JP2008045080A - 無機化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不純物混入による着色の殆どない蛍光体あるいは蛍光体用途の微細な無機結晶粉末を提供すること。
【解決手段】M、Si、Oの元素(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を少なくとも含み、必要に応じてRの元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、必要に応じてNの元素を含む前駆体化合物に対して、還元窒化雰囲気中で加熱処理を施し、前駆体中の酸素含有量を減少させるとともに窒素含有量を増加させることによって、無機化合物粉末を合成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、窒化物または酸窒化物無機化合物の製造に関する。さらに詳細には、アルカリ土類元素の窒化物であるMSi結晶またはMSi固溶体結晶(Mはアルカリ土類元素)を含有する蛍光体または蛍光体用途に適した無機化合物の製造方法に関する。
蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、蛍光体の輝度が低下しがちであるため、輝度低下のない蛍光体が求められている。そのため、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、輝度低下の少ない蛍光体として、サイアロン蛍光体などの窒化物や酸窒化物を母体結晶として、これに光学活性な希土類元素を固溶させた蛍光体が提案されている。
このサイアロン蛍光体は、概略以下に述べるような製造プロセスによって製造される。まず、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ユーロピウム(Eu)を所定のモル比に混合し、1気圧(0.1MPa)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス法により焼成して製造される(例えば、特許文献1参照)。このプロセスで得られるEuイオンを付活したαサイアロンは、450から500nmの青色光で励起されて550から600nmの黄色の光を発する蛍光体となることが報告されている。しかしながら、紫外LEDを励起源とする白色LEDやプラズマディスプレイなどの用途には、黄色だけでなく橙色や赤色に発光する蛍光体も求められていた。また、青色LEDを励起源とする白色LEDにおいては、演色性向上のため橙色や赤色に発光する蛍光体が求められていた。
赤色に発光する蛍光体として、BaSi結晶にEuを付活した無機物質(Ba2−xEuSi:x=0.14〜1.16)がこの出願前に係る学術文献(非特許文献1参照)に報告されている。さらに、刊行物「On new rare−earth doped M−Si−Al−O−N materials」(非特許文献2参照)の第2章には種々の組成のアルカリ金属とケイ素の3元窒化物、MSi(M=Ca、Sr、Ba、Zn;x、y、zは種々の値)を母体とする蛍光体が報告されている。同様に、MSi:Eu(M=Ca、Sr、Ba、Zn;z=2/3x+4/3y)が、特許文献2に報告されている。
別のサイアロン、窒化物、または酸窒化物蛍光体として、特許文献3及び4に、MSi、MSi、MSi11、MSi1123、M16Si1532、M13Si18Al121836、MSiAlON、MSiAlON10(ただし、MはBa、Ca、Sr、または希土類元素)を母体結晶として、これにEuやCeを付活した蛍光体が知られており、これらの中には赤色に発光する蛍光体と蛍光体を用いたLED照明ユニットが知られている。このなかで、EuSrSiAl系の化合物として、SrSiAl:Eu2+とSrSiAlON:Eu2+が知られている。さらに、特許文献5には、SrSiやSrSi10結晶にCeを付活した蛍光体が報告されている。
特許文献6には、LxMyN(2/3x+4/3y):Z(LはCa、Sr、Baなどの2価元素、MはSi、Geなどの4価元素、ZはEuなどの付活剤)蛍光体に関する記載があり、微量のAlを添加すると残光を抑える効果があることが記載されている。また、この蛍光体と青色LEDとを組み合わせることによる、やや赤みを帯びた暖色系の白色の発光装置が知られている。さらに、特許文献7には、LxMyN(2/3x+4/3y):Z蛍光体として種々のL元素、M元素、Z元素で構成した蛍光体が報告されている。特許文献8には、L−M−N:Eu、Z系に関する幅広い組み合わせの記述があるが、特定の組成物や結晶相を母体とする場合の発光特性向上の効果は示されていない。
以上に述べた特許文献2から8に代表される蛍光体は、種々の異なる結晶相を母体とする蛍光体が報告されており、赤色に発光するものも知られているが、青色の可視光での励起では赤色の発光輝度は十分ではなかった。また、組成によっては化学的に不安定であり、耐久性に問題があった。さらに、出発原料にCaやSrの金属または窒化物を使用するため、空気を遮断した状態で粉末を混合する必要があり、生産性の点で問題があった。
出発原料として酸化ストロンチウムと窒化ケイ素を用いて、SrSiを母体結晶とする蛍光体を合成する方法が特許文献9に示されている。この方法では、空気中で粉末混合が可能であり工業生産に適する方法であるが、得られた蛍光体の発光強度は十分ではなかった。
一方、酸化物原料を用いて窒化物または酸窒化物粉末を合成する手法として、炭素粉末を利用した還元窒化法が提案されている。例えば、αサイアロンの製造方法として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、M金属の酸化物にカーボン粉末を添加したものを窒素気流中で1400〜1700℃に加熱して粉末を得る炭素還元窒化法(例えば、特許文献10)が知られている。
αサイアロン以外の窒化または酸窒化物物粉末の合成法としては、酸化アルミニウム粉末をアンモニア及び炭化水素の混合ガス中で還元窒化して窒化アルミニウム粉末を得る方法(例えば、特許文献11)が知られている。さらに、酸化ケイ素粉末をアンモニア及び炭化水素の混合ガス中で還元窒化して窒化ケイ素粉末を得る方法(例えば、特許文献12)が報告されている。
光学用途に適した着色の少ない(実質的にない)粉末を得る方法として、発明者らは、クエン酸を用いたゾルゲル法で合成した複合酸化物を出発原料とするガス還元窒化法を提案した。この方法を利用して、6.9%CaO−10.34%Al−82.76%SiO組成の酸化物混合物を前駆体として、アンモニアガスとメタンガスを流しながら1500℃まで2時間熱処理することにより、前駆体中の酸素含有量が減少すると同時に窒素含有量が増加して、Ca−α−サイアロン(Ca−Si−Al−O−N)を合成することに成功した(例えば、特許文献13)。
H.A.Hoppe ほか4名「Journal of Physics and Chemistry of Solids」 2000年、61巻、2001〜2006ページ 「On new rare−earth doped M−Si−Al−O−N materials」J.W.H.van Krevel著、TU Eindhoven 2000、ISBN 90−386−2711−4 特開2002−363554号公報 米国特許第6682663号明細書 特開2003−206481号公報 米国特許第6670748号明細書 特開2002−322474号公報 特開2003−321675号公報 特開2003−277746号公報 特開2004−10786号公報 国際公開第2006/080539号パンフレット 特公平4−60050号公報 特開2002−97006号公報 特公平7−91043号公報 特開2005−306692号公報
しかしながら、αサイアロン以外の多成分の窒化物や酸窒化物の蛍光体粉末については、酸化物原料を用いて光学用途に適した着色の少ない無機化合物を合成する手法は開発されていなかった。
本発明は、不純物混入による着色の少ない微細な窒化物や酸窒化物を含む、蛍光体あるいは蛍光体用途に適した無機化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる状況下、窒化物や酸窒化物を構成する元素を含む前駆体化合物に対して、還元窒化雰囲気のガスを反応させる手法について鋭意研究を重ねた結果、特定の前駆体組成を有するものは、焼成反応によりアルカリ土類窒化物であるMSi結晶(ただしMはアルカリ土類元素)を含む無機化合物となることを見出し、この知見を押し進めた結果、以下(1)〜(18)に記載する構成を講ずることによって、微細で光学特性に影響を及ぼす炭素不純物が少ない無機化合物が得られることを知見したものである。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。その構成は、以下(1)から(18)に記載のとおりである。
(1)M、Si、Oの元素(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、必要に応じてRの元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)及び/またはNの元素を含む、前駆体化合物に対して、還元窒化雰囲気中で加熱処理を施す、MSiと実質的に同一の結晶構造を有する結晶を含有する無機化合物を製造する方法。ここで、上記還元窒化雰囲気中での加熱処理により、前駆体中の酸素含有量を減少させるとともに窒素含有量を増加させることができる。
(2)前記無機化合物は、M元素を含有する酸化物または酸窒化物のうち1種または2種以上の結晶を含む、上記(1)に記載の方法。
(3)前記M元素を含有する酸化物または酸窒化物は、MSiO結晶、MSiOの固溶体結晶、MSi結晶、MSiの固溶体結晶のうちの1種または2種以上を含む、上記(2)に記載の方法。
(4)前記MがSrを含み、前記RがEuを含む、請求項1に記載の方法。
(5)前記前駆体化合物が、Si含有化合物(ただし、Si含有化合物は、Siの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物のうちの1種または2種以上の化合物)と、M含有化合物(M含有化合物は、Mの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物のうちの1種または2種以上の化合物)と、R含有化合物(R含有化合物は、Rの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物のうちの1種または2種以上の化合物)とを含む、上記(1)に記載の方法。
(6)前記前駆体化合物が、Mの酸化物あるいは炭酸塩と、窒化ケイ素と、Rの酸化物とを含む、上記(1)に記載の方法。
(7)前記前駆体化合物に含まれるMとSiの原子数の比(M/Si)が、0.05以上2以下である、上記(1)に記載の方法。
(8)前記前駆体化合物に含まれるMとSiの原子数の比(M/Si)が、0.4以上0.8以下であり、前記MSiと実質的に同一の結晶構造を有する結晶の含有量が全結晶相の80質量%以上である、上記(7)に記載の方法。
(9) 前記無機化合物に含まれる酸素と窒素の量が、
0.05 < O /(O + N) ≦ 0.40
の関係を満たす、上記(1)に記載の方法。
(10)前記無機化合物のRとMとSiとOとNとの元素の比が、組成式RSi(ただし、a+b+c+d+e=1)で表され、
0.00001 ≦ a ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(1)
0.01 ≦ b ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(2)
0.10 ≦ c ≦ 0.32・・・・・・・・・・・・・・(3)
0.05 ≦ d ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(4)
0.28 ≦ e ≦ 0.44・・・・・・・・・・・・・・(5)
以上の条件を全て満たす、上記(1)に記載の方法。
(11)前記還元窒化雰囲気は、アンモニアガス、または水素及び窒素の混合ガスを含む、上記(1)に記載の方法。
(12)前記還元窒化雰囲気は、炭化水素ガスを含む、上記(1)に記載の方法。
(13)前記還元窒化雰囲気は、アンモニアガスと、メタン及び/またはプロパンガスとの混合ガスを含む、上記(1)に記載の方法。
(14)前記加熱処理は、1000℃以上1800℃以下で行われる、上記(1)に記載の方法。
(15)前記前駆体化合物中の炭素元素の含有量が5質量%以下である、上記(1)に記載の方法。
(16)前記前駆体化合物に対して、前記還元窒化雰囲気中で加熱処理を施した後に、アンモニア中で熱処理を施す、上記(1)に記載の方法。
(17)前記無機化合物は、紫外線、可視光線、電子線、X線、電場から選ばれる励起源を照射することにより、450nmから700nmの範囲の波長にピークを持つ蛍光を発する、上記(1)に記載の方法。
(18)前記RがEuを含み、600nmから660nmの範囲の波長にピークを持つ橙色あるいは赤色の蛍光を発する、上記(17)に記載の方法。
本発明の製造方法により得られる無機化合物は、従来の材料より微細で高純度であり、不純物の混入による着色が殆どなく、蛍光体用途に適している。このような無機化合物の内、希土類元素などの発光中心を含むものはそれ自体で蛍光体となる。また、発光中心を含まないものは、後処理で発光中心を添加することにより蛍光体となるため、蛍光体用の原料として有用である。このようにして製造された蛍光体粉末は、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどにおいて好適であり、この種の分野における材料設計において、新規性のある有用な材料を提供した意義は大きいし、産業の発展に大いに寄与することが期待される。
以下に本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。
本発明では、前駆体化合物として、M、Si、Oの元素(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を少なくとも含み、必要に応じてRの元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、必要に応じてNの元素を含むものを使用する。
MおよびSiの元素は、光学用途のMSi無機結晶を構成する金属元素である。Rの元素は発光中心として働く金属元素であり、元素の種類によって励起特性や発光色が異なるので、用途により適するR元素を選定すると良い。前駆体を構成する元素のうち、RとMおよびSiの多くは焼成中に揮散することなく反応物中に残留する。一方、Oの一部は焼成中に雰囲気ガスと反応して反応物の外に取り除かれ、替わりに反応ガスからNが反応物中に導入される。このようにして、前駆体化合物からRとMとSiとOとN、またはMとSiとOとNからなる無機結晶が合成される。
MとしてSrを含むもの、すなわち合成物にSrSi結晶またはSrSi固溶体結晶を含むものは、紫外線、可視光または電子線で励起されて可視光を発する蛍光体となる。なかでもEuを固溶するものは、赤色を発光する蛍光体となり、青色光の励起によって高輝度に発光するので、特に白色LEDの用途に適している。
M元素を含有する酸化物または酸窒化物は、特に特定の化合物を規定しないが、MSiO結晶、MSiOの固溶体結晶、MSi結晶、MSiの固溶体結晶が生成する場合は、特に輝度が高く良質な蛍光体または蛍光体用のホスト結晶が得られる。
本発明によって得られる無機化合物は、MSiと実質的に同一の結晶構造を有する。本明細書において、“MSiと実質的に同一の結晶構造”とは、MSi結晶またはMSi固溶体結晶を意味する。合成物である窒化物または酸窒化物を主成分とする無機結晶の形態は問わないが、高輝度の蛍光体とする場合は粉末形態が望ましい。その粒度は、用途により異なるが、ナノ蛍光体とする場合は、出発原料として平均粒径(比表面積換算径)が20nm〜500nm程度のナノ粉末を用いるのがよい。通常の蛍光体である1μm〜10μmの粒径を得るには、50nm〜5μmの粒径の原料粉末を用いて、熱処理中に1μm〜10μmの粒径まで粒成長させることができる。また、熱処理後にさらに高温で熱処理を行うことにより粒成長処理を行ってもよい。ここで、比表面積換算径とは、粉体の比表面積をBET法により測定し、その値と同じ比表面積を与える球体の直径として定義される。
なお、本明細書において、平均粒径とは、以下のように定義される。粒子径は、沈降法による測定においては沈降速度が等価な球の直径として、レーザ散乱法においては散乱特性が等価な球の直径として定義される。また、粒子径の分布を粒度(粒径)分布という。粒径分布において、ある粒子径より大きい質量の総和が、全粉体のそれの50%を占める場合の粒子径が、平均粒径D50として定義される。この定義および用語は、いずれも当業者において周知であり、例えば、JISZ8901「試験用粉体及び試験用粒子」、または、粉体工学会編「粉体の基礎物性」(ISBN4−526−05544−1)の第1章等諸文献に記載されている。本発明においては、分散剤としてヘキサメタクリン酸ナトリウムを添加した水に試料を分散させ、レーザ散乱式の測定装置を使用して、粒子径に対する体積換算の積算頻度分布を測定した。なお、体積換算と重量換算の分布は等しい。この積算(累積)頻度分布における50%に相当する粒子径を求めて、平均粒径D50とした。以下、本明細書において、平均粒径は、上述のレーザ散乱法による粒度分布測定手段によって測定した粒度分布の中央価(D50)に基づくことに留意されたい。平均粒径を求める手段については、上述以外にも多様な手段が開発され、現在も続いている現状にあり、測定値に若干の違いが生じることもあり得るが、平均粒径それ自体の意味、意義は明確であり、必ずしも上記手段に限定されないことを理解されたい。
ここで、BET法は、1938年にBrunauer,Emmett,Tellerの3名が単分子層吸着理論であるLangmuir理論を多分子層吸着に拡張した、比表面積の計算方法である。分子は無限に積み重なって吸着できるものとし、吸着層間には相互作用がなく、各層においてLangmuir式が成立するものと仮定する。BET式は、Pが一定温度で吸着平衡状態であるときの吸着平衡圧、Poが吸着温度における飽和蒸気圧、Vが吸着平衡圧Pにおける吸着量、Vmが単分子層吸着量(気体分子が固定表面で単分子層を形成したときの吸着量)、CがBET定数(固体表面と吸着物質と間の相互作用に関するパラメータ)として、以下のように表される。
Figure 2008045080
具体的には、粉体の比表面積分析は、粉体粒子表面に吸着占有面積の判った分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める。最も良く利用されるのが不活性気体の低温低湿物理吸着によるものである。
前駆体化合物としては、Si含有化合物と、M含有化合物と、R含有化合物(ただし、Si含有化合物は、Siの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物の群から選ばれる1種または2種以上の化合物であり、M含有化合物は、Mの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物の群から選ばれる1種または2種以上の化合物であり、R含有化合物は、Rの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物の群から選ばれる1種または2種以上の化合物である)の混合体を用いることができる。なかでも、Mの酸化物あるいは炭酸塩と、窒化ケイ素と、Rの酸化物の組み合わせが、工業製品として入手しやすく、反応性に優れるため好ましい。ただし、本発明の前駆体化合物は、Si含有化合物、M含有化合物およびR含有化合物のうち少なくとも1つの化合物が酸化物、炭酸塩または酸窒化物のいずれかを含む。
前駆体中のOとNの比は最終製品の割合よりもOが多い組成とするのがよい。このようにして決められた組成の前駆体を焼成するにあたり、焼成反応の時間により制御してO/N比が所定の値となったところで反応を終了させることにより、所定の組成を得ることができる。
酸素の除去と窒素の導入は、処理温度、処理ガスの組成と流量、反応時間により制御し、合成物である窒化物または酸窒化物を主成分とする無機結晶中に含まれる酸素と窒素の量が、
0.05 < O /(O + N) ≦ 0.40
の関係を満たすまで処理を行うのがよい。これより酸素が多いと輝度が高く良質な蛍光体または蛍光体用のホスト結晶が得られ難い。これより酸素量が少ないと反応時に十分な量の液相成分が生成しないため結晶成長が十分に進まず良質な蛍光体または蛍光体用のホスト結晶が得られ難い。
前駆体化合物に含まれるMとSiの原子数の比(M/Si)は、0.05以上2以下での組成で良質な蛍光体が得られる。さらに好ましくは、前駆体化合物に含まれるMとSiの原子数の比(M/Si)が、0.4以上0.8以下の組成がよい。この範囲の組成では、生成物中のMSiと同一の結晶構造を有する結晶の含有量が生成物中の全結晶相の80質量%以上となり、特に高輝度の蛍光体が得られる。
合成物である無機化合物の組成は特に規定しないが、特に高輝度の蛍光体が得られる無機化合物は、RとMとSiとOとNとの元素の比が、組成式RSi(ただし、a+b+c+d+e=1)で表され、
0.00001 ≦ a ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(1)
0.01 ≦ b ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(2)
0.10 ≦ c ≦ 0.32・・・・・・・・・・・・・・(3)
0.05 ≦ d ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(4)
0.28 ≦ e ≦ 0.44・・・・・・・・・・・・・・(5)
以上の条件を全て満たす組成範囲である。
本発明では、前駆体化合物に対して還元窒化雰囲気中で加熱処理を施し、前駆体中の酸素含有量を減少させるとともに窒素含有量を増加させることにより、酸窒化物あるいは窒化物の無機結晶を生成させる還元窒化処理が行われる。
還元窒化処理に用いられる雰囲気ガスは、窒素元素を含むガス及び水素や炭化水素などの還元性ガスの混合ガスとすることができる。アンモニアガスまたはアンモニアガスと炭化水素ガスの混合ガスが好ましい。また必要に応じて、窒素ガスや希ガス(例えば、アルゴンガス)など比較的不活性なガスとの混合ガスとすることができる。アンモニアガスを用いた場合は、アンモニア中の水素が前駆体中の酸素を除去し、アンモニア中の窒素が替わりに前駆体に取り込まれると考えられる。アンモニアガスと炭化水素ガスの混合ガスを用いた場合は、炭化水素ガスと前駆体中の酸素が反応してHOやCOとして取り除かれ、アンモニア中の窒素が替わりに前駆体に取り込まれると考えられる。尚、雰囲気ガスの圧力は通常大気圧であるが、還元窒化雰囲気中で加熱処理は、減圧下若しくは加圧下で行ってもよい。
炭化水素ガスとしては、反応条件で気体であることが必要であり、メタン、エタン、プロパン、ブタンやLNGから得られるガスなどの短鎖の炭化水素ガスが用いられる。混合ガス中のアンモニアに対する炭化水素の割合は、3容積%以下が望ましい。3容積%を超えると焼成中に炭素が析出して粉体中に残留するおそれがある。最適なガスの流速は反応容器によって異なるが、0.01〜0.1m/秒が一般には好ましい値と考えられる。反応温度は、1000℃〜1800℃(1000℃以上1800℃以下)、望ましくは1200℃〜1600℃である。この温度範囲内で、低温で焼成すると微細な粉末が得られ、高温で焼成するとやや粒径が大きい結晶性が良い粉末が得られ易い。反応時間は原料粉末の組成や種類によって異なるが、ガス還元窒化による酸素量減少と窒素量増加が目的とする無機結晶の理論値となったところで終了するのがよい。典型的な反応時間は0.5〜5時間とするのが好ましい。
還元反応を促進するために、前駆体に炭素を混合することができる。しかし、炭素量が多すぎると最終製品に残存するため好ましくない。前駆体中の炭素元素の含有量が5質量%以下であると残存量が少ないため高輝度の蛍光体が得られる。
前駆体化合物あるいは、前駆体化合物の還元窒化処理物に多くの炭素が残存する場合は、さらにアンモニア中で熱処理を施すことにより、無機化合物に含まれる炭素を減少させる処理を施すことができる。アンモニアガスと処理物中の炭素が反応して炭素成分がガスとして外部に除去されることにより、炭素残残量が低下する。一般的な処理温度は、1400℃から1600℃である。
本発明では必要に応じて、ガス還元窒化反応を促進するために、前駆体化合物に、カルシウム、カリウム、アルミニウムから選ばれる元素のフッ化物、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩の1種または2種以上の反応促進剤を添加した後に還元窒化雰囲気中で加熱処理を施すことができる。これらの反応促進剤は高温で液相を生成して拡散が活発になるため反応が効率よく進む。また、粒成長も促進されるため、特に大きな粒径の粉末を製造する場合はこれらの反応促進剤を添加すると良い。上記の反応促進剤のなかでも、フッ化カルシウム(CaF)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化アルミニウム(AlF)、塩化アルミニウム(AlCl)が効果が大きい。反応促進剤の添加割合は、前駆体化合物100gに対して0.5gから20gの範囲がよい。0.5gより少ないと反応促進効果が少なく、20gより多いと他の組成物ができ易くなるため好ましくない。また、必要に応じて反応後に、反応促進剤を溶解する溶剤(水、有機溶剤、酸)で処理することができる。なかでもフッ化水素酸、硫酸、塩酸、硝酸の1種または2種以上の混合物の水溶液は反応促進剤の除去効果が高い。
次に本発明を以下に示す実施例によってさらに詳しく説明するが、これはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示したものである。従って、本発明が、これらの実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
[前駆体化合物の準備]
混合に用いた原料粉末は、炭酸カルシウム(CaCO;高純度科学研究所製)粉末と、炭酸ストロンチウム(SrCO;高純度科学研究所製)粉末と、炭酸バリウム(BaCO;高純度科学研究所製)粉末と、酸化ユーロピウム(Eu;純度99.9%、信越化学工業(株)製)と、比表面積11.2m/gの粒度の、酸素含有量1.29重量%、α型含有量95%の窒化ケイ素粉末(宇部興産(株)製のSN−E10グレード)である。
Eu(Ca、Sr、Ba)Siの組成の前駆体化合物を得るべく、表1に示す設計組成となるように、酸化ユーロピウムと炭酸カルシウムと炭酸ストロンチウムと炭酸バリウムと窒化ケイ素粉末を、表2の混合組成に従って秤量した。秤量した粉末を窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒を用いて手で10分間混合した。
Figure 2008045080
Figure 2008045080
[実施例1]
表1の組成物1に示すセラミックス混合粉末を得るべく、セラミックス原料粉末を表2の組成物1の割合で混合し、前駆体粉末を得た。次に、この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量300ml/分で導入し、500℃/時の速度で1400℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。
得られた合成物は原料粉末の形態を保っており、メノウ乳鉢で簡単にほぐすことができた。この粉末のX線回折測定を行った。得られたX線回折パターン(図1)を調べた結果、SrSi、β−SrSiO、α―SrSiO、SrSi、SiOが含まれていた。それぞれのX線回折結果の最高ピークの高さから求めた結晶相の含有量は、SrSi:30質量%、β−SrSiO:30質量%、α―SrSiO:20質量%、SrSi:10質量%、SiO:10質量%であった。また、得られた合成物を目視にて観察したところ白色であった。
日立製作所製蛍光分光光度計F4500型を用いて、合成物の励起スペクトルと蛍光スペクトルを測定した(図2)。励起スペクトルから、250nmから550nmの範囲の紫外線および可視光で励起することが可能であり、440nmで最も効率よく励起できることがわかる。これらの光で励起すると、620nmにピークを持つ橙色の蛍光を発する。このときの発光強度は2404任意単位であった。なお、発光強度は装置依存の任意単位であり、本特許の中だけで比較が可能である。発光色のCIE1931色度座標は、x=0.627、y=0.371であった。
[実施例2〜5]
SiとSrの比について検討した。実施例1の手順に従い、表3に示す組成(Sr/Si比が異なる。表1及び2の組成物1〜5。)の前駆体の還元窒化反応処理を行ったところ、表3に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表3に示す通りであった。実施例2、実施例3、実施例4、実施例5のX線回折結果を、それぞれ、図3、図4、図5、図6に示す。実施例2、実施例3、実施例5の蛍光測定結果を、それぞれ、図7、図8、図9に示す。ただし、表3において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例6〜9]
合成温度について検討した。組成物6の前駆体について還元窒化反応処理を行った。この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量300ml/分で導入し、500℃/時の速度で表4に示す温度(実施例6:1335℃、実施例7:1385℃、実施例8:1485℃、実施例9:1500℃)まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。これにより、表4に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表4に示す通りであった。実施例7、実施例8、実施例9のX線回折結果を、それぞれ、図10、図11、図12に示す。実施例6、実施例7、実施例8、実施例9の蛍光測定結果を、それぞれ、図13、図14、図15、図16に示す。ただし、表4において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例10]
還元窒化処理を施した合成物を、再度アンモニア雰囲気中で加熱処理する工程を検討した。組成物6の前駆体について還元窒化反応処理を行った。この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量300ml/分で導入し、500℃/時の速度で1500℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。
得られた粉末を乳鉢と乳棒で粉砕し、以下の工程にて再度加熱処理(アニール処理)を施した。ます、この粉砕粉末を窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量300ml/分で導入し、500℃/時の速度で1500℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。
これにより、表5に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表5に示す通りであった。アニール処理前のX線回折結果を図17に、アニール後X線回折結果を図18に示す。アニール処理によりSrSi以外の相が減少することが確認された。アニール後の蛍光測定結果を図19に示す。また、大塚電子のMCPD7000を用いてこの粉末の外部量子効率を測定したところ67%であった。ただし、表5において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例11〜14]
アルカリ土類金属(Sr、Ca、Ba)について組成を変えた場合について検討した。組成物6〜組成物9の前駆体(実施例11:組成物6、実施例12:組成物7、実施例13:組成物8、実施例14:組成物9)について還元窒化反応処理を行った。この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量300ml/分で導入し、500℃/時の速度で1400℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。これにより、表6に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表6に示す通りであった。実施例12、実施例13、実施例14のX線回折結果を、それぞれ、図20、図21、図22に示す。実施例12、実施例13、実施例14の蛍光測定結果を、それぞれ、図23、図24、図25に示す。ただし、表6において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例15〜19]
Eu元素の添加量について検討した。組成物10〜組成物14の前駆体(実施例15:組成物10、実施例16:組成物11、実施例17:組成物12、実施例18:組成物13、実施例19:組成物14)について還元窒化反応処理を行った。この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。炉心管の一端よりアンモニアガスを流量300ml/分で導入し、500℃/時の速度で1400℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。これにより、表7に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表7に示す通りであった。実施例15、実施例17、実施例18、実施例19のX線回折結果を、それぞれ、図26、図27、図28、図29に示す。実施例15、実施例16、実施例17、実施例18、実施例19の蛍光測定結果を、それぞれ、図30、図31、図32、図33、図34に示す。ただし、表7において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例20〜22]
ガスの種類について検討した。組成物6の前駆体について還元窒化反応処理を行った。この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。実施例20においては、95%窒素−5%水素混合ガスを流量300ml/分で導入した。実施例21においては、アンモニアガスを流量300ml/分で導入した。実施例22においては、アンモニアガスを流量580ml/分とメタンガスを流量0.2ml/分の混合ガスを導入した。その後、雰囲気ガスを流しながら、500℃/時の速度で1400℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。これにより、表8に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表8に示す通りであった。実施例20、実施例21、実施例22のX線回折結果を、それぞれ、図35、図36、図37に示す。実施例20、実施例21、実施例22の蛍光測定結果を、それぞれ、図38、図39、図40に示す。ただし、表8において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例23]
メタンを含むガスで還元窒化した場合の、再加熱処理(アニール処理)について検討した。組成物6の前駆体について還元窒化反応処理を行った。この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。アンモニアガス流量1200ml/分とメタンガス流量1.2ml/分の混合ガスを導入した。その後、雰囲気ガスを流しながら、500℃/時の速度で1400℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。その後、乳鉢と乳棒で粉砕した。
この粉砕粉末に再加熱処理(アニール処理)を施した。約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。アンモニアガス流量1200ml/分を導入した。その後、雰囲気ガスを流しながら、500℃/時の速度で1450℃まで昇温した。当温度で6時間あるいは24時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。
これにより、表9に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表9に示す通りであった。1400℃焼成物、1450℃でアニール6時間処理後、1450℃でアニール24時間処理後のX線回折結果を、それぞれ、図41、図42、図43に示す。1400℃焼成後、1450℃6時間熱処理後、1450℃24時間熱処理後の蛍光測定結果を、それぞれ、図44、図45、図46に示す。メタンを含む雰囲気で還元窒化の後に、アンモニア中で熱処理することにより、蛍光輝度が向上した。熱処理により粉体の色が白く変化したことから、原料に残存する炭素がアンモニア処理で除去されたと考えられる。24熱処理後の外部量子効率は64%であった。ただし、表9において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例24〜27]
組成物15〜組成物18の前駆体(実施例24:組成物15、実施例25:組成物16、実施例26:組成物17、実施例27:組成物18)について還元窒化反応処理を行った。この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。アンモニアガス流量300ml/分を導入した。その後、雰囲気ガスを流しながら、500℃/時の速度で1400℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。これにより、表10に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表10に示す通りであった。ただし、表10において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例28]
実施例24と同じ組成物15の前駆体について還元窒化反応処理を行った。この前駆体粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。アンモニアガス流量1200ml/分とメタンガス流量1.2ml/分の混合ガスを導入した。その後、雰囲気ガスを流しながら、500℃/時の速度で1400℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。その後、乳鉢と乳棒で粉砕した。
この粉砕粉末約1gを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。アンモニアガス流量1200ml/分を導入した。その後、雰囲気ガスを流しながら、500℃/時の速度で1450℃まで昇温した。当温度で4時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。これにより、表11に示す相を持つ粉末が得られた。蛍光特性は表11に示す通りであった。ただし、表11において、最大励起波長と最大発光波長の単位は、nmであり、励起強度と発光強度の単位は、任意単位であり、色座標は、CIE1931規格によるx値とy値であり、相の量は、X線回折のそれぞれの相の最強ピークの強度比から計算した値である。
Figure 2008045080
[実施例29]
組成物1の前駆体1gに炭素粉末0.2gを添加したものを窒化ホウ素製のボートに入れて、内径24mmのアルミナ炉心管中に置いて、炉心管の外部に発熱体を有する管状炉にセットした。アンモニアガス流量300ml/分を導入し、その後、雰囲気ガスを流しながら、500℃/時の速度で1400℃まで昇温した。当温度で2時間保持したのち、アンモニア気流中で室温まで冷却した。その後、乳鉢と乳棒で粉砕した。合成物は灰色であり炭素が残存していた。X線回折測定によれば、結晶相はSrSiが100%であった。励起スペクトルのピーク波長は441nmであった。発光スペクトルのピークは630nmであり、2700の強度であった。尚、この合成物にアンモニア中でのさらなる熱処理を行うことによって、残存した炭素を減少させることができ得る。
本発明の製造方法によれば、不純物の混入による着色の殆どない窒化物または酸窒化物を含む蛍光体またはその光学用途に適した無機化合物が容易に得られるので、産業上好ましい。また、本発明の製造方法によって得られる無機化合物は、VFD、FED、PDP、CRT、白色LED等の蛍光体材料が適用される用途に適用され得る。
実施例1の合成物のX線回折パターンである。 実施例1の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例2の合成物のX線回折パターンである。 実施例3の合成物のX線回折パターンである。 実施例4の合成物のX線回折パターンである。 実施例5の合成物のX線回折パターンである。 実施例2の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例3の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例5の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例7の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例8の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例9の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例6の合成物のX線回折パターンである。 実施例7の合成物のX線回折パターンである。 実施例8の合成物のX線回折パターンである。 実施例9の合成物のX線回折パターンである。 実施例10のアニール処理前の合成物のX線回折パターンである。 実施例10のアニール処理後の合成物のX線回折パターンである。 実施例10のアニール処理後の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例12の合成物のX線回折パターンである。 実施例13の合成物のX線回折パターンである。 実施例14の合成物のX線回折パターンである。 実施例12の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例13の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例14の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例15の合成物のX線回折パターンである。 実施例17の合成物のX線回折パターンである。 実施例18の合成物のX線回折パターンである。 実施例19の合成物のX線回折パターンである。 実施例15の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例16の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例17の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例18の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例19の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例20の合成物のX線回折パターンである。 実施例21の合成物のX線回折パターンである。 実施例22の合成物のX線回折パターンである。 実施例20の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例21の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例22の合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例23の1400℃で焼成した合成物のX線回折パターンである。 実施例23の1450℃で6時間アニール処理した合成物のX線回折パターンである。 実施例23の合成物の1450℃で24時間アニール処理した合成物のX線回折パターンである。 実施例23の1400℃で焼成した合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例23の1450℃で6時間アニール処理した合成物の励起・蛍光スペクトルである。 実施例23の合成物の1450℃で24時間アニール処理した合成物の励起・蛍光スペクトルである。

Claims (18)

  1. M、Si、Oの元素(ただし、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)を含み、必要に応じてRの元素(ただし、Rは、Mn、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)及び/またはNの元素を含む、前駆体化合物に対して、還元窒化雰囲気中で加熱処理を施す、MSiと実質的に同一の結晶構造を有する結晶を含有する無機化合物を製造する方法。
  2. 前記無機化合物は、M元素を含有する酸化物または酸窒化物のうち1種または2種以上の結晶を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記M元素を含有する酸化物または酸窒化物は、MSiO結晶、MSiOの固溶体結晶、MSi結晶、MSiの固溶体結晶のうちの1種または2種以上を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記MがSrを含み、前記RがEuを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記前駆体化合物が、Si含有化合物(ただし、Si含有化合物は、Siの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物のうちの1種または2種以上の化合物)と、M含有化合物(M含有化合物は、Mの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物のうちの1種または2種以上の化合物)と、R含有化合物(R含有化合物は、Rの単体金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物のうちの1種または2種以上の化合物)とを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記前駆体化合物が、Mの酸化物あるいは炭酸塩と、窒化ケイ素と、Rの酸化物とを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記前駆体化合物に含まれるMとSiの原子数の比(M/Si)が、0.05以上2以下である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記前駆体化合物に含まれるMとSiの原子数の比(M/Si)が、0.4以上0.8以下であり、前記MSiと実質的に同一の結晶構造を有する結晶の含有量が全結晶相の80質量%以上である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記無機化合物に含まれる酸素と窒素の量が、
    0.05 < O /(O + N) ≦ 0.40
    の関係を満たす、請求項1に記載の方法。
  10. 前記無機化合物のRとMとSiとOとNとの元素の比が、組成式RSi(ただし、a+b+c+d+e=1)で表され、
    0.00001 ≦ a ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(1)
    0.01 ≦ b ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(2)
    0.10 ≦ c ≦ 0.32・・・・・・・・・・・・・・(3)
    0.05 ≦ d ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(4)
    0.28 ≦ e ≦ 0.44・・・・・・・・・・・・・・(5)
    以上の条件を全て満たす、請求項1に記載の方法。
  11. 前記還元窒化雰囲気は、アンモニアガス、または水素及び窒素の混合ガスを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記還元窒化雰囲気は、炭化水素ガスを含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記還元窒化雰囲気は、アンモニアガスと、メタン及び/またはプロパンガスとの混合ガスを含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記加熱処理は、1000℃以上1800℃以下で行われる、請求項1に記載の方法。
  15. 前記前駆体化合物中の炭素元素の含有量が5質量%以下である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記前駆体化合物に対して、前記還元窒化雰囲気中で加熱処理を施した後に、アンモニア中で熱処理を施す、請求項1に記載の方法。
  17. 前記無機化合物は、紫外線、可視光線、電子線、X線、電場から選ばれる励起源を照射することにより、450nmから700nmの範囲の波長にピークを持つ蛍光を発する、請求項1に記載の方法。
  18. 前記RがEuを含み、600nmから660nmの範囲の波長にピークを持つ橙色あるいは赤色の蛍光を発する、請求項17に記載の方法。

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