JP2004230338A - 廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法 - Google Patents

廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CODとアンモニア性窒素を含む廃水から窒素を効率的に安定して除去する方法の提供。
【解決手段】脱窒槽と好気槽からなる生物学的脱窒素プロセスで、COD成分とアンモニア性窒素化合物を含有する廃水から窒素を除去する方法であって、好気槽において、廃水のpHを7.0〜7.5に制御し、硝化細菌を用いて該廃水中のアンモニア性窒素化合物を酸化して亜硝酸性窒素を生成させ、脱窒槽において、該廃水のpHを8.0〜9.0に制御し、脱窒細菌、および、該廃水中のCOD成分をCOD源として用いて、該廃水中の亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元し、両槽間で該廃水を循環することにより、前記酸化反応および前記還元反応の効率を高め、該廃水中のアンモニア性窒素化合物を窒素ガスに還元して除去することを特徴とする廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃水中に含まれる高濃度のアンモニア性窒素化合物を安定的、効率的に除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高濃度のアンモニア性窒素化合物を含有する廃水は、製鉄所等のコークス工場、屎尿処理場、肥料工場、半導体工場、皮革工場、下水処理場余剰汚泥処理工程などから発生する。
【0003】
このような廃水中のアンモニアは、加熱操作(加熱空気や蒸気利用)により、空中にアンモニアガスとして放散が容易に行えるかどうかによって、下記の2種類に分類されている。
(1)遊離アンモニア:NH
(2)固定アンモニア:NHCl、(NH SOなど
【0004】
この固定という表現は、アンモニアが、アンモニウムイオン(NH )として水中に存在しているため、アンモニアガスとして容易に放散できないという理由によるものである。固定アンモニアを遊離アンモニアとするためには、下記の反応式(1)のように、pHおよび水温を上昇させれば良い。
【0005】
NH + OH → NH + HO (1)
【0006】
水のpHや水温の上昇により(1)式の反応が進行し、遊離のアンモニア(NH)の存在比率が増大する。例えば、水温20℃、pH8の廃水では、遊離のアンモニア(NH)の存在比率はわずか5質量%程度であるが、廃水のpHを9に高めれば、約30質量%が遊離のアンモニアとして、また、pHを10に高めれば約80質量%が遊離のアンモニアとして水中に存在することになる。さらに、水温が80℃になると、pHを9に高めれば約90質量%が遊離アンモニアとなる。したがって、遊離アンモニアの存在割合は、廃水のpH及び水温によって、大幅に変わってくる。
【0007】
このような廃水中のアンモニアを除去する方法として、アンモニアストリッピング法(水処理管理便覧、丸善、p412)、生物学的硝化−脱窒素法(水処理管理便覧、丸善、p413〜416)などが広く用いられている(非特許文献1参照)。
【0008】
アンモニアストリッピング法とは、基本的には前記(1)式の反応を利用したものであり、製鉄所コ−クス工場を中心に広く実用化されている。その方法は以下の通りである。
まず、消石灰や水酸化ナトリウムを用いて廃水のpHを上昇させるとともに、必要に応じて水温を調整する。工場に加熱源があり、pHがある程度高い場合には、pHを調整せずに水温のみを上昇させる場合もある。廃水中の遊離アンモニアの割合を増大させた後、廃水を各種の充填材を充填したストリッピング塔の上部から散布するとともに、下部から大量の空気を吹き込むことにより、廃水の遊離アンモニアを空気中に放散する。処理する廃水量と吹き込む空気量との比(以下、気液比と記す)が、アンモニアの除去率に影響を及ぼす重要な要素であり、通常、数千倍の値がとられている。
【0009】
しかしながら、アンモニアストリッピング法には、ランニングコストが高いという問題がある。上述したように、アンモニアの除去率をあげるためには、水温およびpHをかなり上昇させる必要がある。そうしなければ、遊離アンモニアの一部しか除去できない。
【0010】
例えば、都市下水処理水を対象とした実験報告(横須賀市下水道部:横須賀市における下水の三次処理実験報告、昭和49、50年度)によると、pH10、気液比1000〜1100、水温14℃の条件下でのアンモニア性窒素の除去率は、33質量%程度にすぎないとある(非特許文献2参照)。一方、鉄鋼業コ−クス炉工場ガス廃水(以下、安水と記す)を対象とした報告(造水技術、造水促進センタ−、p313〜320)によると、安水中のアンモニア濃度は3000〜5000mg/Lもあり、このうち、遊離アンモニアの割合は65〜80質量%である(非特許文献3参照)。この安水をpH10、気液比3000、水温80℃の条件でアンモニアストリッピング法による処理を行うと、安水中の5000mg/Lのアンモニアを100mg/L(除去率:98質量%)まで削減可能であったことが記載されている。
【0011】
これらの結果から、アンモニアストリッピング法単独で廃水中の窒素を削減するためには、膨大なランニングコストが必要となることが容易に推定される。
例えば、安水処理の報告によると、水温80℃の条件でpHを8.5から10に上昇させるためには、安水1m当たり約6.4Lの水酸化ナトリウム溶液(50質量%)が必要であったことが記載されている。この値に基づき、安水発生量を1400m/日と仮定すると、pH調整に必要な水酸化ナトリウム溶液量は、約9t/日、すなわち、年間約3300tにもなり、年間数億円オーダーのランニングコストとなる。更に、水温上昇のための費用やブロワー等の電力費も加わることから、膨大なランニングコストとなってしまう。
従って、アンモニアストリッピング法単独で高濃度のアンモニアを含む廃水中の窒素を除去するのは得策ではない。
【0012】
また、さらに、アンモニアストリッピング法では、放散するアンモニアガスの処理が必要であるという問題もある。この処理方法としては、アンモニア水として回収、硫安として回収、燃焼、触媒燃焼の4つの方法がある(例えば、廃水からの固定及び遊離アンモニアの除去、用水と廃水、Vol.37、No.9、p56〜60、1995)(非特許文献4参照)。しかし、いずれの方法も設備費、ランニングコストの更なる上昇を招いてしまう。
【0013】
微生物を用いる生物学的硝化−脱窒素法とは、好気性独立栄養細菌(ニトロゾモナス、ニトロバクター等の硝化細菌)による生物学的酸化と通性嫌気性従属栄養細菌(シュードモナス等)による生物学的還元の組み合わせから成っている。この原理は以下の通りである。
【0014】
まず、硝化工程は以下の(2)、(3)式で示される2段の反応から成っており、関与する硝化細菌の種類は異なっている。
【0015】
2NH + 3O → 2NO + 2HO + 4H…(2)
【0016】
2NO + O → 2NO …(3)
【0017】
(2)式に示す反応は、ニトロゾモナスを代表種とする亜硝酸菌によってもたらされ、(3)式に示す反応は、ニトロバクターを代表種とする硝酸菌によってもたらされる。都市下水のようにアンモニア性窒素濃度が30〜50mg/L程度の場合には、(3)式の反応速度の方が(2)式の反応速度よりも大きく、亜硝酸性窒素が蓄積することはほとんど無い。
【0018】
上記反応によって生成した亜硝酸性窒素並びに硝酸性窒素は、一般的に通性嫌気性従属栄養細菌を用い、無酸素の条件下で、下式(4)、(5)のように還元されて、酸化窒素ガス(NO)あるいは窒素ガス(N)となり大気中に放散される。
【0019】
2NO + 3H → N + 2HO + 2OH…(4)
【0020】
2NO + 5H → N + 4HO + 2OH…(5)
【0021】
脱窒反応には水素供与体が必要であり、有機物が通常利用されている。都市下水などでは、下水中の有機物(BOD(生化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)として表示される)がそのまま用いられ、有機物を含まない廃水ではメタノールなどが外部から添加されることが多い。
【0022】
生物学的硝化−脱窒素法は、アンモニア性窒素濃度が100mg/L以下の廃水では、最も安価で安定した処理方法であり、都市下水処理を代表として広く用いられている。
しかしながら、生物学的硝化−脱窒素法には、廃水中の特定の有機物や遊離アンモニアが微生物へ阻害作用を有するという問題のほか、処理時間が長いという問題がある。
【0023】
まず、廃水中に含まれる各種有機物の硝化細菌への阻害作用であるが、硝化細菌は、独立栄養細菌であり、阻害を極めて受けやすいため、硝化反応を抑制する物質は比較的広く調査されている(例えば、生物学的脱窒素法の歴史的考察、用水と廃水、Vol.13、No.11、p1362〜1374、1974)(非特許文献5参照)。これによると、例えば、コークス工場から発生する安水に多量に含まれているフェノールは、わずか5.6mg/Lであるが、アンモニア性窒素を単独で含有する場合と比較して、単位微生物あたりの硝化速度が75%減少することが報告されている。したがって、このような有機物を含む廃水の硝化を促進するためには、有機物を事前に極力除去しておく必要がある。
【0024】
しかしながら、脱窒槽で脱窒素を促進するためには、有機物などの水素供与体が必要である。水素供与体としては有機物のほか、硫黄化合物もある。このような有機物や硫黄化合物は、CODとして測定されるが、脱窒細菌への影響は小さく、このような廃水中のCODが不足すれば脱窒素除去性能が低下しやすい。
このように、生物学的硝化−脱窒素法は、廃水が硝化細菌に影響があるCOD成分を含む場合には、COD成分による硝化反応の阻害防止と、COD成分の脱窒反応での有効利用の両面から検討する必要があり、それぞれの反応の制御を確実に行わなければ、処理性能の不安定や必要処理時間の増大を招いてしまう。
【0025】
また、廃水中に含まれる遊離のアンモニアであるが、遊離のアンモニア性窒素濃度が100mg/Lを超えると、好気槽の硝化工程において、亜硝酸酸化細菌であるニトロバクターが阻害を受けやすく、この結果、処理水中に亜硝酸性窒素が蓄積しやすい。特に、廃水のpHが高くなりすぎると遊離のアンモニアの存在割合が高まるため、亜硝酸が生じやすくなる。また、このように大量に蓄積した亜硝酸が脱窒細菌などの従属栄養細菌に阻害作用を有しているとの報告もある(遠矢泰典、生物学的脱窒素法に関する研究(II)、下水道協会誌、Vol.7、No.5、p18〜28、1970)(非特許文献6参照)。
【0026】
このような理由から、COD濃度が高く、かつ、遊離のアンモニア性窒素濃度が100mg/Lを超えるような廃水の場合、さらに多くの課題が残されている。
これらの上述の方法の他に、塩素ガスにより水中のアンモニアを酸化分解する化学的な方法などが報告されている(水処理管理便覧、丸善、p412〜413)(非特許文献1参照)が、実際にはアンモニアを高濃度に含む廃水の場合、ランニングコストの観点から実用化事例はほとんど見られない。
このような従来法の課題を解決するため、本発明者らは、高濃度のCOD(化学的酸素要求量)成分とアンモニア性窒素化合物を含有する廃水を安定して効率的に処理する方法を基本的に確立した(特願2001−248260)(特許文献1参照)。
【特許文献1】
特願2001−248260
【非特許文献1】
水処理管理便覧、丸善、p412〜416
【非特許文献2】
横須賀市下水道部:横須賀市における下水の三次処理実験報告、昭和49、50年度
【非特許文献3】
造水技術、造水促進センタ−、p313〜320
【非特許文献4】
廃水からの固定及び遊離アンモニアの除去、用水と廃水、Vol.37、No.9、p56〜60、1995
【非特許文献5】
生物学的脱窒素法の歴史的考察、用水と廃水、Vol.13、No.11、p1362〜1374、1974
【非特許文献6】
遠矢泰典、生物学的脱窒素法に関する研究(II)、下水道協会誌、Vol.7、No.5、p18〜28、1970
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の方法は、高濃度のCOD成分とアンモニア性窒素化合物を含有する廃水から、まず、アンモニアストリッピング法により、廃水中のCOD濃度と窒素濃度との比(COD/N比)が2〜3.5となるまでアンモニア性窒素化合物を除去し、次に、生物学的脱窒素プロセスにより、残留するアンモニア性窒素化合物をCOD成分を利用して、脱窒槽と硝化槽で除去する方法である。この方法は、アンモニアストリッピング単独法よりも安価であり、また、生物処理単独法よりも安定した処理が可能となる。
【0028】
しかしながら、この方法においても、生物処理における反応制御が必ずしも十分でなく、生物処理の処理時間が最適化されているとはいい難い課題が残されている。
【0029】
本発明は、このような問題を解決して、生物処理の処理時間を最適化した廃水からの窒素の除去方法を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、高濃度のCOD(化学的酸素要求量)成分とアンモニア性窒素化合物を含有する廃水をより安定して効率的に処理する方法について、種々の検討を行った。
【0031】
本発明者らは、まず、脱窒槽と好気槽からなる生物学的脱窒素プロセスにおいて、好気槽における硝化速度(亜硝酸生成速度)の迅速化について検討を行った結果、後述のように、pH7.0〜7.5で反応が迅速に行われることを新たに見出した。また、脱窒槽における亜硝酸脱窒速度の迅速化について検討を行った結果、後述のように、pH8.0〜9.0で反応が迅速に行われることを新たに見出した。
さらに、本発明者らは、後述のように、脱窒槽と好気槽の最適な容量比は、それぞれの最適pH域における硝化速度と脱窒速度から決定できることを新たに見出した。
【0032】
またさらに、本発明者らは、後述のように、前記生物学的脱窒素プロセスの前段に、アンモニアストリッピング装置を設置し、CODとアンモニア性窒素化合物との比(COD/N比)が1以上2以下となるように窒素を除去することにより、脱窒素反応を促進するためのCOD源を添加しなくてもよいことを新たに見出した。
【0033】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
【0034】
(1) 脱窒槽と好気槽からなる生物学的脱窒素プロセスで、COD成分とアンモニア性窒素化合物を含有する廃水から窒素を除去する方法であって、好気槽において、廃水のpHを7.0〜7.5に制御し、硝化細菌を用いて該廃水中のアンモニア性窒素化合物を酸化して亜硝酸性窒素を生成させ、脱窒槽において、該廃水のpHを8.0〜9.0に制御し、脱窒細菌を用いて、および、該廃水中のCOD成分をCOD源として用いて、該廃水中の亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元し、両槽間で該廃水を循環することにより、前記酸化反応および前記還元反応の効率を高め、そして該廃水中のアンモニア性窒素化合物を窒素ガスに還元して除去することを特徴とする廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0035】
(2) 前記脱窒槽と好気槽が多段であることを特徴とする前記(1)に記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
(3) 前記好気槽の硝化速度および前記脱窒槽の脱窒速度に基づいて、好気槽と脱窒槽との容量比を決定することを特徴とする前記(1)に記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
(4) 前記脱窒槽に、前記COD源として、有機物と硫黄化合物の一方または双方を添加することを特徴とする前記(1)に記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0036】
(5) 前記脱窒槽と好気槽の一方または双方に、微生物固定化担体と膜分離装置の一方または双方を投入することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0037】
(6) 前記脱窒槽で曝気と攪拌の一方または双方を行い、前記好気槽入口における廃水中のフェノール濃度を30mg/L以下に低下させることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0038】
(7) 前記生物学的脱窒素プロセスの前段に、アンモニアストリッピング装置を設けることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0039】
(8) 前記アンモニアストリッピング装置で、COD成分とアンモニア性窒素化合物の質量比が1以上2以下となるように、窒素を除去することを特徴とする前記(7)に記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
(9) 前記生物学的脱窒素プロセスの後段に、固定床型生物脱窒装置を設けることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0040】
(10) 前記廃水中のCOD成分の主体が、フェノールおよび/または硫黄化合物であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0041】
(11) 前記廃水中のアンモニア性窒素化合物の濃度が100mg/L以上であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0042】
(12) 前記廃水がコークス工場から発生する安水であることを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載の廃水からのアンモニア性窒素化合物の除去方法。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。なお、文中の酸化還元電位は、銀/塩化銀複合電極基準の値である。
【0044】
本発明に係る処理フローの一例を図5に示す。この処理フローは、COD(化学的酸素要求量)成分とアンモニア性窒素化合物を含有する廃水から、窒素を安定的かつ効率的に除去するためのものであり、COD成分とアンモニア性窒素化合物を含有する廃水として、コークス工場から発生する廃水(以下、安水と記す)に適用した事例である。
【0045】
本発明に係る生物学的処理の運転方法について説明する。
まず、好気槽(14)での反応について説明する。
好気槽(14)では、上述の反応式(2)のように、ニトロゾモナスを代表種とする亜硝酸菌により亜硝酸性窒素を生成し、さらに、上述の反応式(3)のように、ニトロバクターを代表種とする硝酸菌により硝酸性窒素を生成する。しかし、ニトロバクターを代表種とする硝酸菌は、遊離のアンモニア濃度の阻害を受けやすいため、処理時間が極めて長くなる。そこで、本発明法では、硝酸性窒素までの硝化は行わず、あえて、亜硝酸性窒素までの硝化で完了とする、すなわち、(2)式で反応を完了とする点に特徴がある。亜硝酸性窒素までの硝化で完了とすることにより、後述のように、水素供与体として機能する有機物が少量で済むため、CODが削減できる等の利点がある。
【0046】
ニトロバクターを代表種とする硝酸菌は、上述したように遊離のアンモニアに弱いので、好気槽の遊離アンモニア濃度を100mg/L以下とすることが望ましい。固定アンモニアであるアンモニウムイオン(NH )の割合を増大させるためには、好気槽(14)のpHは低い方がよい。しかし、pHが低すぎるとpH阻害が生じ、硝化反応がすべて停止してしまう。
【0047】
一方、ニトロゾモナスを代表種とする亜硝酸菌は、遊離のアンモニアに耐性があるので、pHをある程度上昇させることができる。以下の表1には、本発明者らが、亜硝酸菌によりアンモニアから亜硝酸性窒素を生成する硝化速度(亜硝酸生成速度)を測定した結果を示すが、好気槽(14)のpHは、7.0〜7.5に制御することが望ましいことがわかる。なお、硝化速度は、微生物濃度の指標であるMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids:活性汚泥浮遊物質)濃度基準で示す。
【表1】
Figure 2004230338
【0048】
次に、脱窒槽(13)での反応について説明する。
脱窒槽(13)では、上述の反応式(4)のように、好気槽(14)で生成した亜硝酸性窒素を脱窒細菌(従属栄養細菌や硫黄酸化細菌)を用いて窒素ガスまで還元する。一般的には、硝酸を脱窒素するが、本発明では、高濃度の亜硝酸を対象とする点に特徴がある。
【0049】
脱窒反応を進めるためには、水素供与体として機能する有機物や硫黄化合物が必要であり、通常、有機物やチオ硫酸などの硫黄化合物が用いられ、これらはCODとして測定される。廃水中の全成分は、特定困難であるため、CODからこれらの有機物や硫黄化合物の総量を推定する方法が現実的である。
【0050】
例えば、水素供与体として機能する有機物がフェノールの場合、従属栄養細菌による脱窒反応は以下の反応式(6)、(7)で表される:
【0051】
(硝酸脱窒反応)5COH+28NO →14N+30CO+HO+28OH…(6)
【0052】
(亜硝酸脱窒反応)3COH+28NO +5H→14N+18CO+23OH…(7)
【0053】
硝酸脱窒反応の場合、窒素1gに対して必要なフェノールは、1.2gとなる。さらにフェノール1gは、CODとして1.8〜2.4g−CODとして測定される。したがって、必要なCODとアンモニア性窒素の比(COD/N比)は、2.2〜2.9程度となる。一方、亜硝酸脱窒反応の場合、窒素1gに対して必要なフェノールは、0.72gとなる。さらにフェノール1gは、CODとして1.8〜2.4g−CODとして測定される。したがって、必要なCOD/N比は、1.3〜1.7程度となる。よって、亜硝酸脱窒の方がより効率的であるといえる。
【0054】
このように亜硝酸脱窒の場合、脱窒に必要なフェノールは、硝酸脱窒の場合と比較して、60質量%程度で済むことになる。
【0055】
また、硫黄酸化細菌を用いて脱窒素を行う場合、硫黄源が必要であり、硫黄源としてチオ硫酸、硫黄粒、亜硫酸ナトリウムなどが用いられる。例えば、硫黄源がチオ硫酸の場合、硫黄酸化細菌による脱窒素反応は以下の反応式(8)、(9)で表される:
【0056】
(硝酸脱窒反応)5S 2−+8NO +HO→4N+10SO 2−+2H…(8)
【0057】
(亜硝酸脱窒反応)3S 2−+8NO +H→4N+6SO 2−+OH…(9)
【0058】
硝酸脱窒反応の場合、窒素1gに対して必要なチオ硫酸は、5.0gとなる。さらにチオ硫酸1gは、CODとして0.4〜0.5g−CODとして測定される。したがって、必要なCOD/N比は、2.0〜2.5程度となる。一方、亜硝酸脱窒反応の場合、窒素1gに対して必要なチオ硫酸は、3.0gとなる。さらにチオ硫酸1gは、CODとして0.4〜0.5g−CODとして測定される。したがって、必要なCOD/N比は、1.2〜1.5程度となる。
【0059】
これらの結果から、COD/N比は、硝酸脱窒素反応の場合には2〜3.5程度とすることが望ましいが、亜硝酸脱窒反応の場合には1〜2程度あればよいことになる。すなわち、亜硝酸脱窒の場合、脱窒に必要なCODが削減できる。
【0060】
亜硝酸脱窒素反応の場合、COD/N比が2より高いと、CODが残存しやすく、後段の硝化反応に悪影響が出やすくなる。また、COD/N比が1より低い場合には、COD不足となり、脱窒反応に悪影響が出やすくなる。このように廃水のCOD源が不足する場合は、脱窒槽に有機物や硫黄化合物をCOD源として添加すればよい。有機物源としては、フェノールに限らず、広く用いられているメタノールや酢酸を用いてかまわない。硫黄化合物としては、チオ硫酸、元素硫黄などを用いればよい。
【0061】
脱窒槽(13)において亜硝酸脱窒を行う脱窒細菌は、高濃度の亜硝酸があっても脱窒素は可能であり、また、以下の表2に示すように、硝化速度(窒素ガス生成速度)を迅速化する最適pH域は、硝化細菌とは全く異なる。
【表2】
Figure 2004230338
【0062】
表2からわかるように、亜硝酸の脱窒速度はpH8.0〜9.0が最適であり、硝化速度の最適pH範囲7.0〜7.5と比較すると、かなり異なっていることが明らかである。したがって、亜硝酸脱窒を行う脱窒槽(13)のpHは、8.0〜9.0に維持されることが望ましい。
【0063】
また、本発明法では、脱窒槽(13)と好気槽(14)の最適な容量比は、それぞれの最適pH域における硝化速度、脱窒速度から決定できる。例えば、400mg/L・日の窒素除去を行おうとすると、以下のような槽分割と処理時間となる。ただし、微生物濃度の指標であるMLSS濃度は、10000mg/Lとする。
【0064】
・硝化槽(pH制御値:7.5);硝化速度1200mg−N/日
→必要処理時間8h
【0065】
・脱窒槽(pH制御値:9.0) ;脱窒速度400mg−N/日
→必要処理時間 24h
【0066】
これから、脱窒槽と好気槽の最適な容量比は、3:1となる。
【0067】
また、脱窒細菌が十分に存在する場合、廃水のCOD成分は脱窒素反応によって除去される。しかし、処理プロセス立ち上げ初期等の場合には、好気槽(14)で生成した亜硝酸性窒素濃度が十分にないため、脱窒槽(13)での脱窒素反応が進まず、COD成分であるフェノールや硫黄化合物がそのまま好気槽(14)に流入する。このため、好気槽(14)での硝化細菌の馴養が全く進まない場合がある。このような場合は、脱窒槽(13)に、あえてブロアー(19)で空気を送るか、攪拌機の回転数を調整して、酸素を用いて有機化合物や硫黄化合物を分解してしまうことが望ましい。脱窒槽(13)を曝気や攪拌して、脱窒槽(13)において硝化細菌への阻害機能を有するCOD成分を除去することによって、好気槽(14)において硝化細菌の育成を促進することができる。
【0068】
例えば、廃水中のCOD成分の主体(30質量%以上)がフェノールである場合、フェノールの硝化細菌への阻害が考えられる。阻害濃度として、上述したように5.6mg/Lの報告があるが、本発明者らの研究では、実際には、脱窒槽出口のフェノール濃度が30mg/L以下まではほとんど硝化阻害は認められなかった。ニトロゾモナスを代表種とする亜硝酸菌は、フェノール阻害が小さい可能性が考えられる。したがって、脱窒槽(13)を曝気および/または攪拌して、好気槽(14)に流入するフェノール濃度を、硝化細菌への阻害がほぼ無視できる30mg/L以下まで低下させることが望ましい。
【0069】
脱窒槽(13)での酸素の供給方法としては、上述のように、ブロアー(19)による送風や攪拌機の回転数調整による方法があり、これらの調整方法は、生物学的脱窒素プロセスの脱窒槽の酸化還元電位(ORP)が−100〜−300mV(銀/塩化銀複合電極基準)となるように、脱窒槽(13)の曝気量や攪拌機の回転数を調整することが望ましい。−300mV未満では、COD成分が大量に存在していることが予想され、好気槽(14)に悪影響が出る。逆に、−100mVを超えると、亜硝酸や溶存酸素の残留等が予想され、脱窒反応が進んでいないことになる。
【0070】
より厳密には、脱窒槽出口のCOD濃度を連続測定し、この測定値が、あらかじめ測定しておいた硝化細菌に阻害が出ないCOD濃度となるように、脱窒槽(13)の曝気量や攪拌機の回転数を調整すればよい。ただし、脱窒槽(13)出口のCOD濃度は、廃水の種類によって硝化細菌に阻害が出る濃度が変わってくるため、個別の基礎実験によって求める必要がある。
【0071】
本発明法では、好気槽(14)出口の硝化反応が進行した処理水を、循環ポンプ(16)により脱窒槽(13)に循環することで、窒素除去効率を向上させるものであるが、さらに、処理水の窒素除去率を向上するために、脱窒槽(13)と好気槽(14)を多段とすることにより対応することが可能である。
【0072】
単段の脱窒槽−好気槽循環プロセスでは、好気槽で硝化された成分の一部は処理水中に残ってしまい、処理水に亜硝酸性窒素が残留すると、N起因のCODとして測定されてしまう場合がある。これを防ぐためには、脱窒槽−好気槽循環プロセスの後段にさらに脱窒槽と好気槽を設ければよい。すなわち、後段の脱窒槽に流入する亜硝酸性窒素濃度を測定し、これを除去できるだけのCOD成分(有機物や硫黄化合物)を後段の脱窒槽に添加すればよい。有機物源としては、フェノールに限らず、広く用いられているメタノールや酢酸を用いてかまわない。硫黄化合物としては、チオ硫酸、元素硫黄などを用いればよい。また、添加したCOD成分は、後段の好気槽でも分解されるので問題がなくなる。
【0073】
また、脱窒槽(13)と好気槽(14)からなる生物学的脱窒素プロセスの後段に、固定床型生物脱窒装置(21)を設けてもかまわない。原理は、前述した脱窒槽と好気槽を複数組み合わせることと同じである。一般的には、脱窒素用の固定床型生物脱窒装置とCOD分解用の好気性固定床型装置を組み合わせることになる。窒素を0にする必要がない場合は、外部から添加するCOD源をやや少なめに添加すればよいので、好気性固定床型装置を設置しなくてもかまわない。このような固定床タイプの生物脱窒装置(21)は、反応槽内にセラミックス、プラスチックス、活性炭などの充填剤を投入し、微生物を安定的に高濃度に保ち、効率的に処理できる特長がある。
【0074】
上記いずれの方法を用いるかは、敷地面積、経済性等の観点から選択すればよい。
廃水がコークス工場から発生する安水の場合には、COD成分の主体はフェノールであり、フェノール起因のCODが、全COD量の30質量%以上を占めている。したがって、本発明法をコークス工場から発生する安水に適用することは極めて望ましいことである。
【0075】
また、ニトロバクターは、上述したように、遊離のアンモニアに極めて弱いので、廃水中のアンモニア性窒素の濃度が100mg/L以上である廃水の場合に、本発明法は適している。
【0076】
また、脱窒槽(13)と好気槽(14)からなる生物学的脱窒素プロセスの前段に、アンモニアストリッピング装置(3)を設けてもかまわない。ここで、亜硝酸硝化と亜硝酸脱窒の場合には、アンモニアストリッピング装置(3)でのCODとアンモニア性窒素の比(COD/N比)が1以上2以下となるように、窒素を除去しておいてもよい。こうすることにより、外部からCOD源を添加せずにすむ利点がある。
【0077】
また、本発明法では、脱窒槽(13)と好気槽(14)の一方または双方に、微生物固定化担体(プラスチックス、セラミックス、スラグ、ゲル等)を投入し、各槽の微生物を高濃度化することにより、一層の高効率処理が可能となる。自己造粒作用を有する硫黄酸化細菌または凝集剤を併用して造粒させた硫黄酸化細菌を脱窒槽に用いてもかまわない。さらに、脱窒槽(13)と好気槽(14)の一方または双方に膜分離装置を投入し、各槽の微生物を高濃度化してもかまわない。これにより、一層の高効率処理が可能となる。
【0078】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0079】
(実施例1) pHの硝化反応への影響の検討
安水を対象とし、バッチ実験装置により硝化特性を評価した。
製鉄所の廃水処理場から安水活性汚泥混合液を入手し、この液1Lを2Lビーカーに投入し、恒温槽内(水温35℃)に設置し、曝気(空気量3L/min)を行いながら、一定時間毎に液を採取し、NH−N、NO−N、NO−N濃度を測定した。安水のpHは、10質量%NaOH溶液および10質量%HSOで所定のpHに制御した(pH6.5〜8.5)。DO(溶存酸素)は、DO律速になっていないことを確認する目的で測定した。下水試験方法に準拠し、MLSS(活性汚泥浮遊物質)を測定した。
【0080】
図1、2に、pH7および8に制御した条件での窒素濃度の経時変化を示す(水温:35℃;MLSS:4700mg/L;DO:6〜6.6mg/L)。
【0081】
図1に示すように、pH8の場合には、安水のNH−Nは、24時間で676mg/Lから397mg/Lまで減少した(N減少量:279mg/L)。一方、図2に示すように、pH7の場合には、24時間で656mg/Lから94mg/Lまで減少した(N減少量:562mg/L)。
【0082】
pHにより、硝化速度は大きく異なるが、生成するのは亜硝酸性窒素であり、硝酸性窒素はほとんど生成することは無かった。
【0083】
(実施例2) 亜硝酸脱窒の検討
実施例1と同じ廃水処理場から同様にして入手した製鉄所安水に、亜硝酸ナトリウムを添加し、NO−Nとして500mg/Lとした。この安水2Lと活性汚泥を添加したビーカー(容量2L)を恒温槽内(水温35℃)に設置し、攪拌速度50rpmで、汚泥が沈降しない程度に攪拌しながら、一定時間毎に液を採取し、NO−N濃度を測定した。この結果を図3に示す。また、COD源としてフェノール、チオシアン、チオ硫酸濃度を測定した。この結果を図4に示す。(水温:35℃;初期pH:8.7;MLSS:9674mg/L)
【0084】
図3に示すように、NO−Nは減少し、初期値500mg/Lから、2日後には107mg/Lとなった。一方、図4に示すようにフェノ−ルなどのCODの各成分の減少が確認され、COD値としても初期値552mg/Lから122mg/lまで低下し、NO−Nにより酸化されたものと推定された。この結果から、COD減少量とN減少量との比(COD減少量/N減少量)は、1.5前後となり、理論値とほぼ一致した。したがって、亜硝酸脱窒は可能であることが明らかになった。
【0085】
また、MLSS基準の脱窒速度は、24h後のデータから、38mg/g−MLSS・d−1(水温:35℃;初期pH:8.7)と推定された。
またさらに、フェノ−ルおよび硫黄化合物が、亜硝酸の脱窒源として、消費されることが確認できた。
【0086】
(実施例3) 製鉄所コークス工場安水処理への適用
本発明の方法をA製鉄所コークス工場から発生する安水からの窒素除去に適用した。
【0087】
安水は、フェノール主体の廃水(全CODの48質量%がフェノール起因のCODである)であるが、硫黄化合物も含んでいる。ここで、フェノール1gは2.4g−CODと仮定した。CODは3500mg/Lである。アンモニア性窒素化合物も8000mg/L含んでいる。pHは9.2とかなり高い。
【0088】
処理は上述の図5の処理フローに従って行った。
まず、前処理としてアンモニアストリッピングを行った。安水(1)にpH調整剤(2)としてNaOH水溶液を添加し、pHを9.2から10.6に調整し、気液比3000、水温40℃の条件でアンモニアストリッピング塔(3)の運転を行った。アンモニアストリッピングの結果、安水中のアンモニア性窒素化合物は、90質量%程度がアンモニアガスとして除去された。なお、アンモニアストリッピングにより発生するアンモニアガスは、蓄熱式の分解炉(4)を用い、1000℃の条件で焼却処分した。
【0089】
アンモニアストリッピングの後、調整槽(10)にて、希釈水(8)により2.5倍程度に希釈し、リン酸(9)を添加し、pH9以下になるように、pH調整剤(2)として硫酸水溶液を添加した。本廃水のCOD濃度は1200mg/L、アンモニア性窒素濃度は400mg/Lとなった。次に、本廃水を給水ポンプ(11)で脱窒槽(13)および好気槽(14)に送水し、脱窒槽(13)および好気槽(14)にて生物学的方法で処理を行う。両槽には、循環ポンプ(16)を設置し、廃水の循環を行う。
【0090】
次に、生物学的硝化−脱窒法の運転方法を以下に述べる。
まず、好気槽(14)の運転方法を説明する。
好気槽(14)で硝化細菌により、アンモニア性窒素化合物を亜硝酸性窒素まで酸化する。好気槽(14)のpHはpH計(12)によりモニターし、pH調整剤(NaOHまたは硫酸)(2)を用い、pH7〜7.5(目標値:7.3)に制御した。また、空気により、DOを2mg/L以上、ORP(酸化還元電位)はORP計(20)によりモニターし、+150mV(銀/塩化銀複合電極基準)以上、また、水温を30〜38℃に維持するように運転した。MLSSは10000mg/L管理とした。
【0091】
この結果、好気槽(14)のHRT(水理学的滞留時間)が8時間の条件で、アンモニア性窒素化合物は、95質量%以上が亜硝酸性窒素に酸化された。この硝化液を原水量に対して2倍量(循環率:200%)を、循環ポンプ(16)を用いて脱窒槽(13)に返送した。
【0092】
次に、脱窒槽(13)の運転方法を説明する。
脱窒槽(13)で脱窒細菌により、亜硝酸性窒素を窒素まで還元する。脱窒槽(13)のpHはpH計(12)によりモニターし、pH調整剤(NaOHまたは硫酸)(2)を用い、pH8〜9(目標値:8.5)に制御した。また、脱窒槽(13)のORPはORP計(20)によりモニターし、−150mV(銀/塩化銀複合電極基準)に維持するように、ブロアー(19)の回転数を変動させ、空気を供給した。MLSSは10000mg/L管理とした。脱窒槽(13)のHRTは、24時間の条件で運転した。好気槽(14)に流入するフェノールは、30mg/L以下となっていた。
【0093】
好気槽(14)の後段には、沈殿池(15)を設置し、微生物と処理水(18)を分離した。沈殿池(15)で濃縮した微生物群は、返送汚泥として汚泥返送ポンプ(17)によって原水量と等量を脱窒槽(13)に返送した(返送率:150%)。一部は余剰汚泥として引き抜き処分した。
【0094】
以上の方法により、処理水(18)のCODは120mg/L、窒素は60mg/Lとなった。窒素の形態は亜硝酸性窒素であった。
さらに、固定床型脱窒装置(21)(処理時間:1時間)を設置し、外部からメタノールを添加(メメタノ−ル/N比=1.5)し、残留する亜硝酸性窒素を10mg/Lまで削減した。この結果、最終処理水(22)のCODは70mg/L、窒素は10mg/Lとなった。
【0095】
【発明の効果】
本発明により、COD成分とアンモニア性窒素化合物を高濃度に含有する廃水から、廃水中のCOD成分を用いて安価に安定した窒素除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】pH8での窒素濃度の経時変化を示す図である。
【図2】pH7での窒素濃度の経時変化を示す図である。
【図3】亜硝酸の経時変化を示す図である。
【図4】亜硝酸脱窒にともなうCOD成分の経時変化を示す図である。
【図5】アンモニアストリッピング装置と硝化細菌および脱窒細菌(従属栄養細菌および硫黄酸化細菌)を用いる脱窒素処理プロセスの概要図である。
【符号の説明】
1…安水
2…pH調整剤(硫酸またはNaOH)
3…アンモニアストリッピング塔
4…蓄熱式アンモニアガス分解炉
5…循環ブロワー
6…ボイラー給水
7…ボイラー
8…希釈水(海水または淡水)
9…リン酸
10…調整槽
11…給水ポンプ
12…pH計
13…脱窒槽
14…好気槽
15…沈殿池
16…循環ポンプ
17…汚泥返送ポンプ
18…処理水
19…ブロアー
20…ORP計
21…固定床型脱窒装置
22…最終処理水

Claims (12)

  1. 脱窒槽と好気槽からなる生物学的脱窒素プロセスで、COD成分とアンモニア性窒素化合物を含有する廃水から窒素を除去する方法であって、
    好気槽において、廃水のpHを7.0〜7.5に制御し、硝化細菌を用いて該廃水中のアンモニア性窒素化合物を酸化して亜硝酸性窒素を生成させ、
    脱窒槽において、該廃水のpHを8.0〜9.0に制御し、脱窒細菌を用いて、および、該廃水中のCOD成分をCOD源として用いて、該廃水中の亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元し、
    両槽間で該廃水を循環することにより、前記酸化反応および前記還元反応の効率を高め、そして
    該廃水中のアンモニア性窒素化合物を窒素ガスに還元して除去する、
    ことを特徴とする前記方法。
  2. 前記脱窒槽と好気槽が多段であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記好気槽の硝化速度および前記脱窒槽の脱窒速度に基づいて、好気槽と脱窒槽との容量比を決定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記脱窒槽に、前記COD源として、有機物と硫黄化合物の一方または双方を添加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記脱窒槽と好気槽の一方または双方に、微生物固定化担体と膜分離装置の一方または双方を投入することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記脱窒槽で曝気と攪拌の一方または双方を行い、前記好気槽入口における廃水中のフェノール濃度を30mg/L以下に低下させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記生物学的脱窒素プロセスの前段に、アンモニアストリッピング装置を設けることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記アンモニアストリッピング装置で、COD成分とアンモニア性窒素化合物の質量比が1以上2以下となるように、窒素を除去することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記生物学的脱窒素プロセスの後段に、固定床型生物脱窒装置を設けることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記廃水中のCOD成分の主体が、フェノールおよび/または硫黄化合物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記廃水中のアンモニア性窒素化合物の濃度が100mg/L以上であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記廃水がコークス工場から発生する安水であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
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