JP7050992B1 - 高濃度有機物含有排水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水を、簡易な設備において、簡便に処理する。【解決手段】処理装置を準備する工程と、好気的生物反応槽に、低濃度有機物含有排水と活性汚泥とを供給して、低濃度有機物含有排水を好気的に処理して得られた処理液から、固液分離装置を用いて固液分離することにより濃縮活性汚泥を得る工程と、高濃度有機物含有排水と濃縮活性汚泥と硝酸態窒素類とを、炭素量と窒素量との比(C/N比)が0.5~4.6の範囲となるように、嫌気的生物反応槽に供給して、有機物及び有害含窒素化合物を処理して、嫌気性処理液を得る工程と、嫌気性処理液を、好気的生物反応槽に供給して、嫌気性処理液に残存している有機物を分解して、好気性処理液を得る工程と、好気性処理液を固液分離装置に供給して固液分離することにより、濃縮活性汚泥を回収しつつ、処理水を得る工程とを含む、処理方法。【選択図】図1

Description

本発明は、活性汚泥を用いた高濃度有機物含有排水の処理方法に関する。
例えば、工場排水などに由来する高濃度有機物含有排水(高TOC排水)を効率よく処理することを目的として、高濃度有機物含有排水を、まず、嫌気的生物反応槽にて、活性汚泥を用いて硝酸態窒素類の存在下で嫌気性処理し、次いで、嫌気性処理後の嫌気性処理水及び活性汚泥を、好気的生物反応槽に供給してさらに処理する処理方法が知られている(特許文献1参照。)。
特開2007-296436号公報
しかしながら、従来、好気的条件下で反応が進行する標準活性汚泥法に対して反応阻害をもたらすようなアンモニアといった含窒素化合物を含有する高濃度有機物含有排水(以下、「有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水」という。)の処理においては、含まれる有害含窒素化合物を回収したり、有害含窒素化合物を生物学的又は化学的に別途処理して分解したりするためのさらなる設備が必要とされており、結果として、処理の完了までに必要な工程数が増大してしまっていた。
よって、有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水の処理を、さらなる設備等を追加することなく、簡易な設備において、簡便に処理できる処理方法が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を進めたところ、有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水であっても、所定の条件で処理することにより、有害含窒素化合物の処理のためのさらなる設備を追加することなく、簡易な設備において、簡便にかつ効果的に処理できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]~[4]を提供する。
[1] 有機物と有害含窒素化合物とを含み、TOCが20000mg/L以上である高濃度有機物含有排水を、活性汚泥により生物学的に処理する処理方法であって、
工程(1):前記高濃度有機物含有排水を嫌気的に処理する嫌気的生物反応槽と、該嫌気的生物反応槽に接続されており、曝気処理することができる曝気装置を有していて、該嫌気的生物反応槽から供給された嫌気性処理液を好気的に処理することができる好気的生物反応槽と、該好気的生物反応槽に接続されており、該好気的生物反応槽から供給された好気性処理液を固液分離することができる固液分離装置とを備えた処理装置を準備する工程と、
工程(2):前記好気的生物反応槽に、TOCが前記高濃度有機物含有排水の0.05倍以下である低濃度有機物含有排水と活性汚泥とを供給して、該低濃度有機物含有排水を好気的に処理して得られた処理液から、前記固液分離装置を用いて固液分離することにより濃縮活性汚泥を得る工程と、
工程(3):前記高濃度有機物含有排水と前記濃縮活性汚泥と硝酸態窒素類とを、炭素量と窒素量との比(C/N比)が0.5~4.6の範囲となるように、前記嫌気的生物反応槽に供給して、前記有機物及び前記有害含窒素化合物を処理して、嫌気性処理液を得る工程と、
工程(4):前記嫌気性処理液を、前記好気的生物反応槽に供給して、前記曝気装置により曝気処理することにより、前記嫌気性処理液に残存している前記有機物を分解して、好気性処理液を得る工程と、
工程(5):前記好気性処理液を前記固液分離装置に供給して固液分離することにより、濃縮活性汚泥を回収しつつ、処理水を得る工程とを含む、処理方法。
[2] 前記有害含窒素化合物が、アミン類からなる群から選択される1種以上である、[1]に記載の処理方法。
[3] 前記有害含窒素化合物が、アンモニアである、[2]に記載の処理方法。
[4] 前記工程(3)が、前記高濃度有機物含有排水と前記濃縮活性汚泥と硝酸態窒素類とを、炭素量と窒素量との比が0.5~4.6の範囲となるように、前記嫌気的生物反応槽に供給して行われる、[1]~[3]のいずれか1つに記載の処理方法。
本発明にかかる処理方法によれば、さらなる設備を追加することなく、簡易な設備において、高い容積負荷で、簡便にかつ効果的に有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水を処理することができる。
図1は、本実施形態の処理装置の概略を示す図である。 図2は、実施例における結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。以下の説明に用いる図面において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明については省略する場合がある。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図示例の配置で使用されるとは限らない。
1.処理方法
本実施形態の処理方法は、有機物と有害含窒素化合物とを含み、TOC(全有機炭素)が20000mg/L以上である高濃度有機物含有排水を、活性汚泥により生物学的に処理する処理方法であって、
工程(1):前記高濃度有機物含有排水を嫌気的に処理する嫌気的生物反応槽と、該嫌気的生物反応槽に接続されており、曝気処理することができる曝気装置を有していて、該嫌気的生物反応槽から供給された嫌気性処理液を好気的に処理することができる好気的生物反応槽と、該好気的生物反応槽に接続されており、該好気的生物反応槽から供給された好気性処理液を固液分離することができる固液分離装置とを備えた処理装置を準備する工程と、
工程(2):前記好気的生物反応槽に、TOCが前記高濃度有機物含有排水の0.05倍以下である低濃度有機物含有排水と活性汚泥とを供給して、該低濃度有機物含有排水を好気的に処理して得られた処理液から、前記固液分離装置を用いて処理することにより濃縮活性汚泥を得る工程と、
工程(3):前記高濃度有機物含有排水と前記濃縮活性汚泥と硝酸態窒素類とを、炭素量と窒素量との比(C/N比)が0.5~4.6の範囲となるように、前記嫌気的生物反応槽に供給して、前記有機物及び前記有害含窒素化合物を処理して、嫌気性処理液を得る工程と、
工程(4):前記嫌気性処理液を、前記好気的生物反応槽に供給して、前記曝気装置により曝気処理することにより、前記嫌気性処理液に残存している前記有機物を分解して、好気性処理液を得る工程と、
工程(5):前記好気性処理液を前記固液分離装置に供給して固液分離することにより、濃縮活性汚泥を回収しつつ、処理水を得る工程とを含む、処理方法である。
なお、本実施形態の処理方法に好適に適用することができる「活性汚泥」としては、例えば「標準活性汚泥法」に適用することができる従来公知の任意好適な「活性汚泥」が挙げられる。
本実施形態においては、好気的生物反応槽において好気的に用いられた(好気的に処理された)後に、従来公知の任意好適な固液分離装置を用いて活性汚泥を固液分離することにより、具体的には、固液分離装置において酸素を供給せず、微生物による酸素消費のみが生じる条件として堆積させ、嫌気的条件下で貯留することにより濃縮して固液分離した活性汚泥を「濃縮活性汚泥」という。
ここで、濃縮活性汚泥における活性汚泥濃度(MLSS)は、特に限定されないが、公知の標準活性汚泥法における処理液に含まれる活性汚泥濃度よりも高いことが好ましく、具体的には、また、ポンプで送液可能な活性汚泥濃度の上限以下であることが望ましい。
具体的には、濃縮活性汚泥のMLSSは、3000mg/L以上、5000mg/L以上、6000mg/L以上であることが好ましく、10000mg/L以上であることがより好ましく、12000mg/L以上、15000mg/L以上であることがさらに好ましい。
濃縮活性汚泥は、嫌気的生物反応槽における反応にとって好適である酸素濃度に保持されていることが好ましい。すなわち、既に説明したとおり、工程(2)および工程(5)において用いられる固液分離装置において嫌気的条件下にて濃縮して固液分離された濃縮活性汚泥を、可能である限り当該嫌気的条件を維持した状態で嫌気的生物反応槽へ供給することが、濃縮活性汚泥に含まれる微生物の増殖をより高速化して嫌気性処理の効率を向上させる観点から好ましい。
嫌気的条件下での微生物の活動状況を指し示す指標のひとつとして、例えば、酸化還元電位(ORP)が知られている。本実施形態の濃縮活性汚泥におけるORPの好適な範囲については、特に限定されない。
具体的には、嫌気的反応槽内及び濃縮活性汚泥のORPは、-50mv以下であることが好ましく、-100mv以下であることがより好ましく、-150mvから-350mvの範囲であることがさらに好ましい。
濃縮活性汚泥のORPを、上記の好ましい範囲内に保持する方法は、特に限定されない。濃縮活性汚泥のORPを好ましい範囲内に保持する方法としては、例えは、沈殿槽に堆積した活性汚泥のうちの特に最下部を濃縮活性汚泥として抜き出す方法が挙げられる。
(i)工程(1)
工程(1)は、高濃度有機物含有排水を嫌気的に処理する嫌気的生物反応槽と、嫌気的生物反応槽に接続されており、曝気処理することができる曝気装置を有していて、嫌気的生物反応槽から供給された嫌気的処理液を好気的に処理することができる好気的生物反応槽と、好気的生物反応槽に接続されており、好気的生物反応槽から供給された好気性処理液を固液分離することができる固液分離装置とを備えた処理装置を準備する工程である。
ここでまず、図1を参照して、本実施形態の工程(1)において準備される処理装置(処理システム)の構成例について説明する。図1は、本実施形態の処理装置の概略を示す図である。
図1に示されるとおり、本実施形態の処理装置1は、高濃度有機物含有排水を嫌気的に処理する嫌気的生物反応槽10と、嫌気的生物反応槽10に接続されており、曝気処理することができる曝気機22を有していて、嫌気的生物反応槽10から供給された嫌気性処理液を好気的に処理することができる好気的生物反応槽20と、好気的生物反応槽20に接続されており、好気的生物反応槽20から供給された好気性処理液を固液分離することができる固液分離装置30と、嫌気的生物反応槽10に被処理対象液を供給できるように構成されている第1混合層(第1中和槽)42、及び好気的生物反応槽20に被処理対象液を供給できるように構成されている第2混合層(第2中和槽)44とを備えている。
嫌気的生物反応槽10の構成は、所望の処理能力に対応できるサイズ(容量)、想定される被処理対象液である高濃度有機物含有排水(高TOC排水)の特性に対応できることを条件として、特に限定されない。嫌気的生物反応槽10の構成は、例えば脱窒細菌による硝酸態窒素類及び有害含窒素化合物の脱窒処理に通常用いられる従来公知の任意好適な構成を採用することができる。
本実施形態において、高濃度有機物含有排水(高TOC排水)とは、含まれている全有機炭素(TOC)の濃度(量)が20000mg/L以上である工場排水といった液状体を意味している。本実施形態において「高濃度有機物含有排水」は、必ずしも工場排水等の「排水」でなくてもよい。
本実施形態において、高濃度有機物含有排水に含まれうる全有機炭素の濃度は、好ましくは30000mg/L以上であり、より好ましくは40000mg/L以上であり、通常、100000mg/L以下である。
高濃度有機物含有排水に含まれうる有機態炭素としては、例えばメタノール、酢酸などのような、活性汚泥の活性を阻害しない非活性阻害性有機態炭素が挙げられる。また、高濃度有機物含有排水は、例えばホルムアルデヒド(HCHO)といった活性汚泥の活性を阻害する活性阻害性有機態炭素を含んでいてもよい。
本実施形態の処理方法に用いられる高濃度有機物含有排水において、有害含窒素化合物は、アミン類からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
ここで、「アミン類」の例としては、アンモニア、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-メチルジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びヒドロキシルアミン類が挙げられる。本実施形態の処理方法は、特に有害含窒素化合物としてアンモニアを含む高濃度有機物含有排水の処理に適用することが好ましい。
本実施形態において、高濃度有機物含有排水に含まれうる有害含窒素化合物の濃度は、好ましくは0.1mg/L以上であり、より好ましくは10mg/L以上であり、さらに好ましくは100mg/L以上であり、通常、1000mg/L以下であり、より好ましくは500mg/L以下であり、さらに好ましくは300mg/L以下である。
本実施形態の嫌気的生物反応槽10は、例えば、50m程度の容量を有し、10m/h程度の被処理対象液である「高濃度有機物含有排水」の供給を受ける能力及び嫌気性処理液の送液能力を備えることが好ましく、TOC負荷量が好ましくは5000kg/d程度であり、TOC容積負荷が50~100kg/m・d程度である処理能力を備えることが好ましく、水素イオン濃度(pH)を7~9.5とし、温度を20~45℃とするなどの条件における処理に耐えうる構成とすることが好ましい。
嫌気的生物反応槽10は、必要に応じて、供給された被処理対象液を攪拌するための攪拌機12を槽内に備えていてもよい。攪拌機12としては、嫌気性処理を実施するのに十分な機能を有する従来公知の任意好適な構成を有する攪拌機を用いることができる。
嫌気的生物反応槽10には、槽間における送液量を調整することができる開閉自在である弁などの構成を備えており、嫌気的生物反応槽10から好気的生物反応槽20に嫌気性処理液(及び濃縮活性汚泥)を送液して供給することができる従来公知の任意好適なポンプ、配管といった構成が接続されている(図1においては複数の槽間を接続する直線として示されている。以下の「配管」についても同様である。)。
図1に示されるように、嫌気的生物反応槽10には、第1混合槽(第1中和槽)42が接続されている。
第1混合槽42は、嫌気的生物反応槽10に供給(送液)される有機物と有害含窒素化合物とを含む高濃度有機物含有排水に対して、嫌気性処理を実施する前に、例えば、水素イオン濃度調整剤をさらに加えて水素イオン濃度を調整したり、有害含窒素化合物の濃度や高濃度有機物含有排水の濃度を調整したりするなどの予備的な処理が行われる槽である。
第1混合槽42には、従来公知の任意好適な構成を有する槽(タンク)に加えて、開閉自在である弁などを備えており、第1混合槽42に被処理対象液や水素イオン調整剤を送液して供給したり、第1混合槽42から被処理対象液を送液して排出させたりするための従来公知の任意好適な構成を有する配管、ポンプといった構成が接続されていてもよい。
本実施形態の処理装置1は、既に説明した嫌気的生物反応槽10に接続されており、嫌気的生物反応槽10から供給された被処理対象液である嫌気性処理液、さらには嫌気的生物反応槽10を経由せずに供給される低濃度有機物含有排水(低TOC排水)を好気的に処理することができる好気的生物反応槽20を備えている。
好気的生物反応槽20の構成は、所望の処理能力に対応できるサイズ(容量)、想定される低濃度有機物含有排水の特性に対応できることを条件として、特に限定されない。好気的生物反応槽20の構成としては、従来公知の任意好適な構成を採用することができる。好気的生物反応槽20としては、具体的には例えば「標準活性汚泥法」に適用することできる従来公知の任意好適な構成を有する槽を用いることができる。
図1に示されるように、好気的生物反応槽20は、供給された被対象処理液である嫌気性処理液又は低濃度有機物含有排水に対して曝気処理することができる曝気機22を槽内に備えている。
曝気機22としては、例えば「標準活性汚泥法」による好気性処理を実施するのに十分な気体(例、空気)を低濃度有機物含有排水又は嫌気性処理液に接触させることができる従来公知の任意好適な構成を有する曝気機(エアレーター)を適用することができる。
好気的生物反応槽20には、槽間における送液量を調整することができる開閉自在である弁などの構成を備えており、好気的生物反応槽20から固液分離装置30に好気性処理液(及び活性汚泥)を送液して供給するための従来公知の任意好適な配管、ポンプといった構成が接続されていてもよい。
図1に示されるように、好気的生物反応槽20には、第2混合槽(第2中和槽)44が接続されている。
第2混合槽44は、好気的生物反応槽20に供給(送液)される低濃度有機物含有排水(低TOC排水)に対して、好気性処理を実施する前に、水素イオン濃度調整剤を加えて水素イオン濃度を調整したり、有機物の濃度を調整したりするなどの予備的な処理が行われる槽である。
第2混合槽44は、従来公知の任意好適な構成を有する槽(タンク)に加えて、開閉自在である弁などを備えており、第2混合槽44に被処理対象液である低濃度有機物含有排水、嫌気性処理液、水素イオン調整剤を送液して供給したり、第2混合槽44から被処理対象液を送液して排出させたりするための従来公知の任意好適な構成を有する配管、ポンプといった構成を備えていてもよい。
本実施形態の処理装置1は、好気的生物反応槽20に接続されており、好気的生物反応槽20から供給された被処理対象液である好気性処理液を固液分離して、濃縮活性汚泥が好気的に処理されることにより生じた活性汚泥と処理水とを分離することができる固液分離装置30を備えている。固液分離装置30の好適な例としては、沈殿槽(沈降分離槽:シックナー)が挙げられる。
固液分離装置30としては、例えば、具体的には例えば「標準活性汚泥法」に適用することができる従来公知の任意好適な構成を有する槽を用いることができる。
図1に示されるとおり、固液分離装置30には、分離された活性汚泥を固液分離装置30から還流させて嫌気性処理槽10に供給(送液)するため、さらには活性汚泥が分離された上澄み液である処理水を固液分離装置30外に取り出すための従来公知の任意好適な構成を有する配管、ポンプなどの構成が接続されている。
工程(1)においては、以上の構成を含む処理装置1が準備される。
(ii)工程(2)
工程(2)は、好気的生物反応槽に、TOCが高濃度有機物含有排水の0.05倍以下である低濃度有機物含有排水と活性汚泥とを供給して、低濃度有機物含有排水を好気的に処理して得られた処理液から、固液分離装置を用いて固液分離することにより濃縮活性汚泥を得る工程である。
工程(2)は、工程(3)における嫌気的生物反応槽10の系中の活性汚泥濃度(MLSS)を、有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水を効果的に処理するために、既に説明したとおりより高く設定する必要があることから実施される工程である。
工程(2)における低濃度有機物含有排水(低TOC排水)は、TOCが20000mg/L以上である高濃度有機物含有排水に対して、全有機炭素(TOC)の量が0.05倍以下である液状体(汚水)を意味している。
工程(2)における低濃度有機物含有排水は、TOCが、高濃度有機物含有排水の0.04倍以下であることが好ましく、通常100mg/L以上であり、200mg/L以上であることが好ましい。
低濃度有機物含有排水に含まれる有機態炭素としては、既に説明した非活性阻害性有機態炭素が挙げられ、活性阻害性有機態炭素を含まないことが好ましい。
ここで、工程(2)において用いられる「低濃度有機物含有排水」は、必ずしも工場排水等の「排水」でなくてもよい。
工程(2)において用いられる「低濃度有機物含有排水」は、例えばTOCが高濃度有機物含有排水の0.05倍以下となるように人為的に調整された液状体であってよく、予め取得されていた高濃度有機物含有排水を希釈したり、別途入手した有機物含有排水のTOCを調整するなどして、TOCが高濃度有機物含有排水の0.05倍以下となるように調製された液状体であってもよい。
上記のとおり、好気的生物反応槽20においては低濃度有機物含有排水又は嫌気性処理液が活性汚泥を用いて好気的に処理(好気性処理)される。
具体的には、既に説明した曝気機(エアレーター)22により、好気的生物反応槽20に連続的に供給(送液)される低濃度有機物含有排水に、好ましくは空気を吹き込みながら好気的に処理して、低濃度有機物含有排水に含まれる有機態炭素を好気的生物反応槽20に予め収容されていたか、又は低濃度有機物含有排水と別途又は併せて供給された活性汚泥により分解する。
好気的生物反応槽20における好気性処理は、用いられる活性汚泥の活性をより良好にする観点から、水素イオン濃度(pH)が6~8の範囲である中性領域で実施することが好ましい。
また、好気的生物反応槽20における好気性処理は、活性汚泥の活性を良好にする観点から、通常25℃以上で行われ、30℃以上で行うことが好ましく、通常38℃以下で行われ、32℃以下の温度で行うことが好ましい。
好気性処理において、水素イオン濃度が当該範囲を外れてしまう場合には、例えば、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムといった水素イオン濃度調整剤をさらに加えることで、水素イオン濃度を上記範囲に調節しつつ実施することができる。
水素イオン濃度調整剤は、既に説明した第2混合槽44において低濃度有機物含有排水と予め混合してから好気的生物反応槽20に供給することが好ましい。
好気的生物反応槽20における活性汚泥の使用量は、低濃度有機物含有排水のTOC量、有機態炭素の種類などを勘案して適宜調整することができる。
活性汚泥の使用量(供給量)は、具体的には、低濃度有機物含有排水のTOC量と、懸濁浮遊物質(MLSS)換算の活性汚泥の使用量との質量比(TOC/MLSS)において、通常0.5kg-TOC/(kg-MLSS・日)以下とすればよく、好気的生物反応槽20の容積をより小さくすることができるので、通常0.1kg-TOC/(kg-MLSS・日)以上とすればよい。
工程(2)において、好気的生物反応槽20にて、低濃度有機物含有排水を好気性処理することにより得られる活性汚泥は、好気性処理後の好気性処理液に懸濁された状態で好気的生物反応槽20から抜き出される。すなわち、活性汚泥を含む好気性処理液は通常、固液分離装置30で固液分離される。具体的には、抜き出された好気性処理液中の活性汚泥を、固液分離装置30において、酸素を供給せず、微生物による酸素消費のみが生じる条件として堆積させ、嫌気的条件下で貯留することにより濃縮して、活性汚泥を好気性処理液から固液分離することにより行うことができる。この固液分離の結果として、濃縮活性汚泥を得ることができる。得られた濃縮活性汚泥は、固液分離装置30から抜き出して嫌気性処理槽10に還流させて供給(送液)することにより再利用することができる。
好気的生物反応槽20による処理後に固液分離装置30にて好気性処理液から固液分離された濃縮活性汚泥は、全部を嫌気的生物反応槽10に返送して供給してもよいし、一部のみを嫌気的生物反応槽10に供給してもよい。また、工程(2)の実施後の余剰の濃縮活性汚泥は、固液分離装置30から抜き出して廃棄してもよい。
(iii)工程(3)
工程(3)は、高濃度有機物含有排水と濃縮活性汚泥と硝酸態窒素類とを、炭素量と窒素量との比(C/N比)が0.5~4.6の範囲となるように、嫌気的生物反応槽に供給して、有機物及び有害含窒素化合物を処理して、嫌気性処理液を得る工程である。
ここで、「嫌気性処理液」には、嫌気性処理によっても残存してしまった有機物、有害含窒素化合物に加えて、活性汚泥が含まれうる。
本実施形態において、「炭素量と窒素量との比(C/N比)」は、具体的には、高濃度有機物含有排水中の有機物に由来する炭素量と、排水中の含窒素化合物に由来する窒素量との比を意味している。ここで、含窒素化合物の例としては、有害含窒素化合物及び硝酸態窒素類が挙げられる。
「炭素量と窒素量との比(C/N比)」は、0.5~4.6の範囲となるように調節することが好ましく、0.5~3.5の範囲に調節することがより好ましく、1.0~3.0の範囲に調節することがさらに好ましい。
特にC/N比を1.0~3.0の範囲に調節すれば、高濃度有機物含有排水に由来する有機炭素、硝酸態窒素類及び有害含窒素化合物のいずれについても効率よく効果的に分解することができる。
嫌気的生物反応槽10における濃縮活性汚泥の使用量は、高濃度有機物含有排水のTOC量、有害含窒素化合物の量、有機態炭素の種類などを勘案して適宜調整することができる。具体的には、微生物の増殖を促進させ、当該微生物による処理能力を向上させる観点から、嫌気的生物反応槽10における系中の活性汚泥濃度は、好気的生物層20における系中の活性汚泥濃度よりも例えば2倍程度高くなるように設定される。すなわち、嫌気的生物反応槽10における活性汚泥濃度(MLSS)は、通常3000mg/L以上であり、好ましくは6000mg/L以上であり、さらに好ましくは12000mg/L以上である。
濃縮活性汚泥の使用量は、高濃度有機物含有排水のTOC量と、MLSS換算の濃縮活性汚泥の使用量との質量比(TOC/MLSS)が、通常、0.5kg―TOC/(kg―MLSS・日)以下となり、好ましくは0.3kg―TOC/(kg―MLSS・日)以下となるように、さらに好ましくは0.10kg―TOC/(kg―MLSS・日)以下となるように設定される。他方、嫌気的生物処理槽10の容積をより小さくする観点から、通常0.1kg―TOC/(kg―MLSS・日)以上となり、好ましくは0.2kg―TOC/(kg―MLSS・日)以上となり、さらに好ましくは0.3kg―TOC/(kg―MLSS・日)以上となるように設定される。
工程(3)において、嫌気的生物反応槽10に供給される硝酸態窒素類は、硝酸態窒素であってもよいし、亜硝酸態窒素であってもよい。
硝酸態窒素としては、例えば硝酸イオン(NO )を含む硝酸化合物が挙げられる。亜硝酸態窒素としては、例えば亜硝酸イオン(NO )を含む亜硝酸化合物が挙げられる。
硝酸化合物としては、例えば硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの硝酸アルカリ金属塩、硝酸カルシウムなどの硝酸アルカリ土類金属塩といった硝酸塩が挙げられる。亜硝酸化合物としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムなどの亜硝酸アルカリ金属塩、亜硝酸カルシウムなどの亜硝酸アルカリ土類金属塩といった亜硝酸塩が挙げられる。
上記例示の硝酸化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硝酸態窒素類は、通常、水に溶解させた硝酸態窒素類水溶液として用いられる。硝酸態窒素類は、上記硝酸化合物の例示物を水に溶解した水溶液として用いることが好ましい。
硝酸態窒素類の使用量は、高濃度有機物含有排水のTOC量と硝酸態窒素類の窒素原子換算の使用量との比(TOC/N)が、2~10の範囲となるように調整することが好ましく、5以下となるように調整することがより好ましい。
高濃度有機物含有排水、濃縮活性汚泥、硝酸態窒素類及び有害含窒素化合物は、高濃度有機物含有排水、活性汚泥、硝酸態窒素類及び有害含窒素化合物をそれぞれ個別に嫌気的生物反応槽10に供給(送液)してもよいし、これらのうちの2種以上又はすべてを、既に説明した第1混合槽42において予め混合して、嫌気的生物反応槽10に供給してもよい。
本実施形態の嫌気的生物反応槽10による嫌気性処理における系内の塩化銀電極を基準とした酸化還元電位(ORP)は通常-100mV以下であり、好ましくは-200mV以下である。
工程(3)における嫌気的生物反応槽10中の活性汚泥を含む処理液のORPは、工程(2)の好気的生物反応槽20における系中、すなわち好気性処理において用いられる活性汚泥よりも低いことが好ましく、絶対嫌気性を示すORPよりも高いことが好ましい。
嫌気的生物反応槽10による嫌気性処理は、既に説明した攪拌機12により従来公知の任意好適な条件により攪拌しつつ行うことが好ましい。
嫌気性処理は、濃縮活性汚泥の活性を良好にする観点から、30℃~48℃の温度範囲で行うことが好ましい。
また、高濃度有機物含有排水のTOCがある程度変動してしまったとしても安定的に嫌気性処理を行う観点から、嫌気的生物反応槽10における嫌気性処理は、水素イオン濃度(pH)を、通常6.5以上9.0以下として行い、7.0以上8.5以下の中性領域として行うことが好ましい。
水素イオン濃度が上記範囲を外れる場合は、例えば硫酸、塩酸などの酸又は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムなどの従来公知の任意好適な水素イオン濃度調整剤を適宜添加することにより、水素イオン濃度を調整しながら行うことが好ましい。
水素イオン濃度調整剤は、既に説明した第1混合槽42において、高濃度有機物含有排水と予め混合してから嫌気的生物反応槽10に供給してもよいし、第1混合槽42を経由させずに高濃度有機物含有排水とは別に嫌気的生物反応槽10に供給してもよい。
嫌気的生物反応槽10においては、上記のとおり、有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水が、濃縮活性汚泥及び硝酸態窒素類と共に供給されて、嫌気的に処理されることにより、高濃度有機物含有排水に含まれる有機物及び有害含窒素化合物が分解される。以下、嫌気的生物反応槽10における嫌気性処理について具体的に説明する。
嫌気的生物反応槽10においては、濃縮活性汚泥に含まれる微生物が高速で増殖する過程において、有害含窒素化合物が細胞合成に利用される形で減少する。具体的には、例えば、有害含窒素化合物であるアンモニアは、下記式(1)に示されるとおり、濃縮活性汚泥に含まれる微生物の細胞合成に利用される。

+NH+O
→CNO+CO+2HO+エネルギー (1)
上記式(1)に示される微生物の増殖に伴う反応(分解反応)を行うことができる、濃縮活性汚泥に含まれうる微生物としては、例えば、BOD酸化菌として分類されるZoogloea属、Bucillus属、脱窒細菌として分類されるPseudomonas属、Paracoccus属、硝化細菌として分類されるNitrosomonas属、Nitorosococcus属、Nitrosospira属、アナモックス細菌として分類されるPlanctomycetes属の微生物(細菌)が挙げられる。前述の嫌気的生物反応槽10での反応を効率的に進行させる観点から、濃縮活性汚泥中には、少なくとも脱窒細菌として分類される微生物が含まれていることが好ましい。
また、嫌気的生物反応槽10においては、硝酸態窒素類は、嫌気的条件下で、濃縮活性汚泥に含まれる脱窒細菌により、水素供与体が分解して生成する水素(H)と下記式(2)及び式(3)に示されるとおりの反応により窒素ガス(N)にまで還元される。

NO +2(H)→NO +HO (2)
2NO +6(H)→N+2HO+2OH (3)
このように、本実施形態の処理方法では、嫌気的生物反応槽10において濃縮活性汚泥に含まれる脱窒細菌が増殖して、高濃度有機物含有排水に含まれる有機態炭素及び有害含窒素化合物を水素供与体とし、及び有害含窒素化合物を濃縮活性汚泥に含まれる微生物に取り込ませて細胞合成に利用させることにより、有機態炭素及び有害含窒素化合物が同時に、並行して処理されると考えられる。
ここで、高濃度有機物含有排水が、有機態炭素として、例えば酢酸(CHCOOH)を含む場合には、この酢酸が水素供与体となり、下記式(4)に示されるとおり酢酸が分解されて、水素(H)が生成する。

CHCOOH+2HO→2CO+8(H) (4)
本実施形態では、嫌気的生物反応槽10において、上記のとおりの嫌気性処理(濃縮活性汚泥中の微生物による有害含窒素化合物の消化を含む。)により、高濃度有機物含有排水中の有機態炭素及び有害含窒素化合物が処理された後の活性汚泥(濃縮活性汚泥)は、嫌気性処理により得られた嫌気性処理液との懸濁液として嫌気的生物反応槽10から、例えば、配管等を介して抜き出される。
このとき、嫌気性処理液(及び濃縮活性汚泥)は、嫌気的生物反応槽10の内部に滞留する液量が一定となるように、すなわち嫌気的生物反応槽10に供給(送液)される液量と抜き出される液量とが釣り合うように調節しつつ抜き出される。
より具体的には、嫌気的生物反応槽10への有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水、濃縮活性汚泥及び硝酸態窒素類の供給と、嫌気的生物反応槽10からの嫌気性処理後の嫌気性処理液(及び濃縮活性汚泥)の抜き出しとは、それぞれ同時にかつ連続的に行われる。
嫌気的生物反応槽10内の液量(V)と高濃度有機物含有排水の供給速度(U)との比で表される滞留時間(θ=V/U)は、嫌気性処理を十分に行う観点から、好ましくは8時間以上であり、嫌気的生物反応槽10の容積をより小さくする観点から、好ましくは6時間以下であり、より好ましくは0.5時間以上4時間以下である。
嫌気的生物反応槽10から抜き出された嫌気性処理後の濃縮活性汚泥は、通常、低濃度有機物含有排水を好気的生物反応槽20において好気的に処理(好気性処理)するのに十分な活性を有している。よって、嫌気性処理後の濃縮活性汚泥を好気的生物反応槽20に、活性汚泥として送液(供給)して還流させれば、濃縮活性汚泥を、好気的生物反応槽20における低濃度有機物含有排水の好気性処理に再利用することができるため好ましい。
嫌気的生物反応槽10から抜き出された濃縮活性汚泥は、固形分として、例えば、嫌気性処理後に濃縮活性汚泥が含まれる嫌気性処理液から固液分離してから還流させてもよいし、濃縮活性汚泥が含まれる嫌気性処理液から分離することなく懸濁状態の嫌気性処理液のままで還流させてもよい。
嫌気性処理後の嫌気性処理液からの濃縮活性汚泥の固液分離は、例えば、既に説明した従来公知の任意好適な構成を有する固液分離装置30により常法に従って行うことができる。
(iv)工程(4)
工程(4)は、嫌気性処理液を、好気的生物反応槽に供給して、曝気装置により曝気処理することにより、嫌気性処理液に残存している有機物を分解して、好気性処理液を得る工程である。
好気的生物反応槽20においては、工程(3)において嫌気的に処理された嫌気性処理液を濃縮活性汚泥の存在下で好気的に処理(好気性処理)する。
工程(4)において用いられる活性汚泥は、工程(3)における嫌気性処理後に嫌気性処理槽10から別途抜き出され配管等を介して還流された濃縮活性汚泥を含んでいてもよい。
工程(4)において処理される嫌気性処理液は、工程(3)までの実施により、既に説明した低濃度有機物含有排水と同等の濃度レベルまで、有機物及び有害含窒素化合物が分解されてこれらの濃度が低減された液状体である。すなわち工程(4)は、工程(3)による処理後においても残存している有機物(有機態炭素)を、好気的に処理(好気性処理)して分解することにより好気性処理液を得る工程である。
工程(4)は、既に説明した槽内に曝気機(エアレーター)22を備えている好気的生物反応槽20を用いて行われる。
工程(4)においては、好気的生物反応槽20に連続的に送液(供給)される嫌気性処理液に対し、例えば空気を、槽内の曝気機22を用いて吹き込みながら接触させることにより好気的に処理して、嫌気性処理液に含まれる有機態炭素を濃縮活性汚泥により分解させる。
工程(4)における好気的生物反応槽20での好気性処理は、濃縮活性汚泥の活性を良好にする観点から、水素イオン濃度(pH)を6~8の中性領域として実施することが好ましい。
工程(4)にかかる好気性処理において、水素イオン濃度が当該範囲を外れてしまう場合には、例えば、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムといった水素イオン濃度調整剤を加えて水素イオン濃度を上記範囲に調節しつつ実施することが好ましい。
工程(4)において、水素イオン濃度調整剤を用いる必要がある場合には、水素イオン濃度調整剤は、例えば、既に説明した第2混合槽44において嫌気性処理液と予め混合してから好気的生物反応槽20に供給することが好ましい。
工程(4)における好気性処理は、濃縮活性汚泥の活性を良好にする観点から、通常25℃以上で行われ、30℃以上で行うことが好ましく、通常38℃以下で行われ、32℃以下の温度で行うことが好ましい。
工程(4)において、好気的生物反応槽20での濃縮活性汚泥の使用量は、工程(3)において処理され、好気的生物反応槽20に供給される嫌気性処理液のTOC量、有機態炭素の種類を勘案して適宜調整することができる。具体的には、嫌気性処理液のTOC量と懸濁浮遊物質(MLSS)換算の濃縮活性汚泥の使用量との質量比(TOC/MLSS)は、例えば、0.5kg-TOC/(kg-MLSS・日)以下とすることが好ましく、好気的生物反応槽20の容積をより小さくする観点から、0.1kg-TOC/(kg-MLSS・日)以上とすることが好ましい。
(v)工程(5)
工程(5)は、好気性処理液を固液分離装置に供給して固液分離することにより、濃縮活性汚泥を回収しつつ、処理水を得る工程である。
工程(5)において、好気的生物反応槽20で好気性処理した後の濃縮活性汚泥は、好気性処理後の好気性処理液に懸濁された状態で好気的生物反応槽20から抜き出されて固液分離装置30に送液される。
固液分離装置30に送液された濃縮活性汚泥を含む懸濁液である好気性処理液は、固液分離装置30で処理される。具体的には、固液分離装置30において酸素を供給せず、微生物による酸素消費のみが生じる条件として好気性処理液中の濃縮活性汚泥を堆積させ、嫌気的条件下で貯留することにより再度濃縮して、上澄み液である処理水と固形分である濃縮活性汚泥とに固液分離する。
固液分離装置30において固液分離された濃縮活性汚泥は、固液分離装置30から抜き出して配管等により還流させて嫌気性処理槽10に供給(送液)して再利用することができる。また、余剰の濃縮活性汚泥は、固液分離装置30から抜き出して廃棄してもよい。
濃縮活性汚泥を除去することにより得られた上澄み液である処理水は、有害含窒素化合物及び有機態炭素が少なくとも許容される量まで低減されるか、又は除去されたことを条件として、必要であれば塩素等の消毒用の薬品によりさらに処理するなどした後に、外部環境に放出することができる。
本実施形態の処理方法によれば、高濃度有機物含有排水が有害含窒素化合物を含んでいたとしても、さらなる設備を追加することなく、小規模な設備で高濃度有機物含有排水を処理することができ、嫌気的生物反応槽10で行うため曝気に要する空気の供給が不要であり、またより少量の活性汚泥で処理することができる。このように、本実施形態の処理方法によれば、高い容積負荷で、簡便にかつ効果的に有害含窒素化合物を含む高濃度有機物含有排水を処理することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
<活性汚泥及び水溶液の準備>
好気的生物反応槽及び固液分離するための設備である固液分離装置を少なくとも備えた既設の排水(汚水)処理設備において、固液分離装置の底部から抜き出された活性汚泥を含む懸濁液(以下、単に「活性汚泥」という。)を準備し、また、酢酸水溶液、硝酸ナトリウム水溶液及びアンモニア水(以下、これらを単に「溶液」という。)を、それぞれ下記表1に示される所定濃度に調製して準備した。
<分析方法>
TOC(全有機炭素)の濃度測定は、JIS K 0102 22.1に準じた燃焼酸化-赤外線式TOC分析法を、NO3-Nの濃度測定には、JIS K 0102-43.2.5に準拠したイオンクロマトグラフ法を、NH4-Nの濃度測定には、JIS K 0102-42.6に準拠した流れ分析法を採用して実施した。
活性汚泥(濃縮活性汚泥)のMLSS濃度測定は、JIS K0102-14.1に準拠して実施した。pH測定は、JIS K0102-12.1に準拠したガラス電極法を採用して実施した。
<C/N比の算出>
嫌気的生物反応槽への送液直後の時点(すなわち、処理の直前の活性汚泥と各溶液との混合液)における、TOC(mg/L)を、NO3-N換算の窒素量(mg/L)とNH4-N換算の窒素量(mg/L)とを合算した総窒素量(mg/L)で除した数値を、各実施例におけるC/N比として算出した。
[実施例1]
模擬的な嫌気的生物反応槽(有効容積3L)中に、上記のとおり準備した活性汚泥を3L投入し、ヒーターにて活性汚泥の温度を35℃に保持した状態で、撹拌機による攪拌を行った。その後、嫌気的生物反応槽に、さらに上記のとおり準備した活性汚泥(撹拌機にて撹拌及び液温35℃に保持した状態から送液した。)及び、上記のとおり準備した酢酸水溶液、硝酸ナトリウム水溶液、及びアンモニア水である各溶液を同時に、模擬的な高濃度有機物含有排水(被処理液)として、嫌気的生物反応槽内に送液し、嫌気的生物反応槽内の温度を35℃に保ちながら撹拌することにより、活性汚泥を用いた分解反応を連続的に進行させて処理した。活性汚泥及び各溶液の成分濃度、及び送液量を下記表1に示した。
このとき、嫌気的生物反応槽の内液量(V)と嫌気的生物反応槽に送液された全液量(V’)との比で表される滞留時間(θ=V/V’)は4時間であった。
嫌気的生物反応槽への送液開始から8時間(2θ)経過後、嫌気的生物反応槽からオーバーフローさせて得られた処理済みの処理水について、定性ろ紙1号を用いてろ過し、得られたろ液のTOC濃度、NO3-N濃度、NH4-N濃度の測定をそれぞれ実施した。
上記測定により得られた結果から、上記各成分における処理率(%)、すなわち、嫌気的生物反応槽に送液された時点における濃度に対する、分解反応により減少した濃度の割合(%)を算出した。結果を下記表2に示した。
[実施例2~3及び比較例1~2
活性汚泥及び各溶液の濃度及び流量を、下記表1に記載のとおりに変更した以外は、既に説明した実施例1と同様にして処理性について評価した。結果を下記表2及び図2に示した。
Figure 0007050992000002
Figure 0007050992000003
表2及び図2から明らかなとおり、NH4-Nの処理についてはC/N比を2.0程度に調節することで、40%に近い処理率を達成できることが確認できた。このとき、同時に処理されたTOC換算の有機炭素及びNO3-N換算の窒素の処理についても100%近い処理率を達成できることが確認できた。
また、特にC/N比を1.0~3.0の範囲に調節すれば、TOC換算の有機炭素、NO3-N換算の窒素及びNH4-N換算の窒素のいずれについても高い処理率とすることができることが確認できた。
1 処理装置
10 嫌気的生物反応槽
12 攪拌機
20 好気的生物反応槽
22 曝気機
30 固液分離装置
42 第1混合層(第1中和槽)
44 第2混合槽(第2中和槽)

Claims (3)

  1. 有機物と有害含窒素化合物とを含み、TOCが最小でも20000mg/Lでり、該有害含窒素化合物の濃度が最大でも1000mg/Lである高濃度有機物含有排水を、活性汚泥により生物学的に処理する処理方法であって、
    工程(1):前記高濃度有機物含有排水を嫌気的に処理する嫌気的生物反応槽と、該嫌気的生物反応槽に接続されており、曝気処理することができる曝気装置を有していて、該嫌気的生物反応槽から供給された嫌気性処理液を好気的に処理することができる好気的生物反応槽と、該好気的生物反応槽に接続されており、該好気的生物反応槽から供給された好気性処理液を固液分離することができる固液分離装置とを備えた処理装置を準備する工程と、
    工程(2):前記好気的生物反応槽に、TOCが前記高濃度有機物含有排水の最大でも0.05倍である低濃度有機物含有排水と活性汚泥とを供給して、該低濃度有機物含有排水を好気的に処理して得られた処理液から、前記固液分離装置を用いて固液分離することにより濃縮活性汚泥を得る工程と、
    工程(3):前記高濃度有機物含有排水と前記濃縮活性汚泥と硝酸態窒素類とを、TOCと該硝酸態窒素類の窒素原子換算の使用量との比(TOC/N)を2~10の範囲とし、炭素量と前記有害含窒素化合物及び該硝酸態窒素類が含まれる含窒素化合物に由来する窒素量との比(C/N比)が0.5~3.0の範囲となるように、前記嫌気的生物反応槽に供給して、前記有機物及び前記有害含窒素化合物を処理して、嫌気性処理液を得る工程と、
    工程(4):前記嫌気性処理液を、前記好気的生物反応槽に供給して、前記曝気装置により曝気処理することにより、前記嫌気性処理液に残存している前記有機物を分解して、好気性処理液を得る工程と、
    工程(5):前記好気性処理液を前記固液分離装置に供給して固液分離することにより濃縮活性汚泥を回収しつつ、処理水を得る工程と
    を含む、処理方法。
  2. 前記有害含窒素化合物が、アミン類からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記有害含窒素化合物が、アンモニアである、請求項2に記載の処理方法。
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