JP5189271B2 - アノード触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アノード触媒、アノード触媒の製造方法、膜電極接合体の製造方法、膜電極接合体、燃料電池及び電子機器に関する。
水素ガスを燃料とする燃料電池は、一般に、高い出力密度が得られ、特に、水素燃料を用いた固体高分子電解質型燃料電池(PEMFC又はPEFC)は、電気自動車等の高速移動体の電源又は分散型電源として期待されている。
一般に、水素を燃料とする固体高分子電解質型燃料電池では、燃料極(アノード)及び酸素極(カソード)の二つの電極と、これらに挟まれた固体高分子電解質膜(PEM)からなる膜電極接合体(MEA)が形成され、これをセルユニットとして複数積層し、スタックとした構成をとっている。セルユニットの燃料極に水素を、酸素極に酸素又は空気を供給すると、それぞれの電極で生じる酸化還元反応によって起電力が得られる。
電極における電気化学反応を活性化するため、電極には、殆どの場合、白金触媒が使用され、燃料極で発生したプロトンが、固体高分子電解質膜を介して、酸素極まで伝導し、発電がなされる。しかしながら、水素を燃料とする固体高分子電解質型燃料電池は、水素燃料の貯蔵や運搬、燃料加給の方法等には、解決すべき課題が多く、特に、小型携帯機器等の電子機器用電源を目的としたパーソナル用途には不向きであることが一般に認識されている。これらの難点を解決し、特に、小型で軽量の燃料電池を実現する技術として、有機液体燃料を直接酸化して発電を行う燃料電池が最近注目されている。その一つの形態である直接アルコール型燃料電池(DAFC)は、固体高分子電解質型燃料電池と同様な発電セル構成でアノード電極に、燃料として、アルコールを直接供給し、アノード酸化反応を行う新型燃料電池であり、昨今特に注目を集めている。メタノール水溶液を燃料に用いるダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)は、水素や燃料を改質して水素を得て燃料とする燃料電池よりも小型で軽量であり、安全性に優れているため、携帯型電子機器等の電源として期待が大きい。しかしながら、直接メタノール型燃料電池は、メタノールのアノード酸化反応が大きな過電圧を有するという問題を有する。水素を燃料に用いる酸素−水素燃料電池では、水素の酸化速度が大きく、空気極(酸素極)における酸素還元が律速となるが、直接メタノール型燃料電池は、メタノール酸化過程が主な律速過程となり、出力低下を回避することができていない。さらに、メタノールの持つ毒性は、人体の健康を害する可能性があり、保管や取り扱いに規制が設けられている。
このような観点から、メタノール燃料の代わりにエタノール、ジメチルエーテル等を用いる燃料電池が知られている。しかし、従来、これらの燃料電池では、メタノールを使用する場合以上の出力特性が得られていない。一方、小型・超小型に代表される個人用燃料電池には、人体への毒性及び環境への影響が極めて少ないエタノールを燃料に使用することが好ましいことは明白である。
ところで、メタノールやエタノールのアノード酸化には、白金電極が好適であることが知られているが、白金よりも白金とルテニウムの合金がさらに好適であることも公知である(非特許文献1参照)。しかしながら、白金とルテニウムの合金を電極に使用しても、メタノールのアノード酸化には十分でなく、エタノール等のその他のアルコール燃料のアノード酸化においても、満足の行く結果には到達していない。
このため、直接メタノール型燃料電池と同等以上の出力特性を有する直接アルコール型燃料電池のアノードに使用できる高性能な触媒の開発が待ち望まれている。直接アルコール型燃料電池を目指したアルコールのアノード酸化のメカニズムは、従来から研究がなされ、より有効な触媒を目的に多くの検討がなされている(非特許文献2〜5参照)。しかしながら、触媒を構成する元素の組み合わせは、実用的な性能を有するアルコール酸化触媒、特に、エタノール、イソプロパノール(2−プロピルアルコール)等のエネルギー密度が大きいアルコール燃料の触媒については、未だ実現できていない。この理由として、アルコールのアノード酸化のメカニズムの解明が一部に止まること、定説が確立されていないことに加え、触媒を構成する元素系の組み合わせを実現する多元系触媒の最適な作製方法が未確立であることが挙げられる。また、実用化に当たっての大きな障害の一つは、現状では、アノード触媒を構成する材料がPtをベースとする貴金属が主であり、添加したり、組み合わせたりする成分も高価な金属やレアメタルが多いことであり、触媒材料や製造コストもより一層の低減が望まれている。
一方、燃料電池の電極反応は、アノード反応とカソード反応からなる。カソード反応は、通常、酸素還元反応であり、この反応は必須である。燃料電池の適切な発電特性を得るには、アノード反応は、カソード反応より速い反応である(反応速度が大きい)ことが要求される。すなわち、アノード反応が律速とならないことが望まれる。
このとき、アルコール又はアルコール水溶液を燃料としたアノード酸化反応は、触媒金属と水素のようなガス相の間の表面反応では、説明できない複雑な反応機構を有する。この点に関しては、非特許文献4及び5に代表的な知見が提示されているが、当業者によっても定説が定まっていない。メタノールの酸化が律速となるのは、多様に推測されている反応活性を低下させる阻害要因の中でも、アノード酸化を受ける過程で発生する一酸化炭素(CO)が電極に吸着し、白金を主とする電極金属を被毒することが原因とされている。この問題を解決するため、様々なアノード触媒の開発が検討されている。中でも、Pt−Ru合金を使用した場合、CO被毒を低減することが知られているが、この場合も依然としてアノード酸化反応が律速となっている。メタノールのアノード酸化反応については、非特許文献2〜5の知見でも、詳細な現象解析には定説がないのが現状であるが、白金−ルテニウム触媒について考えられている反応過程の一つを示す。
直接メタノール型燃料電池では、燃料極において、
CHOH+HO→6H+6e+CO
の反応が生じ、その際、アノード触媒では、
CHOH+xPt→PtCHOH+H+e
CHOH+xPt→PtCHOH+H+e
CHOH+xPt→PtCOH+H+e
CHOH+xPt→PtCO+2H+2e
PtCHOH+PtOH→HCOOH+H+e+xPt、
等の反応が生じると考えられる。
この際、COH(又はHCO)、COが白金に対する強い吸着種となり、ルテニウムは、以下の作用を及ぼすと考えられる。
Ru+HO→RuOH+H+e
PtCOH+RuOH→CO+2H+2e+xPt+Ru
PtCO+RuOH→CO+H+e+xPt+Ru
一方、酸素極では、
+4H+4e→2H
の反応が生じると考えられる。
メタノールのアノード酸化でさえ、上記のように推測される複雑な反応過程を含むため、その他のアルコール、例えば、エタノールのアノード酸化反応の複雑さは、メタノールのアノード酸化反応とは比べようもない。例えば、非特許文献3の800〜802ページに詳述されていることは、当業者であれば容易に理解できるものである。
エタノールのアノード酸化反応は、
OH+3HO→12H+12e+2CO
と表され、被毒となる白金表面への強い吸着種である、−COH、CO、−COOH、−CH等の活性種は、エタノールのアノード酸化反応のプロセスで生成する解離種や中間生成種、例えば、CHCHOH、CHCHO、CHCOOH等から容易に形成されると考えられる。
固体高分子電解質型燃料電池を目指した触媒研究、従来技術は、古くから多数あり、アルコールの直接酸化に対しても有効な触媒は、多種のものが提案されている。特許文献1では、新規な電解質膜の燃料電池への応用に関する記載の中で、金属、金属酸化物、金属合金、金属化合物の多種多様な触媒元素組成を記載した米国特許第3297484号明細書、米国特許第3369886号明細書を開示している。特許文献2には、直接メタノール型燃料電池を目指した代表的な技術が開示されているが、それまでの改質ガス中のCO被毒に対して考えられてきた技術を踏襲し、二元系触媒が提示されているに過ぎない。アルコールのアノード酸化に関しては、上記二元系触媒の活性低下を解決する技術として、多元系触媒もいくつか提案されており、例えば、特許文献3には、エタノールの直接酸化に有効な三元系触媒が開示されている。
以上に示される代表的な従来技術は、触媒反応の活性向上を目指すものの、殆どが貴金属であるPt(白金)をベースとし、合金化や組織化によってPt以外の貴金属やレアアース元素、希少金属、例えば、Ru(ルテニウム)、Ir(イリジウム)、Rh(ロジウム)、V(バナジウム)やW(タングステン)、Mo(モリブデン)、Sn(スズ)等の金属が所定の比率で添加された多元系構成となっている。これらの元素を多元添加する方法は、コストと共に、元素資源の有限性、触媒形成方法の困難さ等を伴うばかりでなく、元素資源の有限性は、将来の当該産業の成長限界をもたらす懸念がある。
一方、固体高分子電解質型燃料電池のうち、有機液体燃料を用いる上述の直接アルコール型燃料電池(DAFC)では、アルコールのクロスオーバー現象(燃料極に供給したアルコール燃料が未反応のまま電解質膜を透過し、酸素極において、アルコールの酸化反応を引き起こす現象であり、燃料電池の起電力を低下させる原因となる)が解決されておらず、より高出力を得るためには大きな問題となっている。そこで、反応選択性を有する電極触媒を用いて、燃料のクロスオーバーの影響を回避し、燃料電池システムを簡便且つ効率的にする方法として、燃料と酸化剤を混合して供給する燃料電池(mixed reactant fuel cell)が提案されている(特許文献4参照)。このような混合燃料(mixed reactants)を用いる技術としては、DMFCの酸素極に、反応選択性を有する、すなわちメタノールがカソードに到達してもクロースオーバー・ロスの影響を受けないカソード触媒を用いる方法が知られている(非特許文献6及び7参照)。なお、カソード触媒としては、特定の遷移金属を有し、カーボンに担持された有機金属錯体FeTMPP/C、CoTMPP/C、FeCoTMPP/Cあるいは合金系でカーボンに担持されたRuSe/Cが開示されている。これにより、カソードにおけるアルコールのクロスオーバーの影響が軽減でき、アルコール燃料を酸化剤(空気)と混合して添加することができる。しかしながら、DAFCにおいて、過電圧の大きいアノードにおける影響、すなわちアノードにおける酸素還元に伴う過電圧のシフトに対策を講じられていない。したがって、燃料電池のスタックを構成する上で、混合燃料を使用することに伴う燃料の供給方法等により、スタック実装の高密度化や電池システムの小型化に貢献できても、より高度な小型化、高出力化には限界がある。
特表平8−501653号公報 特表平11−510311号公報 特開2004−152748号公報 米国特許第6110613号明細書 Souza et al,Journal of Electroanalytical Chemistry,420(1997),17−20,Performance of a co−electrodeposited Pt−Ru electrode for the electro−oxidation of a ethanol studied by in situ FTIR spectroscopy Lamy et al,Journal of Power Sources,105(2002)283−296,Recent advances in the development of direct alcohol fuel cells(DAFC) Lamy et al,Journal of Applied Electrochemistry,31,799−809(2001),Electrocatalytic oxidation of aliphatic alcohols:Application to the direct alcohol fuel cell(DAFC) Zhu et al,Langmuir 2001,17,146−154,Attenuated Total Reflection−Fourier Transform Infrared Study of Methanol Oxidation on Sputtered Pt Film Electrode Wasmas et al,Journal of Electroanalytical Chemistry 461(1999),14−31,Methanol oxidation and direct methanol fuel cells:a selective review K.Scott et al,Journal of power sources 126(2004) 67−75,A mixed−reactants solid−polymer−electrolyte direct methanol fuel cell A.K.Shukla et al,FUEL CELLS 05(2005),No.4,436−447,Advances in Mixed−Reactant Fuel Cells
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なアノード触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該アノード触媒を有する膜電極接合体の製造方法及び膜電極接合体、該アノード触媒又は膜電極接合体を有する燃料電池並びに該燃料電池を有する電子機器を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、アルコールの酸化に用いられるアノード触媒であって、PtとC又はPtとRuとCを含有し、Ptに対するCの原子数比が0.05以上0.95以下であることを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なアノード触媒を提供することができる。さらに、アノードに混合燃料を供給しても、酸素還元を抑制し、アルコール酸化に選択的に作用することが可能なアノード触媒を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、アルコールの酸化に用いられるアノード触媒であって、PtとCとOを含有し、Ptに対するCの原子数比は、0.05以上0.95以下であることを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なアノード触媒を提供することができる。
請求項に記載の発明は、酸素ガスを用いる同時スパッタリング法により、導電性基体上に、アルコールの酸化に用いられるアノード触媒を形成する方法であって、前記アノード触媒は、PtとCとOを含有し、Ptに対するの原子数比が0.05以上0.95以下であことを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なアノード触媒の形成方法を提供することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のアノード触媒の形成方法において、スパッタリングする際の放電ガスに対する前記酸素ガスの流量比が5%以上25%以下であることを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なアノード触媒を形成することができる
求項に記載の発明は、同時スパッタリング法により、導電性基体上に、アルコールの酸化に用いられるアノード触媒を形成する方法であって、前記アノード触媒は、PtとC又はPtとRuとCを含有し、Ptに対するCの原子数比が0.05以上0.95以下であことを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なアノード触媒の形成方法を提供することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5のいずれか一項に記載のアノード触媒の形成方法において、スパッタリングする際の圧力が5Pa以上10Pa以下であることを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なアノード触媒を形成することができる。
請求項に記載の発明は、膜電極接合体の製造方法において、請求項乃至のいずれか一項に記載のアノード触媒の形成方法を用いて、含フッ素高分子及び/又は高分子電解質と、導電性炭素粉末を含有する層が形成された導電性多孔質基体にアノード触媒を形成することにより、アノードを製造する工程と、該アノード及びカソードで電解質膜を挟持し、熱圧着により接合する工程を有することを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な膜電極接合体の製造方法を提供することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の膜電極接合体の製造方法において、前記導電性炭素粉末は、アノード触媒が担持されていることを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な膜電極接合体を製造することができる。
請求項に記載の発明は、膜電極接合体において、アノード及びカソードにより電解質膜が挟持されており、該アノードは、請求項1又は2に記載のアノード触媒を有することを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な膜電極接合体を提供することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項に記載の膜電極接合体と、アルコールを含有する燃料を該アノードに供給する燃料供給部と、酸化剤をカソードに供給する酸化剤供給部を有することを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な燃料電池を提供することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の燃料電池において、前記膜電極接合体を複数有し、該複数の膜電極接合体は、バイポーラプレートを介して順次積層されていることを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることができる。
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の燃料電池において、前記膜電極接合体を複数有し、該複数の膜電極接合体は、少なくとも一つの平面上に配列されていると共に、電気的に直列に接続されていることを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることができる。
請求項13に記載の発明は、燃料電池において、アノードと、カソードと、電解質膜と、アルコール及び酸化剤を含有する混合燃料を該アノード及び該カソードに供給する混合燃料供給部を有し、該アノードは、請求項1又は2に記載のアノード触媒を有することを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な燃料電池を提供することができる。さらに、発電ユニットを高密度に実装でき、小型高出力な燃料電池を提供することができる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の燃料電池において、前記アノード及び前記カソードにより前記電解質膜が挟持されている膜電極接合体と、前記混合燃料を前記アノード及び前記カソードに連通して供給する混合燃料供給部を有することを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な燃料電池を提供することができる。さらに、発電ユニットを高密度に実装でき、小型高出力な燃料電池を提供することができる。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の燃料電池において、前記膜電極接合体を複数有し、該複数の膜電極接合体のそれぞれのアノード及びカソードに前記混合燃料を連通して供給する混合燃料供給部を有し、該複数の膜電極接合体は、該混合燃料供給部を介して順次積層されていると共に、電気的に直列に接続されていることを特徴とする。これにより、アノードで酸素還元を抑制し、アルコール酸化に選択的に作用すると共に、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なセルを高密度に積層することができ、小型高出力が実現できる。
請求項16に記載の発明は、請求項14に記載の燃料電池において、前記膜電極接合体を複数有し、該複数の膜電極接合体のそれぞれのアノード及びカソードに前記混合燃料を連通して供給する混合燃料供給部を有し、該複数の膜電極接合体は、少なくとも一つの平面上に配列されていると共に、電気的に直列に接続されていることを特徴とする。これにより、アノードで酸素還元を抑制し、アルコール酸化に選択的に作用すると共に、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な平面接続型セルを高密度に実装することができ、小型高出力が実現できる。
請求項17に記載の発明は、請求項13に記載の燃料電池において、前記アノード及び前記カソードは、前記電解質膜の一つの表面に前記混合燃料供給部を介して形成されていることを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な燃料電池を提供することができる。さらに、発電ユニットを高密度に実装でき、小型高出力な燃料電池を提供することができる。
請求項18に記載の発明は、請求項10乃至17のいずれか一項に記載の燃料電池において、前記アルコールは、メタノール、エタノール又はイソプロパノールであることを特徴とする。これにより、燃料の選択範囲が広がり、燃料電池の小型高出力化が実現できる。
請求項19に記載の発明は、電子機器において、請求項10乃至18のいずれか一項に記載の燃料電池を有することを特徴とする。これにより、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能な燃料電池が搭載された電子機器を提供することができる。
本発明によれば、過電圧を低減し、電流密度を向上させることが可能なアノード触媒及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該アノード触媒を有する膜電極接合体の製造方法及び膜電極接合体、該アノード触媒又は膜電極接合体を有する燃料電池並びに該燃料電池を有する電子機器を提供することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
本発明の構成及び動作を説明するために、まず、燃料電池の構造について述べる。
図1に、一般的な固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を示す。なお、本発明においても、このような態様の燃料電池を使用することができる。図1に示す燃料電池は、筐体1a及び1bの間に電解質膜2が設けられており、さらに筺体1a及び1bの間には、電解質膜2を挟持するようにアノード(燃料極と同義)3とカソード(空気極と同義)4とが設けられている。さらに、アノード3及びカソード4の外側には、燃料供給路5と酸化剤供給路6がそれぞれ設けられている。図1では、燃料として、アルコール水溶液を用いる場合を例示しているが、一般的には、燃料として、水素ガスや改質ガス燃料を使うことも可能である。
電解質膜2は、アニオン及びカチオンのいずれのイオン伝導タイプも使用することができるが、プロトン伝導タイプが好適に使用される。電解質膜2としては、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー等の公知の材料を使用することができる。
アノード3及びカソード4は、それぞれ所定の電極触媒が塗布された多孔質カーボンペーパーから構成することができる。なお、導電性多孔質基体で、燃料や酸化剤の拡散を阻害するものでなければ、多孔質カーボンペーパー以外の材料を使うこともできる。さらに、アノード3とカソード4の間に電解質膜2を介在させて挟持することにより、具体的には、ホットプレス、キャスト製膜等によって三者を接合することにより、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly;MEA)を得ることができる。多孔質カーボンペーパーには、必要に応じて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水剤を添加又は積層することもできる。
図2に、本発明の燃料電池の第1の実施形態として、固体高分子電解質型燃料電池を示す。ただし、図2中、図1に対応するものには、同一の符号を付し、説明を省略する。図2に示す燃料電池は、図1と同様の構成であるが、アノード3の代わりに、本発明のアノード触媒を有するアノード3Aを用いる。ここで、本発明のアノード触媒は、PtとO又はPtとRuとOを含有し、Ptに対するOの原子数比は、0.05〜1.50であるアノード触媒、PtとCとOを含有し、Ptに対するCの原子数比は、0.05〜0.95であるアノード触媒又はPt及び金属酸化物を含有するアノード触媒である。なお、アノード触媒は、単結晶、多結晶及び非晶質のいずれであってもよく、さらには、各元素が合金化された構造や微粒子クラスターの集合体であってもよい。
本発明において、アノード触媒は、導電性基体に担持させずに使用することもできるが、導電性基体に担持させて使用することもできる。導電性基体としては、例えば、金、白金、ステンレス、ニッケル等の金属薄膜やメッシュ状又はスポンジ状の金属膜、導電性材料、カーボン微粒体(微粉体)、酸化チタン、シリカ、酸化スズ等の公知の導電性粒子を使用することができる。
導電性基体にアノード触媒を形成する方法としては、後述するスパッタリング法、真空蒸着法、ガス中蒸発法等のスパッタリング法以外にも、PVD(Physical Vapor Deposition)法、熱CVD法等に代表されるCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の気相合成法(真空薄膜作製法とほぼ同義)を用いることができる。また、電解めっき、無電解めっき、含浸法等の公知の化学的又は電気化学的方法を用いることも可能である。さらに、真空アーク溶解、メカニカルミリング等の微粒子作製技術を用いてもよい。
カソード4は、多くの場合、Ptを担持したカーボン粒子をイオン伝導材料と共に、よく混合した上で電解質膜2に当接させることにより、形成される。このとき、イオン伝導材料として、電解質膜2と同じ材料を使用すると、特に好ましい結果が得られる。カソード4を電解質膜2に当接させる方法としては、ホットプレス、キャスト製膜を始めとする公知の方法を使用することができる。Ptを担持したカーボン粒子以外にも、カソード4として、貴金属又はそれらを担持したものや、有機金属錯体又はそれを焼成したもの等の公知のものを使用することができる。
カソード4側には、上方に酸化剤(多くの場合は空気)を導入するための酸化剤導入孔が設けられる一方、下方に未反応酸化剤と生成物(多くの場合は水)を排出するための酸化剤排出孔が設けられる。この場合、強制吸気手段及び/又は強制排気手段を付設してもよい。また、筐体1aに空気の自然対流孔を設けてもよい。さらに、アノード3Aの外側には、燃料供給路5が設けられている。
燃料供給路5は、燃料を収納するための燃料収納部であってもよいが、外部の燃料収納部(図示せず)に連通した燃料の流通路であってもよい。燃料は、自然対流及び/又は強制対流により攪拌されるが、必要に応じて、強制対流手段(図示せず)を付設してもよい。
アノード3Aに供給される燃料は、アルコール又はアルコールと水の混合物が好ましいが、有機液体燃料として多量に販売されているメタノール、エタノール又はイソプロパノールと水の混合物を用いると、クロスオーバーを抑制することができ、さらに良好なセル起電圧と出力が得られる。
図1及び図2には、単セルを表しているが、本発明においては、単セルをそのまま使用してもよいし、複数のセルを直列及び/又は並列接続して実装燃料電池とすることもできる。セル同士の接続方法は、膨張黒鉛に流体通路の溝加工を施したバイポーラプレート、膨張黒鉛等の炭素材料と耐熱性樹脂の混合物を成形したバイポーラプレート、ステンレス基材等の金属板に耐酸化性被膜及び導電性被膜を施したバイポーラプレート等の公知の方法で作製したバイポーラプレートを使用する接続方式を採用してもよいし、平面接続方式を採用してもよい。また、その他の公知の接続方式を採用することも可能である。
図3に、本発明の燃料電池の第2の実施形態として、固体高分子電解質型燃料電池を示す。ただし、図3中、図1及び図2と同一のものには、同一の符号を付し、説明を省略する。図3に示す燃料電池は、偏平な直方体の形状を有し、燃料電池内には、これを上下に仕切るように燃料供給路5が形成されている。さらに、燃料電池は、例えば、円筒状の燃料容器7を有し、燃料容器7は、燃料電池に着脱自在である。
燃料容器7は、側面に小孔7aが形成されており、燃料容器7内に収納された燃料は、小孔7aを通じて燃料供給路5に供給される。小孔7aは、燃料容器7が筐体1に装着される前は、所定の封止手段(図示せず)によって封止されており、燃料容器7内に燃料を密封収容することが可能になっている。小孔7aは、燃料容器7が燃料電池内に装着された際に、小孔7aが燃料供給路5と連通するような位置に形成されている。
図3では、燃料供給路5の上側に、4個のセルからなる第1のセル群が配置されており、一方、燃料供給路5の下側にも、4個のセルからなる第2のセル群が配置されている。各セルは、いずれもアノード3A、カソード4及びこれらの間に介在配置された電解質膜2から構成されており、互いに独立して設けられている。
各セル群におけるセルは、平面状に配置されており、且つ、直列に結線されている。第1のセル群のセルと、第2のセル群のセルとは、それぞれのアノード3Aが燃料供給路5を挟んで相対向するように配置されている。すなわち、第1のセル群のセルと、第2のセル群のセルとは、それぞれのカソード4が外方向を向くように配置されている。セルをこのように配置することで、燃料電池の小型化が容易となり、小型電源、特に、携帯機器の電源として適したものとなる。また、燃料を収納した燃料容器7が着脱可能になっているので、燃料の補充が容易であり、携帯機器の電源として適したものとなる。
燃料容器7内から燃料供給路5へ燃料を供給する際には、燃料の円滑な供給の点から、燃料供給路5は、例えば、SiO、Al等を焼結して得られた多孔質体、高分子繊維、高分子多孔質膜等から構成されていることが好ましい。高分子繊維や高分子多孔質膜を用いる場合には、これらが燃料に触れても変形しない必要がある。
図3において、横方向に隣接するセル間には、未反応燃料が燃料供給路5からカソード4に到達する(一種のクロスオーバー)のを抑制するため、燃料遮断機能を有する部材(図示せず)を配置することが望ましい。例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンに代表される高分子材料や、ガラス及び酸化アルミニウムを始めとする無機酸化物薄膜を、隣接するセル間に充填することで、燃料のカソード4への到達を遮断することができる。
前述の通り、各セル群のセルにおけるカソード4は、外方向を向いて設けられており、カソード4は、筐体1と対向している。なお、カソード4と筐体1との間には、空間が設けられており、筐体1には、空間と外部を連通させる通気孔(図示せず)が設けられている。したがって、カソード4と筐体1との間の空間には、自然対流によって空気が流通する。これにより、カソード4に酸素(酸化剤)が供給される。カソード4への空気の供給を制御したい場合には、筐体1の所定部位にファン等の強制対流手段を付設してもよい。
図3に示す燃料電池で使用される各部材としては、図2と同様のものが使用できる。しかしながら、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、図2及び図3に示す実施形態は、本発明を説明するための一例であり、各々のセルの配置、配列、結線等に関して、図示する以外の公知の方法を使用してもよい。
図4に、本発明の燃料電池の第3の実施形態として、固体高分子電解質型燃料電池を示す。図4に示す燃料電池は、図2と同様に、アノード3A、カソード4及び電解質膜2で構成された膜電極接合体(MEA)を、燃料供給路5と酸化剤供給路6を構成する多孔質膜で挟持してセルを構成する。さらに、このようなセルの上下を緻密なカーボン等からなるバイポーラプレート8及び9で挟持したものが積層(スタック)されている。
図4では、積層構造を貫通して燃料供給孔が形成され、各セルにおいて、アルコール水溶液が燃料供給路5に供給される。一方、積層構造を貫通して酸化剤供給孔が形成され、各セルにおいて、酸化剤供給路6に空気が供給される。なお、バイポーラプレート8及び9の燃料供給路5及び酸化剤供給路6側には、供給されたアルコール水溶液及び空気を、燃料供給路5及び酸化剤供給路6に沿って一様に拡散させるため、溝(図示せず)が形成されている。このような積層型の燃料電池では、多数のセルが直接接続されているため、セルのスタック数に対応した所望の出力電圧を得ることができる。
図5に、本発明の燃料電池を用いた発電システムの一例を示す。なお、図5では、燃料として、メタノールが用いられているが、本発明は、これに限定されるものではなく、エタノール、イソプロパノール等の有機液体燃料も用いることができる。また、図5では、アルコール燃料及び酸化剤を強制的に燃料電池スタック21に供給する上で、燃料や生成水の流通を工夫し、高濃度アルコール燃料を追加して生成水との混合により、希釈循環するシステムとなっているが、本発明は、これに限定されるものではなく、燃料電池スタック21に燃料や酸化剤を強制的に供給しない、いわゆるパッシブ型も可能である。
図5の発電システムは、直接メタノール型の燃料電池スタック21を有し、燃料電池スタック21に燃料供給路22及び酸化剤供給路23が協働する。
燃料は、高濃度メタノールを保管した燃料容器24から液送ポンプ25によって混合容器26に送られ、濃度センサ27による適正な濃度調整を行った後にイオンフィルタ28を介して強制的に燃料供給路22に送られる。一方、主に空気を用いる酸化剤は、酸化剤フィルタ29を通して空気ブロアー30によって強制的に酸化剤供給路23に送られる。燃料流通側及び酸化剤流通側からの排出物(水、二酸化炭素等の生成物を含む)は、冷却ファン32が協働する凝縮器31を含む第1の気液分離装置33、第2の気液分離装置34及び熱交換器35によって循環水や排ガスとして回収又は排出される。燃料電池スタック21の直流出力は、出力調整器(パワーコンディショナ)36によって、所望の出力電圧、出力仕様に制御される。
また、このような燃料電池発電システムでは、燃料電池スタック21の発電の起動及び燃料電池の発電を維持するための機構、いわゆるBOP(Balance of Plant)が必要である。具体的には、燃料供給量、メタノール濃度制御、補給のタイミング、手順等の発電維持のために使用する液送ポンプ25、空気ブロアー30、濃度センサ27等の補機を用いて、各種制御を行うための補機・出力制御電気制御系37を具備している。
次に、本発明のアノード触媒を形成方法について説明する。複数の構成元素からなる多元系アノード触媒を形成する際に、溶液反応を利用したいわゆる湿式法を用いると、制御性や生産性の面において問題がある。これに対して、本発明では、不純物が介在しない真空環境において反応場を設け、多元系アノード触媒を気相合成法により形成する。
このような多元系材料からなるアノード触媒を形成する気相合成法としては、白金、ルテニウム、炭素等の単体やこれらの化合物を、レーザ、熱、プラズマ、イオン衝撃等により蒸発させたものを導電性基体(例えば、カーボン微粉体)上に堆積させる方法を用いることができる。また、この他にも、化学的蒸着法(CVD法)、ガス中蒸発法、真空蒸着法、プラズマ支援真空蒸着法等の物理的蒸着法(PVD)等を用いることが可能であるが、簡便さ、組成や膜質の制御性の良さから、アルゴン放電を利用したスパッタリング法、アルゴンガスに酸素を添加して放電を行う反応性スパッタリング法が特に好適である。
また、気相合成法により多元系アノード触媒を形成する際に、真空蒸着法やガス中蒸発法を用いる場合は、実用的には、2×10−2Paを下回らず、10−2Pa台のプロセス圧力で合成することがコスト面で有利である。さらに、CVD法を用いる場合は、10Paを超えないプロセス圧力が膜質面、コスト面、装置性能上、有利であると考えられる。
以下、スパッタリング法について詳しく説明する。図6に、本発明で用いられる多元同時スパッタリング装置の一例を示す。図6に示すスパッタリング装置は、スパッタ室51と、これにゲートバルブ51aを介して結合された搬送室53及びロードロック室52を備え、ロードロック室52中には、基板搬送機構66が設けられている。
アノード触媒が形成される基板は、基板ホルダ55上に装着され、最初にガスライン69からの窒素ガスで充填されたロードロック室52に導入される。さらに、基板は、ロードロック室52から基板搬送機構66により、搬送室53に導入され、搬送室53が真空ポンプ70により真空排気された後、基板ホルダ55ごと、ゲートバルブ51aを介してスパッタ室51中に導入される。スパッタ室51は、メインバルブ61を介して設けられたターボ分子ポンプ58と油回転ポンプ59により真空排気され、圧力が5×10−5Pa以下の高真空状態に保持されている。そこで、スパッタ室51に導入された基板ホルダ55は、基板ごと加熱機構56aを具備した把持機構56に保持され、さらに、必要に応じて、基板回転機構57により回転される。
図6に示すスパッタリング装置では、スパッタリングにより、単独又は複数種の元素を蒸発・堆積させるために、ターゲット54が複数個配置されており、各々のターゲット54に対応して個別に接続された直流(DC)電源63若しくは64又は高周波(RF)電源62若しくは65を用いて、低圧気体放電が行われる。この低圧気体放電では、真空中にマスフローコントローラ67を介して、アルゴンガスを適切な流量及び適切な処理圧でスパッタ室51に導入し、マグネトロン放電によって生じたプラズマ中のアルゴンイオンをターゲット54の表面に衝突させ、スパッタする。基板上に金属酸化物を形成する場合は、ターゲット54(例えば、Ru)をアルゴンガスでスパッタする際に、マスフローコントローラ68を介して、アルゴンガスに対して一定の比率で酸素ガスをスパッタ室51に導入すればよい(酸素反応性スパッタリング)。基板上に所定の組成の合金や化合物を形成する場合は、アノード触媒の元素構成に応じて使用するターゲットを選択し、アノード触媒の元素構成比率に応じて、スパッタリング時の放電電力や添加ガスを調整すればよい。
図6に示すスパッタリング装置では、基板をスパッタ室51中、基板ホルダ55に保持された状態で800℃まで加熱が可能であり、さらに100rpmまで回転させながら、基板上に所望のアノード触媒の堆積を行うことができる。なお、高周波電源65により、基板に直流バイアスを印加して、基板の表面を逆スパッタすることにより、アノード触媒を形成する前に基板のクリーニングを行うことも可能である。また、高周波電源65を駆動することにより、ターゲット54をスパッタしてクリーニングすることも可能である。さらに、アノード触媒の堆積中に、高周波電源65より、基板に直流バイアスを印加することにより、基板を負バイアス電位に保ち、バイアススパッタリングを行うことも可能である。
図7Aに、図6のスパッタリング装置のスパッタリング室51を示し、図7Bに、スパッタリング室51で金属元素が蒸発している状態を示す。図7Aのように、スパッタリング室51に複数のターゲット54を配設することにより、任意の金属元素の同時スパッタリングが可能であり、多元系アノード触媒を、組成を制御しながら効率よく形成することができる。
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、実施例は、本発明を詳しく説明するためのものであり、本発明は、これらの実施例によって制約を受けない。
〔比較例1実施例1及び参考例1
直径8mm、厚さ0.05mmの金箔に、スポット溶接機を用いて、直径0.2mmの金線を溶接して、リード部とし、基板を作製した。図6に示すスパッタリング装置を用いて、基板の片面の直径6mmの成膜面積に、各種の元素を所定の配合比で組み合わせたアノード触媒膜を、スパッタリング圧力を変えて形成することにより、ハーフセル(半電池)を作製し、メタノールをアノード酸化した際の電流密度を評価した結果を表1に示す。
この評価では、標準的な試験溶液として、1N(0.5M)の硫酸水溶液に1Mとなるようにメタノールを加えたメタノール電解液を用いた。さらに、アノード触媒膜を作用極とし、対極に白金線、参照極にAg/AgSOを用いて、電位規制法によるメタノールのアノード酸化の電気化学測定(サイクリックボルタンメトリー:CV)を電位走査速度10mV/秒で行った。その結果、概ね5Pa以下のスパッタリング圧力で作製したアノード触媒膜は、電流密度が小さかった。一方、10Paを超えたスパッタリング圧力で作製したアノード触媒膜は、5〜10Paのスパッタリング圧力で作製したアノード触媒膜に比べて電流密度が小さかった。なお、表1の評価では、参照極Ag/AgSOに対する電位(ポテンシャル)が0Vである場合のメタノールの酸化電流密度を比較し、この電流密度が2mA/cm以下のものを×、10mA/cm未満のものを△、10mA/cm以上のものを○として判定した。これらの結果は、図8に示す白金のスパッタリング条件と電気化学的な実表面積の関係と対応している。すなわち、スパッタリング圧力を5〜10Paとすることにより、良好な反応面の粗さを保ち、電気化学的な表面反応に適したプロセス圧力となっていることがわかる。また、スパッタリング時に300℃以上に加熱すると、スパッタリングにより形成された膜の緻密性が増大するため、電気化学的な実表面積に対して不利になることがわかる。
参考例2〕
参考例1と同様に、アルゴンガスを用いた放電で、加熱せずに、200Wの電力で白金をスパッタリングすると同時に酸素ガスを添加し、アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比(O/Ar比)を変えて、基板にPt−O膜を形成した。
標準的な試験溶液として、1N(0.5M)の硫酸水溶液に1Mとなるようにアルコールを加えた各種アルコール電解液のアノード酸化特性を参考例1と同様に評価した。アノード酸化特性は、図9に示すように、ポテンシャル(電極電位)が低い領域で電流密度が立ち上がる。すなわち、オンセット電位が低いことが良く、電気化学的な過電圧が小さく、また、同一の電極電位では、電流密度が大きい程、優れた反応活性を示す。図9より、アルコールとして、メタノール、エタノール及びイソプロパノールのいずれを用いた場合にも、酸素ガスを添加することによってアノード酸化特性が向上し、アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比が15%で最も高い特性を示している。酸素ガスの流量の最適値は、アルコールの種類により異なるが、アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比が5〜25%では良好なアノード酸化特性を示し、酸素ガスの流量がこれより多い場合は、アノード酸化特性が低下する傾向が見られた。アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比が5〜25%の条件で形成したPt−O膜の元素分析を行った結果、白金に対する酸素の原子数比は、0.071〜1.15となった。白金に対する酸素の原子数比が0.05以下では、アノード酸化特性が著しく低下した。このことは、触媒活性のある表面のPtの分布にPt−Oが配置される構造と、Pt−Oの形成によって電気化学的な反応表面積が増大している結果と考えられる。
参考例3〕
参考例1と同様に、アルゴンガスを用いた放電で、加熱をせずに、白金を200W、ルテニウムを400Wの電力でスパッタリングすると同時に酸素ガスを添加し、アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比(O/Ar比)を変えて、基板にPt−Ru−O膜を形成した。
標準的な試験溶液として、1N(0.5M)の硫酸水溶液に1Mとなるようにアルコールを加えた各種アルコール電解液のアノード酸化特性を参考例1と同様に評価した。図10に、その結果を示す。この場合も酸素ガスを添加することにより、アノード酸化特性が向上し、アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比が15%で最も高い特性を示している。アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比が5〜25%までの条件で形成したPt−Ru−O膜の元素分析を行った結果、白金に対する酸素の原子数比は、0.80〜1.30となった。表2に上記の元素分析の結果を示す。
酸素ガスを添加する割合が増えると、ルテニウムは、スパッタリングによって酸素と化合してルテニウム酸化物となることから、ルテニウムの組成比率が相対的に減少していることがわかる。また、白金に対する酸素の原子数比が1.50を超えると、アノード酸化特性が低下することがわかった。
〔実施例4〕
実施例1と同様に、アルゴンガスを用いた放電で、加熱せずに、白金及び炭素のターゲットにそれぞれ所定のスパッタリング電力で同時スパッタリングを行い、白金に対する炭素の原子数比(C/Pt比)を変えて、基板にPt−C膜を形成した。
標準的な試験溶液として、1N(0.5M)の硫酸水溶液に1Mとなるようにアルコールを加えたメタノール電解液及びエタノール電解液のアノード酸化特性を、参照極にRHE(可逆水素電極)を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。この結果を図11に示す。図11より、白金に対する炭素の原子数比が5%以上になると、アノード酸化特性が向上し、12%で最も良い結果が得られた。このとき、電気化学測定を用いた水素の吸脱着ピークからPt−C膜の表面の反応に寄与する有効表面積(実表面積)が増大していることを確認した。図12に、参照極(RHE)に対する電位が+500mV、+600mV、+700mV、+800mV及び+900mVである場合におけるメタノールの酸化電流密度のC/Pt比による変化を示す。なお、プロットされている点のC/Ptの値は、それぞれ0%、5%、12.5%及び24%である。この電流密度は、Pt−C膜のアノード酸化特性を評価するために、有効表面積で除した電流密度である。図12より、白金に対する炭素の原子数比が5〜25%では、Pt−C膜のアノード酸化特性が向上することがわかる。このPt−C膜をX線回折(XRD)による構造分析を行ったところ、炭素を添加すると、白金の特定なPt(200)に帰属されるピークが非常に小さくなっていた。さらに、硫酸水溶液中の水素吸脱着ピークから、スパッタリングによって形成された白金薄膜の結晶サイズが小さくなり、反応表面積が増大していることが推測される。
〔実施例5〕
実施例4でアノード酸化特性が優れる、白金に対する炭素の原子数比が12%のPt−C膜のスパッタリング条件で、酸素ガスを添加し、アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比(O/Ar比)を変えて、基板にPt−C−O膜を形成した。
標準的な試験溶液として、1N(0.5M)の硫酸水溶液に1Mとなるようにアルコールを加えた各種アルコール電解液のアノード酸化特性を実施例4と同様に評価した。その結果、Pt−C−O膜は、メタノール、エタノール及びイソプロパノールのいずれでも、Pt膜及びPt−Ru膜よりも高いアノード酸化特性を示したことから、白金に対して炭素及び酸素を添加する効果が確認された。図13に、参照極(RHE)に対する電位が+500mV、+600mV、+700mV、+800mV及び+900mVである場合におけるメタノールの酸化電流密度のアルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比(O/Ar比)による変化を示す。なお、図13において、プロットされている点のO/Ar比の値は、0、0.05、0.12及び0.24であり、それぞれのO/Ar比で形成されたPt−C−O膜の白金に対する炭素の原子数比(C/Pt比)は、0.12、0.15、0.13及び0.14であった。縦軸は、実施例4と同様に、有効表面積で除した電流密度を示すが、O/Ar比が12%で最大値が得られた。このとき、白金に対する酸素の原子数比は、30〜65%であった。
参考例6〕
参考例1と同様に、アルゴンガスを用いた放電で、加熱せずに、スパッタリング圧力5Paで、白金と二酸化ルテニウムのターゲットにそれぞれ300Wの電力で40分間同時スパッタリングを行い、基板にPt−RuO膜を形成した。Pt−RuO膜は、白金と二酸化ルテニウムを同時スパッタリングしているため、PtとRuOの混合体を形成している。なお、RuOは、RuO、RuO等である。
標準的な試験溶液として、1N(0.5M)の硫酸水溶液に1Mとなるようにエタノールを加えたエタノール電解液のアノード酸化特性を、参照極にAg/AgCl(sat.KCl)を用いた以外は、参考例1と同様に評価した。このとき、Ptを200W、Ruを460W、Wを75W、Moを75Wの電力で2時間スパッタリングすることにより、基板に形成したPt−Ru−W−Mo膜のアノード酸化特性と比較した。なお、それぞれのCV測定は、アノード酸化特性が安定するまで行い、図14Aでは、CV測定が5回で安定的となり、図14Bでは、CV測定が10回で安定的となった。図14BのPt−Ru−W−Mo膜は、エタノールのアノード酸化特性で、Pt−Ru膜の1.5倍以上の電流密度を示しているが、図14AのPt−RuO膜は、Pt−Ru−W−Mo膜と遜色ない良好なアノード酸化特性が示す。さらに、Pt−RuO膜は、メタノールの酸化活性がエタノールより大きくなることがわかった。
参考例7〕
実施例1、4、5、参考例1〜3、6では、基板に直接アノード触媒膜を形成しているが、本参考例では、直接メタノール燃料電池(DMFC)に多用されるPt−Ru触媒より構成元素が多い多元系触媒を有する膜電極接合体を製造し、単セル発電特性を評価した。
図15に、従来の膜電極接合体の製造方法を示し、図16に、本発明の膜電極接合体の製造方法を示す。なお、図16において、アノード触媒膜を形成する際には、本発明のアノード触媒の形成方法を用いる。
図16で、電解質膜2としては、ナフィオン(デュポン社製)を始めとする公知の材料を使用することができる。アノード触媒膜3a及びカソード触媒膜4aは、電極触媒と、電極触媒を担持し、電極反応により発生する電子を伝播するための導電性炭素粉末(例えば、バルカン(キャボット社製)、ケッチェンブラック(ライオン社製)等の粒子径が数十ナノメートルのカーボン粒子)と、電極反応により発生するプロトンを伝播するための電解質との混合物から構成される。
なお、アノード触媒を形成する際には、導電性炭素粉末であるカーボン粒子には、アノード触媒が予め担持されておらず、後述するように、カーボン粒子と高分子電解質からなる塗膜を導電性多孔質基体に形成した後でアノード触媒をスパッタリング法により形成する方法及び予めアノード触媒が担持されているカーボン粒子(例えば、Pt−Ru粒子が担持されているカーボン粒子)と高分子電解質からなる塗膜を導電性多孔質基体に形成した後でアノード触媒をスパッタリング法により形成する方法のいずれを用いてもよい。予めアノード触媒が担持されているカーボン粒子と高分子電解質からなる塗膜の上にスパッタリング法でアノード触媒を形成する場合には、予めカーボン粒子に担持された元素とは異なる種類の有効な元素、例えば、Pt、Ruの他、V、W、Mo、Rh、Pd、Sn、Co、Ni等を組み合わせて、アノード触媒を形成することも有効な方法である。このような多層構成にすることにより、下層のアノード触媒の使用量を削減し、付加するアノード触媒を薄層化することで全体としてアノード触媒の使用量を減少させることができる。
また、カーボン粒子を、ナフィオン等の高分子電解質と混合して用いることにより、アノードにおける燃料の閉塞を抑制することができる。なお、カーボン粒子を、高分子電解質の代わりに、テフロン(登録商標)等の含フッ素高分子と混合して用いてもよい。これにより、撥水性を制御することができ、カソードにおける生成水によるフラッディングを抑制することができる。
膜電極接合体の燃料が供給される側には、導電性多孔質基体の燃料拡散膜3c(カーボンペーパーやカーボンクロス)が配置された構成になっている。燃料拡散膜3cには、上述のように必要であれば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表される撥水剤を添加又は積層することもできる。図16では、アノード触媒膜3aと燃料拡散膜3cの間に、燃料拡散膜3cよりも緻密なマイクロポーラス膜3bが設けられている。さらに、アノード触媒膜3aとカソード触媒膜4aとの間に電解質膜2を介在させて挟持し、ホットプレス、キャスト製膜等によって接合することにより、膜電極接合体(MEA)が構成される。なお、電解質膜2とアノード触媒膜3aの界面には、図16のように高分子電解質から成るバインダー層3dを設けることが好ましい。
次に、アノード触媒膜の作製手順の実施例を示す。カーボン粒子として、カーボンブラックのバルカンXC72R(キャボット社製)に、蒸留水、5重量%ナフィオン溶液(デュポン社製)を加え、超音波分散させた後に、スターラーで攪拌して、カーボンとナフィオンとの混合組成物(以下、ナフィオンカーボンインクという)を作製した。ナフィオンカーボンインクを撥水処理済みのカーボンペーパー(東レ社製)上にアプリケーターを用いて塗布することでカーボンペーパー表面に導電性カーボン層を形成した。このとき、導電性カーボン層の形成量は、0.5mg/cmであり、重量比は、カーボン58重量%、ナフィオン42重量%であった。
このナフィオンカーボンインクを塗布した後に乾燥して、この表面にPtとRuOの同時スパッタリングを実施した。具体的には、図6に示すスパッタリング装置を用いて、アルゴンガスを用いた放電で、加熱せずに、5Paのスパッタリング圧力で、Ptターゲットに対して、高周波電力を300W印加し、同時にRuOに対して、直流電力を300W印加し、40分間スパッタリングを実施した。このとき、スパッタリングによって担持された触媒量は、Pt換算で0.94mg/cmとなった。
同様にカソード触媒膜の作製手順を以下に示す。カーボンブラックに、エタノール、58〜62重量%のテフロン(登録商標)エマルジョン(デュポン社製)を加え、ホモジナイザーで混合して、テフロン(登録商標)カーボンインクを調製した。このテフロン(登録商標)カーボンインクをカーボンペーパー上にアプリケーターを用いて塗布した後、360℃で15分間電気炉内に保持した。次に、白金担持カーボン(Pt含有量50重量%)に、蒸留水、ナフィオン溶液を加え、超音波分散させた後、スターラーで攪拌してカソード用触媒インクを調製した。テフロン(登録商標)を含む導電性カーボン層を形成したカーボンペーパー上に、スプレー塗布により、カソード触媒膜を形成した。このとき、カソード触媒膜の形成量が白金換算で1.0mg/cmになるように塗布を行った。なお、アノード触媒膜と同様に、スパッタリング法によって白金を担持することにより、カソード触媒膜を形成することも可能である。電解質膜には、膜厚180μmのナフィオン(デュポン社製)膜を用いた。アノード及びカソードのそれぞれの触媒膜側を電解質膜の両面に合わせて、圧力4.5MPa、温度140℃で15分間ホットプレスを行った。
このようにして作製されたMEAのアノード触媒膜を図17A及び図17Bに示す。燃料拡散膜3cの上に形成されたマイクロポーラス膜3bは、カーボンとナフィオンの混合物である。この上にスパッタリング法でアノード触媒膜3aが形成されている。
図18に、このようにして作製した直接メタノール型燃料電池用のMEA数種の単セル発電特性を示す。具体的には、ナフィオンカーボンインクの塗布量とその上にスパッタリング法により形成したPt−RuO触媒の担持量による発電特性の違いを示す。(a)、(b)及び(c)は、ナフィオンカーボンインクの乾燥塗布量がそれぞれ0.54mg/cm、0.54mg/cm及び1.74mg/cmであり、Pt−RuO触媒の担持量がそれぞれ0.94mg/cm、2.1mg/cm及び2.1mg/cmであるMEAである。また、(d)は、従来の方法で作製した標準的なMEAである。(a)〜(c)から、カーボンとナフィオンとの混合組成物の塗布量を適正にし、アノード触媒をスパッタリング法で形成する方法を用いることにより、(d)を大幅に上回るメタノール発電特性を示すことがわかる。なお、測定は、80℃で、3重量%メタノール水溶液及び加湿空気をそれぞれ1cc/分及び100cc/分で供給することにより行った。
参考例8〕
アルゴンガスの流量に対する酸素ガスの流量の比を15%として、参考例3と同様に、Pt−Ru−O膜を形成した以外は、参考例7と同様に、膜電極接合体を作製し、図2に示すようなバイポーラプレートを用いたスタック方式の燃料電池を構成した。さらに、このようにして構成した燃料電池を使い、二種類の燃料電池発電ユニットを試作した。
第1の燃料電池発電ユニットは、燃料として、エタノールと水の混合燃料、酸化剤として、空気を取り込む自然吸排出(パッシブ)型として構成したところ、平均的な単セルの出力密度は、12〜16mW/cmとなることが確認された。一方、第2の燃料電池発電ユニットは、燃料及び酸化剤に強制対流手段を設けたタイプとして構成したところ、平均的な出力密度は、約38mW/cmとなることが確認された。
さらに、第1の燃料電池発電ユニットで使われた単セル(実効的なセル面積32cm)を34層積層した燃料電池発電ユニットを作製したところ、約14Wの出力が得られることが確認された。これは、ほぼ10W程度の電力消費を伴う電子機器の電源として用いることができることを意味する。
また、第1の燃料電池発電ユニットの単セルと同一構成及び同レベルの出力密度で、実効的な単セル面積を115cmとした単セルを30層積層して燃料電池発電ユニットを構成したところ、約48Wの出力が得られることが確認された。
さらに、実効的なセル面積が128cmの単セルを30層積層し、強制対流手段を具備する燃料電池発電ユニットを構成したところ、補器によるパワー損失23%を見込んでも、約125Wの出力が得られることが確認された。
参考例9〕
参考例8の膜電極接合体を図3に示すように平面接続し、燃料電池発電ユニットを構成した。本参考例による発電ユニットは、パッシブ型であり、実効的なセル面積を11cmとし、直列に20個接続し、メタノールと水の混合燃料を直接供給して発電能力を検証したところ、約7.2Wの出力が得られることが確認された。
このような発電ユニットは、小型又は超小型電子機器の電源として好適である。
参考例10〕
参考例8の燃料電池発電ユニット、特に、パッシブ型で単セル面積が115cmで、約50Wの出力を提供する燃料電池発電ユニットを用い、これにパワーコンディショナ(電圧調整器等)、周辺制御器等を付設して、図5に示すような発電システム100を構築した。さらに、発電システム100において、エタノール燃料を用いて、図19に示す一般的なモバイル用小型パーソナルコンピュータに電源を供給する実験を行った。本参考例で用いたコンピュータは、省電力型プロセッサを用いた省電力タイプの小型機器であり、最大消費電力は、37Wであった。平均的な消費電力は、28W前後と推定される。
この小型コンピュータでは、従来モバイル用補助電源として内蔵していたリチウムイオン電池(二次電池)のスペース全部と光ディスクドライブ(DVD駆動装置)の一部のスペースを利用することで、発電システム100を内蔵することができる。したがって、発電システム100は、このコンピュータの専用内蔵電源として用いることができる。なお、エタノール燃料は、エタノールを約3.8重量%含むエタノール水溶液であり、容量が75mlのコンパクトな燃料容器中に格納した。
実験の結果、発電システム100の起動後5分間で所定の出力が得られ、実用的な稼働時間に亘り、電源として動作するのが確認された。本参考例では、発電システム100をコンピュータに内蔵の電源として用いたが、これに限定されるものではなく、搭載対象の電子機器の設計によっては、発電システム100を外付けとし、専用直流電源又は商用電源を代替する汎用(ユニバーサル)電源にすることも容易である。
本発明の燃料電池は、電極触媒効率が最大化されているため、このような燃料電池を搭載した本発明の電子機器は、上記実施例に限定されるものではない。なお、本発明の燃料電池は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を直接供給する直接アルコール型燃料電池(DAFC)としても有効であるが、エタノールを燃料とすることで、燃料取り扱いの安全性、容易性並びに環境及び人体への安全性を大きく向上させることができる。
本発明の電子機器としては、デスクトップパーソナルコンピュータ、ラップトップ、ノート型パーソナルコンピュータ、ワークステーション(ハイエンドコンピュータ)、PDA(パーソナルディジタルアシスタント)、電子機器向け充電器用電源、PHS、携帯電話、GPS端末、普通紙複写機、ファクシミリ装置、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ、電子ブックディスプレイ、LCDモニター機器、液晶プロジェクター、投射型ディスプレイ、ICカード読み取り/書き込み端末、非接触ICカード読み取り/書き込み端末、電子黒板(ホワイトボード)、フォトプリンタ(昇華型等)、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ、DVDドライブ等のパーソナルコンピュータ周辺機器、産業用分散電源、家庭用定置型分散電源、無停電電源、非常用屋外電源(投光器用等)、キャンプ用電源、無線送受信装置、移動型ロボット電源、災害救助用ロボット電源、エンターテインメントロボット電源、介護補助装置(介護ベッド等)、介護補助ロボット電源、電動車椅子電源、電動自転車電源、医療機器用補助、分散電源、電動義肢電源、無人搬送車用電源、調理用電気機器等が挙げられる。
〔実施例11〕
実施例1と同様に、アルゴンガスを用いた放電で、加熱せずに、白金及び炭素のターゲットにそれぞれ所定のスパッタリング電力で同時スパッタリングを行い、白金に対する炭素の原子数比(C/Pt比)を変えて、基板に6種類のPt−C膜を形成した。これらのPt−C膜の有効表面積(反応に関わる実表面積を意味する)を硫酸水溶液中の電気化学測定から得られるプロトン吸脱着波から算定したところ、炭素原子の割合が増える程、有効表面積が増大することがわかった。さらに、C/Pt比が0、0.12及び0.44であるPt−C膜のX線光電子分光(XPS)を測定したところ、炭素の添加量が増加する程、Ptの4f電子の結合エネルギーが高い方にシフトし、白金−炭素間の電子的相互作用が強い傾向にあることがわかった(図20参照)。このことから、Pt−C膜の表面に酸素分子が存在する場合に、Pt−C膜の炭素の介在による効果が期待された。そこで、メタノールのアノード酸化における酸素分子の効果について検証を実施した。具体的には、実施例1と同様に、三電極式セルを用いて、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。このとき、Pt膜及びPt−C膜を作用極とし、対極に白金線、参照極にAg/AgSOを用いたが、測定後は、RHE(可逆水素電極)の電位に変換した。具体的な実験手順は、以下の通りである。
(1)三電極式セルに0.5Mの硫酸水溶液を入れ、窒素ガスで30分間バブリングを行う。
(2)0〜0.7V(vs.RHE)の範囲で電位を変えて10mV/秒の掃引速度で60分間掃引を行い、電極表面をクリーニングする。
(3)三電極式セル内に1N(0.5M)の硫酸水溶液に1Mとなるようにメタノールを加えたメタノール電解液を入れ、再度窒素ガスで30分間バブリングを行い、所定の電位掃引範囲、掃引速度でCVを測定する(窒素雰囲気下のメタノール電極酸化測定)。
(4)さらに酸素ガスで1時間以上バブリングを行い、所定の電位掃引範囲、掃引速度でCVを測定する(酸素雰囲気下のメタノール電極酸化測定)。
一般に、図21Aに示されるように、直接アルコール型燃料電池(DAFC)は、アノード側からのアルコールのクロスオーバーが問題になっている。DMFCの場合、カソードに透過したメタノールが存在する場合の酸素還元への影響は、例えば、図21Bに示される。すなわち、カソード側でメタノール酸化が起こることで、電極電位(分極)が卑な方向にシフトし、結果的にセルの起電力が低下する(クロスオーバー・ロス)。一方、同様にアノードに供給されるメタノールに酸素が混在する場合(例えば、カソード側からの空気、酸素のクロスオーバー)も、同様のことが考えられ、電極電位が貴な方向にシフトし、結果として、セルの起電力が低下する。DAFCの場合、アノードにおける過電圧(活性化分極)が大きいため、クロスオーバー・ロスがさらに大きく影響する。図21Cに、クロスオーバーによる起電力の低下の概念を示す。
本実施例では、上記の事象に鑑み、Pt膜及びPt−C膜をアノードに用いて、酸素雰囲気下でメタノールのアノード酸化を実施した。図22A〜図22Dに、それぞれPt膜並びに白金に対する炭素の原子数比(C/Pt比)が0.24、0.61及び0.78であるPt−C膜の結果を示す。なお、電流密度は、Pt−C膜の表面のラフネスファクターを考慮するため、有効表面積を用いて算出した。
図22A〜図22Dより、Pt膜とPt−C膜の差は、歴然である。図22Aに示すように、Pt膜は、硫酸溶液中で酸素還元波が大きく観測される。1N(0.5M)の硫酸水溶液に1Mとなるようにメタノールを加えたメタノール電解液におけるアノード酸化では、酸素ガス雰囲気下では、窒素ガス雰囲気下に比べて、オンセット電位(酸化電流が0の状態からまさに流れようとするときの立ち上がりを示す電位)が貴な方向にシフトして高くなっており、所定の電位における酸化電流値も小さい。さらに、低電位側では、酸素還元と考えられるカーブを示す。このことから、酸素雰囲気下におけるメタノールのアノード酸化活性が窒素雰囲気下よりも低下するのは、アルコール酸化と酸素還元が同時に進行し、両者が混成化した状態であるためと考えられる。
一方、図22Bに示すように、C/Pt比が0.24であるPt−C膜は、硫酸溶液中で酸素還元波がわずかながら観測されるが、メタノールの酸化電流は、酸素雰囲気下でも低下せず、むしろ窒素雰囲気下よりも向上している。酸素雰囲気下のメタノールの酸化電流の低電位側は、窒素雰囲気下のそれと重なるか、わずかながら下方にシフトしている。このことから、Pt−C膜は、酸素還元に著しく低い選択性を有し、メタノールのみを酸化していることと考えられる。その結果、酸素雰囲気下にも関わらず、オンセット電位は、貴な方向にシフトしない。このような傾向は、図22C及び図22Dに示すように、C/Pt比が0.61及び0.78の場合も同様である。
図23に、Pt−C膜の、酸素雰囲気下のメタノールのアノード酸化電流密度i(O)と窒素雰囲気下のメタノールのアノード酸化電流密度i(N)の比i(O)/i(N)を、C/Pt比に対して、電位をパラメータとしてプロットしたものを示す。これより、酸素雰囲気下のメタノールのアノード酸化では、C/Pt比が0.3以上では、メタノールの酸化に選択的に作用し、むしろ酸素雰囲気下でメタノールの酸化反応が加速されることがわかった。このことから、Pt−C膜は、アルコールと空気を混合した混合燃料を用いたアノード酸化反応に適した触媒材料であることが判明した。なお、C/Pt比が0.95を超えると、i(O)/i(N)は、見かけ上、向上するものの、有効表面積を用いた電流密度が低下する傾向にあり、酸化対象種の表面吸着と酸化反応の主体であるPt表面が相対的に減少するためであると考えられる。
また、Pt及びCの他にRuを含有するPt−Ru−C膜についても、Pt−C膜と同様に、メタノールのアノード酸化電流密度は、酸素雰囲気下において低下することなく、窒素雰囲気下よりも優れることがわかった。これは、メタノールのアノード酸化に、Ptよりも有効なPt−Ru、Pt−C及びPt−Ru−Cが所定の構成比で触媒膜を形成しているためと考えられる。
図24に、本発明の燃料電池の第4の実施形態を示す。なお、図24(a)及び図24(b)は、それぞれ断面図及び上面図である。図24では、上述のように、酸素を含むアルコール燃料として、メタノールと空気の混合燃料を用いる。一般に、DMFCでは、カーボンブラックに担持されたアノード触媒として、Pt−Ru、カーボンブラックに担持されたカソード触媒として、Pt、Pt−M(Mは、遷移金属)等の合金系が実際に用いられているが、メタノールのクロスオーバーを見越して用いられているのが現状である。本実施例では、カーボンブラックに担持されたアノード触媒として、C/Pt比が0.61のPt−Cを用い、カーボンブラックに担持されたカソード触媒としては、メタノール酸化耐性に優れ、酸素還元能を有するRuSeを用いた。図24に示す燃料電池は、基体10上に、電解質膜2が配置され、その上にメタノールと空気の混合燃料を供給する燃料供給路5を挟んでアノード3Bとカソード4を対向させたユニットが複数配置されている。燃料供給路5には、メタノールと空気の混合燃料が入口から出口へと導入される。アノード3では、メタノールの選択的な酸化反応が起こり、酸素還元の反応に対する影響が無視できる。一方、カソード4では、メタノールの影響を受けることなく、空気中の酸素還元反応が起こる。本実施形態は、電解質膜2の同一平面上に、アノード3とカソード4が配置されていることを特徴とし、アノード3で生成したプロトンは、電解質膜2を介してカソード4に伝導される。なお、電解質膜2は、プロトンの伝導に対して、等方的であり、アノード3からカソード4への伝播には何ら問題は無い。このとき、電解質膜は、アルコールの耐クロスオーバー特性が特段優れていなくてもよく、一般のパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー(PFSA)膜、例えば、Nafion(DuPont社製)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
なお、カーボンブラックに担持されたカソード触媒としては、Pt又はPt−M(Mは、遷移金属)を用いることもできるが、この場合には、図24に示すセル構造ではなく、図2〜図4に示すセル構造がよい。電解質膜が電極で挟持されているMEAを用いる場合には、一方の電極(例えば、アノード)にメタノールと空気の混合燃料を供給して電極反応を行い、さらに、電解質膜に混合燃料を透過させて他方の電極(例えば、カソード)で電極反応を行って排出する。これにより、混合燃料を循環回収して用いることができる。混合燃料は、発電と共に、メタノールの含有量が減少するので、発電に適した含有量になるように高濃度燃料を少しずつ追加するBOPシステムが可能となる。このような燃料電池を用いることにより、上記と同様に、従来のセルスタック方式と比べて燃料や空気に対するタイトなシール性、各シングルセルユニットを隔離するバイポーラプレートが不要となり、限られた空間に多くのスタックを実装できる。そのため、強制的に燃料や空気を送出する負荷が極端に少なくなり、BOPに必要な電力の割合も従来の1/3以下になることが見込まれる。なお、アノード、カソード及び電解質膜は、混合燃料が適正に透過する特性が必要であり、多孔性炭素繊維にアノード触媒及びカソード触媒が担持されている電極を用いると共に、孔径が数10〜数100μm程度である多孔質の電解質膜を用いることが望ましい。また、図2〜図4に示すセル構造をそのまま用いてもよい。すなわち、メタノールと空気の混合燃料をアノードに、空気をカソードに供給して発電すると、メタノールをアノードに供給した場合と比べて、メタノールの反応活性が高くなり、燃料電池の出力特性が大幅に改善される。
本実施例においては、メタノールの他に、エタノール等のアルコールと空気の混合燃料を用いてもよい。
一般的な固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を示す図である。 本発明の燃料電池の第1の実施形態を示す図である。 本発明の燃料電池の第2の実施形態を示す図である。 本発明の燃料電池の第3の実施形態を示す図である。 本発明の燃料電池を用いた発電システムの一例を示す図である。 本発明で用いられる多元同時スパッタリング装置の一例を示す図である。 図6のスパッタリング装置のスパッタリング室を示す図である。 スパッタリング室で金属元素が蒸発している状態を示す図である。 白金のスパッタリング条件と電気化学的な実表面積の関係を示す図である。 Pt−O膜のO/Ar比による各種アルコールのアノード酸化特性の変化を示す図である。 Pt−Ru−O膜のO/Ar比による各種アルコールのアノード酸化特性の変化を示す図である。 Pt−C膜のC/Pt比による各種アルコールのアノード酸化特性の変化を示す図である。 Pt−C膜のC/Pt比によるメタノールのアノード酸化特性の変化を示す図である。 Pt−C−O膜のO/Ar比によるメタノールのアノード酸化特性の変化を示す図である。 Pt−RuO膜のエタノールのアノード酸化特性を示す図である。 P−Ru−W−Mo膜のエタノールのアノード酸化特性を示す図である。 従来の膜電極接合体の製造方法を示す図である。 本発明の膜電極接合体の製造方法を示す図である。 参考例7のアノード触媒膜の表面を示す図である。 参考例7のアノード触媒膜の断面を示す図である。 参考例7の膜電極接合体の単セル発電特性を示す図である。 本発明の電子機器の一例を示す図である。 Pt−C膜のXPSの測定結果を示す図である。 メタノールのクロスオーバーを説明する図である。 メタノールのクロスオーバーの影響を説明する図である。 クロスオーバーによる起電力の低下の概念を示す図である。 Pt膜の酸素共存下のメタノールのアノード酸化特性を示す図である。 Pt−C膜(C/Pt=0.24)の酸素雰囲気下のメタノールのアノード酸化特性を示す図である。 Pt−C膜(C/Pt=0.61)の酸素雰囲気下のメタノールのアノード酸化特性を示す図である。 Pt−C膜(C/Pt=0.78)の酸素雰囲気下のメタノールのアノード酸化特性を示す図である。 Pt−C膜のC/Pt比によるメタノールのアノード酸化電流密度の窒素雰囲気下に対する酸素雰囲気下の比の変化を示す図である。 本発明の燃料電池の第4の実施形態を示す図である。
符号の説明
1、1a、1b 筐体
2 電解質膜
3、3A、3B アノード
3a アノード触媒膜
3b マイクロポーラス膜
3c 燃料拡散膜
3d バインダー層
4 カソード
4a カソード触媒膜
5 燃料供給路
6 酸化剤供給路
7 燃料容器
8、9 バイポーラプレート
10 基体

Claims (19)

  1. アルコールの酸化に用いられるアノード触媒であって、
    PtとC又はPtとRuとCを含有し、
    Ptに対するCの原子数比が0.05以上0.95以下であることを特徴とするアノード触媒。
  2. アルコールの酸化に用いられるアノード触媒であって、
    PtとCとOを含有し、
    Ptに対するCの原子数比が0.05以上0.95以下であることを特徴とするアノード触媒。
  3. 酸素ガスを用いる同時スパッタリング法により、導電性基体上に、アルコールの酸化に用いられるアノード触媒を形成する方法であって、
    前記アノード触媒は、PtとCとOを含有し、Ptに対するの原子数比が0.05以上0.95以下であことを特徴とするアノード触媒の形成方法。
  4. スパッタリングする際の放電ガスに対する前記酸素ガスの流量比が5%以上25%以下であることを特徴とする請求項に記載のアノード触媒の形成方法。
  5. 同時スパッタリング法により、導電性基体上に、アルコールの酸化に用いられるアノード触媒を形成する方法であって、
    前記アノード触媒は、PtとC又はPtとRuとCを含有し、Ptに対するCの原子数比が0.05以上0.95以下であことを特徴とするアノード触媒の形成方法。
  6. スパッタリングする際の圧力が5Pa以上10Pa以下であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のアノード触媒の形成方法。
  7. 請求項乃至のいずれか一項に記載のアノード触媒の形成方法を用いて、含フッ素高分子及び/又は高分子電解質と、導電性炭素粉末を含有する層が形成された導電性多孔質基体にアノード触媒を形成することにより、アノードを製造する工程と、
    該アノード及びカソードで電解質膜を挟持し、熱圧着により接合する工程を有することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  8. 前記導電性炭素粉末は、アノード触媒が担持されていることを特徴とする請求項に記載の膜電極接合体の製造方法。
  9. アノード及びカソードにより電解質膜が挟持されており、
    該アノードは、請求項1又は2に記載のアノード触媒を有することを特徴とする膜電極接合体。
  10. 請求項に記載の膜電極接合体と、
    アルコールを含有する燃料を該アノードに供給する燃料供給部と、
    酸化剤をカソードに供給する酸化剤供給部を有することを特徴とする燃料電池。
  11. 前記膜電極接合体を複数有し、
    該複数の膜電極接合体は、バイポーラプレートを介して順次積層されていると共に、電気的に直列に接続されていることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池。
  12. 前記膜電極接合体を複数有し、
    該複数の膜電極接合体は、少なくとも一つの平面上に配列されていると共に、電気的に直列に接続されていることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池。
  13. アノードと、
    カソードと、
    電解質膜と、
    アルコール及び酸化剤を含有する混合燃料を該アノード及び該カソードに供給する混合燃料供給部を有し、
    該アノードは、請求項1又は2に記載のアノード触媒を有することを特徴とする燃料電池。
  14. 前記アノード及び前記カソードにより前記電解質膜が挟持されている膜電極接合体と、
    前記混合燃料を前記アノード及び前記カソードに連通して供給する混合燃料供給部を有することを特徴とする請求項13に記載の燃料電池。
  15. 前記膜電極接合体を複数有し、
    該複数の膜電極接合体のそれぞれのアノード及びカソードに前記混合燃料を連通して供給する混合燃料供給部を有し、
    該複数の膜電極接合体は、該混合燃料供給部を介して順次積層されていると共に、電気的に直列に接続されていることを特徴とする請求項14に記載の燃料電池。
  16. 前記膜電極接合体を複数有し、
    該複数の膜電極接合体のそれぞれのアノード及びカソードに前記混合燃料を連通して供給する混合燃料供給部を有し、
    該複数の膜電極接合体は、少なくとも一つの平面上に配列されていると共に、電気的に直列に接続されていることを特徴とする請求項14に記載の燃料電池。
  17. 前記アノード及び前記カソードは、前記電解質膜の一つの表面に前記混合燃料供給部を介して形成されていることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池。
  18. 前記アルコールは、メタノール、エタノール又はイソプロパノールであることを特徴とする請求項10乃至17のいずれか一項に記載の燃料電池。
  19. 請求項10乃至18のいずれか一項に記載の燃料電池を有することを特徴とする電子機器。
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