JP5189991B2 - パーム油またはパーム油派生物から天然化合物の高度富化した画分を製造する方法 - Google Patents

パーム油またはパーム油派生物から天然化合物の高度富化した画分を製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれか一方を用いて、パーム油またはパーム油派生物から天然化合物の高度富化した画分を製造する方法に関する。
パーム油からは、例えばトコクロマノール、カロテノイド、植物ステロール等のような有価化合物を得ることができる。高濃度画分への富化は、関連する膨大な数の成分、非常に低い揮発性、多数の化合物の有機溶媒への非常に低い溶解性、および処理される混合物の非常に高い粘性によって妨げられる。
前濃縮された画分の製造例としては、Carotech製法が利用される場合がある(図1参照)。Caromin(登録商標)は、約10%のカロテノイドを含む富化カロテノイドで、粗製パーム油の派生物である。カロテノイドおよびトコトリエノール(ビタミンE)を抽出するための統合的方法は、特許文献1の米国特許第5,157,142号明細書に従って行われ、図1に要約されている。その方法は、粗製パーム油(CPO)のメチルエステル(FAME:脂肪酸メチルエステル)へのエステル交換を伴い、その後に真空蒸着およびその他の工程が続き、カロテン富化層、トコトリエノール富化層が生じる。カロテン富化層およびトコトリエノール富化層は、カロテノイドの最大含有量30%、および主にトコトリエノールであるトコクロマノールの最大含有量約50%の高度濃縮製品を製造するために更に濃縮され富化される。従来法による更なる富化は、高粘性、非常に低い揮発性および従来の有機溶媒へに低溶解性のために不可能であることが判明した。主に、トコフェロールである超臨界流体との様々な混合物について数多くの研究が行われてきたにも関らず、粗製パーム油またはその他の天然源からトコクロマノールおよびカロテノイドの両方の高濃度富化画分を製造できる方法はなかった。
図1は、混合されたカロテノイドおよびトコトリエノールの濃縮画分を製造する方法を示す(例えば、特許文献1参照。)。
パーム油に特徴的な橙赤色を与えるカロテンは、トコフェロールと共に油の安定性と栄養的価値とに寄与する。これらの構成物質およびその他の微量構成物質は、パーム油の品質特性に大きく影響する。カロテノイドは多くの場合、天然の脂肪または油、特にパーム油から取り出される。カロテノイドは、けん化されていない蒸留残渣から抽出できる。また、処理過程のいくつかの段階で吸着剤を用いて抽出できる。なお、抽出中には大量の有機溶媒を要する。これまでのところ、吸着プロセスは、天然源からさらに高度な濃縮カロテン画分をもたらしたことはない。その理由は、初期濃度の低さ、カロテン画分の粘性の高さおよび大部分の吸着剤におけるカロテンの不安定性である。より高度に濃縮されたカロテン画分を製造する方法を設計しようとする試みが数多く行われてきた。
カロテノイドは、生物において最も広範囲に及ぶ重要色素である。最も広く知られたカロテンは、α−,β−,γ−カロテンおよびリコピンである。また、カロテノイドは酸素ラジカルを不活性化できることから、抗癌特性を有することもわかっている。さらに、カロテンはビタミンA特性を有する天然化合物であることから、医薬品および栄養製品のための商業的な応用に積極的な役割を果たしてきた(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照。)。
カロテノイドは、落花生、菜種油、ひまわり種子油、綿実油などを含む多くの植物油中にみられる。これらの油中のカロテノイド濃度は一般的に低く、100ppm未満である。その中で、パーム油は、レチノール当量に関してカロテンが最も豊富な天然植物源であり、マレーシアが世界のパーム油生産の最大の割合を占めている。パーム油は、既知の植物油の中で最も高濃度のカロテノイドを含み、油が得られるヤシ果実の種類によって500〜3000ppmの範囲に及ぶ(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照。)。なお、マレーシア産粗製パーム油中のカロテン濃度は500〜700ppmの間で異なり、α−カロテンおよびβ−カロテンの形で総カロテンの最大90%までとなっている(例えば、非特許文献3参照。)。
最近の市場に見られるカロテンは、化学合成のβ−カロテンまたは藻類のDunaliella(ドナリエラ)から抽出されたカロテンである。カロテノイドは、重要性と価値が増大する可能性が最も高く、パーム油からのカロテノイドの取り出しと、その副産物とが重要になる。そして、けん化、尿素処理、選択溶媒抽出、分子蒸留、吸着分離、結晶化、エステル交換およびこれらの処理に続くエステル蒸留など、カロテンをパーム油から取り出すための様々な抽出方法が長年にわたって開発されている(例えば、非特許文献1、非特許文献4および非特許文献5参照。)。
[トコクロマノール]
ビタミンは、人の健康にとって重要な物質である。ビタミンは様々な体内のプロセスを調節しており、多くの生命機能に対して好ましい作用を有する。一般論として、ビタミンは補酵素またはプロホルモンとして作用するものの、抗発癌物質または抗酸化作用のようなその他の機能の多くはまだ研究されていない。ビタミンの大部分は人体で合成することができないので、食物とともに摂取しなければならない。ビタミンは、構造および機能が様々であることから、最初の取り組みは、ビタミン類を水溶性群と脂肪性群とに分類することである。水溶性ビタミンは全身に分布し、ほとんど全ての器官に作用するが、一方で、脂肪性ビタミンは主に膜中に存在する。これらビタミンの血流中の輸送および消化は、十分な量の油脂質およびミセルが存在している場合にのみ行われる。
ビタミンEは、ビタミンE活性を有するトコクロマノール群に由来する8つの物質の総称である。トコクロマノールは、更に二つのグループに細分することができる。即ち、トコフェロールおよびトコトリエノールに細分でき、トコトリエノールは、その炭化水素鎖に3つの不飽和二重結合を有し、トコフェロールは完全不飽和化された炭化水素鎖を有する。トコフェロールおよびトコトリエノールの両サブグループは、クロマン環の置換によってα−,β−,δ−およびγ−トコフェロール(トコトリエノール)と表される4つのホモグロで構成される。トコクロマノールは、臓器の細胞膜中に最も多く見られる脂肪性の抗酸化物質である。γ−トコフェロールは最も高い抗酸化活性を有し、そのため、食品業界および化粧業界で抗酸化剤としてほとんど使用される。それでもなお、最近の研究がその他のトコクロマノールホモグロの後発癌物質または抗腫瘍特性といった更なる機能を報告している。
結果として、全てのホモグロからなる天然のトコクロマノール混合物の需要が確実に増大しつつある。マレーシア産のパーム油は、世界最高のトコクロマノール含有量を有する。粗製パーム油(CPO)は、94重量%のトリグリセリド、3〜4重量%の遊離脂肪酸(FFA)から成り、CPOのわずか1重量%は、トコクロマノール、カロテノイドおよび植物栄養素からなる。パーム油は、多量にまた比較的低価格で入手可能である。パーム油はトコトリエノールの最大の供給源である。トコトリエノールは粗製パーム油の精製および脱臭中に得られる蒸留画分から取り出すことができる。カロテノイドはこの過程で破壊される。したがって、一工程順序で有価化合物であるトコトリエノールおよびカロテノイドの両方を取り出そうと試みるのは合理的である。最も経済的な方法は、これらの有価化合物を粗製パーム油から適切な吸着剤に吸着し、次いで吸着剤からそれら有機化合物を回収することであろう。このようなアプローチは数多くの試みが行われてきたが、今のところ成功していない。よって、別のアプローチの必要性から、パーム油のトリグリセリドを脂肪酸メチルエステルにエステル交換し、真空蒸着により回収する方法が知られている。そして、更なる高度濃縮画分をもたらす方法は、前述の通り混合物特性によって制限されてしまう。
本発明である超臨界流体抽出(SFE)は、有機溶媒による従来の抽出に代わるものである。SFEは、溶媒を含まない抽出物を提供することができ、その低い臨界温度によりトコクロマノールの一種であるビタミンのような温度感受性の処理に用いることができる。超臨界流体は、低揮発性成分を溶解することができ、また、これらの成分に対して気相を介した任意の処理を行うことができる。さらに、高粘性溶液は、特に二酸化炭素およびプロパンといった多量の超臨界流体を溶解することにより、粘性を大幅に低下する。その結果、高粘性溶液も処理中に取り扱うことができる。
これらの事実は、しばらくの間それぞれ知られていたにも関らず、向流SFE分離およびそれに続く選択的SFE脱着によるSFE吸着の適切な組み合わせによる、トコクロマノールおよびカロテノイドの更なる富化についての特段の効果は認識されていなかった。これまでに達成された最新技術を以下に示す。
[トコクロマノール]
近年、超臨界二酸化炭素による天然材用の抽出に関する研究が増えつつある。二酸化炭素の臨界パラメータは、7.4MPa、304.21Kである(例えば、非特許文献6参照。)。これら低臨界パラメータのため、超臨界二酸化炭素を用いることにより、装置の運転に起因するコストを低コスト化でき、また、低臨界温度のため、超臨界二酸化炭素を用いることにより温度感受性材料であっても抽出できる。また、有機溶媒とは逆に、二酸化炭素は、無毒、不燃性および不活性である。さらに、二酸化炭素は、容易に入手可能であり、所望の産物から完全に取り除くことができ、残留物が発生しない。また、二酸化炭素の可溶性は密度で調節することができるので、供給材料によって調節して適用させることができる。これらが超臨界二酸化炭素抽出の分野における膨大な研究の理由である。例えば、イレス外(例えば、非特許文献7参照。)、およびグナイフィード外(例えば、非特許文献8参照。)は、トコフェロールおよびカロテン含量に関して、超臨界COおよび近臨界プロパンによる赤トウガラシおよびコショウ油の抽出を研究している。超臨界二酸化炭素の溶解性はカロテンを溶解するには不十分であることがわかった。両方の溶媒へのトコフェロールの溶解性は良好であり、COおよびプロパン両方にトコフェロールを溶解することができた。また、ナジシャ外(例えば、非特許文献9参照。)およびシシクラ外(例えば、非特許文献10参照。)は、大豆脱臭剤の蒸留液からの超臨界流体抽出によるトコフェロールの富化を研究している。さらに、オリーブオイル産物の中間物からのスクアレン富化(例えば、非特許文献11参照。)および酢酸トコフェロールおよびトコフェロール富化、フレック外(例えば、非特許文献12参照。)に関する更なる研究が行われている。
密度による超臨界二酸化炭素の溶解性の調節により、超臨界抽出に高い柔軟性がもたらされる。しかし、二酸化炭素は極性を欠くため、極性物質に対する溶解性は限られる。溶解性を上げる一つの可能性は、超臨界流体二酸化炭素に調節剤を添加することである。一般的な調節剤はイソプロパノール、エタノールおよびプロパンである。調節剤による溶解性の上昇が選択性の低下と対になることが多いという点は軽視すべきでない。そこで、最近の研究は、超臨界抽出前の付加吸着過程に焦点を当てている。吸着剤が異なる成分に対して異なる親和性を持つことから、付加吸着の結果、処理過程の選択性が増す可能性がある。その結果、成分の吸着および脱着が様々な程度で行われる。ワン外(例えば、非特許文献13参照。)は、超臨界二酸化炭素を溶媒として圧力スイング吸着法を用い、α−トコフェロールおよびスクアレンの分離を研究した。処理過程の第一段階において、原材料は超臨界COと混合され、シリカゲル充填されたカラムに低圧力で入り、そこで原材料はシリカゲルに吸着する。第二段階で、吸着剤は高圧力下において純粋超臨界二酸化炭素でシリカゲルから脱着される。これらの実験の間に、ワン外はα−トコフェロールを20重量%の原材料から60重量%に富化することができ、スクアレンを80重量%から98重量%に富化することができた。超臨界二酸化炭素中の吸着と脱着に関する理論的研究はレヴァション外(例えば、非特許文献14参照。)およびゴトウ外(例えば、非特許文献15参照。)により行われてきた。レヴァションの研究グループは、複合テルペン混合物の超臨界条件下の吸着挙動を説明するためにラングミュアの類似多成分吸着等温線を用い、一方、ゴトウの研究グループはシミュレーションを行うためにBET吸着等温線を用いた。両方の研究は、実験データを高精度でシミュレーション可能な数学的モデルを導き出した。
リー外(例えば、非特許文献16参照。)は、再生粘土上の処理済み大豆油に由来するリン脂質の吸着動態に関する研究を発表した。リーの研究グループは吸着処理について説明するため、吸着前後の濃度を測定することによって反応の運動論的方程式を用いた。システムを説明するために吸着等温線が全く使われていないことから、これは前述の著者等とは全く異なる方法だった。それにも関わらず、リーの研究グループは実験データを予測することが出来る反応方程式を導き出すことができた。超臨界二酸化炭素による改質粘土再生は、カバルカンテ外(例えば、非特許文献17参照。)およびカルネイロ外(例えば、非特許文献18参照。)によって研究された。有機物質を吸着する能力が水処理分野においては非常に重要であることから、改質粘土は環境技術において重要な吸着剤である。従って、粘土再生は処理の経済効率において重要な経済的問題である。ツェッツル(例えば、非特許文献19参照。)は、シリカゲルへの選択的吸着とそれに続く超臨界二酸化炭素下での脱着を応用することによってレモン油からの香気の分離に取り組んだ。リモネンおよびシトラールの脱着曲線が研究され、高精度で実験データを表現するモデルが導入された。
選択的吸着とそれに続く超臨界COによる脱着の分離技術の特許は、植物性揮発油からのテルペン分離について出願されている。欧州特許出願公開第0363971(A2)号明細書には、このような処理について記載されている。植物性揮発油は一定温度で撹拌することによって、吸着剤と混合され、次に超臨界COで抽出される。処理される油が低粘性であるためにこれが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
[カロテノイド]
特開2002−226723号公報は、パーム油からのカロテン富化方法を示している。パーム油は、最初にエステル交換される。次いで、このエステルを濃縮エステル層に分離するために、メタノールなどの親水性の溶媒で抽出する。次いで、この濃縮物は、カロテンを吸着するためにシリカゲルを充填したカラムに供される。次いで、カロテンは、約4000ppmのアセトンを含むヘキサンを用いて脱着される(例えば、特許文献3参照。)。
富カロテン濃縮物の吸着濃縮も、米国特許第6072092号明細書に用いられており、シリカゲルが吸着剤として使用され、多量の非極性溶媒がカロテンを回収するために用いられる(例えば、特許文献4参照。)。
欧州特許第0242148号明細書には、シリカゲルまたは活性アルミナを吸着剤として、ならびに所定量の極性溶媒を含む非極性溶媒をカロテン富化のための溶離剤として用いる同様の方法が記載されている(例えば、特許文献5参照。)。
特開昭63−132871号公報には、ゼオライトを吸着剤として利用し、例えば四塩化炭素等の非極性溶媒を溶離剤として利用するカロテン富化方法が記載されている(例えば、特許文献6参照。)。
米国特許第5157132号明細書は、エステル交換およびけん化を通じて油からカロテンを回収する方法が記載されている。富化カロテンは、けん化された残留物から有機溶媒で抽出することもできる。得られた残留物は20%のカロテン含量を有する(例えば、特許文献7参照。)。また、欧州特許第1398311号明細書にも同様の方法が記載されている。10%〜20%のカロテン濃度を得ることができる(例えば、特許文献8参照。)。
独国特許第4429506号明細書は、乾燥材料からのプロパンまたはブタンによるカロテノイド抽出を示している。両気体の溶解性は、共溶媒が用いられる場合に大いに改善され得ることが分かった(例えば、特許文献9参照。)。
米国特許第5,157,142号明細書 欧州特許出願公開第0363971(A2)号明細書 特開2002−226723号公報 米国特許第6072092号明細書 欧州特許第0242148号明細書 特開昭63−132871号公報 米国特許第5157132号明細書 欧州特許第1398311号明細書 独国特許第4429506号明細書 Y.M.チュー(Y.M.Choo)著,「パーム油カロテノイド(Palm Oil Carotenoids)」,国連大学出版(The United Nations University Press),食物と栄養紀要(Food and Nutrition Bulletin),1994年,p15 C.レンファント(C.Lenfant)、F.C.ティリオン(F.C.Thyrion)著,「パーム油からのカロテノイド抽出 I(Extraction of Carotenoids From Palm Oil I)」、β−カロテンの物理的および化学的特性(Physical and Chemical Properties of β−Carotene),Voir OCL 3、3,1996年,p220〜226 S.H.ゴー(S.H.Goh)、Y.M.チュー(Y.M.Choo)、S.H.オング(S.H.Ong)著,「パーム油の微量構成物質(Minor Constituents of Palm Oil)」,米国オイル化学学会誌62(J.Am.Oil Chem.Soc.62),1985年,p237〜240 B.S.バハリン(B.S.Baharin)、L.L.ユー(L.L.You)、Y.B.チェ・マン(Y.B.Che Man)、S.タカギ(S.Takagi)著,「粗製およびゴムを除去されたパーム油からのカロテンのクロマトグラフィー分離に対する脱ガム処理の効果(Effect of Degumming Process on Chromatographic Separation of Carotenes from Crude and Degummed Palm Oil)」,食物脂質誌8(Journal of Food Lipids 8),2001年,p27〜35 C.レンファント(C.Lenfant)、F.C.ティリオン(F.C.Thyrion)著,「パーム油からのカロテノイド抽出II(Extraction of Carotenoids From Palm Oil,II)、単離方法(Isolation Methods)」,Voir OCL 3、4,1996年,p294〜307 VDI著,「VDI熱アトラス(Warmeatlas)」,VDI出版有限責任会社(VDI Verlag GmbH),1988年 V.Ill´es、H.G.Daood、P.A.Biacs、M.H.Gnayfeed、B.M´esz´aros著,「カロテノイドおよびトコフェロール含量に関するスパイス赤トウガラシ油の超臨界CO2および超臨界プロパン抽出(Supercritical CO2 and Subcritical Propane Extraction of Spice Red Pepper Oil with Special Regard to Carotenoid and Tocopherol Content)」,クロマトグラフ科学誌第37巻(Journal of Chromatographic Science,vol.37),1999年 M.H.Gnayfeed、H.G.Daood、V.Ill´es、P.A.Biacs著,「刺激性パプリカの超臨界CO2および近臨界プロパン抽出ならびにカロテノイド、トコフェロール、およびカプサイシノイドの定量化(Supercritical CO2 and Subcritical Propane Extraction of Pungent Paprika and Quantification of Carotenoids,Tocopherols and Capsaicinoids)」,農業食品化学誌49(Agric.Food Chem.49),2001年,p2761〜2766 G.K.ナジシャ(G.K.Nagesha)、B.マノハー(B.Manohar)、K.ウダヤ・サンカー(K.Udaya Sankar)著,「超臨界二酸化炭素抽出を用いる改質大豆脱臭剤蒸留物中のトコフェロールの富化(Enrichment of tocopherols in modified soy de−odorizer distillate using supercritical carbon dioxide extraction)」,欧州食物研究技術217(Eur.Food Res.Technol.217),2003年,p427〜433 A.シシクラ(A.Shishikura)、K.フジモト(K.Fujimoto)、T.カネダ(T.Kaneda)、K.アライ(K.Arai)、S.サイトウ(S.Saito)著,「超臨界流体抽出による大豆スラッジからのトコフェロールの濃縮(Concentration of Tocopherols from Soybean Sludge by Supercritical Fluid Extraction)」,日本油化学誌37第1号(Jpn.Oil Chem.Soc.37,No.1),1988年 M.ドレッシュナー(M.Dreschner)、M.ボナクダー(M.Bonakdar)著,「Anreicherung des Kohlenwasserstoffes Squalen in einem Zwischenprodukt der Olivenolherstellung durch Extraktion mit verdichtetem Kohlendioxid」,化学工学技術73(Chemie Ingenieur Technik 73),2001年,p338〜342 U.フレック(U.Fleck)著,「Reinigung schwer fluchtiger Substanzen mittels Extraktion mit uberkritischen Gasen」,ハンブルク−ハールブルク工科大学学位論文(Dissertation,Technische Universitat Hamburg−Harburg),2000年 H.ワン(H.Wang)、M.ゴトウ(M.Goto)、M.ササキ(M.Sasaki)、T.ヒロセ(T.Hirose)著,「超臨界二酸化炭素中の圧力スイング吸着法によるα−トコフェロールおよびスクアレンの分離(Separation of α−Tocopherol and Squalene by Pressure Swing Adsorption in Supercritical Carbon Dioxide)」,産業工業化学研究43(Ind.Eng.Chem.Res.43),2004年,p2753〜2758 E.Reverchon、G.Lamberti、P.Subra著,「複合テルペン混合物の超臨界吸着のモデル化およびシミュレーション(Modelling and simulation of the supercritical adsorption of complex terpene mixtures)」,化学工業科学53(Chemical Engineering Science 53),1998年,p3537〜3544 M.ゴトウ(M.Goto)、B.C.ロイ(B.C.Roy)、A.コダマ(A.Kodama)、T.ヒロセ(T.Hirose)著,「溶質−固体相互作用を伴うモデル化超臨界流体抽出過程(Modelling Supercritical Fluid Extraction Process Involving Solute−Solid Interaction)」,日本化学工学誌31(Journal of Chemical Engineering of Japan 31),1998年,p171〜177 C.H.リー(C.H.Lee)、C.I.リン(C.I.Lin)著,「水和およびアルカリ精製された大豆油からの再生粘土を用いるリン脂質の吸着動態(Kinetics of Adsorption of Phospholipids from Hydrated and Alkali−Refined Soy Oil Using Regenerated Clay)」,日本化学工学誌37(Journal of Chemical Engineering of Japan 37),2004年,p764〜771 A.M.カバルカンテ(A.M.Cavalcante)、L.G.トレス(L.G.Torres)、G.L.V.コエーリョ(G.L.V.Coelho)著,「改質粘土への酢酸エチルの吸着および超臨界CO2によるその再生(Adsorption of Ethyl Acetate onto Modified Clays and its Regeneration with Supercritical CO2)」,ブラジル化学工学誌第22巻第1号(Brazilian Journal of Chemical Engineering,Vol.22No.1),2005年,p75〜82 D.G.P.カルネイロ(D.G.P.Carneiro)、M.F.メンデス(M.F.Mendes)、G.L.V.コエーリョ(G.L.V.Coelho)著,「超臨界二酸化炭素を用いた改質粘土からのトルエンの脱着(Desorption of Toluene from Modified Clays using Supercritical Carbon Dioxide)」,ブラジル化学工学誌 第21巻第4号(Brazilian Journal of Chemical Engineering Vol.21,No.4),2004年,p641〜646 C.ツェッツル(C.Zetzl)著,「esorption von Sauerstoffverbindungen des Zitrusols durch uberkritisches CO2」、カールスルーエ大学、熱プロセス工学研究所、卒業研究(Diplomarbeit,Institut fur Thermische Verfahrenstechnik an der Universitat Karlsruhe),1994年
上記の技術は、カロテノイド濃縮物を得るために溶離剤として多量の有機溶媒および蒸留による溶媒回収が必要であり、パーム油またはパーム油派生物から天然化合物の高度富化した画分を容易に製造できない。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、天然化合物の高度富化した画分を容易に製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明は、パーム油またはパーム油派生物から天然化合物を高度富化した画分を製造する方法であって、揮発性が前記天然化合物より高く超臨界流体または近臨界流体によって可溶性である上部の揮発性物質を取り除き、前記天然化合物を富化した下部画分をもたらす超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかによる第1の向流多段階分離と、上部の前記標的天然化合物を取り除き、さらには低揮発性不純物から標的天然化合物を洗浄する超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかによる前記第1の向流多段階分離とは別の第2の向流多段階分離とを有する第1分離工程と、吸着剤にて超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかを含む前記第1の分離工程からの画分を直接的に吸着する吸着工程と、この吸着工程の後に同一または別の超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかによって前記吸着剤から前記混合物を溶出する溶出工程とによる選択的吸着および脱着、ならびに様々な画分回収を含む第2の分離工程とを備え、この第2の分離工程では、同一の圧力および温度でまたは減少した密度で、吸着剤に、超臨界流体および近臨界流体である二酸化炭素およびプロパンの少なくともいずれかを含む向流分離からの画分を4から10の割合で混合し、流入する原材料が吸着剤の一部のみに充填されるように直接的に吸着することによる選択的吸着および脱着を含み、少なくとも一つの工程にて、同一または別の超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかで溶出または抽出による脱着を行い、第1の脱着工程では、吸着された前記混合物中にまだ残っている揮発性がより高い天然化合物を12〜15MPaの低い圧力で除去し、第2の脱着工程では、揮発性がより低い天然化合物を22〜35MPaの圧力でかつ313〜373Kの温度で抽出し、第3の脱着工程では、3〜10MPaの条件での近臨界プロパンの使用を含むものである。
本発明によれば、濃縮物を得るために超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかが溶媒として低温で用いられる。これら溶媒は、膨張によって容易に取り除くことができるので、天然化合物の高度富化した画分を容易に製造できる。
なお、食用油からの植物ステロールの富化およびトコクロマノールの富化に超臨界二酸化炭素およびその他の圧縮ガスを用いる上記文献中のほとんどの技術は、非常に低い濃度の成分から開始する。したがって、トリグリセリドやFAMEが油またはエステル化油それぞれを処理する場合に圧倒的に優れた物質であるため、上記文献中の研究の主な焦点は、トリグリセリドまたはFAMEのような物質から油を激減させることにある。さらに、一番多く述べられている方法は、バッチ式で行われる方法である。したがって、既に富化されたパーム油派生物から開始して、吸着や脱着操作により連続運転の抽出カラムの組み合わせおよびそれに続く抽出を使用する本発明で述べられた方法はまだ応用されていない。
トコクロマノール群のビタミン化合物およびカロテノイドは、以下に述べられる方法で天然油から生じる混合物が富化される。これらの混合物は、脂肪酸メチルエステルまたは脂肪酸エチルエステル、スクアレン、モノグリセリド、ジグリセリド、ステロールおよび標的化合物を含む。
超臨界二酸化炭素を溶媒として用いて、第1分離工程において(図2、カラムC1およびC2)、向流操作される分離カラム上部では、トコクロマノールまたはカロテノイドからこれら標的化合物よりも超臨界二酸化炭素に対して溶解性が高い化合物が除去され、分離カラム下部では、溶解性がより低い化合物が除去される。この方法は、トコクロマノールにてついては約70重量%の濃度、カロテノイドについては約30重量%の濃度をもたらす。この分離の詳細は下記の通りである。
第2の分離工程では、以下の向流プロセスの直後に続いて、混合物は、選択的な吸着および脱着の工程によって処理される(図2、吸着剤A1、A2、A3)。吸着は、超臨界流体または近臨界流体および標的化合物を含む向流分離カラムから引き出されたマスフローから行われ、吸着剤に直接投入される。このように、高粘性溶液または固溶体の取り扱いが可能になる。次いで、原材料混合物を充填した固定床から脱着が行われる。脱着は、同じ超臨界流体または近臨界流体、もしくは異なる流体または連続した二つまたは複数の前記溶媒で行ってもよい。脱着は、吸着と比べて異なる条件、即ち異なる値のガスの圧力、温度、流速でも行われる。超臨界溶媒または近臨界流体は、超臨界流体または近臨界流体の混合物、好ましくは二酸化炭素およびプロパンの混合物を含んでもよい。
吸着および脱着による分離は、吸着剤全体を原材料混合物で満たさずに吸着剤の一部のみを満たすことによって改善され得ることがわかった。脱着の間、一連の吸着および脱着工程が行われ、分離効率、ひいては分離画分の濃度が上昇する。吸着剤の固定床の遊離部分に対する第1吸着部分の割合は可変であり、通常、0.5〜0.1である。
図2は、SFE技術によるトコクロマノールおよびカロテノイドの濃縮方法の工程図である。
[トコクロマノール]
パーム油由来混合物からのトコトリエノールを主に含む高度富化トコクロマノール画分製造のための新しい方法は、カラム上部のより軽い揮発性物質、(即ち、超臨界化合物(二酸化炭素)中にてより溶解性の高い化合物)を除去するために、超臨界流体、好ましくは二酸化炭素を用いる連続的な向流多段階分離を兼ね備える。カラム下部は、ステロールおよびその他のやや極性がある化合物を比較的高含量で含むトコトリエノール富化画分である。この下部画分は、適切な吸着剤に通される。シリカゲルが適用可能な吸着剤であることが分かった。吸着された混合物は、超臨界流体、好ましくは二酸化炭素によって、2工程の溶出または抽出による脱着工程により脱着される。第1脱着工程は、約140barすなわち約14MPaの圧力にて行われ、揮発性がより高い化合物、または超臨界二酸化炭素により可溶な化合物を除去する。第2脱着工程は、約250barすなわち約25MPaの圧力にて行われ、主にトコトリエノールを含む高度富化トコクロマノール画分が抽出される。抽出された画分は、別の容器に採取することによって更に分割することもできる。画分の分け方によって、トコトリエノール濃度は原材料混合物の約50%の収率の、85%から略100%までの範囲に及ぶ。吸着剤はエタノールなどの液体溶剤によって再生され、吸着工程に再利用される。
いくつかの方法によって得ることができる前富化画分から開始する方法は、メタノールによるグリセリドのエステル交換、および短経路蒸着による、または二酸化炭素のような超臨界流体による抽出で得られた脂肪酸エステルの除去を含む場合がある。例えば、第1分離工程のための出発材料は、56重量%のトコクロマノール(γ−トコトリエノール、α−トコトリエノールおよびα−トコフェロールを主要成分として含む。)、16重量%のスクアレン、5重量%の植物ステロール(β−シトステロールおよびカンペステロールを最も顕著な種類とする。)、ならびに11重量%のモノグリセリドおよびジグリセリドを数ある物質の中に含むパーム油派生物だった。この材料は、溶媒として超臨界二酸化炭素を利用する連続運転の抽出カラムに供給された。カラムは、SulzerEX規則充填物で充填され、内径17.5mmで全高7mを有し、その6mが充填された。20〜30MPaの圧力および323〜358Kの温度を用いて、特にFAME、スクアレンおよびモノグリセリドのみを抽出し、したがって、植物ステロールおよび残留物を含むおそらくより極性が高い化合物であるその他大部分とともに、約70%トコクロマノールに富化された下部生成物を得ることで、ステロールおよびトコクロマノールを含まない上部生成物を製造することができる。
より長いカラムであれば、下層部から高揮発性成分を完全に除去できる。化学工学的方法によって、FAME、スクアレンおよびモノグリセリドをトコクロマノール、ステロールおよびその他の低揮発性成分から完全分離するために必要な高さを算出した。結果は、これらの成分の完全分離は、約15mのカラムの高さで、溶媒対原材料比が80対140、還流比が6〜12、温度が323Kおよび圧力が20〜25MPaに相当する13段の理論分離段数で可能であるというものだった。
理論的に、トコトリエノールの更なる富化は、超臨界流体を用いる別の向流分離を利用することによって可能なはずである。実験的研究は、トコトリエノールが富化された下部生成物の超臨界二酸化炭素中の溶解度は分離工程のための溶媒とするには低すぎることを明らかにした。従って、溶解性を高めるために、調節剤を基本の超臨界流体である二酸化炭素と混合した。下記の溶媒組成を詳しく調べた。すなわち、プロパン含量が29%、55%、および83%のCO+プロパン、および、それぞれの濃度が5および10重量%であるCO+液状有機溶媒すなわちエタノール、イソプロパノール、1−ブタノールおよび酢酸エチルである。測定は、プロパンを用いる実験の場合には5〜30MPaの範囲の圧力で323K、343K、および358Kの温度で、液体調節剤を用いる実験の場合には20MPaの固定圧力で323Kおよび343Kの温度でそれぞれ行われた。検討した全ての条件において低揮発性化合物の濃度は気相中で富化されたが、トコトリエノールに関する選択性はステロールが気相に溶解する程度まで減少し、従ってトコトリエノール濃度を更に富化することが不可能になる。
驚くべきことに、下部材料が特別なシリカゲルと混合され、次にこの吸着剤から超臨界二酸化炭素で脱着または抽出された場合には、分離係数は高いままで、上昇さえしたことがわかった。第1分離工程からの下部生成物は所定の量の吸着剤(シリカゲル)と4〜10の割合で混合された。混合物は固定床としてカラムに導入された。次に、超臨界流体(二酸化炭素)を約14MPaの圧力と約333Kの温度で加え、脂肪酸エステルおよびスクアレンなどといった残りの高揮発性成分が脱着された。第2脱着(抽出)工程では、ほとんど同じ温度だが約25MPaの更に高い圧力にてトコトリエノールが高濃度で脱着された。原材料に対する吸収剤の割合が10、超臨界二酸化炭素の溶媒比が約300[kgCO/kg原材料および時間]で、原材料の27%の画分がトコトリエノール75%の濃度で1時間で得られ、その画分の後、トコトリエノール100%の濃度で原材料の25%の別の画分がもう一時間で回収される可能性がある。二酸化炭素およびプロパンの混合物による実験は、可溶性を高めることができた一方で選択性は維持されることを示した。従って、溶媒比は純粋なCOを用いる場合よりも低い可能性がある。
[カロテノイド]
カロテノイド濃縮物(1〜10重量%)は、5段階高圧ミキサ・セトラとして組み立てられた連続運転の抽出装置に供給される。この装置による三つの分離工程で、20MPa〜30MPaの圧力および323K〜358Kの温度において、最大30重量%までのカロテノイドを含む生成物を製造することが可能だった。この生成物を特別なシリカゲル、好ましくはZeofree5170である吸着剤に通し、この吸着剤によってカロテノイド、ステロイド、およびその他の物質、ならびに脂肪酸エステルの混合物が吸着される。混合比は4から10の範囲である。続いて、充填された吸着剤を例えば5MPaと323K、好ましくは2〜7MPaと313〜343Kの範囲の条件にて、最初に超臨界二酸化炭素と接触させ、次に近臨界プロパンと接触させる。二酸化炭素によって主に非カロテノイドが脱着されて溶出され、近臨界プロパンでカロテノイドが脱着される。原材料に対するプロパンの溶媒比は、20から100の範囲、好ましくは約30である。吸着工程において吸着剤の画分のみが原材料に充填された場合には、溶出したカロテノイドの濃度が高められた。
なお、上記の実施の形態では、トコクロマノール画分の製造およびカロテノイド画分の製造について説明したが、本発明のパーム油またはパーム油派生物から天然化合物の高度富化した画分を製造する方法によれば、様々な天然化合物の高濃度富化した画分を製造でき、例えば、ステロール画分およびコエンザイムQ10などの天然化合物も製造可能である。
超臨界流体としての超臨界二酸化炭素や近臨界流体としての近臨界プロパンを用いる際の温度は、313K以上383K以下の範囲であり、好ましくは323K以上363K以下の範囲である。
また、超臨界流体としての超臨界二酸化炭素や近臨界流体として近臨界プロパンを用いる際の圧力は、5MPa以上45MPa以下の範囲であり、好ましくは10MPa以上30MPa以下の範囲である。
さらに、超臨界流体としての超臨界二酸化炭素や近臨界流体として近臨界プロパンを用いる際の溶媒対原材料比は、1以上500以下の範囲であり、好ましくは50以上300以下の範囲である。
また、超臨界流体としての超臨界二酸化炭素や近臨界流体として近臨界プロパンを用いる際のカラム上部の還流比は、0.1以上50以下の範囲であり、好ましくは2以上20以下の範囲である。
第2の分離工程において、上記の説明のように、第1脱着工程が約140bar、すなわち約14MPaの圧力で行われ、第2脱着工程が約250bar、すなわち約25MPの圧力にて行われる構成には限定されない。第脱着工程は、12MPa以上15MPa以下の圧力であればよい。また、第2脱着工程は、313K以上373K以下の温度にて、22MPa以上35MPa以下の圧力であればよく、より好ましくは25MPaである。さらに、第3脱着工程を有する場合は、3MPa以上10MPa以下の圧力であればよく、より好ましくは5MPa以上7MPa以下である。
吸着剤は、シリカゲルが好ましく、より好ましくはZeofree(登録商標)という特別なシリカゲルである。
[トコクロマノール]
第1分離工程について説明する。
連続運転の多段階超臨界抽出が、純粋二酸化炭素を溶媒として、50重量%のトコクロマノール(γ−トコトリエノール、α−トコトリエノール、およびα−トコフェロールを主要成分として含む)、16重量%のスクアレン、3重量%の植物ステロール(β−シトステロールおよびカンペステロールを最も顕著な種類とする)、ならびに11重量%のモノグリセリドおよびジグリセリドを含む原材料混合物で行われた。使用されたカラムは6mの有効高度を有し、SulzerEX規則充填物で充填された。操作条件は、以下の通りであり、すなわち、20MPa、323K、溶媒対原材料比=19.8、還流比=7.3。これらの条件は、2重量%のFAME、58重量%のスクアレンからなる上層生成物をもたらし、トコクロマノールおよび植物ステロールから完全に取り除かれた。下部生成物は、8重量%のスクアレン、58重量%のトコクロマノール、4重量%の植物ステロールからなり、FAMEを全く含まなかった。
第1分離工程について説明する。
連続運転の多段階超臨界抽出が、純粋二酸化炭素を溶媒として、50重量%のトコクロマノール(γ−トコトリエノール、α−トコトリエノール、およびα−トコフェロールを主要成分として含む)、16重量%のスクアレン、3重量%の植物ステロール(β−シトステロールおよびカンペステロールを最も顕著な種類とする)、ならびに11重量%のモノグリセリドおよびジグリセリドを含む原材料混合物で行われた。使用されたカラムは6mの有効高度を有し、SulzerEX規則充填物で充填された。操作条件は、以下の通りであり、すなわち、20MPa、343K、溶媒対原材料比=40.3、逆流比=1.3。これらの条件は、2重量%のFAME、60重量%のスクアレン、2重量%のトコクロマノールおよび1重量%のステロールを含む上層生成物をもたらした。下部生成物は、7重量%のスクアレン、54重量%のトコクロマノール、4重量%の植物ステロールを含み、FAMEを全く含まなかった。
トコトリエノールの濃縮画分の製造について説明する。
実施例1から得られた1gの下部生成物が原材料として用いられ、10gのシリカゲル、Zeofree5170と混合された。混合物は空の容器に導入され、FAMEおよびスクアレンを脱着するために超臨界COが13MPaおよび333Kで120分間用いられた。圧力は25MPaに加圧され、60分後、80重量%のトコクロマノールを含む1画分(0.27g)が回収された。圧力は更に60分間一定に保たれ、もう一つの画分(0.24g)が回収された。この画分はおよそ100%のトコクロマノールを含む。
トコトリエノールの濃縮画分の製造について説明する。
実施例1から得られた2.4gの下部生成物が原材料として用いられ、10gのシリカゲル、Zeofree5170と混合された。混合物は空の容器に導入され、超臨界COがFAMEおよびスクアレンを脱着するために13MPaおよび333Kで60分間用いられた。圧力は19MPaに加圧され、更に120分後、1画分(1.59g)が回収された。この画分は80重量%のトコクロマノールを含む。
[カロテノイド]
およそ10重量%のカロテノイドを含むカロテノイド濃縮物は、50mlの内部体積を有する高圧力パイプ中の吸着剤に通された。165m/gの最少表面積のシリカゲルが原材料に対して4:1(12g:3g)の比で吸着剤として用いられた。次に、最初は150barおよび60℃の超臨界二酸化炭素で、次いで250barおよび60℃の超臨界二酸化炭素で抽出を行った。第三工程では、近臨界プロパンが7MPa、60℃で用いられた。画分は回収された。最終画分は約60%のカロテノイドからなる。
従来における混合されたカロテノイドおよびトコトリエノールの濃縮画分を製造する方法を示す工程図である。 本発明のSFE技術によるトコクロマノールおよびカロテノイドの濃縮方法を示す工程図である。
C1 カラム
C2 カラム
A1 吸着剤
A2 吸着剤
A3 吸着剤

Claims (3)

  1. パーム油またはパーム油派生物から天然化合物を高度富化した画分を製造する方法であって、
    揮発性が前記天然化合物より高く超臨界流体または近臨界流体によって可溶性である上部の揮発性物質を取り除き、前記天然化合物を富化した下部画分をもたらす超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかによる第1の向流多段階分離と、上部の前記標的天然化合物を取り除き、さらには低揮発性不純物から標的天然化合物を洗浄する超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかによる前記第1の向流多段階分離とは別の第2の向流多段階分離とを有する第1の分離工程と、
    吸着剤にて超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかを含む前記第1の分離工程からの画分を直接的に吸着する吸着工程と、この吸着工程の後に同一または別の超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかによって前記吸着剤から前記混合物を溶出する溶出工程とによる選択的吸着および脱着、ならびに様々な画分回収を含む第2の分離工程とを備え、
    この第2の分離工程は、同一の圧力および温度でまたは減少した密度で、吸着剤に、超臨界流体および近臨界流体である二酸化炭素およびプロパンの少なくともいずれかを含む向流分離からの画分を4から10の割合で混合し流入する原材料が吸着剤の一部のみ充填されるように直接的に吸着することによる選択的吸着および脱着を含み、少なくとも一つの工程にて、同一または別の超臨界流体および近臨界流体の少なくともいずれかで溶出または抽出による脱着
    第1脱着工程では吸着された前記混合物中にまだ残っている揮発性がより高い天然化合物12〜15MPaの低い圧力で除去
    第2脱着工程では揮発性がより低い天然化合物22〜35MPaの圧力でかつ313〜373Kの温度で抽出
    第3脱着工程では3〜10MPaの条件での近臨界プロパンの使用を含む
    ことを特徴とするパーム油またはパーム油派生物から天然化合物の高度富化した画分を製造する方法。
  2. 超臨界二酸化炭素および近臨界プロパンの少なくともいずれかを、313〜383Kの温度、5〜45MPaの圧力、溶媒対原材料比が1〜500の範囲の操作条件で用い、カラム上部の抽出物の還流比を0.1〜50の範囲として用いる
    ことを特徴とする請求項1記載のパーム油またはパーム油派生物から天然化合物の高度富化した画分を製造する方法。
  3. 製造する天然化合物は、トコクロマノール画分、カロテノイド画分、ステロール画分およびコエンザイムQ10の少なくともいずれかである
    ことを特徴とする請求項1または2記載のパーム油またはパーム油派生物から天然化合物の高度富化した画分を製造する方法。
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