JP5211675B2 - 安水からのアンモニア性窒素およびcod成分の除去方法 - Google Patents

安水からのアンモニア性窒素およびcod成分の除去方法 Download PDF

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本発明は、コークス工場から排出される安水中に含まれる高濃度のアンモニア性窒素およびCOD成分(以下、単に「COD」とも言う)を安定的、効率的に除去する水処理方法に関する。
製鉄所のコークス工場から高濃度のアンモニア性窒素化合物およびCODを含有する廃水が発生し、「安水」と呼称されている。このような安水に含まれるアンモニアは、加熱操作(加熱空気や蒸気利用)により、空中にアンモニアガスとして放散が容易に行えるかどうかによって、下記の2種類に分類されている:
(1)遊離アンモニア:NH3
(2)固定アンモニア:NH4Cl、(NH42SO4など
この「固定」という表現は、アンモニアが、アンモニウムイオン(NH4 +)として水中に存在しているため、アンモニアガスとして容易に放散できないという理由によるものである。固定アンモニアを遊離アンモニアとするためには、下記の反応式(1)のように、pHおよび水温を上昇させればよい。
NH4 + + OH- → NH3 + H2O (1)
水のpHや水温の上昇により(1)式の反応が進行し、遊離のアンモニア(NH3)の存在比率が増大する。例えば、水温20℃、pH8の廃水では、遊離のアンモニア(NH3)の存在比率はわずか5質量%程度であるが、廃水のpHを9に高めれば、約30質量%が遊離のアンモニアとして、また、pHを10に高めれば約80質量%が遊離のアンモニアとして水中に存在することになる。さらに、水温が80℃になると、pHを9に高めれば約90質量%が遊離アンモニアとなる。したがって、遊離アンモニアの存在割合は、廃水のpH及び水温によって、大幅に変わってくる。
このような安水中のアンモニアを除去する方法として、アンモニアストリッピング法(非特許文献1、p412)が用いられている。
アンモニアストリッピング法とは、基本的には前記(1)式の反応を利用したものであり、製鉄所コ−クス工場を中心に広く実用化されている。その方法は以下の通りである。
まず、消石灰や水酸化ナトリウムを用いて廃水のpHを上昇させるとともに、必要に応じて水温を調整する。工場に加熱源があり、pHがある程度高い場合には、pHを調整せずに水温のみを上昇させる場合もある。廃水中の遊離アンモニアの割合を増大させた後、廃水を各種の充填材を充填したストリッピング塔の上部から散布するとともに、下部から大量の空気を吹き込むことにより、廃水の遊離アンモニアを空気中に放散する。処理する廃水量と吹き込む空気量との比(以下、「気液比」という)が、アンモニアの除去率に影響を及ぼす重要な要素であり、通常、数千倍の値がとられている。
しかし、アンモニアストリッピング法には、ランニングコストが高いという問題がある。上述したように、アンモニアの除去率をあげるためには、水温およびpHをかなり上昇させる必要がある。そうしなければ、遊離アンモニアの一部しか除去できない。
従って、アンモニアストリッピング法単独で高濃度のアンモニアを含む廃水中の窒素を除去するのは得策ではないと思われる。また、さらに、アンモニアストリッピング法では、放散するアンモニアガスの処理が必要であるという問題もある。この処理方法としては、アンモニア水として回収、硫安として回収、燃焼、触媒燃焼などの方法がある。しかしながら、いずれの方法も設備費、ランニングコストの更なる上昇を招いてしまう。
一方、微生物を用いる生物学的硝化−脱窒素法(非特許文献1、p413〜416)が広く下水などに用いられており、安水処理への適用検討事例も散見される。
微生物を用いる生物学的硝化−脱窒素法とは、好気性独立栄養細菌(ニトロゾモナス、ニトロバクター等の硝化細菌)による生物学的酸化と通性嫌気性従属栄養細菌(シュードモナス等)による生物学的還元の組み合わせから成っている。この原理は以下の通りである。
まず、硝化工程は、好気槽で行われ、以下の反応式(2)と(3)で示される2段の反応から成っており、関与する硝化細菌の種類は異なっている:
2NH4 + + 3O2 → 2NO2 - + 2H2O + 4H+ (2)
2NO2 - + O2 → 2NO3 - (3)
(2)式に示す反応は、ニトロゾモナスを代表種とするアンモニア酸化細菌(亜硝酸菌)によってもたらされ、(3)式に示す反応は、ニトロバクターを代表種とする亜硝酸酸化細菌(硝酸菌)によってもたらされる。
反応式(2)と(3)から明らかなように、アンモニア性窒素1モルに対して、亜硝酸生成であれば1.5モルの酸素、硝酸生成であれば2.0モルの酸素が必要である(以下の表1を参照のこと)。
Figure 0005211675
ところで、ニトロバクターを代表種とする亜硝酸酸化細菌は、廃水中のアンモニア性窒素濃度が上昇し、遊離のアンモニア(NH3)濃度が上昇するとこの阻害を受けやすいと言われている(非特許文献2、p298)。特に、排水のpHが高くなりすぎると遊離のアンモニアの存在割合が高まるため、亜硝酸酸化細菌が阻害を受けるため、亜硝酸が蓄積しやすくなる。このような場合、硝化反応は反応式(2)で停止しやすく、水中には亜硝酸性窒素が蓄積しやすい。都市下水(アンモニア性窒素濃度:50mg/L以下)では、このような現象はほとんど生じない。しかし、アンモニア性窒素濃度が高い工場排水や安水は、亜硝酸性窒素が蓄積しやすい。亜硝酸は、CODとして測定されるため、窒素除去が必要でない場合、反応式(2)の反応が生じないような硝化抑制運転がなされている。
しかし、窒素除去が必要な場合、この特性を逆に利用することが考えられる。すなわち、亜硝酸酸化細菌が、亜硝酸阻害を受けるpHで操業し、アンモニア性窒素を亜硝酸までの酸化で止めて、その亜硝酸から脱窒素を行うことが考えられる。
アンモニア酸化工程(亜硝酸生成工程)では反応式(2)のようにアンモニア性窒素1モルに対して、2モルのH+が発生するため、pHが低下し易い。pH低下を防ぐためには、2モルのOH- を供給する必要がある:
CaCO3 → Ca2++CO3 2- (4)
CO3 2-+H2O → HCO3 -+OH- (5)
HCO3 - → CO2+OH- (6)
これから、CaCO31モルは、2モルのOH- を供給できる。したがって、アンモニア性窒素1モルの酸化に対して、アルカリ度としてCaCO31モルが必要となる。ここで、アルカリ度とは、OH-をCaCO3で供給するとして設定されている指標であるが、換言すれば、アンモニア性窒素1mgに対しては、100/14=7.14mgのアルカリ度(=CaCO3量)が必要である。これは、亜硝酸生成、硝酸生成ともにかわらない(以下の表2を参照のこと)。
Figure 0005211675
これらの結果から、例えば、安水のアンモニア性窒素濃度が500mg/Lの場合、好気槽のpHを硝化細菌の活動に適した値に維持するため、好気槽での硝化工程で必要とするアルカリ度は、3500mg/L程度と推定される。アルカリ度が不足する場合、アルカリ供給設備を設ける必要がある。しかし、後述する脱窒反応においてアルカリ度が供給されるため、脱窒槽を設けたプロセスにおいては、半分程度の必要量となる。
脱窒工程においては、硝化反応によって生成した亜硝酸性窒素並びに硝酸性窒素は、一般的に通性嫌気性従属栄養細菌を用い、無酸素の条件下で、以下の反応式(7)と(8)のように還元されて、窒素ガス(N2)となり大気中に放散される:
2NO2 - + 3H2 → N2 + 2H2O + 2OH- (7)
2NO3 - + 5H2 → N2 + 4H2O + 2OH- (8)
脱窒反応には水素供与体が必要であり、有機物が通常利用されている。都市下水などでは、下水中の有機物(BOD(生化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)として表示される)がそのまま用いられ、有機物を含まない廃水ではメタノールなどが外部から添加されることが多い。
生物学的硝化−脱窒素法は、ランニングコストが安価でかつ安定した処理方法であり、都市下水処理を代表として広く用いられている。この場合、反応系は反応式(2)、(3)、(8)の硝酸生成−硝酸脱窒系となる。
一方、廃水中に含まれる遊離のアンモニア性窒素濃度が100mg/Lを超えると、先にも述べたように、好気槽の硝化工程において、亜硝酸酸化細菌であるニトロバクターが阻害を受けやすく、この結果、処理水中に亜硝酸性窒素が蓄積しやすい。このように大量に蓄積した亜硝酸は、脱窒細菌などの従属栄養細菌に対して阻害作用を有しているとの報告もある(非特許文献3、p18〜28)。
しかし、発明者らは、このような環境でも亜硝酸が脱窒細菌などの従属栄養細菌に対して大きな阻害作用を有しておらず、反応式(2)の脱窒素が可能であることを見出した。反応系は反応式(2)と(7)の組み合わせからなる亜硝酸生成−亜硝酸脱窒素系となる。本法の場合、硝酸生成−硝酸脱窒系と比較すると、必要酸素量は75%、必要COD量は60%程度ですむ利点がある。(特許文献1、特許文献2参照)
特開2004-230338 特開2005-211832 水処理管理便覧、丸善、平成10年 水処理工学(第二版)、技報堂出版、1990 遠矢泰典、生物学的脱窒素法に関する研究(II)、下水道協会誌、VOl.7、NO.5、p18〜28、1970
前記したように、本発明者らは、高濃度のCOD(化学的酸素要求量)成分とアンモニア性窒素化合物を含有する安水を安定して効率的に処理する方法を基本的に確立した(特許文献1、特許文献2参照)。これらの方法は、高濃度のCOD成分とアンモニア性窒素化合物を含有する安水から、まず、好気槽においてアンモニア性窒素を亜硝酸まで酸化し、この後、脱窒槽(無酸素槽)において、COD成分を利用して、亜硝酸を窒素ガスまで還元する方法である。亜硝酸生成量が脱窒素に必要なCOD量よりも大きな場合は、窒素除去量を増やすためには不足するCOD成分を脱窒槽に添加する必要がある。また逆に、亜硝酸生成量が脱窒素に必要なCOD量よりも小さい場合は、COD成分を脱窒槽に添加する必要は無く、亜硝酸生成を促進する必要がある場合がある。
しかし、これまでの方法は、亜硝酸脱窒素反応に必要なCOD量の推定方法は、安水のCOD濃度を基準としており、COD成分のどの程度が脱窒素に寄与しているのかは不明であり、運転方法が最適化されているとはいい難い。本発明は、このような問題を解決して、上記の生物処理を従来法より効率化した安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、高濃度のCOD(化学的酸素要求量)成分とアンモニア性窒素化合物を含有する安水をより安定して効率的に処理する方法について、種々の検討を行った結果、脱窒素に寄与している主たる安水中のCOD成分は、フェノール、チオシアン、チオ硫酸であることを見出し、前記3種類の濃度から脱窒素に必要なCOD成分の必要量を正確に推定することができることを見出して、安水から安定して、アンモニア性窒素とCODを同時に除去することに成功した。本発明の要旨とするところは、次の(1)〜(7)である:
(1)コークス工場から発生する安水中のアンモニア性窒素を、好気槽にて、安水活性汚泥中のアンモニア酸化細菌を用いて酸化して亜硝酸性窒素を生成させると共に、この亜硝酸性窒素含有液を無酸素槽に循環させ、前記無酸素槽にて、安水活性汚泥中の脱窒細菌および安水中のCOD成分を用いて、前記循環液中の前記亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元することで前記COD成分の分解と脱窒を行い、前記無酸素槽の処理水は前記好気槽へ送液する生物学的硝化−脱窒素法を用いた安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法において、
前記脱窒細菌での生物分解が可能な安水中のCOD成分濃度を求め、当該COD成分濃度から前記無酸素槽における脱窒可能な前記亜硝酸性窒素量を推定すると共に、前記安水中のアンモニア性窒素濃度およびアルカリ度から前記好気槽における亜硝酸性窒素生成量を推定し、
前記2つの推定量から、前記無酸素槽への生物分解可能なCOD成分の添加の必要性と前記好気槽でのpH制御の必要性を決定し、
前記無酸素槽への生物分解可能なCOD成分添加も前記好気槽でのpH制御も行わない処理、前記無酸素槽への生物分解可能なCOD成分添加も好気槽でのpH制御も行う処理、又は、無酸素槽への生物分解可能なCOD添加のみを行なう処理のいずれかの処理を選択し、安水中の窒素をCOD成分との反応により除去することを特徴とする安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
(2)前記脱窒細菌での生物分解が可能な安水中のCOD成分濃度を求め、当該COD成分濃度から前記無酸素槽における脱窒可能な前記亜硝酸性窒素量を推定する手段が、
安水中のCOD成分の中からフェノール、チオシアン、チオ硫酸を選択し、前記3種類のそれぞれの濃度と、前記それぞれのCOD成分の亜硝酸性窒素との化学反応式における理論量比とから、脱窒可能な亜硝酸性窒素量を推定することを特徴とする前記(1)に記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
(3)前記脱窒細菌での生物分解が可能な安水中のCOD成分濃度を求め、当該COD成分濃度から前記無酸素槽における脱窒可能な前記亜硝酸性窒素量を推定する手段が、
前記脱窒細菌での生物分解における生物難分解COD濃度を求め、安水中の全COD成分濃度と前記生物難分解COD成分濃度との差から、前記無酸素槽における脱窒可能な亜硝酸性窒素量を推定することを特徴とする前記(1)に記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
(4)前記好気槽の後段に第2無酸素槽を設け、前記好気槽からの流出水に残留する亜硝酸性窒素を除去することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
(5)前記好気槽の硝化速度および前記無酸素槽の脱窒速度に基づいて、好気槽と無酸素槽との容量比を決定することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
(6)前記無酸素槽に、COD成分として、生物分解が可能な有機物と硫黄化合物の一方または双方を添加することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
(7)前記第2無酸素槽に、COD成分として、生物分解が可能な有機物と硫黄化合物の一方または双方を添加することを特徴とする前記(4)〜(6)のいずれかに記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
本発明により、高濃度のCOD成分とアンモニア性窒素化合物を含有する安水から、従来法よりも安定して効率的にCODと窒素を処理できる。
以下、本方法について、詳細に説明する。
本発明に係るプロセスは、高濃度のCOD成分とアンモニア性窒素化合物を含有する安水から、COD成分と窒素を同時に処理する活性汚泥処理プロセスである。図4に、本発明に係るプロセスの一例を示す。本実施形態では、脱窒素を行なう無酸素槽(2)と亜硝酸生成を行なう好気槽(3)から成り立っている。好気槽(3)の亜硝酸性窒素含有液(8)を無酸素槽(2)に循環させ、無酸素槽(2)にて、脱窒細菌、および、該廃水中のCOD成分を還元剤として用いて、該循環液(8)中の亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元し、安水からアンモニア性窒素とCOD成分を生物学的に除去する。
このような脱窒反応を進めるためには、無酸素の条件ばかりでなく、通常、還元剤として有機物が必要である。実際には廃水中の有機物を用いることが多いが、このような脱窒反応に寄与する有機成分を特定することは難しいため、COD(酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いた場合の化学的酸素消費量)やBOD5(5日間の生物学的酸素消費量)を用いて有機物総量を総括的に推定する場合が多い。脱窒細菌としては、通常、有機物をエネルギー源とし、有機物を固定化し増殖する従属栄養細菌が用いられる。
ところで、有機化合物と微生物による分解性との関係は数多くあるが、通常、酸素を用いた場合の分解の報告が大半であり、脱窒反応で消費されうる有機化合物の種類についての報告例は少ない。廃水処理の脱窒反応で、一般によく用いられる有機化合物は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの1価のアルコール、酢酸などのカルボン酸、あるいは、グルコースなどの単糖類である。芳香族化合物は、ほとんど脱窒素反応に用いられないが、単環でOH基やCOOH基を持つものは、脱窒素反応で使用できる可能性はある。一方、多環芳香族化合物でアミノ基やケトン基を持つものは、脱窒素反応で使用できる可能性は少ない。
安水の場合、通常、有機物の90 %程度は、単環芳香族化合物であるフェノールである。このほかに、単環芳香族化合物であるキシレンやクレゾールなどの存在も確認されているが、脱窒素反応の基質として反応するとしても無視できる量である。また、安水中の多環芳香族化合物の存在は、ゲルクロマトグラフィーなどで確認しているが、これらの物質は生物学的に分解が難しく、脱窒素反応には寄与しないと考えられる。多環芳香族化合物の種類や存在割合は、コークス製造工程の影響を受けやすく、大きく変動し易い。その存在割合は、通常、全有機物の5〜10%程度である。
したがって、安水の場合、脱窒素反応に寄与する有機物としては、フェノールのみを考えてよいと思われる。脱窒素反応でフェノールを資化する細菌は、特定はされていないものの、従属栄養細菌群の1種であり、好気性(酸素の存在下)でフェノールを資化する細菌群に近いと推定される。
このほか、有機物ではなく、硫黄化合物などの無機物を酸化しこのエネルギーを利用し空気中のCO2を固定化し増殖する独立栄養細菌(硫黄酸化細菌)を、脱窒素反応に用いる場合もある。安水に含まれる主要な硫黄化合物は、チオ硫酸(S23 2-)およびチオシアン(SCN-)であり、硫黄化合物の90%以上を占める。このほかに、亜硫酸(SO3 -)や硫化物(S2 -)があるが、無視できる程度である。
発明者らは、このように、安水に含まれるCOD成分で、脱窒素に関わる主要物質は、特に有機物がフェノール、硫黄化合物がチオシアン(SCN-)およびチオ硫酸(S23 2-)であり、安水活性汚泥中には、従属栄養細菌および硫黄酸化細菌が共に存在していることから、フェノール、チオシアン(SCN-)、チオ硫酸(S23 2-)濃度から、脱窒素可能な亜硝酸窒素量をより正確に推定できると考えた。従来は、安水に含まれるCOD成分すべての濃度から、可能な脱窒素量を推定する場合が多く、このことが過剰な脱窒素能力を推定し、処理の安定性を阻害する原因となっていた。
以下、詳細にその機構を説明する。
まず、フェノール (C65OH、分子量=94)について説明する。
フェノールは、以下の反応式(9)からCODに換算できる。理論CODは、7×32/94=2.38(g-COD/g-フェノール)であるが、CODの測定に用いる過マンガン酸カリウムの酸化力では完全にフェノールを酸化できないことが推定された。このため、フェノール単独での濃度分析値とフェノール単独でのCOD値とを比較した。この結果、2.1g-COD/g-フェノール程度とやや理論値よりも低い値となった。安水中にフェノールを添加した場合の測定値もほぼ同一となったため、本数値を脱窒素反応の評価にも用いることができる。図1に実測値に基づくフェノールとCODの関係を示す。
65OH + 7O2 → 6CO2 + 3H2O (9)
反応式(10)、(11)に硝酸脱窒、亜硝酸脱窒の式を示す。
硝酸脱窒の場合、窒素1gの脱窒素に対して必要なフェノールは、1.2gとなる。フェノール1gは、CODとして2.1gとして測定されるため、COD/N質量比は、2.5程度となる。一方、亜硝酸脱窒の場合、窒素1gの脱窒素に対して必要なフェノールは、0.72gとなる。フェノール1gは、CODとして2.1gとして測定されるため、必要なCOD/N質量比は、1.5程度となる。これから、亜硝酸脱窒の場合、脱窒に必要なフェノールは、硝酸脱窒の場合と比較して60%ですむことになる(以下の表3を参照のこと)。
硝酸脱窒:5C65OH+28NO3 - → 14N2+30CO2+H2O+28OH- (10)
亜硝酸脱窒:3C65OH+28NO2 -+5H2O → 14N2+18CO2+28OH- (11)
Figure 0005211675
詳細は後述するが、安水活性汚泥処理の場合、硝化工程で、通常、硝酸が生成・蓄積することは少なく、亜硝酸が生成・蓄積する。
また、フェノール脱窒で供給されるアルカリ度(脱窒反応により供給されるOH-と同量のOH-を生成するのに必要なCaCO3相当量)も、上記反応式(10)、(11)から推定される。
硝酸脱窒の場合、1モルの脱窒素(N)に対して、アルカリ度が0.5モル発生する。すなわち、窒素1mgに対して、3.57mgのアルカリ度が発生する。一方、亜硝酸脱窒の場合も、1モルの脱窒素に対して、アルカリ度が0.5モル発生する。すなわち、窒素1mgに対して、3.57mgのアルカリ度が発生する(以下の表4を参照のこと)。
Figure 0005211675
次に、チオ硫酸(S23 2-、分子量:112)について説明する。
チオ硫酸は、以下の(12)式からCODに換算できる。
23 2-+2O2+H2O → 2SO4 2-+2H+ (12)
理論値では、2×32/112=0.57(g-COD/g-チオ硫酸)であるが、CODの測定に用いる過マンガン酸カリウムの酸化力では完全に酸化できないため、フェノールの場合と同様に実測した。実測では、0.48g-COD/g-チオ硫酸程度であることが判った。本数値を脱窒素反応の評価にも用いることができる。図2にチオ硫酸とCODの関係を示す。
硫黄源がチオ硫酸の場合、硫黄酸化細菌による脱窒素反応は以下の反応式(13)と(14)で表される。
硝酸脱窒:5S23 2-+8NO3 - +H2O → 4N2 +10SO4 2- +2H+ (13)
亜硝酸脱窒:3S23 2-+8NO2 -+ H2O → N2 +6SO4 2- + 2OH- (14)
硝酸脱窒の場合、窒素1モルを脱窒素するために必要なチオ硫酸は5/8モルである。したがって、1g-Nを脱窒素するために必要なチオ硫酸は、5.1gとなる。チオ硫酸1gは、CODとして0.48g−CODとして測定されるから、必要なCOD/N比は、2.5程度となる。
一方、亜硝酸脱窒の場合、窒素1モルを脱窒素するために必要なチオ硫酸は3/8モルである。窒素1gに対して必要なチオ硫酸は、3gとなる。さらにチオ硫酸1gは、CODとして0.48g−CODとして測定されるから、必要なCOD/N比は、1.4程度となる。
したがって、亜硝酸脱窒の場合、脱窒に必要なチオ硫酸は、硝酸脱窒の場合と比較して必用量60%程度となる(以下の表5を参照のこと)。
Figure 0005211675
また、チオ硫酸脱窒で供給されるアルカリ度も、上記反応式(13)と(14)から推定される。
硝酸脱窒の場合、1モルの脱窒素に対して、H+が1/4=0.25モル増加する。
言い換えればアルカリ度が0.125モル減少する。窒素1gに対しては、0.89gのアルカリ度が減少する。
一方、亜硝酸脱窒の場合、逆に1モルの脱窒素に対して、OH-が1/4=0.25モル増加する。言い換えればアルカリ度が0.125モル増加する。窒素1gに対しては、0.89gのアルカリ度が増加する。
このようにチオ硫酸を用いた亜硝酸脱窒素法では、アルカリ度を供給できる利点がある(以下の表6を参照のこと)。
Figure 0005211675
次に、チオシアン(SCN-、分子量:58)について説明する。
チオ硫酸は、以下の反応式(15)からCODに換算できる。
SCN-+2O2+2H2O → SO4 2-+NH4 ++CO2 (15)
理論値では、2×32/58=1.10(g-COD/g-SCN)であるが、CODの測定に用いる過マンガン酸カリウムの酸化力では完全にチオシアンを酸化できないため、フェノールの場合と同様に実測した。実測では、1.0g-COD/g-SCN程度である。本数値を脱窒素反応の評価にも用いる。図3にチオシアンとCODの関係を示す。チオシアンの場合、脱窒素反応は以下の反応式(16)と(17)を用いて推定される。
硝酸脱窒:5SCN-+11NO3 -+3H2O → 8N2+5SO4 2-+5CO2+6OH- (16)
亜硝酸脱窒:3SCN-+11NO2 -+4H2O → 7N2+3SO4 2-+3CO2+8OH-(17)
硝酸脱窒の場合、窒素1gを脱窒素するために必要なチオシアンは、5×58/11×14=1.88gとなる。チオシアン1gは、CODとして1.0g−CODとして測定される。したがって、必要なCOD/N比は、1.88程度となる。
一方、亜硝酸脱窒の場合、窒素1gに対して必要なチオシアンは、3×58/11×14=1.13gとなる。さらにチオシアン1gは、CODとして1.0g−CODとして測定される。したがって、必要なCOD/N比は、1.13程度となる。
したがって、亜硝酸脱窒の場合、脱窒に必要なチオシアンは、硝酸脱窒の場合と比較して60%ですむことになる(以下の表7を参照のこと)。
Figure 0005211675
また、チオシアン脱窒で供給されるアルカリ度も、上記反応式(16)、(17)から推定される。
硝酸脱窒の場合、1モルの脱窒素に対して、アルカリ度が0.272モル発生する。すなわち、窒素1mgに対して、1.94mgのアルカリ度が減少する。一方、亜硝酸脱窒の場合、1モルの脱窒素に対して、アルカリ度が0.362モル発生する。すなわち、窒素1mgに対して、2.58mgのアルカリ度が発生する。このようにチオシアンを用いた亜硝酸脱窒素法では、アルカリ度を硝酸脱窒素法よりも2倍供給できる利点がある(以下の表8を参照のこと)。
Figure 0005211675
以上の検討結果を用い、実際の安水水質から、亜硝酸脱窒素で除去可能な脱窒素量を推定する。
安水(TN(全窒素)、COD、フェノール、チオ硫酸、チオシアン)の平均水質および脱窒素可能量の推定値を以下の表9に示す。この結果、フェノール、チオ硫酸、チオシアンから推定される脱窒量は、289+117+95=501mg/Lとなる。
ここで、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの分析法は以下の通りである。
1) フェノール(JISK0102準拠):蒸留した安水のpHを約10に調節し、4−アミノアンチピリン溶液とヘキサシアノ鉄(III )カリウム溶液を加えて、生成する赤色のアンチピリン色素の510nmの吸光度を測定。
2) チオ硫酸:安水に酢酸亜鉛を加えて、硫化物を硫化亜鉛として沈殿、ろ過する。酢酸酸性下でヨウ素滴定で測定。チオシアン酸鉄(III )を形成させ、450nmの吸光度を測定。
3) チオシアン:安水に塩化亜鉛を加えて、シアン化物をマスキングし、塩化第ニ鉄を加えてチオシアン酸鉄(III )を形成させ、450nmの吸光度を測定。
Figure 0005211675
さらに、簡易的に、安水のCOD濃度および、活性汚泥処理水に残留する生物難分解COD濃度から、安水中の生物分解可能なCOD濃度を求め、この生物分解可能なCOD濃度から亜硝酸脱窒素で除去可能な脱窒素量も推定できる。この場合、生物難分解COD濃度をバッチの活性汚泥処理実験などから測定することが可能である。具体的には、以下のような方法で生物難分解COD濃度を求める。製鉄所の安水活性汚泥処理設備の好気槽(曝気槽)から安水活性汚泥混合液を採取し、この1Lを2Lビーカーに投入し、恒温槽内(水温=30〜35℃)に設置する。曝気(空気量=3L/min)を行いながら、2LビーカーのpHを10%NaOH溶液および10%H2SO4で所定のpH=7に、また、DO(溶存酸素)を5〜7mg/Lに制御する。1日程度の曝気を継続した後、活性汚泥混合液をろ過し、NO2-N濃度およびCOD濃度を測定する。NO2-Nは、(3)式に従い、NO3-Nまで酸化するために16/14=1.14倍の酸素が必要である。したがって、NO2-Nが存在すると、1.14*NO2-N濃度 がNO2-N起因のCOD濃度として計測される。このため、以下のようにして、活性汚泥処理水のCOD濃度からNO2-N起因のCOD濃度をさしひき、生物難分解COD濃度を決定する。
NO2-N起因のCOD濃度=1.14×NO2-N濃度
生物難分解COD濃度 =測定COD濃度− NO2-N起因のCOD濃度
=測定COD濃度−1.14×NO2-N濃度
安水中の生物分解可能なCOD濃度=安水COD濃度−生物難分解COD濃度
表9のケースの場合、このようなバッチ実験を実施し、生物難分解COD濃度=105mg/Lと測定された。この場合、安水中の生物分解可能なCOD濃度は、安水COD−生物難分解COD濃度から、812-105=707mg/Lとなる。そして、代表的な主要COD成分であるフェノールのCOD/N比=1.5を採用すると、窒素除去量は、(COD濃度−生物難分解COD濃度)/1.5からほぼ推定できる。以下の表10に示すように、この推定結果は471mg/Lとなり、各成分から求めた窒素除去可能量501mg/Lとほぼ一致した。COD/N比としてフェノールのCOD/N比を用いた場合、チオ硫酸やチオシアンのCOD/N比を用いた場合よりも、窒素除去可能量が小さく、安全サイドの予想となり、これを用いることが望ましいと考えられる(以下の表10を参照のこと)。さらに、安水中のフェノールとチオ硫酸とチオシアンの濃度比にそれほど変動が無いのであれば、一度測定した3種の濃度比を正として、3種混合のCOD/N比を求め、当該値を使用してもかまわない。表9のケースの場合、3種混合のCOD/N比は、1.39となり、窒素除去量は、707/1.39=509mg/Lとなった。このように、3種混合のCOD/N比から窒素除去可能量を推定してもかまわない。
Figure 0005211675
以上の結果をまとめると以下のようになる。
安水から亜硝酸脱窒による窒素除去ポテンシャルは、排水の生物分解可能なCOD成分と考えられるフェノール、チオ硫酸、チオシアン濃度から正確に推定できる。また、安水中のCOD濃度と安水活性汚泥処理水に残留する生物難分解COD濃度の差を代表的な主要COD成分であるフェノールのCOD/N比の1.5で除し、簡易的に無酸素槽における脱窒可能な亜硝酸性窒素量を推定することも可能である。さらに、安水中のフェノールとチオ硫酸とチオシアンの濃度比にそれほど変動が無いのであれば、一度測定した3種の濃度比を正として、3種混合のCOD/Nを求め、当該値を使用してもかまわない。硝化工程で生成する亜硝酸性窒素は、この脱窒素ポテンシャル以上に除去することはできない。
したがって、外部から生物分解が可能なCOD成分を添加しない限り、硝化工程で生成する亜硝酸性窒素は、この安水の脱窒素ポテンシャル以下にする必要がある。安水の脱窒素ポテンシャルをあげるためには、外部からCOD成分を無酸素槽に添加する脱窒素方法が考えられる。COD成分としては、フェノールなどの有機物とチオ硫酸などの硫黄化合物の一方または双方を添加すればよい。さらに、COD成分として、上記成分を含む排水や安水そのものを添加してもかまわない。
次に、硝化工程での運転方法について説明する。
先にも述べたように硝化反応とは、アンモニア性窒素が亜硝酸性窒素である反応式(2)および硝酸性窒素に酸化される反応式(3)である。ニトロバクターを代表種とする亜硝酸酸化細菌は、遊離のアンモニア(NH3)の阻害を受けやすい。安水はこの場合に相当し硝化反応は反応式(2)で停止しやすく、水中には亜硝酸が蓄積しやすい。
硝化工程で生成する亜硝酸性窒素は、脱窒素ポテンシャル以下にするためには、安水のアルカリ度によって亜硝酸の生成を制御することが望ましい。
以下の表11に、pHを6.5から8.0に制御した場合の単位活性汚泥量あたりの亜硝酸生成硝化速度を示す。
Figure 0005211675
これから明らかなように、pH=7〜7.5で最も硝化速度は大きく、120 mg-N / g-MLSS day-1の硝化速度があった。一方、pH6.5以下になると硝化速度は、pHが7-7.5の時と比較し、1/2-1/3程度に低下した。これから、安水のアルカリ度が硝化反応によって消費されpHが低下していくと亜硝酸生成反応は停止することは明らかである。
換言すれば、亜硝酸生成量は、安水のアルカリ度およびCOD成分から供給されるアルカリ度の和によって決定される。以下の表12に安水のCOD成分から供給されるアルカリ度を示す。
Figure 0005211675
アルカリ度は、約1390mg/L供給される。したがって、安水に元々、含有していたアルカリ度が1000mg/L程度とすると、アルカリ度の総和は、2390mg/L程度となる。前述したように、アンモニア性窒素1mgに対しては、100/14=7.14mgのアルカリ度(=CaCO3量)が必要である。これは、亜硝酸生成、硝酸生成ともにかわらない(上記表2を参照のこと)。したがって、アルカリ度から制限される亜硝酸生成量は、2390/7.14=335mg/Lとなる。
本数値を前述した脱窒素ポテンシャルと比較する。
前述したように、脱窒素ポテンシャルは、475〜484mg/L程度と推定されるため、生成した亜硝酸は全て脱窒素可能である。すなわち、特にpH制御やアルカリ度制御をおこなわなければ、窒素除去可能量は、亜硝酸の生成量で規定されることとなる。
窒素除去量を脱窒素ポテンシャル程度まで上昇させるためには、好気槽のpH制御や原水のアルカリ度制御が必要で、亜硝酸生成量を増加させなければならない
加えてさらに、窒素除去量を脱窒素ポテンシャル以上に上昇させるためには、無酸素槽に生物分解可能なCOD成分を添加する必要がある。無酸素槽には従属栄養細菌、硫黄酸化細菌が共に存在しているため、生物分解可能なCOD成分は、有機物と硫黄化合物の一方または双方を添加すればよい。
このような好気槽のpH制御、あるいは、無酸素槽への生物分解可能なCOD成分添加の実施は、[安水活性汚泥処理プロセスに要求される窒素除去要求量]から決定する。すなわち、無酸素槽へのCOD成分添加も好気槽でのpH制御も行わない方法、あるいは、無酸素槽へのCOD成分添加も好気槽でのpH制御も行う方法、あるいは、いずれか1方法のみを行なういずれかの方法を選択し、実施すればよい。しかし、通常の場合には、pH制御を行った場合、生成する亜硝酸量に対して、安水のCOD成分が不足するケースが大半と予想され、無酸素槽へのCOD成分添加が必要となると考えられる。すなわち、以下の3ケースのいずれかを選択すればよい。
(1)好気槽のpH制御なし、無酸素槽へのCOD成分添加なし
(2)好気槽のpH制御なし、無酸素槽へのCOD成分添加あり
(3)好気槽のpH制御あり、無酸素槽へのCOD成分添加あり
さらに、今回の検討結果から、安水活性汚泥処理の好ましいプロセスを検討する。好ましいプロセスは第1無酸素槽(2)-好気槽(3)-第2無酸素槽(4)からなるプロセスと考えられる(図5を参照のこと)。各槽の機能は以下の表13に示す通りである。
Figure 0005211675
窒素除去プロセスが第1無酸素槽(2)-好気槽(3)からなる単段の循環式硝化-脱窒法の場合、窒素除去率は、硝化液(8)の循環率と返送汚泥(10)の汚泥返送率の和によって規定される。例えば、循環率を最大200%、汚泥返送率を100%した場合の窒素除去率は、窒素除去率=1-{1/(1+3)}=0.75となる。この場合、好気槽(3)で生成した亜硝酸の25%が処理水(6)に流出することとなる。しかし、亜硝酸はCODとして測定される。このため、前記好気槽(3)の後段に第2無酸素槽(4)を設け、流出する亜硝酸性窒素を窒素ガスまで還元して除去することが必要である。第2無酸素槽(4)では、汚泥自体を還元剤として利用した方法(内生脱窒素法)またはCOD成分(13)を添加する脱窒素方法が考えられる。COD成分としては、フェノールなどの有機物とチオ硫酸などの硫黄化合物の一方または双方を添加すればよい。さらに、COD成分として、上記成分を含む排水や安水そのものを添加してもかまわない。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。
実施例1:亜硝酸脱窒素に関わるCOD成分の確認と除去可能窒素量の推定
製鐵所から採取した安水を海水で2.5倍希釈した液(安水:海水=1:1.5)に亜硝酸ナトリウムを添加し、NO2-Nとして500mg/Lに調整し、実験原水とした。活性汚泥濃度を5000mg/Lとなるように上記原水1Lと安水活性汚泥を2Lビーカーに添加し、2Lビーカーを恒温槽内(水温:35℃)に設置し、攪拌速度50rpmで汚泥が沈降しない程度に攪拌した。一定時間毎に液を採取し、ろ過後、フェノール、チオシアン、チオ硫酸濃度を測定した。
NO2-Nは経時的に減少し、当初の500mg/Lから2日後に110mg/Lまで低下し(Δ390mg/L)、その後安定した。
フェノール、チオ硫酸、チオシアンも減少し、原水および2日後のフェノール、チオ硫酸、チオシアンのそれぞれの減少濃度から、NO2-N除去量を推定した。計算で求められるNO2-N除去推定量は、(140/0.72)+(296/3)+(99.5/1.1)=194+99+91=Δ384mg/Lとなり、実際のNO2-N除去量とほぼ一致した。安水中には他のキシレン、クレゾール、多環芳香族化合物といったCOD成分が存在するにもかかわらず、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの3つの濃度から推定したNO2-N除去量で実際の除去量が一致することから、亜硝酸脱窒素に寄与する主たるCODは、これら3つの成分であることが明らかになった(以下の表14を参照のこと)。
Figure 0005211675
これらの結果から、原水中に含まれるフェノール、チオ硫酸、チオシアンの3成分によって亜硝酸脱窒が可能であることが確認できた。また、原水のフェノール、チオ硫酸、チオシアンの3成分から除去可能な窒素量を推定できることも確認できた。さらに、3成分の中で最も脱窒素に対する寄与度は、フェノールが最も高く、50%以上あることが明らかになった。
実施例2:亜硝酸蓄積の確認と生物難分解COD濃度の測定
製鉄所の安水活性汚泥処理設備の好気槽(曝気槽)から安水活性汚泥混合液を採取し、この1Lを2Lビーカーに投入し、恒温槽内(水温=35℃)に設置した。曝気(空気量=3L/min)を行いながら、一定時間毎に液を採取し、ろ過後、NH4-N、NO2-N、NO3-N、COD濃度を測定した。2LビーカーのpHは、10%NaOH溶液および10%H2SO4で所定のpH=7に制御した。DO(溶存酸素)は5〜7mg/L、活性汚泥濃度(MLSS)は、4730mg/Lであった。
この結果、活性汚泥混合液中のNH4-N濃度は、0次反応的に減少し、24時間で656mg/Lから94mg/L(ΔN=562mg/L)まで減少した。また、NH4-Nは、NO2-Nまで酸化されたが、NO3-Nまでの酸化はきわめて小さく、亜硝酸蓄積型の硝化反応となった。NO2-N濃度は、24時間で540mg/Lとなり、NH4-Nの減少量とほぼ一致した。
また、生物難分解COD濃度は、以下の式によって、COD濃度、NO2-N濃度から、50mg/Lと推定された。
生物難分解COD濃度=(測定COD濃度)−(NO2-N起因のCOD)
=(測定COD)−(1.14×NO2-N)
実施例3:無酸素槽にCOD成分を添加せず、かつ、好気槽のpH制御も行わない「部分亜硝酸生成-脱窒素プロセス」の検討
原水(安水)のCOD=500mg/L、NH4-N=500mg/L、アルカリ度=1000mg/L、Q=1000m3/日とする。また、活性汚泥濃度(MLSS)=5000mg/Lとなるように調整した。活性汚泥で処理が困難な難分解COD濃度は、実施例2で示したバッチ実験を24時間実施し、処理水に残留したCOD濃度から求めた。この結果、脱窒素に用いることができる生物分解が可能なCOD濃度は、500−50=450mg/Lであった。
活性汚泥の硝化速度(亜硝酸生成)は、150mg-N/g・MLSS・day(pH制御時)、100mg-N/g・MLSS・day(pH無制御時)、安水中の生物分解可能なCOD成分を用いる亜硝酸脱窒速度は200mg-N/g・MLSS・dayとする。内生亜硝酸脱窒速度は、24mg-N/g・MLSS・dayとする。なお、硝化速度、脱窒速度は、実施例1および実施例2で示したバッチ実験をから求める。
処理プロセスの最大許容HRTは36時間とする。本実施例のプロセスは第1無酸素槽-好気槽-第2無酸素槽プロセス(図5)であるが、COD成分(13)は添加せず、好気槽(3)のpH制御(14)も行わず、部分亜硝酸生成-脱窒素とする。
第1無酸素槽(2)で除去可能な脱窒素ポテンシャル(亜硝酸性窒素除去量)は、原水(1)のCODおよび難分解COD濃度から簡易的に推定する。
すなわち、(500-50)/1.5=300mg/L ----B
第1無酸素槽(2)で除去可能な脱窒素ポテンシャル(亜硝酸性窒素除去量)は、原水(1)のフェノール、チオ硫酸、チオシアンの平均水質からも推定される。以下の表15に示すように、フェノール、チオ硫酸、チオシアンから推定される脱窒量は、305mg/Lとなる。
Figure 0005211675
さらに以下の表16に、従来法の安水のCOD濃度から予想した第1無酸素槽(2)で除去可能な脱窒素ポテンシャル(亜硝酸性窒素除去量)との比較を示す。このように発明に係る方法では、脱窒素可能量をより厳しく推定でき、安全サイドにたった運転が可能となる。
Figure 0005211675
pH制御を行わない場合、好気槽(3)において「安水のアンモニア性窒素からの生成する亜硝酸生成量A」は、アルカリ度によって制限される。原水(1)のアルカリ度1000mg/Lおよび原水(1)のCODから脱窒素過程で供給されるアルカリ度(例えば、以下の表17の891mg/L)の和から、アルカリ度=1891mg/Lとする。
Figure 0005211675
亜硝酸生成量は、NH4-Nが500mg/Lもあるに関わらず、アルカリ度から規定され、1891/7.14=265mg/Lとなる。----A
上記のAとBを比較すると、窒素除去の律速は、「脱窒素ポテンシャル」ではなく「亜硝酸生成量」であることがわかる。この場合、たとえ、COD成分(13)を第1無酸素槽(2)に添加しても窒素除去率が向上することはない。したがって、本ケースの場合、第1無酸素槽(2)にCOD成分(13)を添加する必要はない。
窒素除去プロセスが、循環式硝化-脱窒法の場合、窒素除去率は、硝化液の循環率によって規定される。例えば、循環率を250%、汚泥返送率を100%した場合の窒素除去率は、窒素除去率=1-{1/(1+3.5)}=0.78→約80%となる。
第1無酸素槽(2)-好気槽(3)プロセスの循環率から、Aの80%が第1無酸素槽で完全に除去されるとすると、第1無酸素槽(2)と好気槽(3)での窒素除去量は、271×0.8=216mg/Lとなる。この場合、好気槽(3)の出口水には、NH4-N=500−271=229mg/L、NO2-N=271×0.2=54mg/L残留する。第2無酸素槽(4)で、NO2-Nを完全に除去すれば、本方法の場合、窒素除去率は、NH4-Nが229mg/L残存するため、54%程度と推定される。
好気槽(3)の硝化速度および無酸素槽(2)の脱窒速度の基礎データに基づいて、第1無酸素槽(2)、好気槽(3)、第2無酸素槽(4)の必要容量及び容量比を以下のように決定する。
(i)第1無酸素槽(2)
必要容量をVとする。脱窒量は224×1000(g-N/日)であるから、
200×5×V=224×1000 → 必要容量V=224m3
(ii)好気槽(3)
必要容量をVとする。硝化量は280×1000(g-N/日)であるから、
100×5×V=280×1000 → 必要容量V=560m3
(iii)第2無酸素槽(4)
56mg/LのNO2-Nを除去する。COD成分を添加しない内生脱窒素の場合、
内生脱窒素速度=1mgN/gMLSS/h=24mg-N/g・MLSS・dayとする。
24×5×V=56×1000 → 必要容量V=470m3
総容量は、1264m3(HRT=30h)、容量比は 1:2.5:2となる。
第2無酸素槽(4)には、COD成分を添加しない内生脱窒素ではなく、外部からCOD成分(13)を添加してもかまわない。
実施例4:無酸素槽にCOD成分を添加し、かつ、好気槽のpH制御も行う「完全亜硝酸生成-脱窒素プロセス」の検討
原水(安水)のCOD=500mg/L、NH4-N=500mg/L、アルカリ度=1000mg/L、Q=1000m3/日とする。また、活性汚泥濃度(MLSS)は5000mg/Lとする。活性汚泥で処理が困難な難分解COD濃度は、実施例2で示したバッチ実験を24時間実施し、処理水に残留したCOD濃度から求めた。処理水に残留したCOD濃度は50mg/Lであった。この結果、脱窒素に用いることができる生物分解可能なCOD濃度は、500−50=450mg/Lと推定される。
活性汚泥による硝化速度(亜硝酸生成)は、150mg-N/g・MLSS・day(pH制御時)、100mg-N/g・MLSS・day(pH無制御時)であった。また、亜硝酸脱窒速度は200mg-N/g・MLSS・dayであった。硝化速度、脱窒速度は、実施例1および実施例2で示したようなバッチ実験から求めることができる。
安水活性汚泥処理プロセスの最大許容HRTは36時間とする。pH制御を行い、完全亜硝酸生成-脱窒素とする。また、不足するCODを添加する。本実施例のプロセスは第1無酸素槽-好気槽-第2無酸素槽プロセス(図5)である。第1無酸素槽(2)および第2無酸素槽(4)にCOD成分を添加するとともに、好気槽(3)のpH制御(14)も行い、完全な亜硝酸生成-脱窒素とする。
第1無酸素槽(2)で除去可能な脱窒素ポテンシャルは、原水(1)のCOD濃度および難分解COD濃度から推定する。すなわち、亜硝酸性窒素除去可能量は、
(500-50)/1.5=300mg/L----B
第1無酸素槽(2)で除去可能な脱窒素ポテンシャル(亜硝酸性窒素除去量)は、原水(1)のフェノール、チオ硫酸、チオシアンの平均水質からも推定される。フェノール、チオ硫酸、チオシアンから推定される脱窒量は、305mg/Lとなる(上記表15を参照のこと)。
さらに上記表16には、従来法のように原水のCOD値から予想した第1無酸素槽(2)で除去可能な脱窒素ポテンシャル(亜硝酸性窒素除去量)との比較を示す。このように発明法では、脱窒素可能量をより厳しく推定でき、安全サイドにたった運転が可能となる(上記表16を参照のこと)。
好気槽(3)での亜硝酸生成量は、好気槽(3)のpH(16)を、NaOH供給装置(14)によって7〜7.5に制御することにより、アンモニアを亜硝酸にすべて酸化するとする。pH制御を行っている場合、アルカリ度が不足し、実施例3のように硝化反応が阻害されることはない。したがって、原水のアンモニア(500mg/L)は全て酸化され、亜硝酸となる。
したがって、生成する亜硝酸性窒素濃度=500mg/Lとする。----A
AとBを比較すると、窒素除去の律速は、「亜硝酸生成量」ではなく「脱窒素ポテンシャル」であり、脱窒素工程が窒素除去の律速要因となることがわかる。したがって、本ケースの場合、脱窒素を進行させる上で不足分のCOD成分を第1無酸素槽(2)に添加するべきと判断される。
COD成分添加量は、第1無酸素槽(2)で除去できない亜硝酸性窒素濃度の1.5倍として、200×1.5=300mg/L となる。
COD成分をフェノールですべて与えるとすると、図1からフェノールは140mg/L、COD成分をすべてチオ硫酸で与えるとすると図2から620mg/L、COD成分をすべてチオシアンで与えるとすると、図3から300mg/Lとなる。これら3成分を混合して添加してもかまわない。
窒素除去プロセスが、循環式硝化-脱窒法の場合、窒素除去率は、硝化液の循環率によって規定される。例えば、循環率を250%、汚泥返送率を100%した場合の窒素除去率は、窒素除去率=1-{1/(1+3.5)}=0.78→約80%となる。硝化液(8)循環率から、Aの80%が第1無酸素槽で除去されるとすると、
第1無酸素槽(2)と好気槽(3)での窒素除去量は、500×0.8=400mg/Lとなる。
この場合、好気槽(3)の出口水には、NH4-N=0mg/L、NO2-Nが100mg/L残留する。
したがって、第2無酸素槽(4)では、100mg/LのNO2-Nを除去する必要がある。
硝化速度および脱窒速度の基礎データに基づいて、第1無酸素槽(2)、好気槽(3)、第2無酸素槽(4)との容量比を以下のように決定する。
(i)第1無酸素槽(2)
必要容量をVとする。脱窒量は300×1000(g-N/日)であるから、
200×5×V=300×1000 → 必要容量V=300m3
(ii)好気槽(3)
必要容量をVとする。硝化量は500×1000(g-N/日)であるから、
150×5×V=500×1000 → 必要容量V=700m3
(iii)第2無酸素槽(4)
100mg/LのNO2-Nを除去する。
COD成分を添加しない、内生脱窒素の場合、
内生脱窒素速度=1mgN/gMLSS/h=24mg-N/g・MLSS・dayとする。
24×5×V=100×1000 → 必要容量V=850m3
本方法のままでは総容量が1850m3(HRT=44h)となり、適切ではない。
そこで、第2無酸素槽(4)にも外部からCOD成分(13)を添加する。
COD成分の添加量は、除去できない亜硝酸性窒素濃度の1.5倍として、100×1.5=150mg/L となる。
COD成分をすべてフェノールで与えるとすると、図1からフェノールは70mg/L、COD成分をすべてチオ硫酸で与えるとすると図2から310mg/L、COD成分をすべてチオシアンで与えるとすると、図3から150mg/Lとなる。
第2無酸素槽(4)の容量は、200×5×V=100×1000 → 必要容量V=100m3
総容量は1100m3(HRT=26h)となる。本ケースの場合、アルカリ度補給(14)、COD成分補給(13)が必要となるが、窒素除去率は100%となる。
実施例4と比較例(実施例3)の水質比較を以下の表18に示す。
Figure 0005211675
比較例(実施例3)の方法では、窒素除去量に限界があり、アンモニア性窒素が処理水に残留する課題もある。一方、実施例4の方法は、ランニングコストは高いが窒素をほぼ完全に除去できる。
フェノールとCODの関係を示す図である。 チオ硫酸とCODの関係を示す図である。 チオシアンとCODの関係を示す図である。 本発明のプロセスの一例を示す図である。 第1無酸素槽-好気槽−第2無酸素槽からなる本発明に係るプロセスの一例を示す図である。
符号の説明
1 原水
2 無酸素槽(脱窒槽)
3 好気槽
4 第2無酸素槽(脱窒槽)
5 沈殿池
6 処理水
7 循環ポンプ
8 循環液(亜硝酸性窒素含有液)
9 返送ポンプ
10 返送汚泥
11 攪拌機
12 ブロアー
13 COD供給装置
14 NaOH供給装置
15 pH計
16 DO計

Claims (7)

  1. コークス工場から発生する安水中のアンモニア性窒素を、好気槽にて、安水活性汚泥中のアンモニア酸化細菌を用いて酸化して亜硝酸性窒素を生成させると共に、この亜硝酸性窒素含有液を無酸素槽に循環させ、前記無酸素槽にて、安水活性汚泥中の脱窒細菌および安水中のCOD成分を用いて、前記循環液中の前記亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元することで前記COD成分の分解と脱窒を行い、前記無酸素槽の処理水は前記好気槽へ送液する生物学的硝化−脱窒素法を用いた安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法において、
    前記脱窒細菌での生物分解が可能な安水中のCOD成分濃度を求め、当該COD成分濃度から前記無酸素槽における脱窒可能な前記亜硝酸性窒素量を推定すると共に、前記安水中のアンモニア性窒素濃度およびアルカリ度から前記好気槽における亜硝酸性窒素生成量を推定し、
    前記2つの推定量から、前記無酸素槽への生物分解可能なCOD成分の添加の必要性と前記好気槽でのpH制御の必要性を決定し、
    前記無酸素槽への生物分解可能なCOD成分添加も前記好気槽でのpH制御も行わない処理、前記無酸素槽への生物分解可能なCOD成分添加も好気槽でのpH制御も行う処理、又は、前記無酸素槽への生物分解可能なCOD添加のみを行なう処理のいずれかの処理を選択し、安水中の窒素をCOD成分との反応により除去することを特徴とする安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
  2. 前記脱窒細菌での生物分解が可能な安水中のCOD成分濃度を求め、当該COD成分濃度から前記無酸素槽における脱窒可能な前記亜硝酸性窒素量を推定する手段が、
    安水中のCOD成分の中からフェノール、チオシアン、チオ硫酸を選択し、前記3種類のそれぞれの濃度と、前記それぞれのCOD成分の亜硝酸性窒素との化学反応式における理論量比とから、脱窒可能な亜硝酸性窒素量を推定することを特徴とする、請求項1に記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
  3. 前記脱窒細菌での生物分解が可能な安水中のCOD成分濃度を求め、当該COD成分濃度から前記無酸素槽における脱窒可能な前記亜硝酸性窒素量を推定する手段が、
    前記脱窒細菌での生物分解における生物難分解COD濃度を求め、安水中の全COD成分濃度と前記生物難分解COD成分濃度との差から、前記無酸素槽における脱窒可能な亜硝酸性窒素量を推定することを特徴とする、請求項1に記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
  4. 前記好気槽の後段に第2無酸素槽を設け、前記好気槽からの流出水に残留する亜硝酸性窒素を除去することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
  5. 前記好気槽の硝化速度および前記無酸素槽の脱窒速度に基づいて、好気槽と無酸素槽との容量比を決定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
  6. 前記無酸素槽に、COD成分として、生物分解が可能な有機物と硫黄化合物の一方または双方を添加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
  7. 前記第2無酸素槽に、COD成分として、生物分解が可能な有機物と硫黄化合物の一方または双方を添加することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の安水からのアンモニア性窒素およびCOD成分の除去方法。
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