JP6344216B2 - 排水の生物学的処理方法 - Google Patents

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本発明は、排水の生物学的処理方法に関するものである。
硫黄系COD成分、すなわち還元性硫黄成分を含む排水(例えば、S2−、HS、SO 2−、S 2−、SCNの少なくともいずれかが含まれる排水)に適用される生物学的処理方法として、硫黄酸化細菌を用いた処理方法がよく知られている。この硫黄酸化細菌を用いた排水の処理方法には、硫黄酸化の反応経路として好気的硫黄酸化と無酸素的硫黄酸化とがある。
好気的硫黄酸化条件下の処理方法では、硫黄系COD成分が電子供与体となり、また、分子状酸素が電子受容体となって硫黄酸化反応が起こる。例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属(特許文献1)やパラコッカス(Paracoccus)属(非特許文献1)等に属する好気性硫黄酸化細菌がこの反応を行う。一方、無酸素的硫黄酸化条件下の処理方法では、硫黄系COD成分が電子供与体となり、また、亜硝酸イオン(NO )や硝酸イオン(NO )が電子受容体となって硫黄脱窒反応が起こり、電子受容体となったNO やNO は窒素含有ガス(NO、NO、N等の気体)となって気化し除去されるので、硫黄系COD成分と窒素成分とを同時に除去することが可能である。例えば、チオバチルス(Thiobacillus)属(特許文献2)やチオアルカリビブリオ(Thioalkalivibrio)属(非特許文献2、3)等に属する脱窒性硫黄酸化細菌がこの反応を行う。
無酸素的硫黄酸化条件下の処理方法は、好気的硫黄酸化条件下の処理方法とは違って、硫黄系COD成分と窒素成分の同時除去ができる点が優れている。しかしながら、無酸素的硫黄酸化条件下の処理方法には、好気性硫黄酸化細菌による好気的硫黄酸化条件下の処理方法と比べて、反応速度が遅いという問題がある。従って、もし無酸素的硫黄酸化条件下の処理方法においてその反応速度を上昇させることができれば、好気的硫黄酸化条件下の処理方法では実現できない硫黄系COD成分と窒素成分とを同時に除去することができ、排水処理を効率的に行うことができるようになる。
この無酸素的硫黄酸化の反応速度を上昇させる方法として、従来においては、脱窒性硫黄酸化細菌の代謝を活性化させるために、炭酸カルシウムと硫黄とが共存する粒状物又は塊状物を用いる方法(特許文献3)や、脱窒性硫黄酸化細菌を含む汚泥を吸水性樹脂内部に取り込んで包括固定化させることにより、汚泥が反応槽外に流出するのを防いで処理効率を向上させる方法(特許文献4)や、膜分離活性汚泥処理法を採用して反応槽内に脱窒性硫黄酸化細菌を高濃度に維持し、処理効率を向上させる方法(特許文献5)等が提案されている。
特許文献3の方法は、炭酸カルシウムと硫黄とが共存する粒状物又は塊状物を微生物活性能付与組成物として用いることに特徴を有する脱窒性硫黄酸化細菌を用いた排水処理方法であって、前記の粒状物又は塊状物が脱窒性硫黄酸化細菌の栄養基質となり、脱窒性硫黄酸化細菌を活性化させる。
しかしながら、この方法で微生物活性能付与組成物として用いられる粒状物又は塊状物は、脱窒性硫黄酸化細菌によって消費されるため、排水処理の際に連続的に又は断続的に添加する必要があり、この方法には処理コストが嵩むという問題がある。
特許文献4の方法は、脱窒性硫黄酸化細菌を含む汚泥中に下水汚泥の焼却灰と焼却灰懸濁液とを添加して混合すると共に更に吸水性樹脂を添加して混合し、汚泥を吸水性樹脂内部に取り込んで包括固定化させ、これによって、脱窒性硫黄酸化細菌を含む汚泥の反応槽外への流出を防ぎ、処理効率を向上させる技術である。
しかしながら、この方法においては、包括固定化された汚泥の表面が時間の経過に連れて剥がれていくことや、脱窒性硫黄酸化細菌以外の微生物群が包括固定化された汚泥の表面に付着して脱窒性硫黄酸化細菌のみを高濃度に集積できないことが操業上の別の問題として存在する。
特許文献5の方法は、脱窒性硫黄酸化細菌を用いた膜分離活性汚泥処理法であり、反応槽内に脱窒性硫黄酸化細菌を高濃度に維持できるため、処理効率を向上させることができる。
しかしながら、膜分離活性汚泥法においては、膜の目詰まりを防ぐために、定期的に次亜塩素酸等の薬剤で膜洗浄(薬剤洗浄)を行うか、又は、逆洗する必要があり、薬剤洗浄の場合には、処理を停止する必要があるほか、薬剤コストが嵩むという問題があり、また、逆洗の場合には、処理を停止する必要があるほか、逆洗のための洗浄用容器や洗浄のための場所が必要になるという問題がある。
特開平08-323,390号報 特開平11-299,481号公報 特開平11-285,377号公報 特開平5-138,193号公報 特開2002-316,189号公報
Katayama, et al., Paracoccus thiocyanatus sp. nov., a new species of thiocyanate-utilizing facultative chemolithotroph, and transfer of Thiobacillus versutus to the genus Paracoccus as Paracoccus versutus comb. nov. with emendation of the genus, Microbiobgy, 141, 1469-1477, 1995 Sorokin, DY. et al., Denitrification at extremely high pH values by the alkaliphilic, obligately chemolithoautotrophic, sulfur-oxidizing bacterium Thioalkalivibrio denitrificans ALJD, Archives of Microbiology, 175, 94-101, 2001 Sorokin, DY. et al., Thioalkalivibrio nitratireducens sp. Nov., a nitrate-reducing member of an autotrophic denitrifying consortium from a soda lake., International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 53, 1779-1783, 2003
以上の通り、安水活性汚泥処理水等の硫黄系COD成分及び窒素成分の両方を含む排水においては、その両方を同時に処理できる無酸素的硫黄酸化条件下の生物学的処理方法が排水処理を簡素化できて有利であると考えられるところ、この方法には、反応速度が遅いという問題があり、また、この無酸素的硫黄酸化条件下の生物学的処理の際の反応速度の向上を企図する従来の方法においては、細菌の代謝を活性化させる物質の連続的又は断続的な投入の必要性、操業上の別の問題、あるいは、薬剤洗浄や逆洗の必要性等、処理コストが嵩むという問題があった。
本発明は、硫黄系COD成分及び窒素成分の両方を含む排水を無酸素的硫黄酸化条件下で処理する方法において、細菌の代謝を活性化させる物質を連続的又は断続的に投入する必要が無く、膜分離処理も不要でありながら、無酸素的硫黄酸化の反応速度を速めることができる排水の生物学的処理方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は、脱窒性硫黄酸化細菌による無酸素的硫黄酸化条件下の生物学的処理では、硫黄系COD成分(電子供与体)から取り出された電子が最終的には窒素成分の亜硝酸イオンや硝酸イオン(電子受容体)に受け渡されることに着眼し、この無酸素的硫黄酸化条件下の反応において、亜硝酸イオンや硝酸イオン以外にも電子受容体として機能する固体の物質(電子受容体物質)が存在すれば、硫黄系COD成分から取り出された電子の受渡し先となる電子受容体の全体容量が大きくなり、電子の授受が容易になって硫黄系COD成分の分解速度が速くなると考え、また、この固体の電子受容体物質が脱窒性硫黄酸化細菌等の微生物によって実質的に消費されることのない物質であれば、排水処理の際に連続的に又は断続的に添加する必要がなくなると考え、更に、これらの考えを実際に検証した結果、排水中の硫黄系COD成分を酸化させて低減させると共に窒素成分をNO、NO及びNからなる群から選ばれる1種以上の気体として効率的に除去できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、次の(1)〜(6)に記載の通りである。
(1) 硫黄系COD成分としてS2−、HS、SO 2−、S 2−、及びSCNからなる群から選ばれる1種以上を含有し、かつ、窒素成分としてNO 及びNO を含有する排水を反応槽内で生物学的に処理する方法であって、
前記反応槽内の排水中に電子受容体として機能する固体の電子受容体物質を投入し、この電子受容体物質の存在下に脱窒性硫黄酸化細菌を増殖させ、
前記反応槽内で前記排水を無酸素的硫黄酸化条件下に処理し、排水中の硫黄系COD成分を酸化させて低減させると共に、窒素成分をNO、NO及びNからなる群から選ばれる1種以上の気体として除去することを特徴とする排水の生物学的処理方法。
(2) 前記排水中で固体の電子受容体物質の存在下に増殖される脱窒性硫黄酸化細菌は、この電子受容体物質と共に排水中に投入された活性汚泥に含まれていた細菌、及び/又は、排水中に含まれていた細菌である前記(1)に記載の排水の生物学的処理方法。
(3) 前記電子受容体物質が、磁鉄鉱、ゼオライト、及び、黄鉄鉱と黄銅鉱との混合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の排水の生物学的処理方法。
(4) 前記排水が、硫黄系COD成分として少なくともSCNを含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の排水の生物学的処理方法。
(5) 前記排水が、安水活性汚泥処理水であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の排水の生物学的処理方法。
(6) 前記排水が、高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水が混合された排水であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の排水の生物学的処理方法。
本発明によれば、反応槽内に電子受容体として機能する固体の電子受容体物質を投入し、硫黄系COD成分及び窒素成分を含む排水を無酸素的硫黄酸化条件にて処理することによって、反応槽内に電子受容体物質を投入しない従来法と比べて、これら硫黄系COD成分及び窒素成分をより効率的にかつより簡便に除去することが可能となる。
図1は、無酸素的硫黄酸化反応による排水の生物学的処理方法で利用される脱窒性硫黄酸化細菌の説明図である。 図2は、電子受容体として機能する固体の電子受容体物質に電子が流れることを確認するための試験装置の一例を示す説明図である。 図3は、本発明の生物学的排水処理プロセスの一例を示す説明図である。 図4は、チオシアン酸を電子供与体とし、亜硝酸態窒素又は硝酸態窒素を電子受容体とする脱窒性硫黄酸化細菌の代謝反応の一例を示す説明図である。 図5は、固体の電子受容体物質が共存する環境下における脱窒性硫黄酸化細菌及び脱窒性細菌の代謝反応の一例を示す説明図である。
本発明は、硫黄系COD成分(S2−、HS、SO 2−、S 2−、及びSCNからなる群から選ばれる1種以上)と窒素成分(NO 及びNO )とを含む排水を処理するための排水の生物学的処理方法であって、反応槽内に電子受容体として機能する固体の電子受容体物質を投入し、前記排水を無酸素的硫黄酸化条件にて処理し、前記排水中の硫黄系COD成分を酸化させて低減させると共に、窒素成分をNO、NO及びNからなる群から選ばれる1種以上の気体として除去する排水の生物学的処理方法である。ここで、本発明における無酸素的硫黄酸化条件とは、排水中に溶存酸素は存在しないが、亜硝酸態窒素(NO )や硝酸態窒素(NO )が存在する状態において、溶存酸素を電子受容体として用いる硫黄酸化ではなく、亜硝酸態窒素や硝酸態窒素を電子受容体として用いる硫黄酸化が生じる条件である。
本発明の処理対象となる排水は、硫黄系COD成分(S2−、HS、SO 2−、S 2−、及びSCNからなる群から選ばれる1種以上)と窒素成分(NO 及びNO )とを含むものであれば特に制限されるものではなく、例えば、安水活性汚泥処理水、高炉スラグ浸漬水、これら高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水を混合した排水、石油精製工業、写真工業、化学工業、皮革工業、金属精錬工業、鉱山等から発生する排水等が挙げられる。ここで、高炉スラグ浸漬水とは高炉スラグが雨水等と接触して生成した排水のことである。高炉スラグには還元性硫黄化合物(硫黄系COD)が含まれており、ヤードに野積みにされて保管されるので、雨水と接触した際に発生する高炉スラグ浸漬水には、硫黄系COD成分として還元性硫黄が含まれており、pHは12程度である。
前述した各排水においては、硫黄系COD成分は含まれているが、窒素成分が少量である場合や、反対に、窒素成分は含まれているが、硫黄系COD成分が少量である場合がある。そのような場合には、例えば、安水活性汚泥処理水等の窒素成分を含む排水を適宜必要な量だけ添加したり、あるいは、高炉スラグ浸漬水等の硫黄系COD成分を含む排水を適宜必要な量だけ添加し、処理対象の排水を硫黄系COD成分及び窒素成分の両方を含むようにすることによって、本発明を適用することができる。これらは排水なので、コストが嵩むことはない。なお、排水に含まれるNO 及びNO は、一方のみが含まれている場合はほとんどなく、少量でも両方が含まれている場合がほとんどである。
また、本発明は、排水の生物学的処理方法であって、処理対象の排水中に脱窒性硫黄酸化細菌が含まれている場合には、この脱窒性硫黄酸化細菌を増殖させて排水を生物学的に処理してもよく、また、処理対象の排水中に脱窒性硫黄酸化細菌が含まれていない場合や、含まれていても少ない場合には、この脱窒性硫黄酸化細菌を含む活性汚泥を排水中に添加し、この添加された脱窒性硫黄酸化細菌を増殖させて排水を生物学的に処理してもよい。
本発明において、反応槽内に投入されてこの反応槽内で電子受容体として機能する固体の電子受容体物質としては、反応槽内で起こる脱窒性硫黄酸化細菌による無酸素的硫黄酸化反応の際に発生する電子を受け取ることができ、排水中で脱窒性硫黄酸化細菌により消費されない、又は、消費され難い固体の物質であればよく、特に制限されるものではないが、例えば、磁鉄鉱、ゼオライト、黄鉄鉱と黄銅鉱との混合物、黄鉄鉱と閃亜鉛鉱との混合物、黄鉄鉱と輝安鉱との混合物、黄銅鉱と閃亜鉛鉱との混合物、黄銅鉱と輝安鉱との混合物、閃亜鉛鉱と輝安鉱との混合物、及び、炭素繊維等からなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの物質は低溶解性のためほとんど消費されることがないので、大抵の場合は一度添加すればよく、再度添加するコストが嵩むことはない。
反応槽内に投入する前記固体の電子受容体物質の投入量は、反応槽の容積100%に対して、体積比率で10%以上50%以下であるのが好ましい。10%未満であると、反応槽内において脱窒性硫黄酸化細菌を含む微生物群と固体の電子受容体物質とが十分に接触することができず、排水中の硫黄系COD成分及び窒素成分が十分に除去されない場合がある。反対に、50%以上であると、反応槽の容積に対する脱窒性硫黄酸化細菌を含む微生物群と排水との混合物が占める容積が小さくなり、水理学的滞留時間が短くなり過ぎて排水中の硫黄系COD成分及び窒素成分が十分に除去されない場合がある。但し、50%以上であっても、反応槽への排水の流入速度を落として水理学的滞留時間を十分にとることが許容されれば、排水中の硫黄系COD成分及び窒素成分を十分に除去できる。
また、固体の電子受容体物質については、その比表面積が大きい方がよい。これは、比表面積がより大きい方が電子受容体として機能する固体の電子受容体物質と脱窒性硫黄酸化細菌を含む微生物群との間における電子のやり取りがより効率的に行われるからである。この固体の電子受容体物質の粒度範囲については0.5mm以上30mm以下が好ましい。0.5mm未満であると排水中に懸濁して処理水と共に流出する場合があり、反対に、30mm超であると比表面積が小さくなり過ぎて電子のやり取りが効率的に行われ難くなる場合がある。
本発明は、脱窒性硫黄酸化細菌を増殖させて排水中の硫黄系COD成分と窒素成分を除去し、あるいは、低減させる生物学的処理方法であって、以下のようにして実施することができる。
脱窒性硫黄酸化細菌を含む活性汚泥を用いる場合には、反応槽内に固体の電子受容体物質と脱窒性硫黄酸化細菌を含む活性汚泥とを入れ、排水を上向流又は下向流で連続的に流入させる。反応槽内は、無酸素状態を維持するために、撹拌を行わないか、又は、空気を巻き込まないように緩やかに撹拌し、活性汚泥と排水とが効率的に接触するようにすればよい。反応槽に排水を流入させる際の温度及び反応槽内での排水の水理学的滞留時間については、活性汚泥中の微生物群が増殖できる温度で、かつ、流入してくる硫黄系COD成分及び窒素成分の負荷速度に対して、微生物群によるこれらの成分の除去速度が同等以上になる排水の滞留時間であればよく、通常は、温度が5〜40℃程度であって、水理学的滞留時間が1〜24時間程度であるのがよい。
また、反応槽内に活性汚泥を入れずに排水中の脱窒性硫黄酸化細菌を増殖させる場合には、反応槽内に固体の電子受容体物質のみを入れ、排水を上向流又は下向流で連続的に流入させ、排水中に含まれる脱窒性硫黄酸化細菌を反応槽内で増殖させればよい。この場合には、一旦反応槽から抜き出された処理水の一部又は全部を再び反応槽内に戻して循環させるのが好ましく、これによって排水中に含まれる脱窒性硫黄酸化細菌を効果的に増殖させることができる。
ここで、本発明の排水の生物学的処理方法で適用可能な微生物については、それが無酸素的硫黄酸化条件で排水中の硫黄系COD成分及び窒素成分を分解して除去できるものであれば、特に制限はないが、その代表的なものを説明すると、図1に示すように、例えば概ねpH5.5〜pH8.5の範囲で生育するチオバチラス(Thiobacillus)属デニトリフイカンス(denitrificans)種等のチオバチラス (Thiobacillus)属(特許文献2)、概ねpH6.0〜pH9.5の範囲で生育するパラコッカス(Paracoccus)属(非特許文献1)、概ねpH7.5〜pH10.5の範囲で生育するチオアルカリビブリオ(Thioalkalivibrio)属デナイトリフィカンス(Denitrificans)種(分離株)等のチオアルカリビブリオ(Thioalkalivibrio)属(非特許文献2)、及び、概ねpH8.5〜pH10.5の範囲で生育する地おアルカリビブリオ(Thioalkalivibrio)属ナイトレイティリデュセンス(Nitratireducens)種(分離株)等のチオアルカリビブリオ(Thioalkalivibrio)属(非特許文献3)等を例示することができる。
次に、電子受容体として機能する固体の電子受容体物質に電子が流れることを確かめる方法について説明する。
例えば、図2に示す試験装置を用いて確かめることができる。この試験装置は、その容器本体の中央がプロトン交換膜6で容積半々に仕切られて二つの槽に構成されており、一方の槽が負極槽3とされ、また、他方の槽が正極槽4とされている。
この試験装置において、前記負極槽3と正極槽4には、安水活性汚泥処理水7と活性汚泥との混合物をそれぞれ等量ずつ入れる。ここで、負極槽3及び正極槽4に入れられる活性汚泥については事前に安水活性汚泥処理水を用いて無酸素的硫黄酸化条件下で馴致させておいたものを使用するのがよく、また、負極槽3に入れられる活性汚泥中には脱窒性硫黄酸化細菌1を生育させ、また、正極槽4に入れられる活性汚泥中には脱窒性細菌2を生育させる。ここで、脱窒性細菌2とは、脱窒性硫黄酸化細菌1以外の脱窒性を有する細菌のことであり、例えば、マリノバクター(Marinobacter)属やシュードモナス(Pseudomonas)属等を例示することができる。
次に、電子受容体として機能する物質であるか否かを調べる測定対象の2つの固体の物質(ここでは、電子受容体として機能する「電子受容体物質5」として説明する。)をそれぞれ正極及び負極として互いに導線8で繋ぎ、その一方を負極槽3内に入れ、また、他方を正極槽4内に入れ、導線8には抵抗9と電圧計10を並列に接続して負極槽3と正極槽4との間の電圧を測定できるように構成する。
このように構成された試験装置の負極槽3内と正極槽4内とを無酸素状態にすると(撹拌せずに静置させるか、緩やかに撹拌するか、又は、緩やかに窒素ガスやアルゴンガス等で曝気すればよい)、負極槽3内では脱窒性硫黄酸化細菌1による無酸素的硫黄酸化反応によって、例えば、チオシアン酸(SCN)から電子が取り出され、この取り出された電子の一部が固体の電子受容体物質5に受け渡される。そして、負極槽3内で電子受容体物質5に受け渡された電子は、導線8を通じて正極槽4内の固体の電子受容体物質5に到達し、その後に脱窒性細菌2によって受け取られ、この受け取った電子を用いて脱窒性細菌2が亜硝酸態窒素(NO )や硝酸態窒素(NO )を還元して窒素ガス(N)に還元する。この時、負極槽3と正極槽4との間には電位差が生じるので、この電位差が電圧計10で測定されれば、測定対象の物質が電子受容体として機能する固体の電子受容体物質5であると確認される。
続いて、図3に示す排水処理装置を用いた生物学的排水処理プロセスを例にし、また、排水が安水活性汚泥処理水であって活性汚泥を利用する場合を例にして、本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。
先ず、排水の安水活性汚泥処理水を排水タンク3に入れる。この際に、排水が高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水を混合した排水である場合には、例えば、高炉スラグ浸漬水を排水タンク1に入れ、また、安水活性汚泥処理水を排水タンク2に入れ、両排水をそれぞれ送液ポンプ13及び送液ポンプ14で排水タンク3に送って混合し、この排水タンク3で処理のための排水を作製する。
この排水タンク3内では、生物学的排水処理に利用される微生物群の生育pH領域を考慮して、排水のpHが所望の範囲になるように調整される。ここで、高炉スラグ浸漬水のpHが12程度であって、安水活性汚泥処理水のpHが8〜9程度なので、高炉スラグ浸漬水に対する安水活性汚泥処理水の混合割合次第では、作製された混合排水のpHが所望のpH値範囲(例えば、pH5.5〜10.5の範囲)を外れてより高くなってしまう場合があるが、その場合には、pH緩衝作用のある海水を追加して混合し、pHを所望のpH値範囲内まで下げるのがよい。このような際に海水を追加する方法としては、例えば、高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水を混合した混合排水を排水タンク3で作製した後、排水タンク1又は2に海水を入れて必要量だけ排水タンク3に送り込んでpHを調整してもよく、また、排水タンク1及び2に図示外の海水タンクを併設しておき、この海水タンクから必要量の海水を排水タンク3に送り込んでpHを調整してもよい。
次に、反応槽4内には、電子受容体として機能する固体の電子受容体物質5を投入し、また、活性汚泥を投入する。活性汚泥については生活排水や安水等を処理する活性汚泥でよく、好ましくは安水活性汚泥処理水又は高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水を混合した排水で事前に馴致させた活性汚泥であるのがよい。その後、排水タンク3の排水が送液ポンプ15で反応槽4に通水され、反応槽4内で活性汚泥と排水との混合物6となった後、反応槽4内で処理するのに必要な時間(水理学的滞留時間)だけこの活性汚泥と排水との混合物6を滞留させる。また同時に、この反応槽4内の排水のpHが5.5以上10.5以下に維持されるように、pHセンサー7でモニタリングしながら、送液ポンプ16で酸タンク8から酸溶液が、また、送液ポンプ17でアルカリタンク9からアルカリ溶液がそれぞれ必要に応じて送液され、反応槽4内に滞留する活性汚泥と排水との混合物6のpH調整が行われる。なお、この反応槽4内に滞留する活性汚泥と排水との混合物6のpH調整範囲は、具体的には利用される微生物群の生育pH領域で決まるが、一般的に知られている脱窒性硫黄酸化細菌が生育できるpH範囲は5.5以上10.5以下であり、また、活性汚泥中に含まれる脱窒性硫黄酸化細菌や排水中に含まれる脱窒性硫黄酸化細菌も同様のpH範囲で生育が可能である。但し、活性汚泥を事前に馴致させた場合には、pH調製範囲をこの馴致の際のpH調整範囲とほぼ同じ範囲にするのがよく、これによって馴致させた活性汚泥の活性がより高くなると考えられる。
なお、図3に示す排水処理装置においては、上向流式の反応槽4を例にしているが、下向流式の反応槽でもよい。また、反応槽4内を無酸素状態に維持するために、撹拌を行わないか、空気を巻き込まないように緩やかに撹拌するか、又は、緩やかに窒素ガスやアルゴンガス等で曝気するのがよく、また、活性汚泥と排水とが効率的に接触するようにする。反応槽4内への排水の通水は、断続的な通水であってもよいが、活性汚泥中の微生物群を安定的に増殖させ、排水を効率的に処理するために、連続的に通水することが好ましい。活性汚泥と排水との混合物6は活性汚泥沈殿槽10にオーバーフローして処理水11と活性汚泥12に分離し、活性汚泥12は送液ポンプ18によって反応槽4内に返送される。
活性汚泥中の脱窒性硫黄酸化細菌を含む微生物群によって、排水中の硫黄系COD成分と窒素成分の硫黄脱窒反応が起こるが、この硫黄脱窒反応については、例えば、SCNとNO との反応であれば下記の式(1)のように、また、S 2−とNO との反応であれば下記の式(2)のように、それぞれ記述することができる。更に、SCNとNO との反応であれば下記の式(3)のように、また、S 2−とNO との反応であれば下記の式(4)のように、それぞれ記述することができる。
式(1)
5SCN+8NO +HO → 5SO 2−+5CNO+4N+2H
式(2)
5S 2−+8NO +HO → 10SO 2−+4N+2H
式(3)
3SCN+8NO +2H → 3CNO+3SO 2−+4N+H
式(4)
3S 2−+8NO +2H→ 6SO 2−+4N+H
ここで、式(1)と式(3)の反応についてみると、図4に示すように、脱窒性硫黄酸化細菌1自体がSCNの酸化で生成した電子をNO3-又はNO2−の還元に利用する受け渡しの反応経路となっていると理解することができる。そして、本発明では、反応槽4内に電子受容体として機能する固体の電子受容体物質5を投入することによって、図5に示すように、図4に示す反応経路に加えて、の電子受容体物質5を通してある脱窒性硫黄酸化細菌1が他の脱窒性硫黄酸化細菌1や他の脱窒性細菌2に電子を受け渡すという反応経路が新たに形成され、この反応経路が増えた分だけ硫黄脱窒反応による硫黄系COD成分と窒素成分の分解反応が促進される。従って、本発明方法は、電子供与体から電子受容体へ電子の受け渡しが行われる反応経路であれば、どのような反応経路にも適用することができ、例えば、フェノール(COH)が電子供与体であって、亜硝酸態窒素(NO )や硝酸態窒素(NO )が電子受容体となるフェノール脱窒反応に対しても適用することができる。
上記の式(1)〜式(4)の硫黄脱窒反応によって排水中の硫黄系COD成分と窒素成分とが同時に除去された後、活性汚泥と排水との混合物6は反応槽4からオーバーフローして活性汚泥沈殿槽10に送られ、系外に排出される。ここで、処理水11中に硫黄系COD成分と窒素成分が残るような場合は、この処理水11を排水タンク3に戻して循環処理を行い、環境中に放流できる程度まで硫黄系COD成分と窒素成分を除去する。
本発明において、硫黄系COD成分及び窒素成分の定量方法については、経時的にあるいは断続的にこれらの硫黄系COD成分及び窒素成分の定量ができればよく、例えば、CODは過マンガン酸カリウムを用いた酸性高温過マンガン酸法によって(以下、CODMnと記す)、S2−、HS、SO 2−及びS 2−についてはヨウ素滴定法によって、また、SCNについては試料に硝酸を添加してpHを酸性に調整した後、硝酸第二鉄溶液を添加して発色させるチオシアン酸第二鉄吸光光度法によって、更に、NO 及びNO についてはイオンクロマトグラフ法によって、それぞれ定量することができる。
以上の実施の形態で説明したように、本発明によれば、硫黄系COD成分と窒素成分とを含む排水である安水活性汚泥処理水を単独で処理することができるほか、高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水を混合した排水も同様に処理することができる。
以下、図3に示す排水処理装置を用いて実施した本発明の実施の一例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
処理対象の排水として表1に示す硫黄系COD成分及び窒素成分を含むと共にpH8.3及びCODMn:150mg/Lの安水活性汚泥処理水を使用し、この安水活性汚泥処理水を排水タンク3に入れ、反応槽4内には、固体の電子受容体物質5として磁鉄鉱(0.5mm以上30mm以下の範囲に粒度調整したもの)を投入すると共に、上記の安水活性汚泥処理水を用いて事前に無酸素的硫黄酸化条件下で馴致させておいた活性汚泥を投入した。この際の磁鉄鉱(電子受容体物質5)の投入量は反応槽4の容積に対して20%とし、また、活性汚泥を馴致させた際のpH調整範囲は8.0〜9.0であった。
反応槽4内での排水の水理学的滞留時間を2時間として排水タンク3の安水活性汚泥処理水を送液ポンプ15で反応槽4に流入させ、反応槽4内の排水のpHを8.0〜9.0に調整しながら排水処理を行い、この排水処理を開始してから1週間後に活性汚泥沈殿槽10内の処理水11の水質を調べた。結果は表1に示す通りであり、安水活性汚泥処理水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理されており、また、NO 及びNO のそれぞれが目標値の10mg/L以下にまで処理されていた。
〔実施例2〕
反応槽4に活性汚泥を入れずに、固体の電子受容体物質5として上記磁鉄鉱のみを入れ、水理学的滞留時間2時間の流速で排水を反応槽4に連続的に流入させ、処理水11の一部(50容積%)を活性汚泥沈殿槽10から排水タンク3に戻す循環ルートを設けて循環させ、排水中に含まれる脱窒性硫黄酸化細菌を反応槽内4で20日間増殖させたこと以外は、上記実施例1と同じ条件で安水活性汚泥処理水の生物学的処理を実施したところ、排水中の脱窒性硫黄酸化細菌が増殖し、表1に示すように、上記実施例1の場合と略同等の結果が得られた。
〔実施例3〕
反応槽4内に固体の電子受容体物質5としてゼオライト(0.5mm以上30mm以下に粒度調整したもの)を投入したこと以外は、上記実施例1と同じ条件で安水活性汚泥処理水の生物学的処理を実施し、得られた処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、安水活性汚泥処理水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理され、また、NO 及びNO のそれぞれが目標値の10mg/L以下にまで処理された。
〔実施例4〕
反応槽4内に固体の電子受容体物質5として黄鉄鉱と黄銅鉱との混合物(それぞれ0.5mm以上30mm以下に粒度調整して重量比50質量%:50質量%の割合で混合したもの)を投入したこと以外は、上記実施例1と同じ条件で安水活性汚泥処理水の生物学的処理を実施し、得られた処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、安水活性汚泥処理水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理され、また、NO 及びNO のそれぞれが目標値の10mg/L以下にまで処理された。
〔比較例1〕
実施例1、3、及び4の対照系として、反応槽4内に固体の電子受容体物質5を投入しなかったこと以外は、実施例1、3、及び4の場合と同様にして安水活性汚泥処理水の生物学的処理を実施し、得られた処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、安水活性汚泥処理水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理されず、また、NO 及びNO についても共に目標値の10mg/L以下にまで処理されなかった。
〔比較例2〕
実施例1、3、及び4の対照系として、反応槽4内に電子受容体として機能しない固体の物質として珪石(0.5mm以上30mm以下に粒度調整したもの)を投入したこと以外は、実施例1、3、及び4と同様にして安水活性汚泥処理水の生物学的処理を実施し、得られた処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、安水活性汚泥処理水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理されず、また、NO 及びNO についても共に目標値の10mg/L以下にまで処理されなかった。
〔実施例5〕
処理対象の排水として表1に示す硫黄系COD成分を含むと共にpH12.0及びCODMn:49mg/Lの高炉スラグ浸漬水と表1に示す硫黄系COD成分及び窒素成分を含むと共にpH8.3及びCODMn:150mg/Lの安水活性汚泥処理水とを使用し、前記高炉スラグ浸漬水を排水タンク1に入れ、また、前記安水活性汚泥処理水を排水タンク2に入れ、両排水をそれぞれ送液ポンプ13及び送液ポンプ14で排水タンク3に送って混合し、これら高炉スラグ浸漬水と安水活性汚泥処理水とが体積比1:3の混合割合で混合された混合排水を作製した。
処理対象の排水として上で作製した混合排水を使用し、事前に上記の混合排水を用いて無酸素的硫黄酸化条件下に活性汚泥を馴致させる際のpH調整範囲を8.5〜9.5とし、また、反応槽4内の排水のpHを8.5〜9.5に調整したこと以外は、上記実施例1と同様にして混合排水の生物学的処理を実施し、得られ処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、混合排水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理され、また、NO 及びNO のそれぞれが目標値の10mg/L以下にまで処理された。
〔実施例6〕
反応槽4内に固体の電子受容体物質5としてゼオライト(0.5mm以上30mm以下に粒度調整したもの)を投入したこと以外は、上記実施例5と同じ条件で混合排水の生物学的処理を実施し、得られた処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水を混合した排水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理され、また、NO 及びNO のそれぞれが目標値の10mg/L以下にまで処理された。
〔実施例7〕
反応槽4内に固体の電子受容体物質5として黄鉄鉱と黄銅鉱との混合物(0.5mm以上30mm以下に粒度調整したもの)を投入したこと以外は、上記実施例5と同じ条件で混合排水の生物学的処理を実施し、得られた処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水を混合した排水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理され、また、NO 及びNO のそれぞれが目標値の10mg/L以下にまで処理された。
〔比較例3〕
実施例5〜7の対照系として、反応槽4内に固体の電子受容体物質5を投入しなかったこと以外は、実施例5〜7と同様にして混合排水の生物学的処理を実施し、得られた処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、混合排水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理されず、また、NO 及びNO についても共に目標値の10 mg/L以下にまで処理されなかった。
〔比較例4〕
実施例5〜7の対照系として、反応槽4内に電子受容体として機能しない固体の物質として珪石(0.5mm以上30mm以下に粒度調整したもの)を投入したこと以外は、実施例5〜7と同様にして混合排水の生物学的処理を実施し、得られた処理水11の水質を調べた。
結果は、表1に示すように、混合排水は、CODMnが目標値の15mg/L以下にまで処理されず、また、NO 及びNO についても共に目標値の10mg/L以下にまで処理されなかった。
Figure 0006344216
1、2、3…排水タンク、4…反応槽、5…電子受容体として機能する固体の電子受容体物質、6…活性汚泥と排水との混合物、7…pHセンサー、8…酸タンク、9…アルカリタンク、10…活性汚泥沈殿槽、11…処理水、12…活性汚泥、13〜15,18…送液ポンプ、16…酸ポンプ、17…アルカリポンプ。

Claims (6)

  1. 硫黄系COD成分としてS2−、HS、SO 2−、S 2−、及びSCNからなる群から選ばれる1種以上を含有し、かつ、窒素成分としてNO 及びNO を含有する排水を反応槽内で生物学的に処理する方法であって、
    前記反応槽内の排水中に電子受容体として機能する固体の電子受容体物質を投入し、この電子受容体物質の存在下に脱窒性硫黄酸化細菌を増殖させ、
    前記反応槽内で前記排水を無酸素的硫黄酸化条件下に処理し、排水中の硫黄系COD成分を酸化させて低減させると共に、窒素成分をNO、NO及びNからなる群から選ばれる1種以上の気体として除去することを特徴とする排水の生物学的処理方法。
  2. 前記排水中で固体の電子受容体物質の存在下に増殖される脱窒性硫黄酸化細菌は、この電子受容体物質と共に排水中に投入された活性汚泥に含まれていた細菌、及び/又は、排水中に含まれていた細菌である請求項1に記載の排水の生物学的処理方法。
  3. 前記電子受容体物質が、磁鉄鉱、ゼオライト、及び、黄鉄鉱と黄銅鉱との混合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水の生物学的処理方法。
  4. 前記排水が、硫黄系COD成分として少なくともSCNを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水の生物学的処理方法。
  5. 前記排水が、安水活性汚泥処理水であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水の生物学的処理方法。
  6. 前記排水が、高炉スラグ浸漬水に安水活性汚泥処理水が混合された排水であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水の生物学的処理方法。
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