JP4636178B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

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    • H03H9/02559Characteristics of substrate, e.g. cutting angles of lithium niobate or lithium-tantalate substrates

Description

本発明は、例えば共振子や帯域フィルタとして用いられる弾性表面波装置に関し、より詳細には、LiNbO基板上にIDT電極及び酸化ケイ素膜が形成されている構造を有し、かつレイリー波を利用した弾性表面波装置に関する。
携帯電話機のRF段などに用いられている帯域フィルタでは、広帯域でありかつ良好な温度特性を有することが求められている。そのため、従来、回転Y板X伝搬のLiTaO基板や回転Y板X伝搬のLiNbO基板からなる圧電性基板上に、IDT電極が形成されており、かつIDT電極を被覆するように、酸化ケイ素膜を形成した弾性表面波装置が用いられている。この種の圧電性基板は、周波数温度係数が負の値を有し、温度特性を改善するために、正の周波数温度特性を有する酸化ケイ素膜がIDT電極を被覆するように形成されている。
しかしながら、このような構造において、IDT電極を汎用されているAlまたはAlを主成分とする合金などにより形成した場合、IDT電極において、十分な反射係数を得ることができなかった。そのため、共振特性にリップルが生じがちであるという問題があった。
このような問題を解決するものとして、下記の特許文献1には、電気機械結合係数Kが0.025以上のLiNbOからなる圧電性基板上に、Alよりも密度の大きい金属を主体とするIDT電極が形成されており、該IDT電極が形成されている残りの領域に第1の酸化ケイ素膜が電極と等しい膜厚に形成されており、該電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように第2の酸化ケイ素膜を積層した弾性表面波装置が開示されている。
特許文献1に記載の弾性表面波装置では、上記IDT電極の密度が、第1の酸化ケイ素膜の密度の1.5倍以上とされており、それによってIDT電極の反射係数が十分に高められ、共振特性に現れるリップルを抑圧することができるとされている。
特許文献1では、レイリー波が利用されており、上記電極材料として、AuやCuなどが例示されており、Cuからなる電極の場合にその膜厚は0.0058λ〜0.11λとした構成が開示されており、特に、0.0058λ〜0.055λとすることにより、レイリー波の電気機械結合係数Kを大きくすることができる旨が示されている。また、上記LiNbO基板としては、オイラー角が(0°±5°,38°±10°,0°)のLiNbO基板が示されており、上記第2の酸化ケイ素膜の膜厚としては、表面波の波長λとしたとき、0.15λ〜0.4λの範囲とされている構成が示されている。
WO2005−034347
近年、弾性表面波装置においても高周波化が一層進んでいる。そのため、IDT電極における電極指ピッチが小さくなってきており、電極指自体の幅寸法も小さくなってきている。その結果、配線抵抗が大きくなり、弾性表面波装置における損失が大きくなりがちであった。
弾性表面波装置における損失を低減するには、電極の膜厚を厚くすればよい。しかしながら、レイリー波を利用した従来の弾性表面波装置では、例えば特許文献1に記載のように、CuからからなるIDT電極の膜厚は、厚くとも0.11λとされていた。これは、CuからなるIDT電極の膜厚を0.11λまで厚くすると、SH波の応答が急激に大きくなり、共振周波数と反共振周波数との間に大きなスプリアスが現れると考えられていたことによる。従って、特許文献1では、IDT電極Cuで構成した場合、その厚みは、0.0058λ〜0.11λの範囲とされており、好ましくは0.0058λ〜0.055とされていた。
従って、高周波化を進め、電極指ピッチを小さくしたり、電極指の幅寸法を小さくした場合、電極膜厚をさほど厚くすることができないため、配線抵抗が大きくなり、損失が大きくなりがちであった。
また、上記のように、第1,第2の酸化ケイ素膜を有する弾性表面波装置では、酸化ケイ素膜の形成により周波数温度特性は改善されるものの、酸化ケイ素膜の膜厚ばらつきにより特性がばらつくという問題もあった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、高周波化を図るために、電極指ピッチを小さくしたり、電極指の幅寸法を小さくした場合であっても、損失の増大が生じ難い、レイリー波を利用した弾性表面波装置を提供することにある。
本発明によれば、オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のLiNbO基板と、前記LiNbO基板上に形成されており、Cuを主体とするIDT電極を含む電極と、前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように形成されている第1の酸化ケイ素膜と、前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように形成された第2の酸化ケイ素膜とを備え、レイリー波を利用した弾性表面波装置であって、表面波の波長λとしたときに、前記電極の膜厚が0.12λ〜0.18λの範囲にあり、前記オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のθが下記の式(1)を満たす範囲とされていることを特徴とする、弾性表面波装置が提供される。
Figure 0004636178
本発明に係る弾性表面波装置では、好ましくは、第2の酸化ケイ素膜の膜厚Hは、0.15λ〜0.50λの範囲とされ、その場合には、レイリー波の電気機械結合係数Kを6%以上とすることができ、広帯域化を容易に図ることができる。
(発明の効果)
本発明に係る弾性表面波装置では、LiNbO基板上にIDT電極を含むCuを主体とする電極が形成されており、上記第1,第2の酸化ケイ素膜が形成されており、レイリー波を利用した弾性表面波装置において、電極膜厚が、上記特定の範囲内とされており、すなわち0.12λ以上と厚くされているため、電極抵抗を低くすることができ、それによって高周波化を進めた場合であっても損失の低減を図ることが可能となる。加えて、LiNbO基板のオイラー角のθが上記特定の範囲内とされているので、レイリー波の電気機械結合係数の低下が生じ難い。
よって、本発明によれば、高周波化に容易に対応することができ、低損失であり、広帯域の弾性表面波装置を提供することが可能となる。
図1(a),(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的平面図及びその要部を拡大して示す部分切欠拡大正面断面図である。 図2は、CuからなるIDT電極の厚み及びオイラー角のθが変化した場合のレイリー波の電気機械結合係数Kの変化を示す図である。 図3は、CuからなるIDT電極の厚み及びオイラー角のθが変化した場合のSH波の電気機械結合係数Kの変化を示す図である。 図4は、CuからなるIDT電極の膜厚が変化した場合のレイリー波及びSH波の音速の変化を示す図である。 図5は、IDT電極の膜厚が変化した場合のレイリー波の電気機械結合係数の変化を示す図である。 図6は、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.2λ、0.3λまたは0.4λとしたときのオイラー角のθの変化によるレイリー波の電気機械結合係数Kの変化を示す図である。 図7は、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.2λ、0.3λまたは0.4λとしたときのオイラー角のθの変化によるSH波の電気機械結合係数Kの変化を示す図である。 図8は、CuからなるIDT電極の膜厚が0.04λである場合の、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.2λ、0.3λまたは0.4λの場合の、オイラー角のθの変化によるSH波の電気機械結合係数Kの変化を示す図である。 図9は、実施形態及び第1,第2の比較例の弾性表面波装置のインピーダンス特性及び位相特性を示す図である。 図10は、実施形態の弾性表面波装置において、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.34λ、0.29λまたは0.24λとした場合のインピーダンス特性及び位相特性を示す図である。
符号の説明
1…弾性表面波装置
2…LiNbO基板
3…IDT電極
4,5…反射器
6…第1の酸化ケイ素膜
7…第2の酸化ケイ素膜
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的平面図であり、(b)はその要部を示す部分切欠拡大正面断面図である。
弾性表面波装置1は、回転Y板X伝搬のLiNbO基板2を用いて構成されている。LiNbO基板2の結晶方位は、オイラー角で(0°±5°,θ,0°±10°)とされている。
また、LiNbO基板2上には、図1(b)に示すように、IDT電極3が形成されている。図1(a)に示すように、IDT電極3の表面波伝搬方向両側には、反射器4,5が形成されている。
これらの電極が形成されている領域の残りの領域には、第1の酸化ケイ素膜6が形成されている。第1の酸化ケイ素膜6の膜厚は、IDT電極3及び反射器4,5の膜厚と等しくされている。そして、これらの電極3,4及び第1の酸化ケイ素膜6を覆うように第2の酸化ケイ素膜7が形成されている。
弾性表面波装置1では、LiNbO基板は、負の周波数温度係数を有する。これに対して、酸化ケイ素膜6,7は、正の周波数温度係数を有する。従って、周波数特性を改善することができる。
加えて、IDT電極3を含む電極の密度が、第1の酸化ケイ素膜6の密度の1.5倍以上とされている。すなわち、本実施形態では、IDT電極3は、Cuにより形成されている。従って、IDT電極3の密度は8.93g/cmであり、他方、第1の酸化ケイ素膜の密度は2.21g/cmである。
従って、前述した特許文献1に開示されているように、IDT電極3の反射係数を高めることができる。それによって、共振特性上に現れるリップルを抑圧することが可能とされている。
本実施形態の弾性表面波装置1の特徴は、さらに、上記IDT電極3の膜厚が、表面波の波長λとしたときに、0.12λ〜0.18λの範囲にあり、かつLiNbO基板2のオイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のθが下記の式(1)を満たす範囲とされていることにある。すなわち、IDT電極3の膜厚が、0.12λ以上と厚くされているので、電極抵抗を低くすることができる。よって、高周波化を進めた場合であっても損失の低減を図ることができる。また、オイラー角のθが特定の範囲内とされているので、レイリー波の電気機械結合係数の低下が生じ難い。
Figure 0004636178
これを、具体的な実験例に基づき説明する。
(第1の実験例)
オイラー角(0°,20°〜50°,0°)のLiNbO基板2において励振されるレイリー波及びスプリアスとなるSH波に関し、有限要素法により計算を行った。なお、計算モデルは、図1(b)に示すように、第2の酸化ケイ素膜の上面が平坦な構造とし、IDT電極をCuで構成し、第1,第2の酸化ケイ素膜6,7はSiO膜により構成したものとした。なお、IDT電極のデューティは0.50とし、第2の酸化ケイ素膜7を構成しているSiO膜の膜厚は0.3λの厚みとした。
IDT電極3の膜厚を、0.05λ、0.10λ、0.12λまたは0.20λとし、オイラー角のθを変化させた場合のレイリー波の電気機械結合係数Kの変化を図2に示す。また、IDT電極の膜厚を0.05λ、0.10λ、0.12λまたは0.20λとし、オイラー角のθを変化させた場合のスプリアスとなるSH波の電気機械結合係数Kの変化を図3に示す。
図2及び図3から明らかなように、CuからなるIDT電極3の膜厚が0.12λ以上になると、レイリー波の電気機械結合係数K及びSH波の電気機械結合係数Kのいずれもが、オイラー角のθに対する依存性が変化することがわかる。すなわち、レイリー波の場合には図2から明らかなように、IDT電極の膜厚が0.10λ以下の場合には、レイリー波の電気機械結合係数Kが比較的小さく、かつ膜厚が0.05λと薄くなると、オイラー角のθにより、電気機械結合係数Kが大きく変化していることがわかる。これに対して、IDT電極の膜厚が0.12λ以上の場合には、レイリー波の電気機械結合係数は6%以上と高く、しかもオイラー角のθの変化による変化が少ないことがわかる。
他方、図3から明らかなように、SH波の電気機械結合係数Kは、オイラー角のθが変化すると大きく変化している。もっとも、IDT電極3の膜厚が0.05λの場合には、θ=36°付近でスプリアスとなるSH波の電気機械結合係数Kが極小となっているのに対し、電極膜厚が0.12λ及び0.20λでは、θ=30°付近でSH波の電気機械結合係数が極小になっている。なお、IDT電極の膜厚が0.10λの場合には、オイラー角のθ=36°の場合に、SH波の電気機械結合係数は5%と非常に高かったので、図3には図示できていない。
従って、図3から明らかなように、スプリアスとなるSH波の電気機械結合係数Kが最小となるθは、CuからなるIDT電極の膜厚が0.12λ以上となると、θ=36°付近から30°付近にシフトすることがわかる。
従来、レイリー波を利用する場合、IDT電極3の膜厚が厚くなると、SH波スプリアスが大きくなると考えられていた。すなわち、上記のように、例えば電極膜厚が0.10λ、かつオイラー角のθが36°の場合、SH波の電気機械結合係数は5%と非常に高かった。
これに対して、0.12λ以上の膜厚とした場合には、θが36°付近では、図3から明らかなように、SH波の電気機械結合係数Kは、0.2〜0.4%程度であるものの、θ=30°±5°の範囲内で0.1%以下と小さく、θ=30°付近では、非常に小さく、0.05%以下となることがわかる。
このように、CuからなるIDT電極の膜厚が、0.12λ付近を境にして、SH波の電気機械結合係数K及びレイリー波の電気機械結合係数Kのθ依存性が変化するのは、図4に示すようにレイリー波の音速とSH波の音速が、IDT電極3の膜厚が0.12λで交叉するためと考えられる。すなわち、図4に示すように、IDT電極の膜厚が増加するにつれて、SH波及びレイリー波の音速は低下するが、0.12λ以上になると、レイリー波の音速がSH波の音速を上回ることになる。
従って、図2及び図3に示したように、IDT電極の膜厚が0.12λ以上になると、上記レイリー波とSH波の音速が逆転することにより、レイリー波及びSH波の電気機械結合係数Kのθに対する依存性が変化しているものと考えられる。
図5は、レイリー波の電気機械結合係数KのCuからなるIDT電極の膜厚による変化を示す図である。ここでは、IDT電極3のデューティは0.50、第2の酸化ケイ素膜7としてのSiO膜の膜厚は0.3λとした。
図5から明らかなように、CuからなるIDT電極3の膜厚が増加するにつれて、レイリー波の電気機械結合係数Kは低下する傾向のあることがわかる。しかしながら、IDT電極3の膜厚が0.18λ以下であれば、レイリー波の電気機械結合係数Kは6%以上と十分高い値を示すことがわかる。従って、電気機械結合係数Kを6%以上と十分大きな値とするには、IDT電極3の膜厚は0.18λ以下とすることが必要である。
本発明では、CuからなるIDT電極3の膜厚が、0.12λ以上とされており、それによって、IDT電極の膜厚が十分厚くされ、電極抵抗が低くされている。この場合、図2及び図3の結果から、後述するようにオイラー角のθを選択することにより、SH波によるスプリアスを十分小さくすることができ、かつレイリー波による電気機械結合係数Kを6%以上の十分大きな値とすることができる。特に、IDT電極の膜厚を上記のように0.18λ以下とすることにより、レイリー波の電気機械結合係数Kを確実に6%以上と大きくすることができる。
図6は、IDT電極のデューティを0.50、CuからなるIDT電極3の膜厚を0.12λとし、第2の酸化ケイ素膜7としてのSiO膜の膜厚を0.2λ、0.3λまたは0.4λとした場合のオイラー角のθによるレイリー波の電気機械結合係数Kの変化を示す図である。
図7は、図6と同様に、CuからなるIDT電極の膜厚を0.12λ、デューティを0.50とし、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.20λ、0.3λまたは0.4λとしたときのオイラー角のθによるSH波の電気機械結合係数Kの変化を示す図である。
図6から明らかなように、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を、0.2λ、0.3λまたは0.4λのいずれの場合であっても、オイラー角のθが変化したとしても、レイリー波の電気機械結合係数Kはさほど変化せず、6%以上の高い値を示している。他方、SH波の電気機械結合係数Kについては、図7から明らかなように、オイラー角のθが変化すると大きく変化しているが、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が、0.2λ、0.3λまたは0.4λの場合のいずれにおいても、ほぼ同様の結果となっている。
従って、図6及び図7から明らかなように、第2の酸化ケイ素膜7の膜厚が製造ばらつき等によりばらついたとしても、レイリー波及びSH波のオイラー角のθ依存性はほとんど変化しないことがわかる。よって、上記実施形態によれば、SiO膜からなる第2の酸化ケイ素膜7の厚みばらつきが生じたとしても、SH波スプリアスによる特性の影響のばらつきが生じ難い、特性の安定な弾性表面波装置1を提供し得ることがわかる。
なお、図8は、IDT電極3の膜厚を0.04λとした場合のSH波の電気機械結合係数Kのオイラー角のθ及び第2の酸化ケイ素膜7の膜厚による変化を示す図である。図8から明らかなように、CuからなるIDT電極3の膜厚が0.04λと薄い場合には、第2の酸化ケイ素膜7の膜厚が0.2λの場合、0.3λの場合あるいは0.4λの場合において、オイラー角のθによるSH波の電気機械結合係数Kの変化が非常に異なっていることがわかる。従って、IDT電極3の膜厚が0.04λと薄い場合には、第2の酸化ケイ素膜7の膜厚がばらつくと、特性が大きくばらつくことがわかる。
なお、SH波はスプリアスとなるため、その電気機械結合係数Kは小さいことが好ましい。SH波の電気機械結合係数Kが最小となるθの値は、CuからなるIDT電極3の膜厚をTCUとすると、下記の式(1)で表される。この式(1)は、上記図3の結果から導かれたものである。
Figure 0004636178
また、SH波の電気機械結合係数Kが0.1%以下であればスプリアスによる影響は非常に小さくなる。そのため、上記式(1)で示されるθは、θ±5°の範囲であることが望ましく、その場合には、SH波の電気機械結合係数Kを0.1%以下とすることができる。
また、図6から明らかなように、SiOからなる第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.2λ〜0.4λの範囲であれば、オイラー角のθが20°〜50°の広い範囲に渡り、レイリー波の電気機械結合係数Kが6%よりも高くされている。本願発明者の実験によれば、この第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.15λ〜0.5λの範囲にあれば、レイリー波の電気機械結合係数Kを6%以上と高くし得ることが確かめられている。従って、好ましくは、第2の酸化ケイ素膜の膜厚は0.15λ〜0.5λ、より好ましくは図6に示されているように0.2λ〜0.4λの範囲とすればよい。
図9は、上記実施形態の弾性表面波装置1と、比較のために用意した第1,第2の比較例の弾性表面波装置のインピーダンス特性及び位相特性を示す。実施形態の弾性表面波装置では、IDT電極3は、膜厚が0.12λのCu膜とした。第1の比較例では、Cu膜の膜厚を0.10λ、第2の比較例では、Cu膜の膜厚を0.08λとした。
なお、IDT電極3の膜厚以外の仕様は以下の通りとした。
オイラー角で(0°,30°,0°)のLiNbO基板2上に、上記実施形態の弾性表面波装置では、0.12λ=248nmの厚みのIDT電極3を形成し、第2の酸化ケイ素膜7として、600nm=0.29λのSiO膜を作製し、1.9GHz帯の1ポート型弾性表面波共振子を作製した。なお、λ=2.07μmとした。
第1の比較例では、IDT電極は、207nm=0.10λのCu膜により形成し、第2の酸化ケイ素膜7の膜厚は600nm=0.29λとした。また、第2の比較例では、CuからなるIDT電極の厚みは166nm=0.08λとし、第2の酸化ケイ素膜としてのSiO膜の膜厚は600nm=0.29λとした。IDT電極のデューティはいずれも0.5とした。
実線が上記実施形態の結果を、破線が第1の比較例の結果を、一点鎖線が第2の比較例の結果を示す。
図9から明らかなように、第2の比較例では、共振周波数と反共振周波数との間に矢印Aで示す大きなスプリアスが現れており、第1の比較例においても共振周波数の低域側に矢印Bで示すスプリアスの現れていることがわかる。これらのスプリアスは、SH波によるスプリアスと考えられる。これに対して、上記実施形態の弾性表面波装置1では、このようなスプリアスが認められない。
また、図10は、上記実施形態の弾性表面波装置1において、第2の酸化ケイ素膜7の膜厚を、0.34λの場合から、0.29λ及び0.24λに変化させたことを除いては同様にして構成された弾性表面波装置を用意し、これらの弾性表面波装置についてのフィルタ特性を測定した結果を示す。実線が、上記実施形態と同様に、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.34λの場合の結果を、破線が0.29λの場合の結果を、一点鎖線が0.24λの場合の結果を示す。
図10から明らかなように、いずれの場合においてもスプリアスは見られず、良好な共振特性の得られることがわかる。従って、SiOからなる第2の酸化ケイ素膜の膜厚がばらついたとしても、スプリアスが現れ難く、従って良好な共振特性を安定に得ることができる。
LiNbO基板のオイラー角は、上記実施形態では、(0°,θ±5°,0°)とされていたが、本願発明者の実験によれば、オイラー角(φ,θ,ψ)におけるφは0°±5°の範囲であればよく、ψは0°±10°の範囲であればよく、いずれの場合においても、上記実施形態と同様の効果が得られることが確認されている。
上記実施形態では、IDT電極は、Cuにより構成されていたが、本発明においては、Cuを主体とする電極を用いればよく、Cuからなる主たる電極層の下方に、相対的に厚みの薄い密着層が形成されていてもよく、あるいはCuを主たる電極層上に、薄い保護電極層が積層されていてもよい。これらの場合、Cuからなる主たる電極層の厚みを本発明の電極の厚みとすればよい。
さらに、前述した1ポート型弾性表面波共振子やデュプレクサの帯域フィルタ部に限らず、様々な共振子や様々な回路構成の表面波フィルタに本発明を適用することができる。

Claims (2)

  1. オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のLiNbO基板と、
    前記LiNbO基板上に形成されており、Cuを主体とするIDT電極を含む電極と、
    前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように形成されている第1の酸化ケイ素膜と、
    前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように形成された第2の酸化ケイ素膜とを備え、レイリー波を利用した弾性表面波装置であって、
    表面波の波長λとしたときに、前記電極の膜厚が0.12λ〜0.18λの範囲にあり、前記オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のθが下記の式(1)を満たす範囲とされていることを特徴とする、弾性表面波装置。
    Figure 0004636178
  2. 前記第2の酸化ケイ素膜の膜厚Hが、0.15λ〜0.50λの範囲とされている、請求項1に記載の弾性表面波装置。
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