JP6246497B2 - 加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光ダイオード等の発光デバイスを製造する際の発光チップの加工方法に関する。
LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)等の発光デバイスが実用化されている。これらの発光デバイスは、通常、電圧の印加によって光を放出する発光層が形成された発光チップを備えている。発光チップの製造は、結晶成長用基板上における格子状の分割予定ラインで区画された各領域に、発光層としてエピタキシャル層(結晶層)を成長させる。その後、結晶成長用基板を分割予定ラインに沿って分割して個片化することで、個々の発光チップが製造される。
緑や青色の光を出射する発光層がInGaN系の発光チップでは、サファイアが結晶成長用基板に一般的に用いられ、このサファイア基板上に順次n型GaN半導体層、InGaN発光層、p型GaN半導体層をエピタキシャル成長させる。そして、n型GaN半導体層とp型GaN半導体層とのそれぞれに外部取り出し用電極が形成され、基台となるリードフレームに固定される。このような発光チップを有する発光デバイスにおいては、より高い輝度が求められており、光の取り出し効率の向上を高めるための様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−10670号公報
ところで、発光層で生じる光は、主に、発光層を含む積層体の2つの主面(表面及び裏面)から放出される。発光層の裏面(サファイア基板側の主面)から出射した光は、サファイア基板を伝搬して、サファイア基板とリードフレームとの界面等で反射される。このため、サファイア基板が薄すぎる場合には、界面等で反射した光がサファイア基板内を伝搬して発光層に再入射する割合が多くなる。発光層では再入射された光が吸収されるため、この吸収された分の光を外部に取り出すことができず、輝度低下の要因となっていた。
一方で、サファイア基板を厚くすることで、サファイア基板とリードフレームとの界面で反射した光が、発光層に到達する前にサファイア基板の側面から外部に放出され易くなる。このため、反射光が発光層に再入射する割合が少なくなり、発光デバイスの輝度を向上させることができるが、サファイア基板を厚く形成することは困難を極める。このように、輝度を向上させた発光デバイスを製造する際には生産性が悪化するという問題がある。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、光の取り出し効率を高めた発光デバイスを効率的に製造できる発光チップの加工方法を提供することを目的とする。
本発明の加工方法は、表面に発光層を備えたチップと、該チップの裏面側に透光性を有する樹脂で貼着され且つ該発光層から発光された光を透過する材質で形成された透光性部材と、から形成された発光チップを製造する加工方法であって、基板の表面に複数の分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域に該発光層が形成されたウェーハを該分割予定ラインに沿って個片化し複数の該チップに分割を行うウェーハ分割工程と、該ウェーハ分割工程を実施した後に、該複数のチップ全てを覆い該チップの表面側に貼着されたエキスパンドテープを拡張して複数の該チップ間の間隔を離間させるエキスパンド工程と、該エキスパンド工程を実施した後に、少なくとも該複数のチップ全てを覆う面積で形成され且つ該発光層から発光される光を透過する材質で形成された透光性基板を、該エキスパンドテープを拡張した状態で、該複数のチップの裏面に該透光性を有する樹脂で貼着する透光性基板貼着工程と、該透光性基板貼着工程を実施した後に、該透光性基板を該複数のチップ間に沿って個片化して複数の透光性部材に分割する透光性基板分割工程と、を備える。
この構成によれば、ウェーハが分割されて複数のチップに個片化されて、複数のチップの間隔を空けた状態で各チップの裏面に透光性基板が貼着される。そして、複数のチップ間に沿って透光性基板が分割されることで発光チップが製造される。このため、ウェーハを分割した各チップに対して一つずつ透光性部材を貼着する構成と比べて、短時間かつ簡易な作業で微細な発光チップを製造できる。このように製造された発光チップは、発光層を備えるチップの裏面側に透光性部材が貼着されているので、透光性部材によって発光チップ全体に厚みを持たせることができる。よって、発光層の裏面から出射された光が発光層に再入射される割合を低く抑え、光の取り出し効率を高めることができる。
また、本発明の加工方法において、該透光性基板分割工程は、該透光性基板を該複数のチップ間に沿って切削ブレードにより切削を行い、複数の透光性部材に分割する。
また、本発明の加工方法において、該透光性基板分割工程は、該透光性基板を該複数のチップ間に沿って該透光性基板を透過する波長のレーザー光線を照射して、該透光性基板の内部に該複数のチップ間に沿って改質層を形成し、該複数のチップ間に沿って外力を付与し該透光性基板を該複数のチップ間に沿って個々の透光性部材に分割する。
また、本発明の加工方法において、該透光性基板分割工程は、該透光性基板を該複数のチップ間に沿って該透光性基板に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を照射して、該透光性基板に該複数のチップ間に沿って分断溝を形成し、該複数のチップ間に沿って外力を付与し該透光性基板を該複数のチップ間に沿って個々の透光性部材に分割する。
本発明によれば、チップの間隔を空けた状態で全てのチップを覆うように透光性基板を貼着した後、透光性基板をチップ間に沿って分割することで、チップに透光性部材を貼着した発光チップを効率的に製造することができる。
発光デバイスの一例を示す斜視図である。 発光チップの光の放出状態の説明図である。 第1の実施の形態に係るウェーハ分割工程の一例を示す図である。 第1の実施の形態に係るエキスパンド工程の一例を示す図である。 第1の実施の形態に係る透光性基板貼着工程の一例を示す図である。 第1の実施の形態に係る転写工程の一例を示す図である。 第1の実施の形態に係る透光性基板分割工程の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係る透光性基板分割工程の他の一例を示す図である。 第3の実施の形態に係る透光性基板分割工程の他の一例を示す図である。
添付図面を参照して、発光チップの加工方法について説明する。先ず、図1及び図2を参照して、発光チップを備えた発光デバイスについて説明する。図1は、発光デバイスの一例を示す斜視図である。図2は、発光チップの光の放出状態の説明図である。
図1に示すように、発光デバイス1は、基台となるリードフレーム11の上面に発光チップ12がワイヤボンディング実装されて製造されている。リードフレーム11は、金属材料で形成されており、発光チップ12が取り付けられる上面に一対の接続端子13が設けられている。一対の接続端子13は、それぞれ一対のリード部材14を介して外部電源(不図示)に接続される。また、一対の接続端子13は、ワイヤ15を介して発光チップ12内の2個の電極に接続されるため、一対のリード部材14を介して外部電源からの電圧が発光チップ12に印加される。
発光チップ12は、発光層23を備えるチップ21の裏面に、透光性基板91(図5参照)を分割した透光性部材22を貼着して形成される。発光層23は、結晶成長用基板としてのサファイア基板24の表面に電子が多数キャリアとなるn型半導体層(例えば、n型GaN層)、発光層となる半導体層(例えば、InGaN層)、正孔が多数キャリアとなるp型半導体層(例えば、p型GaN層)を順にエピタキシャル成長させることで形成される。そして、n型半導体層とp型半導体層とのそれぞれに外部取り出し用の2個の電極が形成され、2個の電極に対して外部電源からの電圧が印加されることで発光層23から光が放出される。
リードフレーム11には、上面を覆うようにドーム状のレンズ部材16が取り付けられている。このように、発光チップ12から放出された光は、レンズ部材16を通じて発光デバイス1の外部に取り出される。なお、図1では、発光チップ12がワイヤボンディング実装される構成を説明するが、発光チップ12はフリップチップ実装されてもよい。また、透光性部材22は、ガラス、透明な樹脂等の発光層23から出射された光が透過する材料であればよい。また、チップ21(ウェーハW)は、サファイア基板(Al基板)に限らず、結晶成長用基板として窒化ガリウム基板(GaN基板)、シリコンカーバイド基板(SiC基板)、酸化ガリウム基板(Ga基板)を用いて形成されたものでもよい。
図2に示すように、発光チップ12において、主に、発光層23の表面25及び裏面26から光が出射される。発光層23の表面25から出射された光は、レンズ部材16(図1参照)を通じて外部に取り出される。一方で、発光層23の裏面26から出射された光はサファイア基板24内を伝搬し、一部の光がサファイア基板24と透光性部材22との界面F1で反射される。また、残りの光がこの界面F1を透過して透光性部材22内を伝搬し、透光性部材22とリードフレーム11との界面F2で反射される。これらの反射光は、サファイア基板24の側面27及び透光性部材22の側面28から外部に取り出される。
この場合、サファイア基板24と透光性部材22との界面F1で反射された光は、サファイア基板24の側面27に到達する前に発光層23に再入射される場合があり、発光層23で吸収される割合が高い。しかしながら、透光性部材22とリードフレーム11との界面F2で反射された光は、発光層23に戻る前にサファイア基板24や透光性部材22の側面27、28から外部に取り出される割合が高い。このように、発光層23を備えたチップ21に透光性部材22を貼着することで、透光性部材22とリードフレーム11との界面F2で反射して発光層23に戻る光の割合を低く抑えて、光の取り出し効率を高めることが可能になっている。
このように構成された発光チップ12は、ウェーハ分割工程、エキスパンド工程、透光性基板貼着工程、転写工程、透光性基板分割工程を経て形成される。ウェーハ分割工程では、分割予定ライン87に沿ってウェーハWが複数のチップ21に分割される(図3参照)。エキスパンド工程では、ウェーハWの表面81に貼着されたエキスパンドテープ85が拡張されることで複数のチップ21の間隔が離間される(図4参照)。透光性基板貼着工程では、複数のチップ21全体を覆うようにチップ21の裏面82に透光性の樹脂93を介して透光性基板91が貼着される(図5参照)。
転写工程では、透光性基板91が貼着された個々のチップ21がエキスパンドテープ85からダイシングテープ95に転写される(図6参照)。透光性基板分割工程では、複数のチップ21間に沿って透光性基板91が複数の発光チップ12に分割される(図7参照)。このような一連の加工により、光の取り出し効率を高めた発光チップ12を効率的に製造することが可能になっている。なお、本実施の形態においては、環状フレーム86にエキスパンドテープ85が張られており、このエキスパンドテープ85にウェーハWが貼着された状態でウェーハ分割工程が実施される(図3参照)。
以下、図3から図7を参照して、第1の実施の形態に係る発光チップを製造する加工方法について詳細に説明する。図3はウェーハ分割工程、図4はエキスパンド工程、図5は透光性基板貼着工程、図6は転写工程、図7は透光性基板分割工程のそれぞれ一例を示す図である。なお、ウェーハ分割工程において、図3Aはウェーハに対する改質層形成加工を示し、図3Bはブレーキング加工を示している。
図3Aに示すように、先ずウェーハ分割工程において改質層形成加工が実施される。改質層形成加工では、レーザー加工装置(不図示)のチャックテーブル31上にエキスパンドテープ85を介して発光層23を有するウェーハWが保持され、ウェーハWの周囲の環状フレーム86がクランプ部32に保持される。また、加工ヘッド33の射出口がウェーハWの分割予定ライン87に位置付けられ、加工ヘッド33によってウェーハWの裏面82側からレーザー光線が照射される。レーザー光線は、ウェーハWに対して透過性を有する波長であり、ウェーハWの内部に集光するように調整されている。そして、レーザー光線の集光点が調整されながら、ウェーハWに対して加工ヘッド33が相対移動されることで、ウェーハWの内部に分割予定ライン87に沿った改質層34が形成される。
この場合、先ずウェーハWの発光層23付近に集光点が調整され、全ての分割予定ライン87に沿って改質層34の下端部が形成されるようにレーザー加工される。そして、集光点の高さを上動させる度に分割予定ライン87に沿ってレーザー加工が繰り返されることで、ウェーハWの内部に所定の厚さの改質層34が形成される。このようにして、ウェーハWの内部に分割予定ライン87に沿った分割起点が形成される。なお、改質層34は、レーザー光線の照射によってウェーハWの内部の密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲と異なる状態となり、周囲よりも強度が低下する領域のことをいう。改質層34は、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域であり、これらが混在した領域でもよい。
図3Bに示すように、ウェーハ分割工程では改質層形成加工の後にブレーキング加工が実施される。ブレーキング加工では、ブレーキング装置(不図示)の一対の支持台35にウェーハWが裏面82を下に向けた状態で載置され、ウェーハWの周囲の環状フレーム86が環状テーブル36に載置される。環状テーブル36に載置された環状フレーム86は、環状テーブル36の四方に設けたクランプ部37によって保持される。一対の支持台35は、一方向(紙面に垂直方向)に延在しており、一対の支持台35の間には、撮像手段38が配置されている。この撮像手段38によって、一対の支持台35の間からウェーハWの裏面82が撮像される。
ウェーハWを挟んだ一対の支持台35の上方には、ウェーハWを上方から押圧する押圧刃39が設けられている。押圧刃39は、一方向(紙面に垂直方向)に延在しており、不図示の押圧機構によって上下動される。撮像手段38によってウェーハWの裏面82が撮像されると、撮像画像に基づいて一対の支持台35の間かつ押圧刃39の直下に改質層34(分割予定ライン)が位置付けられる。そして、押圧刃39が下降されることで、エキスパンドテープ85を介して押圧刃39がウェーハWに押し当てられて改質層34を分割起点としてウェーハWが分割される。ウェーハWは、全ての分割予定ライン87に押圧刃39が押し当てられることで個々のチップ21に分割される。
図4に示すように、ウェーハ分割工程のブレーキング加工の後にはエキスパンド工程が実施される。エキスパンド工程では、テープ拡張装置(不図示)の環状テーブル41上に環状フレーム86が載置され、クランプ部42によって環状テーブル41に環状フレーム86が保持される。また、拡張ドラム43の外径は環状フレーム86の内径より小さくなっており、拡張ドラム43の内径はウェーハWの外径より大きくなっている。このため、拡張ドラム43の上端部がウェーハWと環状フレーム86との間でエキスパンドテープ85に当接される。そして、拡張ドラム43が環状テーブル41に対して相対的に上昇されることでエキスパンドテープ85が放射方向に拡張され、個々のチップ21の間隔が広げられる。
図5に示すように、エキスパンド工程の後には透光性基板貼着工程が実施される。透光性基板貼着工程では、テープ拡張装置の支持テーブル45が拡張ドラム43と同じ高さまで上昇し、複数のチップ21が支持テーブル45によって支持される。このため、支持テーブル45上では、エキスパンドテープ85が拡張された状態を保ちつつ、複数のチップ21の隙間が広げられた状態で維持されている。複数のチップ21に対して透光性基板91が上方から近づけられ、接着剤として透光性を有する樹脂93を介して透光性基板91が各チップ21の裏面82に貼着される。これにより、複数のチップ21の間隔を空けた状態で各チップ21の全てに透光性基板91が貼着される。
この場合、透光性基板91は、ガラス等の透光性材料で円板状に形成されており、複数のチップ21全体を覆う面積で形成されている。接着剤は、透光性を有するのであれば特に限定されるものではなく、透光性基板91の材質に応じて、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、ワックス等を用いてもよい。また、透光性基板貼着工程における透光性基板の貼着作業は、専用の装置によって実施されてもよいし、オペレータの手作業によって実施されてもよい。また、透光性基板91は、複数のチップ21全体を覆うことができる面積を有していればよく、円板状に限らず矩形板状に形成されてもよい。
図6に示すように、透光性基板貼着工程の後には転写工程が実施される。転写工程では、複数のチップ21の表面81からエキスパンドテープ85が剥離され、透光性基板91の裏面92側に環状フレーム86に張られたダイシングテープ95が貼着される。この転写工程によって、複数のチップ21が隙間を空けた状態で外部に露出される。なお、転写工程におけるテープの貼り替え作業は、専用の装置によって実施されてもよいし、オペレータの手作業によって実施されてもよい。
図7に示すように、転写工程の後には透光性基板分割工程が実施される。透光性基板分割工程では、切削装置(不図示)のチャックテーブル51上にダイシングテープ95を介して、複数のチップ21を備えた透光性基板91が保持され、透光性基板91の周囲の環状フレーム86がクランプ部52に保持される。また、切削ブレード53が各チップ21の隙間に位置付けられ、各チップ21の隙間から透光性基板91が切り込まれる。切削ブレード53の切り込み深さは、ダイシングテープ95を切り込む程度に調整される。そして、透光性基板91に対して切削ブレード53が各チップ21の隙間に沿って相対移動されることで、透光性基板91が個々の透光性部材22に分割される。この場合、透光性基板分割工程においては、前段のエキスパンド工程(図4参照)で個々のチップ21の間隔が広げられている程、透光性部材22の面積を大きくとることができ、その分の輝度を向上させることができる。
このようにして、チップ21の裏面82側に透光性部材22を貼着した発光チップ12が形成される。ダイシングテープ95上に個々の発光チップ12が形成されると、ダイシングテープ95から剥離される。そして、後段のリードフレーム11への取り付け作業等や、ワイヤボンディング等を経て発光ダイオード等の発光デバイス1が形成される(図1参照)。
以上のように、第1の実施の形態に係る加工方法によれば、ウェーハWが分割されて複数のチップ21に個片化されて、複数のチップ21の間隔を空けた状態で各チップ21の裏面82に透光性基板91が貼着される。そして、複数のチップ21間に沿って透光性基板91が分割されることで発光チップ12が製造される。このため、ウェーハWを分割した各チップ21に対して一つずつ透光性部材22を貼着する構成と比べて、短時間かつ簡易な作業で微細な発光チップ12を製造できる。このように製造された発光チップ12は、発光層23を備えるチップ21の裏面82側に透光性部材22が貼着されているので、透光性部材22によって発光チップ12全体に厚みを持たせることができる。よって、発光層23の裏面26から出射された光が発光層23に再入射される割合を低く抑え、光の取り出し効率を高めることができる。
続いて、第2の実施の形態に係る発光チップを製造する加工方法について説明する。第2の実施の形態においては、発光チップ12は、ウェーハ分割工程、エキスパンド工程、透光性基板貼着工程、透光性基板分割工程を経て形成される。第2の実施の形態は、転写工程が省略され、改質層形成加工を利用して透光性基板91が分割される点について、第1の実施の形態と相違している。
図8を参照して、第2の実施の形態に係る加工方法について説明する。なお、ウェーハ分割工程、エキスパンド工程、透光性基板貼着工程については、第1の実施の形態と同一であるので、ここでは説明を省略する。なお、透光性基板分割工程において、図8Aは改質層形成加工を示し、図8Bはエキスパンド加工を示している。
図8Aに示すように、第2の実施の形態に係る透光性基板分割工程では、先ず改質層形成加工が実施される。改質層形成加工では、レーザー加工装置(不図示)のチャックテーブル61上にエキスパンドテープ85及び各チップ21を介して透光性基板91が保持され、透光性基板91の周囲の環状フレーム86がクランプ部62に保持される。この場合、改質層形成加工の前にエキスパンドテープ85に対してヒートシュリンク処理が施され、前段のエキスパンド工程(図4参照)で拡張されたエキスパンドテープ85が収縮されている。
また、加工ヘッド63の射出口が複数のチップ21間に位置付けられ、加工ヘッド63によって透光性基板91の裏面92側からレーザー光線が照射される。レーザー光線は、透光性基板91に対して透過性を有する波長であり、透光性基板91の内部に集光するように調整されている。そして、レーザー光線の集光点が調整されながら、透光性基板91に対して加工ヘッド63が相対移動されることで、透光性基板91の内部に複数のチップ21間に沿った改質層64が形成される。この場合、上記したウェーハ分割工程の改質層形成加工と同様にして、透光性基板91の内部に分割起点が形成される。
図8Bに示すように、第2の実施の形態に係る透光性基板分割工程では改質層形成加工の後にエキスパンド加工が実施される。エキスパンド加工では、テープ拡張装置(不図示)の環状テーブル65上に環状フレーム86が載置され、クランプ部66によって環状テーブル65に環状フレーム86が保持される。また、拡張ドラム67の外径は環状フレーム86の内径より小さくなっており、拡張ドラム67の内径は透光性基板91の外径より大きくなっている。このため、拡張ドラム67の上端部が複数のチップ21(透光性基板91)と環状フレーム86との間でエキスパンドテープ85に当接される。そして、拡張ドラム67が環状テーブル65に対して相対的に上昇される。
この結果、エキスパンドテープ85が放射方向に拡張されて、エキスパンドテープ85を介して透光性基板91の改質層64に外力が付与される。透光性基板91は、強度が低下した改質層64を分割起点として、複数のチップ21間に沿って個々の透光性部材22に分割される。このようにして、第2の実施の形態においても、チップ21の裏面82側に透光性部材22を貼着した発光チップ12が形成される。エキスパンドテープ85上に個々の発光チップ12が形成されると、後段のリードフレーム11への取り付け作業等や、ワイヤボンディング等を経て発光ダイオード等の発光デバイス1が形成される(図1参照)。
続いて、第3の実施の形態に係る発光チップを製造する加工方法について説明する。第3の実施の形態においては、発光チップ12は、ウェーハ分割工程、エキスパンド工程、透光性基板貼着工程、透光性基板分割工程を経て形成される。第3の実施の形態は、転写工程が省略され、アブレーション加工を利用して透光性基板91が分割される点について、第1の実施の形態と相違している。
図9を参照して、第3の実施の形態に係る加工方法について説明する。なお、ウェーハ分割工程、エキスパンド工程、透光性基板貼着工程については、第1の実施の形態と同一であるので、ここでは説明を省略する。なお、透光性基板分割工程において、図9Aはアブレーション加工を示し、図9Bはエキスパンド加工を示している。
図9Aに示すように、第3の実施の形態に係る透光性基板分割工程では、先ずアブレーション加工が実施される。アブレーション加工では、レーザー加工装置(不図示)のチャックテーブル71上にエキスパンドテープ85及び各チップ21を介して透光性基板91が保持され、透光性基板91の周囲の環状フレーム86がクランプ部72に保持される。この場合、アブレーション加工の前にエキスパンドテープ85に対してヒートシュリンク処理が施され、前段のエキスパンド工程(図4参照)で拡張されたエキスパンドテープ85が収縮されている。
また、加工ヘッド73の射出口が複数のチップ21間に位置付けられ、加工ヘッド73によって透光性基板91の裏面92側からレーザー光線が照射される。レーザー光線は、透光性基板91に対して吸収性を有する波長であり、透光性基板91の裏面92近傍に集光するように調整されている。このレーザー光線が透光性基板91に照射されることで、透光性基板91の裏面92にアブレーションが生じて部分的にエッチングされる。
そして、レーザー光線の集光点が調整されながら、透光性基板91に対して加工ヘッド73が相対移動されることで、透光性基板91に複数のチップ21間に沿った分断溝74が形成される。この場合、先ず透光性基板91の裏面92に集光点が調整され、アブレーション加工によって透光性基板91の裏面92に分断溝74が浅く形成される。そして、集光点の高さを下動させる度にアブレーション加工が繰り返されることで、透光性基板91に所定の深さの分断溝74が形成される。このようにして、透光性基板91に複数のチップ21間に沿った分割起点が形成される。
ここで、アブレーションとは、レーザビームの照射強度が所定の加工閾値以上になると、固体表面で電子、熱的、光科学的及び力学的エネルギーに変換され、その結果、中性原子、分子、正負のイオン、ラジカル、クラスタ、電子、光が爆発的に放出され、固体表面がエッチングされる現象をいう。
図9Bに示すように、第3の実施の形態に係る透光性基板分割工程ではアブレーション加工の後にエキスパンド加工が実施される。エキスパンド加工では、第2の実施の形態に示すエキスパンド加工と同様にエキスパンドテープ85が放射方向に拡張される。そして、エキスパンドテープ85を介して透光性基板91の分断溝74に外力が付与され、透光性基板91が分断溝74を分割起点として個々の透光性部材22に分割される。このようにして、第3の実施の形態においても、チップ21の裏面82側に透光性部材22を貼着した発光チップ12が形成される。エキスパンドテープ85上に個々の発光チップ12が形成されると、後段のリードフレーム11への取り付け作業等や、ワイヤボンディング等を経て発光ダイオード等の発光デバイス1が形成される(図1参照)。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記した各実施の形態では、ウェーハ分割工程において、改質層形成加工とブレーキング加工とを組み合わせてウェーハWを分割する構成としたが、この構成に限定されない。なお、ウェーハ分割工程は、ウェーハWを分割予定ライン87に沿って個々のチップ21に分割可能であればよい。例えば、ウェーハWがサファイア基板ではない場合には、改質層形成加工とエキスパンド加工とを組み合わせてウェーハWを分割してもよい。
また、ウェーハ分割工程は、アブレーション加工によってウェーハWに分断溝を形成して、この分断溝を分割起点としてブレーキング加工によりウェーハを分割してもよい。また、切削ブレードによるハーフカットによりウェーハWに分断溝を形成し、この分断溝を分割起点としてブレーキング加工によりウェーハWを分割してもよい。これらの場合においても、ウェーハWがサファイア基板ではない場合には、ブレーキング加工の代わりにエキスパンド加工を行ってもよい。さらに、切削ブレードによるフルカットによりウェーハWを分割してもよい。なお、エキスパンド加工によりウェーハWを分割する場合には、図4に示すエキスパンド工程を省略することも可能である。
また、上記した実施の形態においては、ウェーハ分割工程において、分割起点となる改質層や分断溝が分割予定ライン87に沿って連続的に形成される構成としたが、この構成に限定されない。ウェーハWが分割予定ライン87に沿って分割可能であれば、改質層や分断溝は分割予定ライン87に沿って断続的に形成されてもよい。同様に、透光性基板分割工程においても分割起点となる改質層や分断溝が複数のチップ21間に沿って断続的に形成されてもよい。
また、上記した実施の形態においては、上記各工程は別々の装置で実施されてもよいし、同一の装置で実施されてもよい。
以上説明したように、本発明は、光の取り出し効率を高めた発光デバイスを効率的に製造できるという効果を有し、特に、発光ダイオード等の発光デバイスを製造する際の発光チップの加工方法に有用である。
1 発光デバイス
11 リードフレーム
12 発光チップ
21 チップ
22 透光性部材
23 発光層
24 サファイア基板
34、64 改質層
53 切削ブレード
74 分断溝
85 エキスパンドテープ
87 分割予定ライン
91 透光性基板
93 樹脂

Claims (4)

  1. 表面に発光層を備えたチップと、該チップの裏面側に透光性を有する樹脂で貼着され且つ該発光層から発光された光を透過する材質で形成された透光性部材と、から形成された発光チップを製造する加工方法であって、
    基板の表面に複数の分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域に該発光層が形成されたウェーハを該分割予定ラインに沿って個片化し複数の該チップに分割を行うウェーハ分割工程と、
    該ウェーハ分割工程を実施した後に、該複数のチップ全てを覆い該チップの表面側に貼着されたエキスパンドテープを拡張して複数の該チップ間の間隔を離間させるエキスパンド工程と、
    該エキスパンド工程を実施した後に、少なくとも該複数のチップ全てを覆う面積で形成され且つ該発光層から発光される光を透過する材質で形成された透光性基板を、該エキスパンドテープを拡張した状態で、該複数のチップの裏面に該透光性を有する樹脂で貼着する透光性基板貼着工程と、
    該透光性基板貼着工程を実施した後に、該透光性基板を該複数のチップ間に沿って個片化して複数の透光性部材に分割する透光性基板分割工程と、
    を備える加工方法。
  2. 該透光性基板分割工程は、該透光性基板を該複数のチップ間に沿って切削ブレードにより切削を行い、複数の透光性部材に分割することを特徴とする請求項1記載の加工方法。
  3. 該透光性基板分割工程は、該透光性基板を該複数のチップ間に沿って該透光性基板を透過する波長のレーザー光線を照射して、該透光性基板の内部に該複数のチップ間に沿って改質層を形成し、該複数のチップ間に沿って外力を付与し該透光性基板を該複数のチップ間に沿って個々の透光性部材に分割することを特徴とする請求項1記載の加工方法。
  4. 該透光性基板分割工程は、該透光性基板を該複数のチップ間に沿って該透光性基板に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を照射して、該透光性基板に該複数のチップ間に沿って分断溝を形成し、該複数のチップ間に沿って外力を付与し該透光性基板を該複数のチップ間に沿って個々の透光性部材に分割することを特徴とする請求項1記載の加工方法。
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