JP5187444B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

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    • H03H9/02669Edge reflection structures, i.e. resonating structures without metallic reflectors, e.g. Bleustein-Gulyaev-Shimizu [BGS], shear horizontal [SH], shear transverse [ST], Love waves devices

Description

本発明は、共振子やフィルタなどに用いられる弾性表面波装置に関し、より詳細には、IDT電極上に複数の絶縁膜が積層されている弾性表面波装置に関する。
従来、共振子や帯域フィルタなどに弾性表面波装置が広く用いられている。
例えば下記の特許文献1には、図14に示す弾性表面波共振子フィルタが開示されている。この弾性表面波共振子フィルタ1001は、XカットLiTaO基板1002を有する。XカットLiTaO基板1002上に、IDT電極1003,1004及び反射器1005,1006からなる電極構造が形成されている。この電極構造を覆うように、SiO膜1007が積層されている。
ここでは、弾性表面波の基本モードによる応答が用いられており、弾性表面波の波長をλとしたときに、SiO膜1007の膜厚Hが、5%<H/λ<15%の範囲とされている。それによって、周波数温度特性の改善及び電気機械結合係数の増大を図ることができるとされている。
特開平07−254835号公報
近年、電子機器においては、より一層の高周波化が進んでいる。弾性表面波共振子フィルタ1001において、高周波化を図るには、IDT電極1003,1004において、電極指ピッチを狭くする必要がある。しかしながら、電極指ピッチを狭くすると、IDT1003及び1004の加工が困難となり、歩留りが低下する恐れがあった。また、耐サージ電圧が低くなり、信頼性が低下するという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、高周波化を図った場合でも、歩留りを高めることができ、かつ耐サージ電圧などの信頼性が低下し難い、弾性表面波装置を提供することにある。
本発明によれば、圧電基板と、前記圧電基板上に形成されたIDT電極と、 前記圧電基板上において、前記IDT電極の上面を覆うように形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成された少なくとも一層の第2の絶縁膜とを備え、SH波の高次モードを利用しており、前記少なくとも一層の第2の絶縁膜のうち最表面に位置する絶縁膜中を伝搬する弾性表面波の音速よりも、該最表面の絶縁膜よりもIDT電極に近い側に位置している少なくとも一層の絶縁膜の弾性表面波の音速が速くされている、弾性表面波装置が提供される。
本発明に係る弾性表面波装置のある特定の局面では、前記最表面に位置する第2の絶縁膜が酸化珪素からなり、その膜厚が前記弾性表面波の波長の45%以上、85%以下であり、最表面の絶縁膜以外の絶縁膜が、窒化珪素、酸化アルミニウム及び炭化珪素からなる群から選択された一種の絶縁材料からなり、膜厚が弾性表面波の波長の5%以上、21%以下である。この場合には、歩留り及び信頼性の低下が生じ難いだけでなく、利用するSH波の高次モードによる応答をより一層大きくすることができ、かつスプリアスとなる基本モードをより一層効果的に抑制することができる。
本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、前記少なくとも一層の第2の絶縁膜が、一層の第2の絶縁膜からなり、該第2の絶縁膜が酸化珪素からなり、第1の絶縁膜が窒化珪素、酸化アルミニウム及び炭化珪素からなる群から選択された一種の絶縁材料からなる。この場合には、一層の第2の絶縁膜のみを有するため、絶縁膜積層構造の簡略化を果たすことができる。
本発明に係る弾性表面波装置の別の特定の局面では、前記圧電基板がLiNbO基板からなり、該LiNbO基板のオイラー角が、(0°,62°〜165°,0°)の範囲とされる。この場合には、高次モードの電気機械結合係数をより一層高めることができ、かつ基本モードの応答をより一層小さくすることができる。より好ましくは、LiNbO基板のオイラー角は(0°,99°〜164°,0°)の範囲とされ、その場合には、高次モードのQ値をさらに高めることができる。
本発明に係る弾性表面波装置は、SH波の高次モードを利用しているため、基本モードを利用した場合に比べ、高周波化を進めることができる。しかも、少なくとも一層の第2の絶縁膜のうち最表面に位置する絶縁膜中を伝搬する弾性表面波の音速よりも、最表面の絶縁膜よりもIDT電極に近い側の絶縁膜の弾性表面波の音速が速くされているので、利用する高次モードによる応答を十分な大きさとすることができ、かつスプリアスとなる基本モードの応答を抑圧することができる。
従って、IDT電極の電極指ピッチをさほど狭くせずに高周波化を図ることができ、しかも、該高次モードによる良好な特性を得ることができる。よって、高周波化を進めた場合であっても、歩留りの低下が生じ難く、かつ信頼性の低下も生じ難い。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の要部を示す模式的部分正面断面図及び平面図である。 図2は、本発明の実施形態の変形例に係る弾性表面波装置の要部を説明するための模式的部分正面断面図である。 図3は、比較のために用意した従来の弾性表面波装置の一般的な構造を説明するための模式的部分正面断面図である。 図4は、従来の一般的な弾性表面波共振子のインピーダンス特性及び位相特性を示す図である。 図5は、従来の一般的な弾性表面波における基本モード及び高次モードのエネルギーの変位分布を模式的に示す図である。 図6は、第1の絶縁膜としてのSiNの膜厚を、それぞれ、波長λの0%(SiN膜が形成されていない場合)、10%及び20%とした場合の弾性表面波共振子のインピーダンス特性及び位相特性を示す図である。 図7は、本発明の一実施形態の弾性表面波装置において、第2の絶縁膜としてのSiO膜の膜厚と、基本モード及び高次モードの電気機械結合係数との関係を示す図である。 図8は、SiO膜の膜厚(%)と高次モードの弾性表面波の音速との関係を示す図である。 図9は、本発明の一実施形態において、第1の絶縁膜としてのSiN膜の膜厚と、基本モード及び高次モードの電気機械結合係数との関係を示す図である。 図10は、SiN膜の膜厚と高次モードの伝搬損失との関係を示す図である。 図11は、本発明の実施形態の弾性表面波装置において、LiNbO基板のオイラー角(0°,θ,0°)のθと、基本モード及び高次モードの電気機械結合係数との関係を示す図である。 図12は、本発明の実施形態の弾性表面波装置において、LiNbO基板のオイラー角(0°,θ,0°)のθと、基本モード及び高次モードの伝搬喪失との関係を示す図である。 図13は、本発明の実施形態において、LiNbO基板のオイラー角を、それぞれ、(0°,86°,0°)、(0°,131°,0°)及び(0°,155°,0°)とした場合の弾性表面波装置のインピーダンス特性及び位相特性を示す図である。 図14は、従来の弾性表面波装置を説明するための正面断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置を示す模式的部分正面断面図及び平面図である。
弾性表面波装置1は、圧電基板2を有する。本実施形態では、圧電基板2は、LiNbO基板からなる。
圧電基板2上に、IDT電極3及び反射器4,5が設けられている。IDT電極3の弾性表面波伝搬方向両側に反射器4,5が設けられて、一ポート型の弾性表面波共振子が構成されている。
IDT電極3の電極指間を埋めるように、IDT電極3と同じ厚みの酸化珪素膜6が形成されている。同様に、反射器4,5の電極指間を埋めるように、反射器4,5と同じ膜厚となるように上記酸化珪素膜6が形成されている。
他方、IDT電極3の上面を覆うように窒化珪素膜からなる第1の絶縁膜7が形成されている。また、第1の絶縁膜7上に、酸化珪素からなる第2の絶縁膜8が形成されている。
本実施形態の弾性表面波装置1は、SH波の高次モードの応答を利用している。従って、基本モードによる応答を利用した場合に比べて、高次モードは基本モードよりも音速が速いため、高周波化を図ることができる。言い換えれば、IDT電極3の電極指ピッチをさほど狭くすることなく高周波化を図ることができる。よって、高周波化を図った場合であっても、電極加工精度をさほど高めずともよいため、歩留りを高めることができる。また、耐サージ電圧も低下し難いため、信頼性も低下し難い。
加えて、本実施形態の弾性表面波装置1では、最表面に位置している第2の絶縁膜8における弾性表面波の音速よりも、IDT電極3側に位置している第1の絶縁膜7の弾性表面波の音速が速くされている。このため、後述するように、高次モードによる応答を十分大きくすることができ、かつスプリアスとなる基本モードの応答を抑制することができる。従って、高次モードを利用した良好な共振特性を得ることができる。これを、以下においてより具体的に説明する。
図3は、従来の一般的な弾性表面波装置の要部を示す模式的部分正面断面図である。弾性表面波装置1101では、圧電基板1102上にIDT電極1103が形成されており、IDT電極1103を覆うように酸化珪素膜1104が形成されている。このような圧電基板/IDT電極/酸化珪素膜の積層構造を有する弾性表面波装置1101のインピーダンス特性及び位相特性の一例を図4に示す。
図5は,図3に示した従来の一般的な弾性表面波装置1101における基本モード及び高次モードの変位分布を示す模式図である。図5から明らかなように、基本モードでは、変位が最大となるのは、IDT電極1103が形成されている部分である。これに対して、高次モードによる変位が最も大きくなるのは、変位が−1.0付近である酸化珪素膜1104の最表面であることがわかる。
この高次モードは、レイリー波でいうところのセザワ波に相当する。ただし、本発明で取り上げている高次モードはSH波(基板と平行方向の変位を持つ横波)であり、P波(波の伝搬方向に変位を持つ縦波)とSV波(基板の深さ方向に変位を持つ横波)が結合しているセザワ波とは波のモードが異なる。
図4から明らかなように、弾性表面波装置1101では、矢印Aで示す基本モードだけでなく、矢印Bで示す高次モードによる応答が現れている。しかしながら、基本モードによる応答Aに比べ、高次モードによる応答Bが小さいため、高次モードを利用して良好な共振特性を得ることはできない。
これに対して、本実施形態の弾性表面波装置1では、高次モードによる応答を大きくでき、基本モードによる応答を抑制することが可能とされている。図6を参照してこれを説明する。
上記実施形態の弾性表面波装置1を以下の要領で作成した。圧電基板2としてカット角が−4°のY−XLiNbO基板すなわちオイラー角が(0°,86°,0°)のLiNbO基板を用い、IDT電極3及び反射器4,5をCu膜により形成した。Cu膜の膜厚は、弾性表面波の波長λの5%とした。酸化珪素膜6としてのSiO膜の厚みは、IDT電極3と同様に波長の5%とした。また、第1の絶縁膜7としてのSiN膜の膜厚は、波長λの0%と、10%または20%とし、第2の絶縁膜8としてのSiO膜の膜厚は波長λの50%とした。このようにして得た三種の弾性表面波装置のインピーダンス特性及び位相特性を図6に示す。
図6から明らかなように、SiN膜の膜厚が0%すなわち第1の絶縁膜7が存在しない場合に比べ、SiN膜の膜厚を10%及び20%と厚くしていくことにより、基本モードの応答をより小さくし得ることがわかる。特にSiN膜の膜厚を20%とした場合には、基本モードの応答の山谷比に比べ、高次モードの応答の山谷比を非常に大きくすることができ、高次モードによる応答をより一層大きくすることができ、他方、基本モードによる応答をかなり小さくすることができる。
これは、SiO膜からなる第2の絶縁膜8とIDT電極3との間にSiN膜からなる第1の絶縁膜7を介在させることにより、弾性表面波の音速が基本モードの音速よりも速い高次モードを高い強度で励振するができることによる。すなわち、最表面に位置している第2の絶縁膜8における弾性表面波の音速よりも、IDT電極3側に近い第1の絶縁膜7における弾性表面波の音速が速いため、基本モードに比べて弾性表面波の音速が速い高次モードが十分に励振され、他方、相対的に弾性表面波の音速が遅い基本モードの励振が抑制されるためと考えられる。
従って、上記実施形態のように、弾性表面波の音速が相対的に遅い第2の絶縁膜8に比べ、弾性表面波の音速が相対的に速い第1の絶縁膜7を最表面に位置する第2の絶縁膜8よりも内側に配置することにより、高次モードの応答を十分大きくすることができ、かつ基本モードの応答を抑制することができる。
なお、本発明において、IDT電極3を覆う第1の絶縁膜7とは、図1(b)に示したようにIDT電極3の上面を覆う絶縁膜をいうものとする。従って、酸化珪素膜6は、第1の絶縁膜には相当しない。
図1(b)に示す構造では、IDT電極3の電極指間を埋めるように、酸化珪素膜6が形成されていたが、図2に示す変形例のように、絶縁膜6を省略し、第1の絶縁膜7が電極指間の隙間を埋めるように形成されていてもよい。もっとも、図1(b)に示す構造によれば、酸化珪素膜6の上面とIDT電極3の上面が面一とされているため、堆積法により上面が平坦な第1の絶縁膜7を容易に形成することができる。また、図2に示す変形例では、電極指間に酸化珪素膜6を形成する工程を省略することができる。従って、生産性を高めることができる。
また、上記実施形態では、第1の絶縁膜7上に一層の第2の絶縁膜8が積層されていたが、図1(b)に仮想線としての一点鎖線Cで示すように第2の絶縁膜8が複数の絶縁膜8a,8bからなる積層構造を有していてもよい。
すなわち、第2の絶縁膜8が第2の絶縁膜8a及び第2の絶縁膜8bを積層した構造を有すると仮定すると、この場合には、最表面に位置する第2の絶縁膜8aに比べて、IDT電極3側に位置している絶縁膜すなわち第1の絶縁膜7及び第2の絶縁膜8bのうち少なくとも一層の絶縁膜の弾性表面波の音速が、最表面の第2の絶縁膜8aの弾性表面波の音速よりも速ければよい。
また、上記実施形態では、最表面の絶縁膜である第2の絶縁膜8が酸化珪素により形成されており、内側に位置している第1の絶縁膜7が窒化珪素膜により形成されていたが、絶縁膜を構成する材料の組み合わせはこれに限定されるものではない。例えば、最表面に位置する絶縁膜は、酸化珪素だけでなく、窒化珪素、酸化アルミニウムまたは炭化珪素により形成されていてもよい。
また、最表面の絶縁膜8よりも内側に位置している少なくとも一層の絶縁膜は、最表面の絶縁膜よりも弾性表面波の音速が速い限り、窒化珪素、酸化アルミニウム、炭化珪素などの適宜の絶縁性材料により形成することができる。
好ましくは、最表面の絶縁膜8が、上記実施形態のように酸化珪素からなり、IDT電極3側に位置している第1の絶縁膜7が窒化珪素、酸化アルミニウム及び炭化珪素からなる群から選択された一種の絶縁性材料からなる。この場合には、第1の絶縁膜7の音速の第2の絶縁膜8に対する音速比が1.1〜1.5倍程度と十分速くされる。そのため、高次モードを効果的に励振することができ、基本モードを抑制することができ、さらに高次モードの最表面の第2の絶縁膜8側への漏洩を抑制することができる。
また、圧電基板2としては、LiNbO基板に限らず、LiTaO基板や水晶基板を用いることもできる。
圧電基板2がLiNbO基板やLiTaO基板のように、負の周波数温度係数を有する場合、第1の,第2の絶縁膜7,8のうち少なくとも1つの絶縁膜が、正の周波数温度係数を有する酸化珪素膜からなることが好ましい。それによって、弾性表面波装置1の温度変化による周波数特性の変化を抑制することができ、従って、温度特性を改善することができる。
なお、IDT電極3及び反射器4,5を構成する電極材料については、Cuに限定されず、Au、Pt、Ta、Wなどの金属あるいはこれらの金属を主体とする合金を用いることができる。また、複数の金属膜を積層してなる積層金属膜によりIDT電極3及び反射器4,5が形成されていてもよい。好ましくは、IDT電極3は、その密度がAlよりも大きく、IDT電極3の密度が第2の絶縁膜8の1.5倍以上であることが好ましい。それによって、反射係数を十分大きくすることができる。仮に1.5倍未満であれば、反射が足りず、共振子を形成した際、反共振点付近に大きなリップルが生じてしまう。
図7は、図6に示したSiN膜の膜厚が弾性表面波の波長の20%である弾性表面波装置において、第2の絶縁膜8としてのSiO膜の膜厚を変化させた場合の基本モード及び高次モードの電気機械結合の変化を示す図である。一般に、十分大きな応答を得るには、電気機械結合係数Ksaw は7.5%以上であることが望ましい。図7から明らかなように、SiO膜の膜厚を波長λの45%以上とすれば、高次モードの電気機械結合係数Ksaw を7.5%以上とすることができる。従って、SiO膜の膜厚は波長λの45%以上とすることが望ましい。なお、SiO膜の膜厚が厚くなるにつれ、基本モードの電気機械結合係数Ksaw は小さくなっていくことがわかる。従って、SiO膜の膜厚は、波長λの45%以上であれば、大きいほど好ましいが、大きすぎると図8に示すように、音速が低下し、高周波化できなくなるおそれがある。従って、高次モードの大きな特徴である高音速性を活かすには、高次モードの弾性表面波の音速が4000m/秒以上、すなわち基本波の1.1倍以上となる条件が好ましく、よってSiO膜の膜厚がλの85%以下とすることが望ましい。よって、好ましくはSiO膜の膜厚は波長λの45%以上、85%以下とすることが望ましい。
他方、図9は、SiN膜の膜厚を、図6に示した0、10または20%だけでなく、かなり細かく変化させた場合の基本モード及び高次モードの電気機械結合係数の変化を示す図である。
図9から明らかなように、SiN膜からなる第1の絶縁膜7の厚みを波長λの5%以上とすれば、基本モードの電気機械結合係数Ksaw を7.5%以下と小さくすることができることがわかる。従って、基本モードによる応答を抑圧するには、SiN膜の膜厚は、波長λの5%以上とすることが望ましいことがわかる。
なお、SiN膜からなる第1の絶縁膜7の厚みが波長λの20%以下の範囲では、高次モードによる応答は7.5%以上とされていることがわかる。従って、SiN膜からなる第1の絶縁膜7の厚みは、波長λの0%以上かつ20%以下の範囲であれば、電気機械結合係数Ksaw を7.5%以上とすることができるので、SiN膜の膜厚は、高次モードによる応答を十分な大きさとする上では特に限定されるものではない。もっとも、図10に示すように、SiN膜の膜厚が厚くなりすぎると、漏洩成分が大きくなる。図10は、SiN膜の膜厚と高次モードの伝搬損失との関係を示す図であり、伝搬損失を0.25dB/λ以下とすることがこの種の弾性表面波装置において望ましいとされているので、SiN膜の膜厚は波長λの21%以下とすることが望ましい。よって、SiN膜の膜厚の上限は21%以下とすることが望ましい。
上記実施形態の弾性表面波装置1において、第1の絶縁膜7としてのSiN膜の膜厚を波長の10%、第2の絶縁膜8としてのSiO膜の膜厚を60%としたこと、並びにLiNbO基板のオイラー角を除いては、図6に示した実験における弾性表面波装置と同様にして、さらにLiNbO基板のオイラー角のθを変化させた場合の基本モード及び高次モードの電気機械結合係数Ksaw の変化を求めた。図11に、結果を示す。
図11から明らかなように、オイラー角(0°,θ,0°)のθが62°〜165°の範囲内であれば、高次モードの電気機械結合係数Ksaw を7.5%以上とすることができる。他方、基本モードによる応答の電気機械結合係数Ksaw は、この範囲内でおいて、4%以下と低いことがわかる。
次に、図11に示した場合と同様にして、オイラー角のθを異ならせた場合の高次モードの伝搬損失の変化を求めた。結果を図12に示す。
この種の弾性表面波装置では、伝搬損失は0.25dB/λ以下にすることが望ましいと言われている。図12から明らかなように、オイラー角のθを、99°〜164°の範囲内とすれば、伝搬損失が0.25dB/λ以下となり、伝搬損失を十分に小さくすることができ、それによって高次モードのQ値をさらに高め得ることがわかる。
図6〜図12を参照して結果を確認するために、以下の条件で一ポート型弾性表面波共振子としての上記弾性表面波装置1を作成し、インピーダンス特性及び位相特性を評価した。
圧電基板:オイラー角が(0°,86°,0°)、(0°,131°,0°)または(0°,155°,0°)の3種類のLiNbO基板を用意した。
IDT電極3:Cu膜、厚みは波長の5%
第1の絶縁膜:SiN膜、厚みは波長の10%
第2の絶縁膜:SiO酸化珪素膜、厚みは波長の60%
結果を図13に示す。
図13から明らかなように、オイラー角のθが86°、131°及び155°のいずれのLiNbO基板を用いた場合においても、本発明に従って、高次モードの応答を十分に大きくすることができ、これに対して基本モードの応答が十分に抑制されていることが確かめられた。特に、θが86°の場合に比べ、131°及び155°の場合には、高次モードによる応答をより大きくすることができ、他方基本モードによる応答をより一層小さくし、高次モードのQ値を高め得ることがわかる。
なお、上述した実施形態では、一ポート型弾性表面波共振子につき説明したが、本発明は、一ポート型弾性表面波共振子に限らず、圧電基板上に第1,第2の絶縁膜が積層されている構造を有する縦結合共振子型弾性表面波フィルタなどの様々な弾性表面波装置に適用することができる。その場合においても、高次モードを利用して高周波化を図ることができ、従って電極形成精度をさほど高めずともよいため、歩留りを高めることができる。また、耐サージ電圧などの信頼性の低下も生じ難い。加えて、上記の通り、高次モードによる応答を十分大きくすることができ、基本モードによる応答を抑制することができるので、良好なフィルタ特性などを得ることができる。
1…弾性表面波装置
2…圧電基板
3…IDT電極
4,5…反射器
6…酸化珪素膜
7,8…第1,第2の絶縁膜
8a,8b…第2の絶縁膜

Claims (5)

  1. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成されたIDT電極と、
    前記圧電基板上において、前記IDT電極の上面を覆うように形成された第1の絶縁膜と、
    前記第1の絶縁膜上に形成された少なくとも一層の第2の絶縁膜とを備え、
    SH波の高次モードを利用しており、
    前記少なくとも一層の第2の絶縁膜のうち最表面に位置する絶縁膜中を伝搬する弾性表面波の音速よりも、該最表面の絶縁膜よりもIDT電極に近い側に位置している少なくとも一層の絶縁膜の弾性表面波の音速が速くされている、弾性表面波装置。
  2. 前記最表面に位置する絶縁膜が酸化珪素からなり、その膜厚が前記弾性表面波の波長の45%以上、85%以下であり、最表面の絶縁膜以外の絶縁膜が、窒化珪素、酸化アルミニウム及び炭化珪素からなる群から選択された一種の絶縁材料からなり、膜厚が弾性表面波の波長の5%以上、21%以下である、請求項1に記載の弾性表面波装置。
  3. 前記少なくとも一層の第2の絶縁膜が、一層の第2の絶縁膜からなり、該第2の絶縁膜が酸化珪素からなり、第1の絶縁膜が窒化珪素、酸化アルミニウム及び炭化珪素からなる群から選択された一種の絶縁材料からなる、請求項1または2に記載の弾性表面波装置。
  4. 前記圧電基板がLiNbO基板からなり、該LiNbO基板のオイラー角が、(0°,62°〜165°,0°)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
  5. 前記LiNbO基板のオイラー角が(0°,99°〜164°,0°)である、請求項4に記載の弾性表面波装置。
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