JP5212183B2 - 樹脂組成物及びこれを用いた成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物及びこれを用いた成形品に関する。
近年、地球温暖化防止、生分解性の付与等の環境保護、石油資源の節約などの観点から、樹脂製品の使用においてもバイオマス由来樹脂の利用が望まれている。電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた複写機やレーザープリンターなどの画像出力機器などに使用されている部品においても、環境配慮の観点からバイオマス由来樹脂が使用され始め、活発に研究開発が行われている。
ポリ乳酸は大量生産され、市場に安定して流通しているバイオマス由来樹脂であるが、耐熱性と耐衝撃性の低さが広範な実用化を妨げる課題の一つとなっている。ポリ乳酸は結晶性の脂肪族ポリエステルであり、樹脂の結晶化が耐熱性向上に有効である。従って、結晶化核剤の添加、成形加工時に結晶化に適した高温金型で冷却を長時間行う、成形後に成形品を再度アニール処理し結晶化度を向上させるなどにより、耐熱性を向上させていた。しかし、ポリ乳酸を結晶化させると剛直になり、耐衝撃性が低下する要因の一つになっている。
微生物産生ポリヒドロキシアルカノエート(広い意味では、ポリ乳酸もポリヒドロキシアルカノエートに属するが、本願においては、特に断らない限り、一般的な用法に従って、ポリ乳酸はポリヒドロキシアルカノエートに属さないとしている。)は耐熱性、耐衝撃が高く、射出成形可能なバイオマス由来樹脂であるが、ポリ乳酸と同様に、結晶化速度が非常に遅く、且つ非晶状態では粘着性があるため金型との離型性が悪く、成形時にすぐに金型から取り出すことができないため、成形サイクルが長くなってしまう問題に加え、コスト面の問題からポリ乳酸ほど大量に使用されていない。
ポリ乳酸、及び微生物産生ポリヒドロキシアルカノエートは、それぞれ単体で電気・電子機器等の部品に適用するには多くの課題を有しているが、両者を混合してポリマーアロイ化することでその課題のいくつかはクリアできる可能性がある。しかしながら、ポリ乳酸と微生物産生ポリヒドロキシアルカノエートは非相溶系であるため、相溶性をコントロールすることが必要不可欠となる。相溶性のコントロールには相溶化剤が効果的であり、ポリ乳酸を含む樹脂組成物の相溶化剤として、多くの提案がなされている。
特許文献1には、ポリ乳酸(a1)と脂肪族ポリエステル(a2)との混合物(A)とポリ乳酸セグメントと脂肪族ポリエステルセグメントを有する脂肪族ブロックコポリエステル(B)との混合物からなる乳酸系樹脂組成物を提案している。この乳酸系樹脂組成物は、成形性、柔軟性、安全性に優れ、更には使用後には、生分解性を有し廃棄物処理が容易である。この乳酸系樹脂組成物においては、脂肪族ポリエステル(a2)はポリブチレンサクシネート及び/又はポリカプロラクトンであり、ポリ乳酸(a1)と脂肪族ポリエステル(a2)からなる2成分混合物(A)を、2成分の脂肪族ブロックコポリエステル(B)で相溶化させている。
特許文献2には、成形加工時の熱安定性に優れ、フィルム、シート、繊維、各種容器、各種部品等の成形に適する生分解性を有する高分子量ポリヒドロキシ酸系共重合体の製造方法が開示されている。
特許文献3には、ポリ乳酸と、熱可塑性樹脂(ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂アロイ、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレートなど)、相溶化剤(アルキルメタクリレートをモノマー成分とする高分子材料、重量平均分子量は、95万以上410万以下)を含む植物性樹脂が開示されている。この植物性樹脂は、成形体の耐衝撃性と耐熱性とを向上させているが、ポリ乳酸との混合対象が石油由来の熱可塑性樹脂であること、それに伴い相溶化剤が石油由来のアルキルメタクリレートをモノマー成分とする高分子材料である。
特許文献4には、ポリL−乳酸と、結晶化促進剤、柔軟性付与剤、相溶化剤、PVA繊維等のポリ乳酸の融点(180℃以上)で安定でありかつ生分解性のある化学合成繊維を含み、耐熱性及び耐衝撃性に優れた樹脂組成物を開示している。この樹脂組成物は、結晶化促進剤としてD−乳酸−デンプン共重合樹脂、軟性付与剤としてポリカプロラクトン相溶化剤がポリL−乳酸−ポリブチレンサクシネートブロック共重合樹脂、ポリビニルアルコール繊維または4ナイロンを用いている。
上述のように、ポリ乳酸樹脂を主体としたバイオマス系の樹脂は各種提案されているが、ポリ乳酸樹脂の耐熱性、耐衝撃性を改善するためには、石油系の原料を用いた樹脂を混合したり、バイオマス原料からは製造が容易でない樹脂を利用したりしている。この為、これらの樹脂組成物は、耐熱性と耐衝撃性が高く、現実に生産する際にバイオマス原料の使用割合であるバイオマス度を高めるには限界があった。この為、電気機器の部品等に使用できる耐熱性、耐衝撃性を備えた汎用の樹脂成形品が製造でき、バイオマス度が高く、大量供給可能な樹脂組成物の開発が待たれていた。
本発明の目的は、上記課題を踏まえ、耐熱性、耐衝撃性を備え、バイオマス度の高い樹脂組成物及びその成形品を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため、バイオマス系樹脂であるポリ乳酸樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)からなる樹脂組成物に、特定のモノマー単位の構成比、重量平均分子量Mw等を有するブロック共重合体(C)を、相溶化剤として加えることで、樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の相溶性を向上させることが可能であることを見出した。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)は微生物産生が容易なヒドロキシアルカノエート共重合体であり、該樹脂(B)は結晶部と非晶部が存在することにより、耐熱性と耐衝撃性が優れている。また、ブロック共重合体(C)は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の両方に親和力を有し、これにより、ポリ乳酸樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の相溶性を向上させている。
すなわち、本発明は、ポリ乳酸樹脂(A)、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)、及びポリ乳酸とポリヒドロキシアルカノエート共重合体とのブロック共重合体(C)を含有し、以下の(1)から(5)の全てを満足することを特徴とする樹脂組成物である。
(1)前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)は、3−ヒドロキシブチレートモノマーユニットと下記化学式[1]で表されるモノマーユニットで構成されるヒドロキシアルカノエート共重合体である。
Figure 0005212183
(但し、RはC2n+1(n=2〜14の範囲)とする。)
(2)前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)における3−ヒドロキシブチレートの組成率bは、70〜95モル%である。
(3)前記ポリ乳酸樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の合計含有量を100重量部としたとき、前記ブロック共重合体(C)の含有量は1〜11重量部である。
(4)前記ブロック共重合体(C)のモノマー単位は、3成分以上であり、且つ前記ブロック共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は1,000〜100,000に範囲内にある。
(5)前記ポリ乳酸樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の合計含有量を100重量部とし、前記ポリ乳酸樹脂(A)の含有量をa(重量部)とし、前記ブロック共重合体(C)における乳酸の組成率をcモル%としたとき、aおよびcは、
a−15≦c≦a+15 、60≦a≦95 、c≦95
の関係式を満足する。
本発明においては、耐熱性と耐衝撃性を有し、且つ100%近い高いバイオマス原料化が可能な環境負荷の小さい樹脂組成物を提供することが可能である。
好ましい本発明は、前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)は、微生物産生ヒドロキシアルカノエート共重合体であり、前記ブロック共重合体(C)の乳酸成分は、D乳酸、L乳酸、及びD乳酸とL乳酸の混合物のうちいずれかであることを特徴とする前記樹脂組成物である。
ブロック共重合体(C)の乳酸成分をD乳酸とすることにより、樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の相溶性を、より効果的に向上させることが可能となる。
好ましい本発明は、前記ブロック共重合体(C)における重合ブロックであるポリヒドロキシアルカノエート共重合体ブロック中のモノマー単位は、前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)に使用できるモノマー単位と同じであることを特徴とする前記樹脂組成物である。
ポリヒドロキシアルカノエート共重合体ブロック中のモノマー単位が、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)に使用できるモノマー単位と同じであることにより、ブロック共重合体(C)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の親和力が増し、ポリ乳酸樹脂(A)とポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の相溶性を向上させることができる。
好ましい本発明は、前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)は、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体であることを特徴とする前記樹脂組成物である。
3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体からなるポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)は、ポリ乳酸樹脂(A)と混合することにより、樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性の向上効果が著しく、また、バイオマス原料から微生物により容易に生産でき、大量生産性、コストの面から好ましい。
好ましい本発明は、結晶化核剤をさらに含んでいることを特徴とする前記樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物は、結晶化核剤を含むことにより、より短時間で結晶化が完了、且つその球晶サイズも小さくなり耐衝撃性を向上させることが可能となる。
好ましい本発明は、前記結晶化核剤は、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、及びベンゾイル化合物系核剤から選択されるいずれかであることを特徴とする前記樹脂組成物である。
タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、及びベンゾイル化合物系核剤は、本発明の樹脂組成物を、特に効果的に結晶化させることが可能な結晶化核剤である。
本発明は、前記樹脂組成物のいずれかを成形したことを特徴とする成形品である。
本発明の樹脂組成物を、射出成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形等により従来の石油系樹脂と同様にして成形することにより、耐熱性、耐衝撃性を兼ね備えた環境負荷の小さい汎用の樹脂成形品が提供できる。
好ましい本発明は、電気・電子機器に備えられていることを特徴とする前記成形品である。
本発明の樹脂成形品は、環境負荷の小さい電気・電子機器の筐体や部材として好適に使用できる。
本発明によれば、耐熱性、耐衝撃性を備え、バイオマス度の高い樹脂組成物及びその成形品を提供することができる。
[樹脂組成物]
(ポリ乳酸樹脂(A))
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂(A)は、どのようなポリ乳酸樹脂でもよいが、従来から知られている微生物生産法により作製された、ポリL乳酸、ポリD乳酸、及びポリL乳酸とポリD乳酸からなるステレオコンプレックスのいずれかを含むものが用いられ、勿論、これらのポリ乳酸の混合物でもよい。本発明に用いられるポリ乳酸樹脂(A)としては、この中でも、D乳酸(DLAと略称する。)からなるポリD乳酸樹脂が、好ましく用いられる。ポリ乳酸は、市販品も多く知られているので、これらを利用してもよい。本発明に用いられるポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量Mwは、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で、5〜200万、好ましくは8〜100万であることが望ましい。
(ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B))
本発明におけるポリヒドロキシアルカノエート樹脂(PHA樹脂と略称する。)(B)は、バイオマスを原料として、微生物により産生される3ヒドロキシアルカノエート共重合体(3HA共重合体と略称する。)が好ましい。3HAの中でも、3ヒドロキシブチレート(3HB)と3ヒドロキシバリレート(吉草酸エステル)(3HV)の共重合体である、3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシバリレート共重合体(P(3HB―Co―3HV)と略称する。)が原料面からも生産性からも好ましい。
ポリ3ヒドロキシブチレート(P3HB)は、グルコースを炭素源とするLB培地、MR培地等(P3HB生産培地等。)でシュードモナス属菌、ラルストニア属菌、バチルス属菌、コリネバクテリウム属菌により生産することができる。
3ヒドロキシブチレート(3HB)を含むPHA樹脂(B)を生産するには、上記グルコースを含むP3HB生産培地に、目的とするもう一方のヒドロキシアルカノエートに対応する炭素数を持つ有機酸を培養基質として加える。例えば、好ましいPHA樹脂(B)の態様として、3ヒドロキシブチレート(3HB)と3ヒドロキシバリレート(3HV)の共重合体である3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシバリレート共重合体(P(3HB−Co−3HV))生産の場合は、グルコースを含むP3HB生産培地に、培養基質としてプロピオン酸(Cカルボン酸)を付加すればよい。生産培地中に添加するグルコースとプロピオン酸の量を調整することにより、P(3HB−Co−3HV)中の3HBと3HVの比率を制御できる。通常、P(3HB−Co−3HV)は、バチルス属菌、ラルストニア属菌、シュードモナス属菌等の生産菌を用いて、培地成分中の窒素やリン酸を制限した培養法により、菌体増殖過程とポリエステル生産過程の2段階で生産される。
また、バチルス属由来のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子を有する微生物に対し、C以上の偶数の脂肪酸を与えることによって、3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシヘキサノエート共重合体(P(3HB−Co−3HHx))を合成することが出来る。
なお、PHA樹脂の構成モノマー単位である化学式[1]におけるアルキル基Rは、n=2〜14であるが、耐熱性向上効果や生産の容易さからは、n=2〜4、特に生産の容易さからは3ヒドロキシバリレート(3HV)に対応するn=2とすることが好ましい。
本発明における、PHA樹脂(B)は、PHA樹脂(B)中の3HB単位の含有率が70〜95モル%である。上記の範囲であれば、微生物による生産が容易であり、本発明の樹脂組成物の成形性、耐熱性、衝撃強度も良好である。また、PHA樹脂(B)の重量平均分子量Mwは、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で、2〜300万、好ましくは5〜150万とすることが望ましい。上記の範囲であれば、微生物による生産が可能であり、本発明の樹脂組成物の成形性、耐熱性、衝撃強度にも問題はない。
(ブロック共重合体(C))
本発明におけるブロック共重合体(C)のモノマー単位は、3成分以上である。ブロック共重合体(C)のモノマー単位は、例えば、乳酸と、3HBと、上記化学式[1]で表されるヒドロキシアルカノエートモノマー単位とを含んでいる。ブロック共重合体(C)は、化学式[1]で表されるヒドロキシアルカノエートモノマー単位が1種類である必要はなく、数種類であってもよいし、化学式[1]で表されるモノマー単位以外のモノマー単位を含んでいてもよい。
モノマー単位としての乳酸は、D乳酸、L乳酸、及びL乳酸とD乳酸の混合物のいずれも用いられる。この中でも、本発明におけるブロック共重合体(C)に用いられる乳酸としては、D乳酸(DLAと略称する。)が好ましい。特に、ポリ乳酸樹脂(A)がポリD乳酸樹脂であるときに、モノマー単位としての乳酸は、DLAとすることが好ましい。
本発明における乳酸及びヒドロキシアルカノエート共重合体からなるブロック共重合体(C)は、ポリ乳酸ブロックとヒドロキシアルカノエート共重合体ブロックとを有するブロック共重合体である。なお、ここでいうヒドロキシアルカノエート共重合体ブロックは、PHA樹脂(B)として説明した一般的なヒドロキシアルカノエート共重合体のうちのいずれか、又はそれらの混合物からなっていてもよいし、樹脂組成物中にブロック共重合体(C)とともに混合して使用される特定のPHA樹脂(B)からなっていてもよい。ヒドロキシアルカノエート共重合体ブロック(共重合体ブロックと略称する。)としては、樹脂組成物中にブロック共重合体(C)とともに混合して使用される特定のPHA樹脂(B)と同じモノマー単位からなるブロック共重合体であることが好ましい。例えば、PHA樹脂(B)が3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシバリレート共重合体(P(3HB−Co−3HV)であれば、共重合体ブロックは、3HBと3HVの共重合体であることが好ましい。ここで、共重合体ブロックは、樹脂組成物中に混合されるPHA樹脂(B)と同じ共重合体であっても、異なった共重合体であってもよい。すなわち、共重合体ブロックは、モノマー単位である3HBと3HVの含有割合や重合形態、分子量などが、PHA樹脂(B)と同じでも、異なっていてもよい。
本発明に用いられるブロック共重合体(C)の重量平均分子量Mwは、分散性の良いものが好ましく、1,000〜100,000である。重量平均分子量Mwが上記範囲を外れると、樹脂組成物の成形品の耐熱性や耐衝撃性が劣ってくる。
ブロック共重合体(C)の製造方法は、限定されるものではなく、例えば、上述のPHA樹脂(B)と同じ製造方法(例えば、微生物による生産)により、ヒドロキシアルカノエート共重合体ブロックを製造し、これに乳酸を付加重合してブロック共重合体(C)を製造すればよい。その他のブロック共重合体(C)の合成方法としては、例えばヒドロキシアルカノエート共重合体ブロックとポリ乳酸をそれぞれ製造しておき、両者を一般的な脱水縮合反応、架橋反応などにより共重合体とすることもできる。
(結晶化核剤)
本発明に用いられる結晶化核剤は、ポリ乳酸等のバイオマス資源由来の熱可塑性樹脂に用いられる結晶化核剤であれば、どのようなものでもよい。例えば、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、ベンゾイル化合物系からなる核剤などが好ましく用いられる。その他公知の結晶化核剤、例えば乳酸塩、安息香酸塩、シリカ、リン酸エステル塩系などを用いてもよい。また、単数又は複数の結晶化核剤を使用してもよい。
(添加剤)
本発明に用いられる樹脂組成物には、可塑剤、加水分解抑制剤、相溶化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤等の各種添加剤を適宜配合することもできる。特に射出成形をする場合は可塑剤を添加した方が好ましい。可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられる公知のものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。加水分解抑制剤は、射出成形や混練時に高温に曝された樹脂組成物が加水分解することを防ぐものである。加水分解抑制剤としては公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、ポリカルボジイミド樹脂などが挙げられる。相溶化剤は、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B)と、ブロック共重合体(C)の相溶化剤として機能するものであれば特に制限はない。相溶化剤としては、無機充填剤、グリシジル化合物、酸無水物をグラフト若しくは共重合した高分子化合物、及び有機金属化合物が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いてもよい。
(樹脂組成物の作製)
上記のポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B)と、ブロック共重合体(C)と、必要に応じて結晶化核剤その他の添加剤等とを所定の割合で、混練押出機などで混合混練し、ペレット状にすれば、本発明に使用する樹脂組成物のペレットとなる。混練押出機は、通常の石油系樹脂用の単軸混練押出機や2軸混練押出機を使用すればよく、例えば、180〜190度程度の混練温度で混練し、ペレット化すればよい。
ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B)との混合割合は、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B)の合計を100重量部としたときに、PHA樹脂(B)を60〜95重量部、好ましくは70〜90重量部とする。PHA樹脂(B)の含有量が60重量部未満となる、又は95重量部を超えると樹脂組成物の耐熱性や衝撃強度が低下する。
ブロック共重合体(C)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B)の合計を100重量部としたときに、1〜11重量部とする。ブロック共重合体(C)の含有量が1重量部未満となる、又は11重量部を超えると樹脂組成物の耐熱性や衝撃強度が低下する。
ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B)の合計を100重量部とし、ポリ乳酸樹脂(A)の含有量をa重量部とし、ブロック共重合体(C)における乳酸モノマー単位の組成率をcモル%としたとき、組成率cは、下記の関係式を満足する。
a−15≦c≦a+15
ブロック共重合体(C)は、ポリ乳酸樹脂(A)と、樹脂組成物中のPHA樹脂(B)の相溶性を高める作用があり、ポリ乳酸樹脂(A)が増えれば、組成率cを増大させ、PHA樹脂(B)が増えれば、組成率cを減少させて、樹脂組成物中でのブロック共重合体(C)相溶作用を最適化している。定量的には、上記関係式により、組成率cモル%を決定すればよい。組成率cが上記の関係式の範囲外になると、樹脂組成物は、耐熱性、衝撃強度とも低下してしまう。
なお、ブロック共重合体(C)における乳酸モノマー単位の組成率cには、95モル%に上限値があり、95モル%を超えると、樹脂組成物の耐熱性、衝撃強度とも低下する傾向にある。
[熱可塑性樹脂の成形]
上記のようにして作製した本発明の樹脂組成物のペレットを、通常の石油系樹脂用の射出成形機等で、石油系樹脂と同様にして射出成形すれば、本発明の成形品が製造できる。一般の成形品であれば、成形における金型温度は、40〜90℃、冷却時間は、10〜60秒とすればよい。金型は、水冷式の石油系樹脂用の冷却装置が使用できる。
なお、本発明の樹脂組成物における成形法は、射出成形法のみに制限されるものではなく、例えば、圧縮成形、ブロー成形、プレス成形、押出成形、発泡成形、中空成形、その他のいずれの成形法であっても問題はない。また、成形時に上述の添加剤を使用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、繊維物質、無機材料粉末、微生物産生のバクテリアセルロース等を配合して成形することで、成形品の機械的強度を向上させることもできる。植物繊維には、植物繊維をそのまま乾燥、粉砕し、リグニンやヘミセルロースその他の成分を含むものや、植物繊維をアルカリ処理で脱リグニンした後に乾燥、粉砕したもの、パルプや古紙を粉砕したもの、更に細かく粉砕しミクロフィブリル化したものが挙げられる。成形品の機械的強度向上材としては、植物繊維でなくても微生物産生のバクテリアセルロース等が使用でき、バイオマスであれば樹脂組成物や成形品のバイオマス度を下げることもない。また、植物の種類も特に限定されるものではなく、ジュート、ケナフ、竹などの生育の早い植物や、可食部を採取した後の稲わら、トウモロコシ、さとうきびなど、環境との調和を考慮して、配合物や配合比を適宜選択することが望ましい。
(実施例1)
[PHA樹脂(B1)の作製]
ペプトン5.0g/L、イーストエキス5.0g/L、肉エキス5.0g/Lを含む培地で、バチルス属菌を用いて16時間培養した培養液を、基質としてグルコースとプロピオン酸を含み窒素源を制限した最少培地に添加し、45℃で48時間培養して湿菌体を得た。得られた湿菌体を凍結乾燥し、クロロホルムを添加して菌体内物質を抽出した。不溶分をろ別し、ろ液にメタノールを加え、抽出物を再析出させ、再びろ過して精製物を得た。
なお、最少培地組成は、例えば、Na2HPO4・12H2O 9.0g/L、KH2PO4 1.5g/L、NH4Cl 0.5g/L、MgSO4・7H2O 0.2g/L、トレースエレメント 1.0ml/Lを含む。トレースエレメントはFeCl3 9.7g/L、CaCl2 7.8g/L、CoCl2・6H2O 0.218g/L、CuSO4・5H2O 0.156g/L、NiCl3・6H2O 0.118g/L、CrCl3・6H2O 0.105g/Lを0.1M HClに溶解した液体である。
NMR解析によって、精製物がポリ3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体(P(3HB−Co−3HV))であり、P(3HB−Co−3HV)中の3−ヒドロキシブチレート(3HB)分率は70モル%であることを確認した。菌体に対する(P(3HB−Co−3HV))の収量は、30〜50wt%であった。このP(3HB−Co−3HV)をPHA樹脂(B1)と呼ぶ。
[ブロック共重合体(C1)の作製]
オクチル酸スズ0.1g/Lを含む無水トルエン溶液に対し、株式会社武蔵野化学研究所製D−乳酸(DLAと略称する。)0.8g/L、後述の実施例3で作製したPHA樹脂(B3)0.2g/Lを加え、窒素雰囲気中で加熱撹拌し一定時間静置した後、真空雰囲気中で保持し、室温、常圧に戻して、得られた生成物をクロロホルムに溶解し、メタノールとヘキサンを加えて沈殿させ、沈殿物をろ過し少量のヘキサンで洗浄した。この溶解、沈殿、ろ過、洗浄の操作を繰り返して精製し、得られた精製物を真空乾燥した。得られた精製物は、ブロック共重合体であり、NMR解析によって、ポリD−乳酸−3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体(P(DLA−3HB−3HV)と略称する。)であり、DLA:3HB:3HVの組成比(モル%)が81:18:1であることを確認した。このP(DLA−3HB−3HV)をブロック共重合体(C1)と呼ぶ。ブロック共重合体(C1)の重量平均分子量は、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で80,000であった。
[成形用ペレット(1)の作製]
ポリ乳酸樹脂(A)(三井化学株式会社製:レイシアH−100)と、PHA樹脂(B1)と、ブロック共重合体(C1)とを、重量比で70:30:2となるように混合し、単軸混練押出機を用いて190℃で溶融混練し樹脂組成物(1)とし、3mm角程度の樹脂組成物(1)からなる成形用ペレット(1)を作製した。
[荷重たわみ温度試験]
成形用ペレット(1)を原料として、棚式の熱風乾燥機で50℃、12時間乾燥した後、型締力50トンの電動式射出成形機を用いて、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPa、金型温度は80℃、冷却時間60秒の射出条件で、荷重たわみ温度試験用の短冊試験片を成形した。短冊試験片のサイズは、長さ130mm、幅3.2mm、高さ12.7mmとした。
上記樹脂組成物(1)の短冊試験片を試料として、JIS K7191に準拠した荷重たわみ温度試験を行った。なお、支点間距離100mm、昇温速度2℃/min、曲げ応力0.45MPaとした。樹脂組成物(1)の荷重たわみ温度試験の試験結果を表、樹脂組成物の組成比等とともに、1に示した。
[アイゾット衝撃試験]
成形用ペレット(1)を原料として、荷重たわみ温度試験用の短冊試験片の成形と同様の条件でアイゾット衝撃試験用の短冊試験片を成形した。短冊試験片のサイズは、長さ64mm、幅12.7mm、厚さ12.7mmとした。得られた短冊状試験片へ切欠きを入れアイゾット衝撃試験用2号A試験片とした。
アイゾット衝撃試験は、上記アイゾット衝撃試験用2号A試験片を用いて、JIS K7110に準拠して実施した。樹脂組成物(1)のアイゾット衝撃試験の試験結果を表1に示した。
Figure 0005212183
(実施例2)
[PHA樹脂(B2)の作製]
実施例1におけるPHA樹脂(B1)の作製において、培養条件を変更することにより、P(3HB−Co−3HV)中の3HB分率を95モル%とした以外は実施例1と同様にして、P(3HB−Co−3HV)を得た。得られた3HB分率95モル%のP(3HB−Co−3HV)をPHA樹脂(B2)と呼ぶ。
[成形用ペレット(2)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、PHA樹脂(B1)に代えてPHA樹脂(B2)を使用した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(2)からなる成形用ペレット(2)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、及びアイゾット衝撃試験]
実施例1における荷重たわみ温度試験及びアイゾット衝撃試験において、成形用原料として、成形用ペレット(1)に代えて、樹脂組成物(2)からなる成形用ペレット(2)を使用した以外は実施例1と同様にして、荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(2)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表1に示す。
(実施例3)
[PHA樹脂(B3)の作製]
実施例1におけるPHA樹脂(B1)の作製において、培養条件を変更することにより、P(3HB−Co−3HV)中の3HB分率を90モル%とした以外は実施例1と同様にして、P(3HB−Co−3HV)を得た。得られた3HB分率90モル%のP(3HB−Co−3HV)をPHA樹脂(B3)と呼ぶ。
[成形用ペレット(3)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B1)と、ブロック共重合体(C1)とを重量混合比70:30:2としていたものを、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C1)との重量混合比70:30:1に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(3)からなる成形用ペレット(3)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、及びアイゾット衝撃試験]
実施例1における荷重たわみ温度試験及びアイゾット衝撃試験において、成形用原料として、成形用ペレット(1)に代えて、樹脂組成物(3)からなる成形用ペレット(3)を使用した以外は実施例1と同様にして、荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(3)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表1に示す。
(実施例4)
実施例3における成形用ペレット(3)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C1)との重量混合比70:30:1を、重量混合比70:30:2に変更した以外は実施例3と同様にして、樹脂組成物(4)からなる成形用ペレット(4)を作製し、実施例3と同様にして、樹脂組成物(4)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(4)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表1に示す。
(実施例5)
実施例3における成形用ペレット(3)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C1)との重量混合比70:30:1を、重量混合比70:30:5に変更した以外は実施例3と同様にして、樹脂組成物(5)からなる成形用ペレット(5)を作製し、実施例3と同様にして、樹脂組成物(5)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(5)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表1に示す。
(実施例6)
実施例3における成形用ペレット(3)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C1)との重量混合比70:30:1を、重量混合比70:30:10に変更した以外は実施例3と同様にして、樹脂組成物(6)からなる成形用ペレット(6)を作製し、実施例3と同様にして、樹脂組成物(6)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(6)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表1に示す。
(実施例7)
[ブロック共重合体(C2)の作製]
実施例1におけるブロック共重合体(C1)の作製において、無水トルエン溶液中に添加するDLAを0.8g/Lから0.6g/Lに変更し、PHA樹脂(B3)の添加量を0.2g/Lから0.5g/Lに変更した以外は、実施例1と同様にして、P(DLA−3HB−3HV)からなるブロック共重合体(C2)を作製した。ブロック共重合体(C2)中のモノマー組成は、NMR解析によって、DLA:3HB:3HVの組成率(モル%)が46:59:6であることを確認した。また、ブロック共重合体(C2)の重量平均分子量は、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で80,000であった。
[成形用ペレット(7)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B1)と、ブロック共重合体(C1)とを重量混合比70:30:2としていたものを、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C2)を重量混合比60:40:2で混合するように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(7)からなる成形用ペレット(7)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験]
実施例1と同様にして、樹脂組成物(7)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(7)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表2に示す。
Figure 0005212183
(実施例8)
[ブロック共重合体(C3)の作製]
実施例1におけるブロック共重合体(C1)の作製において、無水トルエン溶液中に添加するDLAを0.8g/Lから1.0g/Lに変更し、PHA樹脂(B3)の添加量を0.2g/Lから0.1g/Lに変更した以外は、実施例1と同様にして、P(DLA−3HB−3HV)からなるブロック共重合体(C3)を作製した。ブロック共重合体(C3)中のモノマー組成は、NMR解析によって、DLA:3HB:3HVの組成率(モル%)が95:4:1であることを確認した。また、ブロック共重合体(C3)の重量平均分子量は、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で80,000であった。
[成形用ペレット(8)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B1)と、ブロック共重合体(C1)とを重量混合比70:30:2としていたものを、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C3)を重量混合比90:10:2で混合するように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(8)からなる成形用ペレット(8)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験]
実施例1と同様にして、樹脂組成物(8)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(8)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表2に示す。
(実施例9)
[ブロック共重合体(C4)の作製]
実施例1におけるブロック共重合体(C1)の作製において、無水トルエン溶液中に添加するDLAを、株式会社三井化学製L−乳酸(LLAと略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、P(LLA−3HB−3HV)からなるブロック共重合体(C4)を作製した。ブロック共重合体(C4)中のモノマー組成は、NMR解析によって、LLA:3HB:3HVの組成率(モル%)が83:15:2であることを確認した。また、ブロック共重合体(C4)の重量平均分子量は、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で80,000であった。
[成形用ペレット(9)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B1)と、ブロック共重合体(C1)とを重量混合比70:30:2としていたものを、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C4)を重量混合比70:30:2で混合するように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(9)からなる成形用ペレット(9)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験]
実施例1と同様にして、樹脂組成物(9)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(9)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表2に示す。
(実施例10)
[PHA樹脂(B10)の作製]
実施例1におけるPHA樹脂(B1)の作製において、培養条件を変更する(3HVに代えて3ヒドロキシヘキシル酸(3HHx)とする。)ことにより、ポリ3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシヘキシレート共重合体(P(3HB−Co−3HHx)と略称する。)を得た。得られたP(3HB−Co−3HHx)の3HB分率は、95モル%であり、このP(3HB−Co−3HHx)をPHA樹脂(B4)と呼ぶ。
[ブロック共重合体(C5)の作製]
実施例1におけるブロック共重合体(C1)の作製において、無水トルエン溶液中に添加するPHA樹脂(B3)を、PHA樹脂(B4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、P(DLA−3HB−3HHx)からなるブロック共重合体(C5)を作製した。ブロック共重合体(C5)中のモノマー組成は、NMR解析によって、DLA:3HB:3HHxの組成率(モル%)が80:19:1であることを確認した。また、ブロック共重合体(C5)の重量平均分子量は、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で80,000であった。
[成形用ペレット(10)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B1)と、ブロック共重合体(C1)とを重量混合比70:30:2としていたものを、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B4)と、ブロック共重合体(C5)を重量混合比70:30:2で混合するように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(10)からなる成形用ペレット(10)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験]
実施例1と同様にして、樹脂組成物(10)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(10)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表2に示す。
(実施例11)
[ブロック共重合体(C6)の作製]
実施例1におけるブロック共重合体(C1)の作製において、適宜条件を変え窒素雰囲気中で加熱撹拌し一定時間静置した以外は、実施例1と同様にして、P(DLA−3HB−3HV)からなるブロック共重合体(C6)を作製した。ブロック共重合体(C6)中のモノマー組成は、NMR解析によって、DLA:3HB:3HVの組成率(モル%)が81:18:1であることを確認した。ブロック共重合体(C6)の重量平均分子量は、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で1,000であった。
[成形用ペレット(11)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、PHA樹脂(B1)を、PHA樹脂(B3)に代えて、ブロック共重合体(C1)をブロック共重合体(C6)とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(11)からなる成形用ペレット(11)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、及びアイゾット衝撃試験]
実施例1における荷重たわみ温度試験及びアイゾット衝撃試験において、成形用原料として、成形用ペレット(1)に代えて、樹脂組成物(11)からなる成形用ペレット(11)を使用した以外は実施例1と同様にして、荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(11)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表2に示す。
(実施例12)
[ブロック共重合体(C7)の作製]
実施例1におけるブロック共重合体(C1)の作製において、適宜条件を変え窒素雰囲気中で加熱撹拌し一定時間静置した以外は、実施例1と同様にして、P(DLA−3HB−3HV)からなるブロック共重合体(C7)を作製した。ブロック共重合体(C7)中のモノマー組成は、NMR解析によって、DLA:3HB:3HVの組成率(モル%)が81:18:1であることを確認した。ブロック共重合体(C7)の重量平均分子量は、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で100,000であった。
[成形用ペレット(12)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、PHA樹脂(B1)を、PHA樹脂(B3)に代えて、ブロック共重合体(C1)をブロック共重合体(C7)に代えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(12)からなる成形用ペレット(12)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、及びアイゾット衝撃試験]
実施例1における荷重たわみ温度試験及びアイゾット衝撃試験において、成形用原料として、成形用ペレット(1)に代えて、樹脂組成物(12)からなる成形用ペレット(12)を使用した以外は実施例1と同様にして、荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(12)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表2に示す。
(実施例13)
[成形用ペレット(13)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、PLA樹脂(A)、PHA樹脂(B1)、ブロック共重合体(C1)の混合物102重量部に対して、結晶化核剤1、結晶化核剤2、結晶化核剤3をそれぞれ0.5重量部ずつ混合した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(13)からなる成形用ペレット(13)を作製した。なお、結晶化核剤1は日産化学株式会社製のエコプロモート、結晶化核剤2は日本タルク株式会社製のSG-2000、結晶化核剤3は株式会社ADEKA製のT-1287Nを用いた。
[荷重たわみ温度試験、及びアイゾット衝撃試験]
実施例1における荷重たわみ温度試験及びアイゾット衝撃試験において、成形用原料として、成形用ペレット(1)に代えて、樹脂組成物(13)からなる成形用ペレット(13)を使用した以外は、実施例1と同様にして、荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(13)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表2に示す。
(比較例1)
[PHA樹脂(B5)の作製]
実施例1におけるPHA樹脂(B1)の作製において、培養条件を変更することにより、P(3HB−Co−3HV)中の3HB分率を97.5モル%とした以外は実施例1と同様にして、P(3HB−Co−3HV)を得た。この3HB分率を97.5モル%としたP(3HB−Co−3HV)をPHA樹脂(B5)と呼ぶ。
[成形用ペレット(14)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、PHA樹脂(B1)に代えてPHA樹脂(B5)を使用した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(14)からなる成形用ペレット(14)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、及びアイゾット衝撃試験]
実施例1における荷重たわみ温度試験及びアイゾット衝撃試験において、成形用原料として、成形用ペレット(1)に代えて、成形用ペレット(14)を使用した以外は実施例1と同様にして、荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(14)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
Figure 0005212183
(比較例2)
実施例3における成形用ペレット(3)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C1)との重量混合比70:30:1を、重量混合比70:30:0.5に変更した以外は実施例3と同様にして、樹脂組成物(15)からなる成形用ペレット(15)を作製し、実施例3と同様にして、樹脂組成物(15)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(15)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
(比較例3)
実施例3における成形用ペレット(3)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C1)との重量混合比70:30:1を、重量混合比70:30:15に変更した以外は実施例3と同様にして、樹脂組成物(16)からなる成形用ペレット(16)を作製し、実施例3と同様にして、樹脂組成物(16)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(16)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
(比較例4)
実施例4における成形用ペレット(4)の作製において、ブロック共重合体(C1)を、ブロック共重合体(C3)に変更した以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物(17)からなる成形用ペレット(17)を作製し、実施例4と同様にして、樹脂組成物(17)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(17)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
(比較例5)
実施例4における成形用ペレット(4)の作製において、ブロック共重合体(C1)を、ブロック共重合体(C2)に変更した以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物(18)からなる成形用ペレット(18)を作製し、実施例4と同様にして、樹脂組成物(18)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(18)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
(比較例6)
比較例5における成形用ペレット(18)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C2)との重量混合比70:30:2を、重量混合比50:50:2に変更した以外は、比較例5と同様にして、樹脂組成物(19)からなる成形用ペレット(19)を作製し、比較例5と同様にして、樹脂組成物(19)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(19)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
(比較例7)
比較例5における成形用ペレット(18)の作製において、ブロック共重合体(C2)を、ブロック共重合体(C3)に変更し、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C3)との重量混合比70:30:2を、重量混合比98:2:2に変更した以外は、比較例5と同様にして、樹脂組成物(20)からなる成形用ペレット(20)を作製し、比較例5と同様にして、樹脂組成物(20)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(20)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
(比較例8)
[ブロック共重合体(C8)の作製]
実施例1におけるブロック共重合体(C1)の作製において、適宜条件を変え窒素雰囲気中で加熱撹拌し一定時間静置した以外は、実施例1と同様にして、P(DLA−3HB−3HV)からなるブロック共重合体(C8)を作製した。ブロック共重合体(C8)中のモノマー組成は、NMR解析によって、DLA:3HB:3HVの組成率(モル%)が79:20:1であることを確認した。ブロック共重合体(C8)の重量平均分子量は、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で200,000であった。
[成形用ペレット(21)の作製]
実施例1における成形用ペレット(1)の作製において、PHA樹脂(B1)を、PHA樹脂(B3)に代えて、ブロック共重合体(C1)をブロック共重合体(C8)にした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(21)からなる成形用ペレット(21)を作製した。
[荷重たわみ温度試験、及びアイゾット衝撃試験]
実施例1における荷重たわみ温度試験及びアイゾット衝撃試験において、成形用原料として、成形用ペレット(1)に代えて、樹脂組成物(21)からなる成形用ペレット(21)を使用した以外は実施例1と同様にして、荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(21)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
(比較例9)
実施例3における成形用ペレット(3)の作製において、ポリ乳酸樹脂(A)と、PHA樹脂(B3)と、ブロック共重合体(C1)との重量混合比70:30:1を、重量混合比70:30:0に変更した以外は実施例3と同様にして、樹脂組成物(22)からなる成形用ペレット(22)を作製し、実施例3と同様にして、樹脂組成物(22)の荷重たわみ温度試験片とアイゾット衝撃試験片を作製し、荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験を行った。樹脂組成物(22)の荷重たわみ温度試験、アイゾット衝撃試験の結果を、樹脂組成物の組成比等とともに、表3に示す。
(結果の考察)
実施例においては、荷重たわみ温度は、すべて100℃以上であり、多くの汎用成形品を成形する樹脂としての性能を備えている。又、実施例におけるアイゾット衝撃値は、6.0以上であり、汎用成形品の衝撃強度としても十分な値である。しかし、比較例に示した、本発明の構成を具備しない樹脂組成物においては、全てアイゾット衝撃値は5.2以下であり、特に、荷重たわみ温度が100℃以上の樹脂組成物ではアイゾット衝撃値1.8と低い値である。
このように、本発明の樹脂組成物は、従来のポリ乳酸樹脂に比べて、荷重たわみ温度、及びアイゾット衝撃値が高く、両者のバランスもよく、このまま各種の成形品として使用できる。すなわち、本発明の樹脂組成物を使用すれば、石油原料系の合成ポリエステル樹脂などと混合することなく、バイオマス系原料のみで製造された樹脂組成物をそのまま汎用性のある成形品とすることができる。
一方、比較例に示すような従来のポリ乳酸系の樹脂などは、荷重たわみ温度、及びアイゾット衝撃値の両方又は一方が低いため、石油原料系の合成ポリエステル樹脂などと混合することにより、荷重たわみ温度、及びアイゾット衝撃値を調整して、成形品を作製せねばならない。このため、成形品のバイオマス系原料化には限界がある。
実施例、比較例を詳細に検討すると、実施例1〜3、比較例1を比較すれば解るように、本発明の樹脂組成物においては、PHA樹脂(B)中の3HBのモル分率を70〜95モル%とすればよい。
実施例3〜6、比較例2、3、9を比較すれば解るように、本発明の樹脂組成物においては、ブロック共重合体(C)を、ポリ乳酸樹脂(A)とPHA樹脂(B)の合計量100重量部に対し、1〜11重量部とすればよい。
実施例4、12、13、比較例8を比較すれば解るように、本発明の樹脂組成物においては、ブロック共重合体(C)の重量平均分子量は1,000〜100,000であればよい。
さらに、本発明の樹脂組成物においては、ポリ乳酸樹脂とPHA樹脂の合計含有量を100重量部とし、ポリ乳酸樹脂の含有量をa(重量部)とし、ブロック共重合体における乳酸の組成率c(モル%)としたとき、aおよびcは、下記の関係式を満足することが分かる。
a−15≦c≦a+15(実施例7〜11、比較例4、5の対比)
60≦a≦95(実施例7〜9、比較例6,7の対比)
c≦95(実施例7〜10)
本発明の樹脂組成物及びその成形品は、耐熱性、耐衝撃性、高い水準のバイオマス度を有するので、石油系の原料を用いた樹脂及び樹脂成形品に代わって、環境負荷の低い汎用樹脂及びその成形品として使用できる。特に、本発明の樹脂組成物及びその成形品は、複写機やレーザープリンターなどの電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた画像出力機器、その他の電化製品や自動車などの樹脂部品として好適に使用できる。
国際公開第02/006400号パンフレット 特開2004−346167号公報 国際公開第06/097979号パンフレット 特開2007−063516号公報

Claims (8)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)、及びポリ乳酸とポリヒドロキシアルカノエート共重合体とのブロック共重合体(C)を含有し、以下の(1)から(5)の全てを満足することを特徴とする樹脂組成物。
    (1)前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)は、3−ヒドロキシブチレートモノマーユニットと下記化学式[1]で表されるモノマーユニットで構成されるヒドロキシアルカノエート共重合体である。
    Figure 0005212183
    (但し、RはC2n+1(n=2〜14の範囲)とする。)
    (2)前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)における前記3−ヒドロキシブチレートモノマーユニットの組成率bは、70〜95モル%である。
    (3)前記ポリ乳酸樹脂(A)と前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の合計含有量を100重量部としたとき、前記ブロック共重合体(C)の含有量は1〜11重量部である。
    (4)前記ブロック共重合体(C)のモノマー単位は、3成分以上であり、且つ前記ブロック共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は1,000〜100,000に範囲内にある。
    (5)前記ポリ乳酸樹脂(A)と前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)の合計含有量を100重量部とし、前記ポリ乳酸樹脂(A)の含有量をa(重量部)とし、前記ブロック共重合体(C)における乳酸モノマー単位の組成率をcモル%としたとき、aおよびcは、下記の関係式を満足する。
    a−15≦c≦a+15
    60≦a≦95
    c≦95
  2. 前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)は、微生物産生ヒドロキシアルカノエート共重合体であり、前記ブロック共重合体(C)の乳酸成分は、D乳酸、L乳酸、及びD乳酸とL乳酸の混合物のうちいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ブロック共重合体(C)における重合ブロックであるポリヒドロキシアルカノエート共重合体ブロック中のモノマー単位は、前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)に使用できるモノマー単位と同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(B)は、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 結晶化核剤をさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記結晶化核剤は、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、及びベンゾイル化合物系核剤から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形したことを特徴とする成形品。
  8. 電気・電子機器に備えられていることを特徴とする請求項7に記載の成形品。
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