JP5207535B2 - 非晶質薄膜の結晶化装置及び方法、並びに薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents
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Description
そして、この多結晶薄膜は、通常、ガラス基板等の絶縁基板上に、プラズマCVD法などにより非晶質薄膜を形成した後、この非晶質薄膜に対して、レーザー(例えば、パルス発振のエキシマレーザー)を照射して、前記非晶質薄膜を融解させた後、速やかに結晶化させる方法によって、主に警醒されている。
(1)表面に所定膜厚の非晶質薄膜を形成した絶縁基板を、前記非晶質薄膜が上向きになるように載置するためのステージと、前記非晶質薄膜と対向する位置に設けられ、内部に所定のプラズマ生成ガスを導入してプラズマジェットを発生し、前記非晶質薄膜に対して照射したプラズマ照射領域を上から取り囲むトンネル状の被覆部材と、該被覆部材の頂部外面に被覆部材の長手方向に線状に接触した状態で配設される上側電極と、前記絶縁基板の下方であって、かつ前記上側電極と対向して配設される下側電極と、前記上側電極及び下側電極に高周波電力を供給するための高周波電源を具え、前記プラズマジェットの発生は、前記被覆部材中で、前記プラズマ生成ガスに対して、高密度の誘導電力を加えてプラズマ化することにより、10000K以上のプラズマジェットを生成し、大気中で前記非晶質薄膜に対して照射することで、前記非晶質薄膜を結晶化することを特徴とする非晶質薄膜の結晶化装置。
図1(a)は、本発明に従う非晶質薄膜の結晶化装置の一部について模式的に示した斜視図であり、図1(b)は、本発明の別の実施形態である非晶質薄膜の結晶化装置の一部について模式的に示した斜視図である。
また、図2は、図1の結晶化装置の一部を拡大して側面から見た図(図1のA方向から見た図)である。
さらに、図3は、図1においてプラズマジェットの照射を受けている非晶質薄膜について、上部から見た状態を模式的に示した図である。
さらにまた、図4は、従来のプラズマジェットを用いた結晶化装置を模式的に示した断面図である。
(ステージ)
なお、本発明の非晶質薄膜の結晶化装置10は、図1(a)に示すように、前記絶縁基板21を、前記非晶質薄膜20が上向きになるように載置するためのするためのステージ30を具える。ステージ40の形状は、前記基板21を載置することができれば、特に限定されるものではないが、安定して前記基板21を載置でき、かつ前記減圧を実現できるよう、例えば、平板状や円盤状であることが好ましい。また、前記ステージ30の材質についても特に限定はされないが、例えば、窒化アルミやアルミナ等のセラミックス又は石英等を用いることができる。
さらに、本発明に用いる絶縁基板21は、特に限定はされないが、例えば、Si、セラミックス、アルミナ又は石英等の材料からなり、その膜厚は100〜10000μm程度であることが好ましい。また、前記絶縁基板21の上に形成される非晶質薄膜20については、用いられる用途等によって任意の材料を選択することができ、例えば、非晶質シリコン、シリコンゲルマニウム又は非晶質酸化物薄膜(SnO、ZnO、ZnO:Al、InGaZnO)等からなる非晶質薄膜であり、その膜厚は0.01〜2μm程度であることが好ましい。
本発明の非晶質薄膜の結晶化装置10は、図1(a)に示すように、前記非晶質薄膜20と対向する位置に設けられ、内部40aに所定のプラズマ生成ガスを導入して前記プラズマジェット50を発生し、前記非晶質薄膜20に対して照射したプラズマ照射領域51を上から取り囲むトンネル状の被覆部材40を具える。被覆部材40の形状としては、アーチ状のトンネル全体にライン状プラズマジェット50を効果的に放出することができる形状であれば特に限定はせず、例えば、図1に示すようなアーチ状のトンネル形状とすることができるし、矩形のトンネル状とすることも、図1(b)に示すように、プラズマ生成ガス52が通るガス管と一体化された被覆部材400であっても構わない。可能である。前記被覆部材40の形状をアーチ状のトンネル形状とした場合、その内径は2〜10mmの範囲とすることがプラズマ照射領域51の温度を精密に制御できる点で好ましい。
また、本発明の非晶質薄膜の結晶化装置10は、図1(a)に示すように、前記被覆部材40の頂部外面40bに被覆部材40の長手方向に線状に接触した状態で配設される上側電極60を具え、前記絶縁基板21の下方であって、かつ前記上側電極60と対向して配設される下側電極70を具える。前記被覆部材内部40aで、プラズマ生成ガス52が充填した状態で、上側電極60及び下側電極70によって誘導電力を発生させれば、前記プラズマ生成ガスは電離して高温(10000K程度)のプラズマが発生するためである。なお、前記上側電極60及び下側電極70の材料は、特に限定をする必要はないが、高い電気伝導率の点から本発明では銅からなる電極を用いている。
本発明による非晶質薄膜の結晶化方法によれば、図3に示すように、前記非晶質薄膜20上の前記プラズマ照射領域51がライン状となる。そのため、従来の点状のマイクロプラズマジェット(図4)による結晶化方法に比べて、そのプラズマ照射領域51が大きくなる結果、同時に溶融・結晶化する面積が大きくなるため、より短時間で非晶質薄膜20を溶融し、結晶化することが可能となる点で有効である。加えて、同時に溶融・結晶化する面積が大きくなるため、従来の方法よりも、さらに均一な多結晶薄膜を得ることが可能となる。
(実施例1)
実施例1は、図1(a)に示すように、Siからなるステージ40と、内部にアルゴンからなるプラズマ生成ガス52を導入して(流量: 1L/分以下)プラズマジェット50を発生し、非晶質薄膜20に対して照射したプラズマ照射領域51を上から取り囲むトンネル状のSiからなる被覆部材40と、該被覆部材40の頂部外面40bに被覆部材の長手方向に線状に接触した状態で配設されるCuからなる上側電極60と(上側電極の長手方向の長さ1cmあたりの被覆部材40との接触面積:20mm2)、絶縁基板21の下方であって、かつ前記上側電極60と対向して配設されるCuからなる下側電極70と、前記上側電極60及び下側電極70に高周波電力を供給するための高周波電源80(周波数:144MHz)とを具えた非晶質シリコン薄膜20の結晶化装置10を用い、前記ステージ30上に膜厚0.01μmの非晶質シリコン薄膜20を形成した石英基板21を載置し、ステージ30を移動手段(図示せず)によって移動させながら、前記被覆部材40中で、前記プラズマ生成ガス52に対して高密度の誘導電力を加えてプラズマ化することにより、ライン状のプラズマジェット50(プラズマ照射領域の長さ:4cm、幅:5mm、プラズマジェットの温度:10000K、電子密度:1015個/cm3)を生成し、大気中で前記非晶質薄膜20に対して照射することにより、前記非晶質シリコン薄膜20が結晶化して多結晶薄膜となったサンプルとなる半導体材料を作製した。
比較例1は、図4に示すように、従来の結晶化装置1000を用いて、コイル130を巻いて内部に高周波電場が発生したプラズマトーチ120(照射口120aの直径10mm程度)にアルゴンからなるプラズマ生成ガスを導入し、マイクロプラズマジェット150(プラズマ照射領域の長さ:4cm、幅:5mm、プラズマジェットの温度:10000 K、電子密度:1015個/cm3)を、実施例1に用いられるものと同様の非晶質薄膜160に対して大気中で照射して、点状に前記非晶質薄膜のプラズマ化を行うことによって、前記被消失薄膜を多結晶薄膜として、サンプルとなる半導体材料を作製した。
比較例2は、従来のエキシマレーザーを用いた非晶質薄膜の結晶化方法により、前記非晶質シリコン薄膜を結晶化し、サンプルとなる半導体材料を得た。
(1)結晶の均一性
上記実施例及び比較例で作製したサンプルの、多結晶シリコン薄膜の表面を、透過電子顕微鏡を用いて観察するとともに、任意の視野範囲(100nm×100nm)あたりに存在する多結晶シリコンの結晶化率のバラツキ(%)を算出し、以下の基準に従って評価した。なお、ここでの結晶化率は、ラマン分光法を用い、ラマン散乱分光スペクトルの520、510、4780cm−1の結晶、ナノ結晶、アモルファス分率のSi相のピークの強度比で定義し、強度比のバラツキの大きさにより結晶化率のバラツキを決定した。
◎:結晶化率のバラツキが3%以内
○:結晶化率のバラツキが3%超え、5%以内
×:結晶化率のバラツキが5%超え
上記実施例及び比較例において、それぞれサンプルの作製に要した時間、つまり、非晶質薄膜の全体を溶融・結晶化するのに要した時間(タクトタイム)を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:1分以内
○:1分超え、3分以内
×:4分超え
20 非晶質薄膜
21 絶縁基板
30 ステージ
40、400 被覆部材
50 プラズマジェット
51 プラズマ照射領域
52 プラズマ生成ガス
60 上側電極
70 下側電極
80 高周波電源
Claims (12)
- 表面に所定膜厚の非晶質薄膜を形成した絶縁基板を、前記非晶質薄膜が上向きになるように載置するためのステージと、前記非晶質薄膜と対向する位置に設けられ、内部に所定のプラズマ生成ガスを導入してプラズマジェットを発生し、前記非晶質薄膜に対して照射したプラズマ照射領域を上から取り囲むトンネル状の被覆部材と、該被覆部材の頂部外面に被覆部材の長手方向に線状に接触した状態で配設される上側電極と、前記絶縁基板の下方であって、かつ前記上側電極と対向して配設される下側電極と、前記上側電極及び下側電極に高周波電力を供給するための高周波電源とを具え、
前記プラズマジェットの発生は、前記被覆部材中で、前記プラズマ生成ガスに対して、高密度の誘導電力を加えてプラズマ化することにより、10000K以上の高温プラズマジェットを生成し、大気中で前記非晶質薄膜に対して照射することで、前記非晶質薄膜を結晶化することを特徴とする非晶質薄膜の結晶化装置。 - 前記プラズマ照射領域は、その長さが1cm以上で、幅が10mm以下のライン状のプラズマ照射領域である請求項1記載の非晶質薄膜の結晶化装置。
- 前記被覆部材と前記上側電極との接触面積が、前記上側電極の長手方向の長さ1cmあたり20mm2以下である請求項1記載の非晶質薄膜の結晶化装置。
- 前記プラズマ生成ガスはアルゴンであり、10L/分以下の流量で前記被覆部材中に供給する請求項1、2又は3記載の非晶質薄膜の結晶化装置。
- 前記高周波電源の周波数は、13〜500MHzの範囲である請求項1〜4のいずれか1項記載の非晶質薄膜の結晶化装置。
- 前記被覆部材は、Si又はAlからなる請求項1〜5のいずれか1項記載の非晶質薄膜の結晶化装置。
- 前記結晶化装置は、前記プラズマジェットを前記ステージに対して相対移動させて、前記非晶質薄膜全体を結晶化するための、移動手段をさらに具える請求項1〜6のいずれか1項記載の非晶質薄膜の結晶化装置。
- 絶縁基板上に、所定膜厚の非晶質薄膜を形成し、該非晶質薄膜に対して、大気中でプラズマジェットを照射することにより、前記非晶質薄膜を溶融し、結晶化させる方法において、
前記非晶質薄膜が上向きになるように載置するためのステージと、前記非晶質薄膜と対向する位置に設けられ、内部に所定のプラズマ生成ガスを導入してプラズマジェットを発生し、前記非晶質薄膜に対して照射したプラズマ照射領域を上から取り囲むトンネル状の被覆部材と、該被覆部材の頂部外面に被覆部材の長手方向に線状に接触した状態で配設される上側電極と、前記絶縁基板の下方であって、かつ前記上側電極と対向して配設される下側電極と、前記上側電極及び下側電極に高周波電力を供給するための高周波電源とを具える結晶化装置を用い、
前記プラズマジェットは、温度が10000K以上であり、前記非晶質薄膜に照射したとき、その長さが1cm以上、幅が10mm以下であるライン状のプラズマ照射領域を形成することを特徴とする非晶質薄膜の結晶化方法。 - 前記プラズマジェットの照射は、プラズマ生成ガスに対して、100W以上の高周波誘電力を加えることによりプラズマ化して、高エネルギーのプラズマジェットをライン状に生成してなる請求項8記載の非晶質薄膜の結晶化方法。
- 前記プラズマ生成ガスはアルゴンであり、10L/分以下の流量で供給する請求項8又は9記載の非晶質薄膜の結晶化方法。
- 前記プラズマジェットは、前記非晶質薄膜を形成した基板に対して相対移動させることで前記非晶質薄膜全体を結晶化する請求項8〜10のいずれか1項記載の非晶質薄膜の結晶化方法。
- 請求項8〜11のいずれか1項記載の方法で多結晶薄膜を形成した後、該多結晶薄膜の所定位置にソース領域及びドレイン領域を形成し、さらに、ゲート酸化膜及びゲート電極を形成する薄膜トランジスタの製造方法。
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