JP5449072B2 - 安水の生物学的好気処理におけるcod濃度シミュレーション方法及び装置 - Google Patents

安水の生物学的好気処理におけるcod濃度シミュレーション方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、コークス製造工程で発生する安水の処理に関し、より具体的には、生物学的好気処理プロセスにおけるCOD濃度シミュレーション方法及び装置に関する。
近年の閉鎖性水域におけるCOD総量規制は強化傾向にあり、下水道、産業排水、工場排水での対策が急務である。CODの総量規制値を遵守するためには、その原因物質を特定し、どこまで処理すれば基準を満たせるかを予測することが必要である。これまで下水道分野では、活性汚泥法等の生物学的処理プロセスによる下水の処理方法が取られてきた。その運転管理は主に管理者の経験に基づいて行われていることが多く、安定した処理水質を得ることは困難であった。例えば、流入水質が変動した場合に、変更すべき操作条件、操作量は下水処理場ごとに異なっていた。
そこで、管理者の経験に依存しない水質予測及び運転支援ツールとして、IWA(国際水協会)の提唱する活性汚泥モデル(Activated Sludge Model;ASM)が提案されている。活性汚泥モデルは、大きく次の手順から構成されている。
(1)流入水のCOD濃度を、溶解性不活性有機物、易分解性有機物、浮遊不活性有機物、遅分解性有機物等の性質によって分画し、それぞれCOD濃度ベースの変数と設定する。
(2)従属栄養生物の増殖や自己分解等のプロセスごとに、変数間の化学量論及びプロセスの反応速度式を設定する。
(3)化学量論係数及び反応速度定数のパラメーターを、酸素呼吸速度試験又は水質の実測データからのキャリブレーションにより決定する。
(4)シミュレーションを実行し、生物処理槽、処理水のCOD濃度等が算出される。
この活性汚泥モデルは管理ツールとして提案されており、活性汚泥モデルを用いた下水処理管理システムが提案されている。(例えば、特許文献1)
一方、コークス製造工程で発生する安水は、下水と同様に生物学的処理プロセスによる処理が行われている。しかし、安水は下水と成分が異なるため、この安水処理プロセスの生分解性を有する化合物成分濃度を活性汚泥モデル適用により予測するCODシミュレーション方法について、活性汚泥モデルが適用された事例はない。
特開2003−300093公報
建設省都市局下水道部・厚生省生活衛生局水道環境部監修、日本、社団法人日本下水道協会、下水試験方法、1997年8月25日 味埜俊、活性汚泥モデル、日本、株式会社環境新聞社、2005年1月31日 J.S.Cech、J.Chudoba and P.Grau、Determination of Kinetic Constants of ActivatedSludge Microorganisms、Water Science and Technology、Vol.17、pp.259−272、1984
生物学的好気処理における水質シミュレーション方法として活性汚泥モデルが一般的であるが、このモデルを安水に適用し、処理水の化学的酸素要求量(COD)濃度のシミュレーションを行った事例はない。この理由として、活性汚泥モデルでは、下水のようにCOD主要成分が特定不可能な複数成分から構成されているため、大きく「易分解性」や「難分解性」のCOD濃度に分類され、それによって生物学的好気処理するときの流入廃水と処理水のCOD濃度のみを予測している。一方、安水のようにCOD主要成分が特定可能な原因成分から構成されている廃水では、廃水中の成分ごとに生分解性が異なるため、「易分解性」や「難分解性」のような大きい分類では、生物学的好気処理するときの流入廃水と処理水のCOD濃度が十分に予測できないためである。
本発明者らの先願である、生物学的好気処理における水質シミュレーション方法(特願2008−292519)では、上記廃水中の特定可能な原因成分それぞれの濃度について、生物学的好気処理による処理水中の各成分濃度についてシミュレーション可能ではあるが、処理水中COD濃度の予測はされていない。
また、安水の生物学的好気処理では、流入する安水の含有成分濃度、組成などが変動すること、及び、微生物濃度が変動することが、処理水の水質予測を困難にさせている。
本発明では、コークス製造工程で発生する安水を、生物反応槽内で生物学的好気処理するプロセスにおいて、安水中の既知成分及び未知成分の処理水中成分COD濃度を予測する新たな活性汚泥モデルを構築し、生物学的好気処理後の処理水中COD濃度を予測可能なCODシミュレーション方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、安水のようにCODが化学分析等によって成分が特定可能な複数の成分から構成されている安水を対象に、安水中の成分ごと生分解性が異なることに着目し、安水中の溶解性COD濃度を特定可能な成分(既知成分)COD濃度と、未知成分COD濃度と、難分解性COD濃度とに分画し、さらに既知成分を各成分に分画することにより、既知成分及び未知成分の生物学的好気処理をシミュレーションし、処理水中COD濃度を既知成分COD濃度と、未知成分COD濃度と、難分解性COD濃度との総和によって求めることにより、安水中CODの主な原因成分となるフェノール、チオ硫酸、チオシアンを含む安水を生物反応槽内で生物学的好気処理するプロセスにおけるCOD濃度シミュレーションが可能であることを見出した。
本発明は、具体的には、以下の[1]〜[10]である。
[1]コークス製造工程で発生する安水を、微生物を使用した生物反応槽にて生物学的好気処理するプロセスにおけるCOD濃度シミュレーション方法であって、
前記生物反応槽へ流入する前記安水に含まれる、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの各既知成分濃度及び溶解性COD濃度を測定分析する分析工程と、
前記各既知成分濃度と、CODCr、CODMn又はCOD理論値のCOD濃度との相関関係をもとに、前記各既知成分濃度の分析値をCOD濃度に換算することにより、前記各既知成分濃度に対応する各既知成分のCOD濃度を決定する既知成分COD分画工程と、
事前に、前記生物反応槽にて生物学的好気処理した安水の処理水に含まれる残存する前記フェノール、チオ硫酸、チオシアンの各既知成分濃度及び残存する溶解性COD濃度を測定分析し、前記残存する各既知成分濃度と、CODCr、CODMn又はCOD理論値のCOD濃度との相関関係をもとに、前記残存する各既知成分濃度に対応する残存する各既知成分のCOD濃度を決定し、前記残存する溶解性COD濃度から前記残存する各既知成分のCOD濃度の合計値を差し引くことにより、事前に難分解性COD濃度を決定する難分解性COD分画工程と、
前記分析工程で得られた溶解性COD濃度から前記既知成分COD分画工程で得られた各既知成分のCOD濃度の合計値及び前記難分解性COD分画工程で得られた難分解性COD濃度を差し引くことにより、前記生物反応槽へ流入する安水に含まれる未知成分COD濃度を決定する未知成分分画工程と、
前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODを分解する微生物の種類及び濃度、並びに、化学量論パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する増殖収率、反応速度式パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する飽和定数、最大比増殖速度を設定するパラメーター設定工程と、
前記生物反応槽の溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度測定工程と、
前記既知成分COD濃度、前記未知成分COD濃度、前記難分解性COD濃度、前記増殖収率、前記飽和定数、前記最大比増殖速度、前記微生物の種類、濃度、及び前記測定した溶存酸素濃度を用いて、演算式(1)の計算により、前記生物学的反応槽で前記生物学的好気処理した後の安水の処理水における残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度をシミュレーションして算出する計算工程と、
当該算出された残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度に、難分解性COD濃度を加算することにより、処理水における残存する溶解性COD濃度を算出する処理水COD濃度算出工程
を有することを特徴とする安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
Figure 0005449072
但し、Ci:各既知成分COD濃度及び未知成分COD濃度
i:各既知成分COD及び未知成分CODの種類を表す通し番号
ij:化学量論パラメーター
j:各プロセスを表す通し番号
ρj:反応速度式(反応速度式パラメーターを含む速度式)
[2]前記パラメーター設定工程は、
(ア)前記流入する安水、及び、安水の処理水において、事前に時系列的に別途採取した溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、及び、未知成分COD濃度と、溶存酸素濃度を用い、キャリブレーションによって決定する方法、
(イ)溶存酸素計を用いて連続的に溶存酸素濃度を計測するバッチ試験装置を使用し、前記生物反応槽中の微生物及び前記安水中の対象成分を用いて、酸素消費速度試験の酸素消費速度データ、及び溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、未知成分COD濃度の時系列データから決定する方法
のいずれかの方法を用いて、パラメーターを設定することを特徴とする、[1]に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
[3]前記難分解性COD分画工程において、前記生物反応槽にて生物学的好気処理した安水の処理水に替えて、前記生物反応槽内の微生物と前記安水とを反応させたバッチ試験後の処理水を用いて、事前に前記難分解性COD濃度を決定することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
[4]前記フェノールを前記未知成分COD濃度に含め、前記既知成分をチオ硫酸、チオシアンとして、前記各工程を実施することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
[5]前記流入する安水の水量と、前記既知成分COD濃度と、前記未知成分COD濃度と、前記難分解性COD成分濃度の経時データ、及び、前記生物学的反応槽の容積を用いて、前記計算工程において演算式(1)の計算と併せて物質収支を計算することにより、前記生物学的反応槽で前記生物学的好気処理した後の安水の処理水における残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度をシミュレーションして算出する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
[6]コークス製造工程で発生する安水を、微生物を使用した生物反応槽にて生物学的好気処理するプロセスにおけるCOD濃度シミュレーション装置であって、
前記生物反応槽へ流入する前記安水に含まれる、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの各既知成分濃度及び溶解性COD濃度を測定分析する分析手段と、
前記各既知成分濃度と、CODCr、CODMn又はCOD理論値のCOD濃度との相関関係をもとに、前記各既知成分濃度の分析値をCOD濃度に換算することにより、前記各既知成分濃度に対応する各既知成分のCOD濃度を決定する既知成分COD分画手段と、
事前に、前記生物反応槽にて生物学的好気処理した安水の処理水に含まれる残存する前記フェノール、チオ硫酸、チオシアンの各既知成分濃度及び残存する溶解性COD濃度を測定分析し、前記残存する各既知成分濃度と、CODCr、CODMn又はCOD理論値のCOD濃度との相関関係をもとに、前記残存する各既知成分濃度に対応する残存する各既知成分のCOD濃度を決定し、前記残存する溶解性COD濃度から前記残存する各既知成分のCOD濃度の合計値を差し引くことにより、事前に難分解性COD濃度を決定する難分解性COD分画手段と、
前記分析手段で得られた溶解性COD濃度から前記既知成分COD分画手段で得られた各既知成分のCOD濃度の合計値及び前記難分解性COD分画手段で得られた難分解性COD濃度を差し引くことにより、前記生物反応槽へ流入する安水に含まれる未知成分COD濃度を決定する未知成分分画手段と、
前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODを分解する微生物の種類及び濃度、並びに、化学量論パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する増殖収率、反応速度式パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する飽和定数、最大比増殖速度を設定するパラメーター設定手段と、
前記生物反応槽の溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度測定手段と、
前記既知成分COD濃度、前記未知成分COD濃度、前記難分解性COD濃度、前記増殖収率、前記飽和定数、前記最大比増殖速度、前記微生物の種類、濃度、及び前記測定した溶存酸素濃度を用いて、演算式(1)の計算により、前記生物学的反応槽で前記生物学的好気処理した後の安水の処理水における残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度をシミュレーションして算出する計算手段と、
当該算出された残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度に、難分解性COD濃度を加算することにより、処理水における残存する溶解性COD濃度を算出する処理水COD濃度算出手段
を有することを特徴とする安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
Figure 0005449072
但し、Ci:各既知成分COD濃度及び未知成分COD濃度
i:各既知成分COD及び未知成分CODの種類を表す通し番号
ij:化学量論パラメーター
j:各プロセスを表す通し番号
ρj:反応速度式(反応速度式パラメーターを含む速度式)
[7]前記パラメーター設定手段は、
(ア)前記流入する安水、及び、安水の処理水において、事前に時系列的に別途採取した溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、及び、未知成分COD濃度と、溶存酸素濃度を用い、キャリブレーションによって決定する装置、
(イ)溶存酸素計を用いて連続的に溶存酸素濃度を計測するバッチ試験装置を使用し、前記生物反応槽中の微生物及び前記安水中の対象成分を用いて、酸素消費速度試験の酸素消費速度データ、及び溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、未知成分COD濃度の時系列データから決定する装置
のいずれかの装置を用いて、パラメーターを設定することを特徴とする、[6]に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
[8]前記難分解性COD分画手段において、前記生物反応槽にて生物学的好気処理した安水の処理水に替えて、前記生物反応槽内の微生物と前記安水とを反応させたバッチ試験後の処理水を用いて、事前に前記難分解性COD濃度を決定することを特徴とする、[6]又は[7]に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
[9]前記フェノールを前記未知成分COD濃度に含め、前記既知成分をチオ硫酸、チオシアンとして、前記各手段を実施することを特徴とする、[6]〜[8]のいずれか1項に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
[10]前記流入する安水の水量と、前記既知成分COD濃度と、前記未知成分COD濃度と、前記難分解性COD成分濃度の経時データ、及び、前記生物学的反応槽の容積を用いて、前記計算手段において演算式(1)の計算と併せて物質収支を計算することにより、前記生物学的反応槽で前記生物学的好気処理した後の安水の処理水における残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度をシミュレーションして算出する、[6]〜[9]のいずれか1項に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
本発明の奏する効果は以下のとおりである。
コークス製造工程で発生する安水を生物反応槽で処理する際に、生物反応槽に流入する安水中の既知成分濃度と、溶解性COD濃度とを測定し、溶解性COD濃度から既知成分COD濃度及び難分解性COD濃度を差し引くことにより、未知成分COD濃度を求め、活性汚泥モデルを適用することにより、安水を生物学的好気処理した後の処理水COD濃度を予測することができる。すなわち、流入する安水中のフェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、及び、溶解性COD濃度を測定することにより、生物学的好気処理後の処理水のCOD濃度を予測することができる。
また、本発明によれば、流入する安水の含有成分濃度、組成などが変動したとしても、溶解性COD濃度と、既知成分COD濃度と、難分解性COD濃度とを分析し、シミュレーションに入力することにより計算可能である。また、微生物濃度の計算を行うため、微生物濃度の変動を含めた計算が可能である。
本発明に係るCOD分画を示す概念図である。 本発明に係る、安水の生物学的処理プロセスの水質シミュレーション方法を示す構成図である。 フェノール濃度とCODMnの相関関係を示す図である。 酸素消費速度試験装置の構成図である。 本発明に係る実施例1におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係る実施例2における未知成分COD濃度の経時変化を示す図である。 本発明に係る実施例2におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係る実施例3におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係る実施例4における、安水の生物学的処理プロセスの水質シミュレーション方法を示す構成図である。 本発明に係る実施例4におけるシミュレーション結果を示す図である。
図1は、本発明における安水COD分画を示した図である。CODは水に溶解しない固形性CODと、溶解性CODに分けられる。これは、例えばろ紙を用いて分離を行うことにより、ろ紙に残ったものを固形性COD、ろ液を溶解性CODとして得られる。本発明は、生分解と関係が深い溶解性CODの生分解を対象としたシミュレーション方法である。固形性CODはほとんど生分解されず、最終的には沈降分離によって除去されるため、本発明では対象外とする。
溶解性CODは、生分解性COD及び生分解性がほとんど無い難分解性CODに分けられる。これは、後述するが、例えば安水を生物反応槽にて生物学的好気処理を実施した処理水、又は、安水と生物反応槽内微生物を反応させるバッチ試験後の処理水において、処理後の溶解性COD濃度及び既知成分濃度を分析し、処理水溶解性COD濃度から処理水既知成分COD濃度を差し引くことにより得られる。難分解性COD濃度は、流入する安水において、変動が少なく、濃度としても小さい。そのため、多少の変動があっても問題なく溶解性CODの予測が可能である。
さらに、生分解性CODは、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの既知成分COD及びそれ以外の生分解性のあるCODである未知成分CODに分けられる。通常、安水では、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの既知成分で生分解性CODの6〜8割程度を占め、未知成分CODは全体の2〜4割程度である。よって、既知成分のシミュレーションでもある程度の精度が得られるが、未知成分のシミュレーションと併せることによって更なる精度向上が可能となる。安水における未知成分CODは生分解しやすく、工場ごとに未知成分の組成がほとんど変わらないことから、ひと括りに未知成分CODと置き、その挙動を把握することが可能である。さらに、既知成分のうち生分解しやすいフェノールを未知成分CODに含めて計算することも可能である。
図2は、本発明による安水のCOD濃度シミュレーション方法のフローを例示した図である。また、図中の各「工程」は各「手段」に替えることができ、安水のシミュレーション装置を例示した図でもある。
また、図2の処理水とは、連続処理の場合は生物学的好気処理後の処理水、バッチ処理の場合は所定時間経過後の槽内水をいう。
また、生物学的好気処理とは、基質と微生物が存在し、ばっ気装置を有する反応槽において、ばっ気を行うことにより溶存酸素を供給しながら、混合・撹拌を行い、基質と微生物を接触・反応させることにより、基質を分解処理する方法をいう。
図2に示すように、本発明によるCOD濃度シミュレーション方法1は、生物学的好気処理プロセスに流入する安水を分析する分析工程2と、流入する安水のフェノール、チオ硫酸、チオシアンの既知成分濃度とCOD濃度との相関関係3を用いて既知成分COD濃度5に換算する既知成分COD換算分画工程4と、安水を生物反応槽にて生物学的好気処理を実施した処理水、又は、安水と生物反応槽内微生物を反応させるバッチ試験後の処理水において、処理水に残存する溶解性COD濃度及び既知成分濃度を分析し、溶解性COD濃度から既知成分COD濃度を差し引くことにより難分解性COD濃度6を決定する難分解性COD分画工程7と、分析工程2で得られた流入する安水の溶解性COD濃度8から既知成分COD濃度5及び難分解性COD濃度6を差し引くことにより流入する安水の未知成分COD濃度9を決定する未知成分COD分画工程10と、化学量論パラメーター(増殖収率)及び反応速度式パラメーター(飽和定数及び最大比増殖速度)、並びにフェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODを分解する微生物の種類及び濃度のパラメーターを設定するパラメーター設定工程11と、生物反応槽の溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度測定工程12、パラメーター及び溶存酸素濃度及び流入する安水の既知成分COD濃度5及び流入する安水の未知成分COD濃度9を用いて、前述の演算式(1)の計算により、安水を生物学的好気処理した処理水の予測既知成分COD濃度13及び処理水の予測未知成分COD濃度14をシミュレーションして算出する計算工程15と、算出された処理水の予測既知成分COD濃度13及び予測未知成分COD濃度14に、難分解性COD濃度6を加算することにより、処理水の予測COD濃度17を算出する処理水予測COD濃度算出工程16を備えている。
後述するが、上記パラメーター設定では、事前に別途溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、未知成分COD濃度、難分解性COD濃度、溶存酸素濃度の時系列データがあることが望ましい。一方、シミュレーションに用いるフェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、未知成分COD濃度、難分解性COD濃度、溶存酸素濃度は時系列データである必要はなく、求める時間断面のデータでもよい。例えば、現在より10日後までのシミュレーションを行う場合には、現在のフェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、未知成分COD濃度、難分解性COD濃度が10日間一定であると仮定して入力することも可能である。
また、求める時間断面は、生物反応槽の滞留時間を考慮して、その時間前のデータを用いることが望ましい。例えば、現在の処理水におけるフェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、未知成分COD濃度、難分解性COD濃度を求める際に、滞留時間10時間の生物反応槽であれば、10時間前の流入する安水のデータを用いることが望ましい。
分析工程2では、流入する安水のCOD濃度、フェノール、チオ硫酸、チオシアン濃度の既知成分濃度を分析する方法について指定されないが、毎回同じ分析方法を用いることが望ましい。例えば、COD濃度についてはJIS K0102 100℃過マンガン酸における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)、又は、二クロム酸カリウムによる酸素消費量(CODCr)、フェノール濃度についてはJIS K0102吸光光度法、チオ硫酸、チオシアン濃度についてはイオンクロマト分析、MLSS濃度については前記した非特許文献1等により分析できる。各分析方法には、分析方法の違いによる分析値の誤差を防ぐため、本発明において一貫して同じ方法を用いることが望ましい。
相関関係3は、既知成分濃度とCOD濃度から得られるものである。例として、図3にフェノール濃度、チオ硫酸、チオシアンと、CODMn濃度との実測値に基づく相関関係を示す。その結果、フェノール、チオ硫酸、チオシアン1mgあたりの酸素消費量は、それぞれ2.1mg、0.48mg、1.0mgであった。また、相関関係を求める際には、分析工程においてCOD濃度を測定した方法と同じCODCr又はCODMnのいずれの分析方法を用いることが望ましく、分析方法は一貫して同じ方法を用いる。
このように、既知成分濃度と、COD濃度との相関関係を求める際には、CODCrを用いなくても、CODMnの分析結果を用いることができるので、CODCrのように危険かつ有害性のある薬品を用いた分析を行わなくてもよいという利点がある。
また、この他にも、各成分濃度とCOD濃度の相関関係を簡易に得る方法として、成分の理論的酸素消費量を化学反応式から算出する方法もある。例えば、フェノール、チオ硫酸、チオシアン1mgあたりの理論的酸素消費量は、以下の化学反応式(1)〜(3);
65OH + 7O2 → 6CO2 + 3H2O ・・・(1)
23 2- + 2O2 + H2O → 2SO4 2- + 2H+ ・・・(2)
SCN- + 2O2 + 2H2O → SO4 2- + NH4 + + CO2 ・・・(3)
を用いて、それぞれ、2.38mg、0.57mg、1.1mgと算出される。
ここで、図3の酸素消費量と、理論的酸素消費量とが異なるのは、CODMnによる分析では理論的に完全に酸化させる酸化力がないため、低く見積もられるためである。
既知成分COD換算分画工程4では、上記相関関係3を用いて、分析工程2で得られた既知成分濃度を既知成分COD濃度5に換算するものである。
また、チオ硫酸、チオシアンのような硫黄化合物は、ここで硫黄換算してシミュレーションを行うことも可能である。これにより、チオ硫酸、チオシアンを硫黄成分として分けて考えることにより、CODとしてカウントされない硫酸イオン成分等が算出可能となる。これにより、硫黄の物質収支を追跡することが可能となり、硫黄成分の挙動が把握できる。但し、硫黄換算することにより硫黄の物質収支を取る場合であっても、酸素の物質収支は取れているので、シミュレーションに影響することはない。また、硫黄化合物を分解する微生物は、一般的には硫黄酸化細菌と考えられており、それらは有機物を分解する従属栄養細菌と異なり、互いに作用を及ぼしあうことがないと考えられる。そのため、硫黄化合物をその他の成分と分けて考えることにより、精度が高まる。その場合、チオ硫酸、チオシアン1mgの硫黄換算値は、前記化学反応式(1)〜(3)より、それぞれ0.57mg、0.55mgと算出される。
難分解性COD分画工程7では、安水を生物反応槽にて生物学的好気処理を実施した処理水、又は、安水と生物反応槽内微生物を反応させるバッチ試験後の処理水において、処理後の溶解性COD濃度及び既知成分濃度を分析し、処理水溶解性COD濃度から処理水の既知成分COD濃度を差し引くことにより難分解性COD濃度6を決定する。ここでは所定時間の生物処理によって分解されない、すなわちシミュレーションの前後で変化しない難分解性CODを定量することが目的である。上記生物学的好気処理及びバッチ試験では、溶解性CODが経時的にほとんど減少しない状態まで処理することが望ましい。減少しない状態の判断基準はシミュレーションの精度に関連し、例えば、シミュレーション予測の精度を±5%以内に設定する場合、バッチ試験において、シミュレーションで対象とする生物反応槽の滞留時間が経過しても、バッチ試験の溶解性COD濃度の減少が元の溶解性COD濃度の5%以内となる状態が考えられる。シミュレーション予測の精度を事前に決定していない場合は、例えば、JIS K0102 生物化学的酸素消費量(BOD)の分析方法を用いて、5日間の分解処理を行うことで、減少しない状態と判断することができる。また、生物学的好気処理では通常、生分解性CODが十分分解される処理時間を採用しているが、場合によっては分解時間が不足していることもあるため、安定的に処理しているときのデータを取得する必要があるが、データ取得が困難な場合はバッチ試験により確認することが望ましい。
未知成分COD分画工程10では、分析工程2で得られた流入する安水溶解性COD濃度8から流入する安水の既知成分COD濃度5及び難分解性COD濃度6を差し引くことにより流入する安水の未知成分COD濃度9を決定する。未知成分は、安水ではフェノール、チオ硫酸、チオシアン以外のCOD成分であり、生分解性を有する有機物、無機物のことを指す。
また、この未知成分COD濃度を求める際に、分析方法の誤差などによって、流入する安水の既知成分COD濃度5と難分解性COD濃度6の和が溶解性COD濃度を超えてしまう可能性があるが、この場合、未知成分COD濃度が無視できる程度に低いと考え、未知成分COD濃度をゼロとして計算してもよい。
また、既知成分であるフェノールを未知成分に含めて簡易にシミュレーションを行ってもよい。これによりフェノール濃度を分析する必要がなく、分析工程2で流入する安水の溶解性COD濃度8、チオ硫酸、チオシアン濃度のみの分析でシミュレーションが可能となる。但し、未知成分分解におけるパラメーターがフェノール濃度の変動により影響を受ける可能性があるため、シミュレーションにあたっては、後述のキャリブレーションの頻度を多くする等、慎重にパラメーター設定を行う必要がある。
また、未知成分COD濃度の時系列変化から、未知成分を複数成分に分画し、シミュレーションを実施してもよい。例えば、バッチ試験等における未知成分COD濃度の時系列変化において、反応初期の未知成分COD濃度分解速度と、それ以降の分解速度が大きく異なる場合には、未知成分COD濃度を2成分に分画し、未知成分a及び未知成分bなどとしてシミュレーションを行う。
パラメーター設定工程11では、フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODを分解する微生物の種類及び濃度、並びに、化学量論パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する増殖収率、反応速度式パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する飽和定数、最大比増殖速度を設定する。設定方法については、大きく分けて(A)実験を行って、ある条件での実験データを解析する方法と、(B)文献値を拾う方法が挙げられ、前者によりパラメーター設定を行う方法が望ましい。
上記(A)の方法について以下に述べる。この方法は、(ア)流入する安水、及び、安水の処理水において、シミュレーションを実施する前に、時系列的に別途採取したサンプルを用いて、溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、及び、未知成分COD濃度と、生物反応槽における溶存酸素濃度をそれぞれ分析・測定し、後述する演算式(2)などを用いることにより、シミュレーションにおけるパラメーターを、キャリブレーションによって決定する方法、(イ)溶存酸素計を用いて連続的に溶存酸素濃度を計測するバッチ試験装置を使用し、生物反応槽中の微生物と、流入する安水、又は、安水中の成分をバッチ容器内で反応させる酸素消費速度試験において、酸素消費速度データ、及び溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、未知成分COD濃度の時系列データを採取し、後述する演算式(3)〜(6)などを用いることにより、シミュレーションにおけるパラメーターを決定する方法のうち(ア)又は(イ)のいずれかの方法を用いて、事前にパラメーターを設定する。但し、上記難分解性COD濃度は、事前に難分解性COD分画工程7から決定してもよいが、(ア)の処理水中溶解性COD濃度、又は、(イ)のバッチ試験終了時の溶解性COD濃度も、操作としては同じことを実施するため、これにより決定してもよい。また、未知成分の決定については、未知成分COD分画工程10により求める。
上記(ア)の時系列実測値データについて、具体的なデータ取得方法は指定しないが、濃度変化がわかるような時系列データを採取する。例えば、1週間の処理水水質をシミュレーションするのであれば、その間の3点以上、例えば、2日、4日、6日経過時のデータを取得することが望ましい。また、時系列実測値データは安定したものが望ましく、例えば上記の場合、流入する安水の含有成分濃度、組成などが1週間の間で大きく変動しているデータは望ましくない。変動の大きさの基準は、例えば、シミュレーション予測の精度を±5%以内に設定する場合、シミュレーション生物処理時間(滞留時間)の時間間隔で流入する安水の含有成分濃度の変動幅が5%以内であるものを用いることができる。
上記(ア)のキャリブレーションによって決定する方法は、特に指定しないが、例えば、市販のASMシミュレーションソフトAQUASIMによって、時系列実測値、計算値及び時系列実測値の標準偏差から、下記演算式(2):
Figure 0005449072
{式中、χ2(p)は、対象とするモデルパラメーターpのχ2の値であり、ymeas,mは、m番目の時系列データの実測値(成分濃度または酸素消費速度)であり、ym(p)は、モデルパラメーターpの値を仮定したときの、m番目の時系列データの計算値(成分濃度または酸素消費速度)であり、σmeas,mは、m番目の時系列データの実測値の標準偏差又は実測値全体の標準偏差であり、そしてnは、データポイントの数である。}
によりχ2の値を求め、χ2の値が最小となったときのパラメーターの値を用いる方法がある。パラメーターの値を求める方法は特に指定しないが、シンプレックス法、モンテカルロ法、遺伝的アルゴリズム等の数値解析手法によるものが望ましい。
上記(イ)の酸素消費速度試験の酸素消費速度データからパラメーターを決定する方法は、図4の試験装置を用いる。図4で、酸素消費速度試験装置21に、生物学的処理プロセスで用いる微生物汚泥22、アンモニア性窒素が硝酸性窒素に硝化する際の酸素消費を抑制するため硝化阻害剤23を添加し、撹拌装置24で酸素消費速度試験装置21の液を混合する。栄養塩の不足による微生物の活性の低下を防ぐため、栄養塩25を添加してもよい。次に、酸素消費速度試験装置21に対象とする成分26を添加し、溶存酸素濃度計27によって溶存酸素濃度の経時変化を測定する。溶存酸素濃度の記録はデータ記録装置28で行ってもよい。測定中は溶存酸素濃度を一定以上に制御するため、制御値を下回ったときに空気供給装置29で空気を供給してもよい。pHを一定に制御するため、pH計30でpHを測定し、酸・アルカリ供給装置31で酸又はアルカリを供給し、制御してもよい。酸素消費速度試験装置21の温度を制御するため、ヒーター32を備えた恒温水槽33を用いてもよい。
対象とする成分(以下、成分Aと表記する)を添加して得られた溶存酸素濃度及び酸素消費速度の経時変化からパラメーターを決定する方法は特に限定されないが、例えば増殖収率については、成分AのCOD換算濃度と、酸素消費量から、下記演算式(3):
Figure 0005449072
{式中、YAは、成分Aを分解する微生物の増殖収率であり、SA,CODは、成分AのCOD換算濃度であり、そしてO2measは、酸素消費量の実測値である。}
によって求めることができる。
増殖収率をより厳密に求める方法には、内生呼吸による酸素消費速度を事前に求め、上記酸素消費量の実測値から内生呼吸による酸素消費速度を差し引くことにより、増殖に使われた酸素消費速度を求めることができる。
最大比増殖速度、飽和定数の値を決定する方法については特に限定されないが、例えば、前記した非特許文献2にある方法を用いて求めることができる。すなわち、この方法は、酸素消費速度試験で用いる微生物汚泥を1時間、ばっ気した後に、微生物汚泥を様々な希釈率で安水と混合し、酸素消費速度を測定する方法である。測定中は溶存酸素濃度を一定に保つように、ばっ気による制御を行う。次に、測定された酸素消費速度を汚泥濃度で除すことにより比酸素消費速度を求め、比酸素消費速度から内生呼吸による酸素消費速度を引いたもの(比基質酸化速度)を求める。比内生呼吸速度とは、成分Aを添加しないときの内生呼吸による酸素消費速度であり、その求め方は、酸素消費速度試験において、成分Aを添加せずに行ったときの酸素消費速度から求められる。このとき、比増殖速度と比基質酸化速度の間には、下記演算式(4):
Figure 0005449072
{式中、μAは、成分Aを分解する微生物の比増殖速度であり、そしてroxは、比基質酸化速度である。}
に示す関係が成り立つ。
一方、比増殖速度μAと最大比増殖速度μA,maxとの間には、下記演算式(5):
Figure 0005449072
{式中、μA,maxは、成分Aを分解する微生物の最大比増殖速度であり、KAは、成分A濃度のCOD換算値に対する飽和定数であり、SA,CODは、成分AのCOD換算濃度であり、SO2は、溶存酸素濃度であり、そしてKO2は、溶存酸素濃度に対する飽和定数である。}
に示すミカエリス−メンテン式が成り立つ。
ここで、酸素消費速度試験では溶存酸素濃度を高濃度に維持するため、SO2/(KO2+SO2)の値はほぼ1とみなせる。したがって、比増殖速度は成分濃度のみの関数とみなせる。以上より、演算式(4)で得られた比増殖速度μAの値と成分濃度とのプロットが得られ、そのプロットに演算式(5)の式をフィッティングすることにより、微生物の比最大増殖速度及び成分Aに対する飽和定数が求まる。
フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分を分解する微生物の種類および濃度を決定する方法については、特に限定されないが、種類については、基本的に一成分に対し一種類の微生物がその分解に対応することが望ましい。さらに、実験データや文献をもとに、複数成分を1種類の微生物が分解することもあるため、実際の現象に即した計算予測や計算予測精度の向上のためには複数成分1種類の微生物が対応するよう設定してもよい。但し、一成分を複数種類の微生物が分解することもあり得るが、それらは同じような分解作用を示すことが多く、また、微生物の種類を増やすことにより計算量が増加するため、一成分に対し一種類の微生物を対応させることが望ましい。本発明では、フェノール、未知成分については従属栄養細菌がその分解に対応するものとするが、未知成分のうち成分特定及び定量が容易なものがあれば、それに対応する種類の微生物を設定してもよい。微生物の濃度については、化合物成分有機物成分及び無機物成分を用いた酸素消費速度が、下記演算式(6):
Figure 0005449072
{式中、OURは、酸素消費速度であり、そしてXAは、成分Aを分解する微生物の濃度のCOD値であり、そしてYA、SA、KO2、及びSO2は、演算式(3)〜(5)に定義したものである。}
で表されることが多く、この式を用いる方法がある。
すなわち、演算式(6)で、最大比増殖速度、成分Aに対する飽和定数は、前記の方法で決定され、酸素消費速度試験では溶存酸素濃度を高濃度に維持するため、SO2/(KO2+SO2)の値はほぼ1とみなせる。このことから、酸素消費速度は成分Aを分解する微生物の濃度のみの関数として表される。したがって、成分A濃度分析値を演算式(6)に代入して求めたOUR計算値と、酸素消費速度試験で得られるOUR実測値をフィッティングすることにより、XAを決定することができる。
上記(B)の文献値を拾う方法については、例えば、前記した非特許文献3に典型的なパラメーター値が記述されており、好気条件下での従属栄養生物の収率は0.63とされている。この値をパラメーター値として設定してもよいが、対象とする安水性状等によって値が異なる可能性があるため、なるべく上記(A)の方法により設定するほうが望ましい。また、安水の含有成分濃度、組成などの違いによるパラメーター値の変動に対しては、所望のシミュレーション精度が得られない場合に再設定を行うことが望ましい。例えば、シミュレーション予測の精度を5%以内に設定した場合は、実績値とシミュレーション値との誤差が5%以上になった際に、再設定を行う。
溶存酸素濃度12は、生物学的処理プロセスに溶存酸素濃度計を設置し、生物反応槽の溶存酸素濃度を測定した値を用いる方法、又は、パラメーター設定工程11で溶存酸素濃度をパラメーターとして扱い、キャリブレーションにより決定した値を用いる方法のいずれでもよい。但し、生物反応槽の溶存酸素濃度を測定した値を用いる方法では、時系列データを採取し、シミュレーションの入力値として用いることが望ましい。時系列データの採取が困難な場合は、計算を行う時間断面の溶存酸素濃度を用いる。例えば、現在より10日後までのシミュレーションを行う場合には、現在の溶存酸素濃度が10日間一定であると仮定して入力する。
計算工程15は、流入する安水の既知成分COD濃度5と、流入する安水の未知成分COD濃度9と、溶存酸素濃度と、パラメーターを用いて、処理水の予測既知成分COD濃度13と、予測未知成分COD濃度14を求める。計算には、IWA活性汚泥モデルをベースとした前述の演算式(1)を用いる。但し、難分解性COD濃度は生分解性の無いCODであるため、計算工程には含めない。シミュレーションでは生物反応槽内の反応時間におけるCOD濃度が求まるため、ある滞留時間経過後のCOD濃度が処理水COD濃度と一致する。
さらに、計算工程15では、pH、アルカリ度、アンモニア濃度等の影響を含めたシミュレーションを行ってもよい。その計算方法の指定はしないが、例えば、Ciに水素イオン濃度、溶存二酸化炭素濃度、アンモニア濃度等を追加し、Pijに水素イオン濃度、溶存二酸化炭素濃度、アンモニア濃度等の化学量論パラメーターを追加し、ρjに反応速度式を追加して、計算を行ってもよい。また、生物学的処理において生物自身の自己分解が与える影響を加味することによって予測精度を上げるため、化学量論パラメーターに浮遊不活性有機物に変換される割合、反応速度パラメーターに好気条件下における生物の比内生呼吸速度を設定してもよいが、通常は影響が少ないので、設定しなくてもよい。
また、流入する安水の変動については、流量、濃度が考えられる。これらの変動をシミュレーションするには、流量、濃度の経時データを元に、例えば演算式(7)により計算することによって、処理水の濃度を求めることが可能である。
Figure 0005449072
但し、Ci:各既知成分COD濃度及び未知成分COD濃度
i:各既知成分COD及び未知成分CODの種類を表す通し番号
ij:化学量論パラメーター
j:各プロセスを表す通し番号
ρj:反応速度式(反応速度式パラメーターを含む速度式)
Q:安水の水量
in:流入する安水を表す表記
out:流出する安水を表す表記
V:生物学的反応槽の容積
この演算式によれば、連続的に変化する安水の流量、濃度の経時データを入力することにより、生物反応槽での流入、流出によるCOD濃度変化を求めることが可能である。
処理水のCOD濃度算出工程16では、処理水の予測既知成分COD濃度13と、処理水の予測未知成分COD濃度14と、難分解性COD濃度6を合計することにより、処理水の予測COD濃度17を算出する。
実施例1:実安水を対象としたバッチ試験のシミュレーション(フェノールを既知成分として扱う)
以下、安水を対象としたバッチ試験のシミュレーション方法について、特に、フェノールを既知成分として扱った場合の説明をする。バッチ試験は1Lの反応容器に、人工海水及び実安水及び活性汚泥を添加し、MLSS濃度は500mg/L程度で24時間行った。この試験時間については、事前にバッチ試験により検討し、溶解性CODに変化が見られなくなる時間を確認した上で、処理するのに十分な時間を設定した。測定は、溶存酸素濃度計により溶存酸素濃度を測定し、pH計によりpHを測定した。また、溶存酸素濃度は3.25mg/L、pHは7.5に制御した。
分析工程2は、生物学的処理プロセスに流入する排水中の溶解性COD濃度及び既知成分濃度を分析する工程であるが、ここでは上記のバッチ試験装置中のフェノール、チオ硫酸、チオシアンの初期成分濃度であり、フェノール濃度についてはJIS K0102吸光光度法、チオ硫酸、チオシアン濃度についてはイオンクロマト分析、MLSS濃度については非特許文献1の遠心分離法により確認を行った。
得られた分析データをもとに、流入する安水の既知成分COD換算工程4では、上記フェノール、チオ硫酸、チオシアンとCODMnとの関係式をもとに流入する安水の既知成分COD濃度5を決定した。難分解性COD分画工程7では、難分解性COD濃度6を、バッチ試験24時間経過後の処理水溶解性COD濃度から処理水既知成分COD濃度を差し引くことにより決定した。未知成分COD分画工程10では、流入する安水の未知成分COD濃度9を、流入する安水の溶解性COD濃度8から流入する安水の既知成分COD濃度5及び難分解性COD濃度6を差し引くことにより決定した。
パラメーター設定工程11では、増殖収率、最大比増殖速度、飽和定数、及び後述する計算工程15で用いる従属栄養細菌濃度、チオ硫酸分解細菌濃度、及び、チオシアン分解細菌濃度を設定した。設定方法は、酸素消費速度試験の酸素消費速度データから決定する方法については、キャリブレーションによる方法を行った。キャリブレーションには市販のASMシミュレーションソフトAQUASIMを用いた。具体的には、実測値、計算値及び実測値の標準偏差から、演算式(2)に示されるχ2の値を求め、χ2の値が最小となったときのパラメーターの値を算出した。実測値については、事前に行った成分ごとのバッチ試験から、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度の経時変化を得た。流入する安水の難分解性COD濃度及び未知成分COD濃度は本実施例のバッチ試験結果から求めた。計算値は、後述する計算工程15の方法により求めた。溶存酸素濃度は、バッチ試験の制御値3.25mg/Lを用いた。
計算工程15は、流入する安水の既知成分COD濃度5、溶存酸素濃度及びパラメーターを用いて、バッチ試験のフェノール、チオ硫酸、チオシアン濃度の既知成分COD濃度、及び、未知成分COD濃度の経時変化のシミュレーションを行い、処理水の溶解性COD濃度の計算精度を確認した。計算方法は、前記演算式(1)を用いた。表1は、計算に用いた各成分濃度Ci及び化学量論パラメーター、反応速度パラメーターを示す。表2は、プロセスρjにおける化学量論の関係を表しており、例えば、プロセスρ1の従属栄養細菌の増殖では、従属栄養細菌(XH)に対してP11=−1/YPheの割合でフェノール濃度が増加し、P41=1−1/YPheの割合でSO2が増加することを表す。表3は、計算に用いる反応速度式を示す。例えば、プロセスρ1のフェノール分解細菌の増殖では、フェノール濃度の増加速度は演算式(8)のように表される。
Figure 0005449072
{式中、SPheは、フェノール濃度であり、tは、時間であり、SO2は、溶存酸素濃度であり、KO2は、溶存酸素濃度に対する飽和定数であり、KPheは、フェノール濃度に対する飽和定数であり、XPheは、フェノール分解細菌濃度であり、そしてμPheとYPheは、表1〜3中で定義したものである。}
で表される。
Figure 0005449072
Figure 0005449072
Figure 0005449072
また、チオ硫酸、チオシアンについては、硫黄当量で計算を行った。また、1種類の硫黄酸化細菌がこれらの2成分を分解することも考えられるが、ここではチオ硫酸、チオシアンに対して、それぞれの成分に対して分解する微生物を設定した。
上記のシミュレーションの結果を図5に示す。図5は、本実施例の溶解性COD濃度の経時変化及びシミュレーション結果を示す。以上述べたように、本実施例によれば、安水の生物学的好気処理において、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの既知成分COD濃度5、及び、難分解性COD濃度6、及び、未知成分COD濃度9に分画し、活性汚泥モデルを適用することにより、処理水のCOD濃度を予測できる。
実施例2:実安水を対象としたバッチ試験のシミュレーション(フェノールを未知成分として扱う)
以下、実施例1においてフェノールを未知成分として扱うと設定したときのシミュレーション方法について説明する。バッチ試験は実施例1と同様の条件で行った。但し、分析工程2ではフェノール濃度を測定しなかった。流入する安水の既知成分COD換算工程4では、上記フェノールを除き、チオ硫酸、チオシアンとCODMnとの関係式をもとに流入する安水の既知成分COD濃度5を決定した。難分解性COD分画工程6は、実施例1と同様に行った。流入する安水の未知成分COD分画工程10では、流入する安水の未知成分COD濃度9を、流入する安水の溶解性COD濃度8から流入する安水の既知成分COD濃度5(フェノールを除く)及び難分解性COD濃度6を差し引くことにより決定した。
但し、バッチ試験結果より、反応初期の未知成分COD濃度の分解速度と、それ以降の分解速度が異なると考えられたため、未知成分COD濃度を未知成分a及び未知成分bに分画し、パラメーター設定及びシミュレーションを実施した。詳細は計算工程15で後述する。
パラメーター設定工程11は、実施例1と同様に行った。
計算工程15は、流入する安水の既知成分COD濃度5、溶存酸素濃度及びパラメーターを用いて、バッチ試験のフェノールを除いたチオ硫酸、チオシアン濃度の既知成分COD濃度、及び、未知成分COD濃度の経時変化のシミュレーションを行い、処理水溶解性COD濃度の計算精度を確認した。計算方法は、前記演算式(1)を用いた。表4は、計算に用いた各成分濃度Ci及び化学量論パラメーター、反応速度パラメーターを示す。表5は、プロセスρjにおける化学量論の関係を示す。表6は、計算に用いる反応速度式を示す。
ここで、未知成分の分解は図6のような結果となり、60分以降で大きく分解速度が減少したことから、未知成分a及び未知成分bに分画し、それぞれ成分濃度及び化学量論及び反応速度式を設定した。フェノール及び未知成分a及び未知成分bは従属栄養細菌によって分解されると考えられるため、同様の化学量論関係、反応速度式を設定した。但し、これらの成分におけるパラメーター値は異なるため、同じ分解速度式にはならない。
Figure 0005449072
Figure 0005449072
Figure 0005449072
また、チオ硫酸、チオシアンについては、実施例1と同様に、硫黄当量で計算を行った。
上記のシミュレーションの結果を図7に示す。図7は、本実施例の溶解性COD濃度の経時変化及びシミュレーション結果を示す。以上述べたように、本実施例によれば、安水の生物学的好気処理において、フェノールを未知成分に含めることにより、チオ硫酸、チオシアンの既知成分COD濃度と、難分解性COD濃度と、フェノールとを含む未知成分COD濃度(2成分)に分画し、活性汚泥モデルを適用することにより、処理水のCOD濃度を予測できる。このことによって、分析工程2でフェノール濃度の分析を行わずに、簡易に処理水溶解性COD濃度をシミュレーション可能である。但し、未知成分分解におけるパラメーターがフェノール濃度の変動により影響を受ける可能性があるため、シミュレーションにあたっては、キャリブレーションの頻度を多くする等、慎重にパラメーター設定を行う必要がある。
実施例3:実安水を対象とした連続試験データからのシミュレーション
以下、実施例2と同様にフェノールを未知成分として扱い、かつ連続試験データから処理水CODシミュレーションを行う方法について説明する。連続試験は実安水に対して、前段より200Lの反応槽を2槽、100Lの反応槽を1槽、沈降槽を1槽連結し、滞留時間12時間程度で運転を行い、2ヶ月間連続処理を行った。分析工程2では、実施例2と同様に、フェノール濃度を測定しなかった。流入する安水の既知成分COD換算工程4では、実施例2と同様に、上記フェノールを除き、流入する安水の既知成分COD濃度5を決定した。難分解性COD分画工程7は、生分解性CODが安定的に処理されているときの処理水データをもとに、溶解性COD濃度から、既知成分のCOD濃度を差し引くことにより求めた。未知成分COD分画工程10では、実施例2と同様に流入する安水の未知成分COD濃度9を決定した。未知成分COD濃度については、実施例2と同様に、未知成分a及び未知成分bに分画し、パラメーター設定を実施した。
パラメーター設定工程11では、増殖収率、最大比増殖速度、飽和定数、及び後述する計算工程15で用いる従属栄養細菌濃度、チオ硫酸分解細菌濃度、及び、チオシアン分解細菌濃度を設定した。設定方法は、本実施例で得られた17日間の4点(0日、3日、15日、17日後)の流入する安水及び処理水中の溶解性COD濃度、チオ硫酸、チオシアン濃度の分析値、並びに、その分析値から算出した難分解性COD濃度及び未知成分COD濃度のデータを、前記式(2)に代入してキャリブレーションにより決定する方法を行った。キャリブレーションには市販のASMシミュレーションソフトAQUASIMを用いた。計算値は、後述する計算工程15の方法により求めた。溶存酸素濃度は、連続試験の制御値2.0mg/Lを用いた。
計算工程15は、上記パラメーターを用いて、本実施例の連続試験の45日後における、安水の処理水中のチオ硫酸、チオシアン濃度、未知成分COD濃度をシミュレーションし、難分解性COD濃度6と足し合わせることにより、処理水COD濃度17のシミュレーションを行った。計算方法は、45日後の流入する安水の既知成分COD濃度及び未知成分COD濃度を、前記演算式(1)に代入して行った。表4は、計算に用いた各成分濃度Ci及び化学量論パラメーター、反応速度パラメーターを示す。表5は、プロセスρjにおける化学量論の関係を示す。表6は、計算に用いる反応速度式を示す。また、計算結果を実測値と比較することにより、計算精度を確認した。
また、チオ硫酸、チオシアンについては、実施例1及び2と同様に、硫黄当量で計算を行った。
上記のシミュレーションの結果を図8に示す。図8は、本実施例の連続試験45日後に流入する安水の溶解性COD実測値及び処理水溶解性COD実測値及び処理水溶解性COD濃度シミュレーション結果を示す。以上述べたように、本実施例によれば、安水の生物学的好気連続処理プロセスにおいて、フェノールを未知成分に含め、連続試験データからキャリブレーションによりパラメーターを設定し、そのパラメーター値を元に異なる安水が流入した場合にも、チオ硫酸、チオシアンの既知成分COD濃度5、及び、難分解性COD濃度、及び、フェノールを含む未知成分COD濃度(2成分)に分画し、活性汚泥モデルを適用することにより、処理水のCOD濃度を予測できる。このことによって、連続処理のCODシミュレーションが可能であり、分析工程2でフェノール濃度の分析を行わずに、簡易に処理水溶解性COD濃度をシミュレーション可能である。但し、実施例2と同様に、未知成分分解におけるパラメーターがフェノール濃度の変動により影響を受ける可能性があるため、シミュレーションにあたっては、キャリブレーションの頻度を多くする等、慎重にパラメーター設定を行う必要がある。
実施例4:実安水の流量変動を加味したシミュレーション
以下、実施例3と同様にフェノールを未知成分として扱い、かつ流入安水量を変動させた連続試験データから処理水CODシミュレーションを行う方法について説明する。図9は、本実施例における実安水の流量変動を加味した安水のCOD濃度シミュレーション方法のフローを例示した図である。連続試験は実施例3と同様の反応槽、沈降槽、滞留時間、試験期間で行った。ただし、流入安水量は0日目の水量を基準とし、30日後に3.0倍へと変動させた。分析工程2では、実施例3と同様に、フェノール濃度を測定しなかった。流入する安水の既知成分COD換算工程4では、実施例3と同様に、上記フェノールを除き、流入する安水の既知成分COD濃度5を決定した。難分解性COD分画工程7は、生物分解性CODが安定的に処理されている時の処理水データをもとに、溶解性COD濃度から、既知成分のCOD濃度を差し引くことで求めた。未知成分COD分画工程10では、実施例3と同様に流入する安水の未知成分COD濃度9を決定した。未知成分COD濃度については、実施例3と同様に、未知成分a及び未知成分bに分画し、パラメーター設定を実施した。
パラメーター設定工程11では、増殖収率、最大比増殖速度、飽和定数、及び後述する計算工程15で用いる従属栄養細菌濃度、チオ硫酸分解細菌濃度、及び、チオシアン分解細菌濃度を設定した。設定方法は、本実施例で得られた17日間の4点(0日、3日、15日、17日後)の流入する安水及び処理水中の溶解性COD濃度、チオ硫酸、チオシアン濃度の分析値、並びに、その分析値から算出した難分解性COD濃度及び未知成分COD濃度のデータを、前記式(2)に代入してキャリブレーションにより決定する方法を行った。キャリブレーションには市販のASMシミュレーションソフトAQUASIMを用いた。計算値は、後述する計算工程15の方法により求めた。溶存酸素濃度は、連続試験の制御値2.0mg/Lを用いた。
計算工程15は、上記パラメーターを用いて、本実施例の連続試験の45日後における、安水の処理水中のチオ硫酸、チオシアン濃度、未知成分COD濃度をシミュレーションし、難分解性COD濃度6と足し合わせることで、処理水COD濃度17のシミュレーションを行った。計算方法は、45日後の流入する安水の既知成分COD濃度及び未知成分COD濃度を、安水の水量及び反応槽の容積を用いて、前記演算式(8)に代入して行った。表4は、計算に用いた各成分濃度C及び化学量論パラメーター、反応速度パラメーターを示す。表5は、プロセスρにおける化学量論の関係を示す。表6は、計算に用いる反応速度式を示す。また、計算結果を実測値と比較することで、計算精度を確認した。
また、チオ硫酸、チオシアンについては、実施例1〜3と同様に、硫黄当量で計算を行った。
上記のシミュレーションの結果を図10に示す。図10は、本実施例の連続試験45日後に流入する安水の溶解性COD実測値及び処理水溶解性COD実測値及び処理水溶解性COD濃度シミュレーション結果を示す。以上述べたように、本実施例によれば、安水の生物学的好気連続処理プロセスにおいて、フェノールを未知成分に含め、連続試験データからキャリブレーションによりパラメーターを設定し、そのパラメーター値を元に異なる安水が流入し、安水流入量が変動した場合にも、チオ硫酸、チオシアンの既知成分COD濃度5、及び、難分解性COD濃度、及び、フェノールを含む未知成分COD濃度(2成分)に分画し、活性汚泥モデルを適用することで、処理水のCOD濃度を予測できる。このことによって、連続処理の流入量変動時のCODシミュレーションが可能であり、分析工程2でフェノール濃度の分析を行わずに、簡易に処理水溶解性COD濃度をシミュレーション可能である。ただし、実施例3と同様に、未知成分分解におけるパラメーターがフェノール濃度の変動により影響を受ける可能性があるため、シミュレーションにあたっては、キャリブレーションの頻度を多くする等、慎重にパラメーター設定を行っていく必要がある。
1 COD濃度シミュレーション方法
2 分析工程
3 成分濃度とCOD濃度の相関関係
4 既知成分COD換算分画工程
5 流入する安水の既知成分COD濃度
6 難分解性COD濃度
7 難分解性COD分画工程
8 流入する安水の溶解性COD濃度
9 流入する安水の未知成分COD濃度
10 未知成分COD分画工程
11 パラメーター設定工程
12 溶存酸素濃度測定工程
13 処理水の予測既知成分COD濃度
14 処理水の予測未知成分COD濃度
15 計算工程
16 処理水のCOD濃度算出工程
17 処理水の予測COD濃度
21 酸素消費速度試験装置
22 微生物汚泥
23 硝化阻害剤
24 撹拌装置
25 栄養塩
26 対象成分
27 溶存酸素濃度計
28 データ記録装置
29 空気供給装置
30 pH計
31 酸・アルカリ供給装置
32 ヒーター
33 恒温水槽

Claims (10)

  1. コークス製造工程で発生する安水を、微生物を使用した生物反応槽にて生物学的好気処理するプロセスにおけるCOD濃度シミュレーション方法であって、
    前記生物反応槽へ流入する前記安水に含まれる、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの各既知成分濃度及び溶解性COD濃度を測定分析する分析工程と、
    前記各既知成分濃度と、CODCr、CODMn又はCOD理論値のCOD濃度との相関関係をもとに、前記各既知成分濃度の分析値をCOD濃度に換算することにより、前記各既知成分濃度に対応する各既知成分のCOD濃度を決定する既知成分COD分画工程と、
    事前に、前記生物反応槽にて生物学的好気処理した安水の処理水に含まれる残存する前記フェノール、チオ硫酸、チオシアンの各既知成分濃度及び残存する溶解性COD濃度を測定分析し、前記残存する各既知成分濃度と、CODCr、CODMn又はCOD理論値のCOD濃度との相関関係をもとに、前記残存する各既知成分濃度に対応する残存する各既知成分のCOD濃度を決定し、前記残存する溶解性COD濃度から前記残存する各既知成分のCOD濃度の合計値を差し引くことにより、事前に難分解性COD濃度を決定する難分解性COD分画工程と、
    前記分析工程で得られた溶解性COD濃度から前記既知成分COD分画工程で得られた各既知成分のCOD濃度の合計値及び前記難分解性COD分画工程で得られた難分解性COD濃度を差し引くことにより、前記生物反応槽へ流入する安水に含まれる未知成分COD濃度を決定する未知成分分画工程と、
    前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODを分解する微生物の種類及び濃度、並びに、化学量論パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する増殖収率、反応速度式パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する飽和定数、最大比増殖速度を設定するパラメーター設定工程と、
    前記生物反応槽の溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度測定工程と、
    前記既知成分COD濃度、前記未知成分COD濃度、前記難分解性COD濃度、前記増殖収率、前記飽和定数、前記最大比増殖速度、前記微生物の種類、濃度、及び前記測定した溶存酸素濃度を用いて、演算式(1)の計算により、前記生物学的反応槽で前記生物学的好気処理した後の安水の処理水における残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度をシミュレーションして算出する計算工程と、
    当該算出された残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度に、難分解性COD濃度を加算することにより、処理水における残存する溶解性COD濃度を算出する処理水COD濃度算出工程
    を有することを特徴とする安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
    Figure 0005449072
    但し、Ci:各既知成分COD濃度及び未知成分COD濃度
    i:各既知成分COD及び未知成分CODの種類を表す通し番号
    ij:化学量論パラメーター
    j:各プロセスを表す通し番号
    ρj:反応速度式(反応速度式パラメーターを含む速度式)
  2. 前記パラメーター設定工程は、
    (ア)前記流入する安水、及び、安水の処理水において、事前に時系列的に別途採取した溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、及び、未知成分COD濃度と、溶存酸素濃度を用い、キャリブレーションによって決定する方法、
    (イ)溶存酸素計を用いて連続的に溶存酸素濃度を計測するバッチ試験装置を使用し、前記生物反応槽中の微生物及び前記安水中の対象成分を用いて、酸素消費速度試験の酸素消費速度データ、及び溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、未知成分COD濃度の時系列データから決定する方法
    のいずれかの方法を用いて、パラメーターを設定することを特徴とする、請求項1に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
  3. 前記難分解性COD分画工程において、前記生物反応槽にて生物学的好気処理した安水の処理水に替えて、前記生物反応槽内の微生物と前記安水とを反応させたバッチ試験後の処理水を用いて、事前に前記難分解性COD濃度を決定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
  4. 前記フェノールを前記未知成分COD濃度に含め、前記既知成分をチオ硫酸、チオシアンとして、前記各工程を実施することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
  5. 前記流入する安水の水量と、前記既知成分COD濃度と、前記未知成分COD濃度と、前記難分解性COD成分濃度の経時データ、及び、前記生物学的反応槽の容積を用いて、前記計算工程において演算式(1)の計算と併せて物質収支を計算することにより、前記生物学的反応槽で前記生物学的好気処理した後の安水の処理水における残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度をシミュレーションして算出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション方法。
  6. コークス製造工程で発生する安水を、微生物を使用した生物反応槽にて生物学的好気処理するプロセスにおけるCOD濃度シミュレーション装置であって、
    前記生物反応槽へ流入する前記安水に含まれる、フェノール、チオ硫酸、チオシアンの各既知成分濃度及び溶解性COD濃度を測定分析する分析手段と、
    前記各既知成分濃度と、CODCr、CODMn又はCOD理論値のCOD濃度との相関関係をもとに、前記各既知成分濃度の分析値をCOD濃度に換算することにより、前記各既知成分濃度に対応する各既知成分のCOD濃度を決定する既知成分COD分画手段と、
    事前に、前記生物反応槽にて生物学的好気処理した安水の処理水に含まれる残存する前記フェノール、チオ硫酸、チオシアンの各既知成分濃度及び残存する溶解性COD濃度を測定分析し、前記残存する各既知成分濃度と、CODCr、CODMn又はCOD理論値のCOD濃度との相関関係をもとに、前記残存する各既知成分濃度に対応する残存する各既知成分のCOD濃度を決定し、前記残存する溶解性COD濃度から前記残存する各既知成分のCOD濃度の合計値を差し引くことにより、事前に難分解性COD濃度を決定する難分解性COD分画手段と、
    前記分析手段で得られた溶解性COD濃度から前記既知成分COD分画手段で得られた各既知成分のCOD濃度の合計値及び前記難分解性COD分画手段で得られた難分解性COD濃度を差し引くことにより、前記生物反応槽へ流入する安水に含まれる未知成分COD濃度を決定する未知成分分画手段と、
    前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODを分解する微生物の種類及び濃度、並びに、化学量論パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する増殖収率、反応速度式パラメーターである前記フェノール、チオ硫酸、チオシアン及び未知成分CODに対する飽和定数、最大比増殖速度を設定するパラメーター設定手段と、
    前記生物反応槽の溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度測定手段と、
    前記既知成分COD濃度、前記未知成分COD濃度、前記難分解性COD濃度、前記増殖収率、前記飽和定数、前記最大比増殖速度、前記微生物の種類、濃度、及び前記測定した溶存酸素濃度を用いて、演算式(1)の計算により、前記生物学的反応槽で前記生物学的好気処理した後の安水の処理水における残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度をシミュレーションして算出する計算手段と、
    当該算出された残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度に、難分解性COD濃度を加算することにより、処理水における残存する溶解性COD濃度を算出する処理水COD濃度算出手段
    を有することを特徴とする安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
    Figure 0005449072
    但し、Ci:各既知成分COD濃度及び未知成分COD濃度
    i:各既知成分COD及び未知成分CODの種類を表す通し番号
    ij:化学量論パラメーター
    j:各プロセスを表す通し番号
    ρj:反応速度式(反応速度式パラメーターを含む速度式)
  7. 前記パラメーター設定手段は、
    (ア)前記流入する安水、及び、安水の処理水において、事前に時系列的に別途採取した溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、及び、未知成分COD濃度と、溶存酸素濃度を用い、キャリブレーションによって決定する装置、
    (イ)溶存酸素計を用いて連続的に溶存酸素濃度を計測するバッチ試験装置を使用し、前記生物反応槽中の微生物及び前記安水中の対象成分を用いて、酸素消費速度試験の酸素消費速度データ、及び溶解性COD濃度、フェノール濃度、チオ硫酸濃度、チオシアン濃度、難分解性COD濃度、未知成分COD濃度の時系列データから決定する装置
    のいずれかの装置を用いて、パラメーターを設定することを特徴とする、請求項6に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
  8. 前記難分解性COD分画手段において、前記生物反応槽にて生物学的好気処理した安水の処理水に替えて、前記生物反応槽内の微生物と前記安水とを反応させたバッチ試験後の処理水を用いて、事前に前記難分解性COD濃度を決定することを特徴とする、請求項6又は7に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
  9. 前記フェノールを前記未知成分COD濃度に含め、前記既知成分をチオ硫酸、チオシアンとして、前記各手段を実施することを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
  10. 前記流入する安水の水量と、前記既知成分COD濃度と、前記未知成分COD濃度と、前記難分解性COD成分濃度の経時データ、及び、前記生物学的反応槽の容積を用いて、前記計算手段において演算式(1)の計算と併せて物質収支を計算することにより、前記生物学的反応槽で前記生物学的好気処理した後の安水の処理水における残存する各既知成分COD濃度及び残存する未知成分COD濃度をシミュレーションして算出する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の安水の生物学的好気処理におけるCOD濃度シミュレーション装置。
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