JP2017186459A - 窒化物蛍光体粉末およびその製造方法 - Google Patents

窒化物蛍光体粉末およびその製造方法 Download PDF

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拓馬 酒井
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Abstract

【課題】 蛍光ピーク波長が630〜660nmの広い発光ピーク波長において、実用に値する高効率な窒化物蛍光体を提供する。
【解決手段】 Liを含有し、Li含有量が30ppm以下であり、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物を構成する少なくとも一部の粒子の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が存在する窒化物蛍光体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、紫外から青色の光源に好適な、希土類金属元素で賦活された窒化物蛍光体粉末とその製造方法に関するものである。具体的には、蛍光ピーク波長が620〜680nmの範囲で、実用的な外部量子効率および蛍光強度を示す窒化物蛍光体粉末およびその製造方法に関するものである。
近年、青色発光ダイオード(LED)が実用化されたことにより、この青色LEDを利用した白色発光ダイオード(白色LED)の開発が精力的に行われている。白色LEDは、既存の白色光源に較べ消費電力が低く、長寿命であるため、液晶パネル用バックライト、室内外の照明機器等への用途展開が進行している。
従来、白色LEDは、青色光を放出する半導体発光素子と黄色の蛍光体とを組み合わせて、青色と黄色との混色により白色光を得る二色混色タイプのものが広く利用されている。しかしながら、この二色混色タイプの白色LEDが発する白色光は、演色性が悪いという問題がある。このため、別の構成として、青色光を発光する半導体発光素子と、緑、赤の2種類の蛍光体を組み合わせて、半導体発光素子からの光で、それぞれの蛍光体を励起することによって、青、緑、赤の混色で白色光を得る三色混色タイプの白色LEDの開発が行なわれている。
これに対して、赤色発光を示す蛍光体として、種々の組成の赤色蛍光体が開発されている。例えば特許文献1〜6には、LED等に使用される赤色蛍光体として、CaAlSiN:Eu、(Ca、Sr、Ba)Si:Eu、SrAlSi:Eu、Ceの蛍光体が記載されている。
特に、特許文献3には、ストロンチウム(Sr)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ユーロピウム(Eu)、窒素(N)からなり、Sr1−xAlSi:Euで表されることを特徴とする赤色発光窒化物蛍光体が開示されており、具体的には、Sr0.97AlSi:Eu0.03(x=0.03)の赤色発光窒化物蛍光体が、650nm付近に発光ピーク波長を示すことが記載されている。
特許文献4には、化学式M1−y1+xSi4−x7−x−2yx+2y:REの材料であって、MがBa、Sr、Ca、Mg及びこれらの混合物を含む群から選択され、AがAl、Ga、B及びこれらの混合物を含む群から選択され、REが希土類金属、Y、La、Sc及びこれらの混合物を含む群から選択され、xが0以上且つ1≦、及びyが0以上且つ0.2≦である、材料が開示されており、具体的には、SrAlSi:Eu(3%)が、発光ピーク波長634nmを示すことが記載されている。
特許文献5には、一般式M:Zで表記される蛍光体であって(M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は1種類以上の付活剤である。)、a=(1+x)×m、b=(4−x)×m、o=x×m、n=(7−x)×m、0≦x≦1で表され、波長300nmから500nmの範囲の光で励起したとき、発光スペクトルにおけるピーク波長が500nmから620nmの範囲にあることを特徴とする蛍光体が開示されており、具体的には、SrAl1+xSi4−x7−x:Ce(但し、Ce/(Sr+Ce)=0.030)にて、xを0から1まで変化させた蛍光体が、波長460nmの単色光で励起した場合、発光ピーク波長556.6〜562.2nmを示すこと、さらに、SrAl1.25Si3.750.256.75:Eu(但し、Eu/(Sr+Eu)=0.030)である蛍光体が、波長460nmの単色光で励起した場合、発光ピーク波長597.1nmを示すことが記載されている。
特許文献6には、化学式がM1−y4−x1+x7−x:Ryで、式中、Mがアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移金属のうちの1種または複数種で、AがSi、Ge、B、Alのうちの1種または複数種であり且つSiを含み、ZがAl、Ga、In元素のうちの1種または複数種であり且つAlを含み、Rが発光中心元素Eu、Ce、Tb、Yb、Sm、Pr、Dyのうちの1種または複数種であり、0≦x<0.5、0<y<1.0である酸窒化物発光材料が開示されており、具体的には、MがSrを必須とするM1−ySi4−xAl1+x7−x:Ceの酸窒化物発光材料が、波長450nmで励起した場合、発光ピーク波長562〜580nmを示すこと、さらに、MがSrを必須とするM1−ySi4−xAl1+x7−x:Euの酸窒化物発光材料が、波長460nmで励起した場合、発光ピーク波長621〜638nmを示すことが記載されている。
しかしながら、特許文献3〜6に開示されている窒化物蛍光体の蛍光強度は実用レベルでは十分では無く、また、具体的な量子効率は示されておらず、実用可能な発光効率を有しているかは明らかでない。
特開2005−235934号公報 特開2003−321675号公報 特開2008−150549号公報 特表2010−518194号公報 WO2007/037059号公報 特表2013−539490号公報
高演色で且つ高効率の白色LEDを得る目的で、実用に値する高輝度な赤色蛍光体が求められているにもかかわらず、以上のように、蛍光ピーク波長が630〜660nmの広い発光ピーク波長において、実用に値する高効率な赤色蛍光体は知られていない。
本発明は、630〜660nmの蛍光ピーク波長を有する窒化物蛍光体について、従来よりも外部量子効率が高い窒化物蛍光体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、Liを含有し、Li含有量が30ppm以下であり、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物を構成する少なくとも一部の粒子の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が存在する窒化物蛍光体が、ピーク波長が630nmから660nmの広い波長域で蛍光を発し、その際の外部量子効率が特に大きいことを見出し、本発明に至った。
特に、本発明は、Liを含有し、Li含有量が30ppm以下であり、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物を構成する少なくとも一部の粒子の表面に、ICSD番号:421689番と同一の電子線回折パターンを有する酸窒化物結晶層が形成されている窒化物蛍光体に関する。
特に、本発明は、Li含有量が10ppm以下である前記窒化物蛍光体に関する。また、前記酸窒化物結晶層の厚みが100nm〜1μmである前記窒化物蛍光体に関する。
また、本発明は、発光素子と前記窒化物蛍光体を備えた発光装置に関する。
特に、本発明は、前記発光素子が発光ダイオード素子またはレーザーダイオード素子である発光装置に関する。
本発明によれば、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物蛍光体であり、前記窒化物蛍光体のLi含有量が0<Li≦30ppmであり、前記窒化物蛍光体粉末の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が存在する窒化物蛍光体が、ピーク波長が630nmから660nmの広い波長域で蛍光を発し、その際の外部量子効率が特に大きいことを見出し、本発明に至った。
図1は実施例1と比較例1の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 図2は実施例1の表面層部分の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
1.蛍光体
本発明は、Liを含有し、Li含有量が30ppm以下であり、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物を構成する少なくとも一部の粒子の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が存在する窒化物蛍光体粉末で、ピーク波長が630nmから660nmの広い波長域で蛍光を発し、その際の外部量子効率が特に大きい、窒化物蛍光体粉末に関するものである。
本発明のNdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層は、ICSD番号:421689番と同一の電子線回折パターンを有する酸窒化物結晶層である。
一般式Sr1−xEuAlSi(Euは賦活元素)で表される窒化物蛍光体は、発光ピーク波長650nm程度の赤色発光を示すことが知られていたが、その発光強度は十分では無く、実用レベルの量子効率を示す蛍光体では無かった。
発明者は、M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物蛍光体、及びその製造方法について鋭意検討した結果、一定量のLiが存在する条件下で熱処理を行うことにより、Liを含有し、Li含有量が30ppm以下であり、M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物を構成する粒子の少なくとも一部の粒子の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が存在する酸窒化物結晶層が形成されることで、発光効率が大幅に向上することを見出したものである。
次に、本発明の窒化物蛍光体粉末について具体的に説明する。
本発明の窒化物蛍光体粉末は、M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表わされる窒化物を有する。ユーロピウム(Eu)は賦活剤であり、蛍光体中で発光原子として発光する性質を有する。蛍光体中のEuのモル比、すなわち上記xの値は、0<x<0.10の範囲内である。x≧0.10となると、発光原子が高濃度になり互いに近接して発光を打ち消し合うため、発光強度が弱く成り易い。xは0<x<0.095であることが好ましく、特に、0<x≦0.075の範囲内では、より高い外部量子効率が得られるため好ましい。
本発明の窒化物蛍光体粉末は、M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)表わされる窒化物を有する。MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であるが、好ましくは、Srを必須元素として含むことが好ましい。Srを必須元素として含む場合には、蛍光強度が高く成り易く、好ましい。また、Srは、Sr/(Ca+Sr+Ba)≧0.6となるように、含有することが好ましい。Sr/(Ca+Sr+Ba)≧0.6とした場合には、蛍光強度はより高くなり好ましい。
また、本発明の窒化物蛍光体粉末は、前記窒化物を構成する少なくとも一部の粒子の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が形成されている。NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶相とは、ICSD Collection Code:421689に示されている結晶構造を示す。前記酸窒化物結晶層の結晶構造は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた、電子線回折パターンから求めることができる。また、前記酸窒化物結晶層の構成元素は、TEMを用いたエネルギー分散型X線(EDS)分析にて確認することが出来る。確認された構成元素及び結晶構造から、本発明の窒化物粉末を構成する少なくとも一部の粒子の表面に形成された酸窒化物結晶層は、ICSD番号:421689番と同一の電子線回折パターンを有する結晶層であり、一般式(Sr、Eu)Si5.6Al1.40.49.6であることが分かった。
酸窒化物蛍光体粉末に含まれるLi含有量(全Li含有量)は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いて定量分析することが出来る。酸窒化物蛍光体粉末をリン酸、過塩素酸、硝酸、フッ化水素酸にて加熱分解、純水にて定容し、ICP−AESにて定量分析することで、Li含有量を求めることができる。
本発明では、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物焼成物を作製した後、Liが存在する条件下で熱処理を行う。熱処理により、前記一般式で表わされる窒化物の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が形成される。また、本発明の窒化物蛍光体粉末には、Liが含まれているが、含有量が少ないため、存在箇所を特定することは困難である。しかし、窒化物焼成物を形成した後に、Liが存在する条件下で熱処理を行っていることから、窒化物蛍光体粉末の表面近傍、又は、窒化物蛍光体粉末表面に形成されている酸窒化物結晶層内に存在していると推察される。つまり、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物蛍光体の結晶格子内には殆ど存在しておらず、粒子表面近傍に多く存在している。
窒化物蛍光体に含まれるLi含有量は、30ppm以下である。30ppm以下である場合には、外部量子効率が大きくなり易い。特に、Li含有量が10ppm以下であることが好ましく、10ppm以下である場合には、外部量子効率が特に大きくなる。
本発明においては、前記NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層の厚みが100nm〜1μmであることが好ましい。この場合には、外部量子効率が大きくなり易い。
本発明の窒化物蛍光体粉末を白色LED用蛍光体として好適に使用するためには、粒度分布曲線における50%径であるD50が10.0〜30.0μmであり、かつ、比表面積は0.2〜0.6m/gであることが好ましい。D50が10.0μmより小さく、また、比表面積が0.6m/gより大きい場合は、発光強度が低くなることがあり、D50が30.0μmより大きく、また、比表面積が0.2m/gより小さい場合は、蛍光体を封止する樹脂中に均一分散し難くなって、白色LEDの色調にバラツキを生じることがあるからである。
酸窒化物蛍光体粉末のD50は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した粒度分布曲線における50%径である。また、酸窒化物蛍光体粉末の比表面積は、島津社製フローソーブ2300型比表面積測定装置(窒素ガス吸着法によるBET法)で測定することができる。
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、450nmの波長域の光の励起によって、ピーク波長が630nmから660nmの波長域にある蛍光を発することができ、その際の外部量子効率は50%以上を示す。これにより、本発明の窒化物蛍光体粉末では、青色の励起光により長波の赤色蛍光を効率的に得ることができ、また、励起光として用いる青色光との組み合わせで、演色性が良好な白色光を効率的に得ることができる。
蛍光ピーク波長は、日本分光社製FP6500に積分球を組み合わせた固体量子効率測定装置により測定することができる。蛍光スペクトル補正は、副標準光源により行うことができるが、蛍光ピーク波長は、用いる測定機器や補正条件によって若干の差を生じることがある。
また、外部量子効率は、日本分光社製FP6500に積分球を組み合わせた固体量子効率測定装置により、吸収率および内部量子効率を測定し、それらの積から算出することができる。
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、公知の発光ダイオード等の発光源と組み合わせられて、発光素子として各種照明器具に用いることができる。
特に、励起光のピーク波長が330〜500nmの範囲にある発光源は、本発明の酸窒化物蛍光体粉末に好適である。紫外領域では、酸窒化物蛍光体粉末の発光効率が高く、良好な性能の発光素子を構成することが可能である。また、青色の光源でも発光効率は高く、本発明の窒化物蛍光体粉末の赤色の蛍光、緑色蛍光体粉末の緑色の蛍光と青色の励起光との組み合わせで、良好な昼白色〜昼光色の発光素子を構成できる。
2.蛍光体の製造方法
本発明の蛍光体は、例えば、ケイ素源物質と、アルミニウム源物質と、M源(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素)物質と、ユーロピウム源物質を混合して混合原料を調製し、該混合原料を得る工程(混合工程)と、前記混合原料を、不活性ガス雰囲気中、又は、還元性ガス雰囲気中で焼成する工程(焼成工程)と、得られた中間物としてのM1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物焼成物にLi源を添加混合してLi含有窒化物焼成物を調製し、不活性ガス雰囲気中、又は、還元性ガス雰囲気中、1450℃以上の温度で、前記混合原料を焼成する際の焼成温度より低い温度で熱処理する工程(熱処理工程)と、必要に応じて、粉砕、分級工程とを備える製造方法によって製造することができる。
原料のケイ素源物質は、ケイ素の窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。特に、窒化ケイ素粉末が好ましく、外部量子効率が高い窒化物蛍光体を得ることが出来る。さらに、非晶質Si−N(−H)系化合物がより好ましく、外部量子効率がより高い窒化物蛍光体を得ることが出来る。
前記非晶質Si−N(−H)系化合物とは、シリコンジイミド、シリコンテトラアミド、シリコンクロルイミド等の含窒素シラン化合物の一部又は全てを加熱分解して得られるSi、N及びHの各元素を含む非晶質のSi−N−H系化合物、又は、Si及びNを含む非晶質窒化ケイ素のことであり、以下の組成式(1)で表される。なお、本発明においては、非晶質Si−N(−H)系化合物は、以下の組成式(1)において、x=0.5で表されるSi(NH)10.5からx=4で表される非晶質Siまでの一連の化合物を総て包含しており、x=3で表されるSi(NH)はシリコンニトロゲンイミドと呼ばれている。
Si2x(NH)12−3x(ただし、式中x=0.5〜4であり、組成式には明記しないが、不純物としてハロゲンを含有する化合物を含む)・・・・(1)
本発明における含窒素シラン化合物としては、シリコンジイミド、シリコンテトラアミド、シリコンクロルイミド等が用いられる。これらの化合物は以下の組成式(2)で表される。本発明においては、便宜的に、以下の組成式(2)においてy=8〜12で表される含窒素シラン化合物をシリコンジイミドと表記する。
Si(NH)(NH24−2y(ただし、式中y=0〜12であり、組成式には明記しないが、不純物としてハロゲンを含有する化合物を含む)・・・・(2)
これらは、公知方法、例えば、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハロゲン化ケイ素とアンモニアとを気相で反応させる方法、液状の前記ハロゲン化ケイ素と液体アンモニアとを反応させる方法等によって製造される。
また、本発明における非晶質Si−N(−H)系化合物としては、公知方法、例えば、前記含窒素シラン化合物を窒素又はアンモニアガス雰囲気下に1200℃以下の温度で加熱分解する方法、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハロゲン化ケイ素とアンモニアとを高温で反応させる方法等によって製造されたものが用いられる。
本発明での窒化ケイ素粉末の原料である非晶質Si−N(−H)系化合物の比表面積は、300〜1200m/gである。比表面積が300m/gよりも小さいと、1000〜1400℃の温度範囲で急激な結晶化が起こり、針状粒子や凝集粒子が生成してしまい、蛍光体粉末の粒度制御が困難となるとともに、蛍光特性が劣化する。
原料のアルミニウム源物質としては、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、金属アルミニウムが挙げられ、これらの粉末の夫々を単独で使用しても良く、併用しても良い。
原料のM源(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素)物質は、Mの窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。これらの粉末の夫々を単独で使用しても良く、併用しても良い。
MがCaの場合には、原料のカルシウム源物質は、カルシウムの窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。これらの粉末の夫々を単独で使用しても良く、併用しても良い。
MがSrの場合には、原料のストロンチウム源となる物質は、ストロンチウムの窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。これらの粉末の夫々を単独で使用しても良く、併用しても良い。
MがBaの場合には、原料のバリウム源となる物質は、バリウムの窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。これらの粉末の夫々を単独で使用しても良く、併用しても良い。
原料のユーロピウム源物質は、ユーロピウムの窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。
焼成においては、焼結を促進し、より低温でM1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物蛍光体を生成させることを目的に、焼結助剤となるLi含有化合物を添加することが好ましい。用いるLi含有化合物としては、酸化リチウム、炭酸リチウム、金属リチウム、窒化リチウムが挙げられ、これらの粉末の夫々を単独で使用しても良く、併用しても良い。また、Li含有化合物の添加量は、混合原料中のアルミニウム源物質1molに対して、Li元素として0.01〜0.4molが適当である。焼成時に添加されるLi含有化合物は加熱分解し、さらに、生成したLi分解物は、融解、蒸発しやすく、生成した窒化物焼成物中には殆ど含まれていない。
ケイ素源物質と、アルミニウム源物質と、M源(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素)物質と、ユーロピウム源物質を混合する方法については、特に制約は無く、それ自体公知の方法、例えば、乾式混合する方法、原料各成分と実質的に反応しない不活性溶媒中で湿式混合した後に溶媒を除去する方法などを採用することができる。混合装置としては、V型混合機、ロッキングミキサー、ボールミル、振動ミル、媒体攪拌ミルなどが好適に使用される。
ケイ素源物質と、アルミニウム源物質と、M源(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素)物質と、ユーロピウム源物質との混合物を、不活性ガス雰囲気中、又は、還元ガス雰囲気中で焼成することで、前記組成式で表される窒化物焼成物を得ることができる。焼成温度としては、1500℃〜2000℃が好ましい。1500℃より低いとM1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物焼成物の生成に長時間の加熱を要し、実用的ではない。2000℃より高いと窒化ケイ素および窒化物焼成物が昇華分解し遊離のシリコンが生成するため、外部量子効率が高い窒化物蛍光体粉末が得られなくなる。不活性ガス雰囲気中、又は、還元ガス雰囲気中、1500〜2000℃の範囲の焼成が可能であれば、焼成に使用される加熱炉については、特に制約は無い。例えば、高周波誘導加熱方式または抵抗加熱方式によるバッチ式電気炉、ロータリーキルン、流動化焼成炉、プッシャ−式電気炉などを使用することができる。混合物を充填する坩堝には、BN製の坩堝、窒化ケイ素製の坩堝、黒鉛製の坩堝、炭化珪素製の坩堝を用いることができる。焼成によって得られる窒化物焼成物は、凝集が少なく、分散性が良好な粉体である。
本発明では、上記の焼成により得られた窒化物焼成物にLi源を添加混合してLi含有窒化物焼成物を調製し、該Li含有窒化物焼成物を、不活性ガス雰囲気中、または還元性ガス雰囲気中、1450℃以上の温度で、前記混合原料を焼成する際の焼成温度より低い温度範囲で熱処理することで、Liを含有し、Li含有量が30ppm以下である窒化物蛍光体粉末が得られ、450nmの波長の光により励起されることで、ピーク波長が630nmから660nmの波長域にある蛍光を発する際の外部量子効率が特に高い窒化物蛍光体粉末を得ることができる。
前記窒化物焼成物にLi源を添加混合してLi含有窒化物焼成物を調製し、該Li含有窒化物焼成物を熱処理する方法としては、中間物の窒化物焼成物に、Li化合物を混合し熱処理する方法、さらには、熱処理に用いる坩堝中に事前にLi化合物を入れ、1200〜1600℃の温度範囲にて焼成し、その坩堝を用い、中間物の窒化物焼成物を熱処理する方法、さらには、窒化物焼成物を入れた坩堝と、Li化合物を入れた坩堝を同時に、不活性ガス雰囲気中、又は還元性ガス雰囲気中で熱処理する方法などが挙げられる。Li化合物としては、炭酸リチウム、酸化リチウム、窒化リチウムなどが挙げられる。また、中間物の窒化物焼成物にLi化合物を混合し熱処理する方法においては、添加するLi化合物の量としては、窒化物焼成物100gに対して、0.04g〜2.0g又は、窒化物焼成物1モルに対して、0.004モル〜0.025モルであることが適当である。さらに、熱処理に用いる坩堝中に事前にLi化合物を入れ、1200〜1600℃の温度範囲にて焼成し、その坩堝用い、中間物の窒化物焼成物を熱処理する方法においては、Li化合物の量としては、窒化物焼成物100gに対して、0.04g〜2.0g又は、窒化物焼成物1モルに対して、0.004モル〜0.025モルであることが適当である。添加するLi量を制御することで、窒化物蛍光体中に含まれるLi量を制御することができる。窒化物蛍光体のLi含有量が30ppm以下、好ましくは、Li含有量が10ppm以下の場合に、より高い外部量子効率の窒化物蛍光体が得られる。
より外部量子効率が高い窒化物蛍光体粉末を得るためには、熱処理温度を1450〜1600℃の範囲とすることが好ましい。熱処理温度が1450℃に満たない場合、または1600℃を超える場合は、得られる窒化物蛍光体粉末の外部量子効率の改善幅が小さくなる。熱処理を行う場合の最高温度での保持時間は、特に高い外部量子効率を得るには、0.5時間以上であることが好ましい。4時間を越えて熱処理を行なっても、時間の延長に伴った外部量子効率の向上は僅かに留まるか、殆ど変わらないため、熱処理を行う場合の最高温度での保持時間としては、0.5〜4時間の範囲であることが好ましい。
不活性ガス雰囲気中、または還元性ガス雰囲気中、1450℃〜前記混合原料を焼成する焼成温度未満の温度範囲で熱処理することが可能であれば、熱処理に使用される加熱炉については、特に制約は無い。例えば、高周波誘導加熱方式または抵抗加熱方式によるバッチ式電気炉、ロータリーキルン、流動化焼成炉、プッシャ−式電気炉などを使用することができる。混合物を充填するるつぼには、BN製の坩堝、窒化ケイ素製の坩堝、黒鉛製の坩堝、炭化ケイ素製の坩堝を用いることができる。
本発明の窒化物蛍光体粉末は、前記記載の製造方法により得られる蛍光体粉末であり、より詳しくは、ケイ素源となる物質と、アルミニウム源となる物質と、M源(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素)となる物質と、ユーロピウム源となる物質とを混合し、不活性ガス雰囲気中、又は、還元ガス雰囲気中、1500〜2000℃で焼成して中間物としてのM1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物蛍光体を得た後、次いで、さらにLiが存在する条件下で、不活性ガス雰囲気中、又は、還元性ガス雰囲気中、1450℃〜前記焼成温度未満の温度で熱処理することにより得られる、窒化物蛍光体のLi含有量が0<Li≦30ppmである窒化物蛍光体粉末の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一の酸窒化物結晶層が形成されていることを特徴とする窒化物蛍光体である。
3.発光装置
本発明の蛍光体は、各種の発光装置に使用することができる。本発明の発光装置は、Liを含有し、Li含有量が30ppm以下であり、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物を構成する少なくとも一部の粒子の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が存在することを特徴とする本発明の窒化物蛍光体粉末と、この蛍光体に励起光を照射して発光させる光源とを少なくとも備える。発光装置の具体例としては、白色発光ダイオード(白色LED)、蛍光灯、蛍光表示管(VFD)、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などを挙げることができる。このうち白色LEDは、青色蛍光体、緑色蛍光体、本発明の窒化物蛍光体(赤色蛍光体)と、例えば波長350〜430nmの紫外光を発光する半導体発光素子とを備え、発光素子からの紫外光で青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起して、青、赤、緑の混色で白色を得る発光装置である。また、別の構成として、緑色蛍光体、本発明の窒化物蛍光体(赤色蛍光体)と、波長430〜500nmの青色光を発光する半導体素子を備え、発光素子からの青色光で緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起して、青、赤、緑の混色で白色を得る発光装置に適用することもできる。
青色蛍光体の例としては、(Ba,Sr,Ca)MgSi:Eu、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、(Ba,Sr,Mg、Ca)10(PO(Cl,F):Eu、SrSi:Euなどを挙げることができる。また、緑色蛍光体の例としては、(Ba、Sr)SiO:Eu、Si6−zAl8−z:Eu(β―サイアロン)、SrAlSi2135:Eu、(Ba,Sr)Si:Eu、BaSi12:Eu、SrSi13Al21:Eu、(Ba,Sr)YSi:Euなどを挙げることができる。半導体発光素子としては、AlGaN系半導体発光素子などを挙げることができる。
以下では、具体的例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
非晶質Si−N(−H)系化合物と窒化ユーロピウム、窒化アルミニウム、窒化ストロンチウムを表1の窒化物焼成物の設計組成となるように窒素パージされたグローブボックス内で秤量し、乾式の振動ミルを用いて混合して、混合粉末を得た。尚、非晶質Si−N(−H)系化合物の組成は、Siとして、原料量を決定した。非晶質Si−N(−H)系化合物粉末の比表面積および酸素量は、408m/g、および1.1質量%であった。得られた混合粉末を窒化ホウ素製の坩堝に入れて、黒鉛抵抗加熱式の電気炉に仕込み、電気炉内に窒素を流通させながら、常圧を保った状態で1795℃まで昇温させた後、1795℃で5時間保持して、窒化物焼成物を得た。
得られた窒化物焼成物を解砕して粒子径が5〜20μmの粉末を分級によって得た後、得られた粉末100gに対して、表1に示す量のLiOを添加し、乳鉢で混合した。この混合粉をアルミナ坩堝に入れて、黒鉛抵抗加熱式の電気炉に仕込み、電気炉内に窒素を流通させながら、常圧を保った状態で1550℃まで昇温させた後、1550℃で1時間保持して熱処理し、窒化物蛍光体粉末を得た。
さらに、得られた窒化物蛍光体粉末のLi含有量をICP−AES分析法にて測定した。窒化物蛍光体粉末に含まれるLi量は3ppmであった。
得られた実施例1の窒化物蛍光体粒子の表面と、後述する比較例1の窒化物蛍光体粒子のSEM像を図1に示す。Liが存在する条件下で熱処理を行った実施例1の窒化物蛍光体粒子表面には、比較例1には見られない層が生成している様子が分る。また、図2には、実施例1の表面付近の断面TEM像を示す。図2は、Sr0.95Eu0.05AlSiからなる粒子と、図1に示された表面層との界面部のTEM像である。表面層部分の電子線回折パターンは、ICSD番号:421689番と同一の電子線回折パターンを有する結晶層であり、ICSD Collection Code:421689に示されているNdSi5.6Al1.40.49.6型結晶であることが分かった。さらに、表面層部分のEDS組成分析結果を表2に示す。表2の結果から、Sr0.95Eu0.05AlSi粒子の表面に生成している結晶層は、一般式(Sr、Eu)Si5.6Al1.40.49.6であると考えられる。
さらに、得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を評価するために、日本分光社製FP−6500に積分球を組み合わせた固体量子効率測定装置を用いて、励起波長450nmにおける蛍光スペクトルを測定し、同時に吸収率と内部量子効率を測定した。得られた蛍光スペクトルから蛍光ピーク波長とその波長における発光強度を導出し、吸収率と内部量子効率から外部量子効率を算出した。また、輝度の指標になる相対蛍光強度は、後述する比較例1の同励起波長による蛍光スペクトルの最高強度の値を100%とした場合の蛍光ピーク波長における発光強度の相対値とした。実施例1に係る窒化物蛍光体粉末の蛍光特性の評価結果およびICP分析によるLi含有量を表1に示す。
Figure 2017186459
Figure 2017186459
(実施例2〜5)
熱処理時に添加するLiO量が、窒化物焼成物の解砕・分級後の粉末100gに対して、表1の設計組成になるように、実施例2〜5に係るLiO量を秤量し混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、Li含有量を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表2に記載した。Liを含有し、Li含有量が30ppm以下である実施例2〜5では、高い外部量子効率を示していることが分かる。
(実施例6〜8)
窒化物焼成物が表1の設計組成になるように、各原料を秤量し混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、Li含有量を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を、表1に記載した。xつまりEu量が0<x<0.10である実施例1、6〜8、特に、Eu含有量が0<x≦0.075である実施例1、6、7で、高い外部量子効率が得られていることが分かる。
(実施例9〜12)
窒化物焼成物が表1の設計組成になるように、原料粉末として、非晶質Si−N(−H)系化合物、窒化ユーロピウム、窒化アルミニウム、窒化ストロンチウム、窒化カルシウムを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、Li含有量を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表1に記載した。
1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物蛍光体において、MがSrを必須として含み、Sr/(Ca+Sr+Ba)≧0.6となるように、含有した場合に、高い外部量子効率を維持したまま、発光波長を630〜645nmの範囲で制御できることが分かる。
(実施例13〜16)
窒化物焼成物が表1の設計組成になるように、原料粉末として、非晶質Si−N(−H)系化合物、窒化ユーロピウム、窒化アルミニウム、窒化ストロンチウム、窒化バリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、Li含有量を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表1に記載した。
1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物において、MがSrを必須として含み、Sr/(Ca+Sr+Ba)≧0.6となるように、含有した場合に、高い外部量子効率を維持したまま、発光波長を640〜645nmの範囲で制御できることが分かる。
(比較例1)
Liが存在する条件下での熱処理を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表2に記載した。比較例1においては、実施例1〜16に比べ外部量子効率が低いことが分かる。
(比較例2)
原料混合粉末100gに対してLiOが0.046gとなるように各原料粉末とLiOを秤量し、実施例1と同様の方法で窒化物焼成物を得た後、実施例1と同様の方法で粒度調整を行い、熱処理を実施せずに窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表1に記載した。比較例2においては、実施例1〜16に比べ外部量子効率が低いことが分かる。また、実施例1と同様の方法にて、比較例2のLi含有量を測定したところ、酸窒化物蛍光体粉末に含まれるLi量は検出されなかった。
(比較例3)
熱処理時に添加するLiO量が、窒化物焼成物の解砕・分級後の粉末100gに対して、表1の設計組成になるように、比較例3に係るLiO量を秤量し混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、Li含有量を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表1に記載した。Li含有量が30ppmより大きい比較例3では、外部量子効率が低くなっていることが分かる。
(比較例4)
窒化物蛍光体粉末が表1の設計組成になるように、各原料を秤量し混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、Li含有量を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を、表1に記載した。xつまりEu量が0<x<0.10である実施例1、6〜8に比べ、外部量子効率が低くなっていることが分かる。
(比較例5)
Liが存在する条件下での熱処理を実施しなかったこと以外は、実施例10と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表1に記載した。比較例5においては、実施例10に比べ外部量子効率が低いことが分かる。
(比較例6)
Liが存在する条件下での熱処理を実施しなかったこと以外は、実施例14と同様の方法で窒化物蛍光体粉末を得た。得られた窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表1に記載した。比較例6においては、実施例14に比べ外部量子効率が低いことが分かる。

Claims (6)

  1. Liを含有し、Li含有量が30ppm以下であり、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物を構成する少なくとも一部の粒子の表面に、NdSi5.6Al1.40.49.6型結晶と同一構造の酸窒化物結晶層が存在することを特徴とする窒化物蛍光体粉末。
  2. Liを含有し、Li含有量が30ppm以下であり、一般式M1−xEuAlSi(MはCa、Sr、Baから選択される少なくとも一種の元素であり、0<x<0.10)で表される窒化物を構成する少なくとも一部の粒子の表面に、ICSD番号:421689番と同一の電子線回折パターンを有する酸窒化物結晶層が存在することを特徴とする窒化物蛍光体粉末。
  3. Li含有量が10ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の窒化物蛍光体粉末。
  4. 前記酸窒化物結晶層の厚みが100nm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の窒化物蛍光体粉末。
  5. 発光素子と、請求項1〜4いずれか一項に記載の窒化物蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
  6. 前記発光素子が、発光ダイオード素子またはレーザーダイオード素子であることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
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