JP2003024983A - 硝化処理方法 - Google Patents
硝化処理方法Info
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Abstract
菌の存在下に曝気して硝化する硝化槽に導入して硝化す
る方法において、亜硝酸型硝化を安定に行うと共に、p
H調整剤の使用量を大幅に低減する。 【解決手段】 硝化槽1に供給するアンモニア性窒素を
含有する原水をpH調整剤として用い、その供給量を調
節し、必要に応じて他のpH調整剤を添加して硝化槽1
内をpH調整する。硝化処理の開始時に硝化槽1内のア
ンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒素の少なくとも一方
が、500mg−N/L以上となるように、硝化槽1に
アンモニア性窒素及び/又は亜硝酸性窒素を添加する。
硝化液中のアンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒素濃度と
の比を2:1〜1:2とする。硝化槽のpHを6〜8と
し、DO濃度を0.5〜4mg/Lとし、水温を10〜
40℃とする。
Description
を含む原水をアンモニア酸化細菌の存在下に曝気して硝
化する方法に係り、特に、硝化槽内のpH調整を効果的
に行って、安定かつ効率的な亜硝酸型硝化を行う硝化処
理方法に関する。
川、湖沼及び海洋などにおける富栄養化の原因物質の一
つであり、排液処理工程で効率的に除去する必要があ
る。一般に、排水中のアンモニア性窒素は、アンモニア
性窒素をアンモニア酸化細菌により亜硝酸性窒素に酸化
し、更にこの亜硝酸性窒素を亜硝酸酸化細菌により硝酸
性窒素に酸化する硝化工程と、これらの亜硝酸性窒素及
び硝酸性窒素を従属栄養性細菌である脱窒菌により、有
機物を電子供与体として利用して窒素ガスにまで分解す
る脱窒工程との2段階の生物反応を経て窒素ガスにまで
分解される。
性窒素を酸化するために必要な曝気動力が運転コストの
うちの大部分を占めている。
のコストのみならず、脱窒工程において電子供与体とし
てメタノールなどの有機物を多量に必要とし、発生汚泥
量も多いという欠点がある。
て、硝酸性窒素を生成させず、亜硝酸性窒素を生成さ
せ、亜硝酸性窒素を脱窒する方法が考えられる。
し、亜硝酸性窒素を電子受容体とする独立栄養性微生物
を利用し、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素とを反応さ
せて脱窒する方法が提案された。この方法であれば、有
機物の添加は不要であるため、従属栄養性の脱窒菌を利
用する方法と比べて、コストを低減することができる。
また、独立栄養性の微生物は収率が低く、汚泥の発生量
が従属栄養性微生物と比較すると著しく少ないので、余
剰汚泥の発生量を抑えることができる。更に、従来の硝
化脱窒法で観察されるN2Oの発生がなく、環境に対す
る負荷を低減できるといった特長もある。
脱窒プロセスは、Strous, M, et al., Appl. Microbio
l. Biotechnol., 50, p.589-596 (1998) に報告されて
おり、以下のような反応でアンモニア性窒素と亜硝酸性
窒素が反応して窒素ガスに分解されると考えられてお
り、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素とは、アンモニア
性窒素:亜硝酸性窒素=0.43:0.57(モル比)
=1:1.3(重量比)で反応する。
て脱窒処理を行う場合、原水のアンモニア性窒素と亜硝
酸性窒素の割合はモル比でアンモニア性窒素1に対して
亜硝酸性窒素0.5〜2、特に1〜1.5(即ち、アン
モニア性窒素:亜硝酸性窒素=2:1〜1:2好ましく
は1:1〜1:1.5)とするのが好ましい。このため
アンモニア性窒素を含む原水を処理する場合には、この
原水の一部について亜硝酸型硝化を行い、アンモニア性
窒素を含む原水と亜硝酸性窒素を含む硝化液とを混合し
て原水とするか、或いは原水中のアンモニア性窒素の一
部について亜硝酸化を行った液を原水とすることが好ま
しい。この場合においても、アンモニア性窒素の亜硝酸
型硝化を行うことが必要となる。
素の酸化を亜硝酸性窒素で止め、硝酸性窒素を生成させ
ない亜硝酸型硝化を行うための制御方法としては、 高濃度のアンモニア性窒素や亜硝酸性窒素を硝化槽に
添加することによって、アンモニア性窒素や亜硝酸性窒
素の毒性で亜硝酸性窒素の硝酸性窒素への酸化を停止す
る方法 低溶存酸素(DO)濃度で運転するか、水温を30
℃以上に調整する方法 硝化汚泥のSRT(汚泥滞留時間)を短くすること
で、亜硝酸性窒素を酸化する微生物を系内から排除する
方法などが提案されているが、いずれも十分な方法とは
言えず、生成した亜硝酸性窒素が硝酸性窒素にまで酸化
されてしまうことがあった。
素に酸化する反応では、アルカリ性のアンモニア性窒素
が酸性の亜硝酸性窒素に酸化されるため、硝化槽内のp
Hは低下しやすい。そして、pHが5以下まで低下する
と、アンモニア酸化細菌の活性が著しく低下する。この
場合は、アンモニア性窒素の酸化速度は中性域の場合の
酸化速度より低下してしまう。これを防ぐために、水酸
化ナトリウムなどの比較的高価なアルカリ薬品を外部か
ら添加してpH調整する必要がある。
ンパク質等の有機性窒素の分解で、アンモニア性窒素が
生成する際には、アルカリ性のアンモニア性窒素の生成
でpHが上昇する。アンモニア性窒素から亜硝酸性窒素
又は硝酸性窒素が生成する際はpHは低下するが、亜硝
酸性窒素から硝酸への酸化工程では新たな酸は生成しな
いため、pHの低下は起こらない。
工程において安定的に亜硝酸性窒素を生成させる亜硝酸
型硝化を行うことが困難であり、亜硝酸型硝化を行うた
めの有効な硝化処理方法の開発が望まれている。
から亜硝酸性窒素が生成した際に低下したpHを調整す
るために、NaOH等の比較的高価なアルカリ薬品を必
要とするため、薬品コスト、薬液の調整、薬液タンク薬
品管理等の費用、作業が必要となるという問題もあっ
た。
モニア性窒素を含有する原水をアンモニア酸化細菌の存
在下に曝気して硝化する硝化槽に導入して硝化する方法
において、亜硝酸型硝化を安定に行うことができ、しか
も、pH調整のための高価な薬品を必要とすることがな
い、或いはその使用量を大幅に低減することができる硝
化処理方法を提供することを目的とする。
は、アンモニア性窒素を含む原水をアンモニア酸化細菌
の存在下に曝気する硝化槽に供給して硝化処理する方法
において、硝化槽に供給する原水をpH調整剤としてそ
の供給量を調節すると共に、必要に応じ他のpH調整剤
を添加することにより、硝化槽内のpHを制御して硝化
を行うことを特徴とする。
窒素を含むアルカリ性の原水を硝化槽内のpH制御に用
い、原水だけではpH調整し得ない場合にpH調整剤を
補助的に用いる。このため、pH調整のためのアルカリ
薬品が不要となるが、或いはその必要量を大幅に低減す
ることができる。
利用し、硝化槽内のpHを適当な値とするために、原水
の供給量を調節し、例えば、硝化槽内のpHが低い場合
には原水の供給量を増やし、これにより硝化槽内のpH
が好適範囲に回復した場合には原水の供給量を元の供給
量に戻すことにより、良好な亜硝酸型硝化を行うことが
可能となる。
細菌で酸化する場合、反応系内の無機窒素部分の大部分
がアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素となるように、か
つ、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素とをバランスよく
共存させるように処理を行うことにより、アンモニア性
窒素と亜硝酸性窒素の両方の毒性が期待でき、これによ
り、亜硝酸性窒素を硝酸性窒素に酸化する亜硝酸性細菌
の活性が低下し、亜硝酸性窒素から硝酸性窒素への酸化
は防止され、亜硝酸性型硝化を安定に行うことができる
ようになる。
え硝化槽のpHが低下した場合に、原水供給量を増やす
ため、硝化槽内へのアンモニア性窒素導入量が増え、こ
れにより硝化槽内のアンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒
素濃度とがバランス良く共存するようになる。逆に、硝
化槽のpHが高く、硝化槽内の亜硝酸性窒素量がアンモ
ニア性窒素量よりも少ない場合に原水供給量を減らすこ
とで、硝化槽内へのアンモニア性窒素導入量が減り、こ
れにより硝化槽内のアンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒
素濃度とがバランス良く共存するようになる。
毒性を発揮させて安定な亜硝酸型硝化を維持するために
は、硝化液中のアンモニア性窒素:亜硝酸性窒素=2:
1〜1:2(重量濃度比)であり、アンモニア性窒素と
亜硝酸性窒素の合計濃度が100〜10,000mg−
N/Lとなるように処理を行うのが好ましく、このため
には、硝化処理の開始時に硝化槽内のアンモニア性窒素
濃度と亜硝酸性窒素の少なくとも一方が、500mg−
N/L以上となるように、硝化槽にアンモニア性窒素及
び/又は亜硝酸性窒素を添加することが好ましい。
より、より一層高い亜硝酸型硝化活性を維持することが
でき好ましい。 硝化槽内のpHを6〜8に制御する。 硝化槽内のDO濃度を0.5〜4mg/Lとする。 硝化槽内の水温を10〜40℃に調節する。
素濃度=2:1〜1:2好ましくは1:1〜1:1.5
の硝化液であれば、前述の独立栄養性微生物による脱窒
処理の原水として効率的に脱窒処理することができる。
施の形態を詳細に説明する。
な硝化装置を示す概略的な構成図である。
ポンプPにより硝化槽(曝気槽)1に導入され、曝気
下、硝化汚泥と接触して硝化処理され、硝化液が処理水
として排出される。
れ、硝化槽1内液のpHが測定される。測定されたpH
値は制御器3に入力され、このpH値に基いて制御器3
から原水ポンプPの制御信号が出力され、原水の流入量
が調節される。
よりも低いときには、原水の流入量を増加して、槽内p
Hを上げる。アルカリ性の原水流入量を増加させること
により、槽内pHを上げることができる。逆に、硝化槽
内のpHが予め設定した値よりも高いときには、原水の
流入量を減らして槽内pHを下げる。アルカリ性の原水
流入量を減らすことにより、槽内pHを下げることがで
きる。
っても良く、また、原水ポンプのon−off操作であ
っても良い。
給量を調節することにより、前述の如く、硝化槽内のア
ンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒素の割合をバランスさ
せることが可能となり、良好な亜硝酸型硝化を行うこと
ができる。
槽内のpHを調整し得ない場合には、NaOH等のアル
カリを補給しても良い。この場合には、更に薬注配管を
設け、制御器3により、原水ポンプPと共に薬注ポンプ
の制御を行えば良い。
うためには、硝化処理の開始時に硝化槽1内のアンモニ
ア性窒素濃度と亜硝酸性窒素の少なくとも一方が、50
0mg/L以上となるように、好ましくは800〜1,
500mg/Lとなるように、より好ましくはアンモニ
ア性窒素900〜1,000mg/L、亜硝酸性窒素9
00〜1,000mg/Lとなるように、硝化槽1にア
ンモニア性窒素及び/又は亜硝酸性窒素を添加すること
が好ましい。このような濃度でアンモニア性窒素及び/
又は亜硝酸性窒素を存在させることにより、それぞれが
亜硝酸酸化細菌に与える毒性の効果で良好な亜硝酸型硝
化を行えるようになる。
化を行うために、硝化槽から流出する硝化液のアンモニ
ア性窒素濃度と亜硝酸性窒素濃度との比は2:1〜1:
2、特に1:1.2〜1:1.3となるようにするのが
好ましく、このためには、硝化槽1内のpHを6〜8、
特に6.0〜6.5となるように制御することが望まし
い。
行うために、この硝化槽1内のDO濃度を0.5〜4m
g/Lとなるように硝化槽1の曝気量を調節することが
好ましい。この曝気量の調節は、例えば、硝化槽1内に
DO計を設け、このDO計の測定結果に基いて、硝化槽
1の散気部に空気を供給するブロワの風量を制御するこ
とにより行うことができる。硝化槽1内のDO濃度が4
mg/Lを超えるとDOが過剰となって、硝化反応が硝
酸型となり、硝酸性窒素が生成するようになるため好ま
しくない。0.5mg/L未満では硝化に必要な酸素量
が不足する。
槽1内の水温は10〜40℃とするのが好ましい。水温
が40℃を超えると硝化反応が硝酸型となり易く、10
℃未満では硝化活性が劣るものとなる。
なって高負荷の処理ができるため、SRTが長い運転の
方が好ましい。ただし、汚泥濃度が高くなると、同時に
亜硝酸性窒素を硝酸性窒素に酸化する微生物の濃度も増
えるため、予期せぬ硝酸化が起こる可能性がある。ま
た、汚泥濃度が高くなると、硝化槽の酸素不足や硝化槽
の後段に沈殿槽が設けられる場合には、この沈殿池の固
液分離障害が起きる。これらの障害を防ぐには、汚泥を
定期的に引き抜き、硝化速度(アンモニア消費速度)を
適切に調整することが好ましい。
時間であっても運転は可能であるが、この場合には汚泥
濃度が低くなるため、運転可能な負荷は低い。このよう
な運転は、原水から多量のSSが流入して槽内の汚泥濃
度が上昇することに対処するものであり、一般的にはS
RT=10〜100day程度とするのが好ましい。
はない。固定床、流動床、グラニュール法、担体添加法
等の生物膜式の硝化槽であれば、後段の固液分離のため
の沈殿槽を省略することができる。汚泥懸濁式の硝化槽
であれば、硝化槽の流出水を沈殿槽で固液分離して分離
汚泥を硝化槽に返送することで系内に汚泥を保持するこ
とができる。
り具体的に説明する。
に、アンモニア性窒素濃度7〜700mM(約100〜
10,000mg−N/L)を含む下水嫌気消化脱離液
(pH7.0)をHRT=2dayの条件で通水した。
このとき、表1に示すような異なる実験条件のもとで、
処理水のアンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素
の各濃度及び硝化活性を維持するNaOH添加量につい
て調べた。
曝気槽にアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を合計で1,
000mg−N/L(アンモニア性窒素500mg−N
/L,亜硝酸性窒素500mg−N/L)添加した。
理水中の窒素成分は、亜硝酸性窒素が大部分となり、亜
硝酸型の運転ができたが、経時後には、表1に示す通り
となり、汚泥の引き抜きを行わなかった場合には、硝酸
型硝化となった。
水中のアンモニア性窒素量の2倍当量であった。
使用すること以外は、比較例1と同じ条件で運転を行っ
た。ここでは、pHが設定値以下に低下した場合には、
原水量を増加させることでアルカリ源を補給し、pHが
設定値に戻った場合には元の原水量に戻した。
べ、結果を表2に示した。
わらず、亜硝酸型硝化を安定に行うことができた。ま
た、NaOHの添加は不要であった。
素濃度:亜硝酸性窒素濃度=1:1〜1:1.3でアン
モニア性窒素濃度500〜1,500mg−N/L、亜
硝酸性窒素濃度500〜2,000mg−N/Lのもの
であり、この処理水は、前述の独立栄養性微生物による
脱窒処理で効率的に脱窒処理することができた。
のアンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒素濃度との比に対
するpHの影響を調べるべく、pHを6〜9の範囲で種
々変更したこと以外は同様にして処理を行い、得られた
処理水のアンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素の濃度割合
とpHとの関係を図2に示した。
すると亜硝酸性窒素の割合が増加し、逆にpHを高く設
定するとアンモニア性窒素の割合が増加する。従って、
亜硝酸型硝化を維持すると共に、処理水を更に前述の独
立栄養性微生物により脱窒処理するために、アンモニア
性窒素濃度:亜硝酸性窒素濃度=2:1〜1:2の処理
水を得るためには、硝化槽のpHを6〜8、好ましくは
6.5〜7.5の範囲で精度良く制御することが必要で
あることがわかる。
法によれば、原水をpH調整剤として利用することによ
り、薬品としてのpH調整剤を必要とすることなく、或
いはその必要添加量を大幅に低減した上で、長期にわた
り安定した亜硝酸型硝化を行うことができる。
を示す概略的な構成図である。
度及び亜硝酸性窒素濃度の割合とpHとの関係示すグラ
フである。
Claims (6)
- 【請求項1】 アンモニア性窒素を含む原水をアンモニ
ア酸化細菌の存在下に曝気する硝化槽に供給して硝化処
理する方法において、 硝化槽に供給する原水をpH調整剤としてその供給量を
調節すると共に、必要に応じ他のpH調整剤を添加する
ことにより、硝化槽内のpHを制御して硝化を行うこと
を特徴とする硝化処理方法。 - 【請求項2】 硝化処理の開始時に硝化槽内のアンモニ
ア性窒素濃度と亜硝酸性窒素の少なくとも一方が500
mg/L以上となるように、該硝化槽にアンモニア性窒
素及び/又は亜硝酸性窒素を添加することを特徴とする
請求項1に記載の硝化処理方法。 - 【請求項3】 硝化槽からの流出硝化液中のアンモニア
性窒素濃度と亜硝酸性窒素濃度との比が2:1〜1:2
となるようにpHを制御することを特徴とする請求項1
又は2に記載の硝化処理方法。 - 【請求項4】 硝化槽内のpHを6〜8に制御すること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
硝化処理方法。 - 【請求項5】 硝化槽内の溶存酸素濃度が0.5〜4m
g−N/Lとなるように曝気することを特徴とする請求
項1ないし4のいずれか1項に記載の硝化処理方法。 - 【請求項6】 硝化槽内の水温を10〜40℃に調節す
ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に
記載の硝化処理方法。
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