JP2009124143A - 薄いフィルム状の連続的に空間的に調整された灰色減衰器及び灰色フィルタ - Google Patents

薄いフィルム状の連続的に空間的に調整された灰色減衰器及び灰色フィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】サブミクロンサイズのドットパターンを有する従来型フィルタを用いる場合よりもリソグラフィ装置を簡素で安価にする。
【解決手段】基板と、基板上に形成される吸収フィルムと、を備えるリソグラフィ装置で使用されるシステム及び方法である。吸収フィルムの厚さは、基板を透過する放射ビームの強度不均一性を軽減するよう基板の少なくとも一部において空間的に調整されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法に関する。
リソグラフィ装置は、所望のパターンを加工対象物(ワークピース)または加工対象物の一部に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えばフラットパネルディスプレイや集積回路(IC)、微細構造を有するその他のデバイスの製造に用いられる。典型的なリソグラフィ装置は、受光したレーザビームに均一な強度分布を与える照明系を含む。得られる照明分布は可能な限り均一であることが望ましく、均一性エラーは可能な限り小さいことが望ましい。照明均一性は、露光フィールド全体にわたって均一なライン幅を生成する照明系の能力に影響する。照明均一性のエラーは、リソグラフィ装置で製造されるデバイスの品質に大きな影響を与える。
従来のリソグラフィ装置は不透明なドットのパターンを有するフィルタを有する。この従来型フィルタは、露光フィールドの不均一性を補正するようドットパターンの密度が調整されている。これらのドットは露光フィールドへの投影を避けるために焦点外に位置している。残念なことに、このドットは入射光を回折し、実現できる空間周波数を制限する。小コヒーレンス照明及び小開口数を有する従来型リソグラフィ装置においては特に、入射光の回折により照明モードがゆがむ。また、光マスクレスリソグラフィシステムのように縮小率の大きいリソグラフィシステムでは、従来型フィルタはサブミクロンサイズのドットを要するため高価になってしまう。
従来型フィルタは両側平行平面基板に形成されている。このため、従来型フィルタでフィルタされるのに加えて投影像が拡大または縮小されるべき場合には、従来型リソグラフィ装置には倍率調整用の光学素子を追加する必要がある。この場合、リソグラフィ装置が不必要に複雑となり、過度なコストがかかってしまう。
そこで、上記の課題を解決する装置及び方法が求められている。
本発明の一実施形態によれば、基板と、基板上に形成される吸収フィルムと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。吸収フィルムの厚さは、基板を透過する放射ビームの強度不均一性を軽減するよう基板の少なくとも一部において空間的に調整されている。
本発明の更なる実施形態や特徴、効果は、本発明のさまざまな実施形態の構成及び作用とともに添付図面を参照して以下に詳細に説明される。
本明細書は本発明の特徴を組み入れた1つまたは複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は本発明の例示にすぎない。本発明の範囲は開示された実施形態には限定されない。本発明は添付の請求項により定義される。
以下で「一実施形態」、「一実施例」等の表現を用いる場合には、実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含んでもよいことを示すにすぎないものであり、当該特徴、構造または特性がすべての実施形態に含まれなければならないことを意味するのではない。またこれらの表現は同一の実施形態を必ずしも指し示すものでもない。さらに、一実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性が説明される場合には、明示的に説明されているか否かによらず当業者の知識により他の実施形態においても当該特徴、構造または特性が有効であるものと理解されたい。
本発明の実施形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはこれらの組合せの形式で具現化されてもよい。本発明の実施形態は、1つまたは複数のプロセッサにより読取かつ実行可能である機械読取可能媒体に記憶された命令として具現化されてもよい。機械読取可能媒体は、機械(例えばコンピュータ)により読取可能な形式で情報を記憶または伝送するいかなる機構も含んでもよい。例えば、機械読取可能媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記録媒体、光記録媒体、フラッシュメモリ装置、電気的または光学的または音響的またはその他の信号伝送形式(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、またはその他を含んでもよい。また以下では、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令はある動作を実行するためのものとして記述されていてもよい。しかしこれらの記述は単に簡便化のためであり、これらの動作はそのファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令等を実行する演算装置、プロセッサ、コントローラ、または他の装置により実際に得られるものと理解されたい。
図1は本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置100を模式的に示す図である。この装置は、照明系IL、パターニングデバイスPD、加工対象物テーブル(ワークピーステーブル)WT、及び投影系PSを備える。照明系(イルミネータ)ILは放射ビームB(例えば紫外放射)を調整するよう構成されている。
加工対象物テーブルWTは、加工対象物(例えばレジストが塗布された加工対象物)Wを支持するよう構成されており、あるパラメタに従って加工対象物(ワークピース)Wを正確に位置決めする位置決め装置PWに接続されている。
投影系(例えば屈折投影レンズ光学系)PSは、個別制御可能素子アレイにより変調された放射ビームを加工対象物Wの(例えば1つ又は複数のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている。本明細書では投影系という用語は、使用される露光光、あるいは液浸露光用液体や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影系には例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である投影系という用語と同義に用いられ得る。
照明系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射ビームの向きや形状、あるいは他の特性を制御するためのものである。
パターニングデバイスPD(例えばレチクル、マスク、または個別制御可能素子アレイ)はビームを変調する。普通は個別制御可能素子アレイは投影系PSに対して位置が固定されるが、あるパラメタに従って該アレイを正確に位置決めする位置決め装置に接続されていてもよい。
本明細書において「パターニングデバイス」または「コントラストデバイス」なる用語は、例えば加工対象物Wの目標部分にパターンを生成する等、放射ビーム断面を変調するのに用い得るいかなるデバイスをも示すよう広く解釈されるべきである。パターニングデバイスは、静的なパターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)であってもよいし、動的なパターニングデバイス(例えばプログラム可能素子アレイ)であってもよい。簡単のため本明細書では動的パターニングデバイスを例に挙げて説明しているが、本発明の範囲から逸脱することなく静的パターニングデバイスを使用することも可能であるものと理解されたい。
放射ビームに付与されるパターンは、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを例えば含む場合には加工対象物Wの目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。また、加工対象物Wに最終的に形成されるパターンは、個別制御可能素子アレイ上に形成されるパターンにどの時点においても一致しないようになっていてもよい。このような事態は、加工対象物Wの各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上のパターン及び/またはアレイと加工対象物Wとの相対位置が変化する場合に起こりうる。
通常、加工対象物Wの目標部分に生成されるパターンは、その目標部分に生成されるデバイス例えば集積回路やフラットパネルディスプレイの特定の機能層に対応する(例えばフラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層や薄膜トランジスタ層)。パターニングデバイスの例としては、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、LEDアレイ、グレーティングライトバルブ、及びLCDアレイなどがある。
パターニングデバイスは電子的手段(例えばコンピュータ)でパターンをプログラム可能である。パターニングデバイスは、複数のプログラム可能素子を含んでもよく、例えば前の文で言及したレチクル以外のデバイスはすべて該当する。以下ではこれらを集合的に「コントラストデバイス」と称する。パターニングデバイスは少なくとも10個のプログラム可能素子を備えてもよく、または少なくとも100個、少なくとも1,000個、少なくとも10,000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、または少なくとも10,000,000個、のプログラム可能素子を備えてもよい。
プログラマブルミラーアレイの一実施例は、粘弾性制御層と反射表面とを有するマトリックス状のアドレス指定可能な表面を備えてもよい。この装置の基本的な原理は例えば、反射表面のうちアドレス指定されている区域が入射光を回折光として反射する一方、アドレス指定されていない区域が入射光を非回折光として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いることにより、反射光ビームから非回折光を取り除いて回折光だけを加工対象物Wに到達させるようにすることができる。このようにして、マトリックス状のアドレス指定可能表面にアドレス指定により形成されるパターンに従ってビームにパターンが付与される。
なお代替例として、回折光をフィルタにより取り除いて非回折光を加工対象物Wに到達させるようにしてもよい。
他の実施例として、回折光学MEMS(微小電気機械システム)デバイスを同様に用いることもできる。一実施例では、回折光学MEMSデバイスは、入射光を回折光として反射する格子を形成するよう変形される複数の反射性のリボン状部位を備える。
プログラマブルミラーアレイの他の例においては、マトリックス状の微小ミラーの配列が用いられる。各微小ミラーは局所的に電界を適宜付与されることによりまたは圧電駆動手段を使用することにより各々が独立に軸周りに傾斜されうる。繰り返しになるがミラーはマトリックス状にアドレス指定可能に構成されており、アドレス指定されたミラーは入射する放射ビームをアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにしてマトリックス状のアドレス指定可能なミラーにより形成されるパターンに従って反射ビームにパターンが付与されうる。必要とされるマトリックス状アドレス指定は、適宜の電子的手段を使用して実行することができる。パターニングデバイスの他の例は、プログラマブルLCDアレイである。
リソグラフィ装置100は1つ以上のコントラストデバイスを備えてもよい。例えば、リソグラフィ装置は、複数の個別制御可能素子アレイを有し、それぞれのアレイが互いに独立に制御されるものであってもよい。この構成においては、個別制御可能素子アレイのうちのいくつかのアレイまたはすべてのアレイが少なくとも1つの照明系(または照明系の一部)を共有していてもよい。斯かるアレイは当該アレイ用の支持構造及び/または投影系(または投影系の一部)を共有していてもよい。
一実施例例えば図1に示される実施例では、加工対象物Wは実質的に円形状であってもよい。加工対象物Wは周縁部にノッチ及び/または平坦部を有していてもよい。他の実施例では加工対象物Wは例えば長方形などの多角形形状でもよい。
加工対象物Wの形状が実質的に円形の場合、加工対象物Wの直径は少なくとも25mmであってもよく、または例えば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmであってもよい。一実施例では、加工対象物Wの直径は長くても500mm、長くても400mm、長くても350mm、長くても300mm、長くても250mm、長くても200mm、長くても150mm、長くても100mm、または長くても75mmである。
加工対象物Wが例えば長方形などの多角形の場合、加工対象物Wの少なくとも1辺の長さ、または例えば少なくとも2辺または少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cmであってもよく、または例えば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmであってもよい。
加工対象物Wの少なくとも1辺の長さは、長くても1000cm、または例えば長くても750cm、長くても500cm、長くても350cm、長くても250cm、長くても150cm、または長くても75cmである。
一実施例においては、加工対象物Wはウェーハであり、例えば半導体ウェーハである。一実施例ではウェーハの材料は、Si(ケイ素)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiGeC(シリコンゲルマニウムカーボン)、SiC(炭化ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジウムリン)、InAs(インジウムヒ素)から成るグループから選択される。ウェーハは、III−V族化合物半導体ウェーハ、シリコンウェーハ、セラミックの加工対象物、ガラスの加工対象物、またはプラスチックの加工対象物である。加工対象物Wは(人の裸眼で見たときに)透明であってもよいし、有色であってもよいし、無色であってもよい。
この加工対象物Wの厚さは例えば加工対象物材料及び/または加工対象物寸法に応じてある程度変更される。加工対象物Wの厚さは、少なくとも50μmであり、または例えば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。また、加工対象物Wの厚さは、厚くても5000μm、例えば厚くても3500μm、厚くても2500μm、厚くても1750μm、厚くても1250μm、厚くても1000μm、厚くても800μm、厚くても600μm、厚くても500μm、厚くても400μm、または厚くても300μmである。
加工対象物Wは露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を加工対象物Wに塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。一実施例ではレジスト層が加工対象物Wに設けられる。
投影系は、個別制御可能素子アレイにおけるパターンが加工対象物W上にコヒーレントに形成されるように当該パターンの像を形成する。これに代えて投影系は二次光源の像を形成してもよく、この場合個別制御可能素子アレイの各素子はシャッタとして動作してもよい。この場合には投影系は、例えば二次光源を形成し加工対象物W上にスポット状に像形成するために、例えばマイクロレンズアレイ(micro lens array、MLAとして知られている)やフレネルレンズアレイなどのフォーカス素子のアレイを含んでもよい。フォーカス素子のアレイ(例えばMLA)は少なくとも10個のフォーカス素子を備え、または例えば少なくとも100個、少なくとも1,000個、少なくとも10,000個、少なくとも100,000個、または少なくとも1,000,000個のフォーカス素子を備えてもよい。
パターニングデバイスにおける個別制御可能素子の数とフォーカス素子のアレイにおけるフォーカス素子の数とは等しいか、あるいは、パターニングデバイスにおける個別制御可能素子の数がフォーカス素子のアレイにおけるフォーカス素子の数よりも多い。フォーカス素子のアレイにおける1つ以上(例えばたいていは1000以上、またはすべての)のフォーカス素子は、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上(例えば2つ以上、または3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、25以上、35以上、または50以上)の個別制御可能素子に光学的に連関していてもよい。
MLAは、少なくとも加工対象物Wに近づく方向及び遠ざかる方向に例えば1以上のアクチュエータを用いて移動可能であってもよい。加工対象物Wに近づく方向及び遠ざかる方向にMLAを移動させることができる場合には、加工対象物Wを動かすことなく例えば焦点合わせをすることが可能となる。
図1及び図2に示されるように本装置は反射型(例えば反射型の個別制御可能素子アレイを用いる)である。透過型(例えば透過型の個別制御可能素子アレイを用いる)の装置を代替的に用いてもよい。
リソグラフィ装置1は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の加工対象物テーブルWTを備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
リソグラフィ装置100は、加工対象物Wの少なくとも一部が「液浸液」で覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体であり、投影系と加工対象物Wとの間の空隙を満たす。液浸液は、例えばパターニングデバイスと投影系との間などのリソグラフィ装置100の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させる技術として周知である。本明細書では「液浸」という用語は、加工対象物W等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光の際に投影系と加工対象物Wとの間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
図1に示されるようにイルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。放射源SOにより、少なくとも5nm、または例えば少なくとも10nm、少なくとも11乃至13nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの波長を有する放射が供される。また、放射源SOにより供される放射は、長くても450nm、または例えば長くても425nm、長くても375nm、長くても360nm、長くても325nm、長くても275nm、長くても250nm、長くても225nm、長くても200nm、または長くても175nmの波長を有する。この放射は、実質的に436nmの波長、実質的に405nmの波長、実質的に365nmの波長、実質的に355nmの波長、実質的に248nmの波長、実質的に193nmの波長、実質的に157nmの波長、及び/または126nmの波長を含んでもよい。更なる実施例においては、放射源SOにより供される放射は、スペクトルの深紫外部分に含まれる波長を有する。
例えば光源SOがエキシマレーザである場合には、光源SOとリソグラフィ装置100とは別体であってもよい。この場合、光源SOはリソグラフィ装置100の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからイルミネータILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源SOが水銀ランプである場合には、光源SOはリソグラフィ装置100に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系または放射システムと総称される。
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般にはアジャスタADにより、イルミネータILの瞳面における照度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の値(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。イルミネーILタはビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。イルミネータIL及び追加の関連構成要素は放射ビームを複数の分割ビームに分割するように構成されていてもよい。例えば各分割ビームが個別制御可能素子アレイにおける1つまたは複数の個別制御可能素子に対応するように構成してもよい。放射ビームを分割ビームに分割するのに例えば二次元の回折格子を用いてもよい。本明細書においては「放射ビーム」という用語は、放射ビームがこれらの複数の分割ビームを含むという状況も包含するが、これに限定されないものとする。
放射ビームBは、パターニングデバイスPD(例えば、個別制御可能素子アレイ)に入射して、当該パターニングデバイスにより変調される。放射ビームはパターニングデバイスPDにより反射され、投影系PSを通過する。投影系PSはビームを加工対象物Wの目標部分Cに合焦させる。位置決め装置PWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により加工対象物テーブルWTは正確に移動され、例えば放射ビームBの経路に異なる複数の目標部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。また、個別制御可能素子アレイ用の位置決め手段が設けられ、例えば走査中にビームBの経路に対してパターニングデバイスPDの位置を正確に補正するために用いられてもよい。
一実施例では、加工対象物テーブルWTの移動は、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現される。ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールは図1には明示されていない。一実施例ではショートストロークモジュールを省略してもよい。個別制御可能素子アレイを位置決めするためにも同様のシステムを用いることができる。必要な相対運動を実現するために、対象物テーブル及び/または個別制御可能素子アレイの位置を固定する一方、放射ビームBを代替的にまたは追加的に移動可能としてもよいということも理解されよう。この構成は装置の大きさを小さくするのに役立ち得る。例えばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能な更なる代替例として、加工対象物テーブルWT及び投影系PSを固定し、加工対象物Wを加工対象物テーブルWTに対して移動させるように構成してもよい。例えば加工対象物テーブルWTは、実質的に一定の速度で加工対象物Wを走査させるための機構を備えてもよい。
図1に示されるように放射ビームBはビームスプリッタBSによりパターニングデバイスPDに向けられるようにしてもよい。このビームスプリッタBSは、放射ビームがまずビームスプリッタBSにより反射されてパターニングデバイスPDに入射するように構成される。ビームスプリッタを使わずに放射ビームをパターニングデバイスに入射させるようにすることもできる。放射ビームは0度から90度の間の角度でパターニングデバイスに入射する。または例えば5度から85度の間、15度から75度の間、25度から65度の間、または35度から55度の間の角度であってもよい(図1には90度の例が示されている)。パターニングデバイスPDは放射ビームBを変調し、再度ビームスプリッタBSに向かって戻るように放射ビームBを反射する。ビームスプリッタBSは変調されたビームを投影系PSへと透過させる。しかしながら放射ビームBをパターニングデバイスPDに入射させ、そのまま更に投影系PSに入射させるという代替的な構成も可能であることも理解されよう。特に透過型のパターニングデバイスが用いられる場合には図1に示される構成は必要とはされない。
図示の装置はいくつかのモードで使用することができる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び加工対象物Wは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして加工対象物テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズによって、1回の静的露光で結像される目標部分Cの寸法が制限されることになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び加工対象物Wは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。個別制御可能素子アレイに対する加工対象物Wの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光での目標部分Cの(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子アレイは実質的に静止状態とされ、パルス放射源により加工対象物Wの目標部分Cにパターンの全体が投影される。加工対象物テーブルWTが実質的に一定の速度で移動して、ビームBは加工対象物W上を線状に走査させられる。個別制御可能素子アレイ上のパターンは放射系からのパルス間に必要に応じて更新される。パルス照射のタイミングは、加工対象物W上の複数の目標部分Cが連続して露光されるように調整される。その結果、加工対象物W上の1つの短冊状領域にパターンが完全に露光されるようビームBにより加工対象物Wが走査されることになる。この短冊状領域の露光を順次繰り返すことにより加工対象物Wは完全に露光される。
4.連続スキャンモードは基本的にパルスモードと同様である。異なるのは、変調された放射ビームBに対して加工対象物Wが実質的に等速で走査され、ビームBが加工対象物W上を走査し露光しているときに個別制御可能素子アレイ上のパターンが更新されることである。個別制御可能素子アレイのパターンの更新に同期させるようにした、実質的に一定の放射源またはパルス放射源を用いることができる。
5.ピクセルグリッド結像モードでは、加工対象物Wに形成されるパターンはスポット状の露光を連続的に行うことにより実現される。このモードは図2のリソグラフィ装置を使用して実現することができる。このスポット状の露光はスポット発生器により形成され、パターニングデバイスPDへと向けられる。スポット状の露光はそれぞれ実質的に同形状である。加工対象物W上には露光スポットが実質的に格子状(グリッド状)に転写される。このスポットの寸法は転写されるピクセルグリッドのピッチよりも大きいが、毎回の露光時に露光スポットが形成する格子の大きさよりはかなり小さい。転写されるスポットの強度を変化させることによりパターンが形成される。露光照射の合間に各スポットの強度分布が変更される。
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードで使用してもよい。
リソグラフィでは加工対象物W上のレジスト層にパターンが露光される。そしてレジストが現像される。続いて追加の処理工程が加工対象物Wに施される。加工対象物Wの各部分へのこれらの追加の処理工程の作用は、レジストへの露光の程度によって異なる。特にこの処理は、所与のドーズ閾値を超える放射ドーズ量を受けた加工対象物Wの部位が示す反応と、その閾値以下の放射ドーズ量を受けた部位が示す反応とが異なるように調整されている。例えば、エッチング工程においては上記の閾値を超える放射ドーズ量を受けた加工対象物W上の区域は、レジスト層が現像されることによりエッチングから保護される。一方、この閾値以下の放射ドーズ量を受けたレジストは露光後の現像工程で除去され、加工対象物Wのその区域はエッチングから保護されない。このため、所望のパターンにエッチングがなされる。特に、パターニングデバイス内の個別制御可能素子は、パターン図形内部となる加工対象物W上の区域での露光中の放射ドーズ量がドーズ閾値を超えるように実質的に高強度であるように設定される。加工対象物Wの他の領域は、ゼロまたはかなり低い放射強度を受けるように対応の個別制御可能素子が設定されることにより、ドーズ閾値以下の放射を受ける。
実際には、パターン図形端部での放射ドーズ量は所与の最大ドーズ量からゼロへと急激に変化するわけではない。この放射ドーズ量は、たとえ図形の境界部分の一方の側への放射強度が最大となり、かつその図形境界部分の他方の側への放射強度が最小となるように個別制御可能素子が設定されていたとしても急激には変化しない。回折の影響により、放射ドーズ量の大きさは移行領域を介して低下するからである。パターン図形の境界位置は最終的にレジストの現像により形成される。その境界位置は、照射されたドーズ量が閾値を下回る位置によって定められる。この移行領域でのドーズ量低下のプロファイル、ひいてはパターン図形の境界の正確な位置は、当該図形境界上または近傍に位置する加工対象物W上の各点に放射を与える個別制御可能素子の設定により、より正確に制御できるであろう。これは、照度レベルの最大値または最小値を制御するだけではなく、当該最大値及び最小値の間の照度レベルにも制御することによっても可能となるであろう。これは通常「グレイスケーリング」と呼ばれる。
グレイスケーリングによれば、個別制御可能素子により加工対象物Wに2値の放射強度(つまり最大値と最小値)だけが与えられるリソグラフィシステムよりも、パターン図形の境界位置の制御性を向上させることができる。少なくとも3種類の放射強度が加工対象物Wに投影されてもよく、または例えば少なくとも4種類の放射強度でも、少なくとも8種類の放射強度でも、少なくとも16種類の放射強度でも、少なくとも32種類の放射強度でも、少なくとも64種類の放射強度でも、少なくとも128種類の放射強度でも、少なくとも256種類の放射強度でもよい。
グレイスケーリングは上述の目的に加えてまたは上述の目的に代えて使用されてもよい。例えば、照射されたドーズ量レベルに応じて加工対象物Wの各領域が2種以上の反応を可能とするように、露光後の加工対象物Wへの処理が調整されていてもよい。例えば、第1のドーズ閾値以下の放射を受けた加工対象物Wの部位では第1の種類の反応が生じ、第1のドーズ閾値以上で第2のドーズ閾値以下の放射を受けた加工対象物Wの部位では第2の種類の反応が生じ、第2のドーズ閾値以上の放射を受けた加工対象物Wの部位では第3の種類の反応が生じるようにしてもよい。したがって、グレイスケーリングは、加工対象物W上での放射ドーズ量プロファイルが2以上の望ましいドーズ量レベルを有するようにするのに用いることができる。一実施例では、このドーズ量プロファイルは少なくとも2つの所望のドーズ量レベルを有し、または例えば少なくとも3つの所望のドーズ量レベル、少なくとも4つの所望のドーズ量レベル、少なくとも6つの所望のドーズ量レベル、または少なくとも8つの所望のドーズ量レベルを有してもよい。
放射ドーズ量プロファイルの制御は、上述のように加工対象物W上の各点が受ける放射強度を単に制御するという方法以外の方法によっても可能である。例えば、加工対象物W上の各点が受ける放射ドーズ量は、各点への露光時間を代替的にまたは追加的に制御することによっても制御することができる。他の例として、加工対象物W上の各点は、連続的な複数回の露光により放射を受けてもよい。このような連続的複数露光から一部の露光を選択して照射することにより代替的にまたは追加的に各点が受ける放射ドーズ量を制御することが可能となる。
図2は、一実施形態に係るリソグラフィ装置の一例を示す図である。この実施例は例えばフラットパネルディスプレイの製造に用いることができる。図1に示される構成要素に対応するものには図2においても同じ参照符号を付している。また、加工対象物Wやコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについてのさまざまな構成例などを含む上述のさまざまな変形例は同様に適用可能である。
図2に示されるように、投影系PSは、2つのレンズL1、L2を備えるビームエキスパンダを含む。第1のレンズL1は、変調された放射ビームBを受け、開口絞りASの開口部で合焦させる。開口部には他のレンズALを設けてもよい。そして放射ビームBは発散し、第2のレンズL2(例えばフィールドレンズ)により合焦させられる。
投影系PSは、拡大された変調放射ビームBを受けるように構成されているレンズアレイMLAをさらに備える。変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれレンズアレイMLAの異なる部分を通過する。この変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれ、パターニングデバイスPDの1つ以上の個別制御可能素子に対応している。各レンズは変調放射ビームBの各部分を加工対象物W上の点に合焦させる。このようにして加工対象物W上に照射スポットSの配列が露光される。図示されているレンズアレイには8つのレンズ14が示されているだけであるが、レンズアレイは数千のレンズを含んでもよい(パターニングデバイスPDとして用いられる個別制御可能素子アレイについても同様である)。
図3は、本発明の一実施形態に係り、図2のシステムを用いて加工対象物W上にどのようにパターンが生成されるのかを模式的に示す図である。図中の黒丸は、投影系PSのレンズアレイMLAによって加工対象物Wに投影されるスポットSの配列を示す。加工対象物Wは、加工対象物W上での露光が進むにつれて投影系に対してY方向に移動する。図中の白丸は、加工対象物W上で既に露光されている露光スポットSEを示す。図示されるように投影系PSのレンズアレイMLAによって加工対象物Wに投影された各スポットは加工対象物W上に露光スポット列Rを形成する。各スポットSの露光により形成される露光スポット列Rがすべて合わさって、加工対象物Wにパターンが完全に形成される。上述のようにこのような方式はよく「ピクセルグリッド結像」と称される。
照射スポットSの配列が加工対象物Wに対して角度θをなして配置されている様子が示されている(加工対象物Wの端部はそれぞれX方向及びY方向に平行である)。これは、加工対象物Wが走査方向(Y方向)に移動するときに、各照射スポットが加工対象物Wの異なる領域を通過するようにするためである。これにより、照射スポット15の配列により加工対象物Wの全領域がカバーされることになる。角度θは大きくても20°または10°であり、または例えば大きくても5°、大きくても3°、大きくても1°、大きくても0.5°、大きくても0.25°、大きくても0.10°、大きくても0.05°、または大きくても0.01°である。角度θは小さくても0.001°である。
図4は、本発明の一実施形態において、どのようにしてフラットパネルディスプレイ加工対象物W全体が複数の光学エンジンを用いて1回の走査で露光されるのかを模式的に示す図である。この例では照射スポットSの配列SAが8つの光学エンジン(図示せず)により形成される。光学エンジンはチェス盤のような配列で2つの列R1、R2に配置されている。照射スポットの配列の端部が隣接の照射スポット(例えば図3のスポットS)の配列の端部に(走査方向であるY方向において)少し重なるように形成される。一実施例では光学エンジンは少なくとも3列、例えば4列または5列に配列される。このようにして、照射の帯が加工対象物Wの幅を横切って延び、1回の走査で加工対象物W全体の露光が実現されることとなる。光学エンジンの数は適宜変更してもよい。一実施例では、光学エンジンの数は少なくとも1個であり、または例えば少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、または少なくとも17個である。一実施例では、光学エンジンの数は40個未満であり、または例えば30個未満または20個未満である。
各光学エンジンは、上述の照明系IL、パターニングデバイスPD、及び投影系PSを別個に備えてもよい。あるいは2個以上の光学エンジンが1以上の照明系IL、パターニングデバイスPD、及び投影系PSの少なくとも一部を共有してもよい。
図5は、減衰器500の一実施例を示す。減衰器500は、例えば光マスクレスリソグラフィ(OML)システム等の小開口数のリソグラフィシステムで使用されてもよい。図1に示されるリソグラフィ装置100は、減衰器500によって放射ビームB強度を減衰させるOMLの一例である。一実施例では、レチクル(つまりパターニングデバイスPD)またはレチクル共役面に減衰器500を配置することにより、放射強度不均一性の空間周波数が低減されてもよい。他の実施例では、減衰器500は、連続フィルム状の灰色フィルタでもよい。
減衰器500は、吸収フィルム520を支持する透明基板510を有する。吸収フィルム520は、基板510の少なくとも一部の断面を空間的に調整する吸収フィルムである。吸収フィルム520は、減衰器500を透過する放射ビームBの強度不均一性を軽減する。減衰器500は、透明な波面補償部530を有してもよい。波面補償部530は、吸収フィルム520を通過した波面を変形させる吸収フィルム520の屈折効果を補償する。減衰器500の各構成要素については以下に詳しく述べる。
基板510は吸収フィルム520を支持する。基板510は、基板510を透過する放射ビームに対して透明である。例えば、基板510は深紫外放射に透明である。深紫外放射は例えば実質的に193nmの波長を有する。
吸収フィルム520は、基板510の少なくとも一部の上に設けられている吸収フィルムである。また、吸収フィルム520は、基板510の少なくとも一部の形状を調整する吸収フィルムである。吸収フィルム520は、放射ビームBを透過するとともに放射ビームのある割合を吸収する。透過量及び吸収量は、基板510上での位置によってその位置での吸収フィルム520の厚さに応じて変化する。一実施例では、吸収フィルム520は、基板510の少なくとも一部の断面において非曲線である。
サブミクロンサイズのドットから吸収フィルム520に置き換えることにより、減衰器500は、従来型フィルタよりも安価となり、入射光を回折しなくなる。よって、減衰器500は、照明モードの実現可能空間周波数を制限したり、照明モードを変形したりしなくなる。
吸収フィルム520の特性は、吸収の法則によって決定される。透過強度は次の等式により決定される。
Figure 2009124143
ここで、tは時間であり、Itrは透過強度であり、Iは吸収フィルム520上での入射放射強度であり、αは吸収フィルム材料の吸収係数であり、lは吸収長さ(すなわち吸収フィルム520の厚さ)である。吸収長さは等式l≡α−1により吸収係数に関連づけられる。また、吸収放射強度は、次の等式により決定される。
Figure 2009124143
よって、吸収フィルム厚さと透過強度との関係は反比例的となる。逆に、吸収フィルム厚さと吸収強度とは比例的な関係となる。
図5に示されるように、基板510断面において吸収フィルム厚さは、吸収フィルム520を透過する放射ビームBの強度不均一性を軽減するように変化している。吸収フィルム厚さは、吸収フィルム520における放射ビームBの透過部位においてはゼロではない。このため、基板510断面での吸収フィルム520の厚さ変化に応じて、吸収フィルム520による透過光量及び吸収光量が基板510断面にわたって変化する。また、吸収フィルム520を透過した放射ビームB強度も、吸収フィルム厚さに依存して基板510断面にわたって変化する。吸収フィルム520は、放射ビームBのうち高強度の部分を透過させる部位において、放射ビームBのうち低強度の部分を透過させる吸収フィルム520の他の部位よりも厚さが大きい。このため、放射ビームBの高強度の部分は、放射ビームBの低強度の部分よりも減衰される。その結果、吸収フィルム520は、透過放射ビームBの強度不均一性を軽減することができる。
吸収フィルム520の組成及びこれに付随して吸収フィルム520の厚さは、例えば以下の要因により決定される。例えば、透過放射ビームBの波長(λ)、及び吸収フィルム材料の消光係数(k)である。消光係数(k)は、吸収フィルム材料の屈折率
Figure 2009124143
の虚数部分である。吸収長さ(l)(すなわち吸収フィルム厚さ)の許容範囲は消光係数(k)の許容範囲に基づいて以下の等式から決定される。
Figure 2009124143
同様に、消光係数(k)の許容範囲は吸収長さ(l)の許容範囲に基づいて以下の等式から決定される。
Figure 2009124143
一実施例では、吸収長さ(l)の許容範囲(すなわち許容できる吸収フィルム520の厚さ)は、500nm乃至2000nmであり、透過放射の波長(λ)は実質的に193nmである。500nm未満または2000nmより大きい吸収長さ吸収長さ(l)を用いてもよい。また、透過放射の波長(λ)は193nm以外であってもよい。これらの制限により、消光係数kabsの許容範囲は0.008乃至0.03となる。このため、0.008未満の消光係数(k)を有する吸収フィルム材料を使用する場合、吸収フィルムの厚さがかなり厚くなって過度に大きな厚さ調整が吸収フィルムに必要になる。逆に、0.03より大きい消光係数(k)を有する吸収フィルム材料を使用する場合、吸収フィルムの厚さがかなり薄くなって過度の薄さ調整が吸収フィルムに必要になる。
一実施例では、5%乃至10%の吸光度を有する吸収フィルム520における最大吸収フィルム厚さ(l)は50nm乃至200nmの範囲にある。更なる一実施例では、0.05%乃至0.1%の吸光度を有する吸収フィルム520における最小吸収フィルム厚さ(l)は0.5nm乃至1nmの範囲にある。
吸収フィルム520の組成は、消光係数(k)の許容範囲から決定されてもよい。上述の実施例と同様に消光係数(k)が0.008乃至0.3の範囲にある材料は多数存在する。以下の表は、透過放射の波長(λ)が実質的に193nmである場合に吸収フィルム520を製造しうる材料の光学特性を示す。
Figure 2009124143
表に示されるように、吸収フィルム520に使用される材料のほとんどが酸化窒化シリコン(SiO)である。酸化窒化シリコンは、酸素及び窒素の組成割合が石英ガラス(SiO)から窒化シリコン(Si)までの範囲で変化する不定比化合物である。酸化窒化シリコンの消光係数(k)の値は、組成に応じて10−6未満から0.23まで変化する。消光係数(k)の値は組成を調整することにより調整可能である。表に示すように、酸化窒化物の濃度が小さいほうが、合理的な吸収、及び石英ガラスに近い屈折率値を実現できるという点で好ましい。一実施例では、吸収フィルム520は、窒素が20%より小さく0%より大きい組成とされる。この表には比較のためにダイアモンドのデータも記載されている。また、石英ガラス(SiO)のデータも記載されている。波面補償部530が石英ガラスで形成されてもよい。
さらに図5を参照すると、波面補償部530が減衰器500に設けられていてもよい。波面補償部530は吸収フィルム520の屈折効果を軽減する。波面補償部530は、基板510上に形成されたフィルムであってもよい。一実施例では、基板510自体が吸収フィルム520の屈折効果を軽減する波面補償部530として機能するよう調整されている。
吸収フィルム520の厚さ調整は、吸収層の調整量(Δtabs)に比例した波面変形(Δωabs)を引き起こす。吸収層の調整(Δtabs)による波面変形(Δωabs)の効果は以下の等式に示される。
Figure 2009124143
Figure 2009124143
波面変形(Δωabs)を軽減するには波面補償部530が必要である。波面補償部530は例えば、以下の等式で決定される相補的厚さ変動(Δtcomp)を有する透明補償フィルムである。
Figure 2009124143
ここで、nabsは吸収フィルム520の屈折率であり、ncompは波面補償部530の屈折率である。よって、波面補償部530の厚さは、吸収フィルム520の厚さに反比例である。一実施例では、図5に示されるように、両側平行平面基板510が使用される場合には、波面補償部530の屈折率(ncomp)と吸収フィルム520の屈折率(nabs)との違いにより、波面補償部530の厚さに吸収フィルム520の厚さが加わって、第2の平面は生成されない。しかし、基板510は、単一の平面でさえ有する必要がない。
図6A乃至図6Dは、両面平行平面ではない基板510の減衰器500の例を示す図である。よって、これらの例では基板510が放射ビームBを拡大または縮小する。減衰器500はここで述べる基板形状には限定されない。吸収フィルム520はいかなる形状の基板に設けられてもよい。波面補償部530もいかなる形状の基板に設けられてもよい。例えば、基板510の形状は、平面であってもよいし、凹面でも、凸面でも、曲線でも、非曲線でも、これら形状のいかなる組合せであってもよい。光学倍率を有する基板510と吸収フィルム520との組合せは、リソグラフィ装置100における光学素子の数を低減し、リソグラフィ装置100の複雑さ及びコストを低減する。
図6Aは、平凸の基板510を含む減衰器500の例を示す。減衰器500は、基板510の平滑面600に吸収フィルム520を有する。
図6Bは、両凸の基板510を含む減衰器500の例を示す。減衰器500は、基板510の凸面610に吸収フィルム520を有する。
図6Cは、凹凸の基板510を含む減衰器500の例を示す。減衰器500は、基板510の凹面620に吸収フィルム520を有する。
図6Dは、平凹の基板510を含む減衰器500の例を示す。減衰器500は、基板510の平滑面630に吸収フィルム520を有する。
図7は、放射ビーム強度の不均一性を低減する方法700を示す。ステップ710においては、放射ビームが生成される。ステップ720においては、放射ビームが波長補償部を透過して、空間調整済吸収フィルム520からの放射ビーム出力の波面不均一性が小さくなる。ステップ730においては、放射ビームが空間調整済吸収フィルム520を透過して、放射ビームの照明強度が変化する。ステップ740においては、パターニングアレイが放射ビームで照明される。ステップ750においては、パターニングアレイを使用して放射ビームにパターンが与えられる。ステップ760においては、パターンが与えられたビームが加工対象物に投影される。一実施例では、ステップ720、及び740乃至760は省略してもよい。ステップ720、ステップ730は数字の順番で実行されなくてもよい。
本説明においてはリソグラフィ装置100の用途を特定の装置(例えば集積回路やフラットパネルディスプレイ)の製造としているが、ここでのリソグラフィ装置100は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積回路や集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、微小電気機械素子(MEMS)、LEDなどの製造に用いることが可能であり、これらに限られない。また、例えばフラットパネルディスプレイに関しては、本発明に係る装置は、例えば薄膜トランジスタ層及び/またはカラーフィルタ層などのさまざまな層の製造に用いることができる。
ここでは特に光学的なリソグラフィを本発明に係る実施形態に適用したものを例として説明しているが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光学的なリソグラフィに限られるものではない。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィーが加工対象物に生成されるパターンを決める。パターニングデバイスのトポグラフィーが加工対象物に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射や熱、圧力、あるいはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化されてから、パターニングデバイスは、パターンが生成されたレジストから外されて外部に移動される。
[結語]
本発明の種々の実施例を上に記載したが、それらはあくまでも例示であって、それらに限定されるものではない。本発明の精神と範囲に反することなく種々に変更することができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。本発明の範囲と精神は上記で述べた例示に限定されるものではなく、請求項とその均等物によってのみ定義されるものである。
「課題を解決する手段」及び「要約書」の項ではなく「発明の詳細な説明」の項が請求項を解釈するのに使用されるように意図されている。「課題を解決する手段」及び「要約書」の欄は本発明者が考えた本発明の実施例の1つ以上を示すものであるが、すべてを説明するものではない。よって、本発明及び請求項をいかなる形にも限定するものではない。
本発明の実施形態に係るリソグラフィ装置を示す図である。 本発明の実施形態に係るリソグラフィ装置を示す図である。 図2に示される本発明の一実施形態に係り、加工対象物にパターンを転写するモードの1つを示す図である。 本発明の一実施形態に係り、光学エンジンの配列を示す図である。 減衰器の一例を示す図である。 基板が両側平行平面基板ではない減衰器の一例を示す図である。 基板が両側平行平面基板ではない減衰器の一例を示す図である。 基板が両側平行平面基板ではない減衰器の一例を示す図である。 基板が両側平行平面基板ではない減衰器の一例を示す図である。 放射ビーム強度の不均一性を低減する方法を示す図である。
符号の説明
B 放射ビーム、 C 目標部分、 IL 照明系、 PD パターニングデバイス、 PS 投影系、 SO 放射源、 W 加工対象物、 WT 加工対象物テーブル。

Claims (24)

  1. 基板と、
    該基板に形成される吸収フィルムと、を備え、
    該吸収フィルムの厚さは、前記基板を透過する放射ビーム強度の不均一性を軽減するよう該基板の少なくとも一部の断面において空間的に調整されていることを特徴とするリソグラフィ装置。
  2. 前記吸収フィルムの厚さは前記基板の少なくとも一部の断面において非曲線であることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  3. 前記吸収フィルムは、消光係数が約10−6乃至約0.23の材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  4. 前記吸収フィルムは、酸化窒化シリコンを含むことを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  5. 前記酸化窒化シリコンは、0パーセント乃至約20パーセントの窒素を含むことを特徴とする請求項4に記載のリソグラフィ装置。
  6. 前記吸収フィルムの屈折効果を補償する波面補償部をさらに備え、該波面補償部は前記基板に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  7. 前記波面補償部は、酸化シリコンを含むことを特徴とする請求項6に記載のリソグラフィ装置。
  8. 前記波面補償部の厚さは、前記吸収フィルムの厚さに実質的に相補的に空間的に調整されていることを特徴とする請求項6に記載のリソグラフィ装置。
  9. 前記基板は平面を有することを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  10. 前記基板は非平面を有することを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  11. 放射ビームを調整する照明系と、
    放射ビームにパターンを与えるパターニングデバイスと、
    パターンが与えられたビームを加工対象物の目標領域に投影する投影系と、
    放射ビームを調整する減衰器であって、基板と、該基板に位置する吸収フィルムと、を含み、該吸収フィルムの厚さは、放射ビームの強度不均一性を軽減するよう該基板の少なくとも一部の断面において空間的に調整されている減衰器と、を備えることを特徴とするリソグラフィ装置。
  12. 前記放射ビームは実質的に193nmの波長を有することを特徴とする請求項11に記載のリソグラフィ装置。
  13. 前記吸収フィルムは前記基板の少なくとも一部の断面において非曲線の厚さを有することを特徴とする請求項11に記載のリソグラフィ装置。
  14. 前記吸収フィルムは、消光係数が約10−6乃至約0.23の材料を含むことを特徴とする請求項11に記載のリソグラフィ装置。
  15. 前記吸収フィルムは、酸化窒化シリコンを含むことを特徴とする請求項11に記載のリソグラフィ装置。
  16. 前記酸化窒化シリコンは、0パーセント乃至約20パーセントの窒素を含むことを特徴とする請求項15に記載のリソグラフィ装置。
  17. 前記減衰器は前記吸収フィルムの屈折効果を補償する波面補償部をさらに備え、該波面補償部は前記基板に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のリソグラフィ装置。
  18. 前記波面補償部は、酸化シリコンを含むことを特徴とする請求項17に記載のリソグラフィ装置。
  19. 前記波面補償部の厚さは、前記吸収フィルムの厚さに実質的に相補的に空間的に調整されていることを特徴とする請求項17に記載のリソグラフィ装置。
  20. 前記基板は平面を有することを特徴とする請求項11に記載のリソグラフィ装置。
  21. 前記基板は非平面を有することを特徴とする請求項11に記載のリソグラフィ装置。
  22. 放射ビームを生成し、
    基板に位置する吸収フィルムを放射ビームに透過させることを含み、
    該吸収フィルムの厚さは、前記放射ビームの強度不均一性を軽減するよう該基板の少なくとも一部の断面において空間的に調整されていることを特徴とする方法。
  23. 前記放射ビームの波面不均一性を軽減するよう該基板に位置する波面補償部を前記放射ビームに透過させることをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. 前記放射ビームでパターニングアレイを照明し、
    パターニングアレイを使用して前記放射ビームにパターンを付与し、
    パターンが付与されたビームを加工対象物に投影することをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
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