[0006] パターンは固定されているため、例えば、そのデバイスの製作で使用する処理ステップによって引き起こされるデバイス特性の許容できない誤差を補正する機会はほとんど又は全くない。例えば、OLED(有機発光ダイオード)TFT(薄膜トランジスタ)ディスプレイでのピクセル性能の均一性は重要である。ディスプレイのある領域でのTFTの電気的特性の小さい変動ですら、むら効果と呼ばれることもあるディスプレイのその領域からの不均一な発光を引き起こすことがある。むら効果の結果、ディスプレイの画質は極端に劣化する。
[0007] 上記のOLED TFTディスプレイの例は、多数のおそらくは同一のデバイスを備える多数の複合電子デバイスの一例である。これらの複合デバイスが良好に又は少しでも動作するためには、複合デバイスを構成する各々のおそらくは同一のデバイスの性能(例えば、電気的、光学的など)間の差をできるだけ小さくすべきであるということが多くの場合当てはまる。
[0008] 一例では、整流ブリッジ内で使用される1つ又は複数のダイオードは、ブリッジの各ダイオードの電気的特性が互いにほんのわずか違っているだけで動作しなくなることがある。別の例では、おそらくは同一のダイオードを用いて構成された平衡変調器は、ダイオードの電気的特性が実際にほんのわずか違っていても性能は低下する。性能の低下とは、例えば、非線形高調波の生成、帯域幅の劣化、小さい転換係数などである。さらに、別の例では、おそらくは同一のダイオードのアレイを用いて構成されたアンテナは、ダイオードが実際に異なる電気的特性を有する場合に、放射ビームパターンの劣化を引き起こす(又は許容できる形でビームを受信/検出できない)。
[0009] 従って、例えば、上記の問題及び/又は本明細書に記載していない問題の少なくとも1つを解決するリソグラフィ装置及び方法を提供することが望ましい。例えば、リソグラフィを用いて製作されるデバイスの性能、効率及び/又は機能を改善するためのリソグラフィ装置及び方法を提供することが望ましい。
[0010] ある実施形態によれば、少なくともデバイスのコンポーネントの望ましい形状又はサイズを示す情報を用いてデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するステップを含むリソグラフィ方法であって、望ましい形状又はサイズが、デバイスの構成部分が作成される材料の層の測定された特性に関連し、実施工程の少なくとも一部が、デバイスの構成部分を作成する時にデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップを含むリソグラフィ方法が提供される。
[0011] デバイスの構成部分を作成する時にデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップの前に、この方法は、少なくとも材料の層の測定された特性を示す情報を用いて、材料の層を用いて作成するデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを決定するステップをさらに含むことができる。
[0012] デバイスの構成部分を作成する時にデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップの前、及び/又は、少なくとも材料の層の測定された特性を示す情報を用いて、材料の層を用いて作成するデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを決定するステップの前に、この方法は、材料の層の特性を測定するステップをさらに含むことができる。
[0013] デバイスの構成部分を作成する時にデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズ実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップの後に、この方法は、決定された構成を実施するために複数の個別に制御可能な素子の構成を制御するステップをさらに含むことができる。
[0014] 上記方法は、決定された構成内に複数の個別に制御可能な素子を用いてデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するステップをさらに含むことができる。
[0015] 上記方法は、少なくとも部分的に、望ましい形状又はサイズのデバイスの構成部分を作成するために材料の層又はその材料の層の上に提供された放射感応性材料の層にパターン付放射ビームを投影するステップをさらに含むことができる。
[0016] 複数の個別に制御可能な素子の構成を制御するステップは、複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の位置を制御するステップ、及び/又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の向きを制御するステップ、及び/又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の形状を制御するステップ、及び/又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子のどれが放射を放出するかを制御するステップを含むことができる。
[0017] デバイスの構成部分の望ましい形状とサイズは、望ましい形状とサイズによってデバイスの構成部分及び/又はデバイス全体の特性又は動作にある効果をもたらすという点で「望ましい」と言える。その効果とは、デバイスの構成部分及び/又はデバイス全体の性能の向上、及び/又はデバイスの構成部分及び/又はデバイス全体の効率の向上、及び/又はデバイスの構成部分及び/又はデバイス全体の機能性の向上である。
[0018] ある実施形態によれば、パターンを放射ビーム内に形成するように構成された複数の個別に制御可能な素子と、パターン付放射ビームを基板上に投影するように構成された投影システムと、少なくともデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを示す情報を用いてデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するように構成された制御装置であって、望ましい形状又はサイズがデバイスの構成部分が作成される材料の層の測定された特性に関連し、実施工程の少なくとも一部が、デバイスの構成部分を作成する時にデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップを含む制御装置とを備えるリソグラフィ装置が提供される。
[0019] ある実施形態によれば、少なくとも第1のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を示す情報を用いてその後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの変更を実施するステップであって、実施工程の少なくとも一部が、その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要なリソグラフィ装置の複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップを含むリソグラフィ方法が提供される。
[0020] その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要なリソグラフィ装置の複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップの前に、この方法は、少なくとも第1のデバイスの特性を示す情報を用いて、その後作成される第2のデバイス内で実施される第1のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を決定するステップをさらに含むことができる。
[0021] その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要なリソグラフィ装置の複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップの前に、及び/又は少なくとも第1のデバイスの特性を示す情報を用いて、その後作成される第2のデバイス内で実施される第1のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を決定するステップの前に、この方法は、第1のデバイスの特性を測定するステップをさらに含むことができる。
[0022] その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要なリソグラフィ装置の複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップの後に、この方法は、複数の個別に制御可能な素子の構成を制御して決定された構成を実施するステップをさらに含むことができる。この方法は、決定された構成内の複数の個別に制御可能な素子を用いて、その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するステップをさらに含むことができる。この方法は、少なくとも部分的に第2のデバイスの構成部分を作成するために、基板上、又は基板上に提供された材料にパターン付放射ビームを投影するステップをさらに含むことができる。
[0023] 複数の個別に制御可能な素子の構成を制御するステップは、複数の個別に制御可能な素子の構成を第1のデバイスを作成するためのパターンを放射ビーム内に形成するための第1の構成から決定された構成である第2の構成へ変更するステップを含むことができる。
[0024] 複数の個別に制御可能な素子の構成を制御するステップは、複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の位置を制御するステップ、及び/又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の向きを制御するステップ、及び/又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の形状を制御するステップ、及び/又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子のどれが放射を放出するかを制御するステップ、及び/又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の光学特性を制御するステップ(例えば、素子が、変調器の光学特性を水晶の光学特性の変更を引き起こす音波によって変更することができる音響光学変調器である場合)。素子は、ミラー、レンズ、リフレクタ、変調器、回折素子、格子、放射放出素子又は放射伝達素子などである。
[0025] 複数の個別に制御可能な素子は、複数のLED又はレーザダイオードであってもよい。各々の個別のLED又はレーザダイオードの強度は、スイッチオン/オフが可能であり、又は減衰させることもできる。別の放射源(アークランプ又はレーザなどの)は、複数の個別に制御可能な素子が、LED、レーザダイオード又はその他の放射放出素子を備える場合には不要な場合がある。
[0026] その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更は、望ましい変更によってその後作成される第2のデバイスの構成部分及び/又は第2のデバイス全体の特性又は動作にある効果(例えば所望する効果)をもたらすという点で望ましいと言える。ある実施形態では、その効果とは、作成される第2のデバイスの構成部分及び/又は第2のデバイス全体の性能の向上、及び/又は作成される第2のデバイスの構成部分及び/又は第2のデバイス全体の効率の向上、及び/又は作成されるデバイスの構成部分及び/又は第2のデバイス全体の機能性の向上である。
[0027] 第1のデバイス及びその後作成される第2のデバイスは同一の一般的なデバイスの別のバージョン(例えば、デバイスの設計又は開発の繰り返し)であってもよい。
[0028] ある実施形態によれば、パターンを放射ビーム内に形成するように構成された複数の個別に制御可能な素子と、パターン付放射ビームを基板上に投影するように構成された投影システムと、少なくとも第1のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を示す情報を用いてその後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの変更を実施するように構成された制御装置であって、実施工程の少なくとも一部が、その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップを含む制御装置とを備えるリソグラフィ装置が提供される。
[0029] ある実施形態によれば、上記の任意の方法を用いて、又は上記の任意の装置を用いて作成されたデバイスの少なくとも一部が提供される。
[0039] 図1は、本発明のある実施形態を実施するためのリソグラフィ装置の概略図を示す。この装置は、
[0040] − 放射ビームB(例えばUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0041] − 放射ビームBを変調するように構成されたパターニングデバイスPD(例えば、複数の個別に制御可能な素子)であって、一般に、複数の個別に制御可能な素子の位置は品目PSに対して固定されているが、一定のパラメータに従って複数の個別に制御可能な素子を正確に位置決めするように構成されたポジショナに接続することができるパターニングデバイスPDと、
[0042] − 例えば、パターニングデバイスPDの構成を決定し、及び/又はパターニングデバイスPDを制御してその構成を実施するように構成された制御装置CAと、
[0043] − 基板(例えばレジストコート基板)Wを支持するように構成され、一定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成されたポジショナPWに接続された基板テーブルWTと、
[0044] − 基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)に複数の個別に制御可能な素子によって変調された放射ビームを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、
を備える。
[0045] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0046] 本明細書で使用する「パターニングデバイス」という用語は、例えば、基板のターゲット部分にパターンを形成するために、放射ビームの断面を変調するために使用することができる任意のデバイスを指すものと広く解釈すべきである。放射ビームに付与されたパターンは、基板のターゲット部分の望ましいパターンに正確に対応しないこともあることに留意されたい。例えば、パターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合がこれにあたる。同様に、基板上で最終的に生成されるパターンは、その瞬間に複数の個別に制御可能な素子上に形成されるパターンに対応しないこともある。複数の個別に制御可能な素子内のパターン及び/又は基板の相対位置が変化する所与の期間又は所与の露光回数の間に基板の各部分に形成される最終的なパターンが堆積される構成などがこの場合にあたる。一般に、基板のターゲット部分上に形成されるパターンは、集積回路又はフラットパネルディスプレイなどのターゲット部分に作成されるデバイスの特定の機能層(例えば、フラットパネルディスプレイ内のカラーフィルタ層又はフラットパネルディスプレイ内の薄膜トランジスタ層)に対応する。複数の個別に制御可能な素子である、又はそれらの素子を備えるパターニングデバイスの例としては、例えば、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、発光ダイオードアレイ、格子光弁、及び液晶ディスプレイ(LCD)アレイが挙げられる。放射ビームの一部の強度を各々変調できる複数のプログラマブル素子を備えるパターニングデバイス(例えば、レチクル以外の上述のすべてのデバイス)などの電子手段(例えば、コンピュータ)によりパターンのプログラミングが可能なパターニングデバイスを、本明細書では集合的に「コントラストデバイス」と呼ぶ。放射ビームの一部の位相を放射ビームの隣接する部分に対して変調することで放射ビームにパターンを付与する複数のプログラマブル素子を有する電子的プログラマブルパターニングデバイスを使用してもよいことを理解されたい。ある実施形態では、パターニングデバイスは、少なくとも10のプログラマブル素子、例えば、少なくとも100の、少なくとも1,000の、少なくとも10,000の、少なくとも100,000の、少なくとも1,000,000の、又は少なくとも10,000,000のプログラマブル素子を備える。これらのデバイスのいくつかの実施形態について以下により詳細に説明する。
[0047] −プログラマブルミラーアレイ。これは、例えば、粘弾性の制御層及び反射面を有するマトリクスアドレス指定可能な表面を備えることができる。このような装置の基本原理は、(例えば)反射面のアドレス指定された領域は入射放射を回折放射として反射する一方、アドレス指定されていない領域は入射放射を非回折放射として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いて、反射ビームから非回折放射を除去して基板に到達する回折放射だけを残すことができる。こうして、ビームはマトリクスアドレス指定可能な表面のアドレス指定パターンに従ってパターン付ビームになる。別の方法としては、フィルタは、回折放射を除去して基板に到達する非回折放射だけを残すこともできることを理解することができるだろう。複数の回折光学マイクロ電気機械システム(MEMS)デバイスも相応の方法で使用することができる。回折光学MEMSデバイスは、互いに対して変形して入射放射を回折放射として反射する格子を形成することができる複数の反射リボンから構成される。プログラマブルミラーアレイの別の代替実施形態は、適切な局部電場を印加するか、又は圧電アクチュエータを使用することで各々を軸周りに個別に傾けることができる小さいミラーのマトリクス構成を使用している。なお、ミラーはマトリクスアドレス指定可能であるため、アドレス指定されたミラーはアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に入射放射ビームを反射する。こうして、反射ビームは、マトリクスアドレス指定可能なミラーのアドレス指定パターンに従ってパターン付ビームになる。必要なマトリクスアドレス指定は適切な電子手段を用いて実行することができる。本明細書に記載するミラーアレイについての詳細な情報は、例えば、米国特許US5,296,891号及びUS5,523,193号並びにPCT特許出願WO98/38597号及びWO98/33096号から収集することができる。
[0048] −プログラマブルLCDミラーアレイ。このような構造の例は、米国特許US5,229,872号に記載されている。
[0049] リソグラフィ装置は、1つ又は複数のパターニングデバイスを備えることができる。例えば、リソグラフィ装置は、各々が互いに独立して制御される個別に制御可能な素子の複数のアレイなどの複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数を有することができる。このような構成では、複数の個別に制御可能な素子の一部又は全部は、共通の照明システム(又は照明システムの一部)、複数の個別に制御可能な素子の共通の支持構造及び/又は共通の投影システム(又は投影システムの一部)のうちの少なくとも1つを有することができる。
[0050] 図1に示す実施形態のようなある実施形態では、基板Wは実質的に円形の形状を有し、オプションとしてその周囲の一部に沿って切欠き及び/又は平坦な縁部を備える。ある実施形態では、基板は多角形、例えば矩形の形状を有する。基板が実質的に円形の形状を有する実施形態は、基板の直径が少なくとも25mm、例えば、少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、又は少なくとも300mmである実施形態を含む。ある実施形態では、基板は最大で500mm、最大で400mm、最大で350mm、最大で300mm、最大で250mm、最大で200mm、最大で150mm、最大で100mm、又は最大で75mmの直径を有する。基板が多角形、例えば矩形である実施形態は、基板の少なくとも1辺、例えば、少なくとも2辺又は少なくとも3辺が、少なくとも5cm、例えば、少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、又は少なくとも250cmの長さを有する。ある実施形態では、基板の少なくとも1辺が最大で1000cm、例えば、最大で750cm、最大で500cm、最大で350cm、最大で250cm、最大で150cm、又は最大で75cmの長さを有する。ある実施形態では、基板は長さが約250〜350cm、幅が約250〜300cmの矩形の基板である。基板の厚さは様々であり、ある程度までは、例えば、基板の材料及び/又は基板の寸法に依存する。ある実施形態では、厚さは少なくとも50μm、例えば、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、又は少なくとも600μmである。一実施形態では、基板の厚さは最大で5000μm、例えば、最大で3500μm、最大で2500μm、最大で1750μm、最大で1250μm、最大で1000μm、最大で800μm、最大で600μm、最大で500μm、最大で400μm、又は最大で300μmである。本明細書に記載する基板は、露光前又は後に、例えば、トラック(通常、レジスト層を基板に塗布して露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツール内で処理することができる。
[0051] ある実施形態では、基板上にレジスト層が提供される。ある実施形態では、基板Wは、ウェーハ、例えば、半導体ウェーハである。ある実施形態では、ウェーハ材料は、Si、SiGe、SiGeC、SiC、Ge、GaAs、InP、及びInAsからなるグループから選択される。一実施形態では、ウェーハはIII−V族化合物半導体ウェーハである。ある実施形態では、ウェーハはシリコンウェーハである。ある実施形態では、基板はセラミック基板である。ある実施形態では、基板はガラス基板である。ガラス基板は、例えば、フラットパネルディスプレイ及び液晶ディスプレイパネルの製造に有用である。ある実施形態では、基板はプラスチック基板である。ある実施形態では、基板は透明(人間の裸眼から見て)である。ある実施形態では、基板は着色されている。ある実施形態では、基板は無色である。
[0052] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なされる。
[0053] 投影システムは、基板上にパターンが整合して形成されるように、複数の個別に制御可能な素子上にパターンを結像できる。
[0054] 本明細書に示すように、装置は反射型(例えば、複数の個別に制御可能な反射型素子を使用する)である。別の方法としては、装置は、透過型(例えば、複数の個別に制御可能な透過型素子を使用する)であってもよい。
[0055] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0056] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する「液浸液」で覆い得るタイプでもよい。液浸液は、例えばパターニングデバイスと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
[0057] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受光する。ある実施形態では、放射源は少なくとも5nm、例えば、少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、又は少なくとも360nmの波長を有する放射を提供する。ある実施形態では、放射源SOによって提供される放射は、最大で450nm、例えば、最大で425nm、最大で375nm、最大で360nm、最大で325nm、最大で275nm、最大で250nm、最大で225nm、最大で200nm、又は最大で175nmの波長を有する。ある実施形態では、放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、及び/又は126nmの波長を有する。ある実施形態では、放射は、約365nm又は約355nmの波長を含む。ある実施形態では、放射は、例えば、365、405及び436nmを含む広帯域波長を含む。355nmのレーザ源を使用してもよい。放射源及びリソグラフィ装置は、別のエンティティであってもよい。これは、例えば放射源がエキシマレーザの場合である。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとは考えられず、放射ビームは、例えば、適した誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えるビームデリバリシステムBDにより放射源SOからイルミネータILへ伝達される。別の場合、例えば放射源が水銀ランプの場合、放射源はリソグラフィ装置の一体化部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ぶことができる。パターニングデバイスが、放射源そのもの、例えば、複数のレーザダイオード(例えば、アレイ)又は複数の発光ダイオード(例えば、アレイ)の場合、装置は照明システム又は少なくとも簡易照明システムなしで設計することができる(例えば、放射源SOの必要性をなくしてもよい)。
[0058] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタADを備えることができる。一般に、少なくともイルミネータの瞳面内の強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれσ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータIN及び集光器COなどの他の様々なコンポーネントを備えることができる。イルミネータは、その断面に望ましい均一性及び強度分布を有するように放射ビームを調節することができる。イルミネータIL、又はそれに関連する追加のコンポーネントは、また、例えば各々が複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の個別に制御可能な素子に関連付けることができる複数のサブビームに放射ビームを分割するように構成することができる。例えば、2次元回折格子を用いて放射ビームをサブビームに分割することができる。本明細書で、「放射のビーム」及び「放射ビーム」という用語は、ビームが複数のこのような放射のサブビームから構成されている状況を含むが、これに限定されない。
[0059] 放射ビームBは、パターニングデバイスPD(例えば、複数の個別に制御可能な素子)に入射し、パターニングデバイスによって変調される。パターニングデバイスPDによって反射された放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる。ポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、容量センサなど)により、基板テーブルWTは正確に移動することができ、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に配置することができる。使用時には、複数の個別に制御可能な素子の位置決め手段を用いて、例えばスキャン中にビームBの経路に対してパターニングデバイスPDの位置を正確に補正することができる。ある実施形態では、基板テーブルWTの移動は、図1に明示していないロングストロークモジュール(粗位置決め)及びショートストロークモジュール(微細位置決め)により実現する。ある実施形態では、装置には少なくとも基板テーブルWTを動かすショートストロークモジュールは存在しない。また、類似のシステムを用いて、複数の個別に制御可能な素子を配置することができる。ビームBを代替的に/追加的に移動することでき、その間、オブジェクトテーブル及び/又は複数の個別に制御可能な素子は固定位置を有して相対移動を提供することができることを理解することができるだろう。このような構成は、装置のサイズを制限する役に立つ。例えばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能な別の代替実施形態として、基板テーブルWTと投影システムPSの位置を固定し、基板Wを基板テーブルWTに対して移動するように配置することができる。例えば、基板テーブルWTは実質的に一定の速度で基板W全体をスキャンするシステムを備えることができる。
[0060] 図1に示すように、放射が最初にビームスプリッタによって反射されてからパターニングデバイスPDへ向けられるように構成されたビームスプリッタBSによって、放射ビームBはパターニングデバイスPDへ向けられる。ビームスプリッタを使用せずに、放射ビームBをパターニングデバイスへ向けることもできることを理解されたい。ある実施形態では、放射ビームは、0〜90°、例えば、5〜85°、15〜75°、25〜65°、又は35〜55°の角度でパターニングデバイスへ向けることができる(図1に示す実施形態では、角度は90°である)。パターニングデバイスPDは、放射ビームBを変調し、変調された放射ビームを反射してビームスプリッタBSへ戻し、ビームスプリッタBSは、変調されたビームを投影システムPSへ伝達する。しかし、放射ビームBをパターニングデバイスPDへ向けてから投影システムPSへ向ける代替構成も使用することができることを理解することができるだろう。特に、透過型パターニングデバイスを使用する場合、図1に示す構成は不要である。
[0061] 図示の装置は、例えば、以下の4つのモードのうちの1つ以上で使用することができる。
1.ステップモードでは、複数の個別に制御可能な素子と基板は基本的に静止しているが、放射ビームに付与されたパターン全体は1回で(すなわち、1回の静的露光で)ターゲット部分Cに投影される。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTはX及び/又はY方向に移動する。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが1回の静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズを制限する。
2.スキャンモードでは、複数の個別に制御可能な素子と基板は同時にスキャンされるが、放射ビームに付与されたパターンはターゲット部分Cに投影される(すなわち、1回の動的露光)。複数の個別に制御可能な素子に対する基板の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び画像反転特性によって決定することができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光でのターゲット部分の幅(非スキャン方向の)を制限するが、スキャン動作の長さがターゲット部分の高さ(スキャン方向の)を決定する。
3.パルスモードでは、複数の個別に制御可能な素子は基本的に静止しており、パターン全体はパルス放射を用いて基板Wのターゲット部分Cに投影される。基板テーブルWTは、投影ビームBが基板W全体にわたって線をスキャンするように基本的に一定の速度で移動する。複数の個別に制御可能な素子上のパターンは放射のパルスの間に必要に応じて更新され、連続したターゲット部分Cが基板W上の必要な場所で露光されるようにパルスが調整されている。従って、ビームBは、基板W全体をスキャンして基板のストリップについて完全なパターンを露光することができる。この工程は線ごとに基板W全体が露光されるまで繰り返される。
4.連続スキャンモードは、基本的にパルスモードと同じである。異なる点として、基板Wは、実質的に一定の速度で変調された放射ビームBに対してスキャンされ、複数の個別に制御可能な素子上のパターンはビームBが基板W全体をスキャンし露光するにつれて更新される。複数の個別に制御可能な素子上のパターンの更新に同期した実質的に一定の放射源又はパルス放射源を使用することができる。
[0062] 上記使用モードの組合せ及び/又は変形形態あるいは全く異なる使用モードも使用することができる。
[0063] リソグラフィ分野では、基板上のレジスト層にパターンが露光される。次に、レジストは現像される。その後、基板上で追加の処理ステップが実行される。基板の各部上のこれらの後続の処理ステップの効果は、レジストの露光に依存する。特に、所与のドーズしきい値を超える放射ドーズを受ける基板の各部が、ドーズしきい値に満たない放射ドーズを受ける基板の各部に対して異なる応答をするように各工程が調整されている。例えば、エッチング工程では、しきい値を超える放射ドーズを受ける基板の各領域は、現像されたレジストの層によってエッチングから保護されている。しかし、露光後の現像では、しきい値に満たない放射ドーズを受けるレジストの各部は除去され、従ってこれらの領域はエッチングから保護されない。従って、望ましいパターンをエッチングすることができる。特に、パターニングデバイス内の個別に制御可能な素子は、パターンフィーチャ内の基板上のある領域に伝達される放射が、十分に強度が高く、この領域が露光中にドーズしきい値を超える放射ドーズを受けるように設定されている。基板上の残りの領域は、対応する個別に制御可能な素子がゼロ又は有意に低い放射強度を提供するように設定することで、ドーズしきい値に満たない放射ドーズを受ける。
[0064] 実際、個別に制御可能な素子がフィーチャの境界の一方の側に最大放射強度を提供し、他方の側に最小放射強度を提供するように設定されている場合でも、パターンフィーチャの縁部の放射ドーズ量は、所与の最大ドーズ量からゼロドーズ量に急激に変化するわけではない。逆に、回折効果のために、放射ドーズ量のレベルは遷移帯を超えて低下する。現像されたレジストによって最終的に形成されたパターンフィーチャの境界の位置は、受光したドーズ量が放射ドーズしきい値を下回る位置によって決定される。遷移帯を超えた放射ドーズ量の低下のプロファイル、及びそれ故、パターンフィーチャの境界の正確な位置は、パターンフィーチャの境界上又はその近くの基板上のポイントに放射を提供する個別に制御可能な素子を、最大又は最小強度レベルだけでなく、最大及び最小強度レベルの間の各強度レベルに設定することでより正確に制御することができる。これを、一般に「グレースケーリング」と呼ぶ。
[0065] グレースケーリングは、所与の個別に制御可能な素子によって基板に提供される放射強度が2つの値(すなわち、最大値と最小値のみ)にしか設定できないリソグラフィシステムで可能な制御と比較して、パターンフィーチャの境界の位置の制御をはるかに広げている。ある実施形態では、少なくとも3つの、例えば、少なくとも4つの放射強度値、少なくとも8つの放射強度値、少なくとも16個の放射強度値、少なくとも32個の放射強度値、少なくとも64個の放射強度値、少なくとも128個の放射強度値、又は少なくとも256個の異なる放射強度値を基板に投影することができる。
[0066] グレースケーリングは、上記目的の追加又は代替目的のためにも使用することができることを理解されたい。例えば、露光後の基板の処理は、受光した放射ドーズレベルに応じて基板の領域の3つ以上の潜在的な応答があるように調整することができる。例えば、第1のしきい値に満たない放射ドーズ量を受ける基板の部分は、第1の方法で応答する。第1のしきい値を超えているが第2のしきい値に満たない放射ドーズ量を受ける基板の部分は、第2の方法で応答する。第2のしきい値を超えた放射ドーズ量を受ける基板の部分は、第3の方法で応答する。従って、グレースケーリングは、3つ以上の望ましいドーズレベルを有する基板全体に放射ドーズプロファイルを提供するために使用することができる。ある実施形態では、放射ドーズプロファイルは、少なくとも2つの望ましいドーズレベル、例えば、少なくとも3つの望ましいドーズレベル、少なくとも4つの望ましいドーズレベル、少なくとも6つの望ましいドーズレベル、又は少なくとも8つの望ましいドーズレベルを有する。
[0067] さらに、上記のように、放射ドーズプロファイルは、基板上の各ポイントで受ける放射の強度を制御するだけではない他の方法によっても制御することができることを理解されたい。例えば、基板上の各ポイントで受ける放射ドーズ量は、そのポイントの露光時間を制御することで、代替的に又は追加的に制御することができる。別の例として、基板上の各ポイントは、潜在的に複数の連続露光で放射を受けることができる。従って、各ポイントが受ける放射ドーズ量は、複数の連続露光からの選択したサブセットを用いてそのポイントを露光することで、代替的に又は追加的に制御することができる。
[0068] 基板上に望ましいパターンを形成するには、パターニングデバイス内の個別に制御可能な素子の各々を露光工程中に各ステージで必要な状態に設定することが必要である。従って、必要な状態を表す制御信号を個別に制御可能な素子の各々に伝送しなければならない。ある実施形態では、リソグラフィ装置は制御信号を生成するコントローラを含む。基板上に形成するパターンは、GDSIIなどのベクトル定義された形式でリソグラフィ装置に提供される。設計情報を各個別に制御可能な素子の制御信号に変換するために、コントローラは、1つ又は複数のデータ操作デバイスを含んでおり、このデータ操作デバイスは各々、パターンを示すデータストリームに対する処理ステップを行うように構成されている。これらのデータ操作デバイスは集合的に「データパス」と呼ぶことができる。
[0069] データパスのデータ操作デバイスは、ベクトルベースの設計情報をビットマップパターンデータに変換する機能、ビットマップパターンデータを放射ドーズ量マップ(すなわち、基板全体にわたる放射ドーズ量プロファイル)に変換する機能、放射ドーズ量マップを各々の個別に制御可能な素子の放射強度値に変換する機能、及び各々の個別に制御可能な素子の放射強度値を対応する制御信号に変換する機能のうちの1つ以上を実行するように構成することができる。
[0070] 図2aは、フォトリソグラフィ工程を用いて製作されたデバイスの概略図を示す。デバイスは、特定のものではなく、既存のまたは提案されたデバイスに必ずしも対応しない。図示のデバイスは、単に、本発明のある実施形態に関連する原理を説明する助けとして使用される。
[0071] 図2aを参照すると、基板2(例えば、上記基板Wの全部又は一部)を備えるデバイスが示されている。基板2の表面には、第1の層が提供されている。第1の層は、第1の構造4と、第2の構造6と、第3の構造8とを有する。第1の構造4と、第2の構造6と、第3の構造8とにわたって第4の構造10が延在している。
[0072] 少なくともそのデバイスの1つ又は複数の特性を示す情報(例えば、少なくともそのデバイスの構成部分の1つ又は複数の特性を示す情報)を決定するために、そのデバイスを検査することができる。ある実施形態では、このような検査を実行するための技術はデバイスを損傷しない。複数のデバイス(例えば、共通の基板上に位置する)について検査を実行する場合、このような検査は、その複数のデバイスの有意の数を損傷しないことが望ましい。適切な検査技術は、光結像、フォトルミネッセンス、ラマン分光法、X線回折(XRD)測定、電子顕微鏡測定(例えば、走査電子顕微鏡測定)、容量−電圧(C(V))測定、金属空間絶縁層半導体(MAIS)技術による測定などを含むか、又は包含することができる。測定を実行する1つ又は複数のデバイスのポイント数、又は言い換えれば、ポイントの密度は、1つ又は複数のデバイスの検査に必要な時間の最小化と1つ又は複数のデバイス全体の検査結果のばらつきの非直線性との平衡である。測定ポイントの数又は密度は、従って、デバイス当たりいくつかのポイントと、いくつかのデバイスのうちの1つ又は複数のデバイス上でのデバイス当たりの単一ポイントの測定とで変化する。
[0073] 上記技術のうちの1つ以上を用いて入手したデータを使用して、デバイス(又はデバイスの構成部分)の1つ又は複数の特性を決定又は測定することができる。このような特性としては、構造の形状又はサイズ(例えば、層の厚さ又は高さ)、ドーピングプロファイル、キャリアモビリティなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、TFTのアレイで、アレイ全体にわたってTFTについてキャリアモビリティ又はゲートの誘電体厚さを測定することができる。
[0074] 図2aに示すデバイスを一般例として参照すると、第1の構造4の幅W1は、上記技術を用いて決定することができる。幅W1の変動は、例えば、電気的特性に影響し、従って、デバイス全体の機能に影響する。従って、デバイスの機能を向上させるには、第1の構造4の幅の変更が必要である。当然ながら、第1の構造4の幅を変更することは困難又は不可能であろう。その代わりに、その後作成される第1の構造の幅を変更してそのデバイスの機能を向上させることができる。
[0075] 固定パターンを有するマスク又はレチクルが使用される標準のフォトリソグラフィの分野では、別のデバイスの次の作成工程でデバイスの特定の構成部分のサイズ又は形状(例えば、幅)の変更を実施することは実際に不可能ではないにせよ困難である。これは、その構成部分に関連するパターンを基板に提供するために使用するパターン付放射ビームのパターンを変更することで、構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を行わなければならないからである。放射ビーム内のパターンを変更するには、レチクル又はマスクの固定パターンの変更が必要である。レチクル又はマスクの固定パターンを変更するには、一般に、新しいマスク又はレチクルを作成する必要があり、これは普通、法外に高価である。デバイスの1つ又は複数の構成部分の形状又はサイズをさらに反復するか変更することが望ましい場合、費用はさらに増加する。これは、マスク又はレチクルの固定パターンを繰り返す変更及び反復の必要が生じるためである。
[0076] 固定マスク又はレチクルパターンの使用に伴う問題は、上記のように、複数の個別に制御可能な素子を用いて放射ビーム内にパターンを形成することで克服できる。別の固定パターンを備えた新しいマスク又はレチクルを繰り返し作成又は再作成する代わりに、本発明のある実施形態によれば、複数の個別に制御可能な素子の構成を制御(例えば、変更)して放射ビーム内に形成されたパターンを変更することができる。このような変更を用いて、例えば、検査を実施したデバイスの次のバージョンなどの作成すべきデバイスの構成部分の形状又はサイズに望ましい変更を加えることができる。ある実施形態では、形状又はサイズの望ましい変更は形状又はサイズの必要な変更である。例えば、複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の位置及び/又は向き及び/又は形状(例えば、1つ又は複数の素子の傾きの程度)を制御し、放射ビームのパターニングに貢献する素子を変更し(複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子が、例えば、放射を透過又は反射することを選択的に許可又は防止することで)、複数の個別に制御可能な素子のうちどの素子が放射を放出するかを変更し、又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の光学特性を制御することで、複数の個別に制御可能な素子の構成を変更することができる。
[0077] 図2aに示し、同図に関連して説明した一般例を再度参照すると、上記のように、装置の機能性を向上させるために幅W1の変更が望ましい。これを達成するために、パターン付放射ビームのパターンの最適な構成を決定することができ、その結果、第1の構造4のサイズ又は形状の望ましい変更が得られる。リソグラフィ装置の制御装置は、このような決定を実行することができる。制御装置は、代替的に又は追加的に、複数の個別に制御可能な素子を制御してその後のデバイスの作成で第1の構造4を作成する際に決定された構成を実施することができる。このようなその後のデバイスの作成で、基板上に提供されたレジストは決定されたパターンに従って露光され、第1の構造の形状又はサイズの望ましい変更を実施する。図2bは、第1の構造4が増加した幅W2を有するその後作成されるデバイスを示す図である。幅W2が増加した結果、例えば、デバイスの性能が向上する。
[0078] 別のデバイス(又は、例えば、このようなデバイスの別のロット)が製作されると、上記の検査工程を再度実行して、第1の構造4の形状又はサイズの望ましい変更がデバイスの機能性、性能、効率などに満足できる向上(又は、実際、なんらかの向上)をもたらしたか否かを判定することができる。デバイスの特性の判定が機能性、性能、効率などが向上していないことを示す場合、第1の構造(又はデバイスの他の1つ又は複数の構成部分)の改良された形状又はサイズを決定する工程を再び実行することができ、複数の個別に制御可能な素子の構成が決定されて第1の構造(又はデバイスの他の1つ又は複数の構成部分)のサイズ又は形状の変更が実施される。
[0079] 図3は、本発明のある実施形態による方法の概要を示す概略フローチャートを示す。
[0080] 上記方法の第1のステージ110は、第1のデバイスを作成するステップを含む。第1のデバイスは、例えば、デバイスのロット又はデバイスのアレイであってもよい。第1のデバイスは、放射感応性材料(例えば、レジスト)の層を備えた基板上にパターン付放射ビームが投影されるリソグラフィ工程を用いて少なくとも部分的に作成される。放射ビーム内のパターンは、例えば、上記の複数の個別に制御可能な素子を用いて形成することができる。別の実施形態では、第1のデバイスは作成済みのため、上記方法の第1のステージ110は必要ない。
[0081] 上記方法の第2のステージ120では、第1のデバイスの特性が測定される。特性と、特性が測定される方法は、上記のように、図2a及び図2bに関連して実施される。さらに、別の実施形態では、例えば、第1のデバイスの特性がすでに測定されている場合などに、上記方法の第2のステージ120を実行する必要はない。
[0082] 上記方法の第3のステージ130では、少なくとも第1のデバイスの測定された特性を示す情報を用いて、第2のデバイス(例えば、第1のデバイスの改良バージョン)のその後の作成で実施する第1のデバイスの(少なくとも)構成部分の形状又はサイズの望ましい変更が決定される。デバイスの構成部分の形状又はサイズの変更は、「望ましい」と記載されている。形状又はサイズの変更は、測定されたデバイスの特性が少なくとも、デバイスの構成部分のこのような形状又はサイズの変更によってデバイスの動作にある効果(例えば、所望する効果)、例えば、デバイスの性能、効率又は機能性の向上が生まれるということを示している(又はそこから推定できる又は判定できる)という点で望ましい。言い換えれば、構成部分の形状又はサイズの変更は、デバイスの性能、効率又は機能性などを向上させるために望ましい。また、上記方法の第3のステージ130は、第2のデバイスのその後の作成で実施する第1のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更がすでに周知である場合には不要である。
[0083] 上記方法の第4のステージ140では、少なくとも第1のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を示す情報を用いて、その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの変更が実施される。この実施態様の少なくとも一部は、その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に作成するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップを含む。言い換えれば、この実施態様の部分は、その後の露光で作成されるデバイスの構成部分のサイズ又は形状の望ましい変更を実施するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成又は構成の変更を決定するステップを含む。例えば、決定ステップは、第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を実施するために、複数の個別に制御可能な素子のうちどの1つ又は複数の素子を動かし、向きを変え、電源を投入又は遮断する必要があるかを決定するステップを含む。上記方法の第4のステージ140は、リソグラフィ装置の制御装置、例えば、コンピュータなどで実行することができる。
[0084] 上記方法の第4のステージ140は、同一の一般的なデバイスのうちの第2の(例えば、バージョンの)デバイスの作成、言い換えれば製作にフィードバックするデバイスの特性から導出した情報を使用することができるという点で有利である。上記方法のこの部分は、情報が複数の個別に制御可能な素子の制御にフィードバックされるので有利である。複数の個別に制御可能な素子の構成は、関連コストをほとんど又は全くかけずにある構成から別の構成へ容易かつ迅速に変更することができる。これは、固定パターンを有するパターニングデバイスを用いてその後作成するデバイスの構成部分のサイズ又は形状の望ましい変更を実施することができるという状況と明らかに対照的である。これは、例えば、望ましい変更を実施するのに必要な固定パターンを有するマスク又はレチクルのわずかに異なるバージョンを迅速かつ低コストで作成することが困難又は不可能であるからである。
[0085] 上記方法の第5のステージ150は、一般に、決定されたパターンを有するパターン付放射ビームを基板、又は基板上に提供された材料に投影して第2の(すなわち、その後作成される)デバイスの構成部分に望ましい変更を実施するために複数の個別に制御可能な素子の決定された構成を実施するステップを含む。
[0086] 図3には示されていないが、上記方法の第6のステージは、図3に示す方法の1つ又はすべてのステージを繰り返すステップを含むことができる。例えば、第2のデバイス(又は、言い換えれば、第1のデバイスの第2のバージョン)が作成されると、その第2のデバイスについて方法全体が実行される。上記方法を実施して、例えば、構成部分のサイズ又は形状の変更を最適化し、別の構成部分のサイズ又は形状を変更し、又は構成部分の変更が、例えば第2のデバイスの機能性、性能などを向上させる望ましい効果を有することを検証することができる。
[0087] 基板上に作成される1つ又は複数のデバイスの構成部分の形状又はサイズの変更は、「その場で」実行することができる。例えば、1つ又は複数のデバイスのうちの1つ又は複数の構成部分の形状又はサイズの測定及び/又は変更は、デバイスが作成される基板が放射に露光される時に実行される(例えば、ステップ単位又はスキャン方式で)。
[0088] 以上、本発明の実施形態について一般的な形態で論じてきた。以下、具体的な実施例について図4a、図4b及び図5を参照しながら説明する。
[0089] 図4a及び図4bは、それぞれ、TFTの断面概略図及び平面概略図を示す。TFTは、ゲート200を備える。ゲート200の上面には、SiN層210が提供される。SiN層210の上には、Si層220が提供される。Si層220の上には、Si n+層230(すなわち、n型Siの層)が提供される。Si n+層230の一方の側には、放射源240が位置する。Si n+層230の反対の側には、ドレーン250が位置する。
[0090] TFTを通過する電流は、当技術分野で周知のチャネル幅CW及びTFT内のキャリアモビリティに比例する。例えば、PECVD(プラズマ化学気相成長)工程によって製造される微結晶性シリコン層内のモビリティは、制御が困難であることが当技術分野で周知である。本発明のある実施形態によれば、TFTの1つ又は複数の特性を測定することができ、その後作成されるTFTの1つ又は複数の構成部分の形状又はサイズは変更されてTFT間の(例えば、TFTのアレイから形成される能動ディスプレイマトリクス全体の)キャリアモビリティの差が補償される。
[0091] TFTを通過する電流は、以下の式で表される。
上式で、IDはドレーン電流、μはキャリアモビリティ、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、VGSはゲート−ソース間電圧、VTはしきい値電圧、VDSはドレーン−ソース間電圧、tはゲート絶縁体の厚さ、εはゲート絶縁体材料の誘電率である。
[0092] 上式から分かるように、チャネル幅(W)を変更することができることによって、モビリティ(μ)及びゲート絶縁体の厚さ(t)の偏差を補償することができる。PECVD処理を使用する時に予想される典型的な厚さの変動は、複数のTFTが作成される基板全体で10%である。TFTのキャリアモビリティの変動は最大50%である。厚さの変動が最大でモビリティの変動も最大である最悪のケースのシナリオでは、各TFTを流れる電流の変動は−55%〜+66%に達する。電流のこのような変動は許容できない。例えば、このようなTFTのアレイから構成されるディスプレイでは、むら効果を防止するために、ディスプレイ領域全体で各TFTを通過する電流の変動は、理想的には、3%を超えてはならない。上記のように、その後作成されるTFTの構成部分の形状又はサイズ(例えば、チャネル幅(W)又はチャネル長(L))は、その後作成されるTFTの構成部分を作成するために使用される放射ビームにパターニングするために使用される複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の構成を変更することで変更することができる。TFTの1つ又は複数の構成部分のこのような形状又はサイズの変更を用いて、例えば、上記モビリティ変動及び厚さの不均一性などのTFTの構成部分の特性のずれを補正することができる。
[0093] OLEDディスプレイで使用されるTFTの典型的なチャネル幅は、10μmである。必要に応じて、複数の個別に制御可能な素子を有するパターニングデバイスを備えたリソグラフィ装置を用いて、チャネル長(L)を、1%(又は絶対項で100nm)の関連するクリティカルディメンション(CD)精度で、−55%〜+66%(又は絶対項で4.5μm〜16.6μmの範囲)だけ変動させることができる。それ故、キャリアモビリティ又は層の厚さの変動は、TFTの構成部分のサイズ又は形状を変更することにより後続のデバイスの作成工程で補償することができる。
[0094] 本発明のある実施形態は、TFTの構成部分の形状又はサイズの変更だけでなく、フォトリソグラフィ工程を用いて形成される任意のデバイス又はその一部に適用可能である。
[0095] 一実施例では、半導体デバイスの製造には、デバイスの1つ又は複数の構成部分の形状又はサイズを変更する能力なしには満足することが困難又は不可能なドーピング濃度の仕様が必要である。それ故、デバイスの1つ又は複数の構成部分のサイズ又は形状を変更する能力はこの問題を解決する。このような原理をショットキーダイオードに関連して以下に説明する。
[0096] 図5は、ショットキーダイオードの断面図を示す。ショットキーダイオードは、背面の金属被覆層300を備える。その背面の金属被覆層300の上には、例えばSiウェーハの一部の形態のSi層310がある。そのSi層310の上には、ショットキーダイオードの金属接点320が提供される。金属接点320の対向する両面は、SiO2スペーサ330によってSi層310から離間している。
[0097] ショットキーダイオードの静電容量は以下の式で表される。
ここで、Cはショットキーダイオードの静電容量、Dはショットキーダイオードの直径(図5を参照)、qは電子電荷、φはビルトインポテンシャル、εは誘電率、Vは印加電圧、Nはドーピング濃度である。
[0098] 静電容量(C)はドーピング濃度(N)の平方根及びショットキーダイオードの直径(D)の2乗に比例することが分かる。従って、ドーピング濃度(N)の変動はダイオード領域を変更することで(例えば、ショットキーダイオードの直径(D)を変更することで)補償することができることを理解されたい。例えば、ドーピング濃度(N)の+/−50%の変動を補償するには、直径(D)を2.7%変更するだけでよい。
[0099] 例えば、一般の用途では、基板上のショットキーダイオードは1%を超える静電容量(C)の変動を有してはならない。離散的なショットキーダイオードの典型的な直径(D)は100μmである。ダイオードが作成される基板全体の典型的なドーピング濃度(N)の変動は最大10%である。それ故、ダイオードの領域(例えば、そのサイズ又は直径(D))が固定されている場合、基板上の静電容量値(C)の3.2%の許容できない拡散が存在する。上記方法を用いて異なるショットキーダイオード間の静電容量値(C)の変動を補償することができる。この補償は、リソグラフィ装置のパターニングデバイスの複数の個別に制御可能な素子の構成を制御してダイオードの直径(D)を0.1%(絶対項で100nm)の精度で約1.8%(絶対項で1.8μm)の範囲内で変化させることで達成できる。このような直径の変動及び精度は、既存の提案されているリソグラフィ装置で容易に達成できる。
[00100] 以上、本発明の実施形態について、少なくとも第1のデバイスの構成部分の形状又はサイズの望ましい変更を示す情報を用いて、その後作成される第2のデバイスの構成部分の形状又はサイズの変更を実施する文脈で説明してきた。緊密に関連してはいるが別の態様は、デバイス作成中の(すなわち、その後作成されるデバイスの構成部分の作成中ではなく)デバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズの実施(例えば、変更)に関連する。この態様について以下に詳述する。
[00101] 図6aは、基板400(例えば、上記基板Wの全部又は一部)の概略図を示す。基板400の表面には、材料の第1の層410が提供される。材料の第1の層410は、デバイスの構成部分を作成するために使用される。当技術分野で周知のように、デバイスの構成部分は、材料の第1の層410にパターンを提供するために、リソグラフィ工程を用いて材料の第1の層410を使用することで形成することができる。
[00102] フォトリソグラフィ工程を実施して材料の第1の層410内にパターンを形成する前に、材料の第1の層410の検査を実施して少なくともその材料の第1の層410の1つ又は複数の特性を示す情報を判定することができる。ある実施形態では、このような検査を実行するための技術は、材料の第1の層を損傷しない。検査が複数の基準ポイント又は材料の第1の層内で実行される場合、望ましくは、このような検査はその複数のうちの有意の数の参照ポイントに損傷を持ち込まない。適切な検査技術は、光結像、フォトルミネッセンス、ラマン分光法、X線回折(XRD)測定、電子顕微鏡測定(例えば、走査電子顕微鏡測定)、容量−電圧(C(V))測定、金属空間絶縁層半導体(MAIS)技術による測定などを含むか、又は包含することができる。検査を実行する(すなわち、測定を実行する)材料の第1の層410のポイント数、言い換えればポイントの密度は、材料の第1の層410の検査に必要な時間の最小化と材料の第1の層410全体の検査結果のばらつきの非直線性との平衡である。測定ポイント(又は言い換えれば、測定を実行する基準ポイント)の数は、例えば、基板400上のダイ当たりいくつかのポイントと、基板上のダイ当たり単一の測定とで変化することがある。
[00103] 1つ又は複数の上記技術を用いて入手したデータを用いて材料の第1の層の1つ又は複数の特性を決定することができる。このような特性としては、ドーピング濃度又はプロファイル、キャリアモビリティなどが挙げられるが、これらに限定されない。
[00104] 図4a、図4b及び図5に関連して説明したように、デバイスの構成部分を形成するために使用される材料の層のキャリアモビリティ、ドーピング濃度などはそのデバイスの動作に影響を与えることがある。例えば、ドーピング濃度又はキャリアモビリティの変動は、デバイスを流れる電流又はデバイス両端の電圧に影響することがある。上記と同じ又は同様の理由から、多くの場合、デバイスのアレイを形成するデバイスが互いに常に確実に動作することが望ましい。例えば、キャリアモビリティ又はドーピング濃度が図6aに示す材料の第1の層410にわたって変動することが分かった場合、その第1の層410を用いて形成されるデバイスの構成部分の形状又はサイズは、その変動を考慮した望ましい形状又はサイズを有する必要がある。代替的に、例えば、第1の層410内でキャリアモビリティ又はドーピング濃度が一定しているが、以前のデバイスを作成するために使用される層とは異なっていると分かる場合がある。同様に、第1の層410を用いて形成されるデバイスの構成部分の形状又はサイズは、その変動を考慮した望ましい形状又はサイズを有する必要がある場合がでてくる。例えば、デバイスの動作、例えば、デバイスの向上した動作に影響するような形状又はサイズが望ましい。例えば、TFTの作成時に、結果として得られるTFTが望ましい電流を有するように一定のチャネル幅が望ましい。
[00105] 図6bを参照すると、例えば、第1の層410のキャリアモビリティ又はドーピング濃度の検査を用いて、第1の層410内で形成されるデバイスの構成部分が望ましい幅W10を有する必要があることを決定することができる。幅W10は、結果として得られるデバイスが例えば一定の電流を可能にするか、又は許容するという点で望ましい。図6aは、第1の層410で形成するデバイスの構成部分のこの望ましい幅W10の概略図を示す。
[00106] 固定パターンを有するマスク又はレチクルが使用される標準のフォトリソグラフィでは、材料の層内で形成するデバイスの特定の構成部分のサイズ又は形状(例えば、幅)の変更を実施することは実際には不可能ではないとしても困難であろう。これは、デバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズのいかなる変更も、基板上の構成部分に関連するパターンを提供するために使用されるパターン付放射ビームのパターンを変更することで実施されるためである。放射ビーム内のパターンの変更は、レチクル又はマスクの固定パターンの変更を必要とする。レチクル又はマスクの固定パターンの変更は、一般に、新しいマスク又はレチクルの作成を必要とし、これは普通、法外に高価である。デバイスの1つ又は複数の構成部分の形状又はサイズをさらに変更する必要がある場合、費用はさらに増加する。これは、これらの構成部分を作成するために使用されるマスク又はレチクルの固定パターンもさらに変更する必要があるためである。
[00107] 固定マスク又はレチクルパターンの使用に伴う問題は、上記のように、複数の個別に制御可能な素子を用いて放射ビーム内にパターンを形成することで克服できる。別の固定パターンを備えた新しいマスク又はレチクルを作成又は再作成する代わりに、本発明のある実施形態によれば、複数の個別に制御可能な素子の構成を制御(例えば、変更)して放射ビーム内に形成されたパターンを変更することができる。このような変更を用いて、例えば、基板上に提供された、層の特性を決定する検査を受けた材料の層内に作成されるデバイスの構成部分の形状又はサイズに望ましい変更を加えることができる。例えば、複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の位置及び/又は向き及び/又は形状(例えば、1つ又は複数の素子の傾きの程度)を制御し、放射ビームのパターニングに貢献する(複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子が、例えば、放射を透過又は反射することを選択的に許可又は防止することで)素子を変更し、複数の個別に制御可能な素子のうちどの素子が放射を放出するように配置されるかを変更し、又は複数の個別に制御可能な素子のうちの1つ又は複数の素子の光学特性を制御することで、複数の個別に制御可能な素子の構成を変更することができる。
[00108] 図6bを再度参照すると、上記のように、第1の層410内に作成するデバイスの構成部分は望ましい幅W10を有していなければならない。この望ましい幅W10を達成するために、第1の層410内に作成するデバイスの構成部分の望ましいサイズ又は形状を実施することができるパターン付放射ビーム内のパターンの最適な構成を決定することができる。上記のように、リソグラフィ装置の制御装置がこのような決定を行うことができる。代替的に又は追加的に、制御装置は、第1の層410内に作成するデバイスの構成部分に際して複数の個別に制御可能な素子を制御して決定された構成を実施することができる。
[00109] 第1の層410内へのデバイスの構成部分の作成時に、材料の第1の層410を放射に直接暴露しなくてもよいことを理解することができるだろう。代わりに、材料の第1の層410内に1つ又は複数のパターン(例えば、デバイスの構成部分)を作成するのを助けるために、材料の第1の層410の上面にレジスト又は他の放射感応性材料の層を提供してもよい。
[00110] 図6cは、上記方法を用いてデバイス420の構成部分が作成されたことを示す。デバイス420の構成部分が望ましい幅W10を有していることが分かる。望ましい幅W10を有することで、デバイス420の構成部分は、デバイス420の構成部分の特性又は動作及び/又はデバイス全体の特性又は動作にある効果をもたらす。その効果とは、デバイス420の構成部分及び/又はデバイス420全体の性能の向上、及び/又はデバイス420の構成部分及び/又はデバイス420全体の効率の向上、及び/又はデバイス420の構成部分及び/又はデバイス420全体の機能性の向上である。
[00111] 基板上に提供された任意の層又はその基板上にすでに提供されている材料上の任意の層について上記検査工程を実行して、その層内に作成するデバイスの構成部分の形状又はサイズは、望ましい形状又はサイズを有する必要があるか否かを判定することができる。望ましい形状又はサイズは類似の又は同一の構成部分(例えば、他のデバイスの)の形状又はサイズと異なっていなくてもよく、又は望ましい形状又はサイズは類似の又は同一の構成部分(例えば、他のデバイスの)の形状又はサイズと異なっていてもよい。望ましい形状又はサイズは基板上で作成されるデバイス間で異なっていてもよく、又は異なる基板上で作成されるデバイス間で異なっていてもよい。例えば、図6dは、別のデバイスの構成部分430が図6b及び図6cに示し、同図に関連して説明した望ましい幅W10よりも広い幅W20を有することを示している。例えば、デバイス430の構成部分が作成された層のキャリアモビリティ又はドーピング濃度又は他の特性の変動、又は異なる基板上に提供された層間の変動(例えば、異なる基板上に複数のデバイスのロットを作成する際の)のために、この増加した望ましい幅W20は望ましい。
[00112] 図7は、本発明のある実施形態による方法の概要を示す概略フローチャートである。上記方法の第1のステージ500は、基板上に、又は基板上にすでに提供されている材料上に材料の層を提供するステップを含む。この層を後ほど使用してデバイスの構成部分が作成される。別の実施形態では、基板上に、又は基板上にすでに提供されている材料の上に層があらかじめ提供されているため、上記方法の第1のステージ500は不要である。
[00113] 上記方法の第2のステージ510では、第1の層の特性が測定される。この特性と、特性を測定する方法は上記のように図6a〜図6dに関連して実行することができる。別の実施形態では、例えば、層の特性がすでに測定されている(又は決定されている)場合、上記方法の第2のステージ510を実行する必要はない。
[00114] 上記方法の第3のステージ520では、少なくとも材料の層の特性を示す情報を用いてその層を使用して作成するデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズが決定される。デバイスの構成部分の形状又はサイズは「望ましい」と記載されている。形状又はサイズは、測定されたデバイスの特性が少なくとも、デバイスの構成部分のこのような形状又はサイズによってデバイスの動作にある効果(望ましい効果)、例えば、性能、効率又は機能性の向上が生まれるということを示している(又はそこから推定できる又は判定できる)という点で望ましい。また、上記方法の第3のステージ520は、材料の層内で作成されるデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズがすでに周知である場合には不要である。
[00115] 上記方法の第4のステージ530では、少なくともデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを示す情報を用いて、デバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズが実施される。上記望ましい形状又はサイズは、デバイスの構成部分が作成される材料の層の測定された特性に関連する。このため、デバイスの作成がデバイスの1つ又は複数の構成部分が形成された層の1つ又は複数の測定された特性を考慮するため、作成されたデバイスが確実により一様に機能するようにする。望ましい形状又はサイズは、形状又はサイズの望ましい変更であってもよい。この実施態様の少なくとも一部は、デバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するのに十分なものであるパターンを放射ビーム内に形成するのに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成を決定するステップを含む。言い換えれば、この実施態様の部分は、デバイスの構成部分の望ましいサイズ又は形状を実施する(言い換えれば、作成する)のに必要な複数の個別に制御可能な素子の構成又は構成の変更を決定するステップを含む。例えば、決定ステップは、デバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するために複数の個別に制御可能な素子のうちどの1つ又は複数の素子を動かし、向きを変え、電源を投入又は遮断する必要があるかを決定するステップを含む。上記方法の第4のステージ530はリソグラフィ装置の制御装置、例えば、コンピュータなどで実行することができる。
[00116] 上記方法の第4のステージ530は、基板上に提供された材料の層を使用するデバイスの構成部分の作成、言い換えれば、製作にフィードバックする材料の層の1つ又は複数の特性から導出した情報を使用することができるという点で有利である。上記方法のこの部分は、情報が複数の個別に制御可能な素子の制御にフィードバックされるので有利である。複数の個別に制御可能な素子の構成は、関連コストをほとんど又は全くかけずにある構成から別の構成へ容易かつ迅速に変更することができる。これは、デバイスの構成部分の望ましいサイズ又は形状(例えば、サイズ又は形状の望ましい変更)を実施するために固定パターンを有するパターニングデバイスが必要であるという周知の状況と明らかに対照的である。これは、例えば、デバイスの1つ又は複数の構成部分の(1つ又は複数の)望ましい形状又はサイズを実施するのに必要な固定パターンを備えたマスク又はレチクルのわずかに異なるバージョンを迅速かつ低コストで作成することが困難又は不可能であるからである。
[00117] 上記方法の第5のステージ540は、一般に、決定されたパターンを有するパターン付放射ビームを材料の第1の層に投影してその層内のデバイスの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施するために複数の個別に制御可能な素子の決定された構成を実施するステップを含む。層内のデバイスの構成部分を作成する際に、材料の層を放射に直接暴露しなくてもよいことを理解することができるだろう。代わりに、当技術分野で周知のように、材料の層410内に1つ又は複数のパターン(例えば、デバイスの構成部分)を作成するのを助けるために、材料の第1の層の上面にレジスト又は他の放射感応性材料の層を提供してもよい。
[00118] 図7には示していないが、上記方法の第6のステージは、図7に示す方法の1つ、複数又はすべてのステージを繰り返すステップを含むことができる。例えば、上記方法は、デバイスの1つ又は複数の構成部分が作成される基板上に提供された1つ又は複数の材料の層について実行することができる。
[00119] 基板上に作成される1つ又は複数のデバイスの1つ又は複数の構成部分の形状又はサイズの変更は、「その場で」実行することができる。例えば、場合によって、基板上で作成されるすべてのデバイスに共通のデバイスの構成部分の形状又はサイズを基板に関して変更する必要がある。このような変更は、デバイスの構成部分が作成される材料の層の変動する特性を考慮するために必要である。デバイスの構成部分を作成するためのパターンの構成は、その基板上で作成される1つの、複数の又はすべてのデバイスについて変更されることがあることを理解することができるだろう。このような変更は、デバイスの構成部分を作成するための放射ビームをパターニングする複数の個別に制御可能な素子の構成を変更することで容易に達成できる。
[00120] 本発明の特定の態様の実施形態について一般的な形態で説明してきた。しかし、上記一般的な方法はより具体的な形態で実施することができることを理解されたい。例えば、上記の一般的な方法は、例えば、図4a、図4b、及び図5に示し、同図に関連して説明したデバイスの作成に関連して実施することができる。すなわち、本発明のある実施形態を用いて、例えば、TFT又はショットキーダイオードなどの構成部分の望ましい形状又はサイズを実施することができる。
[00121] 上記各実施形態を組み合わせることもできることを理解することができるだろう。例えば、デバイスの構成部分が作成される材料の層の1つ又は複数の特性を考慮するために、デバイスの構成部分の形状又はサイズを選択して実施することができる。代替的に又は追加的に、部分的又は全体的に作成されたデバイスの1つ又は複数の特性を決定することができ、その特性からそのデバイスの1つ又は複数の構成部分の形状又はサイズの1つ又は複数の望ましい変更を決定することができる。望ましい変更は、類似の又は関連するデバイス(例えば、そのデバイスの新バージョン)のその後の作成工程で実施することができる。
[00122] 上記のように、本発明のある実施形態はTFT又はショットキーダイオードの構成部分の形状又はサイズの作成及び変更に適用できる。代わりに、本発明のある実施形態は、フォトリソグラフィ技術を用いて製作できる任意のデバイスの構成部分の形状又はサイズの変更に適用できる。
[00123] 本明細書では特定のデバイス(例えば、集積回路又はフラットパネルディスプレイ)の製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及してきたが、本明細書に記載するリソグラフィ装置は別の用途を有することができることを理解されたい。これらの用途としては、集積回路、集積光システム、磁気ドメインメモリの案内及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、マイクロ電気機械システム(MEMS)などの製造が挙げられるが、これらに限定されない。また、例えばフラットパネルディスプレイでは、本発明の装置を用いて、様々な層、例えば、薄膜トランジスタ層及び/又はカラーフィルタ層の作成の支援にあてることができる。
[00124] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
[00125] 以上、本発明の特定の実施形態について説明してきたが、当業者であれば本発明の変形形態は明らかであるか又は容易に思い付くであろう。従って、本発明は添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されることを意図している。