JP5205417B2 - プレス機械およびプレス機械の制御方法 - Google Patents
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ここで、スティック状態における下死点からの脱出は、スライドに作用する荷重が大きく、かつスライドの停止時間が長いほど困難となる。言い換えれば、スライドの停止時間が最大荷重時の許容停止時間未満であれば、振動成分を付与しなくても下死点から脱出できることになる。
本発明のプレス機械によれば、スライドの停止時間が最大荷重時の許容停止時間以上であるときに振動成分の付与が必要であると判定するため、下死点からの脱出に必要な場合にのみ電動モータを正逆回転させることができる。従って、電動モータの正逆回転に伴うエネルギーの消費を抑えることができる。
また、スライドモーションに基づく予定停止時間が、スライドの荷重に対応する許容停止時間以上であるときに振動成分の付与が必要であると判定するため、下死点からの脱出に必要な場合にのみ電動モータを正逆回転させることができる。従って、電動モータの正逆回転に伴うエネルギーの消費を抑えることができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第2実施形態以降で、以下に説明する第1実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
本体フレーム2の上部側には、内部にクランク機構4およびサーボモータ7が収容されている。ただし、本体フレーム2の具体的な構造は、本実施形態のものに限定されず、その実施にあたって任意に決められてよい。
エキセンシャフト41には、エキセンドラム43が一体に形成されており、エキセンシャフト41は、エキセンドラム43の前後において、本体フレーム2に設けられたブッシュ等の軸受部25,26によって支持されている。エキセンシャフト41の後端側の後端側には、メインギヤ6が設けられ、メインギヤ6の外周部分にサーボモータ7の出力軸が噛み合うことで、エキセンシャフト41がサーボモータ7により回転可能となっている。
下死点脱出装置10は、サーボモータ7、サーボアンプ71、電流検出器72、回転角度検出器73、荷重検出器56、制御装置8、および入力装置9を備えている。
サーボアンプ71は、制御装置8からの制御指令と電流検出器72で検出されたサーボモータ7の電流値との偏差に基づいて、サーボモータ7の駆動電流を生成し、サーボモータ7に出力する。これにより、サーボモータ7が制御装置8の制御指令に沿うように駆動される。
振動成分設定値は、サーボアンプ71への制御指令に付与する振動成分に関して予め設定された値であり、振動の周波数や振幅等が記憶されている。
スライド停止判定部86は、スライド5の位置変化量に基づいて、スライド5が停止したか否かを判定する。
振動成分付与部89は、振動要否判定部87および下死点脱出判定部88の判定結果に応じて、サーボアンプ71への制御指令に対して、記憶装置8Aに記憶されている振動成分設定値で規定される振動成分を付与する。
先ず、入力装置9を介してプレス動作が開始されると(ステップS1)、制御装置8の位置目標値設定部83は、入力装置9により設定されたスライドモーションに従って、スライド5の位置目標値を設定する。また、指令生成部84は、スライド5の位置目標値、位置、および速度から、サーボアンプ71への制御指令を生成し、サーボアンプ71に出力する。
次に、図6および図7に基づき、本発明の第2実施形態について説明する。
前述した第1実施形態では、記憶装置8Aに記憶されている許容停止時間テーブルからスライド5の荷重Lに対応する許容停止時間TLを読み込み、スライド5の停止時間Tが許容停止時間TL以上となった場合に、サーボアンプ71の制御指令に対して振動成分の付与を行っていた。
これに対し、第2実施形態では、振動成分の要否判定に許容停止時間テーブルを用いておらず、スライド5の停止時間Tが最大荷重時の許容停止時間TA以上となった場合に振動成分の付与を行う点が相違する。
先ず、制御装置8の振動要否判定部87は、最大荷重時の許容停止時間TAを記憶装置8Aから読み込む(ステップS21)。
ステップS26において、スライド5の停止時間Tが許容停止時間TA未満と判定されると、下死点脱出判定部88は、スライド5が下死点近傍の停止状態から脱出したか否かを判定する(ステップS28)。ステップS28でスライド5の停止状態が継続していると判定された場合は、ステップS25からステップS28までの処理が繰り返される。
以上のような本実施形態の下死点脱出装置10を備えたプレス機械1においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
次に、図9および図10に基づき、本発明の第3実施形態について説明する。
前述した第1実施形態では、スライド5の停止時間Tをカウントし、停止時間Tがスライド5の荷重Lに対応する許容停止時間TL以上となった場合に、サーボアンプ71の制御指令に振動成分を付与していた。
これに対し、第3実施形態では、スライドモーションから得られるスライド5の予定停止時間TBと、荷重Lに対応する許容停止時間TLおよび最大荷重時の許容停止時間TAとの関係から振動成分の付与の要否を判定する点が相違する。
先ず、制御装置8の振動要否判定部87は、最大荷重時の許容停止時間TAを記憶装置8Aから読み込む(ステップS41)。また、振動要否判定部87は、記憶装置8Aに記憶されているスライドモーションから、スライド5の予定停止時間TBを読み込む(ステップS42)。入力装置9を介してプレス動作が開始されると(ステップS43)、振動要否判定部87は、予定停止時間TBが最大荷重時の許容停止時間TA以上であるか否かを判定する(ステップS44)。
次に、図11および図12に基づき、本発明の第4実施形態について説明する。
前述した第1実施形態から第3実施形態では、スライド5の実際の停止時間Tまたは予定停止時間TBから、サーボアンプ71の制御指令に対する振動成分付与の要否を判定していた。
これに対し、第4実施形態では、スライド5に作用する荷重Lから振動成分付与の要否を判定する点が相違する。
先ず、制御装置8の振動要否判定部87は、スティック荷重LSを記憶装置8Aから読み込む(ステップS61)。
ステップS66において、スライド5の荷重Lがスティック荷重LS未満と判定されると、下死点脱出判定部88は、スライド5が下死点近傍の停止状態から脱出したか否かを判定する(ステップS68)。ステップS68でスライド5の停止状態が継続していると判定された場合は、ステップS65からステップS68までの処理が繰り返される。
以上のような本実施形態の下死点脱出装置10を備えたプレス機械1においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
例えば、前記実施形態では、サーボモータ7の回転角度θmからエキセンシャフト41の回転角度θsを求め、スライド5の位置として用いていたが、スライド5の位置を直接検出するようにしてもよい。また、スライド5の位置からスライド5の速度を求めていたが、スライド5の速度を直接検出するようにしてもよい。
前記実施形態では、記憶装置8Aは制御装置8に設けられていたがこれに限られず、記憶装置8Aを制御装置8とは別に設けてもよい。
前記実施形態では、スライド5を1つのクランク機構4にて動作させる構造であったが、より大きなスライド5を上下動させる場合など、複数のクランク機構4を採用してもよい。
Claims (10)
- 電動モータでエキセンシャフトを回転駆動してスライドを昇降させるプレス機械であって、
前記スライドの位置を出力するスライド位置出力装置と、
前記スライド位置出力装置から出力された前記スライドの位置に基づいて前記電動モータの駆動を制御する制御装置と、
前記スライドに作用する荷重が最大荷重時の前記スライドの許容停止時間を記憶した記憶装置とを備え、
前記制御装置は、
前記スライドが下死点近傍に到達したか否かを判定する下死点到達判定部と、
前記スライドが停止したか否かを判定するスライド停止判定部と、
前記スライドが下死点近傍で停止したときに前記電動モータの正転および逆転を繰り返す振動成分を前記電動モータの制御指令に付与する振動成分付与部と、
下死点近傍での前記スライドの停止時間が前記最大荷重時の許容停止時間以上であるときに前記振動成分の付与が必要であると判定する振動要否判定部とを備えている
ことを特徴とするプレス機械。 - 電動モータでエキセンシャフトを回転駆動してスライドを昇降させるプレス機械であって、
前記スライドの位置を出力するスライド位置出力装置と、
前記スライド位置出力装置から出力された前記スライドの位置に基づいて前記電動モータの駆動を制御する制御装置と、
前記スライドに作用する荷重を検出する荷重検出器と、
前記荷重ごとに前記スライドの許容停止時間が関連付けられた許容停止時間テーブルを記憶した記憶装置とを備え、
前記制御装置は、
前記スライドが下死点近傍に到達したか否かを判定する下死点到達判定部と、
前記スライドが停止したか否かを判定するスライド停止判定部と、
前記スライドが下死点近傍で停止したときに前記電動モータの正転および逆転を繰り返す振動成分を前記電動モータの制御指令に付与する振動成分付与部と、
下死点近傍での前記スライドの停止時間が前記検出された荷重に対応する許容停止時間以上であるときに前記振動成分の付与が必要であると判定する振動要否判定部とを備えている
ことを特徴とするプレス機械。 - 電動モータでエキセンシャフトを回転駆動してスライドを昇降させるプレス機械であって、
前記スライドの位置を出力するスライド位置出力装置と、
前記スライド位置出力装置から出力された前記スライドの位置に基づいて前記電動モータの駆動を制御する制御装置と、
前記スライドに作用する荷重を検出する荷重検出器と、
前記荷重ごとに前記スライドの許容停止時間が関連付けられた許容停止時間テーブルと前記スライドのスライドモーションとを記憶した記憶装置とを備え、
前記制御装置は、
前記スライドが下死点近傍に到達したか否かを判定する下死点到達判定部と、
前記スライドが停止したか否かを判定するスライド停止判定部と、
前記スライドが下死点近傍で停止したときに前記電動モータの正転および逆転を繰り返す振動成分を前記電動モータの制御指令に付与する振動成分付与部と、
前記スライドモーションに基づく下死点近傍での前記スライドの予定停止時間が前記検出された荷重に対応する許容停止時間以上であるときに前記振動成分の付与が必要であると判定する振動要否判定部とを備えている
ことを特徴とするプレス機械。 - 請求項3に記載のプレス機械において、
前記許容停止時間テーブルにおける許容停止時間には、前記スライドに作用する荷重が最大荷重時の許容停止時間が含まれ、
前記制御装置の前記振動要否判定部は、下死点近傍での前記スライドの予定停止時間が前記最大荷重時の許容停止時間未満であるときに前記振動成分の付与が不要と判定する
ことを特徴とするプレス機械。 - 電動モータでエキセンシャフトを回転駆動してスライドを昇降させるプレス機械であって、
前記スライドの位置を出力するスライド位置出力装置と、
前記スライド位置出力装置から出力された前記スライドの位置に基づいて前記電動モータの駆動を制御する制御装置と、
前記スライドに作用する荷重を検出する荷重検出器と、
前記スライドが下死点でスティックする際のスティック荷重を記憶した記憶装置とを備え、
前記制御装置は、
前記スライドが下死点近傍に到達したか否かを判定する下死点到達判定部と、
前記スライドが停止したか否かを判定するスライド停止判定部と、
前記スライドが下死点近傍で停止したときに前記電動モータの正転および逆転を繰り返す振動成分を前記電動モータの制御指令に付与する振動成分付与部と、
前記検出された荷重が前記スティック荷重以上であるときに前記振動成分の付与が必要であると判定する振動要否判定部とを備えている
ことを特徴とするプレス機械。 - 電動モータでエキセンシャフトを回転駆動してスライドを昇降させるプレス機械の制御方法であって、
前記スライドの位置に基づいて前記スライドが下死点近傍に到達したか否かを判定するステップと、
前記スライドの位置に基づいて前記スライドが停止したか否かを判定するステップと、
下死点近傍での前記スライドの停止時間が、前記スライドに作用する荷重が最大荷重時の許容停止時間以上であるときに、前記電動モータの正転および逆転を繰り返す振動成分を前記電動モータの制御指令に付与するステップとを実行する
ことを特徴とするプレス機械の制御方法。 - 電動モータでエキセンシャフトを回転駆動してスライドを昇降させるプレス機械の制御方法であって、
前記スライドの位置に基づいて前記スライドが下死点近傍に到達したか否かを判定するステップと、
前記スライドの位置に基づいて前記スライドが停止したか否かを判定するステップと、
下死点近傍での前記スライドの停止時間が、前記スライドに作用する荷重に対応する許容停止時間以上であるときに、前記電動モータの正転および逆転を繰り返す振動成分を前記電動モータの制御指令に付与するステップとを実行する
ことを特徴とするプレス機械の制御方法。 - 電動モータでエキセンシャフトを回転駆動してスライドを昇降させるプレス機械の制御方法であって、
前記スライドの位置に基づいて前記スライドが下死点近傍に到達したか否かを判定するステップと、
前記スライドの位置に基づいて前記スライドが停止したか否かを判定するステップと、
前記スライドのスライドモーションに基づく下死点近傍での前記スライドの予定停止時間が、前記スライドに作用する荷重に対応する許容停止時間以上であるときに、前記電動モータの正転および逆転を繰り返す振動成分を前記電動モータの制御指令に付与するステップとを実行する
ことを特徴とするプレス機械の制御方法。 - 請求項8に記載のプレス機械の制御方法において、
下死点近傍での前記スライドの予定停止時間が、前記スライドに作用する荷重が最大荷重時の許容停止時間未満であるときに前記振動成分の付与が不要と判定するステップを実行する
ことを特徴とするプレス機械の制御方法。 - 電動モータでエキセンシャフトを回転駆動してスライドを昇降させるプレス機械の制御方法であって、
前記スライドの位置に基づいて前記スライドが下死点近傍に到達したか否かを判定するステップと、
前記スライドの位置に基づいて前記スライドが停止したか否かを判定するステップと、
前記スライドに作用する荷重が、前記スライドが下死点でスティックする際のスティック荷重以上であるときに、前記電動モータの正転および逆転を繰り返す振動成分を前記電動モータの制御指令に付与するステップとを実行する
ことを特徴とするプレス機械の制御方法。
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