JP5200394B2 - 発光装置および発光装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光装置およびその製造方法に係り、特に発光素子からの発熱を有効に放熱する構造を有する発光装置およびその製造方法に関する。
各種光源として使用される発光装置には、発光ダイオード(以下、「LED」という)や半導体レーザなどの発光素子が利用されている。このような発光素子は、通電により発光する際に熱を生じる。特に、高精細な表示装置などを得ようとする場合に、これらの発光素子を搭載した発光装置を基板等に高密度に実装すると、発光素子から発生する熱により装置自体の特性が悪化したり、周囲の部材や部品に熱的悪影響を与えたりすることになる。
そこで、従来の発光装置として以下の構成を有するものがある。例えば、特許文献1(図20)には、基体140に形成された貫通孔121にヒートシンク130aが挿入された発光装置が開示されている。ヒートシンク130aの上面には、熱伝導性の高いサブマウント130bが、貫通孔121の内部に収納されるように設けられている。サブマウント130bの上面には、発光ダイオード110が載置されている。これにより、発光ダイオード110から発生した熱をサブマウント130b、ヒートシンク130a、及び、発光装置が配置される配線基板(図示しない)を介して外部に逃がすことができ、発光装置が熱などにより劣化することを防止することができる。
特開2007−12764号公報
しかしながら、基体140に形成された貫通孔121に放熱体130(ヒートシンク130aおよびサブマウント130b)を挿入して接合した場合、放熱体130の側面と、貫通孔121が形成された基体140の内側面(貫通孔121の内壁)とが、離間した状態となる。つまり、放熱体130は、基体140との間に溝部121が形成されており、基体140とは接合部141のみで接していることになる。
このため、例えば半田等を用いて回路基板等に実装する際および実装した後の使用時において、溶融半田または発光素子110から生じる熱応力や、外部からの物理的な応力などが接合部141にのみ集中してしまい、発光装置の強度が非常に弱くなってしまう問題が発生する。
さらに、放熱体130は、基体140に形成された貫通孔121に挿入され接合されるため、貫通孔121の径を放熱体130の径よりも大きくする必要がある。このため、放熱体130が所定の位置よりもズレたり、回転した状態で接合されてしまうといった問題も発生する。
これらの問題を解決するために、単に放熱体130の側面と基体140の内側面とが離間しないように、貫通孔121の径を小さくする(放熱体130と貫通孔121との径を合わせる)ことが考えられる。しかし、製造工程上、基体140の内側面にバリが発生したり、基体140ごとに形成された貫通孔121の径に個体差が発生したりするため、放熱体130を貫通孔121に挿入できないといった問題が発生する。
また、挿入できたとしても、放熱体130と基体140とを接合する際、または、発光装置を使用する際の熱に起因する放熱体130の変形などにより、放熱体130が勘合された基体140の内側面に応力が集中する。これにより、基体140にクラックが起こるといった問題も発生する。
そこで、本発明は、これらの問題を解決した信頼性の高い発光装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、前記課題は次の手段により解決される。
本発明の発光装置は、放熱体の周囲に基体が設けられたパッケージと、前記放熱体の上面に載置された発光素子と、を有する発光装置であって、前記パッケージは、前記基体と前記放熱体との間に溝部を有しており、前記放熱体は、その側面に段差を有するように突出した突出面を有し、前記溝部内における前記基体の側面には、前記放熱体の突出面に向かって突出された少なくとも一つの突部を有し、前記放熱体の上面は、前記基体の上面より突出していると共に、透光性部材が、前記発光素子、前記放熱体の上面、および前記基体の上面を被覆していることを特徴とする。これにより、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
上記発光装置において、前記突部は、前記放熱体を挟むように対向して設けることもできる。これにより、熱応力および外部応力を安定して突部へ逃がすことができる。
前記突部は、第1の一対の突部および第2の一対の突部を有し、前記放熱体の上面側からみて、前記第1の一対の突部は、前記第2の一対の突部と異なる位置に設けることもできる。これにより、一つの突部にかかる熱応力および外部応力を減らすことができるため、各応力をさらに安定して突部へ逃がすことができる。
また、前記溝部内における前記基体の側面には、第1の突部および第2の突部からなる前記一対の突部に加え、第3の突部を有しており、前記第1の突部および前記第2の突部は、前記第3の突部が突出された方向に伸びる線に対して対向する位置に設けることもできる。これにより、一つの突部にかかる熱応力および外部応力を減らすと共に、放熱体に対して突部のバランスを容易にとることができるため、各応力をさらに安定して突部へ逃がすことができる
記放熱体は、その上面の形状が円形状または四角形状であることが好ましい。これにより、放熱体に対して突部の効果が有効に作用し、さらに信頼性の高い発光装置を得ることができる。
本発明の発光装置の製造方法は、放熱体の周囲に基体が設けられたパッケージと、前記放熱体の上面に載置された発光素子と、を有する発光装置であって、前記パッケージは、前記基体と前記放熱体との間に溝部を有しており、前記溝部内における前記基体の側面には、前記放熱体に向かって突出された少なくとも一つの突部を有していることを特徴とする発光装置の製造方法であって、内側面に少なくとも一つの突部を有するように貫通孔が形成された前記基体に、前記放熱体を、放熱体の上面が、前記基体の上面より突出するように、挿入して接合する第1の工程と、前記放熱体の上面に前記発光素子を接着する第2の工程と、第2の工程のあとに、透光性部材を、前記発光素子、前記放熱体の上面、および前記基体の上面を被覆するように形成する工程と、を有することを特徴とする発光装置の製造方法。これにより、所定の位置からズレたり、回転したりすることなく放熱体を貫通孔に挿入し固定することができるため、発光素子を載置する際の位置決めを容易にすることができる。
本発明によれば、信頼性の高い発光装置およびその製造方法を提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明は発光装置を以下に限定するものではない。
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る発光装置は、以下の構成を採る。図1乃至4は、第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略図である。図1は、第1の実施の形態に係る発光装置の概略斜視図を示す。図2は、第1の実施の形態に係る発光装置の概略平面図を示す。図3は、第1の実施の形態に係る発光装置の概略平面図(図2)におけるA−A線にて切断した際に得られる概略断面図を示す。図4は、第1の実施の形態に係る発光装置の概略底面図を示す。
第1の実施の形態に係る発光装置は、発光素子10と接着部材20と放熱体30と基体40と透光性部材50と導電性部材61、62とワイヤ70とを備えて構成されている。
本実施の形態において、パッケージは、放熱体30の周囲に基体40が設けられており、放熱体30と基体40とが接する部分41にて接着部材20により固着されている。パッケージである基体40と放熱体30との間には溝部21が形成されており、溝部(貫通孔)21内における基体40の側面(基体40の内側面)には、放熱体30に向かって突出された少なくとも一つの突部80を有している。発光素子10は、放熱体30の上面にダイボンド部材(図示しない)を介して固着されている。基体40は、その表面に導電性部材61、62が形成され、導電性部材61、62は発光素子10の電極と電気的に接続されている。本例では、発光素子10の電極と導電性部材61、62とはワイヤ70により接続されている。パッケージの上面には、発光素子10、ワイヤ70を少なくとも封止するように透光性部材50が設けられている。このとき、透光性部材50には、蛍光体(図示しない)を含有させることができ、少なくとも発光素子10の周辺に蛍光体が沈降するように配置される方が好ましい。
パッケージは、本例では、上面の形状が略四角形状である放熱体30と、略中央領域に放熱体貫通用の貫通孔(溝部)21が形成された基板40とを具備する。そして、放熱体30は、その上面が基体40の上面より突出するように貫通孔21に挿入され、貫通孔21の内壁(基体40の内側面)と接着部材20を用いて部分的に接合されている。
基体40は、その内側面に突部80を有しており、突部80が放熱体30を挟むように対向して設けられている。突部80は、本例では図2に示すように、それぞれが放熱体30の隣り合う2つの側面に添うように、放熱体30の角部に向かって対向して延びている。さらに、図3に示すように、突部80は、その上面が基体40の上面と略水平となるような位置に設けられている。
また、図8に示すように、放熱体30の上面の形状を円形状にすることもできる。このとき、突部80は、その先端部を放熱体30の側面形状にあわせて略円形状とするほうが、放熱体30を安定して補助することができるため好ましい。
また、基体40は、一対の対向する側面に上下方向に貫通する切り欠き部42を有し、表面には導電性部材61、62がパターン形成されており、基体40の下面側において導電性部材61、62の下面は放熱体30の下面と略水平である。
ただし、本願発明における「挟むように対向する」とは、必ずしも挟持のことではなく、位置関係を示すものである。また、本願発明における「対向」とは、完全に向かい合った状態を示しているのではなく、位置が多少ずれていても良いものとする。
以上の構成より、第1の実施の形態に係る発明は、半田等を用いて回路基板等に実装する際および実装した後の使用時において、溶融半田または発光素子10によって生じる熱応力や、外部からの物理的な応力などが接合部20のみに集中することを抑制することができる。つまり、熱応力や外部応力を突部80にも逃がすことができるため、接合部20にかかる負担を減らし、放熱体30と基体40とが分離するなどの問題を防止することができる。また、突部80は、放熱体30を挟むように対向して設けられることにより、さらに安定して各応力を突部80へ逃がす(放熱体30を安定して補助する)ことができる。
さらに、従来のように放熱体30の周囲を完全に基体40で覆うのではなく、放熱体30と基体40との間に溝部21を部分的に形成しているため、熱に起因する放熱体30の変形により基体40の内側面にかかる応力を溝部21へ逃がすことができ、基体40にクラックが発生することを防止することができる。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る発光装置の概略平面図を、図5乃至7に示す。また、第2の実施の形態に係る発光装置は、突部80の配置または放熱体30の形状以外は、第1の実施の形態と実質的に同様の構造を有している。なお、同じ構造については説明を省略する部分もある(以下の実施の形態および実施例でも同様とする)。
第2の実施の形態に係る発明は、発光素子10と接着部材20と放熱体30と基体40と透光性部材50と導電性部材61、62とワイヤ70とを備えて構成されている。
本実施の形態におけるパッケージは、放熱体30の周囲に基体40が設けられており、基体40と放熱体30との間に溝部21が形成されている。溝部21内における基体40の側面(基体40の内側面)には、放熱体30に向かって突出された第1の一対の突部および第2の一対の突部を有しており、放熱体30の上面側からみて、第1の一対の突部は、第2の一対の突部と異なる位置に設けられている。
これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、突部80を4つに増やすことにより、一つの突部にかかる熱応力および外部応力を減らし、各応力を安定して突部へ逃がすことができる。このため、各応力が一箇所に集中することをさらに抑制し、より信頼性の高い発光装置を提供することができる。
また、図9、図12に示すように、放熱体30の上面からみた形状を円形状や六角形状とすることもできる。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態に係る発光装置の概略平面図を、図10、図11に示す。また、第3の実施の形態に係る発光装置は、突部80の配置または放熱体30の形状以外は、第1の実施の形態と実質的に同様の構造を有している。
第3の実施の形態に係る発明は、発光素子10と接着部材20と放熱体30と基体40と透光性部材50と導電性部材61、62とワイヤ70とを備えて構成されている。
本実施の形態におけるパッケージは、放熱体30の周囲に基体40が設けられており、基体40と放熱体30との間に溝部21を有している。溝部21内における基体40の側面(基体40の内側面)には、第1の突部および第2の突部からなる一対の突部に加え、第3の突部を有している。第1の突部および第2の突部は、第3の突部が突出された方向に伸びる線5に対して対向する位置に設けられている。
これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、突部80は、3点で放熱体30を補助しているため、放熱体30に対して突部80のバランスを容易にとることができる。さらに、一つの突部80にかかる熱応力および外部応力も減らすことができるため、安定して各応力を突部へ逃がすことができる。
したがって、各応力が一箇所に集中することをさらに抑制し、より信頼性の高い発光装置を提供することができる。
以下、本形態の各構成について詳述する。
(発光素子10)
発光素子10は、基板上にGaAlN 、ZnS 、ZnSe、SiC 、GaP 、GaAlAs、AlN 、InN 、AlInGaP 、InGaN 、GaN 、AlInGaN 等の半導体を発光層(図示しない)として形成したものが用いられる。半導体の構造としては、MIS 接合、PIN 接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構造が挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としても良い。
発光装置を屋外などで使用する場合、高輝度な発光素子を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましい。また、赤色ではガリウム・アルミニウム・砒素系の半導体や、アルミニウム・インジウム・ガリウム・燐系の半導体を用いることが好ましいが、用途によって種々利用することもできる。窒化ガリウム系化合物半導体を使用した場合、半導体基板はサファイヤ、スピネル、SiC 、Si、ZnO やGaN 単結晶等の材料が用いられる。結晶性の良い窒化ガリウムを量産性良く形成させるためにはサファイヤ基板を用いることが好ましい。
発光素子10は、所望に応じて適宜複数個用いることができ、その色の組み合わせや配列状態によっては種々の形態の発光装置を実現することができる。例えば、ドットマトリクスや直線状など種々選択することができ、これにより、実装密度が極めて高く、熱引きに優れた発光装置が得られる。また、表示装置用のフルカラ―発光装置として利用するためには、発光波長が610nm から700nm である赤色系発光素子と、発光波長が495nm から565nm である緑色系発光素子と、発光波長が430nm から490nm である青色系発光素子とを組み合わせることが好ましい。
また、本実施形態の発光装置において、蛍光体(図示しない)を用いて白色系などの混色光を発光させるためには、蛍光体からの発光波長との補色関係や透光性樹脂の劣化等を考慮して、発光素子10の発光波長は400nm 以上530nm 以下が好ましく、420nm 以上490nm 以下がより好ましい。発光素子10と蛍光体との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450nm 以上475nm 以下がさらに好ましい。なお、比較的紫外線により劣化され難い部材との組み合わせにより、400nmより短い紫外線領域、あるいは可視光の短波長領域を主発光波長とするLEDを用いることもできる。
(ダイボンド部材 図示しない)
ダイボンド部材は、発光素子10と放熱体30とを固定させるための部材であり、これらを接着可能な部材であれば特に限定されない。特に、熱引きを考慮すると、発光素子10と放熱体30との固定は、Agぺ―スト、カ―ボンペ―スト、ITO ぺ―ストあるいは金属バンプ等を用いることが好ましい。特に、発熱量の多い発光装置の場合、融点が高いことから高温下にて組織的構造が変化することが少なく、力学特性の低下が少ないAu-Sn系の共晶半田を用いることが好ましく、さらに、発光素子10の下面と放熱体30の上面が部分的に接合されていることが好ましい。これにより、ダイボンド部材により発光素子10の下面から発光される光が全反射されることによる発光素子10内部の光閉じ込めを抑制することができる。この光閉じこめの抑制は、発光素子10の光取り出し効率を向上させることができるだけでなく、発光装置の温度上昇をも抑制することができる。
(透光性部材50)
透光性部材50は、発光素子10、放熱体30および基体40の上面を少なくとも被覆しており、外部環境からの外力や水分などから発光素子10を保護するものである。また、発光素子10からの光を効率よく外部に放出させるためのものである。
このような透光性部材50を構成する具体的材料としては、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコ―ン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性シリコ―ン樹脂、ポリアミドなどの耐候性に優れた透明樹脂やガラスなどが好適に用いられる。高密度に発光素子10を配置させた場合は、熱衝撃による各部材間の接合破壊を抑制するために、エポキシ樹脂、シリコ―ン樹脂やそれらを組み合わせたものなどを使用することがより好ましい。
また、透光性部材50中には、後述する蛍光体を含有させることができ、放熱体30の上面である発光素子10の周辺に少なくとも蛍光体を沈降させて配置させる方が好ましい。これにより、色ムラの少ない混色光を得ることができる。透光性部材50は、蛍光体を含有させるために、耐熱性および耐光性に優れ、紫外線を含む短波長の高エネルギー光に曝されても着色劣化し難いシリコ―ン樹脂や変性シリコ―ン樹脂であることが好ましく、これにより色ズレや色ムラの発生がさらに抑制される。
また、透光性部材50中には、視野角をさらに増やすために拡散剤(図示しない)を含有させることができる。拡散剤および蛍光体を同時に透光性部材50に含有させる場合は、拡散剤と蛍光体とが混合された状態で沈降している方が好ましい。具体的な拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等が好適に用いられる。また、所望外の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることができる。
(蛍光体 図示しない)
蛍光体は、発光素子10の光を変換させるものであり、発光素子10からの光をより長波長に変換させるものの方が効率がよい。発光素子10の励起光により、黄色、赤色、緑色、青色に発光スペクトルを有する蛍光体を使用することができるほか、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色などに発光スペクトルを有する蛍光体も使用することができる。これらの蛍光体を種々組み合わせて使用することにより、種々の発光色を有する発光装置を製造することができる。
発光素子10からの光がエネルギーの高い短波長の可視光の場合、蛍光体として、アルミニウム酸化物系蛍光体の―種であるY3l512:Ce、(Y0.8 Gd0.23 Al512:Ce、Y3 (Al0.8 Ga0.2512:Ce、(Y,Gd)3 (Al,Ga)512の組成式で表されるYAG蛍光体や、CA2 Si58 蛍光体が好適に用いられる。特に、YAG:Ce蛍光体は、その含有量によってLEDチップからの青色系の光を―部吸収して補色となる黄色系の光を発するので、白色系の混色光を発する高出力な発光装置を比較的簡単に形成することができる。例えば、青色に発光するGaN系化合物半導体を用いて、Y3 Al512:Ce若しくは(Y0.8 Gd0.23 Al512:Ceの蛍光体に照射し、波長変換を行う。発光素子10からの光と、蛍光体からの光との混合色により白色に発光する発光装置を提供することができる。
(ワイヤ70)
ワイヤ70は、発光素子10と導電性部材61、62とを電気的に接続するものである。ワイヤ70は、発光素子10の電極とのオ―ミック性、機械的接続性、電気伝導性及び熱伝導性が良いものが求められる。熱伝導率として10W・m−1・K−1程度以上が好ましく、より好ましくは100W・m−1・K−1程度以上である。
(基体40)
基体40は、平面(上面)が略正方形である薄型直方体であり、ほぼ中央に貫通孔21が厚さ方向に形成されている。貫通孔21の内壁である基体40の内側面には、少なくとも一つの突部80が形成されている。また、貫通孔21の平面形状は、略正方形で角部に丸みを帯びた形状をしており、貫通孔21の縦断面は略凸形状をしている。ただし、貫通孔21の平面形状は、円形状、楕円形状、多角形状でも用いることができ、特に、放熱体30の平面の形状と略同一の形状であることが好ましい。また、基体40の対向する―対の側面には、平面形状が略矩形で内側角部に丸みを帯びた切り欠き42が形成されている。
基体40に形成された貫通孔21には、貫通孔21を塞ぐように放熱体30が挿入されている。言いかえると、パッケージは、放熱体30と基体40との間に溝部21を有するように放熱体30の周囲に基体40が設けられている。放熱体30の上面には発光素子10が載置されている。ただし、基体40の内側面に設けられた突部80は、それぞれが放熱体30に対してお互いの応力を打ち消し合うような位置に設けられていることが好ましい。これにより、放熱体30にかかる熱応力や外部応力を突部80へ安定して逃がすことができ、接合部41のみに各応力が集中することを緩和することができる。また、基体40の上面には、貫通孔21を囲むように複数の導電性部材61、62が形成されている。導電性部材61、62は、基体40の切り欠き42および下面に連続的に形成されている。ここで、基体40、貫通孔21、突部80および切り欠き42の形状や個数は、目的に合わせて種々選択することができる。
基体40の材料としては、樹脂基板や、有機物に無機物が含有されてなるガラスエポキシ基板などのハイブリッド基板、セラミック基板などの無機物基板などを用いることができる。特に、高耐熱性、高耐候性が望まれる場合、ハイブリッド基板や無機物基板を用いることが好ましい。
セラミック基板の主材料は、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどが好ましい。これらの主材料に焼結助剤などが加え、焼結することでセラミック基板が得られる。例えば、原料粉末の90〜96重量%がアルミナであり、焼結助剤として、粘度、タルク、マグネ、シア,カルシア及びシリカ等が4〜10重量%添加され、1500℃から1700℃の温度範囲で焼結させたセラミックスや、原料粉末の40〜60重量%がアルミナで、焼結助剤として60〜40重量%の硼珪酸ガラス、コ―ジュライト、フォルステライト、ムライトなどが添加され、800℃〜1200℃での温度範囲で焼結させたセラミックス等が挙げられる。
このようなセラミック基板は、焼成前のグリーンシート段階で種々の形状をとることができる。まず、焼成前の母材であるグリーンシートに所望とする切り欠き42、内壁に突部80が形成された貫通孔21が得られるように加工を施す。場合によっては多層に張り合わせる。次に、スクリーン印刷などの方法により、タングステンやモリブデンなど高融点金属を樹脂バインダーに含有させたペースト状の材料を用いて、導電性部材61、62を所望とする場所にパターン形成する。このように加工された母材を焼結することにより、内壁に突部80が形成された貫通孔21、切り欠き42および導電性部材61、62、が形成された基体40とすることができる。
基体40に形成されている貫通孔21は、内壁が階段状である。これは、発光正面側から見て孔の大きさが異なる基体40を積層接合することで形成することができる。放熱体30は、貫通孔21の内壁に形成された突部80および接合部41により、位置決めされて接合される。ここで、積層接合される基体40のうち、上方の基体40の貫通孔21は上方に開口幅が大きくなるように形成し、下方の基体40の貫通孔21は下方に開口幅が大きくなるように形成することができる。これにより、放熱体30との位置決めや接合面となる接合部41を保持しつつ、基体40の上面および下面に形成される導電性部材61、62と放熱体30の側面との距離を大きくすることができる。このため、さらに小型な発光装置を歩留まり良く得ることができる。
―定の方向に開口幅が大きくなる貫通孔21は、同様の形状に―定の方向に体積幅が大きくなった形状の刃を有する切削具を使用して、切削加工により形成することができる。あるいは、通常の貫通孔21を形成する際に使用する切削具において、基体表面に対する当接角度を変化させることにより形成することが可能である。さらには、それぞれに貫通孔21が形成された複数の基体40を積層することにより、階段状の内壁面を形成する。その後、該階段状の内壁面に成型金型を押し当て平滑面とすることにより、ある―定の方向に内径が大きくなる貫通孔21を有する基体40を形成することができる。
突部80は、放熱体30の形状に応じて適宜配置および形状を変更することができる。例えば、図5乃至7、図13に示すように、放熱体30が略四角形であるものに対して突部80を配置したり、図8乃至10に示すように、放熱体30が円形状であるものに対して突部80を配置したり、図11、図12に示すように、放熱体30が六角形状であるものに対して突部80を配置したりすることができる。
突部80は、放熱体30の側面との隙間が0.03mm以上0.1mm以下となるように、溝部21内における基体40の側面(基体40の内側面)に設けることが好ましい。これにより、熱応力や外部応力が基体40の内側面または接合部41にのみ集中することを緩和することができる。
特に、0.03mm以上であることにより、製造工程上、基体40の内側面(貫通孔21の内壁)にできるバリや、各基体に個体差が発生しても放熱体30を貫通孔21に十分挿入できる。また、0.1mm以下であることにより、放熱体30が所定の位置よりもズレたり、回転したりするのを十分に抑制することができる。
また、突部80は、図14乃至19に示すように、基板40の厚さ方向における位置についても適宜変更することができる。
特に、図14、図15に示すように、発光装置の上面側に形成された溝部21内において、突部80が基体40の上面よりも低くなるように基体40の内側面に設けることができる。これにより、透光性部材50に含有させた蛍光体(図示しない)を沈降させる際、蛍光体が溝部21に入り込み、放熱体30の側面の一部が蛍光体から露出するように透光性部材50を成形することができる。つまり、発光素子10が載置される放熱体30の上面部分を点光源とすることができるため、色ムラの少ない発光装置にすることができる。
さらに、図16、図17に示すように、突部80は、発光装置の下面側に形成された溝部21内における基板40の内側面に設けることもできる。さらに、突部80は、放熱体30の側面が段差を有するように突出した突出面に向かって突出していることが好ましい。これにより、放熱体30にかかる熱応力(熱ストレスによる変形)や、外部応力(ズレや回転)をさらに緩和することができる。特に、外部応力に対しては、放熱体30の上面側からみて、放熱体30の径の大きい突出面に向かって突部80を設けることが好ましい。これにより、突部80への負担を減らすことができる。
また、突部80は、溝部21内において、発光装置を実装する面よりも0.2mm以上の高さに設けることが好ましい。これにより、半田などを用いて発光装置を実装基板に実装する際、発光装置の下面側の溝部21に半田フィレットを形成させることができる。これにより、実装基板との放熱性を高めることができると共に、電極間がショートすることを防止できる。
また、図19に示すように、発光装置の上面側および下面側にある溝部21に突部80をそれぞれ設けたり、図13、図18に示すように、一つの突部80を設けたりすることによっても本発明の効果を得ることができる。
切り欠き42は、基体40の上面から下面まで貫通し、平面形状が略矩形で内側角部に丸みを帯びた切り欠き42が2つずつ形成されている。各切り欠き42の内壁には、基体40の上面に形成された導電性部材61、62が延在形成されている。このように構成された発光装置は、切り欠き42の内壁にて外部と導通を取ることができ、発光装置の実装性を高めることができる。
また、本実施形態の発光装置は、基体40に他の部材を複数組み立て加工し、発光装置の集合体を形成した後で個々に分割することにより、複数の発光装置を低コストで得ることができる。また、高いコントラストが要求される発光装置を形成する場合は、基体40の母材自体にCr2 O3 、MnO2 、TiO2 、Fe2 O3 などを含有させることにより、暗色系の基体40とすることが好ましい。
また、図14、図16に示すように、発光素子10を囲うように反射部材90を基体40に設けることができる。これにより、光の取り出し効率が向上する。
(放熱体30)
放熱体30は、基体40に形成された貫通孔21に挿入され固定されており、上面には発光素子10が載置されている。放熱体30の上面は、基体40の上面より突出しており、0.05mm以上の高低差を有するほうが好ましく、さらに好ましくは、0.1mm以上である。基体40の下面側において、放熱体30の下面が基体40の下面に形成された導電性部材61、62の下面と略水平であるほうが好ましい。これにより、発光装置に蓄積された熱を発光装置の表面にて空気中に放熱するのではなく、発光装置を実装する配線板に効率よく熱を引き放つことにより、発光装置の温度上昇を抑制することが可能となる。放熱体30は、基体40に形成された貫通孔21の内壁と部分的に接合されている(基体40と放熱体30との間に溝部21が形成されている)ほうが好ましく、これにより各部材が熱ストレスにより―体性を損なうことを抑制することができる。放熱体30の形状は、載置される発光素子10の消費電力等に応じて十分な熱引き効果が得られる厚みおよび大きさを有していれば特に限定されない。また、放熱体30は、上面より下面の面積が大きいほうが好ましい。これにより、放熱体30の上面側で発光素子10から伝達された熱を効率よく下面へ伝導することができる。特に、放熱体30の形状を上面に対して垂直に切断した際の断面形状が略凸形状とした場合、貫通孔21の内壁の形状も略凸形状とし、放熱体30の第2の上面と貫通孔21内の平面部(接合部41)とで接合を行うことが好ましい。これにより、精度良く信頼性の高い発光装置を得ることができる。
また、放熱体30の上面の形状は特に限定はしないが、略四角形であるほうが好ましい。これにより、透光性部材50に含有された蛍光体を沈降させる際、発光素子10の周囲に蛍光体を均一に堆積することができるため、色ムラを抑制することができる。
ここで、放熱体30に用いられる材料は、熱伝導性に優れた金属を主原料とする金属材であれば特に限定されず、銅やアルミニウム、マグネシウムなどを好適に用いることができる。なお、放熱体30の上面には、ダイボンド部材との接触面積を増大させるための多数のアンカー(図示せず)を形成しておくことが望ましい。
(接着部材20)
放熱体30と基体40に形成された貫通孔21の内壁(基体40の内側面)との接合に用いられる接着部材20の材料は、固着可能であれば特に限定されないが、放熱体30の主成分が含有された接着部材20を用いると、固着強度を高めることができる。特にセラミック基板を用いる場合、耐熱性に優れているので、高強度の接着が可能な硬ロウ接合や共晶接合により放熱体30を固着することができる。例えば、銀と銅の合金を主原料とする銀ロウや、銅と亜鉛の合金が主材料である真鍮ロウ、アルミニウムが主原料であるアルミニウムロウ、ニッケルロウなどを用いることができる。特に、放熱体30と基体40の内側面との接合には、放熱体30の主成分が含有された接着部材20により部分的に接合することが好ましい。これにより、放熱体30と基体40との熱膨張係数差による残留応力を緩和することができる。
(導電性部材61、62)
基体40に形成された導電性部材61、62は、カソード電極61とアノ―ド電極62とされ、基体40の上面から下面まで連続的に形成されている。この導電性部材61、62の配線パターンは、発光素子の個数、種類,大きさなどにより、適宜変更することができる。導電性部材61、62の材料は、導電性を有していれば特に限定されず、高い熱伝導性を有していることが好ましい。このような材料として、タングステン、クロム、チタン,コバルト、モリブデンやこれらの合金などが挙げられる。また、導電性部材61、62の最表面は、搭載する発光素子10からの光に対して高い反射率を有する部材にて被覆されていることが好ましい。基体40の上面に形成された導電性部材61、62の大部分は、透光性部材50にて被覆されていることが好ましい。これにより、発光装置の劣化を抑制することができる。また、表面に露出している導電性部材61、62には、酸化防止膜が形成されていることが好ましい。
基体40の上面から溝部21へ連続的に形成されたカソード電極61とアノ―ド電極62は、基体40の下面まで延在形成されている。基体40の下面に形成されたカソード電極61とアノ―ド電極62は、基体40の側面に形成された溝部21から基体40の角部側へ面積が広くなるように形成されている。
これにより、本実施形態の発光装置を実装配線板(図示せず)の表面に半田実装した際、半田が放熱体30側へ流動してショ―トすることを防ぎ、信頼性高く実装することができる。また、本実施の形態の発光装置では、カソード電極61およびアノ―ド電極62がそれぞれ2つずつ設けられているが、配線板の回路部形状にあわせて、カソード電極61同士およびアノ―ド電極62電極同士を基体40の下両側にて連結させ、1つずつにすることも可能である。
発光素子10を載置する放熱体30の上面が基体40の上面から突出していることにより、発光素子10からの光を効率よく外部へ取り出すことができる。しかし、これらの発光素子10、放熱体30等を透光性部材50により封止すると、製造時や発光時に透光性部材50にかかる熱ストレスは、発光素子10に集中する傾向にあり、発光素子10と他部材との接合が破壊される恐れがある。したがって、放熱体30の上面と透光性部材50の外周面との成す角度は、90度以下であることが好ましい。これにより、熱ストレスが周囲より突出して配置された発光素子10に集中することを抑制することができる。また、このように形成された透光性部材50から外部への光の半値角は、90度より大きいことが好ましい。これにより、均―な光が広範囲で得られると共に、光の取り出し効率も高いので、発光装置の温度上昇を抑制することができる。
(その他)
本実施の形態の発光装置は、さらに発光素子10の保護素子としてツェナーダイオードを設けることもできる。この場合、発光素子10と同様に導電性部材61、62の表面にツェナーダイオードを載置したり、導電性部材61、62の表面に載置されたツェナーダイオードの上面に発光素子10を載置する構成にすることもできる。また、基体40の上面側に凹部を形成し、ツェナ―ダイオードを収納実装するスペ―スを設けることもできる。
<実施例1>
実施例1として、第1の実施の形態を用いて説明する。
実施例1は、発光素子10と接着部材20と放熱体30と基体40と透光性部材50と導電性部材61、62とワイヤ70と、蛍光体と、拡散剤とを備えて構成される。
なお、発光素子10として窒化ガリウム系化合物半導体、接着部材20として銀ロウ、放熱体30として銅塊、基体40としてセラミック基板、透光性部材50としてシリコーン樹脂、蛍光物質14としてYAG蛍光体、拡散剤としてシリカフィラーを用いる。
本実施例において、パッケージは、放熱体30の周囲に基体40が設けられ、放熱体30と基体40とが接する部分41にて接着部材20により接合される。このとき、放熱体30の上面は、基体40の上面よりも0.1mm以上突出するように設けられる。さらに、パッケージは、その上面側および下面側において、基体40と放熱体30との間に溝部21が形成される。パッケージの上面側に形成された溝部21内には、基体40の側面から突出して形成された突部80を有する。突部80は、放熱体30を挟むように対向して配置される。このとき、突部80は、放熱体30の側面との隙間を約0.3mmとする。
発光素子10は、放熱体30の上面にAgペーストを介して固着される。基体40は、その表面に導電性部材61、62が形成される。導電性部材61、62は、発光素子10の電極とワイヤ70により電気的に接続される。また、パッケージの上面には、発光素子10と、ワイヤ70とを少なくとも封止するように透光性部材50が設けられる。このとき、透光性部材50には、蛍光体および拡散剤(図示しない)が含有させており、少なくとも発光素子10の周辺に蛍光体および拡散剤が混合した状態で沈降して配置される。このとき、放熱体30は、その側面の一部に蛍光体および拡散剤から露出した部分を有する。
以上のようにして作製した発光装置は、高い信頼性を得ることができる。
以下、本実施例に係る発光装置の製造方法について詳述する。また、本実施例では、複数の発光装置を同時に製造する方法について述べるがこれに限定されず、発光装置単体を製造することもできる。
(1)
まず、基体40の母材に複数の貫通孔21を形成する。本実施例では、基体40としてセラミック基板を用いる。セラミック基板の母材として、縦6.0mm、横8.0mm、厚み400μmの主材がアルミナからなるグリーンシートを2枚用いる。第一のグリーンシートには、突部80が内壁に形成されるように、2.1mm角で角部に丸みを帯びた略正方形である略四角柱の第一の貫通孔を数百個打ち抜きく。
第二のグリーンシートには、平面形状が1.3mm角で角部に丸みを帯びた略正方形の略四角柱の第二貫通孔を前記第一の貫通孔と重なるように同じ個数形成する。
(2)
次に、前記母材の上面から下面まで連続した導電性部材61、62を形成する。本実施例では、第一のグリーンシートの下面側および第二のグリーンシートの上面側に、外部との導通を取るための配線をタングステンペーストを用いて印刷にてパターン形成する。また、第二のグリーンシートの下面において、成形体において中間平面(接合部)41となる部分には、放熱体30との接合強度を高めるために導電性部材を形成する。このように形成された第一のグリーンシート上に第二のグリーンシートを積層してなる積層体は、前記第一の貫通孔および第二の貫通孔が重なることにより、平面に対して垂直に切断した際の断面形状が略凸形状である貫通孔21を複数有している。また、本実施例では、各発光装置の一対の側面にそれぞれ2つの切り欠き42が得られるように、積層体において、平面形状が0.5mm×0.3mmの矩形で角部に丸みを帯びた略長方形である略四角柱の第三の貫通孔を形成する。
(3)
次に、前記複数の貫通孔21に、それぞれ下方から放熱体30の下面が突出するように挿入し、接合する。つまり、内側面に少なくとも一つの突部80を有するように貫通孔21が形成された基体40に、放熱体30を挿入して接合した状態となる(第1の工程)。このとき、貫通孔21の内壁(基体40の内側面)に設けられた突部80により、貫通孔21に挿入された放熱体30は、所定の位置からズレたり回転したりすることなく接合することができる。これにより、特に複数の発光装置を同時に製造する本実施例においては、各パッケージの個体差を容易に減らすことができため、後述する発光素子を載置する際の位置決めを容易にすることができる。
本実施例では、放熱体30として、貫通孔21の形状と類似でかつ一回り小さいサイズである銅塊を用いる。また、銅塊の中間平面(接合部)41と接触する貫通孔21の内壁には、上記第二の工程の際に予めタングステン膜が形成されていることが好ましく、これにより基体40と放熱体30との接合強度を高めることができる。また、銅塊の中間平面には、予めは、銀ロウが塗布されており、接合した後、タングステン膜、銅塊、および銀ロウの表面に同時に銀メッキを施す。これにより、各部材の放熱体30の腐食を抑制することができる。このように加工されたグリーンシートを、所定の温度で焼成し、基体40とする。所定の温度とは、800度以上で数時間かけて焼成し、一段階で焼成するのではなく他段階で順次昇温しながら焼成することが好ましく、これにより基体40の収縮を抑制することができる。
(4)
次に、前記放熱体30の上面に発光素子10を載置して(第2の工程)、発光素子10と導電性部材61、62とを電気的に接続する。
発光素子10は、青色系に発光する窒化物系半導体からなり、上面に正および負の電極をそれぞれ2対有し平面形状が600μm角の略正方形である直方体ダイスを用い、下面には予めAu−Znからなる共晶材料が部分的に塗布されている。このように処理された発光素子10を金属塊30の銀メッキ上に共晶接合した後、発光素子10の各電極と基体40の上面に形成された導電性部材60とをワイヤ70にて電気的に接合する。
(5)
次に、前記各放熱体30単位に、蛍光体および拡散剤を含有した透光性部材を形成する。本実施例では、透光性部材50の材料として硬性シリコーン樹脂を用い、圧縮成型にて上面が下面より面積の小さく角部に丸みを帯びた略四角柱型の透光性部材50を形成する。成型方法はこれに限定されず、ポッティングや型抜き等が上げられる。また、本実施例において、放熱体30の上面と透光性部材50の外周面との成す角度は約45度であり、発光装置から発光される光の半値角は約120度である。
ここで、透光性部材50は、母材の一面に形成することも可能であるが、後工程にて基板を個々に分割する際に透光性部材50も切断することとなる。このように切断されてなる発光装置は、側面からの水分浸透による透光性部材50の剥がれが生じたり、透光性部材50の側面部の透光性が低下したりするため、好ましくない。
(6)
最後に、前記(1)乃至(4)の過程にて加工された前記母材を個々の切断し、平面が
3mm角からなる実施例1に係る発光装置を得る。
本発明の発光装置は、発光素子を搭載することにより、ファクシミリ、コピー機、ハンドスキャナ等における画像読取装置に利用される照明装置のみならず、照明用光源、フラッシュ用光源、LEDディスプレイ、携帯電話機等のバックライト光源、信号機、照明式スイッチ、車載用ストップランプ、各種センサおよび各種インジケータ等の種々の照明装置に利用することができる。
第1の実施の形態に係る発光装置の概略斜視図である。 第1の実施の形態に係る発光装置の概略平面図である。 第1の実施の形態に係る発光装置の概略平面図(図2)におけるA−A線にて切断した際に得られる概略断面図である。 第1の実施の形態に係る発光装置の概略底面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略平面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略断面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略断面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略断面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略断面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略断面図である。 本発明に係る他の実施の形態の発光装置の概略断面図である。 従来の発光装置の概略断面図である。
符号の説明
10…発光素子、20…接着部材、21…溝部、30…放熱体、40…基体、41…接合部、50…透光性部材、61…導電性部材(カソード電極)、62…導電性部材(アノ―ド電極)、70…ワイヤ、80…突部、90…反射部材。

Claims (9)

  1. 放熱体の周囲に基体が設けられたパッケージと、前記放熱体の上面に載置された発光素子と、を有する発光装置であって、
    前記パッケージは、前記基体と前記放熱体との間に溝部を有しており、
    前記放熱体は、その側面に段差を有するように突出した突出面を有し、
    前記溝部内における前記基体の側面には、前記放熱体の突出面に向かって突出された少なくとも一つの突部を有し、
    前記放熱体の上面は、前記基体の上面より突出していると共に、
    透光性部材が、前記発光素子、前記放熱体の上面、および前記基体の上面を被覆していることを特徴とする発光装置。
  2. 前記突部は、前記放熱体を挟むように対向して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記突部は、第1の一対の突部および第2の一対の突部を有し、
    前記放熱体の上面側からみて、前記第1の一対の突部は、前記第2の一対の突部と異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
  4. 請求項2に記載の発光装置において、前記溝部内における前記基体の側面には、第1の突部および第2の突部からなる一対の突部に加え、第3の突部を有しており、
    前記第1の突部および前記第2の突部は、前記第3の突部が突出された方向に伸びる線に対して対向する位置に設けられていることを特徴とする発光装置。
  5. 前記透光性部材は、蛍光体を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の発光装置。
  6. 前記蛍光体は、前記放熱体の上面である発光素子の周辺に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
  7. 前記放熱体は、その上面の形状が円形状または四角形状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の発光装置。
  8. 放熱体の周囲に基体が設けられたパッケージと、前記放熱体の上面に載置された発光素子と、を有する発光装置であって、前記パッケージは、前記基体と前記放熱体との間に溝部を有しており、前記溝部内における前記基体の側面には、前記放熱体に向かって突出された少なくとも一つの突部を有していることを特徴とする発光装置の製造方法であって、 内側面に少なくとも一つの突部を有するように貫通孔が形成された前記基体に、前記放熱体を、放熱体の上面が、前記基体の上面より突出するように、挿入して接合する第1の工程と、
    前記放熱体の上面に前記発光素子を接着する第2の工程と、第2の工程のあとに、透光性部材を、前記発光素子、前記放熱体の上面、および前記基体の上面を被覆するように形成する工程と、を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
  9. 前記透光性部材は、蛍光体を含有させて形成することを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
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