JP2009030979A - カンチレバのq値制御方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明はカンチレバのQ値制御方法及び装置に関し、手動調整をなくし、より簡便に目標Q値に到達することができるカンチレバのQ値制御方法及び装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 カンチレバ3を振動素子4で振動させ、AFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMのカンチレバのQ値制御装置において、カンチレバ3を振動させるためのドライブ回路9にカンチレバ3の共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込み、本来のカンチレバ3のQ値をQorg、本来のカンチレバの振動振幅をVrms_org、現在のQ値をQeff、現在のカンチレバ振動振幅をVrms_eff、比例定数をkとして、
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
なる関係式を用いて目標Q値に到達できるように制御する手段を設けて構成される。
【選択図】図2
【解決手段】 カンチレバ3を振動素子4で振動させ、AFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMのカンチレバのQ値制御装置において、カンチレバ3を振動させるためのドライブ回路9にカンチレバ3の共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込み、本来のカンチレバ3のQ値をQorg、本来のカンチレバの振動振幅をVrms_org、現在のQ値をQeff、現在のカンチレバ振動振幅をVrms_eff、比例定数をkとして、
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
なる関係式を用いて目標Q値に到達できるように制御する手段を設けて構成される。
【選択図】図2
Description
本発明はカンチレバをピエゾ素子等を用いて振動させて、AFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMにおけるカンチレバのQ値制御方法及び装置に関する。ここで、AFMは原子間力顕微鏡のことである。
カンチレバのQ値とは発振のしやすさを示す指標であり、カンチレバの素材、形状によって一義的に決まるものである。図4はカンチレバの制御系を示す図である。図において、1はカンチレバ3の背面に光を照射するレーザダイオード(LD)、3はカンチレバ、4は該カンチレバ3を振動させるピエゾ素子である。2はカンチレバ3からの反射光を受けて電気信号に変換するフォトディテクタ(PD)である。
6は前記フォトディテクタ2の出力を受けてRMS値に変換するRMSアンプ、7は該RMSアンプ6の出力を受けるフィードバック回路、8は該フィードバック回路7の出力を受けて位相を0°から360°まで変化させる位相シフタである。5は基準信号を発生する基準信号発生器、5aは該基準信号発生器5の出力と位相シフタ8の出力を加算する加算器、9は該加算器5aの出力に基づいてピエゾ素子4を駆動するドライブ回路である。このように構成された回路の動作を説明すれば、以下の通りである。
カンチレバ3を振動させるための振動信号回路にカンチレバ3の共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込むことで、電気的にカンチレバ3のQ値を増減させることが可能である。通常のダイナミックフォースAFMで用いられるカンチレバ振動回路では、光てこ検出のためのレーザダイオード1から照射されたレーザ光は、カンチレバ3の背面にて反射され、フォトディテクタ2に入射する。
この時、カンチレバ基部に取り付けられたピエゾ素子4は、基準信号発生器5からの振幅Vo、周波数foの信号で微小振動されているため、カンチレバ先端は、ピエゾ素子4によって振動励起されており、フォトディテクタ2への入射位置は、周波数fで上下に変化する。そのため、フォトディテクタ2からRMSアンプ6に入力される信号は、振幅V(t)で変化する交流信号となり、RMSアンプ6は、この交流信号の振幅値をRMS値(実効値)変換し、Vrmsとして出力する。
一方、Q値制御回路は、フィードバックアンプ7、位相シフタ8及びドライブアンプ9により構成されており、RMSアンプ6からの出力信号を、カンチレバ加振系に正帰還させている。RMSアンプ6からの信号は、フィードバックアンプ7で増幅され、位相シフタ8で位相調整された後に、基準信号発生器5からの加振源信号と加算器5aで加算され、最終的にドライブアンプ9で増幅されてカンチレバ3を振動させるピエゾ素子4に入力され、正帰還ループが形成される。
この時、位相シフタ8を全域(0°〜360°)で変化させた場合、RMSアンプ6から出力される振動振幅Vrmsは、図5で示すように変化する。図5はRMSアンプから出力される振動振幅の変化を示す図である。横軸は位相シフト量、縦軸はRMSアンプ6の出力である。図5の(1)での位相PHAmaxは正帰還信号と基準信号発生器5からの源信号との位相が完全に一致する位相であり、カンチレバ振動周波数f付近の周波数成分のみが正帰還ループによって増強されることにより、カンチレバのQ値が増大する(カンチレバ振動の周波数ピーク幅が鮮鋭になる)。
また、(2)での位相PHAminは正帰還信号と基準信号発生器5からの源信号の位相が逆位相となる位相であり、カンチレバ振動周波数f付近の周波数成分のみが正帰還ループによって減衰されることになり、他の振動モードが優位となってカンチレバのQ値が減少する(カンチレバ信号の周波数ピーク幅が鈍化する)。これが、Q値制御回路の動作原理である。(3)の特性は、(1)と(2)との中間の特性を示している。
従来のこの種の装置としては、カンチレバに取り付けられた探針を試料に接触させた状態で、カンチレバが常に共振状態となるようにカンチレバを加振させ、その共振状態におけるカンチレバの振幅を検出し、その検出された振幅に基づいてカンチレバのQ値を求めるものが知られている(例えば特許文献1参照)。また、動的駆動のSPMにおいて変化する環境条件の中でもカンチレバの共振付近でのQ値を最適にコントロールし、種々の物理量測定時の動作の安定性を向上させるようにした装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
特開2002−277378号公報(段落0011〜0021、図1、図2)
特開2004−163392号公報(段落0021〜0032、図1〜図〜図5)。
前記図4に示す装置の場合、正帰還ループ回路には、フィードバックアンプ7、位相シフタ8、ドライブアンプ9と3つの調整要素が含まれており、手動でカンチレバのQ値を調整するには、煩雑な手続きと目標Q値に到達したかどうかのトライ&チェックを繰り返す必要がある。従来技術においては、Q値制御を行なうための回路構成のみが確立されている状態であり、実際のQ値制御回路の調整は手動によるトライ&チェックを繰り返すという手法がとられていた。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、手動調整をなくし、より簡便に目標Q値に到達することができるカンチレバのQ値制御方法及び装置を提供することを目的としている。
(1)請求項1記載の発明は、カンチレバを振動素子で振動させ、AFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMのカンチレバのQ値制御方法において、カンチレバを振動させるための振動信号回路にカンチレバの共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込み、本来のカンチレバのQ値をQorg、本来のカンチレバの振動振幅をVrms_org、現在のQ値をQeff、現在のカンチレバ振動振幅をVrms_eff、比例定数をkとして、
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
なる関係式を用いて目標Q値に到達できるように前記ループ回路を制御することを特徴とするカンチレバのQ値制御方法。
(2)請求項2記載の発明は、前記ループ回路において、RMSアンプからのカンチレバ振動振幅Vrms_preが、現在のカンチレバの振動振幅Vrms_eff、本来のカンチレバのQ値Qorg、Q値の目標値Qtarget、比例定数k=1として、
Vrms_pre=(Vrms_org×Qorg)/Qtarget
になるように前記振動素子を駆動するアンプの設定を予め調整しておき、目標Q値Qtargetと本来のカンチレバのQ値Qorgを比較してQtarget>Qorgの場合には位相シフタを最大位相値PHAmaxに調整し、Qtarget<Qorgの場合には位相シフタを最小位相値PHAminに調整した上で、フィードバックアンプの設定を最小値から徐々に増加させていき、Vrms_effが再びVrms_orgになるまで増加させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカンチレバのQ値制御方法。
(3)請求項3記載の発明は、カンチレバを振動素子で振動させ、AFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMのカンチレバのQ値制御装置において、カンチレバを振動させるための振動信号回路にカンチレバの共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込み、本来のカンチレバのQ値をQorg、本来のカンチレバの振動振幅をVrms_org、現在のQ値をQeff、現在のカンチレバ振動振幅をVrms_eff、比例定数をkとして、
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
なる関係式を用いて目標Q値に到達できるように制御する手段を設けたことを特徴とするカンチレバのQ値制御装置。
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
なる関係式を用いて目標Q値に到達できるように前記ループ回路を制御することを特徴とするカンチレバのQ値制御方法。
(2)請求項2記載の発明は、前記ループ回路において、RMSアンプからのカンチレバ振動振幅Vrms_preが、現在のカンチレバの振動振幅Vrms_eff、本来のカンチレバのQ値Qorg、Q値の目標値Qtarget、比例定数k=1として、
Vrms_pre=(Vrms_org×Qorg)/Qtarget
になるように前記振動素子を駆動するアンプの設定を予め調整しておき、目標Q値Qtargetと本来のカンチレバのQ値Qorgを比較してQtarget>Qorgの場合には位相シフタを最大位相値PHAmaxに調整し、Qtarget<Qorgの場合には位相シフタを最小位相値PHAminに調整した上で、フィードバックアンプの設定を最小値から徐々に増加させていき、Vrms_effが再びVrms_orgになるまで増加させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカンチレバのQ値制御方法。
(3)請求項3記載の発明は、カンチレバを振動素子で振動させ、AFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMのカンチレバのQ値制御装置において、カンチレバを振動させるための振動信号回路にカンチレバの共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込み、本来のカンチレバのQ値をQorg、本来のカンチレバの振動振幅をVrms_org、現在のQ値をQeff、現在のカンチレバ振動振幅をVrms_eff、比例定数をkとして、
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
なる関係式を用いて目標Q値に到達できるように制御する手段を設けたことを特徴とするカンチレバのQ値制御装置。
(1)請求項1記載の発明によれば、煩雑な調整とトライ&チェックを必要とせず、自動的にカンチレバのQ値を目標値に設定することができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、短時間の調整で、カンチレバのQ値を目標値に変化させることができ、測定準備の所要時間を大幅に短縮することができ、測定に要するマシンタイムを減少させることができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、煩雑な調整とトライ&チェックを必要とせず、自動的にカンチレバのQ値を目標値に設定することができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、短時間の調整で、カンチレバのQ値を目標値に変化させることができ、測定準備の所要時間を大幅に短縮することができ、測定に要するマシンタイムを減少させることができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、煩雑な調整とトライ&チェックを必要とせず、自動的にカンチレバのQ値を目標値に設定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
カンチレバをピエゾ素子等を用いて振動させてAFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMにおいては、カンチレバの発振のしやすさ(Q値)が測定分解能に対して大きな影響を及ぼす。基本的にはカンチレバのQ値が高いほど、ダイナミックフォースAFMの分解能は向上するが、力検出方式によってはQ値が高すぎるとAFMフィードバックが安定せず、かえって不利に働く場合もある。
カンチレバをピエゾ素子等を用いて振動させてAFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMにおいては、カンチレバの発振のしやすさ(Q値)が測定分解能に対して大きな影響を及ぼす。基本的にはカンチレバのQ値が高いほど、ダイナミックフォースAFMの分解能は向上するが、力検出方式によってはQ値が高すぎるとAFMフィードバックが安定せず、かえって不利に働く場合もある。
一般的に用いられるQ値制御では、液中でのダイナミックフォースAFMにおいて、溶液の粘性によって下げられるカンチレバのQ値を増加させて分解能を向上させたり、真空中において高くなりすぎるQ値を減少させることで、安定した像観察を可能としたりする目的で行われる。
本来カンチレバのQ値とは、カンチレバの素材・形状によって一義的に決まるものであるが、カンチレバを振動させるための振動信号回路にカンチレバの共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込むことで、電気的にカンチレバのQ値を増減させることが可能である。本発明は、このQ値制御回路を、カンチレバのQ値が目標とする値になるように自動的に設定するものである。
ソフトウェアによりQ値制御調整を自動的に行おうとする場合、必要となるパラメータは以下の3個である。
10:目標Q値(Qtarget)
11:本来のカンチレバのQ値(Qorg)
12:現在のカンチレバの振動振幅(Vrms_org)
このうち、Qorg11とVrms_orgについては、ダイナミックフォースAFM測定に必要な、通常のカンチレバ振動調整の結果より得ることができ、目標Q値targetについては、調整開始前にオペレータにより入力されるものとする。また、図4の回路において、ドライブアンプ9を一定の値(例えば100%)に、また位相シフタ8をPHAmaxに設定した状態(Q値を増加させる状態)でフィードバックアンプ7のみを増加させていくと、Q値が増大していくにつれて、RMSアンプ6からのカンチレバ振動振幅Vrmsの値が増加するという変化が起きる。この時、
13:現在のQ値(Qeff)
14:現在のカンチレバ振動振幅(Vrms_eff)
と定義すると、11,12,13,14の間にはkを比例定数として
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
という関係が成立していることが確かめられた。比例定数kは通常は1と考えてよいので、
(Qeff/Qorg)=(Vrms_eff/Vrms_org) (1)
という式が成立する。図1はQIF/Qorgの特性を示す図である。縦軸が(Qeff/Qorg)、横軸が(Vrms_eff/Vrms_org)である。この関係は、位相シフタ8をPHAminに設定した状態(Q値を減少させる状態)においても成立する。
10:目標Q値(Qtarget)
11:本来のカンチレバのQ値(Qorg)
12:現在のカンチレバの振動振幅(Vrms_org)
このうち、Qorg11とVrms_orgについては、ダイナミックフォースAFM測定に必要な、通常のカンチレバ振動調整の結果より得ることができ、目標Q値targetについては、調整開始前にオペレータにより入力されるものとする。また、図4の回路において、ドライブアンプ9を一定の値(例えば100%)に、また位相シフタ8をPHAmaxに設定した状態(Q値を増加させる状態)でフィードバックアンプ7のみを増加させていくと、Q値が増大していくにつれて、RMSアンプ6からのカンチレバ振動振幅Vrmsの値が増加するという変化が起きる。この時、
13:現在のQ値(Qeff)
14:現在のカンチレバ振動振幅(Vrms_eff)
と定義すると、11,12,13,14の間にはkを比例定数として
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
という関係が成立していることが確かめられた。比例定数kは通常は1と考えてよいので、
(Qeff/Qorg)=(Vrms_eff/Vrms_org) (1)
という式が成立する。図1はQIF/Qorgの特性を示す図である。縦軸が(Qeff/Qorg)、横軸が(Vrms_eff/Vrms_org)である。この関係は、位相シフタ8をPHAminに設定した状態(Q値を減少させる状態)においても成立する。
この回路特性を利用し、Q値制御開始前にRMSアンプ6からのカンチレバ振動振幅Vrms_preが、
Vrms_pre=(Vrms_org×Qorg)/Qtarget (2)
になるようにドライブアンプ9の設定を予め調整しておき、目標Q値Qtargetと、本来のカンチレバのQ値Qorgとを比較する。そして、
Qtarget>Qorgの場合には位相シフタ8をPHAmaxに調整し、Qtarget<Qorgの場合には位相シフタ8をPHAminに調整した上で、フィードバックアンプ7の設定を最小値から徐々に増加させていき、Vrms_effが再びVrms_orgとなったところで増加をストップする。このようにすれば、(1)式から現在のQ値Qeff=目標Q値Qtargetとなり、目標Q値に到達したことを判別することができる。
Vrms_pre=(Vrms_org×Qorg)/Qtarget (2)
になるようにドライブアンプ9の設定を予め調整しておき、目標Q値Qtargetと、本来のカンチレバのQ値Qorgとを比較する。そして、
Qtarget>Qorgの場合には位相シフタ8をPHAmaxに調整し、Qtarget<Qorgの場合には位相シフタ8をPHAminに調整した上で、フィードバックアンプ7の設定を最小値から徐々に増加させていき、Vrms_effが再びVrms_orgとなったところで増加をストップする。このようにすれば、(1)式から現在のQ値Qeff=目標Q値Qtargetとなり、目標Q値に到達したことを判別することができる。
図2はQ値制御メインシーケンスを示す図である。以下のシーケンスは、図4において図示されていない制御装置が行なう。先ず、通常のダイナミックフォースAFMのカンチレバ3の振動調整を行い、本来のQ値Qorgと現在のカンチレバ3の振動振幅Vrms_orgを予め取得する(S1)。次に、オペレータからQ値の目標値Qtargetを受け取る(S2)。次に、フィードバックアンプ7を最小値、位相シフタ8を0度、ドライブアンプ9を100%に設定する(S3)。
次に、位相シフタ8を全域(0度〜360度)変化させ、図5の特性グラフを得る(S4)。この特性グラフよりVrmsの最小値PHAminと最大値PHAmaxとを得ることができる。次に、位相シフタ調整サブシーケンスを実行する(S5)。位相シフタ調整サブシーケンスについては、後述する。次に、(2)式によりカンチレバ振動振幅Vrms_preを計算する(S6)。次に、Vrms=Vrms_preになったかどうかチェックする(S7)。このステップS7シーケンスは、ドライブアンプ9をVrms=Vrms_preになるように減少させる動作により行なう(S8)。
次に、カンチレバ振動振幅VrmsがVrms=Vrms_orgになったかどうかチェックする(S9)。この工程は、フィードバックアンプ7の設定値を増加させ(S10)、位相シフタ調整サブシーケンスを実行することにより行なう(S11)。
図3は位相シフタ調整サブシーケンスを示す図である。この動作も図示されていない制御装置が行なう。先ず位相シフタ8の設定値を変化させ、図5の特性グラフを得る(S1)。この特性グラフから図5のPHAmaxおよびPHAminを計算する(S2)。そして、QtargetとQorgの大小関係を比較する(S3)。Qtarget>Qorgであった場合には、位相シフタ8を調整してPHAmaxに設定する(S4)。Qtarget>Qorgでなかった場合、つまりQtarget<Qorgの場合には、位相シフタ8を調整してPHAminに設定する(S5)。
実際には、フィードバックアンプ7の設定値を増加させると、正帰還ループ内の周波数特性によって基準信号発生器5からの源信号とRMSアンプ6からの正帰還信号との位相差が増大するため、PHAmax若しくはPHAminとなる位相シフト量は変化する。そのため、フィードバックアンプ7の設定値を増加させるにつれて、位相シフタ8の設定値も微調整を繰り返して常に位相シフト値最適化調整をし続ける必要があり、図2,図3のシーケンスにはこの微調整作業も含まれている。
更に、シーケンス処理を高速化する場合には、位相シフタ8の微調整を行なう際の図3のシーケンスにおける図5の特性グラフ測定での位相シフタ8の変化幅を、位相シフタ全域ではなく微調整前のPHAmax若しくはPHAminとなる位相シフト値±10度程度の幅で測定すればよい。
以上説明したように、本発明によれば以下のような効果が得られる。
1)煩雑な調整とトライ&チェックを必要とせず、自動的にカンチレバのQ値を目標値に設定することができる。
2)短時間の調整で、カンチレバのQ値を目標値に変化させることができ、測定準備の所要時間を大幅に短縮することができ、測定に要するマシンタイムが減少する。
3)カンチレバQ値を任意の値に設定可能とすることで、様々な環境下で最適化された状態でダイナミックフォーカスAFM測定が可能となる。
1)煩雑な調整とトライ&チェックを必要とせず、自動的にカンチレバのQ値を目標値に設定することができる。
2)短時間の調整で、カンチレバのQ値を目標値に変化させることができ、測定準備の所要時間を大幅に短縮することができ、測定に要するマシンタイムが減少する。
3)カンチレバQ値を任意の値に設定可能とすることで、様々な環境下で最適化された状態でダイナミックフォーカスAFM測定が可能となる。
1 レーザダイオード
2 フォトダイオード
3 カンチレバ
4 ピエゾ
5 基準信号発生器
5a 加算器
6 RMSアンプ
7 フィードバック回路
8 位相シフタ
9 ドライブ回路
2 フォトダイオード
3 カンチレバ
4 ピエゾ
5 基準信号発生器
5a 加算器
6 RMSアンプ
7 フィードバック回路
8 位相シフタ
9 ドライブ回路
Claims (3)
- カンチレバを振動素子で振動させ、AFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMのカンチレバのQ値制御方法において、
カンチレバを振動させるための振動信号回路にカンチレバの共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込み、
本来のカンチレバのQ値をQorg、本来のカンチレバの振動振幅をVrms_org、現在のQ値をQeff、現在のカンチレバ振動振幅をVrms_eff、比例定数をkとして、
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
なる関係式を用いて目標Q値に到達できるように前記ループ回路を制御することを特徴とするカンチレバのQ値制御方法。 - 前記ループ回路において、RMSアンプからのカンチレバ振動振幅Vrms_preが、現在のカンチレバの振動振幅Vrms_eff、本来のカンチレバのQ値Qorg、Q値の目標値Qtarget、比例定数k=1として、
Vrms_pre=(Vrms_org×Qorg)/Qtarget
になるように前記振動素子を駆動するアンプの設定を予め調整しておき、目標Q値Qtargetと本来のカンチレバのQ値Qorgを比較してQtarget>Qorgの場合には位相シフタを最大位相値PHAmaxに調整し、Qtarget<Qorgの場合には位相シフタを最小位相値PHAminに調整した上で、フィードバックアンプの設定を最小値から徐々に増加させていき、Vrms_effが再びVrms_orgになるまで増加させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカンチレバのQ値制御方法。 - カンチレバを振動素子で振動させ、AFMフィードバックを行なうダイナミックフォースAFMのカンチレバのQ値制御装置において、
カンチレバを振動させるための振動信号回路にカンチレバの共振周波数付近の周波数信号を正帰還させるループ回路を組み込み、
本来のカンチレバのQ値をQorg、本来のカンチレバの振動振幅をVrms_org、現在のQ値をQeff、現在のカンチレバ振動振幅をVrms_eff、比例定数をkとして、
(Qeff/Qorg)=k(Vrms_eff/Vrms_org)
なる関係式を用いて目標Q値に到達できるように前記ループ回路を制御する手段を設けたことを特徴とするカンチレバのQ値制御装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104950142A (zh) * | 2014-03-31 | 2015-09-30 | 日本株式会社日立高新技术科学 | 悬臂的振动特性测定方法以及悬臂的振动特性测定装置 |
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CN104950142A (zh) * | 2014-03-31 | 2015-09-30 | 日本株式会社日立高新技术科学 | 悬臂的振动特性测定方法以及悬臂的振动特性测定装置 |
CN104950142B (zh) * | 2014-03-31 | 2019-04-26 | 日本株式会社日立高新技术科学 | 悬臂的振动特性测定方法以及悬臂的振动特性测定装置 |
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