JP4310780B2 - ルテニウム酸ナノシートおよびその製造方法 - Google Patents

ルテニウム酸ナノシートおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な構造を有するルテニウム酸化合物、その製造方法、および前記ルテニウム酸化合物を用いた電気化学素子用電極に関する。
従来、蓄電機能を有する電気化学素子の代表的なものとしては、電気二重層キャパシタ、疑似二重層キャパシタ、二次電池および電気量記憶素子などがあり、これらはそれぞれの特徴を生かした応用機器で実用化されている。電気二重層キャパシタは、二次電池に比べて高出力密度を有し寿命が長いことから、高信頼性が要求されるバックアップ電源などに使用されている。一方、二次電池は、電気二重層キャパシタに比べて高エネルギー密度を有し、最も代表的な歴史的な蓄電デバイスである。
しかし、二次電池は、その寿命が電気二重層キャパシタに比べて短く、一定期間使用後は交換する必要がある。また、電気量記憶素子は、繰り返し使用可能なタイマーとして実用化されているが、10〜15年のような長時間タイマーの開発が課題であった。
これら蓄電デバイスの主な特徴の相違は、その電気エネルギーの蓄電メカニズムによるものである。疑似二重層キャパシタは、RuO2、IrO2およびCo34などの金属酸化物の表面と電解液との界面で、電気化学吸着現象により発現する容量をもっている。この容量は擬似容量と呼ばれ、活性炭電極表面と電解液との界面で生じる電気二重層容量と区別される。
電気二重層キャパシタでは、電極と電解液との界面で電気化学反応は起こらず、充放電時には、電解液中に含有するイオンが移動するだけである。このため二次電池と比較して劣化が起こり難く、イオンの移動速度が速いため、長寿命であり、高出力密度である。
一方、二次電池は、電極と電解液との間の電気化学反応を利用するため、充放電により劣化する。化学反応速度は相対的に遅く、寿命が短く、出力密度は比較的小さい。しかし、電極材料自体が化学エネルギーの形でエネルギーを蓄えるため、電極と電解液との界面でしかエネルギーを蓄えることのできない電気二重層キャパシタに比べ、高エネルギー密度を有するという特徴を有する。
これら従来の蓄電デバイスに対し、電気二重層キャパシタの特徴である高出力密度および長寿命と、二次電池の特徴である高エネルギー密度とを併せ持つ疑似二重層キャパシタが提案されている。この疑似二重層キャパシタに用いられる電極材料として代表的なものは、ルテニウム、イリジウムおよびコバルトである。これらの材料はいずれも高価であり、その低コスト化および高性能化が課題である。
かかる課題の解決策として、電極内にルチル型のルテニウム酸化物を分散して担持させたり、ルテニウム化合物とバナジウム化合物とを活性炭に吸着させた電極材料が提案されたり(特許文献1参照)、ルテニウム化合物とバナジウム化合物とを含む固溶体を電極に含有させる方法などがある。
また、これに関連して、非特許文献1には、疑似二重層スーパーキャパシタの材料として、層状ルテニウム酸化合物が提案されている。
特開平11−354389号公報 Y.Takasuら、Electrochim, Acta 2000, 45, 4135
高価なルテニウム化合物を活性炭のようなホスト材料の表面に微粒子状に分散して担持させると、ルテニウム化合物の結晶がルチル型または無定型となる。したがって、初期性能は期待されるが、長期に充放電を繰り返すとホスト材料からルテニウム化合物が脱落する現象が生じる。
また、バナジウムのような化合物を混入させると、ホスト材料との結合強度が劣化し、長期間の充放電で、ルテニウム化合物の脱落が生じ、長期の寿命に課題を有する。
一般に、黒鉛のような層状化合物は、電極材料としてこれまで注目されてきた。しかし、層状化合物は、易黒鉛材料、TiS2、MoS2、CoO2およびV613などであり、ルテニウムの層状化合物の合成は困難であつた。
また、非特許文献1も層状ルテニウム酸化合物が開示されているが、ここでは主としてルテニウム酸化合物を金属チタン製の集電体に塗り付けることによって電極を作製する方法が用いられている。この方法で得られる電極は、充分な強度を有さず、電極としては不充分であった。
そこで、本発明は、増大した活性面積を有し、さらに大幅に増大した電荷貯蓄能を有する新規な層状ルテニウム酸化合物を提供することを目的とする。
また、本発明は、層状ルテニウム酸化合物を用いた、高出力および大容量の電気化学キャパシタを与える電極、およびこれを用いた電気化学素子を提供することを目的とする。
本発明は、分離された1nm以下の厚みを有するルテニウム酸ナノシートを提供し得る層状ルテニウム酸化合物、当該層状ルテニウム酸化合物を含むコロイド、および当該コロイド中において分離された前記ルテニウム酸ナノシートに関し、このルテニウム酸ナノシートは、好ましくは、
式(1):[RuO2+0.5xx- (0<x<1) (1)
で表される。
発明のルテニウム酸ナノシートは、上記ルテニウム酸ナノシートが積層した構造を有する層状ルテニウム酸化合物から得られる。この層状ルテニウム酸化合物は、X線回折図形において(00L)の各面(ただし0≦θ(CuKα)≦90°の範囲においてL=1〜nであり、nは基本面間隔によって決まり5≦n≦35を満たす。)に回折ピークを有するのが好ましい。
さらに、本発明は、上記ルテニウム酸ナノシートおよび/または上記層状ルテニウム酸化合物と、溶媒とを含むコロイド状ルテニウム酸化合物にも関する。
また、本発明のルテニウム酸ナノシートは、上記層状ルテニウム酸化合物のアルカリ金属塩(アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物)、前記アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物のアルカリ金属の少なくとも一部がプロトンで置換されたプロトン型層状ルテニウム酸化合物、ならびにこれらの層間にH2O分子を含む水和物を用いて得ることができる。
なかでも、プロトン型層状ルテニウム酸水和物は、
式(2):Mx-yy-zzRuO2+0.5x・nH2O (2)
[式中、Mは例えばLi、Na、K、RbまたはCsなどのアルカリ金属イオン、Bは(R)mNH4-mまたは(R)m-p(R’)pNH4-m(式中、RおよびR’はCH3(CH2)q、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH 3 の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムであり、0<x<1、0≦y<x、0≦z<y、0≦n≦10]で表される。
さらに、本発明は、
(a)酸化ルテニウムとアルカリ金属化合物とを混合し、得られた混合物を焼成または溶融することによって、
1nm以下の厚みを有し、式(1):[RuO 2+0.5x x- (0<x<1)で表されるルテニウム酸ナノシートを含み、X線回折図形において(00L)の各面(ただし0≦θ(CuKα)≦90°の範囲においてL=1〜nであり、nは基本面間隔によって決まり5≦n≦35を満たす。)に回折ピークを有するアルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を得る工程、
(b)前記アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を酸性溶液中で処理し、
アルカリ金属の少なくとも一部をプロトンで交換してプロトン型層状ルテニウム酸水和物を得る工程、
(c)前記プロトン型層状ルテニウム酸水和物に、(R) m NH 4−m もしくは(R) m−p (R’) p NH 4-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH 3 の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムまたは、(R) m NH 3-m もしくは(R) m-p (R’) p NH 3-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させて
前記ルテニウム酸ナノシートと前記アルキルアンモニウムとが積層して構成されたアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を得る工程、ならびに
(d)前記アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を溶媒と混合し、前記ルテニウム酸ナノシートを含むコロイドを得る工程を含むルテニウム酸ナノシートの製造方法を提供する。
前記工程(a)においては、酸化ルテニウムとアルカリ金属塩とを混合し、得られた混合物を700〜900℃で焼成するのが好ましい。
また、前記工程(a)においては、酸化ルテニウムとアルカリ金属水酸化物とを混合し、得られた混合物を500〜700℃で溶融させてもよい。
前記工程(c)においては、プロトン型層状ルテニウム酸水和物に(R)mNH4-mまたは(R)m-p(R’)pNH4-m(式中、RおよびR’はCH3(CH2)q、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH 3 の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムを反応させるのが好ましい。
また、前記工程(c)においては、プロトン型層状ルテニウム酸水和物に(R)mNH3-mまたは(R)m-p(R’)pNH3-m(式中、RおよびR’はCH3(CH2)q、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させてもよい。
前記工程(d)においては、アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を、水、アルコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびプロピレンカーボネートよりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒と混合してコロイドを得るのが好ましい。
本発明における1nm以下の厚みのルテニウム酸ナノシートを積層した構造を有する層状ルテニウム酸化合物は、従来の酸化ルテニウムに比べて大きい電荷貯蓄能を有し、電気化学素子の電極として有用である。この層状ルテニウム酸化合物においては、電気化学的に安定な電子伝導層であるルテニウム酸ナノシートが積層されており、この電子伝導層の層間に水または水和プロトンからなるプロトン伝導層が分子レベルで存在する。そのため、大幅に増大された電荷貯蓄能を発揮し、高出力・大容量スーパーキャパシタとして有用である。
そして、上記層状ルテニウム酸化合物から得られる本発明に係る1nm以下の厚みのルテニウム酸ナノシートは、電荷貯蓄能が従来のルテニウム酸化物に比べて大きく、電気化学素子の電極材料として有用である。
本発明者らは、ルテニウム化合物にカリウム塩を添加することにより、1nm以下の厚みを有する層が積み重なって形成された層状構造を有する化合物(層状ルテニウム酸化合物)を合成できることを見出し、さらに当該層状ルテニウム酸化合物の微粒子化(大面積化)に成功した。すなわち、本発明者らは、前記層状ルテニウム酸化合物をコロイド化すれば上記のような「1nm以下の厚みを有する層」を分離させることができ、1nm以下の厚みを有するルテニウム酸ナノシートが得られることを見出し、本発明を完成した。ここで、ルテニウム酸ナノシートとは、厚みがnmオーダーで、縦および横がそれぞれμmオーダーのシート状の結晶性ルテニウム酸化合物のことをいう。前記ルテニウム酸ナノシートは疑似二重層キャパシタに用いることができ、プロトン導電性を付与することなどにより、当該疑似二重層キャパシタの容量を従来の10倍程度に改善できることが判明した。
本発明は、ルテニウム酸化合物の結晶構造において、ナノレベルで結晶の層と水の層とが別々の層として積層した状態にすることによって、層状ルテニウム酸化合物を合成し、当該層状ルテニウム酸化合物の固体バルク内部での容易なプロトン移動を可能にすることを検討した結果に基づく。上述のように、本発明における層状ルテニウム酸化合物は、電気化学的に安定なナノレベルのシート状酸化ルテニウム結晶からなる電子伝導層と、水または水和プロトンからなるプロトン伝導層とで構成される。このような電子伝導層とプロトン伝導層との分子レベルでの積層構造のために、大幅に増大した電荷貯蓄能を発揮することが可能になる。すなわち、前記層状ルテニウム酸化合物は、高出力・大容量スーパーキャパシタに有用な材料である。
本発明における層状ルテニウム酸化合物は、X線回折図形において(00L)の各面(ただし0≦θ(CuKα)≦90°の範囲においてL=1〜nであり、nは基本面間隔によって決まり5≦n≦35を満たす。)に回折線を有し、特に(001)面および(002)面の回折強度が、その他の面の回折強度よりも強いことに特徴づけられる、また、この層状ルテニウム酸化合物においては、各ルテニウム酸化合物の層(ナノシート)の厚みが1nm以下である。また、この厚みは0.1nm以上であるのが好ましい。
本発明に係るルテニウム酸ナノシートは、
(a)酸化ルテニウムとアルカリ金属化合物とを混合し、得られた混合物を焼成または溶融することによって、
1nm以下の厚みを有し、式(1):[RuO 2+0.5x x- (0<x<1)で表されるルテニウム酸ナノシートを含み、X線回折図形において(00L)の各面(ただし0≦θ(CuKα)≦90°の範囲においてL=1〜nであり、nは基本面間隔によって決まり5≦n≦35を満たす。)に回折ピークを有するアルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を得る工程、
(b)前記アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を酸性溶液中で処理し、
アルカリ金属の少なくとも一部をプロトンで交換してプロトン型層状ルテニウム酸水和物を得る工程、
(c)前記プロトン型層状ルテニウム酸水和物に、(R) m NH 4−m もしくは(R) m−p (R’) p NH 4-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH 3 の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムまたは、(R) m NH 3-m もしくは(R) m-p (R’) p NH 3-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させて
前記ルテニウム酸ナノシートと前記アルキルアンモニウムとが積層して構成されたアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を得る工程、ならびに
(d)前記アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を溶媒と混合し、前記ルテニウム酸ナノシートを含むコロイドを得る工程によって得ることができる。
工程(a):
まず、酸化ルテニウムとアルカリ金属化合物とを混合し、得られた混合物を加熱または溶融することによって、1nm以下の厚みを有し、式(1):[RuO 2+0.5x x- (0<x<1)で表されるルテニウム酸ナノシートを含み、X線回折図形において(00L)の各面(ただし0≦θ(CuKα)≦90°の範囲においてL=1〜nであり、nは基本面間隔によって決まり5≦n≦35を満たす。)に回折ピークを有するアルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を得る。
ここで得られる層状ルテニウム酸化合物の具体例は、
式(3):MxRuO2+0.5x・nH2O (3)
(式中、Mは例えばLi、Na、K、RbまたはCsなどのアルカリ金属イオン、0<x<1、0≦n≦10)で表されるアルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物である。
このアルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を合成する第1の方法は、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属硝酸塩と、酸化ルテニウムとを混合し、得られた混合物を好ましくは不活性雰囲気中において、700〜900℃の温度で加熱処理する方法(固相反応法)である。
第2の合成方法は、アルカリ金属水酸化物と酸化ルテニウムとを混合し、得られた混合物を500〜700℃で溶融処理する方法(溶融法)である。
また、前記式(3)で表されるアルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物は、第3の合成方法として、層状ルテニウム酸化合物とアルカリ金属硝酸塩とを混合し、得られた混合物を好ましくは不活性雰囲気中において、アルカリ金属硝酸塩の融点以上の温度で溶融処理する方法(溶融イオン交換法)によっても得ることができる。
さらに、第4の合成方法として、後述のプロトン型層状ルテニウム酸水和物をアルカリ金属の水酸化物または塩化物(例えば水酸化カリウムまたは塩化カリウム)の水溶液に分散し、攪拌することによっても得ることができる。
工程(b):
つぎに、前記アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を酸性溶液中で処理し、アルカリ金属の少なくとも一部をプロトンで交換してプロトン型層状ルテニウム酸水和物を得る。
工程(b)によって得られるプロトン型層状ルテニウム酸水和物は、
式(4):Mx-yyRuO2+0.5x・nH2O (4)
(式中、Mは例えばLi、Na、K、RbまたはCsなどのアルカリ金属イオン、0<x<1、0≦y<x、0≦n≦10)で表される。
このプロトン型層状ルテニウム酸水和物は、アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を出発材料として用い、酸性水溶液中でプロトン交換反応させることにより合成することができる(プロトン交換法)。
また、プロトン型層状ルテニウム酸水和物は、
式(5):Hx-yyRuO2+0.5x・nH2O (5)
(式中、Mは例えばMg、Ca、Sr、Baなどの2価金属イオンまたはY、Lnなどの3価金属イオン、0<x<1、0≦y<x、0≦n≦10)で表される層状ルテニウム酸塩であってもよい。
この層状ルテニウム酸塩は、上記式(4)で表されるプロトン型層状ルテニウム酸水和物を、式(5)中のM金属イオンを含む水溶液と反応させる方法(溶液イオン交換法)で合成することができる。
工程(c):
工程(c)では、前記プロトン型層状ルテニウム酸水和物に、(R) m NH 4−m もしくは(R) m−p (R’) p NH 4-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH 3 の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムまたは、(R) m NH 3-m もしくは(R) m-p (R’) p NH 3-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させて、前記ルテニウム酸ナノシートと前記アルキルアンモニウムとが積層して構成されたアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を得る。
ここで得られるアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物は、層状ルテニウム酸化合物にアルキルアンモニウムがインターカレートした構造を有する化合物であり、
式(2):Mx-yy-zzRuO2+0.5x・nH2O (2)
[式中、Mは例えばLi、Na、K、RbまたはCsなどのアルカリ金属イオン、Bは(R)mNH4-mまたは(R)m-p(R’)pNH4-m(RおよびR’はCH3(CH2)q、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH 3 の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムであり、0<x<1、0≦y<x、0≦z<y、0≦n≦10]で表される。
工程(c)においては、第1の方法として、上記プロトン型層状ルテニウム酸水和物を、アルキルアンモニウム塩を含む溶液と混合し、両者を反応させることによって上記層間化合物を得ることができる(イオン交換法)。
さらに第2の方法として、上記プロトン型層状ルテニウム酸水和物を、アルキルアミンを含む溶液と混合し、両者を反応させることによって上記層間化合物を得ることができる(酸塩基反応法)。
また、上記アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を得た後、これをさらに第2のアルキルアンモニウム塩を含む溶液と混合して両者を反応させてもよい(ゲスト交換反応法)。
工程(d):
最後に、前記アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を溶媒と混合し、1nm以下の厚みを有するルテニウム酸ナノシートを含むコロイドを得る。具体的には、上記アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を高誘電率溶媒に分散させる。
高誘電率溶媒としては、水、アルコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびプロピレンカーボネートよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。なかでも、誘電率が高く、粘性率が低く、沸点が低いという理由から、水、アルコールまたはアセトニトリルが好ましい。なかでも、メタノールが特に好ましい。
前記層間化合物を高誘電体溶媒に分散させると、前記層間化合物が一層単位で孤立分散し、ルテニウム酸ナノシートが分散したコロイドが得られる。もちろん、このコロイドには、ナノシートがいくつか重なった積層体である層状ルテニウム酸化合物が部分的に含まれていてもよい。このコロイドから、ポーラスで、電子およびプロトン伝導性に優れた本発明に係るルテニウム酸ナノシートを回収することができる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
《工程(a)》
1.カリウム型層状ルテニウム酸の合成
カリウム型層状ルテニウム酸は、以下のように固相法または溶融法によって合成した。
(1)固相法による合成
2CO3とRuO2とをモル比0.625:1で混合し、得られた混合物をArガス流通下で850℃にて12時間加熱焼成した。ついで、得られた焼成物を蒸留水で洗浄し、余剰のカリウムを除去した。最後に、濾過または遠心分離にて、洗浄後の焼成物から固体成分を回収した。
ここで、RuO2に対するK2CO3のモル比は0.2〜1.5が好ましく、さらには0.5〜0.7であるのが好ましかった。また、焼成は、大気中でも可能であったが、Arガスなどの不活性雰囲気中で行うのが好ましかった。また、焼成温度は、700〜900℃が好ましかった。
(2)溶融法による製法
KOHとRuO2とをモル比3:1で混合し、得られた混合物を空気中において600℃で0.5時間加熱溶融した。得られた溶融物を蒸留水で洗浄し、余剰のカリウムを除去した。ついで、濾過または遠心分離にて、洗浄後の溶融物から固体成分を回収した。最後に、回収した固体成分を風乾することによって水和物が得られ、この水和物を120℃以上の温度で乾燥することにより無水物が得られた。
RuO2に対するKOHのモル比は2〜3が好ましかった。また、溶融温度は500〜700℃が好ましかった。
(3)イオン交換法による製法
別の方法として後述のプロトン型層状ルテニウム酸水和物のイオン交換によってカリウム型層状ルテニウム酸を合成した。
まず、プロトン型層状ルテニウム酸水和物をKOHまたKCl水溶液中に分散させ、60〜80℃で撹拌してカリウム型層状ルテニウム酸水和物を得た。蒸留水で洗浄して、カリウム型層状ルテニウム酸水和物から余剰のカリウムを除去し、濾過または遠心分離にて固体成分を回収した。回収した固体成分を風乾することにより水和物を得、この水和物を120℃以上の温度で乾燥することにより無水和物を得た。
2.セシウム型層状ルテニウム酸の合成
Cs2CO3とRuO2とをモル比0.192:1の割合で混合し、得られた混合物をArガス流通下900℃で120時間加熱焼成した。
RuO2に対するCs2CO3のモル比は、0.1〜1.0であるのが好ましく、さらには0.15〜0.30であるのが好ましかった。焼成は大気中でも可能であったが、Arガスなどの不活性雰囲気中で行うのが好ましかった。また、焼成温度は800〜1000℃であるのが好ましく、さらには700〜900℃であるのが好ましかった。
3.カリウム型層状ルテニウム酸の諸物性の評価
(1)組成
上記1において合成したカリウム型層状ルテニウム酸の組成を、誘導結合プラズマ発光分析法、熱重量分析法、蛍光X線分析法およびX線光電子分光法で分析したところ、KxRuO2+0.5x・nH2Oで表されることがわかった。なお、xは焼成温度、焼成時間および原料の混合比などの合成条件によって異なるが、0<x<1を満たす値であった。850℃、12時間、Arガス流通下、およびK2CO3:RuO2=0.625:1(モル比)の場合は、x=0.22であった。含水量nは乾燥条件によって異なり、0≦n≦10を満たす値であった。室温で風乾した場合はn=0.7であり、120℃で乾燥した場合は0≦n≦0.4であった。なお、含水量nは、目的とする電気化学素子によって最適値を決定すればよい。
(2)外観
上記1において製造したカリウム型層状ルテニウム酸を走査型電子顕微鏡で観察した。得られた走査型電子顕微鏡(SEM)写真(像)を図1および図2に示す。図1および図2からわかるように、長短長軸方向が数百nm、厚み数十nmの板状結晶が得られた。
(3)構造
xRuO2+0.5x・nH2O(x=0.22、n=0.4)の粉末X線回折(XRD)パターンを図3に示す。図3から基本面間隔d001が0.730nmの層状構造が得られていることがわかる。
ここで、基本面間隔とは、層状構造の積層方向(すなわち層の面方向に垂直な方向)における各層の繰り返し間隔であり、酸化ルテニウムの層(ルテニウム酸ナノシート)同士が規則的に配列している場合の層間隔を指す。
この基本面間隔は、後述するように、層状ルテニウム酸化合物の層間に存在する金属イオンまたは有機成分によって変化し得る。それぞれの回折ピークの帰属は表1のとおりである。X線回折パターンには(00L)面以外の回折面はピーク強度が弱く(1/1000程度)、帰属が困難である。
ここで、K0.22RuO2.11・0.4H2Oの電子線回折像(写真)を図4に示し、透過型電子顕微鏡写真(像)を図5に示す。酸化ルテニウム層の厚みは1nm以下であり、かつ規則的な二次元配列が得られていることがわかる。
4.セシウム型層状ルテニウム酸の諸物性の評価
(1)組成
上記2において製造したセシウム型層状ルテニウム酸の組成を、熱重量分析法および蛍光X線分析法で分析したところ、式:CsxRuO2+0.5x・nH2Oで表されることがわかった。なお、xは焼成温度、焼成時間および原料の混合比などの合成条件によって異なるが、0<x<1を満たす値であった。900℃、12時間、Arガス流通、およびCs2CO3:RuO2=0.192:1(モル比)の場合は、x=0.35であった。含水量nは乾燥条件によって異なり、0≦n≦10を満たす値であった。室温で風乾した場合はn=0.7であり、120℃で乾燥した場合は0≦n≦0.4であった。なお、含水量nは、目的とする電気化学素子によって最適値を決定すればよい。
(2)外観
上記2において製造したセシウム型層状ルテニウム酸を走査型電子顕微で観察し、走査型電子顕微鏡写真を撮影した。これによれば、長短長軸方向が数百nm、厚み数十nmの板状結晶が得られた。
(3)構造
CsxRuO2+0.5x・nH2O(x=0.35、n=0.4)の粉末X線回折(XRD)パターンを図6に示す。図6から基本面間隔d001が0.762nmの層状構造が得られていることがわかる。それぞれの回折線の帰属は表2のとおりである。X線回折パターンには(00L)面以外の回折面はピーク強度が弱く(1/1000程度)、帰属が困難である。
《工程(b)》
1.プロトン型層状ルテニウム酸水和物の製造
プロトン型多層状ルテニウム酸水和物を、上記工程(a)で合成した層状ルテニウム酸化合物を出発物質として用い、プロトン交換反応をさせることにより合成した。
まず、希塩酸中でカリウム型層状ルテニウム酸を60℃にて48時間撹拌した。ついで蒸留水で余剰の塩酸を洗浄し、濾過または遠心分離にて固体成分を回収した。なお、ここで用いることのできる酸は塩酸に限らなかった。硫酸、硝酸、臭化水素などでも同様の結果が得られた。また、撹拌時間および温度も合成する量などにより異なった。室温で合成することも可能であるが、反応時間が長くなった。
2.プロトン型層状ルテニウム酸水和物の諸物性の評価
(1)組成
上記1において合成したプロトン型層状ルテニウム酸水和物の組成を、誘導結合プラズマ発光分析法、熱重量分析法、蛍光X線分析法およびX線光電子分光法で分析したところ、式:Kx-yyRuO2+0.5x・nH2O(ただし、0<x<1、0≦y<x、0≦n≦10を満たす。)で表されることがわかった。
ここでHの量yは、酸処理条件によって異なり、60℃、48時間の酸処理後ではx−y<0.05を満たした。含水量nは120℃乾燥では0.4であり、乾燥条件によりn=0〜10であった。
(2)外観
上記1において製造したプロトン型層状ルテニウム酸水和物を走査型電子顕微で観察した。得られた走査型電子顕微鏡写真を図7および図8に示す。図7および図8からわかるように、長短長軸方向が数百nm、厚み数十nmの板状結晶が得られた。
(3)構造
0.22RuO2.11・nH2O(n=0.4)の粉末X線回折(XRD)パターンを図9に示す。図9から基本面間隔d001が0.457nmの層状構造が得られていることがわかる。それぞれの回折線の帰属は表3のとおりである。X線回折パターンには(00L)面以外の回折面はピーク強度が弱く(1/1000程度)、帰属が困難である。
ここで、H0.22RuO2.11・0.4H2Oの電子線回折像を図10に示し、透過型電子顕微鏡写真を図11に示す。約0.5nmの間隔で層が繰り返されていることが観察され、酸化ルテニウムの一層(ルテニウム酸ナノシート)の厚みは約0.5nmと見積もることができ、かつ規則的な二次元配列が得られていることがわかる。また、電子線回折像において明瞭な回折スポットが観察され、酸化ルテニウム層の結晶性が良好であることがわかる。
総じてプロトン型層状ルテニウム酸の構造においては、約0.5nmの酸化ルテニウム層と水和水とが2次元に規則的に配列しており、酸化ルテニウム層の表面は水酸基で覆われ、かつ明瞭な結晶構造を有する。水和量は特に構造に規定されることなく、プロトン型層状ルテニウム酸は無限膨潤に近い状態まで水を含むことが可能である。既存の非晶質水和酸化物および電解酸化ルテニウム水和物においては、ルテニウム酸化物と構造水とは無秩序に配列し、かつその水分子は構造の隙間に存在するため、水和量はマクロ構造によってある程度規定される。
《工程(c)》
1.アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物の合成
アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物は、以下のように、イオン交換反応、ゲスト交換反応または酸塩基反応により得た。
(1)イオン交換反応による合成
上記工程(b)で合成したプロトン型層状ルテニウム酸水和物をアルキルアンモニウム水溶液に分散させ、室温で3日間撹拌した。ついで、蒸留水で余剰の有機物を洗浄し、濾過または遠心分離によって固体成分を回収した。ここで、アルキルアンモニウムは、(R)mNH4-mまたは(R)m-n(R’)nNH4-m(式中、RおよびR’はCH3(CH2)p、m=0〜4、n=0〜3、p=0〜18)であった。
(2)酸塩基反応による合成
上記工程(b)で合成したプロトン型層状ルテニウム酸水和物をアルキルアミン溶液に分散させ、室温で3日間撹拌した。ついで、蒸留水で余剰の有機物を洗浄し、濾過または遠心分離によって固体成分を回収した。ここで、アルキルアミンは、(R)mNH3-mまたは(R)m-n(R’)nNH3-m(式中、RおよびR’はCH3(CH2)p、m=0〜3、n=0〜2、p=0〜18)であった。
(3)ゲスト交換反応による合成
アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物をアルキルアンモニウム水溶液に分散させ、室温で3日間撹拌した。ついで、蒸留水で余剰の有機物を洗浄し、超遠心分離によって固体成分を回収した。ここで、アルキルアンモニウムは、上記(1)のイオン交換反応による合成に用いるものと同じであった。
2.アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物の諸物性の評価
(1)組成
上記1において合成したアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物は、熱重量分析法で分析したところ、以下の化学組成を有した。
H:アルキルアンモニウム:Ru=y−z:z:1 (モル比)
ここで、有機含有量zは調製条件やアルキル鎖の種類などによって異なり、y<1を満たした。
(2)外観
上記1において合成した層間化合物のうち、セチルトリメチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物([CH3(CH2)15N(CH3)30.2RuO2.1)の走査型電子顕微鏡写真を図12に示す。約2.8nm間隔で層が繰り返されおり、縞状の模様が確認される。
(3)構造
上記1において合成した層間化合物のうち、エチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物、テトラブチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物、およびセチルトリメチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物の粉末X線回折パターンを、それぞれ図13、図14および図15に示す。それぞれ基本面間隔がd001=0.816、1.68、および2.76nmの層状構造を有することがわかる。それぞれの回折線の帰属は表4、表5および表6のとおりである。
《工程(d)》
1.ルテニウム酸ナノシートを含むコロイドの製造
コロイド状ルテニウム酸ナノシート(ナノシートを含むコロイド)は、テトラブチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を溶媒に分散させることによって得た。
具体的には、まず工程(c)で合成したテトラブチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を高誘電率溶媒に分散させ、超音波処理して撹拌した。ついで、遠心分離(2000rpm)によってコロイド成分(上澄み)を回収した。ここでは、高誘電率溶媒としてメタノールを用いた。
2.コロイド状ルテニウム酸ナノシートの諸物性の評価
(1)組成
コロイド状ルテニウム酸ナノシートは、高誘電率溶媒とテトラブチルアンモニウムとルテニウム酸ナノシートとを、高誘電率溶媒:テトラブチルアンモニウム:ルテニウム酸ナノシート=(100−x):0.075x:x (モル比)で含んでいた。ここで、xはテトラブチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物の濃度であり、約2〜100μg/Lであった。
(2)外観
上記工程(d)で得たコロイドに含まれるルテニウム酸化合物ナノシートの走査型電子顕微鏡写真を図16に示す。この際、コロイド状ルテニウム酸ナノシートは、支持体である炭素材料に担持させて観察した。図16から、長短長軸方向が数百nm、ナノメーターオーダーの厚みの孤立した結晶状ナノシートが得られたことがわかる。
(3)構造
上記工程(d)で得たルテニウム酸ナノシートを含む分散液(コロイド)をガラス基板上にキャストした。これにより、ルテニウム酸ナノシートが再積層し、テトラブチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物で構成される配向薄膜が得られた。この配向薄膜の粉末X線回折パターンを図17に示す。図17から、前記配向薄膜が基本面間隔d001=1.68nmの層状構造を有し、極めて良いc軸配向性を有することがわかる。それぞれの回折線の帰属は表7のとおりである。
本実施例においては、上記工程(b)で得たプロトン型層状ルテニウム酸水和物(HRO=H0.22RuO2.11・nH2O、n>0)を用いて電気化学スーパーキャパシタ用電極を作製し、電気化学スーパーキャパシタの容量を調べた。
プロトン型層状ルテニウム酸水和物を水またはジメチルホルムアミドなどの溶媒中に分散させ(約40μg/L)、得られた分散液をグラッシー・カーボンロッドの切断面(直径5mm)に滴下し、さらに固定化剤としてデュポン社よりNafionの名で販売されているパーフルオロカルボン酸イオノマーをさらに滴下し、乾燥してプロトン型層状ルテニウム酸水和物を担持したグラッシーカーボン(以下、HRO/GCという。)電極を作製した。
HRO/GC電極、白金メッシュ製の対極、およびAg/AgClの参照極を0.5M硫酸電解液中において用い、500〜2mV/sで走査してサイクリックボルタモグラム(CV)を得た。図18〜23は、それぞれ走査速度が500mV/s、200mV/s、50mV/s、20mV/s、5mV/sおよび2mV/sの場合のCVである。
高速走査時においては、擬似二重層キャパシタ特有の正方形状のCVが得られ、低速走査時においては、擬似二重層キャパシタ的な容量に加えて、酸化還元に起因する酸化還元容量が得られる。擬似二重層キャパシタ的な容量は、走査速度にほとんど依存せず、酸化還元容量は、走査速度の低下とともに増加する。
表8に各々の走査速度で得られたCVから求めたHRO/GC電極のキャパシタンスを示した。走査速度の減少にともないキャパシタンスはわずかに増加する。これは先に述べた酸化還元容量の増加分に起因する。得られたキャパシタンスは電解酸化により合成した水和酸化ルテニウムと同程度であり、ルチル型構造の結晶性酸化ルテニウムより一桁大きい。
酸化ルテニウムの擬似二重層容量(酸化還元反応が関与しない物理現象)として、一般的な値である約80μF/cm2(実表面積当たりのマイクロファラッド)を用い、50mV/sでのキャパシタンス(389F/g)から活性表面積を計算すると、486m2/gであった。従来のルチル型RuO2の表面積は、粒径10nmの微粒子でも50〜60m2/g(窒素吸脱着測定によるBET法で求めた比表面積)である。
プロトン型層状ルテニウム酸水和物は、既存の非晶質酸化ルテニウム水和物やルチル型酸化ルテニウムとは異なる特徴を有する。以下にその特徴を挙げる。
(i)電気化学的に活性な表面積が極めて大きい。プロトン型層状ルテニウム酸の各層は1nm以下の厚みを有し、層間にはプロトンおよび水和プロトンが自由に移動可能である。電気化学活性比表面積は508m2/g−RuO2にまで達する。
(ii)HRO/GCにおいては、遅い充放電(低速走査または小電流充放電)時に明瞭なレドックス対が現れる。これは結晶性を有する構造に依存するため、非晶質水和酸化ルテニウムでは得られない成分である。このレドックスに起因する容量は活性表面積に依存する。結晶性のルチル型酸化ルテニウムでは、このレドックス容量が粒子表面でしか得られず、その寄与は極めて小さい。結晶性のルチル型酸化ルテニウムの活性表面積は50m2/gであり、プロトン型層状ルテニウム酸の活性表面積はその10倍近い508m2/g−RuO2である。プロトン型層状ルテニウム酸の場合、層間そのものが電気化学に活性であるため、結晶性のルチル型酸化ルテニウムでは達成し得ないレドックス容量が得られる。
(iii)HRO/GCにおいては、極めて早い充放電(高速走査または大電流充放電)時でも一定の容量が得られる。この容量は、非ファラディックな電気二重層容量成分とファラディックなレドックス容量成分とからなる。これらの容量成分は電気化学活性表面積に依存する。結晶性のルチル型酸化ルテニウムでは、これらの容量成分は粒子表面でしか得られないためその寄与は極めて小さい。結晶性のルチル型酸化ルテニウムの活性表面積は50m2/gであり、プロトン型層状ルテニウム酸はその10倍の508m2/g−RuO2である。プロトン型層状ルテニウム酸の場合、層間そのものが電気化学的に活性であるため、結晶性のルチル型酸化ルテニウムでは達成し得ない擬似容量が得られる。
総じて、プロトン型層状ルテニウム酸においては、結晶性酸化ルテニウム層の間に電解液が浸透することが可能であり、電子伝導性ネットワークを損なうことなくプロトン導電性を付与することができた。加えて、層厚0.5nm以下という原子レベルまで酸化ルテニウム層を微細化できた結果、活性表面積は極めて高く、508m2/gを達成できた。
これらの結果、層表面で極めて速く非ファラディックな(酸化還元反応が関与しない物理現象)電気二重層容量成分とファラディックなレドックス容量成分が得られるために、大電流充放電時でも大きなキャパシタンスが得られる。加えて、結晶性構造由来の層表面でのレドックス容量も得られるため、低速充放電時にはさらに大きなキャパシタンスが得られる。したがって、プロトン型層状ルテニウム酸水和物は、急速充放電可能な大容量電気化学スーパー電極材料であり、エネルギー密度・出力密度ともに極めて大きい。
このようにエネルギー密度・出力密度ともに極めて大きい理由は、プロトン・電子混合導電性に優れる点にあると推定され、一般にプロトン・電子混合導電性が良好であるか否かは、i−V曲線(CV特性)から類推することができる。つまり、上記理由は、i−V曲線が早い走査速度においても良好な立ち上がりをしてキャパシタに類似した正方形形状を保っていること、および抵抗が入っていないことから理解することができる。また、数値データの観点からは、表8および表10において走査速度を早くしてもキャパシタンスロスがほとんど見受けられないことから、上記理由を推定することができる。
例えば、2mV/s走査時のキャパシタンスを100%として、走査速度を速くした時のプロトン型層状ルテニウム酸のキャパシタンス保持率は500mv/s走査時に90%である。これに対し、ナノレベルの粒径を有するルチル型酸化ルテニウムナノ粒子のキャパシタンス保持率は、500mV/s走査時に69%にしか過ぎない。これは、プロトン導電性が十分に確保されている結果と考えられる。表9にデータをまとめた。
上記実施例2ではプロトン型層状ルテニウム酸水和物の硫酸中でのキャパシタンスを説明したが、本発明はカリウム型層状ルテニウム酸水和物や各種アルカリ電解液にも適応することができる。
(1)プロトン型層状ルテニウム酸水和物のアルカリ電解液中でのキャパシタンスについて、プロトン型層状ルテニウム酸水和物を上記実施例2と同様の方法で合成し、0.5M硫酸電解液の代わりに1MKOH電解液を用いた以外は上記実施例2と同様にしてキャパシタンスを調べた。結果を表10に示す。ナノレベルの粒径を有するルチル型酸化ルテニウムナノ粒子と比較すると、5倍のキャパシタンスが得られる。0.5M硫酸電解液の場合よりもキャパシタンスが小さいのはアルカリ電解液中では酸化還元によって擬似容量が低下することに起因する。
(2)カリウム型層状ルテニウム酸水和物のキャパシタンスについて、カリウム型層状ルテニウム酸水和物と、バインダーであるポリエチレンテレフタレート(PTFE)の分散液((株)三井・デュポンフロロケミカル製の30−J)とを混合し、得られた混合物をの集電体に塗り付けて膜電極を作製した。0.5M硫酸電解液および1MKOH電解液を用いた場合のキャパシタンスを表11に示す。ルチル型酸化ルテニウムナノ粒子と比較すると、最大6倍のキャパシタンスが得られる。
本発明における層状ルテニウム酸化合物を電気化学素子に応用する例を説明する。層状ルテニウム酸化合物は、走査顕微鏡写真やX線回折パターンから理解されるように、極めて安定した結晶を形成している。以下に、電気化学素子を製造する工程を述べる。
(a)粉砕工程
層状ルテニウム酸化合物を粗粉砕し、ついで微粉砕し、分級工程を経て、8〜2.5μmの粒度に分級した。
(b)混合、混練工程
つぎに、分級された層状ルテニウム酸化合物40重量部、活性炭粉末(クラレケミカル(株)製BP−20、平均粒度5μm、比表面積2200m2/g、平均細孔径16Å)50重量部、導電材料4重量部、一次バインダー2重量部、永久バインダー2重量部、およびゴム系材料2重量部を混合し、乾式混合、湿式混合および混練を経て、電極材料を調製した。
(c)各種電極材料
導電材料としては、アセチレンブラックとケッチェンブラックとを重量比1:1の割合で混合したカーボンブラック混合物を用いた。一次バインダーとしては、澱粉とカルボキシメチルセルロースとを重量比1:1の割合で混合した混合物を用いた。また、永久バインダーとしては、水系溶媒の場合にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のゾル溶液を用いるのが好ましく、有機系溶媒の場合にはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いるのが好ましかった。
ゴム系材料としては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とスチレンブタジエンゴム(SBR)とを重量比1:1の割合で混合した混合物を使用するのが好ましかった。また、活性炭粉末としては、椰子殻活性炭、フェノール系活性炭、石炭系ピッチ活性炭、石油系ピッチ活性炭、エアロゲルカーボンの何れの活性炭も使用可能であった。
(d)成形工程、乾燥工程
電気化学素子の形状および大きさに応じてプレスまたはコーターを使用した。上記電極材料を、有機系溶媒の場合は100℃以下で乾燥した。また、水系溶媒の場合は上記電極材料から水分を除去し、一次バインダーを焼却除去し、減率乾燥領域まで完全乾燥を行い、ついで圧延ローラーで厚み120μm程度のシートを得、このシートを所望する形状に裁断し、シート状電極を得た。
コイン型キャパシタ用としては、一対のシート状電極をセパレータ(日本鋼管(株)製ポリビニルアルコール系合成紙、厚み50μm)を介して重ね合わせて電気化学素子を得た。シリンダー型キャパシタ用としては、一対のシート状電極を間にセパレータを挟み、全体を渦巻き状に巻回して電気化学素子を得た。
(e)ハウジング
コイン型またはシリンダー型のケースに、上記電気化学素子を電解液とともにハウジングし、電気化学素子を完成させた。
(f)評価
得られた電気化学素子の充放電特性を評価した。評価は、実用化を想定した放電レートを用い、85℃、45℃、25℃、0℃、または−20℃の温度で行った。
従来のルテニウム化合物を用いた電気化学素子は主として酸化ルテニウムを含むが、酸化ルテニウムは高価であるため、酸化ルテニウムがアイランド状に薄く分散して担持されていた。そのため、前記電気化学素子は初期性能には優れるものの、充放電を繰り返すと活性炭と酸化ルテニウムが剥離するという現象が観察され、実用化には至らなかった。これに対し、本発明における層状ルテニウム酸化合物は結晶性に優れ、これを用いた電気化学素子は長期に安定な充放電特性を示した。
本実施例においては、アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を用いた電気化学スーパーキャパシタ用電極を作製し、その電気化学キャパシタ容量を評価した。
プロトン型層状ルテニウム酸水和物の代わりにアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を用いて実施例2と同様の方法で電極を製法し、0.5M硫酸電解液を電解液として用いた場合のキャパシタンスを求めた。結果を表12に示す。プロトン型層状ルテニウム酸水和物を用いた場合と比較すると、2倍のキャパシタンスが得られた。
プロトン型層状ルテニウム酸水和物よりアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物のほうが大きいキャパシタンスが得られるのは、アルキルアンモニウムにより層間が拡張され、電解液中のプロトンとのイオン交換後もその拡張された層間によって電解液の浸透が促進されることに起因するからである。
本実施例においては、コロイド状ルテニウム酸ナノシート(ルテニウム酸ナノシートを含むコロイド)を用いた電気化学スーパーキャパシタ用電極を作製し、電気化学キャパシタ容量を評価した。
上記実施例1と同様にして得たテトラブチルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を高誘電率溶媒であるメタノールに分散することにより、個々のルテニウム酸ナノシートが結晶構造を保持したまま孤立分散したコロイド状ルテニウム酸ナノシートを得た。このコロイドにおいては、ルテニウム酸ナノシートが分散媒中に安定的に分散しており、膨潤性粘土に類似した性質を有した。
このようにしてルテニウム酸ナノシートを含むコロイド溶液を、グラッシーカーボンロッド表面に塗布し、ルテニウム酸ナノシートで修飾した電極(ナノシート修飾電極)を形成した。すなわちルテニウム酸ナノシートを含むコロイド溶液をグラッシーカーボンロッド表面に滴下し、乾燥した後、前述のパーフルオロカルボン酸イオノマーを滴下し、乾燥して作製した。得られたナノシート修飾電極を、実施例2と同様の条件下において走査速度50mV/sで走査し、CV特性を調べた。得られたCV曲線を図24にaで示した。比較として、ナノシート化していない通常のHRO(プロトン型層状ルテニウム酸水和物)粒子およびルチル型酸化ルテニウムナノ粒子のCVをそれぞれbおよびcで示した。
ルテニウム酸ナノシートを用いたナノシート修飾電極のCV曲線の形状は、層状ルテニウム酸水和物を用いた場合のCV曲線の形状と本質的には同等である。ただし、前者の場合、酸化還元反応によるレドックス容量成分が高速走査時においても明瞭に観測され、酸化還元反応の全容量への寄与が増加している。ナノシート修飾電極ではルテニウム酸ナノシートが再積層時に乱れた構造を形成し、プロトンの拡散抵抗が減少し、層間への電解液の浸透がよりスムーズに行われたものと考えられる。その結果、表13に示すように、ルテニウム酸ナノシートを用いると高速充放電時でも良好なスーパーキャパシタ特性が得られ、層状ルテニウム酸よりもさらにハイパワー大容量用途に対応できる。
本実施例においては、各種キャパシタを比較した。活性炭電極を用いた市販の電気二重層キャパシタ、ルチル型酸化ルテニウムを用いた電気化学キャパシタ、ならびに代表的な本発明に係る電気化学キャパシタIおよびIIを比較するため、それぞれ直径20mm、厚さ1.6mmのコイン型セルを組み立て、単位質量当たりと単位体積当たりの容量を計測した。その結果を、表14に示した。表14中、水系としては硫酸、塩酸もしくは過塩素酸などの酸性電解液、またはKOH、NaOHもしくはLiOHなどのアルカリ性電解液の使用が可能であるが、ここでは、8NのKOH水溶液を用いた。
キャパシタIおよびIIを実施例4の方法で作製した。表14からわかるように、本発明に係るキャパシタは、従来のルチル型の8〜11倍、電気二重層キャパシタの2〜3倍の質量容量を有し、従来のルチル型の5〜8倍、電気二重層キャパシタの9〜12倍の体積容量を有するという優れた結果が得られた。
本実施例においては、ルテニウム酸ナノシートを用いた燃料電池用電極触媒を作製し、その一酸化炭素酸化特性およびメタノール酸化特性を調べた。
実施例6と同様にして調製したコロイド状ルテニウム酸溶液に白金系電極触媒(白金担持炭素)を添加し、乾燥させ、ルテニウム酸ナノシート担持触媒(以下、HRO−NS/Pt/Cという)を調製した。このようにして調製した電極触媒で、集電体であるグラッシー・カーボンロッドを修飾し、実施例6と同様の方法で電極を作製した。また、比較のために白金担持炭素(Pt/C)触媒を用いて電極を作製した。
1Mメタノール存在下、0.5M硫酸中の0.5V(vs.RHE)におけるメタノール酸化電流を30分後に測定したところ、HRO−NS/Pt/Cの方がPt/Cと比べてより高い電流密度が得られた。HRO−NS/Pt/Cの場合は21A/g−Ptであったのに対して、Pt/Cの場合は2A/g−Ptであった。このことは、本発明に係るナノシート担持触媒がメタノール酸化電極触媒として好適であることを示し、HRO−NSが耐CO被毒性を付与する助触媒として機能していると考えられる。これは、0.5M硫酸電解液中におけるHRO−NS/Pt/C(RuO2:Pt=1:1(モル比)、Pt:C=30:70(質量比))およびPt/C(Pt:C=30:70(質量比))に飽和吸着させたCOの電解酸化挙動の違いにより説明することができる。
HRO−NS/Pt/CによるCOの電解酸化は約0.44V(vs.RHE)で開始されるが、Pt/Cの場合は約0.62V(vs.RHE)以上の高い電位でCOの電解酸化が開始する。COは、メタノールを燃料として用いる場合やメタノールまたは都市ガスなどの改質燃料を用いる場合に、Pt表面を被毒することが知られており、CO被毒耐性が優れていれば触媒利用率が増加していることを意味する。HRO−NS/Pt/Cの場合、吸着COを酸化させるOH種がHRO表面上にあるため、COが容易に酸化されると考えられる。
本発明は、層状ルテニウム酸化合物から分離された1nm以下の厚みの結晶構造を有するルテニウム酸ナノシートを提供する。本発明に係る前記ナノシートは、電荷貯蓄能が従来の酸化ルテニウムに比べて大きく、電気化学素子の電極材料として有用である。さらに、本発明に係る前記ナノシートは、電気化学素子にとどまらず、高分子電解質型燃料電池の電極、光触媒および色素増感湿式太陽電池などへの応用も可能である。
本発明におけるカリウム型層状ルテニウム酸の走査型電子顕微鏡写真である。 図1に示す走査型電子顕微鏡写真の拡大図である。 本発明におけるカリウム型層状ルテニウム酸の粉末X線回折(XRD)パターンである。 本発明におけるカリウム型層状ルテニウム酸の電子線回折図形である。 本発明におけるカリウム型層状ルテニウム酸の透過型電子顕微鏡写真である。 本発明におけるセシウム型層状ルテニウム酸の粉末X線回折(XRD)パターンである。 本発明におけるプロトン型層状ルテニウム酸水和物の走査型電子顕微鏡写真である。 図7に示す走査型電子顕微鏡写真の拡大図である。 本発明におけるプロトン型層状ルテニウム酸水和物の粉末X線回折(XRD)パターンである。 本発明におけるプロトン型層状ルテニウム酸水和物の電子線回折図形である。 本発明におけるプロトン型層状ルテニウム酸水和物の透過型電子顕微鏡写真である。 本発明におけるセチルトリメチルアンモンニウム−層状ルテニウム酸層間化合物の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明におけるエチルアンモンニウム−層状ルテニウム酸層間化合物の粉末X線回折図形である。 本発明におけるテトラブチルアンモンニウム−層状ルテニウム酸層間化合物の粉末X線回折図形である。 本発明におけるセチルトリメチルアンモンニウム−層状ルテニウム酸層間化合物の粉末X線回折図形である。 本発明に係るルテニウム酸ナノシートの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明に係るルテニウム酸ナノシートを再積層して得た配向薄膜の粉末X線回折図形である。 本発明におけるHRO/GC電極の500mV/s走査時のサイクリックボルタモグラムである。 本発明におけるHRO/GC電極の200mV/s走査時のサイクリックボルタモグラムである。 本発明におけるHRO/GC電極の50mV/s走査時のサイクリックボルタモグラムである。 本発明におけるHRO/GC電極の20mV/s走査時のサイクリックボルタモグラムである。 本発明におけるHRO/GC電極の5mV/s走査時のサイクリックボルタモグラムである。 本発明におけるHRO/GC電極の2mV/s走査時のサイクリックボルタモグラムである。 本発明に係るナノシート修飾電極の50mV/s走査時のサイクリックボルタモグラムである。

Claims (8)

  1. 1nm以下の厚みを有し、式(1):[RuO 2+0.5x x- (0<x<1)で表されるルテニウム酸ナノシートと、
    (R) m NH 4-m または(R) m-p (R’) p NH 4-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムと、
    が積層して構成され、
    X線回折図形において(00L)の各面(ただし0≦θ(CuKα)≦90°の範囲においてL=1〜nであり、nは基本面間隔によって決まり5≦n≦35を満たす。)に回折ピークを有する層状ルテニウム酸化合物
  2. 請求項1記載の層状ルテニウム酸化合物と溶媒とを含むコロイド状ルテニウム酸化合物。
  3. (a)酸化ルテニウムとアルカリ金属化合物とを混合し、得られた混合物を焼成または溶融することによって、
    1nm以下の厚みを有し、式(1):[RuO 2+0.5x x- (0<x<1)で表されるルテニウム酸ナノシートを含み、X線回折図形において(00L)の各面(ただし0≦θ(CuKα)≦90°の範囲においてL=1〜nであり、nは基本面間隔によって決まり5≦n≦35を満たす。)に回折ピークを有するアルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を得る工程、
    (b)前記アルカリ金属型層状ルテニウム酸化合物を酸性溶液中で処理し、
    アルカリ金属の少なくとも一部をプロトンで交換してプロトン型層状ルテニウム酸水和物を得る工程、
    (c)前記プロトン型層状ルテニウム酸水和物に、(R) m NH 4−m もしくは(R) m−p (R’) p NH 4-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH 3 の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムまたは、(R) m NH 3-m もしくは(R) m-p (R’) p NH 3-m (式中、RおよびR’はCH 3 (CH 2 ) q 、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させて
    前記ルテニウム酸ナノシートと前記アルキルアンモニウムとが積層して構成されたアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を得る工程、ならびに
    (d)前記アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を溶媒と混合し、前記ルテニウム酸ナノシートを含むコロイドを得る工程を含むルテニウム酸ナノシートの製造方法。
  4. 前記工程(a)が、酸化ルテニウムとアルカリ金属塩とを混合し、得られた混合物を700〜900℃で焼成する工程である請求項記載のルテニウム酸ナノシートの製造方法。
  5. 前記工程(a)が、酸化ルテニウムとアルカリ金属水酸化物とを混合し、得られた混合物を500〜700℃で溶融させる工程である請求項記載のルテニウム酸ナノシートの製造方法。
  6. 前記工程(c)が、プロトン型層状ルテニウム酸水和物に(R)mNH4-mまたは(R)m-p(R’)pNH4-m(式中、RおよびR’はCH3(CH2)q、m=0〜4、p=0〜3、q=0〜18、ただし、m=4、p=3、q=15、R=C 16 33 およびR’=CH 3 の場合を除く。)で表されるアルキルアンモニウムを反応させる工程である請求項記載のルテニウム酸ナノシートの製造方法。
  7. 前記工程(c)が、プロトン型層状ルテニウム酸水和物に(R)mNH3-mまたは(R)m-p(R’)pNH3-m(式中、RおよびR’はCH3(CH2)q、m=0〜3、p=0〜2、q=0〜18)で表されるアルキルアミンを反応させる工程である請求項記載のルテニウム酸ナノシートの製造方法。
  8. 前記工程(d)が、アルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を、水、アルコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびプロピレンカーボネートよりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒と混合してコロイドを得る工程である請求項記載のルテニウム酸ナノシートの製造方法
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