JP5198142B2 - 電子素子モジュールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、複数の電子素子が設けられた電子素子ウェハの表面とガラス製の光学素子とが貼り合わされた複合構造体を電子素子毎に切断して個片化する電子素子モジュールの製造方法、この電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュール、この電子素子モジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器に関する。
この種の従来の電子素子モジュールは、主に、カメラモジュール(センサモジュール)としてカメラ付き携帯電話装置や携帯端末装置(PDA)、さらにはカードカメラなどに用いられている。被写体からの画像光をそれぞれ光電変換して被写体を撮像する複数の受光部を有する電子素子としての撮像素子が複数配置された電子素子ウェハとしてのシリコンウェハとその上のガラス板とが接着樹脂層により一定の間隔を保った一体化構造になっており、この一体化した複合構造体を一括切断することにより各電子素子モジュールが個片化される。これを図14および図15に示している。
図14は、ウェハレベルで一体化した従来の電子素子ウェハモジュールを模式的に示す要部縦断面図である。
図14に示すように、ウェハレベルで一体化した従来の電子素子ウェハモジュール100は、製造コストの低減を図るためにウェハレベルでの一括切断加工が求められ、ダイシングシート101上に、ウェハ裏面に再配線されその上に保護膜102が被覆され、さらに入出力端子103が適所に配置されたシリコンウェハ104と、その上のガラス板105とが接着樹脂層106により一定の間隔を保った状態で貼り合わされている。
図15は、従来の電子素子ウェハモジュールから各電子素子モジュールに切断する方法を説明するための要部縦断面図である。
図15に示すように、ウェハレベルで一体化した従来の電子素子ウェハモジュール100から、ダイシングブレード107により一括切断されて、ダイシング溝108を残した状態で各電子素子モジュール110に個片化される。この場合、各電子素子モジュール110が切断後にばらばらにならないように、ダイシング溝108はダイシングシート101の途中まで形成されるようにダイシングブレード107で切断されている。
また、半導体ウェハとガラス板との複合体の切断ではなく、半導体ウェハだけをダイシングブレードなどで一括切断する方法については特許文献1、2に開示されている。また、特許文献3には、レーザにより半導体ウェハだけを一括切断する方法が開示されている。
特開2004−335583号公報 特開2004−80039号公報 特開2002−329686号公報
上記特許文献1、2では、半導体ウェハだけを一括切断する場合であり、特許文献3では、半導体ウエハだけをレーザ光により一括切断する場合であって、前述したようなシリコンウェハとガラス板との複合構造体の切断ではない。
シリコンウェハとガラス板との複合構造体の切断の場合、脆性難削材のガラス板105の加工がチッピングを発生しやすく、貼り合せた後の現在の切断加工技術はダイサーかマルチブレード切断機で非常に速度を落として切断を実施している。ガラス板105が切断速度を拘束していることから裏面再配線を行ったシリコンウェハも同時に切断することは可能な状態にあるものの、ダイサーでシリコンウェハだけの切断速度は60mm/秒程度(樹脂材料とシリコンウェハの複合体の場合も同等)まで上げられるが、ガラス板105を同時に切断すると、3〜6mm/秒程度と約1/20の速度に極端に落ちてしまう。この場合、ダイシングブレード107の寿命は極端に短くなる。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、裏面に再配線されたシリコンウェハおよびガラス板が一体化した複合構造体の生産速度を高めると共に、ガラス板のチッピングを小さくしてダイシングブレードの劣化を少なくすることができる電子素子モジュールの製造方法、この電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュール、この電子素子モジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器を提供することを目的とする。
本発明の電子素子モジュールの製造方法は、複数の電子素子が設けられた電子素子ウェハの表面とガラス製の光学素子とが貼り合わされた複合構造体を該電子素子毎に切断して個片化する電子素子モジュールの製造方法であって、該複合構造体を、該電子素子ウェハの裏面より該電子素子間のスクライブラインに沿って該電子素子ウェハだけのフルダイシングにより生じた切断間隙を通してレーザー光を該ガラス製の光学素子に照射して、該ガラス製の光学素子を該スクライブラインに沿ってスクライブする工程を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の電子素子モジュールの製造方法は、複数の電子素子が設けられた電子素子ウェハの表面とガラス製の光学素子とが貼り合わされた複合構造体を該電子素子毎に切断して個片化する電子素子モジュールの製造方法であって、該複合構造体を、該電子素子ウェハの裏面より該電子素子間のスクライブラインに沿って該電子素子ウェハだけのフルダイシングを行うフルダイシング工程と、該フルダイシングにより生じた切断間隙を通してレーザー光を該ガラス製の光学素子に照射して、該ガラス製の光学素子を該スクライブラインに沿ってスクライブするガラススクライブ工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法におけるフルダイシングの前工程として、裏面に再配線された前記電子素子ウェハの表面と前記ガラス製の光学素子を、接着樹脂層により一定の間隔を保って貼り付ける接着工程を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法における接着工程の前工程として、前記電子素子のサイズと同サイズにスクライブホイールにより前記ガラス製の光学素子の表面を浅くスクライブするガラス表面スクライブ工程を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法における接着工程は、前記電子素子ウェハの表面を、前記ガラス製の光学素子のスクライブ線側の面に対向するように貼り合わせる。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法における接着工程は、前記浅くスクライブしたガラス製の光学素子のスクライブ線に対して前記電子素子ウェハのスクライブラインを位置合わせして前記接着樹脂層により貼り付ける。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法において、前記接着工程と前記フルダイシングとの間に、前記電子素子ウェハと前記ガラス製の光学素子との複合構造体を、該電子素子ウェハの裏面を上にして該ガラス製の光学素子側をダイシングテープ上にテープマウントするテープマウント工程を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法において、前記スクライブラインに沿ってスクライブされたガラス製の光学素子を、該電子素子ウェハのスクライブラインに沿ってブレークするガラスブレーク工程を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法におけるガラスブレーク工程の後に、前記電子素子ウェハと前記ガラス製の光学素子との複合構造体がテープマウントされたダイシングテープを拡張して、該電子素子ウェハに複数設けられた電子素子毎に個片化する個片化工程を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法におけるフルダイシング工程は、前記電子素子ウェハと前記ガラス製の光学素子との複合構造物を、ダイサーまたはマルチブレードダイサーのチャックテーブルで固定し、上から該電子素子ウェハを撮影して電子素子間のスクライブラインを検出し、ダイシングブレードの刃先と該スクライブラインとの位置合わせを行った後に、該スクライブラインに沿って、該ダイシングブレードにより該電子素子ウェハだけを切断する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法におけるガラス製の光学素子は、透明ガラス板と、赤外線カット層が表面に設けられた透明ガラス板と、一または複数枚のレンズ板と、該透明ガラス板およびその上の一または複数枚のレンズ板と、該赤外線カット層が表面に設けられた透明ガラス板およびその上の一または複数枚のレンズ板と、プリズムと、ホログラム素子とのうちのいずれかである。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法におけるレーザー光は、UVピコ秒レーザー光またはフェムト秒レーザー光である。
本発明の電子素子モジュールは、本発明の上記電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールであって、前記電子素子が設けられた電子素子ウェハの切断面にダイシングブレードによる切断跡が残り、前記ガラス製の光学素子の割断面に前記レーザー光の照射痕が残り、該切断面と該割断面とが整合しているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明の電子素子モジュールにおいて、貫通電極を有する電子素子が配設された電子素子チップと、該電子素子チップ上の所定領域に形成された接着樹脂層と、該電子素子チップ上を覆い、該接着樹脂層上に固定された前記ガラス製の光学素子としての透明ガラス板とを有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールにおいて、貫通電極を有する電子素子が配設された電子素子チップと、該電子素子チップ上の所定領域に形成された接着樹脂層と、該電子素子チップ上を覆い、該接着樹脂層上に固定され、赤外線カット層が表面に設けられた前記ガラス製の光学素子としての透明ガラス板とを有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールにおいて、前記電子素子に対応するように前記透明ガラス板上に接着固定された前記ガラス製の光学素子としての一または複数枚のレンズ板を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールにおいて、貫通電極を有する電子素子が配設された電子素子チップと、該電子素子チップ上の所定領域に形成された接着樹脂層と、該電子素子チップ上を覆い、該電子素子に対応するように該接着樹脂層上に固定された前記ガラス製の光学素子としての一または複数枚のレンズ板とを有する。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールにおける電子素子は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子である。
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールにおける電子素子は、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子を有している。
本発明の電子情報機器は、本発明の上記電子素子モジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の電子情報機器は、本発明の上記電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
本発明においては、裏面に再配線された電子素子ウェハとガラス製の光学素子が接着樹脂層により一定の間隔を保って一体化した複合構造体の電子素子ウェハモジュールを切断して各電子素子モジュールを得る際に、電子素子ウェハの表面とガラス製の光学素子とが貼り合わされた複合構造体を、電子素子ウェハの裏面側から、電子素子間のスクライブラインに沿って電子素子ウェハだけのフルダイシングを行い、さらに、フルダイシングにより生じた切断間隙を通してレーザー光をガラス製の光学素子(例えばガラス板やレンズ板)に照射することにより、ガラス製の光学素子をスクライブラインに沿ってスクライブする。
これによって、ガラス製の光学素子チッピングを抑え高速で加工でき、ダイシングブレードの寿命を伸ばすことが可能となる。
以上により、本発明によれば、ダイサーのブレードは裏面に再配線された電子素子ウェハの切断だけであるため、ガラス製の光学素子を切ることとの比較において非常に切断速度が速く単位ブレード当りの処理量が上がり長寿命化を図ることができる。また、フルダイシングにより生じた切断間隙を通してレーザー光をガラス製の光学素子に照射するため、ガラス製の光学素子の切断にチッピングが少なく断面が高品位で割断速度が向上し、歩留まりの向上をも果たすことができる。したがって、裏面に再配線された電子素子ウェハおよびガラス製の光学素子が一体化した複合構造体の生産速度を高めると共に、ガラス製の光学素子、例えばガラス板のチッピングを小さくしてダイシングブレードの劣化を少なくすることができる。
以下に、本発明の電子素子モジュールの製造方法の実施形態1および、この電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールの実施形態2、さらに、この電子素子モジュールの実施形態2を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態3について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1〜図8は、本発明の実施形態1に係る電子素子モジュールの製造方法を説明するための各製造工程を模式的に示す要部縦断面図である。
本実施形態1の電子素子モジュールの製造方法は、複数の電子素子としての複数の撮像素子が設けられた電子素子ウェハの表面とガラス製の光学素子(ここでは透明ガラス板)とが貼り合わされた複合構造体を電子素子(撮像素子)毎に切断して個片化するものであって、ガラス表面スクライブ工程と、接着工程と、フルダイシング工程と、テープマウント工程と、ガラススクライブ工程と、ガラスブレーク工程と、個片化工程とを有している。即ち、電子素子モジュールの製造方法は、図1の光学素子としてのガラス板1の表面に、図2に示すスクライブホイール2により浅い傷(半導体チップ毎の格子状のスクライブ線1a)を付けるガラス表面スクライブ工程と、図3に示すように裏面に入出力端子3および再配線が設けられた電子素子ウェハ4と光学素子としての透明ガラス板1とを位置合わせして対向配置し、この電子素子ウェハ4と透明ガラス板1とを、電子素子ウェハ4上の接着樹脂層5により一定の間隔を保った状態で貼り合わせる接着工程と、これらの電子素子ウェハ4と透明ガラス板1とが一体となった複合構造体を、図4に示すようにウェハ裏面の入出力端子3側を上にした状態で透明ガラス板1をダイシングテープ6上にテープマウントするテープマウント工程と、図5に示すように一体構造のウェハ裏面から撮像素子間のスクライブラインに沿って格子状に電子素子ウェハ4だけを、ダイシングブレード7により電子素子チップ毎にフルダイシングするフルダイシング工程と、図6に示すように、このフルダイシングにより生じた電子素子ウェハ4の隙間4aを通してウェハ裏面側より紫外線(UV)ピコ秒レーザー光をレーザー発生装置8から透明ガラス板3のスクライブライン1a上 に照射し、電子素子ウェハ4のスクライブラインに沿って透明ガラス板1をスクライブするガラススクライブ工程と、図7に示すように、レーザー光でスクライブしたスクライブラインに沿って透明ガラス板1をブレークするガラスブレーク工程と、図8に示すように、テープマウントされたダイシングテープ6を拡張して電子素子モジュール毎に個片化する個片化工程とをこの順に実行する。
ガラス表面スクライブ工程は、予め電子素子(複数の受光部で構成された個々の撮像素子)と同サイズで深さが10〜20μm程度で、割断されない程度の荷重をスクライブホイール2(ダイヤモンド刃製)にかけて、透明ガラス板1の表面に格子状にスクライブ線1aを予め入れておく。これは、後の位置合せと共にガラス割断速度を向上させるために有効となる。
接着工程は、裏面に再配線が為された電子素子ウェハ4と透明ガラス板1が接着樹脂層5により一定の間隔を保って貼り付けられるとき、予め透明ガラス板1にチップサイズ(複数の受光部よりなる撮像素子サイズ)と同サイズで格子状にスクライブ線1aを予め入れておき、この透明ガラス板1のスクライブ線1aと電子素子ウェハ4のスクライブラインとの位置合せを行って、接着樹脂層5により互いの貼付けを行う。このように、ガラス面に予めスクライブ線1aを入れる場合は、ガラス面のスクライブ線1aと電子素子ウェハ4のスクライブラインが対向するように配置し、これらの位置合せを行って、透明ガラス板1と電子素子ウェハ4の貼り付けを行う。このこともスクライブ速度を上げることに役立つ。接着樹脂層5の厚さは、数十μmより厚い目で一定の間隔を保ち、電子素子ウェハ4に透明ガラス板1を貼り付けて複合構造物を形成する。この接着樹脂層5の厚さは、後のフルダイシング工程のことを考えて、できるだけ厚い方がよい。
テープマウント工程は、裏面に再配線された電子素子ウェハ4とその上の接着樹脂層5(接着剤)により一定の間隔を保って接着された複合構造体を、ガラス面側にダイシングテープ6(上面に粘着層を持つ樹脂テープ)を貼り付ける。ダイシングテープ6は、紫外線(UV)で粘着力を低下でき、かつ引き伸ばしが容易にできるものが望ましい。
フルダイシング工程は、ダイシングテープ6上に貼りつけられた電子素子ウェハ4と透明ガラス板1との複合構造物を、ダイサーまたはマルチブレードダイサーのチャックテーブルで固定し、上から赤外線(IR)カメラ(IR光を検出できる顕微鏡)などで、再配線された電子素子ウェハ4の裏面を撮影し、各撮像素子間のスクライブラインを検出し、ダイサーまたはマルチブレードダイサーのダイシングブレード7(厚さ50μm程度で直径が5cmの円板状)のダイヤモンド刃先とスクライブラインとの位置合わせを行う。ダイサーまたはマルチブレードダイサーで裏面に再配線された電子素子ウェハ4のスクライブラインに沿って、ダイシングブレード7により電子素子ウェハ4だけを格子状に切断する。このとき、再配線された電子素子ウェハ4と透明ガラス板1は接着樹脂層5の厚さにより一定の間隔が保たれているので、電子素子ウェハ4だけを切断することができる。電子素子ウェハ4のスクライブラインに沿って縦横両辺はダイシングブレード7により隙間4aとして約80μm程度の間隙ができる。
前述したように、位置合せ後、ダイサーかまたはマルチブレードダイサーでダイシングを行うが、このときは、処理速度の関係からマルチブレードダイサーの方を用いるのが望ましい。また、高さ方向はマージンがないので電子素子ウェハ4だけを切れるように、ダ
イシングブレード7のブレード高さを精度良く管理しておく必要がある。
ガラススクライブ工程は、電子素子ウェハ4のスクライブで出来た80μm程度の隙間4aからUVピコ秒レーザー光を通して、電子素子ウェハ4の裏面側よりUVピコ秒レーザー光を透明ガラス板1の表面に入射させて、透明ガラス板1の一方周端よりUVピコ秒レーザー光の照射を始め、スクライブ線1aに沿って反対側に位置する他方周端までUVピコ秒レーザー光の照射が途切れることなくUVピコ秒レーザー光を移動させて透明ガラス板1をスクライブする。このとき、UVピコ秒レーザー光に代えて、高出力のフェムト秒レーザー光などを用いることができる。
ガラスブレーク工程は、縦横全ての格子状のスクライブ線1aにレーザー照射が終了したレーザースクライブ後に、スクライブ線1aに沿って、透明ガラス板1上の電子素子ウェハ4の裏面側(上側)が開くように、図7のように曲げて透明ガラス板1のブレークを完全に行う。
個片化工程は、ガラスブレーク後、貼り付けてあるダイシングテープ6を引き伸ばしながら、ダイシングテープ6に紫外線(UV)を照射してその粘着力を低下させ、電子素子モジュール毎にダイシングテープ6から外して個片化する。これによって、電子素子モジュールとしてのセンサモジュール10を製造することができる。
以上により、本実施形態1によれば、裏面に再配線された電子素子ウェハ4とその上の接着樹脂層5(接着剤)により一定の間隔で保たれた透明ガラス板1の割断が、フルダイシングにより生じた切断間隙を通したレーザー光により為されるため、チッピングが少なく割断面の品位と割断速度が向上し、歩留まりの向上を図ることができる。また、ダイサーのダイシングブレード7は、裏面に再配線された電子素子ウェハ4の切断だけであるため、透明ガラス板1を切ることの比較において非常に切断速度が速く単位ブレード当りの処理量が上がり長寿命化を図ることができる。
なお、本実施形態1では、特に説明しなかったが、複合構造体を、電子素子ウェハ4の裏面より撮像素子間のスクライブラインに沿って電子素子ウェハ4だけのフルダイシングを行うフルダイシング工程と、このフルダイシングにより生じた切断間隙を通してレーザー光をガラス製の光学素子としての透明ガラス板1に照射して、透明ガラス板1をスクライブラインに沿ってスクライブするガラススクライブ工程とを有していれば、裏面に再配線された電子素子ウェハ4およびその上の透明ガラス板が一体化した複合構造体の生産速度を高めると共に、透明ガラス板1のチッピングを小さくしてダイシングブレード7の劣化を少なくすることができる本発明の目的を達成することができる。
また、本実施形態1では、ガラス製の光学素子として透明ガラス板1の場合について説明したが、これに代えて、赤外線カット層が表面に設けられた透明ガラス板、一または複数枚のレンズ板と、透明ガラス板およびその上の一または複数枚のレンズ板と、赤外線カット層が表面に設けられた透明ガラス板およびその上の一または複数枚のレンズ板、プリズムおよび、ホログラム素子のうちのいずれであってもよい。
なお、本実施形態1では、ガラススクライブ工程において、電子素子ウェハ4のスクライブで出来た隙間4aを通して、電子素子ウェハ4の裏面側から透明ガラス板1の表面の格子状のスクライブ線1a上にUVピコ秒レーザー光を照射して、スクライブ線1aに沿って透明ガラス板1をスクライブしたが、これに限らず、図9に示すように、裏面に再配線が為された電子素子ウェハ4と、予めスクライブ線1aを入れていない透明ガラス板1Aとが接着樹脂層5により一定の間隔を保って貼り付けられており、この透明ガラス板1Aの表面に、隙間4aを通してUVピコ秒レーザー光を照射することにより、透明ガラス板1Aを電子素子ウェハ4のスクライブラインに沿ってスクライブすることができる。この場合、予め格子状のスクライブ線1aが形成されていない透明ガラス板1Aであっても、透明ガラス板1Aの一方周端の端縁部に浅い割断部(傷部;切り欠き)を形成しておけば、そこからUVピコ秒レーザー光を照射し始めれば、光照射ライン(スクライブライン)に沿って透明ガラス板1Aを容易に割断することができる。
また、本実施形態1では、フルダイシング工程後にレーザー光によるガラススクライブ工程を行うように別々に操作したが、これに限らず、ダイシングブレード7のすぐ後に位置をずらせてレーザー発生装置8を位置決めして設置しておけば、同じ走査で、ダイシングブレード7による電子素子ウェハ4のスクライブと、そのスクライブによる隙間4aからのUVピコ秒レーザー光により透明ガラス板1をスクライブすることができる。ダイシングブレード7に対してレーザー発生装置8の方が高価であるため、複数台のダイシングブレード7に対して1台のレーザー発生装置8を用いる場合には、本実施形態1のようにフルダイシング工程後にガラススクライブ工程を行うようにする必要がある。
即ち、本実施形態1では、電子素子モジュールの製造方法として、電子素子ウェハ4と透明ガラス板1との複合構造体を、電子素子ウェハ4の裏面より撮像素子間のスクライブラインに沿って電子素子ウェハ4だけのフルダイシングを行うフルダイシング工程と、フルダイシングにより生じた切断間隙を通してUVピコ秒レーザー光を透明ガラス板1上に照射して、透明ガラス板1をスクライブラインに沿ってスクライブするガラススクライブ工程とを有する場合について説明したが、これに限らず、電子素子モジュールの製造方法として、電子素子ウェハ4と透明ガラス板1との複合構造体を、電子素子ウェハ4の裏面より撮像素子間のスクライブラインに沿って電子素子ウェハ4だけのフルダイシングにより生じた切断間隙4aを通してUVピコ秒レーザー光を透明ガラス板1上に照射して、透明ガラス板1をスクライブラインに沿ってスクライブする工程を有するように構成してもよい。
さらに、本実施形態1のガラススクライブ工程において、UVピコ秒レーザー光を透明ガラス板1上に照射するが、このとき、図10に示すように厚さ方向の位置で面に沿った方向にライン状のレーザー入射痕Aがあり、このライン状のレーザー入射痕Aよりも上側が下側に比べてレーザー熱で焼けて色づいている。これは、ガラス板1をレーザー光によってスクライブした跡を示しており、透明ガラス板1上の電子素子ウェハ4にダイシングブレード7による切削痕があれば、電子素子ウェハ4をそのスクライブラインに沿ってダイシングブレード7により切断し、その切断隙間4aからUVピコ秒レーザー光を通してその下の透明ガラス板1をスクライブした本発明を特定することができる。図10はそのレーザー光条件が良好で割断面が綺麗な状態を示しており、図11はレーザー光条件が良好ではなく、透明ガラス板1の割断面の下端縁部分に、割断痕であるシャークツースBが発生している。要するに、透明ガラス板1と電子素子ウェハ4とが貼り合わされた複合構造体で、透明ガラス板1の厚さ方向上側にレーザー入射痕Aがある割断面の場合であって、ダイシングブレード7による切削跡と透明ガラス板1のスクライブ跡(焼けた跡と割れた跡)とが位置的に一致して整合している場合は、本発明を適用した電子素子モジュールであると特定することができる。
即ち、本実施形態1の電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールとしてのセンサモジュール10には、透明ガラス板1の割断面にUVピコ秒レーザー光の照射痕が残っている。
以上のように、複数の電子素子としての複数の撮像素子が設けられた電子素子ウェハ4と、表面にIRカット層が被覆された透明ガラス板1(または透明ガラス板1)とが貼り合わされた複合積層構造体(光学素子ウェハモジュール)を切断して、個々の電子素子モジュール(センサモジュール10)として、撮像素子毎の電子素子ウェハ4と透明ガラス板1との複合構造体が個片化される。このセンサモジュール10に、一または複数の光学素子モジュールとしてのレンズモジュール(レンズ板)が積層されて電子素子モジュールとしての後述するセンサモジュール50が構成されてもよい。これを実施形態2として次に説明する。
即ち、電子素子モジュールとして、貫通電極を有する電子素子としての撮像素子が配設された電子素子チップ(電子素子ウェハ4から切断された単位チップ)と、電子素子チップ上の所定領域に形成された接着樹脂層5と、電子素子チップ上を覆い、接着樹脂層5上に固定された透明ガラス板1と、電子素子としての撮像素子に対応するように透明ガラス板1上に接着固定された一または複数枚の光学素子(後述する図12ではレンズ板)とを有している。
また、電子素子モジュールとして、貫通電極を有する電子素子としての撮像素子が配設された電子素子チップ(電子素子ウェハ4から切断された単位チップ)と、電子素子チップ上の所定領域に形成された接着樹脂層5と、電子素子チップ上を覆い、接着樹脂層5上に固定され、赤外線カット層が表面に設けられた透明ガラス板1と、電子素子としての撮像素子に対応するように透明ガラス板1上に接着固定された一または複数枚の光学素子(後述する図12ではレンズ板)とを有している。
さらに、透明ガラス板1の代わりにまたはガラス板1上に一または複数のレンズ板としてのレンズモジュールなどのガラス製の光学素子モジュールが積層され、これと複数の撮像素子が設けられた電子素子ウェハ4との複合積層構造体としての電子素子ウェハモジュールが設けられ、これを、上記実施形態1のようにダイシングブレード7とUVピコ秒レーザー光により一括切断および割断して電子素子モジュール(図示せず)としてもよい。
即ち、電子素子モジュールとして、貫通電極を有する電子素子としての撮像素子が配設された電子素子チップ(電子素子ウェハ4から切断された単位チップ)と、電子素子チップ上の所定領域に形成された接着樹脂層5と、電子素子チップ上を覆い、電子素子としての撮像素子に対応するように接着樹脂層5上に固定された一または複数枚の光学素子(例えばガラス製のレンズ板)とを有している。
以上の場合に、電子素子としては、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子であってもよいし、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子などであってもよい。
この電子素子モジュールの実施形態2として、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子と、入射光を撮像素子上に結像するための一または複数のレンズモジュールとが積層された電子素子モジュールとしてのセンサモジュールの事例について、図12を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態2)
図12は、本発明の実施形態2に係るセンサモジュールの要部構成例を示す縦断面図である。
図12において、本実施形態2のセンサモジュール50は、チップ表面に、複数の画素に対応した各光電変換部(フォトダイオード)である複数の受光部からなる撮像素子51aが電子素子として設けられ、貫通孔51bが表面と裏面間に設けられて配線として導通した貫通ウエハ51(上記実施形態1では半導体ウェハ4の各半導体チップに対応)と、この貫通ウエハ51の撮像素子51aの周囲上に形成された樹脂接着層52(上記実施形態1では接着樹脂5に対応)と、この樹脂接着層52上を覆い、その表面にIRカット層がコーティングされたカバーガラスとして個片化されたガラス板53(上記実施形態1ではガラス板1)と、このガラス板53上に設けられ、撮像素子51aに入射光を集光させるための光学素子としての複数のレンズ板541〜543が積層されたレンズ板54(レンズモジュール)と、これらのレンズ板541〜543を接着して固定するためのレンズ接着層55および56と、各レンズ板541〜543のうちの最上位置のレンズ板541の中央部を円形の光取入口として開口すると共に、それ以外の表面部分および、各レンズ板541〜543およびガラス板53の側面部分を遮光する遮光部材57とを有しており、貫通ウエハ51上に、ガラス板53およびレンズ板54がこの順に互いにアライメントをとって樹脂接着層52およびレンズ接着層55および56などにより上下に貼り合わされている。要するに、本実施形態2の電子素子モジュールとしてのセンサモジュール50は、上記実施形態1の場合と同様に、貫通ウェハ51(上記実施形態1では電子素子ウェハ4に対応)、樹脂接着層52(上記実施形態1では樹脂接着層5に対応)およびガラス板53(上記実施形態1では透明ガラス板1に対応)の複合構造体が電子素子モジュールとして切断されて個片化され、これに複数のレンズ板541〜543がレンズ接着層55および56で貼り合わされたものに遮光部材57を上側から装着することにより本実施形態2のセンサモジュール50が製造されている。
貫通ウエハ51は、撮像素子51a(撮像素子毎に複数の画素を構成する複数の受光部が設けられている)が配設されており、貫通ウエハ51の厚さが100〜200μmであり、その裏面から表面のパッド下に貫通する複数の貫通穴51bが明けられている。この貫通穴51bの側壁と裏面側は絶縁膜で覆われており、そのパッドにコンタクトを持つ配線層が貫通穴51bを介して裏面まで形成されている。この配線層上および裏面にはソルダーレジストが形成され、配線層上に半田ボールが形成される部分はソルダーレジストが窓明けされて半田ボール(上記実施形態1では入出力端子3に対応)が外部に露出して形成されている。各層の形成方法は通常の半導体プロセスに使われるフォトリソ、エッチング、メッキおよびCVD法などの各種の技術によって形成が可能である。なお、ウエハ切断後、貫通ウエハ51として、中央部に素子領域を有するセンサ基板(電子素子チップとしてのセンサチップ)を構成する。
樹脂接着層52は、貫通ウエハ51上の所定場所に通常のフォトリソ技術により形成され、その上に透明ガラス板53が接着されるが、このフォトリソ技術の他にスクリーン印刷手法またはディスペンス手法を用いて形成することができる。この樹脂接着層52は、透明ガラス板53が固定される側の表面の一部に浅い溝(エアーパス)が形成されている。この溝は、樹脂接着層52を形成するときに、同時にフォトリソ技術により形成が可能である。樹脂厚は30μm〜300μm、溝の深さは3μm〜20μm程度である。この溝は、半導体表面上方が、透明ガラス板53で覆われる場合に、貫通ウエハ51上の電子素子としての撮像素子51aが設けられたセンサ領域の内部空間が密閉されてそこに結露が生じないようにするためであるが、後で個々のモジュールにダイシングするときに、切削水、スラリーなどもセンサ領域の内部空間内に侵入してセンサ表面上に付着し難いように途中にたまり空間領域を持つ構造となっている。空間領域を半密閉状にするための溝(エアーパス)を斜めの直線状、S字状または迷路状(ここでは斜めの直線状にしている)にしたりこれらを組み合わせたりしてある程度の距離を持たせるようにする。
さらに、樹脂接着層52は、ここでは、撮像素子51a上の空間領域から外部に連通させるための溝が形成されているだけではなく、さらに、この空間領域と溝で連通した別の空間領域を介してさらに外部と連通させるための溝が形成されている。また、樹脂接着層52は、ウエハ切断前、各撮像素子51a毎に配設され、撮像素子51aの領域以外の領域上および、隣接する撮像素子51a間のダイシング領域以外の領域上に配設されている。樹脂接着層52の溝に限らず、他のエアーパスが設けられていてもよく、材料的に内部と連通可能な素材構成(材料粒子が粗くまたは材質的に水分を外部と内部がエアーパス可能な材料)とされていてもよい。
レンズ板54は、透明樹脂製または透明ガラス製のレンズ板である。このレンズ板54において、レンズ機能を有するレンズ領域と、スペーサ機能を有するスペーサ部としての周囲のレンズこば部とで構成され、全体は同じ種類のガラスまたは樹脂材料で形成されている。これにより、所定のレンズ形状、所定のレンズ厚さのレンズ板541〜543を形成することが可能である。
本実施形態2では、形成されたレンズ板541〜543が3枚、レンズこば部分で貼り合わされた構造となっている。これらの貼り合わせには、接着部材55および56を用いるが、接着部材55および56は、遮光機能を有していてもよい。
光学素子としての複数枚のレンズ板54は、収差補正レンズ543、拡散レンズ542および集光レンズ541であり(1枚の場合は集光レンズ)、レンズ板54は、中央部分にレンズ領域が設けられ、そのレンズ領域の外周側に所定厚さを持つスペーサ部である周囲部分としてのレンズこば部分が設けられているが、それらのレンズ板54の各外周側にそれぞれ設けられた所定厚さを持つ各スペーサ部が下からこの順に積層されて配置されている。このスペーサ部は位置決め機能を有しており、その位置決め機能は、テーパの付いた凹部と凸部またはアライメントメークで構成されている。3枚のレンズ板541〜543を接着する接着層55および/または56は、遮光機能を兼ねていてもよく、接着層55および56は、スペースを決定する固体が含有されていてもよい。
次に、この電子素子モジュールとしてのセンサモジュール50を用いた完成品を実施形態3として、本実施形態2のセンサモジュール50を撮像部に用いるかまたは、他の電子素子モジュールを例えば情報記録再生部に用いた電子情報機器を図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態3)
図13は、本発明の実施形態3として、本発明の実施形態2のセンサモジュール50を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
図13において、本実施形態3の電子情報機器90は、上記実施形態2のセンサモジュール50からの撮像信号を各種信号処理してカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示手段93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信手段94とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示手段93と、通信手段94と、プリンタなどの画像出力手段95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
したがって、本実施形態2によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力装置95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
なお、上記実施形態2の電子情報機器90に限らず、本発明の電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器であってもよい。この場合のピックアップ装置の光学素子としては、出射光を直進させて出射させると共に、入射光を曲げて所定方向に入射させる光学機能素子(例えばホログラム光学素子)である。また、ピックアップ装置の電子素子としては、出射光を発生させるための発光素子(例えば半導体レーザ素子またはレーザチップ)および入射光を受光するための受光素子(例えばフォトIC)を有している。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜3を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜3に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜3の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、複数の電子素子が設けられた電子素子ウェハの表面とガラス製の光学素子とが貼り合わされた複合構造体を該電子素子毎に切断して個片化する電子素子モジュールの製造方法、この電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュール、この電子素子モジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の分野において、裏面に再配線された電子素子ウェハ4とその上の接着樹脂層5(接着剤)により一定の間隔で保たれた透明ガラス板1の割断が、フルダイシングにより生じた切断間隙を通したレーザー光により為されるため、チッピングが少なく割断面の品位と割断速度が向上し、歩留まりの向上を図ることができる。また、ダイサーのダイシングブレード7は、裏面に再配線された電子素子ウェハ4の切断だけであるため、透明ガラス板1を切ることの比較において非常に切断速度が速く単位ブレード当りの処理量が上がり長寿命化を図ることができる。
本発明の実施形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するためのガラス表面スクライブ工程で用いるガラス板の断面図である。 図1のガラス板を用いたガラス表面スクライブ工程を説明するための要部縦断面図である。 本発明の実施形態1に係る半導体装置の製造方法における接着工程を説明するための要部縦断面図である。 本発明の実施形態1に係る半導体装置の製造方法におけるテープマウント工程を説明するための要部縦断面図である。 本発明の実施形態1に係る半導体装置の製造方法におけるフルダイシング工程を説明するための要部縦断面図である。 本発明の実施形態1に係る半導体装置の製造方法におけるガラススクライブ工程を説明するための要部縦断面図である。 本発明の実施形態1に係る半導体装置の製造方法におけるガラスブレーク工程を説明するための要部縦断面図である。 本発明の実施形態1に係る半導体装置の製造方法における個片化工程(エキスパンド工程)を説明するための要部縦断面図である。 スクライブなしガラス板と裏面再配線の電子素子ウェハとの貼り合せを模式的に示す要部縦断面図である。 レーザー光条件が良好で割断面が綺麗な状態を模式的に示すガラス板の割断面である。 レーザー光条件が良好ではなく、透明ガラス板の割断面の下端縁部分に、割断痕であるシャークツースが発生した場合を模式的に示すガラス板の割断面である。 本発明の実施形態2に係るセンサモジュールの要部構成例を示す縦断面図である。 本発明の実施形態3として、本発明の実施形態2のセンサモジュールを撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。 ウェハレベルで一体化した従来の電子素子ウェハモジュールを模式的に示す要部縦断面図である。 従来の電子素子ウェハモジュールから各電子素子モジュールに切断する方法を説明するための要部縦断面図である。
符号の説明
1 ガラス板
1a スクライブ線
3 入出力端子
4 電子素子ウェハ
4a 隙間
5 接着樹脂層
6 ダイシングテープ
7 ダイシングブレード
8 レーザー発生装置
10、50 センサモジュール
51 貫通ウエハ
51a 撮像素子51a(電子素子)
51b 貫通孔
52 樹脂接着層
53 ガラス板
54、541〜543 レンズ板
55、56 レンズ接着層
57 遮光部材
90 電子情報機器
91 固体撮像装置
92 メモリ部
93 表示手段
94 通信手段
95 画像出力手段

Claims (12)

  1. 複数の電子素子が設けられた電子素子ウェハの表面とガラス製の光学素子とが貼り合わされた複合構造体を該電子素子毎に切断して個片化する電子素子モジュールの製造方法であって、
    電子素子ウェハの裏面より該電子素子間のスクライブラインに沿って該電子素子ウェハだけのフルダイシングにより生じた切断間隙を通してレーザー光を、予め浅くスクライブした該ガラス製の光学素子のスクライブ線に照射して、該ガラス製の光学素子を該スクライブラインに沿ってスクライブする工程を有する電子素子モジュールの製造方法。
  2. 複数の電子素子が設けられた電子素子ウェハの表面とガラス製の光学素子とが貼り合わされた複合構造体を該電子素子毎に切断して個片化する電子素子モジュールの製造方法であって、
    電子素子ウェハの裏面より該電子素子間のスクライブラインに沿って該電子素子ウェハだけのフルダイシングを行うフルダイシング工程と、該フルダイシングにより生じた切断間隙を通してレーザー光を、予め浅くスクライブした該ガラス製の光学素子のスクライブ線に照射して、該ガラス製の光学素子を該スクライブラインに沿ってスクライブするガラススクライブ工程とを有する電子素子モジュールの製造方法。
  3. 前記フルダイシングの前工程として、裏面に再配線された前記電子素子ウェハの表面と前記ガラス製の光学素子を、接着樹脂層により一定の間隔を保って貼り付ける接着工程を更に有する請求項1または2に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  4. 前記接着工程の前工程として、前記電子素子のサイズと同サイズにスクライブホイールにより前記ガラス製の光学素子の表面を浅くスクライブするガラス表面スクライブ工程を有する請求項3に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  5. 前記接着工程は、前記電子素子ウェハの表面を、前記ガラス製の光学素子のスクライブ線側の面に対向するように貼り合わせる請求項4に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  6. 前記接着工程は、前記浅くスクライブしたガラス製の光学素子のスクライブ線に対して前記電子素子ウェハのスクライブラインを位置合わせして前記接着樹脂層により貼り付ける請求項4または5に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  7. 前記接着工程と前記フルダイシングとの間に、前記電子素子ウェハと前記ガラス製の光学素子との複合構造体を、該電子素子ウェハの裏面を上にして該ガラス製の光学素子側をダイシングテープ上にテープマウントするテープマウント工程を更に有する請求項3に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  8. 前記スクライブラインに沿ってスクライブされたガラス製の光学素子を、該電子素子ウェハのスクライブラインに沿ってブレークするガラスブレーク工程を更に有する請求項1または2に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  9. 前記ガラスブレーク工程の後に、前記電子素子ウェハと前記ガラス製の光学素子との複合構造体がテープマウントされたダイシングテープを拡張して、該電子素子ウェハに複数設けられた電子素子毎に個片化する個片化工程を更に有する請求項8に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  10. 前記フルダイシング工程は、前記電子素子ウェハと前記ガラス製の光学素子との複合構造物を、ダイサーまたはマルチブレードダイサーのチャックテーブルで固定し、上から該電子素子ウェハを撮影して電子素子間のスクライブラインを検出し、ダイシングブレードの刃先と該スクライブラインとの位置合わせを行った後に、該スクライブラインに沿って、該ダイシングブレードにより該電子素子ウェハだけを切断する請求項1または2に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  11. 前記ガラス製の光学素子は、透明ガラス板と、赤外線カット層が表面に設けられた透明ガラス板と、一または複数枚のレンズ板と、該透明ガラス板およびその上の一または複数枚のレンズ板と、該赤外線カット層が表面に設けられた透明ガラス板およびその上の一または複数枚のレンズ板と、プリズムと、ホログラム素子とのうちのいずれかである請求項1または2に記載の電子素子モジュールの製造方法。
  12. 前記レーザー光は、UVピコ秒レーザー光またはフェムト秒レーザー光である請求項1または2に記載の電子素子モジュールの製造方法。
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