフガス流路と、を備えてなる燃料電池システムであって、
    前記オフガス流路は、メイン流路と、バイパス流路とに分岐されてなり、
    前記オフガス流路を、前記メイン流路またはバイパス流路に切替える切替手段と、
    前記切替手段の切替を制御する切替制御手段と、
    前記オフガスの湿度を推定する湿度推定手段と、
    前記メイン流路の、前記バイパス流路との分岐点よりも下流側に配設された湿度センサと、
    を備え、
    前記切替制御手段は、前記湿度推定手段により推定された湿度、及び前記湿度センサにより測定された湿度のいずれか一方の値が第1の閾値以上である場合に、前記バイパス流路にオフガスが流通するよう前記切替手段を制御し、前記湿度推定手段により推定された湿度が第2の閾値を下回った場合に、前記メイン流路にオフガスが流通するよう前記切替手段を制御する燃料電池システム。
  2. 前記湿度推定手段は、前記反応ガスに含有される水分量、前記燃料電池の発電により生成された生成水の量、前記燃料電池の温度、前記燃料電池の発電により得られる電圧、のうち少なくとも一つを用いて前記オフガスの湿度を推定する請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記第1の閾値は、前記第2の閾値以上である請求項1または請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記湿度推定手段で推定された湿度と、前記湿度センサで測定された湿度のいずれか一方に基づいて、前記燃料電池内の水分量を推定する水分量推定手段をさらに備えた請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記反応ガスと共に前記燃料電池に供給される水分量を制御する水分量制御手段をさらに備え、当該水分量制御手段は、前記水分量推定手段により推定された値に基づいて、前記燃料電池に供給される水分量を制御する請求項4記載の燃料電池システム。
  6. 前記反応ガスと共に前記燃料電池に供給される水分量を制御する水分量制御手段をさらに備え、当該水分量制御手段は、前記湿度センサで測定された湿度が第3の閾値を下回った場合に、当該湿度に基づいて、前記水分量が増加するよう制御する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池に供給される冷媒の供給条件を制御する冷媒制御手段をさらに備え、当該冷媒制御手段は、前記水分量推定手段により推定された値に基づいて、前記冷媒の供給条件を制御する請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料電池に供給される冷媒の供給条件を制御する冷媒制御手段をさらに備え、当該冷媒制御手段は、前記湿度センサで測定された湿度が第3の閾値を下回った場合に、当該湿度に基づいて、前記燃料電池の温度が低下するよう前記冷媒の供給条件を制御する請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記温度センサが、前記メイン流路の、前記バイパス流路との分岐点よりも下流側且つ合流点よりも上流側に配設されてなる請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  10. 燃料電池と、前記燃料電池に接続され且つ当該燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス流路と、前記燃料電池に接続され且つ当該燃料電池から排出されるオフガスを流通させるオフガス流路と、を備えてなる燃料電池システムであって、
    前記オフガス流路は、メイン流路と、当該オフガス流路を流通するオフガスを排出するオフガス排出流路と、に分岐されてなり、
    前記メイン流路及びオフガス排出流路を流通するオフガス量を変更する切替手段と、
    前記切替手段の切替を制御する切替制御手段と、
    前記メイン流路の、当該メイン流路とオフガス排出流路との分岐点よりも下流側に配設された湿度センサと、
    を備え、
    前記切替制御手段は、前記湿度センサによる検知結果に応じて、前記切替手段の切替をを制御し、当該湿度センサが設けられた流路を流通するオフガス量を制御する燃料電池システム。


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