JP5189009B2 - Spmにおけるプローブアプローチ方法 - Google Patents

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    • G01Q10/06Circuits or algorithms therefor
    • G01Q10/065Feedback mechanisms, i.e. wherein the signal for driving the probe is modified by a signal coming from the probe itself

Description

本発明はSPM(走査型プローブ顕微鏡)におけるプローブアプローチ方法に関し、更に詳しくは引力領域から斥力領域までスムーズにアプローチするプローブアプローチ方法に関する
カンチレバ等の力学検出プローブを用いて表面形状走査を行なう走査型プローブ顕微鏡(SPM)において、プローブが試料表面に徐々に近づいていった場合、最初に感じる原子間力は引力である。これはプローブと試料間の距離が離れるほど減少し、近づくほど増大する。しかしながら、プローブと試料表面とが接触するぎりぎりの距離にまで接近すると、プローブと試料表面に働く原子間力は、物体を構成する異なる原子同士が核力等によって反発しあうことに起因する斥力に変化する。
この斥力は作用する距離が非常に短いため、カンチレバと試料表面とがよほど接近しないと感じることができない。ここで、プローブが引力を感じている領域を「引力領域」、斥力を感じている領域を「斥力領域」と呼ぶことにする。引力領域も斥力領域もSPM測定で高分解能表面形状観察が行えるほどに試料表面に接近した領域ではあるが、斥力領域は引力領域に比べて更に近接した領域である。
ここでは、SPM測定の例として、プローブとして用いるカンチレバを共振点付近で自励発振させ、PLL回路等を用いて発振周波数の周波数シフトを検出し、カンチレバが自励発振し続けられるようプローブ・試料間距離を調整するフィードバック動作(Zフィードバック)を行なうことで、試料表面形状を測定する周波数検出SPM測定(FM−SPM)のアプローチ動作について説明する。
引力領域において、自励発振しているカンチレバの発振周波数は、プローブ・試料間距離が近づくにつれてカンチレバが試料側に引きつけられる力が増すことによって低周波側にシフトする。これを「ネガティブ(Negative)シフト」と呼ぶことにする。一方、斥力領域にまで接近したカンチレバの場合、カンチレバの発振周波数は試料からの反発力によって高周波側にシフトする。このような斥力領域で検出される周波数シフトを「ポジティブ(Positive)シフト」と呼ぶことにする。
大気中・真空中で行なうFM−SPMにおいては、引力領域における周波数シフトが急峻であるため、ネガティブシフトを利用してプローブと試料間距離のフィードバックを行なうことで、原子分解能レベルの高分解能観察を行なうことが十分可能である。この場合、プローブと試料が十分に離れた状態からプローブと試料をモータドライブなどのZフィードバック以外の外部移動手段で接近させると(アプローチ動作)、カンチレバへの引力が弱い間は周波数シフトが起こらず、Zフィードバックはプローブと試料を近づけようとし続ける。
プローブが引力を感じる距離まで試料に接近すると、Zフィードバックによるプローブ・試料間距離調整が行われ、周波数シフトが設定したシフト量(Zフィードバックのセットポイント)に到達した時点でアプローチ動作を止めれば、プローブの試料へのアプローチを完了することができる。これが、従来行われている引力領域へのプローブアプローチ方法である。
従来のこの種のシステムとしては、探針を使用して試料の表面を走査し、試料表面の凹凸を原子分解能で測定を行なう原子間力顕微鏡であって、探針と試料表面の距離を近づけるための第1段階の高速アプローチと第2段階の精密アプローチを組み合わせてアプローチを行なうようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、振動カンチレバとチップを有する検出プローブを第1位置からターゲット表面上方に位置決めする非接触方法において、前記検出プローブが前記ターゲット表面と音響的に相互作用する領域を含む、前記ターゲット表面上方の第2位置へ前記検出プローブを下げ、前記検出プローブが前記ターゲット表面と原子的に相互作用する領域を含む、前記ターゲット表面上方の第3の最終位置へ、前記検出プローブをさらに下げるステップからなる非接触位置決め方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
特開2007−33321号公報(段落0021〜0031、図1〜図3) 特開平6−74754号公報(段落0015〜0019、図1、図2)
ここで、プローブと試料を溶液中に浸した状態でSPM測定を行なう、液中周波数検出SPM(Liq.FM-SPM)について考える。Liq.FM-SPMにおいては、プローブが比較的遠方(試料表面から約0.2mm離れた位置)から試料表面へ接近した場合の周波数シフトは、図7に示すようなものとなる。図7は液中でプローブを試料に近づけた時のカンチレバの周波数シフトを示す図である。
横軸は距離(Distance)、縦軸は周波数シフト(Frequency shift)を示す。次元は横軸がμm、縦軸がHzである。ここで、距離が0という状態は、試料がプローブともっとも離れている状態を示し、50μm、100μmとだんだん試料が上昇してプローブに近づいている状態を示している。図7において、距離が0μm〜180μm付近までが引力領域であるが、液中に浸かったカンチレバは溶液が振動緩衝材となるため、大気中又は真空中に比べてQ値が著しく低下する。
そのため、引力領域での周波数シフトはマイナス方向への約3[kHz]にも及ぶなだらかな変化を示す。ところが、距離が180[μm]を超えた付近で斥力領域に突入すると、周波数シフトは急激にプラス方向へのシフトをみせる。これは引力が長距離で比較的弱い相互作用であるのに対し、斥力は短距離で非常に強い相互作用があることに起因する。
また、斥力領域では、プローブと試料間の距離が極々近傍(数nm以下)にまで接近するため、溶液の緩衝材としての働きが弱まることも原因と思われる。このように、Liq.FM-SPMにおいては、ネガティブシフトが非常に穏やかであるため、引力領域において、十分な空間分解能を得ることができないため、高分解能観察を行なうためには液中においても周波数シフトが急峻なポジティブシフトを利用したZフィードバックが必要となる。その際の最大の問題点は、引力領域と斥力領域とでは周波数シフトの方向が真逆になるという点である。
ネガティブシフトを利用するFM−SPMにおいては、前述のように引力領域においてZフィードバック動作を行なうため、「カンチレバ発振周波数のネガティブシフトが生じたらプローブ・試料間距離が接近してきているため、プローブ・試料間距離を離すように調整し、ポジティブシフトが生じたらプローブ・試料間距離が離れたため、プローブ・試料間を近づけるように調整する」という動作(以下ネガティブフィードバックと呼称する)が行われる。
一方、ポジティブシフトを利用するFM−SPMでは、斥力領域での作用力の向きが引力領域とは逆転するため、「カンチレバ発振周波数のポジティブシフトが生じたらプローブ・試料間距離が接近してきているため、プローブ・試料間距離を離すように調整し、ネガティブシフトが生じたらプローブ・試料間距離が離れたため、プローブ・試料間を近づけるように調整する」という動作(以下ポジティブフィードバックと呼称する)を行なう必要がある。
図7のような周波数シフトを示す領域内でネガティブフィードバック動作中にアプローチ動作を行なっても、広帯域に渡る緩やかなネガティブシフトによって従来のアプローチ動作では途中でアプローチが完了してしまうことになり、斥力領域までプローブを突入させることは難しい。
一方、図7に示すような周波数シフトを示す領域内でポジティブフィードバック動作中にアプローチ動作を行なうと、プローブが引力領域に存在している間はネガティブシフトしか生じないため、アプローチ動作によって実際にはプローブ・試料間距離が接近し続けているにも関わらず、Zフィードバックにとってはこの距離が離れ続けていると検出されることになる。
その結果、Zフィードバックはプローブ・試料間距離を近づけようとし続けるが、斥力領域に到達した瞬間にポジティブフィードバック条件に突入して距離を離そうとするため、急激な変化にスキャナが追従できなかったり、フィードバックのセットポイントによっては過大にプローブが試料へ接近しすぎるという状態が発生する。そのような場合、プローブの試料表面へのハードコンタクトという事態を招き、プローブ先端半径の悪化による分解能の低下を招くだけでなく、場合によってはプローブ、試料の損傷、破壊を招く結果となってしまう。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、ポジティブフィードバック動作中に、Zフィードバック動作の結果が逆転してしまう引力領域内を通過して、安全かつ確実に斥力領域までプローブを到達させるアプローチ動作を実現することができる走査型プローブ顕微鏡におけるプローブアプローチ方法を提供することを目的としている。
(1)請求項1記載の発明は、走査型プローブ顕微鏡の試料とプローブを接近させるアプローチ動作において、FM復調器に内蔵されるPLL回路が検出しているカンチレバの自励発信周波数Ref0に対して、コンピュータがRef+、Ref-の2つの周波数を所定の式により計算し、設定するステップ1と、Zフィードバックをポジティブ・フィードバックとして、コンピュータがRef+をフィードバックセットポイントに設定するステップ2と、アプローチ動作を開始するステップ3と、コンピュータが周波数信号Ref0がRef-に近づくことを監視するステップ4と、Ref0がRef-に一致した場合、コンピュータがアプローチ動作を停止し、前記ステップ1で用いたRef+及びRef-を再計算して設定し、前記ステップ2に戻る動作を行なうステップ5と、ステップ5でRef0がRef-に一致しない場合、Ref0とRef+が一致したかどうかチェックするステップ6と、ステップ6でRef0がRef+と一致した場合、コンピュータはアプローチを終了し、Ref0がRef+に一致しない場合、前記ステップ4に戻るステップ7と、で構成されることを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、前記ステップ6において、コンピュータがポジティブフィードバックが開始されたことを検知したら、アプローチを終了し、ポジティブフィードバックが開始されない場合には、ステップ4に戻ることを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、走査型プローブ顕微鏡の試料とプローブを接近させるアプローチ動作において、FM復調器に内蔵されるPLL回路が検出しているカンチレバの自励発信周波数Ref0に対して、コンピュータがRef+、Ref-の2つの周波数を所定の式により計算し、設定するステップ1と、Zフィードバックをポジティブ・フィードバックとして、コンピュータがRef+をフィードバックセットポイントに設定するステップ2と、アプローチ動作を開始するステップ3と、コンピュータが周波数信号Ref0がRef-に近づくことを監視するステップ4と、Ref0がRef-に一致した場合、コンピュータがアプローチ動作を停止し、前記ステップ1で用いたRef+及びRef-を再計算するステップ5と、ステップ5でRef0がRef-に一致しない場合、Ref0とRef+が一致したかどうかチェックするステップ6と、ステップ6でRef0がRef+と一致した場合、コンピュータはアプローチを終了し、Ref0がRef+に一致しない場合、前記ステップ4に戻るステップ7と、前記ステップ5の後、コンピュータがPLL回路の再調整が必要かどうか判断するステップ8と、該ステップ8において、再調整が必要な場合、PLL回路を再調整して、ステップ1に戻るステップ9と、前記ステップ8において、再調整が必要ない場合、ステップ2に戻るステップ10と、で構成されることを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、前記ステップ6において、コンピュータがポジティブフィードバックが開始されたことを検知したら、アプローチを終了し、ポジティブフィードバックが開始されない場合には、ステップ4に戻ることを特徴とする。
(1)請求項1記載の発明によれば、Zフィードバックをポジティブ・フィードバックとして、コンピュータがRef+をフィードバックセットポイントに設定するステップ2と、アプローチ動作を開始するステップ3と、コンピュータが周波数信号Ref0がRef-に近づくことを監視するステップ4と、Ref0がRef-に一致した場合、コンピュータがアプローチ動作を停止し、前記ステップ1で用いたRef+及びRef-を再計算して設定し、前記ステップ2に戻る動作を繰り返しながら、Ref0がRef+と一致した時点でアプローチを停止するようにしているので、安全かつ確実に斥力領域までプローブを到達させるアプローチ動作を実現することができる走査型プローブ顕微鏡におけるプローブアプローチ方法を提供することができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、一連の繰り返し動作を行なっている間に、ポジティブフィードバックが検出されたら、アプローチを終了することにより、安全かつ確実に斥力領域までプローブを到達させることができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、請求項1に示す発明を実施している時に、Ref-がPLL回路の周波数帯域外になってしまう状態を回避することができる。
(4)請求項2記載の発明によれば、一連の繰り返し動作を行なっている間に、ポジティブフィードバックが検出されたら、アプローチを終了することにより、安全かつ確実に斥力領域までプローブを到達させることができる。
本発明を実施するシステム構成例を示す図である。 Ref-、Ref+及びRef0の関係を示す図である。 アプローチ完了直前のRef-とRef+の関係を示す図である。 本発明の動作の一例を示すフローチャートである。 Ref-とPLL周波数検出帯域の関係を示す図である。 本発明の他の動作の一例を示すフローチャートである。 液中でプローブを試料に近づけたときのカンチレバの周波数シフトを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本発明方法を実施するシステム構成例を示す図である。図において、1は探針(プローブ)、2はその先端に該探針1が取り付けられたカンチレバ、3は該カンチレバ2を励振させるPZTである。4は試料、10は該試料4が載置される試料ステージ、5は試料4をX,Y2次元方向にスキャンさせるスキャナ、11は試料4をZ軸方向に移動させるモータである。ここで、試料ステージ10はX,YステージとZステージを含むものとする。11はモータであり、後述するパソコン17からの制御信号により、試料ステージ10をZ軸方向に上下動させる。
6はカンチレバ2に光を照射するレーザダイオード(LD)、7はカンチレバ2からの反射光を受光して電気信号に変換する光ディテクタ(PD)、8は該光ディテクタ7の出力を増幅するプリアンプである。12は該プリアンプ8の出力を受けてPZT3を加振するための信号を作成するFMデモジュレータ(D−PLL)、13はFMデモジュレータ12の出力を受けて、振幅レベルを調整するアッテネータである。該アッテネータ13の出力がPZT3を加振するようになっている。
15は基準電圧を発生する基準電圧発生回路、14はFM復調器12の出力と基準電圧発生回路15の出力を受けてその差信号を出力する誤差アンプである。16は該誤差アンプ14の出力を受けるフィードバック回路、18は該フィードバック回路16の出力を受けてスキャナ5のZ軸方向の移動量を制御するHV−アンプである。
21はX,Yスキャン信号を発生するスキャンジェネレータ、19は該スキャンジェネレータ21の出力を受けてスキャナ5をX,Y2次元方向にスキャンさせるためのHV−アンプである。17はFM復調器12の出力を受けて、フィードバック回路16に制御信号を与えるパーソナルコンピュータ(以下、パソコン(PC)と略す)である。20はパソコン17と接続され、各種設定値及び各種のコマンドを入力する操作部である。該操作部20としては、例えばキーボードやマウス等の座標入力装置が用いられる。FM復調器(D−PLL回路)12の出力は、パソコン17とアッテネータ13に入っている。このように構成されたシステムの動作を制御すれば、以下の通りである。
カンチレバ2の先端にレーザダイオード6からのレーザ光のスポットが合うように調整し、カンチレバ2の先端から反射したレーザ光が光ディテクタ7の受光面で受光できるように調整する。次に、最適な振幅・加振周波数が検出できるようにカンチレバ2の加振自動調整を行ない、光ディテクタ7の出力をプリアンプ8で増幅した後、FM復調器12でFMの復調を行なう。
このFM復調器12の出力でアッテネータ13を駆動し、PZT3を加振する。PZT3は所定の周波数の振幅で加振されることになる。FM復調器12では、検出される電圧値が最大になるように位相の調整を行なう。
次に、FM復調器12の出力が基準電圧発生回路15の基準値と同じ値になるまで、モータ11を使用して試料ステージ10をカンチレバ2に近づける(アプローチ)。このアプローチが完了した状態で、スキャナ5にHV−アンプ19から走査電圧を印加し、誤差アンプ14からの出力が0になるようにフィードバック回路16を動作させ、測定を行なう。具体的には、フィードバック回路16の出力をパソコン17に与え、該パソコン17の出力でモータ11を駆動し、試料4のZ軸方向の位置の調整を行なう。
ここで、モータ11によるZ移動と、HV−アンプ18と関係について説明する。モータ11はあくまでも試料ステージ10を移動させるものであり、HV−アンプ18は測定中における試料表面の位置を上下動させるものである。このような一連の動作において、フィードバック回路16の出力をトポグラフィー像として観測するものである。
(実施例1)
Liq.FM-SPMにおいて、図7のグラフの横軸距離0[μm]の地点からアプローチ動作を行なうと仮定して説明する。
1)図2に示すように、アプローチ動作に際してPLL回路12が検出しているカンチレバ2の自励発振周波数Ref0に対して、Ref+,Ref-の2つの周波数を以下の式によって計算し、設定する。ここで、dfは任意の周波数シフト量である。ここで、dfとRef0は操作部20からパソコン17に入力される。パソコン17は、以下の式に従ってRef+とRef-を計算する。
Ref+=Ref0+df [Hz] (1)
Ref-=Ref0−df [Hz] (2)
2)パソコン17は、Zフィードバックをポジティブフィードバックとして、Ref+をフィードバックセットポイントに設定する。ここで、基準電圧発生回路15に、パソコン17から計算したRef+が入力される。
3)アプローチ動作の開始
ポジティブフィードバックにより、スキャナ5はプローブ1と試料4を接近させようとし続ける。
4)アプローチ動作中は、パソコン17は常にD−PLL回路12からの出力をモニタする。アプローチ動作により、プローブ・試料間距離が近づいていくが、プローブ1は引力領域に存在するため、周波数シフトはネガティブシフトとなり、Ref-に近づいていく。
5)パソコン17はRef0がRef-に達するまでプローブ動作を継続する。
6)Ref0がRef-に達した場合、パソコン17は一旦アプローチ動作を停止する。この時、Ref0=Ref-になっている。
7)パソコン17は、(1)式、(2)式を用いてRef+及びRef-を再計算・再設定し、2)からの手順を繰り返す。
8)最終的にはシステムは、図3に示すような状態になる。図3はアプローチ完了直前のRef-とRef+の関係を示す図である。2)からの手順を繰り返して、図3に示す状態となるのである。
9)図3の状態でアプローチ動作を継続すると、距離が180[μm]を超えた時点でポジティブシフトが生じ、それまでプローブと試料間距離を近づけようとする一方であったポジティブフィードバックが、一転してプローブと試料間距離を離そうとし始める。
10)9)の状態を検出するか、周波数信号Ref0がRef+に達した時点で、アプローチ動作を停止する。
このように、プローブ1と試料4の相互作用の向きとZフィードバック動作方向の関係が逆転する2つの領域(引力領域・斥力領域)に対して、2つのフィードバックセットポイント(Ref+とRef-)を設定してやり、現在のフィードバック信号値(Ref0)のアプローチ動作による変化に伴ってRef+とRef-を徐々に変化させていくことによって、排斥領域への安全なプローブアプローチを実現することができる。図4はこの手順をフローチャートで示したものである。以下、このフローチャートに沿って、実施例1の動作を説明する。
先ず、操作部20から周波数シフト量dfをパソコン17に入力する。パソコンはこの周波数シフト量dfを受けて(1)式、(2)式に従って、Ref+,Ref-を計算する(S1)。パソコン17は、Zフィードバックをポジティブフィードバックとして、Ref+をフィードバックセットポイントに設定する(S2)。これにより、図1に示すシステムはアプローチ動作を開始し、ポジティブフィードバックにより、スキャナ5はプローブ1と試料4とを接近させようとし続ける(S3)。
パソコン17は、アプローチ動作中は常にPLL回路12から自励発振周波数Ref0をモニタする(S4)。アプローチ動作中は、プローブ1と試料4間距離が近づいていくが、プローブ1は引力領域に存在するため、周波数シフトはネガティブシフトとなり、Ref-に近づいていく。システムは、Ref0がRef-に達するまでアプローチ動作を継続する。パソコン17は、Ref0がRef-と等しくなったからどうかチェックする(S5)。Ref0がRef-に達した場合、パソコン17は一旦アプローチ動作を停止する(S6)。次に、パソコン17はRef+とRef-を再計算する(S7)。
この後、ステップS2に戻りRef+をフィードバックセットポイントに設定する。以下、必要な回数だけ、ステップS2〜S7までの工程を繰り返すことになる。必要な回数だけステップS2〜S7までの工程を繰り返したら、Ref0とRef-が一致しなくなる。この場合には、パソコン17はRef0がRef+に一致したかどうかをチェックする(S8)。一致しなかった場合には、ステップS4に戻り、Ref0をモニタする工程に戻る。Ref0とRef+が一致した時には、アプローチを終了する(S9)。
この実施例によれば、Zフィードバックをポジティブ・フィードバックとして、コンピュータがRef+をフィードバックセットポイントに設定するステップ2と、アプローチ動作を開始するステップ3と、コンピュータが周波数信号Ref0がRef-に近づくことを監視するステップ4と、Ref0がRef-に一致した場合、コンピュータがアプローチ動作を停止し、前記ステップ1で用いたRef+及びRef-を再計算して設定し、前記ステップ2に戻る動作を繰り返しながら、Ref0がRef+と一致した時点でアプローチを停止するようにしているので、安全かつ確実に斥力領域までプローブを到達させるアプローチ動作を実現することができる走査型プローブ顕微鏡におけるプローブアプローチ方法を提供することができる。
なお、ステップS8において、ポジティブフィードバックが開始されたことを検出してアプローチを終了するようにしてもよい。ピエゾが伸びきった後、縮み始めることをもってポジティブフィードバックが開始されたと判断するのである。このようにすれば、一連の繰り返し動作を行なっている間に、ポジティブフィードバックが検出されたら、アプローチを終了することにより、安全かつ確実に斥力領域までプローブを到達させることができる。
(実施例2)
前述した実施例1において、実際にはPLL回路12の周波数検出帯域は、引力領域全体における総周波数シフト量よりも狭くなっているのが通常である。これは、FM−SPM測定において、高分解能観察を行なうためには、周波数シフト検出感度を高くしておかなければならないためである。そのため、実施例1の1)〜7)を繰り返している間に、Ref-がPLL回路12の周波数帯域外になってしまう状態が発生する。このような状態を回避するために、実施例1に対して以下の手順を追加する。
7−1)再計算されたRef-が、PLL回路12の周波数帯域外に出てしまうかを判定する。
7−2)帯域外へ出てしまう場合は、Ref0を中心にPLL回路12を再調整する。図5はRef-とPLL周波数検出帯域の関係を示す図である。(a)に示すように、初期状態からアプローチを繰り返していくと、(a)に示すようにRef-がPLL回路12の周波数検出帯域をはみ出してしまう。周波数検出帯域をはみ出してしまうと、正確なアプローチができなくなる。
7−3)そこで、PLL回路12の周波数検出帯域を再調整して、(b)に示すようにRef-がPLL回路12の周波数検出帯域をはみ出さないようにするのである。このように構成すれば、常に正確なアプローチができるようになり、Ref-がPLL回路の周波数帯域外になってしまう状態を回避することができる。
図6は検出回路再調整手順を追加したフローチャートである。ステップS7において、Ref+とRef-を再調整した後、パソコン17はPLL回路12の再調整が必要かどうかをチェックする(S10)。再調整が必要でない場合は、ステップS2に戻り、図4に示す動作を行なう。再調整が必要な場合は、パソコン17はPLL回路12を再調整し(S11)、ステップS1に戻って最初からやり直す。
実施例2によれば、実施例1に示す発明を実施している時に、Ref-がPLL回路の周波数帯域外になってしまう状態を回避することができる。
なお、ステップS8において、ポジティブフィードバックが開始されたら、アプローチを終了することは実施例1と同じである。
上述の実施例においては、Liq.FM-SPMの場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。真空中又は大気中においても、同様に本願発明を実施することができる。
以上説明したように、本発明によれば、通常であれば困難な斥力領域へのプローブのアプローチを、自動的に完了させることができる。また、斥力領域へのアプローチを可能とすることにより、より表面形状に敏感なSPM測定が可能となる。更に、特にLiq.FM-SPMによる原子分解能クラスの表面形状測定を可能とすることができる。
1 探針(プローブ)
2 カンチレバ
3 PZT
4 試料
5 スキャナ
6 レーザダイオード
7 光検出器
8 プリアンプ
10 試料ステージ
11 モータ
12 FM復調器(D−PLL)
13 アッテネータ
14 誤差アンプ
15 基準電圧発生回路
16 フィードバック回路
17 パソコン
20 操作部
21 スキャンジェネレータ

Claims (4)

  1. 走査型プローブ顕微鏡の試料とプローブを接近させるアプローチ動作において、
    FM復調器に内蔵されるPLL回路が検出しているカンチレバの自励発信周波数Ref0に対して、コンピュータがRef+、Ref-の2つの周波数を所定の式により計算し、設定するステップ1と、
    Zフィードバックをポジティブ・フィードバックとして、コンピュータがRef+をフィードバックセットポイントに設定するステップ2と、
    アプローチ動作を開始するステップ3と、
    コンピュータが周波数信号Ref0がRef-に近づくことを監視するステップ4と、
    Ref0がRef-に一致した場合、コンピュータがアプローチ動作を停止し、前記ステップ1で用いたRef+及びRef-を再計算して設定し、前記ステップ2に戻る動作を行なうステップ5と、
    ステップ5でRef0がRef-に一致しない場合、Ref0とRef+が一致したかどうかチェックするステップ6と、
    ステップ6でRef0がRef+と一致した場合、コンピュータはアプローチを終了し、Ref0がRef+に一致しない場合、前記ステップ4に戻るステップ7と、
    で構成されることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡におけるプローブアプローチ方法。
  2. 前記ステップ6において、コンピュータがポジティブフィードバックが開始されたことを検知したら、アプローチを終了し、ポジティブフィードバックが開始されない場合には、ステップ4に戻ることを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡におけるプローブアプローチ方法。
  3. 走査型プローブ顕微鏡の試料とプローブを接近させるアプローチ動作において、
    FM復調器に内蔵されるPLL回路が検出しているカンチレバの自励発信周波数Ref0に対して、コンピュータがRef+、Ref-の2つの周波数を所定の式により計算し、設定するステップ1と、
    Zフィードバックをポジティブ・フィードバックとして、コンピュータがRef+をフィードバックセットポイントに設定するステップ2と、
    アプローチ動作を開始するステップ3と、
    コンピュータが周波数信号Ref0がRef-に近づくことを監視するステップ4と、
    Ref0がRef-に一致した場合、コンピュータがアプローチ動作を停止し、前記ステップ1で用いたRef+及びRef-を再計算するステップ5と、
    ステップ5でRef0がRef-に一致しない場合、Ref0とRef+が一致したかどうかチェックするステップ6と、
    ステップ6でRef0がRef+と一致した場合、コンピュータはアプローチを終了し、Ref0がRef+に一致しない場合、前記ステップ4に戻るステップ7と、
    前記ステップ5の後、コンピュータがPLL回路の再調整が必要かどうか判断するステップ8と、
    該ステップ8において、再調整が必要な場合、PLL回路を再調整して、ステップ1に戻るステップ9と、
    前記ステップ8において、再調整が必要ない場合、ステップ2に戻るステップ10と、
    で構成されることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡におけるプローブアプローチ方法。
  4. 前記ステップ6において、コンピュータがポジティブフィードバックが開始されたことを検知したら、アプローチを終了し、ポジティブフィードバックが開始されない場合には、ステップ4に戻ることを特徴とする請求項3記載の走査型プローブ顕微鏡におけるプローブアプローチ方法。
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