JP5198982B2 - ヒートスプレッダおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特にパワー半導体素子等の、動作時に大きな発熱を伴う素子からの熱除去用として好適に使用されるヒートスプレッダと、その製造方法に関するものである。
電気自動車やハイブリッド自動車、鉄道車両等において誘導モータを駆動させる際に、直流から交流への電力変換を行うためのインバータ回路に用いる絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ等のパワー半導体素子や、あるいはプラズマディスプレイパネル等の画像表示素子、コンピュータ用のマイクロプロセッサユニット、レーザーダイオード等の、動作時に大きな発熱を伴う素子においては、前記熱をできるだけ速やかに除去することが求められる。発生した熱を速やかに除去しないと素子自体が過熱して誤動作(熱暴走)したり、破損したりするおそれがあるためである。
近年、前記各種装置類のより一層の高性能化および高出力化の進展に伴って、半導体素子を、現在一般的に用いられているケイ素(Si)系、ガリウム−砒素(GaAs)系、インジウム−燐(InP)系の素子から、炭化ケイ素(SiC)系、窒化ガリウム(GaN)系の素子へと移行することが検討されている。その場合、素子の動作可能温度を、例えばケイ素系の素子等の120℃前後から、炭化ケイ素系の素子等の200℃前後まで引き上げることが可能となり、過熱による誤動作や破損等をこれまでよりも起こりにくくできるものと考えられているが、素子からの熱をできるだけ速やかに除去する必要があることには変わりはない。
素子からの熱を速やかに除去して誤動作や破損を防止するためには、前記素子を、例えば平板状に形成したヒートスプレッダの、前記表面または裏面に直接に、あるいはセラミック基板等を介してはんだ接合等して搭載した状態で、前記ヒートスプレッダを冷却器等にネジ止め等して固定するのが一般的である。前記ヒートスプレッダとしては従来、銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の金属、もしくは合金によって全体を一体に形成したものが用いられてきた。
しかし近時、先に説明したSi系、GaAs系、InP系、SiC系、GaN系等の素子や、あるいは窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al23)、窒化ケイ素(Si34)等のセラミック基板等と熱膨張係数が近い、タングステン(W)、モリブデン(Mo)またはこれらを含む合金等を主要成分とする低熱膨張材料からなるものをヒートスプレッダとして用いることが検討されている。これは、素子やセラミック基板の熱膨張係数と、ヒートスプレッダの熱膨張係数とをできるだけ近づけることによって、素子の動作による発熱と停止後の冷却とを繰り返した際に、熱膨張係数の違いに基づいて素子に過剰な応力が加わって前記素子自体が破損したり、はんだ接合が破壊されたりするのを抑制できると考えられるためである。
かかる低熱膨張材料からなるヒートスプレッダとしては、例えば
(i) 前記タングステン等の粉末と、銅等の粉末とを混合した混合物を、前記銅等の融点以上に加熱して溶融させると共にタングステン等からなる粉末間に浸透させたのち、冷却して一体化させたものや、
(ii) タングステン等の粉末からなる多孔質体(スケルトン)を作製し、前記焼結体の細孔中に、溶融させた銅等を含浸させたのち冷却して一体化させたもの、
等が挙げられる。
これらのヒートスプレッダにおいて形成材料として銅等を併用しているのは、タングステン等だけでは不足する熱伝導率を補って高い熱伝導率を付与することを意図しているためである。しかし、前記従来構造では熱膨張係数と熱伝導率の関係が複合則に従い熱伝導率が制約されるため、ヒートスプレッダに、素子やセラミック基板と同等程度の熱膨張係数を維持しながら、高い熱伝導率を付与することはできなかった。
そこで改善策として、前記タングステン等からなる平板状の基材に、その表面から裏面へ厚み方向に貫通させて複数の貫通孔を形成し、前記貫通孔中に、溶融させた銅等を流し込んだのち冷却させて一体化させたヒートスプレッダが提案されている(特許文献1参照)。また前記(ii)のヒートスプレッダを形成するにあたり、タングステン等の粉末中に、平均短径が50μm以上の銅等の塊を混合した状態で焼結体を形成し、形成した焼結体の細孔中に、さらに溶融させた銅等を含浸させたのち冷却して一体化させたヒートスプレッダも提案されている(特許文献2参照)。
前者のヒートスプレッダによれば、タングステン等からなる基材によって、特にその面方向の熱膨張係数を素子やセラミック基板等の熱膨張係数に近づけながら、厚み方向に貫通させた貫通孔に充填した銅によって、前記厚み方向の熱伝導率を向上できると考えられている。
また後者のヒートスプレッダにおいては、その内部に、前記銅等の塊に起因する比較的大きな銅プール相が形成される。そのため、タングステン等の粉末からなる焼結体によって、前記面方向の熱膨張係数を素子やセラミック基板等の熱膨張係数に近づけながら、焼結体の細孔中の銅相を経由する熱伝導の熱伝導率を、前記銅相と連続させて前記銅プール相を設けることで、従来に比べて向上できると考えられている。
また特許文献3には、タングステン等と同様に熱膨張係数の小さい黒鉛からなる基材に貫通孔を形成し、前記貫通孔中に、溶融させた銅等を流し込んだのち冷却させて一体化させたヒートスプレッダが記載されている。かかるヒートスプレッダによれば、先の特許文献1に記載のものと同様に、黒鉛からなる基材によって面方向の熱膨張係数を素子やセラミック基板等の熱膨張係数に近づけながら、厚み方向に貫通させた貫通孔に充填した銅によって、前記厚み方向の熱伝導率を向上できると考えられている。
ところが発明者の検討によると、前記いずれの構成を採用しても、それらの構造から期待される程度の高い熱伝導性をヒートスプレッダに付与することはできなかった。
特開2003−17637号公報 再公表特許WO2004/038049号 特開2007−123516号公報
本発明の目的は、略平板状に形成され、その面方向の熱膨張係数が素子やセラミック基板等の熱膨張係数と近い上、厚み方向の熱伝導率が現状よりもさらに高いヒートスプレッダと、その製造方法とを提供することにある。
銅は、不純物が少なく純銅に近いほど熱伝導率が高いことが知られている。しかし、特許文献1、3に記載のヒートスプレッダにおいては、いずれも銅等をその融点以上に加熱して溶融させた状態で、基材に設けた貫通孔に流し込んでいる。また特許文献2に記載のヒートスプレッダにおいては、タングステン等の粉末と共に焼成して多孔質の焼結体を形成する際の加熱によって銅等の塊を溶融させて銅プール相を形成している。また、先に説明したように銅等を溶融させた状態で、前記焼結体の細孔中に含浸させて銅相を形成している。
そのため、前記溶融時に銅の一部が酸化されて酸化銅を生成し、前記酸化銅が銅との共晶によって熱伝導率を低下させたり、溶融した銅中に、基材に含まれる低融点不純物が溶け込み、溶け込んだ低融点不純物が結晶粒界に析出することで熱伝導率を低下させたりするおそれがあり、前記いずれの構成でも、ヒートスプレッダの厚み方向に高い熱伝導率を付与できないことが判明した。そこで発明者は、低熱膨張材料からなる略平板状の基材の表面から裏面へ貫通させて、銅からなる複数の伝熱部材を設けた構造のヒートスプレッダにおいて、前記伝熱部材の熱伝導率を向上することを検討した。
その結果、伝熱部材を構成する銅の含有酸素量を20ppm以下とすれば、前記酸素と、それ以外の不純物とを含む全ての不純物の含有不純物量を前記特許文献1ないし3等の従来の技術に比べて著しく少なくして熱伝導率が大きい状態を維持することができ、ヒートスプレッダの厚み方向に、前記伝熱部材を経由することで、従来の同様な構造からなるものよりも高く、かつ全体が銅等からなるものにより近い、高い熱伝導率を付与できることを見出した。したがって本発明は、低熱膨張材料からなり略平板状の基材と、前記基材の表面から裏面へ厚み方向に貫通させて設けられていると共に前記両面において露出された、銅からなる複数の伝熱部材とを含み、前記伝熱部材を構成する銅の含有酸素量が20ppm以下であることを特徴とするヒートスプレッダである。
なお本発明のヒートスプレッダにおいて、面方向の熱膨張係数を素子やセラミック基板等の熱膨張係数に近づけて、素子の動作による発熱と停止後の冷却とを繰り返した際に、熱膨張係数の違いに基づいて素子に過剰な応力が加わって前記素子自体が破損したり、はんだ接合が破壊されたりするのを防止する効果をできるだけ高めることを考慮すると、前記面方向の熱膨張係数は16×10-6/K以下であるのが好ましい。
また本発明のヒートスプレッダにおいて、面方向の熱膨張係数を素子やセラミック基板等の熱膨張係数に近づけながら、前記のように伝熱部材の良好な熱伝導率を活かして、素子からの熱をできるだけ速やかに、かつ効率よく、ヒートスプレッダを介して冷却器等に伝えて除去することを考慮すると、各伝熱部材は、基材の厚み方向と交差する面方向の断面積が、前記基材の表面から裏面まで同一とされていると共に、前記面方向における、複数の伝熱部材の断面積の合計の、ヒートスプレッダの全体での断面積中に占める割合が1%以上、50%以下であるのが好ましい。
本発明は、前記本発明のヒートスプレッダを製造する製造方法であって、
(a) 圧縮成形により柱状の圧縮成形体を得るための型内に、銅からなり伝熱部材のもとになる複数本の棒材を、それぞれの軸方向を柱の長さ方向と略平行に向けて配設すると共に、前記型内の各棒材間の隙間に、基材のもとになるタングステン、モリブデン、セラミック、およびダイヤモンドからなる群より選ばれた少なくとも一種の粉末、および銅と接合可能な金属または合金の粉末を含む低熱膨張材料を充填した後、銅の融点未満の温度で圧縮成形して、柱状で、かつ前記複数の棒材がそれぞれの軸方向を柱の長さ方向と略平行に向けて埋設された圧縮成形体を形成する工程と、
(b) 前記圧縮成形体を、銅の融点未満の温度で焼成して焼結体を形成する工程と、
(c) 前記焼結体を柱の長さ方向と交差方向に切断して略平板状のヒートスプレッダを製造する工程と
を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、酸化や不純物の混入により熱伝導率が小さくなる原因となる、伝熱部材のもとになる銅を溶融させる工程を経ることなしに、略平板状の基材の表面から裏面へ貫通させて、銅からなる複数の伝熱部材を設けた構造のヒートスプレッダを製造することができる。そのため、前記伝熱部材のもとになる棒材として、例えば無酸素銅等からなるものを使用することで、伝熱部材を構成する銅の含有酸素量を20ppm以下として熱伝導率が大きい状態を維持することができ、伝熱部材を経由するヒートスプレッダの厚み方向の熱伝導率を向上することができる。
前記本発明の製造方法においては、前記焼結体を、切断に先立って銅の融点未満の温度で、塑性加工により柱の長さ方向と交差方向に圧縮変形させて塑性加工体を形成した後、前記塑性加工体を前記交差方向に切断して略平板状のヒートスプレッダを製造するのが好ましい。これにより、製造されるヒートスプレッダのうち基材の緻密性を向上させて、前記基材自体の熱伝導率を高めることができ、ヒートスプレッダの全体での厚み方向の熱伝導率をさらに向上することができる。
また、棒材からなる伝熱部材の、面方向の断面積および形成ピッチを小さくして、ヒートスプレッダの面方向に、前記伝熱部材による熱伝導が良好な領域をきめ細かく配置して、素子等から冷却器等への熱伝導の性能を向上することもできる。
本発明によれば、略平板状に形成され、その面方向の熱膨張係数が素子やセラミック基板等の熱膨張係数と近い上、厚み方向の熱伝導率が現状よりもさらに高いヒートスプレッダと、その製造方法とを提供することができる。
図1は、本発明のヒートスプレッダの、実施の形態の一例を示す斜視図である。図2は、前記例のヒートスプレッダの内部構造を示す拡大断面図である。両図を参照して、この例のヒートスプレッダ1は、矩形平板状の基材2と、前記基材2の表面3から裏面4へ厚み方向に貫通させて設けられていると共に前記両面3、4において露出された、銅からなる複数の伝熱部材5とを含んでいる。
前記伝熱部材5を構成する銅の含有酸素量は20ppm以下である必要がある。これにより、先に説明したように伝熱部材5を構成する銅における酸素と、それ以外の不純物とを含む全ての不純物の含有不純物量を著しく少なくして熱伝導率が大きい状態を維持することができ、ヒートスプレッダ1の厚み方向に、前記伝熱部材5を経由することで、従来の同様な構造からなるものよりも高く、かつ全体が銅等からなるものにより近い、高い熱伝導率を付与することができる。
なお伝熱部材5を構成する銅の含有酸素量を、本発明では、例えば金属用の酸素・窒素同時分析装置(LECO社製のTC−436AR)等を用いた赤外線吸収法によって求めた値でもって規定することとする。この方法では、例えばヘリウムガス等の雰囲気中で試料を溶融したときに発生するガス中の酸素量を、赤外線吸収法によって測定することができる。
先に説明したように伝熱部材5を構成する銅は、不純物が少なく純銅に近いほど熱伝導率が高くなる傾向を示すため、その含有酸素量は前記範囲内でも小さいほど好ましい。しかし、前記伝熱部材5のもとになる銅材の工業的な生産工程や生産性等を考慮すると、含有酸素量は3ppm以上であるのが好ましい。
また、これらの事情を併せ考慮すると、伝熱部材5を構成する銅の含有酸素量は、前記範囲内でも10ppm以下、特に4ppm以上、9ppm以下であるのが好ましい。また、前記のように熱伝導率が大きい状態を維持することを考慮すると、前記酸素と、それ以外の不純物とを含む全ての不純物の含有不純物量も小さいほど好ましく、400ppm以下、特に200ppm以下であるのが好ましい。含有不純物量は、例えばグロー放電質量分析装置(GD−MS)等を用いて測定することができる。
伝熱部材5を構成する銅の含有酸素量および含有不純物量は、例えば後述する本発明の製造方法のように、酸化や不純物の混入が発生する主な原因となる銅を溶融させる工程を経ることなしにヒートスプレッダ1を製造することと、その際に、伝熱部材5のもとになる材料として、例えば無酸素銅等からなるものを使用することにより、前記範囲内に調整できる。詳細は後述する。
図の例では、個々の伝熱部材5は、基材2の厚み方向と交差する面方向の断面形状が、前記基材2の表面3から裏面4まで同一直径の円形である円柱状に形成されている。伝熱部材5を円柱状とした場合には、前記伝熱部材5と基材2との界面に角部が形成されないため、素子の動作による発熱と停止後の冷却とを繰り返した際に、前記基材2が、膨張収縮による前記角部への応力集中によって破損するのを防止できる。
また前記円柱状のように、伝熱部材5の断面積を、基材2の表面3から裏面4まで同一とした場合には、例えば途中に断面積の小さい部分を有する伝熱部材5に比べて、素子からの熱をできるだけ速やかに、かつ効率よく、ヒートスプレッダ1を介して冷却器等に伝えて除去することができる。また、途中に断面積の大きい部分を有する伝熱部材5では、隣り合う伝熱部材5間に局部的に基材2の薄い部分が生じて、前記発熱と冷却とを繰り返した際に、基材2が、前記部分への応力集中によって破損するおそれがあるのに対し、伝熱部材5の断面積を同一とした場合には、かかる破損の発生を抑制することもできる。
伝熱部材5の、基材2の厚み方向と交差する面方向の断面積を、前記基材2の表面3から裏面4まで同一とした場合に、前記面方向における、複数の伝熱部材5の断面積の合計の、ヒートスプレッダ1の全体での断面積中に占める割合RSは1%以上、50%以下であるのが好ましい。前記割合RSが1%未満では、たとえ伝熱部材5を構成する銅の含有酸素量が小さく熱伝導率が大きくても、素子からの熱をできるだけ速やかに、かつ効率よく、ヒートスプレッダを介して冷却器等に伝えて除去できないおそれがある。
また前記割合RSが50%を超える場合には、相対的に基材2の割合が小さくなるため、前記基材2による、ヒートスプレッダ1の面方向の熱膨張係数を素子やセラミック基板等の熱膨張係数に近づける効果が得られず、素子の動作による発熱と停止後の冷却とを繰り返した際に、熱膨張係数の違いに基づいて素子に過剰な応力が加わって前記素子自体が破損したり、はんだ接合が破壊されたりするおそれがある。また前記発熱と冷却とを繰り返した際に、熱膨張係数の小さい基材2が割れたりするおそれもある。
なお、これらの事情を併せ考慮すると、前記割合RSは、前記範囲内でも20%以上、30%以下であるのがさらに好ましい。前記割合RSは、伝熱部材5の数および個々の伝熱部材5の断面積を適宜変更することにより、前記範囲内に調整できる。
また図の例では、複数の伝熱部材5が、基材2の矩形の一辺に平行な複数の列(図では7列)に配列されていると共に、各列内で、それぞれの伝熱部材5が等ピッチに配列されている。また各列は、それぞれ列内の伝熱部材5のピッチの半ピッチ分の間隔で等間隔に配列されていると共に、隣り合う列の伝熱部材5は互いに半ピッチ分ずつずらして配列されている。
複数の伝熱部材5を上記のように配列すれば、前記伝熱部材5を基材2の表面3および裏面4において等間隔で、かつ均一に露出させて、素子等から冷却器等への熱伝導に、面方向において偏りが生じるのを防止できる。また、素子の動作による発熱と停止後の冷却とを繰り返した際に、前記面方向での膨張収縮に偏りが生じるのを防止して、基材2が、前記膨張収縮による応力集中によって破損するのを防止することもできる。
前記伝熱部材5を含むヒートスプレッダ1の、面方向の熱膨張係数は16×10-6/K以下であるのが好ましい。これにより、先に説明したようにヒートスプレッダ1の、面方向の熱膨張係数を素子やセラミック基板等の熱膨張係数に近づけて、素子の動作による発熱と停止後の冷却とを繰り返した際に、熱膨張係数の違いに基づいて素子に過剰な応力が加わって前記素子自体が破損したり、はんだ接合が破壊されたりするのを防止する効果を高めることができる。
なお熱膨張係数は、前記効果をさらに向上することを考慮すると、前記範囲内でも14×10-6/K以下、特に12×10-6/K以下であるのが好ましい。また熱膨張係数の下限は特に限定されないが、例えば先に説明したタングステン等の粉末と、銅等の粉末とを含む低熱膨張材料の焼成によって基材2を形成する場合は、その材料上の制約および製法上の制約等から、熱膨張係数は8.0×10-6/K以上であるのが好ましい。
基材2がその他の低熱膨張材料からなる場合は、それぞれの材料に応じた熱膨張係数の好ましい下限値が設定される。前記熱膨張係数は、ヒートスプレッダ1のうち基材2を構成する低熱膨張材料の種類や組成、あるいは基材2を形成する際の焼成条件等を調整したり、ヒートスプレッダ1における、前記基材2と伝熱部材5との体積比率を調整したりすることにより、前記範囲内に調整できる。
ヒートスプレッダ1の、厚み方向の熱伝導率を、本発明では、先に説明したように伝熱部材5を構成する銅の含有酸素量を調整することにより、従来に比べて高くすることができる。しかし熱伝導率は、面方向の熱膨張係数と二律背反の関係にあり、その好適な範囲を一律に規定することはできない。熱膨張係数との兼ね合いで、前記好適な範囲を規定するのがよい。
例えばヒートスプレッダ1の、面方向の熱膨張係数が10×10-6/K以上、11×10-6/K以下である場合に、厚み方向の熱伝導率は240W/m・K以上であるのが好ましい。また前記熱膨張係数が8×10-6/K以上、9×10-6/K以下である場合には、前記熱伝導率は180W/m・K以上であるのが好ましい。また熱伝導率の上限は特に限定されないものの、その材料上の制約等から350W/m・K以下であるのが好ましい。
基材2としては、例えば
(1) タングステン、モリブデン、セラミック、およびダイヤモンドからなる群より選ばれた少なくとも一種の粉末と、銅と接合可能な金属または合金の粉末とを含む低熱膨張材料を圧縮成形したのち、例えば非酸化性雰囲気中で、前記金属または合金の融点未満の温度で焼成したもの、または前記焼結体を、さらに金属または合金の融点未満の温度に加熱しながら圧縮成形して複合構造の緻密化を図ったもの、
(2) あらかじめ形成された、タングステン、モリブデン、およびセラミックからなる群より選ばれた少なくとも一種からなる多孔質体(スケルトン)の細孔中に、例えば真空炉中で、溶融させた金属または合金を含浸させたもの、および
(3) タングステンまたはモリブデンの板材
からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
このうち(1)(2)において用いる金属または合金としては、伝熱部材5のもとになる銅と接合可能な種々の金属や合金がいずれも使用可能であるが、特に銅の融点〔=1357.6K(1084.4℃)〕未満の温度で良好に接合させることを考慮すると銅または銅合金が好ましい。また(1)において使用する銅または銅合金の粉末としては、例えばアトマイズ法等によって作製された純銅粉末や、日本工業規格JIS H3100:2006「銅及び銅合金の板並びに条」において規定されたC1020「無酸素銅」、C1100「タフピッチ銅」等の粉末等が挙げられる。前記銅または銅合金の粉末は、前記工程を経て形成される基材2中に、タングステン等の粉末をできるだけ細かくかつ均等に分布させて、その分布に偏りがない基材2を得ることを考慮すると、平均粒径が30μmないし60μmであるのが好ましい。
タングステンの粉末としては、前記タングステンまたはその合金からなる粉末が挙げられる。タングステンの粉末は、前記平均粒径を有する銅または銅合金の粉末と混合し、前記工程を経て形成される基材2中に、できるだけ細かくかつ均等に分布させて、その分布に偏りがない基材2を得ることを考慮すると、平均粒径が4μmないし10μmであるのが好ましい。
またモリブデンの粉末としては、前記モリブデンまたはその合金からなる粉末が挙げられる。モリブデンの粉末は、前記平均粒径を有する銅または銅合金の粉末と混合し、前記工程を経て形成される基材2中に、できるだけ細かくかつ均等に分布させて、その分布に偏りがない基材2を得ることを考慮すると、平均粒径が2μmないし6μmであるのが好ましい。
セラミックの粉末としては、例えば炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、酸化アルミニウム(Al23)等からなる粉末が挙げられる。セラミックの粉末は、前記平均粒径を有する銅または銅合金の粉末と混合し、前記工程を経て形成される基材2中に、できるだけ細かくかつ均等に分布させて、その分布に偏りがない基材2を得ることを考慮すると、平均粒径が30μmないし60μmであるのが好ましい。
ダイヤモンドの粉末としては、例えば工業用ダイヤモンドの粉末が挙げられる。ダイヤモンドの粉末は、前記平均粒径を有する銅または銅合金の粉末と混合し、前記工程を経て形成される基材2中に、できるだけ細かくかつ均等に分布させて、その分布に偏りがない基材2を得ることを考慮すると、平均粒径が10μmないし50μmであるのが好ましい。粉末材料がダイヤモンドである場合の基材2の形成方法は、例えば特開2004−175626号公報に詳しい。
前記タングステン等の粉末と、銅または銅合金の粉末との配合割合は特に限定されない。ただし、前記低熱膨張材料からなる基材2の熱膨張係数は、タングステン等の割合を増減させることで調整可能であるため、ヒートスプレッダ1の、面方向の熱膨張係数が、先に説明した範囲内の任意の値となるように、あるいは後述する本発明の製造方法では、そのうち特に塑性加工の工程での加工性を向上するために、両者の配合割合を調整すればよい。
例えばタングステンの粉末と、銅または銅合金の粉末との配合割合は、銅または銅合金の質量%で表して25質量%ないし60質量%であるのが好ましい。またモリブデンの粉末と、銅または銅合金の粉末との配合割合も、同様に銅または銅合金の質量%で表して25質量%ないし60質量%であるのが好ましい。このいずれの組み合わせにおいても、銅または銅合金が25質量%未満では塑性加工時の加工性が低下するおそれがあり、60質量%を超える場合には、ヒートスプレッダ1の、面方向の熱膨張係数が前記好適な範囲を超えるおそれがある。
また(2)において使用する多孔質体は、例えばタングステン等の粉末を樹脂等のバインダと混合した混合物を所定の形状に成形したのち、焼成してバインダを除去すると共にタングステン等の粉末を焼結させる等して形成される。粉末材料がタングステンまたはモリブデンである多孔質体、ならびに前記多孔質体を用いた基材の形成方法は、例えば特開昭59−21032号公報に詳しい。また(3)のタングステンまたはモリブデンの板材としては、それぞれ基材2の形状に形成した板材が用いられる。
伝熱部材5は、例えば銅の棒材によって形成される。前記銅の棒材としては、伝熱部材5を構成する銅の含有酸素量、および含有不純物量を前記範囲内とするために、例えば日本工業規格JIS H3100:2006「銅及び銅合金の板並びに条」において規定されたC1020「無酸素銅」(銅純度99.96質量%、含有酸素量10ppm以下)等の棒材が挙げられる。前記棒材のサイズは、製造するヒートスプレッダ1に求められる、先に説明した、複数の伝熱部材5の断面積の合計の割合RS、面方向の熱膨張係数、厚み方向の熱伝導率、あるいはヒートスプレッダ1の製造方法(圧縮変形の工程が入る場合は圧縮率を考慮する必要がある)等に応じて任意に設定できる。
本発明のヒートスプレッダ1のうち、基材2が(1)の焼結体からなるものは、先に説明した本発明の製造方法によって製造することができる。図3ないし図7は、前記本発明の製造方法によってヒートスプレッダ1を製造する工程を説明する図である。
図3を参照して、この例の製造方法では、まず圧縮成形により柱状の圧縮成形体を得るための型を用意する。すなわち圧縮成形用の型窩6を構成する上型(上杵)7、下型(下杵)8、およびダイ(臼)9と、これらで構成される型窩6内の柱の両端に対応する位置に設置されて、銅からなり伝熱部材5のもとになる複数本の棒材10を、それぞれの軸方向を柱の長さ方向と略平行に向けて保持するための一対の治具11と、前記型窩6内に治具11によって保持した棒材10の周囲を囲むように設置されて、前記治具11と共に、柱状の圧縮成形体に対応する成形空間12を構成する治具13とを用意する。前記治具11、13は、それぞれウレタン等で形成される。
前記一対の治具11間に複数本の棒材10を保持すると共に、前記成形空間12内の、各棒材10間の隙間に、基材2のもとになるタングステン、モリブデン、セラミック、およびダイヤモンドからなる群より選ばれた少なくとも一種の粉末、および銅と接合可能な金属または合金の粉末を含む低熱膨張材料14を充填する。
次いで上型7を、図中に実線の矢印で示すように型窩6に挿入して下型8の方向に押し込むと、その際の圧力によって治具11、13が変形して、成形空間12内の棒材10と、低熱膨張材料14とを、図の上下方向だけでなく左右方向、前後方向からも加圧するいわゆる等方圧成形が行なわれ、それによって図4に示すように柱状で、かつ前記複数の棒材10がそれぞれの軸方向を柱の長さ方向と略平行に向けて埋設された圧縮成形体15が形成される。
圧縮成形は、伝熱部材5のもとになる棒材10が溶融して酸化されたり不純物が混入したりするのを防止するために、前記棒材10を形成する銅の融点未満の温度で行なう。ここでいう銅の融点未満の温度で圧縮成形するとは、前記圧縮成形のための型を積極的に銅の融点以上に加熱せずに、室温(5℃ないし35℃)付近で圧縮成形することを指す。圧縮成形時には、型の内部圧力の上昇に伴って内部温度が局部的に上昇することがあるが、前記室温付近で圧縮成形をする場合には、型内において、特に棒材10を形成する銅が溶融するような高温への温度上昇が広範囲にわたって発生するおそれはない。
圧縮成形時の圧力は294MPa以上、588MPa以下に設定するのが好ましい。圧縮成形時の圧力が294MPa未満では、圧縮成形体15の強度が不足して、特に焼成のために型から取り出す際や取り出した後の焼成工程等において型崩れしやすくなるおそれがある。また、圧縮成形時の圧力が588MPaを超えても、圧縮成形体15の強度をそれ以上に高める効果は得られない上、前記高圧の圧縮成形を行うための装置が大掛かりになりすぎるという問題もある。
次に、前記圧縮成形体15を、例えば非酸化性雰囲気中で、銅の融点未満の温度で焼成すると、低熱膨張材料14を構成する金属または合金の粉末とタングステン等の粉末とが焼結されると共に、銅からなる棒材10が、溶融することなく前記金属または合金と接合されて、焼結体16が形成される。焼成は、図示していないが圧縮成形体15を型から取り出した状態で、あるいは取り出した圧縮成形体15を、型崩れを防止するための簡単な(熱容量の小さい)型枠に嵌め込む等した状態で行なうようにするのが好ましい。これにより、焼成に要するエネルギーと時間とを削減して生産性を向上できる。
焼成の温度は、先に説明したように銅の融点未満であればよいが、特に900℃以上、1080℃以下であるのが好ましい。また焼成の時間は0.5時間以上、2時間以下であるのが好ましい。
焼成の温度が1080℃を超えるか、または焼成の時間が2時間を超える場合には、たとえ棒材10を形成する銅が溶融しなくても、酸素やその他の不純物が銅中に過剰に熱拡散して、前記銅の含有酸素量、含有不純物量が先に説明した範囲を超えてしまい、目的とする、前記銅からなる伝熱部材5による、ヒートスプレッダ1の厚み方向の熱伝導率を向上する効果が得られないおそれがある。また、焼成の温度が900℃未満であるか、または焼成の時間が0.5時間未満である場合には十分な強度を有する焼結体16が得られず、次工程で前記焼結体16を塑性加工する際に、割れ等が生じやすくなるおそれがある。
次に、前記焼結体16を、必要に応じて、銅の融点未満の温度で、塑性加工により柱の長さ方向と交差方向に圧縮変形させる。詳しくは、図5に示すように焼結体16の柱の長さ方向と交差方向の断面積よりも開口面積が小さい開口部17を有するダイ18を用意し、前記焼結体16をダイ18の開口部17を通過させることで前記交差方向に圧縮変形させながら、図中に白矢印で示す方向に引き抜く引抜加工をすることにより塑性加工体19を形成する。
あるいは、図6に示すように焼結体16を、前記焼結体16の外周と接する通孔20を有するガイド部材21によってガイドしながら図中に黒矢印で示す方向に押し出して、ダイ18の開口部17を通過させることで前記交差方向に圧縮変形させる押出加工をすることにより塑性加工体19を形成する。前記引抜加工、押出加工は、それぞれ開口部17の開口面積が異なる複数のダイ18を交換して使用しながら、塑性加工体19が所定の断面積になるまで複数回に分けて段階的に行なってもよい。
前記引抜加工、押出加工等の塑性加工の温度は、先に説明したように銅の融点未満であればよいが、特に200℃以上、500℃以下であるのが好ましい。塑性加工の温度が200℃未満では、塑性加工時に、焼結体16に割れ等が発生するおそれがあり、500℃を超える場合には、塑性加工をするための装置の熱対策が難しくなりすぎるという問題を生じるおそれがある。
前記塑性加工を行うことにより、製造されるヒートスプレッダ1のうち基材2の緻密性を向上させて、前記基材2自体の熱伝導率を高めることができ、ヒートスプレッダ1の全体での厚み方向の熱伝導率をさらに向上することができる。また、棒材10からなる伝熱部材5の、面方向の断面積および形成ピッチを小さくして、ヒートスプレッダ1の面方向に、前記伝熱部材5による熱伝導が良好な領域をきめ細かく配置して、素子等から冷却器等への熱伝導の性能を向上することもできる。なお塑性加工は、ヒートスプレッダ1に要求される性能や仕様等によっては省略しても良い。
次に、図7に一点鎖線で示すように塑性加工体19、または塑性加工しない場合は焼結体16を柱の長さ方向と交差方向に切断し、さらに必要に応じて切断面を研磨等することにより、低熱膨張材料からなり略平板状の基材2と、前記基材2の表面3から裏面4へ厚み方向に貫通させて設けられていると共に前記両面3、4において露出された、銅からなる複数の伝熱部材5とを含む平板状のヒートスプレッダ1が製造される。
なお、基材2が(1)の焼結体からなるヒートスプレッダ1は、以上で説明した製造方法の他に、例えばあらかじめ平板状に形成した基材2を用いて、下記の製造方法によって製造することもできる。すなわち、基材2の厚み方向に貫通させて複数の貫通孔を形成したものを用意し、前記基材2の貫通孔の内周面を、必要に応じて銅めっきした後、前記貫通穴に、伝熱部材5のもとになる銅の棒材を基材2の厚みとほぼ一致する長さに切断したものを挿入して組立体を構成する。
そして、前記組立体をそのままの状態で、あるいは型枠に嵌め込む等した状態で、銅の融点未満、好ましくは900℃以上、1080℃以下の温度で、0.5時間以上、2時間以下程度に亘って焼成すると、前記基材2と棒材とが、基材2中の金属または合金の拡散接合、または銅めっき層による銅拡散接合によって一体化されて、ヒートスプレッダ1が製造される。基材2が(2)の焼結体や(3)の板材からなるヒートスプレッダ1も、上記と同様にして製造することができる。
これらのヒートスプレッダ1においても、伝熱部材5のもとになる棒材として無酸素銅等からなるものを使用することで、前記のように焼成の工程を銅の融点未満の温度で行うことと相まって、伝熱部材5の含有酸素量、および含有不純物量を先に説明した範囲内として、厚み方向の熱伝導率を向上することができる。
本発明の構成は、以上で説明した図の例のものには限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を施すことができる。
〈実施例1ないし19、比較例1〉
図1に示す矩形平板状(50mm×50mm×2.8mm)の基材2を備え、前記基材2の面方向の中央の、48mm×48mmの領域内に、前記基材2の表面3から裏面4へ厚み方向に貫通させて、直径0.31mmの円柱状の伝熱部材5が、図1に示す配列で、かつ表1に示すピッチで設けられたヒートスプレッダ1を、図3ないし図7の工程を経て製造することとして、下記の各種材料および型を用意した。
(基材2のもとになる低熱膨張材料14)
平均粒径が40μm、見かけ密度が2.0g/cm3の銅粉末と、平均粒径が6μmのタングステン粉末、または平均粒径が5μmのモリブデン粉末とを、表1に示す重量比で配合して調製した。
(伝熱部材5のもとになる棒材10)
先に説明したJIS H3100:2006において規定されたC1020「無酸素銅」(銅純度99.96質量%、含有酸素量10ppm以下)からなる直径1mmの丸棒材を用意した。
(型)
その内部に、前記伝熱部材5に対応する棒材が、柱の長さ方向と略平行に、前記伝熱部材5の配列に合わせて埋設された160mm×160mm×600mmの四角柱状の圧縮成形体15を製造するために、図3に示すステンレス鋼製の上型7、下型8、およびダイ9と、ウレタン製の治具11、13とを用意した。前記上型7、下型8、およびダイ9によって形成される型窩6内に治具11、13をセットすることで構成される成形空間12の寸法は、上型7と下型8とに挟まれて圧縮される縦方向を200mm、幅方向を160mm、長さ方向を600mmとした。また、治具11によって保持される複数の棒材10のピッチは表1に示す値とした。
(圧縮成形体15の作製)
前記下型8とダイ9とで形成した型窩6内にセットした一対の治具11間に、前記棒材10を、それぞれの軸方向を柱の長さ方向と略平行に向けて保持させると共に、前記治具11と、型窩6内に、棒材10の周囲を囲むように設置した治具13とで形成した成形空間12内に、基材2のもとになる低熱膨張材料14を充填した。
次いで室温(5℃ないし35℃)下、上型7を、図3中に実線の矢印で示すように型窩6に挿入し、前記縦方向の寸法が160mmになるまで20MPaの圧力で下型8の方向に押し込んで、先に説明した等方圧縮成形により160mm×160mm×600mmの四角柱状の圧縮成形体15を作製した。
(焼結体16の作製)
前記圧縮成形体15を型から取り出し、非酸化性雰囲気中で、表1に示す温度および時間で焼成して焼結体16を作製した。
(塑性加工体19の作製)
前記焼結体16を、図5に示すようにダイ18の開口部17を通過させることで長さ方向と交差方向に圧縮変形させながら、図中に白矢印で示す方向に引き抜く引抜加工をすることにより、50mm×50mm×6000mmの塑性加工体19を作製した。引抜加工は、開口部17の開口面積が異なる複数のダイ18を交換して使用しながら、塑性加工体19の、断面の寸法が前記50mm×50mmになるまで複数回に分けて段階的に行なった。
(ヒートスプレッダ1の製造)
図7に一点鎖線で示すように前記塑性加工体19を柱の長さ方向と交差方向に厚み3mmとなるように切断した後、両面の切断面を研磨して、低熱膨張材料からなり略平板状の基材2と、前記基材2の表面3から裏面4へ厚み方向に貫通させて設けられていると共に前記両面3、4において露出された、銅からなる複数の伝熱部材5とを含む矩形平板状(50mm×50mm×2.8mm)のヒートスプレッダ1を製造した。
(割合RSの計測)
前記ヒートスプレッダ1の表面3に露出した複数の伝熱部材5の数と直径、および前記表面の表面積を計測した結果から、前記複数の伝熱部材5の断面積の合計の、ヒートスプレッダ1の全体での断面積中に占める割合RSを求めた。
(含有酸素量の測定)
前記ヒートスプレッダ1から取り出し、基材2と接合していた円柱の外周面の近傍の領域を除去した伝熱部材5の含有酸素量を、酸素・窒素同時分析装置(前出のLECO社製のTC−436AR)を用いた赤外線吸収法によって測定した。
(熱伝導率の測定)
前記ヒートスプレッダ1の、厚み方向の熱伝導率(W/m・K)を、レーザーフラッシュ法によって測定した。
(熱膨張係数の測定)
前記ヒートスプレッダ1の、面方向の熱膨張係数(×10-6/K)を、示差熱膨張計を用いて測定した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005198982
表1の実施例1〜8、比較例1の結果より、焼成の温度と時間とを調製することで、伝熱部材5を構成する銅の含有酸素量を調整できること、前記含有酸素量が20ppmを超える比較例1に比べて、20ppm以下とした実施例1〜8は、面方向の熱膨張係数を銅レベルに維持しながら、厚み方向の熱伝導率を向上できることが判った。
また実施例4、実施例9〜15の結果より、伝熱部材5のもとになる棒材10のピッチを変化させることで、前記伝熱部材5のピッチを変化させて割合RSを調整できること、前記割合RSを調整することで、面方向の熱膨張係数と厚み方向の熱伝導率を調整できることが判った。
また実施例4、実施例16〜19の結果より、低熱膨張材料の組成を変化させることで、面方向の熱膨張係数と厚み方向の熱伝導率を調整できることが判った。
本発明のヒートスプレッダの、実施の形態の一例を示す斜視図である。 前記例のヒートスプレッダの内部構造を示す拡大断面図である。 本発明のヒートスプレッダの製造方法の一例のうち、圧縮成形によって圧縮成形体を形成する工程を説明する断面図である。 図3の工程で形成される圧縮成形体、およびそれを次工程で焼成して形成される焼結体の、端部付近の外観を示す拡大斜視図である。 前記製造方法の一例のうち、引抜加工によって塑性加工体を形成する工程を説明する断面図である。 前記製造方法の一例のうち、押出加工によって塑性加工体を形成する工程を説明する断面図である。 前記製造方法の一例のうち、組成加工体を切断してヒートスプレッダを製造する工程を説明する斜視図である。
符号の説明
1 ヒートスプレッダ
2 基材
3 表面
4 裏面
5 伝熱部材
6 型窩
7 上型
8 下型
9 ダイ
10 棒材
11 治具
12 成形空間
13 治具
14 低熱膨張材料
15 圧縮成形体
16 焼結体
17 開口部
18 ダイ
19 塑性加工体
20 通孔
21 ガイド部材

Claims (5)

  1. 低熱膨張材料からなり略平板状の基材と、前記基材の表面から裏面へ厚み方向に貫通させて設けられていると共に前記両面において露出された、銅からなる複数の伝熱部材とを含み、前記伝熱部材を構成する銅の含有酸素量が20ppm以下であることを特徴とするヒートスプレッダ。
  2. 面方向の熱膨張係数が16×10-6/K以下である請求項1に記載のヒートスプレッダ。
  3. 各伝熱部材は、基材の厚み方向と交差する面方向の断面積が、前記基材の表面から裏面まで同一とされていると共に、前記面方向における、複数の伝熱部材の断面積の合計の、ヒートスプレッダの全体での断面積中に占める割合が1%以上、50%以下である請求項1または2に記載のヒートスプレッダ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のヒートスプレッダを製造する製造方法であって、
    (a) 圧縮成形により柱状の圧縮成形体を得るための型内に、銅からなり伝熱部材のもとになる複数本の棒材を、それぞれの軸方向を柱の長さ方向と略平行に向けて配設すると共に、前記型内の各棒材間の隙間に、基材のもとになるタングステン、モリブデン、セラミック、およびダイヤモンドからなる群より選ばれた少なくとも一種の粉末、および銅と接合可能な金属または合金の粉末を含む低熱膨張材料を充填した後、銅の融点未満の温度で圧縮成形して、柱状で、かつ前記複数の棒材がそれぞれの軸方向を柱の長さ方向と略平行に向けて埋設された圧縮成形体を形成する工程と、
    (b) 前記圧縮成形体を、銅の融点未満の温度で焼成して焼結体を形成する工程と、
    (c) 前記焼結体を柱の長さ方向と交差方向に切断して略平板状のヒートスプレッダを製造する工程と
    を含むことを特徴とするヒートスプレッダの製造方法。
  5. 前記焼結体を、切断に先立って銅の融点未満の温度で、塑性加工により柱の長さ方向と交差方向に圧縮変形させて塑性加工体を形成した後、前記塑性加工体を前記交差方向に切断して略平板状のヒートスプレッダを製造する請求項4に記載のヒートスプレッダの製造方法。
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