JP5212691B2 - 無機結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物または酸窒化物粉末の製造に関する。さらに詳細には、CaAlSiN結晶粉末、または光学活性な元素を付活したCaAlSiN結晶などの、蛍光体用途に適した粉末の製造に関する。
蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、蛍光体の輝度が低下しがちであるため、輝度低下のない蛍光体が求められている。そのため、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、輝度低下の少ない蛍光体として、サイアロン蛍光体が提案されている。
青色LEDを励起源とする白色LEDにおいては、演色性向上のため青色光で励起されて、橙色や赤色に発光する蛍光体が求められている。
発明者の一人(広崎)は、このような要望に応えるものとして、耐熱材料として知られるCaAlSiN結晶と同一の結晶構造を有する無機化合物を母体結晶とし、光学活性な元素、なかでもEuを添加した結晶は、青色光で効率よく励起されて600nmから680nmの赤色光を発する蛍光体となることを見出した。さらに、この蛍光体を用いることにより、高輝度で赤味成分に富む高演色性の白色LEDが得られる知見に基づき特許出願が先になされた(例えば、特許文献1)。
特許文献1では、窒化カルシウムと、窒化アルミニウムと、窒化ケイ素と、窒化ユーロピウムなどの窒化物粉末を原料としてCaAlSiN結晶を母体とする蛍光体を合成した。しかしながら、これらの原料の中で、窒化カルシウムと窒化ユーロピウムは空気中で不安定であり、粉末の混合調製作業は空気を遮断したグローブボックスの中で行う必要があり、生産工程が複雑であった。さらに、窒化カルシウムや窒化ユーロピウム粉末は、高純度で高品質の原料を入手することが困難であり、合成製品の品質が低下しやすい。
一方、酸化物原料を用いて酸窒化物粉末を合成する手法として、炭素粉末を利用した還元窒化法が提案されている。例えば、αサイアロンの製造方法として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、M金属の酸化物にカーボン粉末を添加したものを窒素気流中で1400〜1700℃に加熱して粉末を得る炭素還元窒化法(例えば、特許文献2)が知られている。しかしながら、炭素還元窒化法では粒径0.1〜2μmの微細なα−サイアロン粉体が得られるものの、添加したカーボンが最終生成物に残るため着色を引き起こし、光学用途には適するとは限らない。
光学用途に適した着色がない粉末を得る方法として、発明者らは、クエン酸を用いたゾルゲル法で合成した複合酸化物を出発原料とするガス還元窒化法を提案した。この方法を利用して、6.9%CaO−10.34%Al−82.76%SiO組成の酸化物混合物を前駆体として、アンモニアガスとメタンガスを流しながら1500℃まで2時間熱処理することにより、前駆体中の酸素含有量が減少すると同時に窒素含有量が増加して、Ca−α−サイアロン(Ca−Si−Al−O−N)を合成することに成功した(例えば、特許文献3)。
αサイアロン以外の高純度窒化物粉末の合成法としては、酸化アルミニウム粉末をアンモニア及び炭化水素の混合ガス中で還元窒化して窒化アルミニウム粉末を得る方法(例えば、特許文献4)が知られている。さらに、酸化ケイ素粉末をアンモニア及び炭化水素の混合ガス中で還元窒化して窒化ケイ素粉末を得る方法(例えば、特許文献5)が報告されている。
特開2006−8721号公報 特公平4−60050号公報 特開2005−306692号公報 特開2002−97006号公報 特公平7−91043号公報
しかしながら、αサイアロン以外の多成分の窒化物や酸窒化物の無機結晶については、酸化物原料を用いて光学用途に適した着色が少ないものを合成する手法は開発されていなかった。
本発明は、蛍光体用途に適した、不純物混入による着色のない微細な窒化物や酸窒化物粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる状況下、窒化物や酸窒化物を構成する元素を含む前駆体化合物に対して、還元窒化雰囲気のガスを反応させる手法について鋭意研究を重ねた結果、特定の前駆体組成を有するものは、焼成反応によりCaAlSiN結晶などの蛍光体用途に適した窒化物や酸窒化物粉末となることを見出し、この知見を押し進めた結果、以下に記載する構成を講ずることによって、微細で光学特性に影響を及ぼす炭素不純物が少ない粉末が得られることを知見したものである。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。その構成は、以下に記載のとおりである。
M、Si、Al、Oの元素(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を少なくとも含み、必要に応じてRの元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、必要に応じてNの元素を含む前駆体化合物に対して、還元窒化雰囲気中で加熱処理を施し、該前駆体化合物中の酸素含有量を減少させるとともに窒素含有量を増加させることにより合成する、窒化物または酸窒化物を主成分とする無機結晶の製造方法であって、
該前駆体化合物中に含まれるM、R、Si、Al、O、Nの原子数の比、a、b、c、d、e、f(ただし、a+b+c+d+e+f=1)が、
0.1≦a≦0.3
0≦b≦0.1
0.1≦c≦0.3
0.1≦d≦0.3
0.01≦e≦0.6
0≦f≦0.6
の関係を満し、
前記無機結晶は、CaAlSiN あるいはSrAlSiN と同一の結晶構造を有する、製造方法。
該前駆体化合物が、酸化物または水酸化物の混合物であってもよい。
合成される前記無機結晶に含まれる酸素と窒素の量が重量比で、
0≦O/(O+N)≦0.20
の関係を満たしてもよい。
合成される前記無機結晶が、粉末形態であってもよい。
合成される前記無機結晶が、CaAlSiN 、SrAlSiN 、または(Ca、Sr)AlSiN 結晶、あるいはそれらの固溶体結晶であってもよい。
前記前駆体化合物が、加熱により二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素あるいは窒化ケイ素となる化合物(化合物SiX)と、加熱によりMの酸化物、酸窒化物あるいは窒化物となる化合物(化合物MX)と、加熱により酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムとなる化合物(化合物AlX)と、必要に応じて加熱によりRの酸化物、酸窒化物あるいは窒化物となる化合物(化合物RX)とを少なくとも含む混合物であってもよい。
前記化合物SiXが二酸化ケイ素(SiO )、酸窒化ケイ素(Si O)窒化ケイ素(Si )から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、前記化合物MXが、Mの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、前記化合物AlXが、アルミニウムの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、前記化合物RXが、Rの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物から選ばれる1種または2種以上の混合物であってもよい。
前記化合物SiXの平均粒径が500nm以下であってもよい。
前記化合物MXの粒子、前記化合物AlXの粒子、前記化合物RXの粒子の平均粒径が前記化合物SiXの粒子の平均粒径より小さく、前記化合物MXの粒子、前記化合物AlXの粒子、前記化合物RXの粒子が前記化合物SiXの粒子の表面に付着してもよい。
前記前駆体化合物が、前記化合物MXと、前記化合物AlXと、必要に応じて前記化合物RXとを溶剤に溶解させた溶液中に前記化合物SiXの粒子を分散させた後に、乾燥、脱溶剤して得られる、前記化合物SiXの粒子表面にMと、Alと、必要に応じてRの化合物が付着した形態の混合物であってもよい。
前記前駆体化合物が、前記化合物MXと、前記化合物AlXと、必要に応じて前記化合物RXとを溶解させた水溶液に前記化合物SiXを分散させた後にクエン酸を加え、乾燥、脱水して得られる、複合クエン酸塩であってもよい。
前記前駆体化合物が、前記化合物MXと、前記化合物AlXと、必要に応じて前記化合物RXとを溶解させた水溶液に前記化合物SiXを分散させた後にクエン酸を加え、乾燥、脱水して得られる、複合クエン酸塩に加熱処理を施してクエン酸を分解除去した化合物であってもよい。
前記還元窒化雰囲気は、少なくとも、アンモニアガス、または、水素と窒素の混合ガスを含んでもよい。
前記還元窒化雰囲気は、少なくとも炭化水素ガスを含んでもよい。
前記還元窒化雰囲気は、アンモニアガスと、メタンまたはプロパンガスの混合ガスであってもよい。
前記加熱処理を行う温度が、1000℃以上1800℃以下であってもよい。
上記方法で製造される無機結晶が、
MSiAlN 結晶(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、該製造された無機結晶に更にR元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Tbから選ばれる1種または2種以上の元素)を含む化合物を混合し、窒素含有雰囲気中で1200℃以上2000℃以下の温度で焼成することにより、MSiAlN 結晶にRが付活された蛍光体を得ることを特徴とする蛍光体の製造方法。
本発明の製造方法により得られる無機結晶蛍光体は、従来の無機結晶粉末より微細で高純度であり、蛍光体として適している。このような微細な蛍光体粉末は、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどにおいて好適であり、この種分野における材料設計において、新規性のある有用な材料を提供した意義は大きいし、産業の発展に大いに寄与することが期待される。
実施例1の前駆体のSEM写真である。 実施例1の合成物のX線回折パターンである。 実施例2の合成物のX線回折パターンである。 実施例1の手順を示すフローチャートである。 実施例7の合成物の励起発光スペクトルである。
以下に本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。
本発明では、前駆体化合物として、M、Si、Al、Oの元素(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を少なくとも含み、必要に応じてRの元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、必要に応じてNの元素を含むものを使用する。酸化物または水酸化物、あるいはその混合物は高純度の原料が得られるため、これらを前駆体として用いると、光学用途に適した高純度の無機結晶を得ることができる。
M、Si、Alの元素は、光学用途の無機結晶を構成する金属元素である。無機結晶として、CaAlSiNあるいはSrAlSiNと同一の結晶構造を有する無機結晶を合成する場合は、MとしてCa、Sr、あるいはその混合組成を用いて、目的組成となるようにM、Si、Alの含有量を選定するとよい。前駆体を構成する元素のうち、M、R、Si、Alの多くは焼成中に揮散することなく反応物中に残留する。一方、Oの一部は焼成中に雰囲気ガスと反応して反応物の外に取り除かれ、替わりに反応ガスからNが反応物中に導入される。このようにして、前駆体化合物からM−R−Si−Al−O−Nからなる無機結晶が合成される。
酸素の除去と窒素の導入は、処理温度、処理ガスの組成と流量、反応時間により制御し、合成物である窒化物または酸窒化物を主成分とする無機結晶中に含まれる酸素と窒素の量が、
0 ≦ O /(O + N) ≦ 0.20
の関係を満たすまで処理を行うのがよい。この範囲内で蛍光体または蛍光体用のホスト結晶に適した窒化物あるいは酸窒化物が得られる。
合成物である窒化物または酸窒化物を主成分とする無機結晶の形態は問わないが、高輝度の蛍光体とする場合は粉末形態が望ましい。その粒度は、用途により異なるが、ナノ蛍光体とする場合は、出発原料として50nm〜500nm程度のナノ粉末を用いるのがよい。通常の蛍光体である1μm〜10μmの粒径を得るには、50nm〜5μmの粒径の原料粉末を用いて、熱処理中に1μm〜10μmの粒径まで粒成長させることができる。また、熱処理後にさらに高温で熱処理を行うことにより粒成長処理を行ってもよい。
該前駆体化合物の中で、目的とする無機結晶が特に高収率で得られる組成は、中に含まれるM、R、Si、Al、O、Nの原子数の比、a、b、c、d、e、f(ただし、a+b+c+d+e+f=1)が、
0.1 ≦ a ≦ 0.3
0 ≦ b ≦ 0.1
0.1 ≦ c ≦ 0.3
0.1 ≦ d ≦ 0.3
0.01 ≦ e ≦ 0.6
0 ≦ f ≦ 0.6
の関係を満たす組成物である。
これらの関係を満たす組成物としては、例えば、
2CaCO−Al−2SiO
1.992CaO−0.008EuO−Al−2SiO、または
3SrO−3AlN−Si
の組成の混合物を挙げることができる。
前駆体化合物としては、M、R、Si、Alそれぞれの元素の化合物の混合体を用いることができる他に、M−Al−OやSi−Al−O−Nなどの複数の元素の無機化合物やその混合物を用いることができる。
前駆体化合物としては、M、R、Si、Alそれぞれの元素の化合物の混合体を用いる場合は、以下の方法により前駆体化合物を準備することができる。
すなわち、前駆体化合物として、加熱により二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素あるいは窒化ケイ素となる化合物(化合物SiX)と、加熱によりMの酸化物、酸窒化物あるいは窒化物となる化合物(化合物MX)と、加熱により酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムとなる化合物(化合物AlX)と、必要に応じて、加熱によりRの酸化物、酸窒化物あるいは窒化物となる化合物(化合物RX)とを少なくとも含む混合物を用いることができる。
加熱により二酸化ケイ素になる化合物とは、空気中や酸素を含む雰囲気中または不活性雰囲気中で加熱したときに二酸化ケイ素になる化合物であり、加熱により酸窒化ケイ素あるいは窒化ケイ素になる化合物とは、窒素やアンモニアなどのガスを構成する分子中に窒素元素を含むガスの雰囲気中または不活性雰囲気中で加熱したときに酸窒化ケイ素あるいは窒化ケイ素になる化合物である。SiXとしては、二酸化ケイ素(SiO:シリカガラス、シリカゾル、シリカゲル、結晶質シリカ等)、酸窒化ケイ素(SiO等)、窒化ケイ素(Si:α型結晶、β型結晶、アモルファス等)などを挙げることができる。
加熱によりMの酸化物となる化合物とは、空気中や酸素を含む雰囲気中または不活性雰囲気中で加熱したときにMの酸化物になる化合物であり、加熱によりMの酸窒化物あるいは窒化物になる化合物とは、窒素やアンモニアなどのガスを構成する分子中に窒素元素を含むガスの雰囲気中または不活性雰囲気中で加熱したときにMの酸窒化物あるいは窒化物になる化合物である。MXとしては、Mの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、フッ化物、有機酸塩、クエン酸塩などを挙げることができる。
加熱により酸化アルミニウムになる化合物とは、空気中や酸素を含む雰囲気中または不活性雰囲気中で加熱したときに酸化アルミニウムになる化合物であり、加熱により酸窒化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムとなる化合物とは、窒素やアンモニアなどのガスを構成する分子中に窒素元素を含むガスの雰囲気中または不活性雰囲気中で加熱したときに酸窒化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムになる化合物である。AlXとしては、Alの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、フッ化物、有機酸塩、クエン酸塩などを挙げることができる。
加熱によりRの酸化物となる化合物とは、空気中や酸素を含む雰囲気中または不活性雰囲気中で加熱したときにRの酸化物になる化合物であり、加熱によりMの酸窒化物あるいは窒化物になる化合物とは、窒素やアンモニアなどのガスを構成する分子中に窒素元素を含むガスの雰囲気中または不活性雰囲気中で加熱したときにRの酸窒化物あるいは窒化物になる化合物である。RXとしては、Rの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、フッ化物、有機酸塩、クエン酸塩などを挙げることができる。
次に、前駆体化合物として、M−Al−OやSi−Al−O−Nなどの複数の元素の無機化合物やその混合物を用いる場合としては、例えば、CaAl、CaSiO、AlCaSiO、AlCaSi12、Al2CaSiなどを利用して、必要に応じて、CaO、SiO、Alなどを混合して組成を調整すると良い。
前記の中でも、前駆体化合物が、MSiAl(ただし、a+b+c+d+e+f=1)で表される結晶質または非晶質あるいはその混合物は目的組成に近い組成を選定でき、目的物が高収率で得られるので好ましい。
特に、パラメータa、b、c、d、e、fが、
0.1 ≦ a ≦ 0.3
0 ≦ b ≦ 0.1
0.1 ≦ c ≦ 0.3
0.1 ≦ d ≦ 0.3
0.01 ≦ e ≦ 0.6
0 ≦ f ≦ 0.6
の関係を満たす組成では、目的物が高収率で得られる。
前駆体中のOとNの比は最終製品の割合よりもOが多い組成とするのがよい。このようにして決められた組成の前駆体を焼成するにあたり、焼成反応の時間により制御してO/N比が所定の値となったところで反応を終了させることにより、所定の組成を得ることができる。
反応を終了させるO/N比としては、合成物である窒化物または酸窒化物を主成分とする無機結晶中に含まれる酸素と窒素の量が、
0 ≦ O /(O + N) ≦ 0.20
の関係を満たす組成が、蛍光体のホストとした場合の輝度が高くなるため光学用途として好ましい。
特に微細な粉末を得たい場合は、つぎの方法によるのがよい。SiXの平均粒径が2μm以下のものを用いて、MX粒子およびAlX粒子の平均粒径をSiX粒子の平均粒径より小さくし、さらに好ましくは、MXおよびAlXがSiXの表面に付着してなる形態を持つ前駆体を用いるのがよい。このような形態の前駆体を出発とすると、加熱中にSiX表面でMXとAlXが反応して、比較的低温で効率よく目的とする無機結晶が形成されることにより、SiXの大きさに近い微細な無機結晶を合成することができる。この手法では、SiXとしては、反応性と微細な粉末が得られることから、特に、二酸化ケイ素と窒化ケイ素が出発原料として優れている。
なお、本明細書において、平均粒径とは、以下のように定義される。粒子径は、沈降法による測定においては沈降速度が等価な球の直径として、レーザ散乱法においては散乱特性が等価な球の直径として定義される。また、粒子径の分布を粒度(粒径)分布という。粒径分布において、ある粒子径より大きい質量の総和が、全粉体のそれの50%を占める場合の粒子径が、平均粒径D50として定義される。この定義および用語は、いずれも当業者において周知であり、例えば、JISZ8901「試験用粉体及び試験用粒子」、または、粉体工学会編「粉体の基礎物性」(ISBN4−526−05544−1)の第1章等諸文献に記載されている。本発明においては、分散剤としてヘキサメタクリン酸ナトリウムを添加した水に試料を分散させ、レーザ散乱式の測定装置を使用して、粒子径に対する体積換算の積算頻度分布を測定した。なお、体積換算と重量換算の分布は等しい。この積算(累積)頻度分布における50%に相当する粒子径を求めて、平均粒径D50とした。以下、本明細書において、平均粒径は、上述のレーザ散乱法による粒度分布測定手段によって測定した粒度分布の中央価(D50)に基づくことに留意されたい。平均粒径を求める手段については、上述以外にも多様な手段が開発され、現在も続いている現状にあり、測定値に若干の違いが生じることもあり得るが、平均粒径それ自体の意味、意義は明確であり、必ずしも上記手段に限定されないことを理解されたい。
このような形態の前駆体を得る方法は特に規定しないが、次の方法によれば効率よく付着形態を制御した前駆体が得られる。M、Rを含む化合物とアルミニウムを含む化合物とを溶剤に溶解させた溶液中にSiX粒子(好ましくは二酸化ケイ素または窒化ケイ素粒子)を分散させた後に、乾燥、脱溶剤することにより、SiX粒子表面にM、RとAlの塩が付着した形態の前駆体化合物が得られる。
この工程の一手法として、MX、RXとAlXを水溶液としたものにSiXを均一に分散させ攪拌しながらクエン酸を添加してSiX粒子の表面にMX、RXとAlXのクエン酸塩を付着させた後に乾燥、脱水して得た複合クエン酸塩の前駆体化合物を焼成して合成する手法を挙げることができる。ここで用いるMXとしては、Mの硝酸塩や塩化物を、RXとしては、Rの硝酸塩や塩化物を、AlXとしては、アルミニウムの硝酸塩や塩化物を挙げることができる。
別の手法として、MX、RXとAlXを水または溶剤に溶解させ,これにSiXを均一に分散させた後に、噴霧乾燥して得たSiX粒子表面にMX、RXとAlXが付着した前駆体化合物を焼成する手法を挙げることができる。
本発明では、前駆体化合物に対して還元窒化雰囲気中で加熱処理を施し、前駆体中の酸素含有量を減少させるとともに窒素含有量を増加させることにより、酸窒化物あるいは窒化物の無機結晶を生成させる還元窒化処理が行われる。
還元窒化処理に用いられる雰囲気ガスは、窒素元素を含むガス及び水素や炭化水素などの還元性ガスの混合ガスとすることができる。アンモニアガスまたはアンモニアガスと炭化水素ガスの混合ガスが好ましい。また必要に応じて、窒素ガスや希ガス(例えば、アルゴンガス)など比較的不活性なガスとの混合ガスとすることができる。アンモニアガスを用いた場合は、アンモニア中の水素が前駆体中の酸素を除去し、アンモニア中の窒素が替わりに前駆体に取り込まれると考えられる。アンモニアガスと炭化水素ガスの混合ガスを用いた場合は、炭化水素ガスと前駆体中の酸素が反応してHOやCOとして取り除かれ、アンモニア中の窒素が替わりに前駆体に取り込まれると考えられる。
炭化水素ガスとしては、反応条件で気体であることが必要であり、メタン、プロパンやLNGなどの短鎖の炭化水素ガスが用いられる。混合ガス中のアンモニアに対する炭化水素の割合は、3容積%以下が望ましい。3容積%を超えると焼成中に炭素が析出して粉体中に残留するおそれがある。最適なガスの流速は反応容器によって異なるが、0.01〜0.1m/秒が一般には好ましい値と考えられる。反応温度は、1200℃〜1800℃、望ましくは1300℃〜1600℃である。この温度範囲内で、低温で焼成すると微細な粉末が得られ、高温で焼成するとやや粒径が大きい結晶性が良い粉末が得られ易い。反応時間は原料粉末の組成や種類によって異なるが、ガス還元窒化による酸素量減少と窒素量増加が目的とする無機結晶の理論値となったところで終了するのがよい。典型的な反応時間は0.5〜5時間とするのが好ましい。
本発明では必要に応じて、ガス還元窒化反応を促進するために、前駆体化合物に、カルシウム、カリウム、アルミニウムから選ばれる元素のフッ化物、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩の1種または2種以上の反応促進剤を添加した後に還元窒化雰囲気中で加熱処理を施すことができる。これらの反応促進剤は高温で液相を生成して拡散が活発になるため反応が効率よく進む。また、粒成長も促進されるため、特に大きな粒径の粉末を製造する場合はこれらの反応促進剤を添加すると良い。上記の反応促進剤のなかでも、フッ化カルシウム(CaF)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化アルミニウム(AlF)、塩化アルミニウム(AlCl)が効果が大きい。反応促進剤の添加割合は、前駆体化合物100gに対して0.5gから20gの範囲がよい。0.5gより少ないと反応促進効果が少なく、20gより多いと他の組成物ができ易くなるため好ましくない。また、必要に応じて反応後に、反応促進剤を溶解する溶剤(水、有機溶剤、酸)で処理することができる。なかでもフッ化水素酸、硫酸、塩酸、硝酸の1種または2種以上の混合物の水溶液は反応促進剤の除去効果が高い。
本発明の製造方法では合成する無機結晶の種類および組成を特に限定するものではない。CaAlSiNあるいはSrAlSiNと同一の結晶構造を有する無機結晶であり光学活性な元素(Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybなど)を付活した蛍光体を合成する場合は、Mに少なくともCaあるいはSrを含む組成とすることができる。特に、RにEuを含むようにすれば、高い輝度の蛍光体が得られ易い。
上記に記載された方法により製造されたCaAlSiNあるいはSrAlSiNと同一の結晶構造を有する無機結晶のなかでも、
CaSrSiAlSiN:Eu
の組成で示され、パラメータx、y、zが、
x+y+z=1
0 ≦ x ≦ 1−z
0 ≦ y ≦ 1−z
0.0001 ≦ z ≦ 0.1
の関係を満たす組成の粉末は赤色を発光する蛍光体となる。この組成のCaAlSiNあるいはSrAlSiN粉末では、2価のEuイオンが発光中心となって紫外線あるいは青色の可視光を吸収して赤色の発光を示す。これは、青色LEDと組み合わせた白色LED照明器具に適した蛍光体である。
本発明の製造方法として、ガス還元窒化法で、あらかじめMSiAlN結晶(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を合成した後に、Rの元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)を含む化合物を添加し、その後に窒素含有雰囲気中で1200℃以上2000℃以下の温度で焼成する方法がある。この方法によれば、炭素含有量が少ないMSiAlN結晶の合成と、Rを付活した蛍光体の合成を分けて行うことができるため、それぞれに適した合成炉や合成条件を適用できる利点がある。Rを付活した蛍光体の合成は、窒素含有雰囲気中で、1200℃以上2000℃以下の温度で行われる。1200℃より低温では反応が十分に進まないため、R元素がMSiAlN結晶に取り込まれない。2000℃より高いと著しい粒成長が起こるため、光学特性が低下する。窒素含有雰囲気としては、窒素ガス、アンモニアガス、窒素と水素の混合ガスを挙げることができる。第二弾の焼成で酸素含有量を低下させる場合は、メタンガスなどの炭化水素ガスをさらに混合することができる。焼成温度が高い場合は、2から100気圧程度の高圧の窒素ガス中で焼成することができる。
次に本発明を以下に示す実施例によってさらに詳しく説明するが、これはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示したものである。従って、本発明が、これらの実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
(実施例1)
図4に実施例1の合成のフローをまとめる。高純度アルコキシシランからゾルゲル法で合成して得た平均粒径0.3μmの球状の非晶質二酸化ケイ素粉末を、CaとAlを含む水溶液中に添加して、攪拌混合しながらクエン酸を添加した。この操作により、二酸化ケイ素表面にCaとAlのクエン酸塩を吸着させた後に、攪拌しながら加熱して水分を除去して乾燥させた(水分の乾燥・除去)。その後、空気中で700℃に加熱してクエン酸塩を酸化物に変換した。得られた仮焼物をメノウ乳鉢でほぐして粉末状の前駆体化合物を得た。前駆体の組成(単位モル%)は、
40.0%CaO−20.0%Al−40.0%SiO
である。前駆体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1に示すように球状の二酸化ケイ素だけが観察され、CaOとAlは凝集することなく二酸化ケイ素の表面に層状の微細な粉末として吸着していることが確認された。
次に、この前駆体化合物約0.5gをアルミナボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量325ml/分で導入し、500℃/時の速度で700℃まで昇温した。この温度よりアンモニアガス流量を1300ml/分に設定すると同時にメタンガスを流量19.5ml/分で炉内に導入し、引き続き1300℃まで200℃/時の速度で昇温した。当温度で2時間保持したのち、メタンガスの供給を停止し、アンモニア気流中で室温まで冷却した。
得られた合成物は前駆体の形態を保っており、メノウ乳鉢で簡単にほぐすことができた。得られた粉末のX線回折パターン(図2)を調べた結果、CaAlSi、AlNの混合物であった。この粉末の窒素含有量および酸素含有量は各々15.6%、16.9%であった。
(実施例2)
高純度アルコキシシランからゾルゲル法で合成して得た平均粒径0.3μmの球状の非晶質二酸化ケイ素粉末を、CaとAlを含む水溶液中に添加して、攪拌混合しながらクエン酸を添加した。この操作により、二酸化ケイ素表面にCaとAlのクエン酸塩を吸着させた後に、攪拌しながら加熱して水分を除去して乾燥させた。その後、空気中で700℃に加熱してクエン酸塩を酸化物に変換した。得られた仮焼物をメノウ乳鉢でほぐして粉末状の前駆体化合物を得た。前駆体の組成(単位モル%)は、
40.0%CaO−20.0%Al−40.0%SiO
である。前駆体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1に示すように球状の二酸化ケイ素だけが観察され、CaOとAlは凝集することなく二酸化ケイ素の表面に層状の微細な粉末として吸着していることが確認された。
次に、この前駆体化合物約0.5gをアルミナボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量325ml/分で導入し、500℃/時の速度で700℃まで昇温した。この温度よりアンモニアガス流量を1300ml/分に設定すると同時にメタンガスを流量19.5ml/分で炉内に導入し、引き続き1375℃まで200℃/時の速度で昇温した。当温度で4時間保持したのち、メタンガスの供給を停止し、アンモニア気流中で室温まで冷却した。
得られた合成物は前駆体の形態を保っており、メノウ乳鉢で簡単にほぐすことができた。得られた粉末のX線回折パターン(図3)を調べた結果、CaAlSiN、AlNの混合物であった。この粉末の窒素含有量および酸素含有量は各々30.2%、1.82%であった。
(実施例3〜6)
実施例1と同じ前駆体化合物を用いて各条件で還元窒化反応処理を行ったところ、表1に示す粉末が得られた。また、表2に窒素含有量および酸素含有量合計に対する酸素含有量の重量比をまとめる。
(実施例7)
Euを添加した組成式Eu0.01CaSiAlNを得るべく以下の合成を行った。
実施例1と同じ前駆体化合物約0.5gをアルミナボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量325ml/分で導入し、500℃/時の速度で700℃まで昇温した。この温度よりアンモニアガス流量を1300ml/分に設定すると同時にメタンガスを流量19.5ml/分で炉内に導入し、引き続き1375℃まで200℃/時の速度で昇温した。当温度で4時間保持したのち、メタンガスの供給を停止し、アンモニア気流中で室温まで冷却した。得られた合成物は前駆体の形態を保っており、メノウ乳鉢で簡単にほぐすことができた。得られた粉末のX線回折パターンを調べた結果、CaAlSiN、AlNの混合物であり、SiO、Al、CaOなどは検出されなかった。
次いでこの粉末0.15gを用い、これを超音波照射によりエチルアルコール中に均一分散させたコロイド溶液を得た。これに濃度1mgEu/mlの硝酸ユーロピウム水溶液1.66mlを加えたのち加熱乾燥を行い均一な粉体を得た。この粉体全量をアルミナボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量325ml/分で導入し、500℃/時の速度で700℃まで昇温した。この温度よりアンモニアガス流量を1300ml/分に設定すると同時にメタンガスを流量19.5ml/分で炉内に導入し、引き続き1500℃まで200℃/時の速度で昇温した。当温度で15分間保持したのち、メタンガスの供給を停止し、アンモニア気流中で室温まで冷却した。
得られた合成物は前駆体の形態を保っており、メノウ乳鉢で簡単にほぐすことができた。得られた粉末のX線回折パターンを調べた結果、CaAlSiN、AlNの混合物であった。日立ハイテクノロジーズ製の蛍光分光光度計F4500型を用いて、得られた合成物の励起スペクトルと蛍光スペクトルの測定を行ったところ、図5に示すように、300nmから450nmの紫外線から青色光で励起され、620nmに発光ピーク波長を持つ赤色の蛍光体であることが確認された。従って、これは青色LEDと組合わせて、白色LED照明器具に適用可能であることがわかる。

Claims (17)

  1. M、Si、Al、Oの元素(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を少なくとも含み、必要に応じてRの元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、必要に応じてNの元素を含む前駆体化合物に対して、還元窒化雰囲気中で加熱処理を施し、該前駆体化合物中の酸素含有量を減少させるとともに窒素含有量を増加させることにより合成する、窒化物または酸窒化物を主成分とする無機結晶の製造方法であって、
    該前駆体化合物中に含まれるM、R、Si、Al、O、Nの原子数の比、a、b、c、d、e、f(ただし、a+b+c+d+e+f=1)が、
    0.1≦a≦0.3
    0≦b≦0.1
    0.1≦c≦0.3
    0.1≦d≦0.3
    0.01≦e≦0.6
    0≦f≦0.6
    の関係を満し、
    前記無機結晶は、CaAlSiN あるいはSrAlSiN と同一の結晶構造を有する、製造方法。
  2. 該前駆体化合物が、酸化物または水酸化物の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 合成される前記無機結晶に含まれる酸素と窒素の量が重量比で、
    0≦O/(O+N)≦0.20
    の関係を満たす、請求項1に記載の製造方法。
  4. 合成される前記無機結晶が、粉末形態である請求項3に記載の製造方法。
  5. 合成される前記無機結晶が、CaAlSiN、SrAlSiN、または(Ca、Sr)AlSiN結晶、あるいはそれらの固溶体結晶である、請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記前駆体化合物が、加熱により二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素あるいは窒化ケイ素となる化合物(化合物SiX)と、加熱によりMの酸化物、酸窒化物あるいは窒化物となる化合物(化合物MX)と、加熱により酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムとなる化合物(化合物AlX)と、必要に応じて加熱によりRの酸化物、酸窒化物あるいは窒化物となる化合物(化合物RX)とを少なくとも含む混合物である、請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記化合物SiXが二酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiO)窒化ケイ素(Si)から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、前記化合物MXが、Mの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、前記化合物AlXが、アルミニウムの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、前記化合物RXが、Rの酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、塩化物から選ばれる1種または2種以上の混合物である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記化合物SiXの平均粒径が500nm以下である、請求項6に記載の製造方法。
  9. 前記化合物MXの粒子、前記化合物AlXの粒子、前記化合物RXの粒子の平均粒径が前記化合物SiXの粒子の平均粒径より小さく、前記化合物MXの粒子、前記化合物AlXの粒子、前記化合物RXの粒子が前記化合物SiXの粒子の表面に付着する、請求項6に記載の製造方法。
  10. 前記前駆体化合物が、前記化合物MXと、前記化合物AlXと、必要に応じて前記化合物RXとを溶剤に溶解させた溶液中に前記化合物SiXの粒子を分散させた後に、乾燥、脱溶剤して得られる、前記化合物SiXの粒子表面にMと、Alと、必要に応じてRの化合物が付着した形態の混合物である、請求項6に記載の製造方法。
  11. 前記前駆体化合物が、前記化合物MXと、前記化合物AlXと、必要に応じて前記化合物RXとを溶解させた水溶液に前記化合物SiXを分散させた後にクエン酸を加え、乾燥、脱水して得られる、複合クエン酸塩である、請求項6に記載の製造方法。
  12. 前記前駆体化合物が、前記化合物MXと、前記化合物AlXと、必要に応じて前記化合物RXとを溶解させた水溶液に前記化合物SiXを分散させた後にクエン酸を加え、乾燥、脱水して得られる、複合クエン酸塩に加熱処理を施してクエン酸を分解除去した化合物である、請求項6に記載の製造方法。
  13. 前記還元窒化雰囲気は、少なくとも、アンモニアガス、または、水素と窒素の混合ガスを含む、請求項1に記載の製造方法。
  14. 前記還元窒化雰囲気は、少なくとも炭化水素ガスを含む、請求項1に記載の製造方法。
  15. 前記還元窒化雰囲気は、アンモニアガスと、メタンまたはプロパンガスの混合ガスである、請求項13に記載の製造方法。
  16. 前記加熱処理を行う温度が、1000℃以上1800℃以下である請求項1に記載の製造方法。
  17. 請求項1に記載された方法で製造される無機結晶が、
    MSiAlN結晶(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、該製造された無機結晶に更にR元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Tbから選ばれる1種または2種以上の元素)を含む化合物を混合し、窒素含有雰囲気中で1200℃以上2000℃以下の温度で焼成することにより、MSiAlN結晶にRが付活された蛍光体を得ることを特徴とする蛍光体の製造方法。
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