JP5186827B2 - 回転留め装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転留め装置に関する。詳しくは、車両用シートの傾動式シートバックのようにシートクッション等のベース側部材に対して回転移動可能に配設される可動側部材を、ベース側部材に対して回転留め可能に連結する回転留め装置に関する。
従来、車両用シートにおいて、シートバックをシートクッションに対して背凭れ角度調整可能に連結するリクライニング装置を配備した構成が知られている。ここで、下記特許文献1には、上記したリクライニング装置の組み付け構造が開示されている。
この開示のリクライニング装置は、内歯車を有した円盤状のラチェットと、外歯車を有した円盤状のガイドと、これらを軸方向に重合させて組み付けた状態に保持する保持部材と、を備えている。この保持部材は、段差のついた円筒型形状に形成されており、ラチェット及びガイドをそれぞれ円筒内部に入れ込むことによって、これらを外周面側から囲い込んだ状態に組み付けられるようになっている。
この保持部材に対するガイドやラチェットの組み付けは、次の手順で行われている。すなわち、一方側の端面が予め折り曲げられてなる保持部材の円筒内に、ラチェットが嵌め込まれ、次いでガイドが圧入により嵌め込まれることによって両部材の保持部材への組付けが行われている。
特表2004−517705号公報
しかし、上記開示の従来技術では、ガイドが保持部材の閉断面の円筒内に軸方向への圧入により組み付けられる構成となっており、比較的大きな圧入力が必要であるためにその圧入位置の微調整が難しい構成となっている。
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、リクライニング装置のような回転留め装置を構成する連結部材を保持部材に対して、堅固に、かつ、軸方向の挿通位置の位置決めを高精度に行えるように組み付けられるようにすることにある。
上記課題を解決するために、本発明の回転留め装置は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、車両用シートの傾動式シートバックのようにシートクッション等のベース側部材に対して回転移動可能に配設される可動側部材を、ベース側部材に対して回転留め可能に連結する回転留め装置である。この回転留め装置は、二枚の円盤状の連結部材と、保持部材と、を有する。二枚の円盤状の連結部材は、互いに摺動し合って相対回転する状態に、軸方向に重合して組み付けられる。保持部材は、二枚の円盤状の連結部材を互いに軸方向に重合させて組み付けた状態に保持する。上記二枚の連結部材は、可動側部材又はベース側部材の相異なった側の部材とそれぞれ連結されている。そして、二枚の連結部材は、互いの間に設けられた回転留め構造の作動状態によって、互いの相対回転が行われる状態と留められる状態とに切換えられるようになっている。保持部材は、二枚の円盤状の連結部材をそれぞれ外周面側から囲い込んだ状態に組み付けられる円筒型形状に形成されている。二枚の円盤状の連結部材を保持部材の円筒内部に軸方向に順に挿通することにより、先に挿通された一方側の連結部材の盤面が保持部材の挿通方向側の端部に形成された軸方向に面を有する保持面と対面した状態として両連結部材が保持部材の円筒内部に組み付けられるようになっている。保持部材の両連結部材の軸方向の挿通を受け入れる受入口側の開口端面は、保持部材の円筒内部に後に挿通される他方側の連結部材に形成された半径方向外方側に突出する凸部を軸方向に受け入れ可能な明きを有した開断面形状に形成されている。他方側の連結部材は、その突出形成された凸部が、保持部材の明きに軸方向に圧入されて嵌め込まれる構成となっている。
この第1の発明によれば、保持部材の円筒内部に後に挿通される他方側の連結部材は、その突出形成された凸部が保持部材の開口端面に形成された明きに圧入された状態として、保持部材に組み付けられる。このとき、保持部材は、凸部が明きの内部に圧入される圧入力によって、円周方向の押圧力を受けて撓み変形する。詳しくは、保持部材は、その開口端部が開断面形状に形成されているため、凸部の圧入力に対して撓み変形し易くなっている。したがって、凸部の圧入に無理な力をかけることなく、他方側の連結部材を保持部材の円筒内部に挿通して嵌め込むことが可能となる。そして、保持部材の円筒内部に嵌め込まれた他方側の連結部材は、その凸部が、円周方向に撓み変形した保持部材の開口端部から復元に伴う弾発力の作用を受けて円周方向に挟持された状態として保持される。これにより、他方側の連結部材を、保持部材に対して、堅固に、かつ、軸方向の挿通位置の位置決めを高精度に行えるように組み付けることができる。
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、保持部材の受入口側の開口端部が、他方側の連結部材が連結される可動側部材又はベース側部材と一体的に連結されている。
この第2の発明によれば、保持部材の開口端部が他方側の連結部材と共に可動側部材又はベース側部材と一体的に連結されることにより、この他方側の連結部材を保持部材の円筒内部に保持するための軸方向の保持力が更に高められる。そして、保持部材は、その他方側の連結部材を外周面側から囲い込む円筒型形状によって、他方側の連結部材よりも半径方向外方側に離れた位置で上記部材と連結される。これにより、可動側部材又はベース側部材にかかる負荷荷重を、保持部材にも伝達して担持することができる。
次に、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、他方側の連結部材に突出形成された凸部と保持部材の開口端面に形成された明きとの嵌合構造が、それらの円周方向に等間隔に複数配置形成されている。
この第3の発明によれば、他方側の連結部材は、その円周方向の複数箇所に均等配置された各凸部が、それぞれ、保持部材の開口端部によって円周方向に挟持された状態として保持される。これにより、他方側の連結部材を、保持部材に対して、より堅固に、そして円周方向に均衡な保持力をかけた状態で組み付けることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。以下の実施例では、本発明の回転留め装置にかかる構成を、車両用シートのリクライニング装置として採用している。
始めに、実施例1のリクライニング装置4の構成について、図1〜図8を用いて説明する。ここで、図1及び図2にはリクライニング装置4の分解斜視図が表されており、図3には車両用シート1の概略構成が表されている。
本実施例のリクライニング装置4,4は、図3を参照して分かるように、車両用シート1の両側部に左右一対で配設されており、それぞれシートバック2をシートクッション3に対して連結している。この一対のリクライニング装置4,4は、その作動状態の切換えを行うことによって、シートバック2の背凭れ角度を調整したり、背凭れ角度を維持したりするようになっている。ここで、シートバック2が本発明の可動側部材に相当し、シートクッション3が本発明のベース側部材に相当する。
このリクライニング装置4,4の作動状態の切換えは、これらの内部に挿通された操作軸60,60を軸回動させる動きによって行われる。これら操作軸60,60は、車両用シート1の内部に配設された図示しない電動モータと連結されており、電動モータからの駆動力を受けることで左右で同期した軸回動操作が行われるようになっている。この電動モータは、例えば車両用シート1の側部位置に配設されたスイッチ(図示省略)の切換え操作を行うことにより、ON/OFFの切換えや正転・逆転の切換えが行われるようになっている。
ここで、各リクライニング装置4,4は、操作軸60,60が軸回動操作される前の常時は、シートバック2の傾き角度を維持した状態となっている。そして、リクライニング装置4,4は、電動モータによって操作軸60,60が軸回動操作されることにより、その動きに連動してシートバック2の背凭れ角度を変動させるように作動する。
以下、リクライニング装置4,4の構成について詳しく説明する。なお、各リクライニング装置4,4は、互いに左右で対称の構成となっているが、実質的な構成は同じとなっている。したがって、以下の説明では、図1や図2に示されている一方側のリクライニング装置4の構成についてのみ説明する。
このリクライニング装置4は、内歯部材10と、外歯部材20と、一対の偏心部材30A,30Bと、バネ部材40と、押動部材50と、操作軸60と、外周リング70とが1つに組み付けられて構成されている。ここで、内歯部材10が本発明の一方側の連結部材に相当し、外歯部材20が本発明の他方側の連結部材に相当し、外周リング70が本発明の保持部材に相当する。
これら各部品は、金属製の部材によって形成されているが、押動部材50だけは、樹脂製の部材によって形成されている。そして、これら各部品は、内歯部材10を外周リング70の円筒内部に組み付ける軸方向に従って、各部品を図示されている順に一方向にセットしていくことにより、一つに組み付けられるようになっている。なお、リクライニング装置4の組み付け状態は、図4に良く示されている。
以下、上記各部品の構成について詳しく説明する。
先ず、内歯部材10の構成について説明する。すなわち、図1に示されるように、内歯部材10は、概略円盤形状に形成されている。
この内歯部材10は、その円盤形状の外周縁部が、板圧方向(軸方向)への半抜き加工によって円筒状に突出した形状に形成されている。そして、この円筒状に突出した部位の内周面には、内歯11aが形成されている。これにより、内歯部材10の外周縁部が、円筒状に突出した内歯車11として形成されている。
そして、内歯部材10の円盤形状の中心部には、内歯車11と同じ板厚方向に突出した円筒形状の筒部12が形成されている。この筒部12の筒内は、円形状の貫通した挿通孔12aとして形成されている。この筒部12の軸芯は、内歯車11の中心11rと同芯となっている。
この内歯部材10は、図2に示されるように、その外盤面をシートバック2の骨格を成すバックフレーム2fの板面と接合させることにより、シートバック2と一体的に連結されている。ここで、内歯部材10の外盤面上には、その円周方向の3箇所に、円周方向に延びる形状のダボ13・・(・・は複数を表す。)が突出形成されている。一方、バックフレーム2fには、これらダボ13・・を嵌合させることのできるダボ孔2a・・が貫通形成されている。
したがって、これらダボ13・・を各ダボ孔2a・・に嵌合させた状態でこれらの嵌合部分を溶着して接合することにより、内歯部材10とバックフレーム2fとが強固に一体的に連結されている。ここで、各ダボ13・・は、円周方向に延びて形成されているため、各ダボ13・・自体の周方向のせん断強度が高められている。したがって、各ダボ13・・とバックフレーム2fとの嵌合面を広く確保することができるため、内歯部材10とバックフレーム2fとを高い嵌合強度で連結することができる。
なお、バックフレーム2fには、内歯部材10に形成された挿通孔12aと同芯上の位置に挿通孔2cが貫通形成されている。
次に、図1に戻って、外歯部材20の構成について説明する。この外歯部材20は、内歯部材10よりもひとまわり大きな外径を有した概略円盤形状に形成されている。そして、この外歯部材20の外周縁部には、その部分部分が肉抜きされるかたちで半径方向内方に窪んだ凹部20x・・が円周方向の4箇所に形成されている。これにより、外歯部材20の外周縁部が、周方向に凹部20x・・と凸部20y・・とが順に繰り返される凹凸形状に形成されている。ここで、凸部20y・・は、円周方向の4箇所の位置に90度間隔で均等に配置形成されている。
この外歯部材20は、図2に示されるように、内歯部材10とは逆に、その円盤形状の外周縁部を残した中心側の部位が、板厚方向(軸方向)への半抜き加工によって円筒状に突出した形状に形成されている。そして、この円筒状に突出した部位の外周面には、外歯21aが形成されている。これにより、外歯部材20の中心側の部位が、円筒状に突出した外歯車21として形成されている。
そして、外歯部材20の円盤形状の中心部には、円形状に貫通した貫通孔22が形成されている。この貫通孔22は、前述した内歯部材10に形成された筒部12の外径よりも大きく形成されている。この貫通孔22の軸芯は、外歯車21の中心21rと同芯となっている。
この外歯部材20は、図1に示されるように、その外盤面をシートクッション3の骨格を成すクッションフレーム3fの板面と接合させることにより、シートクッション3と一体的に連結されている。ここで、外歯部材20の外盤面上には、その円周方向の4箇所に、円周方向に延びる形状のダボ23・・が突出形成されている。これらダボ23・・は、上述した外歯車21の形成された部位から半径方向外方側に外れた位置で、上述した各凸部20y・・が形成された周方向の各位置にそれぞれ形成されている。一方、クッションフレーム3fには、これらダボ23・・を嵌合させることのできるダボ孔3a・・が貫通形成されている。
したがって、これらダボ23・・を各ダボ孔3a・・に嵌合させた状態でこれらの嵌合部分を溶着して接合することにより、外歯部材20とクッションフレーム3fとが強固に一体的に連結されている。ここで、各ダボ23・・は、円周方向に延びて形成されているため、各ダボ23・・自体の周方向のせん断強度が高められている。したがって、各ダボ23・・とクッションフレーム3fとの嵌合面を広く確保することができるため、外歯部材20とクッションフレーム3fとを高い嵌合強度で連結することができる。
なお、クッションフレーム3fには、前述した内歯部材10に形成された挿通孔12aと同芯上の位置に挿通孔3cが貫通形成されている。
この外歯部材20は、内歯部材10と互いに向き合っている内盤面同士を重ね合わせるようにして内歯部材10に組み付けられる。これにより、図7及び図8を参照して分かるように、外歯部材20に形成された貫通孔22の孔内に、内歯部材10に突出形成された筒部12が挿通された状態として、両者が組み付けられる。
詳しくは、外歯部材20は、図5に示されるように、外歯車21の外周面に形成された外歯21aを、内歯部材10の内歯車11の内周面に形成された内歯11aと噛合させた状態として組み付けられる。したがって、この組付け状態では、両歯車部材の噛合構造によって、外歯車21の中心21rと内歯車11の中心11rとが互いに偏心した配置関係とされている。
ここで、外歯車21は、内歯車11よりも小径で、かつ、少ない歯数に形成されている。具体的には、外歯車21に形成された外歯21aの歯数は33個となっており、内歯車11に形成された内歯11aの歯数は34個となっている。
したがって、外歯車21を噛合状態の内歯車11の内周面(内歯面)に沿って相対的に公転運動させることにより、上述した歯数差によって、外歯部材20と内歯部材10との相対的な回動位置関係が変動していく。例えば、外歯車21が内歯車11の内周面に沿って反時計回り方向に回動(自転)しながら時計回り方向に公転する相対運動が行われることにより、外歯部材20の内歯部材10に対する相対的な回動位置関係は、図示反時計回り方向に変動していく。なお、実際には、外歯部材20がクッションフレーム3fに連結されて、内歯部材10がバックフレーム2fに連結されているため、内歯部材10が外歯部材20に対して相対的に図示時計回り方向に回動する格好となる。
したがって、上記のように外歯車21を内歯車11の内周面に沿って相対的に公転運動させることにより、図3に示されるように、シートバック2のシートクッション3に対する背凭れ角度の調整が行えるようになっている。
次に、図1に戻って、一対の偏心部材30A,30Bの構成について説明する。すなわち、一対の偏心部材30A,30Bは、円弧状に湾曲した駒形状に形成されており、互いに左右対称の形状に形成されている。これら偏心部材30A,30Bは、図5に示されるように、外歯部材20に形成された貫通孔22の内周面と、内歯部材10に形成された筒部12の外周面と、の間の偏心した隙間形状の内部に軸対称の位置に配設されている。ここで、偏心部材30A,30Bは、上記の偏心した隙間形状に合わせて、図示上端部から下端部にかけて半径方向の肉厚が薄くなる偏向した形状に形成されている。
これら偏心部材30A,30Bは、常時はこれらに掛着された開リング状のバネ部材40の附勢力によって、それぞれが偏心した隙間形状に挟み込み状に食い込んだ状態に保持されている。これにより、外歯部材20は、その貫通孔22の内周面から両偏心部材30A,30Bの食い込みによる押圧力を受け、外歯車21が内歯車11の内周面(内歯面)に押し付けられた状態として公転運動が押し留められた状態に保持される。
詳しくは、偏心部材30A,30Bは、この隙間形状に食い込むことにより、筒部12における図示上方側の外周面部と貫通孔22の内周面部との間に食い込み力を作用させる。これにより、外歯車21が筒部12(内歯車11)に対して図示上方側に押圧され、両歯(外歯21a及び内歯11a)がガタツキ(バックラッシ)のない状態に噛合された状態として保持される。
そして、偏心部材30A,30Bは、その一方が後述する押動部材50に突出形成された押部51の端面によって、バネ部材40の附勢に抗して隙間形状の内部を円周方向に押動操作されることにより、食い込み状態から外される。具体的には、図6に示されるように、例えば押動部材50が図示時計回り方向に軸回動操作されると、図示左側の偏心部材30Aが同方向に押動される。これにより、同左側の偏心部材30Aが食い込み状態から外されて隙間形状が空くため、図示右側の偏心部材30Bも食い込み状態から外された状態となる。
これにより、外歯車21が内歯車11の内周面(内歯面)に押し付けられた状態から外されるため、外歯部材20が公転運動可能な状態となる。そして、この状態から、押動部材50の同方向への軸回動操作が続けて行われることにより、両偏心部材30A,30Bが、バネ部材40の附勢力によって図示時計回り方向に押動されていく。これにより、外歯車21が、その貫通孔22の内周面を両偏心部材30A,30Bの外周面部によって円周方向に順に押圧されながら、内歯車11の内周面(内歯面)に沿って公転運動していく。
そして、偏心部材30A,30Bは、押動部材50の軸回動操作が止まることにより、再びバネ部材40の附勢力によって上述した偏心した隙間形状に挟み込み状に食い込んだ状態となる。すなわち、外歯部材20は、押動部材50が軸回動操作される動きによって公転運動し、押動部材50の軸回動操作が止まることによって公転運動が押し留められてその状態に保持されるようになっている。
次に、図1に戻って、バネ部材40について説明する。このバネ部材40は、有端のリング形状に形成されており、各端部に形成された掛部41A,41Bが偏心部材30A,30Bの図示上端側の部位に掛着されている。これにより、バネ部材40は、図5に示されるように、各偏心部材30A,30Bの上端部を互いに引き離す方向に附勢して、各偏心部材30A,30Bを偏心した隙間形状の内部に挟み込み状に食い込ませるようになっている。
次に、図1に戻って、押動部材50について説明する。この押動部材50は、全体が樹脂の一体成形によって形成されている。
この押動部材50は、その円盤形状の本体の中心部に、板厚方向(軸方向)に突出した円筒形状の筒部51が一体的に形成されている。そして、この筒部51の筒内には、内周面にセレーション状の溝面を有した円形状の嵌合溝51aが貫通形成されている。
そして、押動部材50の図示下方側の外周縁部には、筒部51と同じ板厚方向(軸方向)に突出した扇形状の押部52が形成されている。
この押動部材50は、図7及び図8を参照して分かるように、筒部51を内歯部材10に形成された筒部12の挿通孔12a内に緩嵌合させるように挿し込むことにより、これに回動可能に軸支された状態として組み付けられる。なお、この押動部材50の組付け状態は、図4に良く表されている。
この押動部材50は、図1に示されるように、その筒部51内に形成された嵌合溝51a内に、操作軸60が挿通されてこれと一体的に嵌合されている。この操作軸60は、その外周面に嵌合溝51aと合致するセレーション状の溝面が形成されており、嵌合溝51aに挿通されることでこれと一体的に嵌合されるようになっている。これにより、押動部材50は、操作軸60と一体的となって軸回動操作されるようになっている。
したがって、図5に示されるように、偏心部材30A,30Bが食い込み状態となっている状態で、例えば押動部材50が図示時計回り方向に回動操作されると、図示左側の偏心部材30Aが、押動部材50に形成された押部52の端面に押動されて同方向に押動される。これにより、偏心部材30A(及び偏心部材30B)が食い込み状態から外される。そして、この状態で押動部材50の同方向への軸回動操作が続けて行われることにより、偏心部材30A,30Bが外歯車21を押動してこれを公転運動させる。
次に、図1に戻って、外周リング70について説明する。この外周リング70は、薄板からなる中空円板状の部材が、板圧方向(軸方向)への半抜き加工によって、段差のある円筒形状に形成されている。これにより、外周リング70は、その段差のついた円筒内部に、円盤状の内歯部材10と外歯部材20とをそれぞれ軸方向に重合させた状態に組み付けられるようになっている。
具体的には、外周リング70には、その内歯部材10が挿通される図示右方側(挿通方向側)の端部において、半径方向の内方側にフランジ状に折り返されてなる保持面72が形成されている。この保持面72は、図7や図8に示されるように、外周リング70の円筒内で軸方向に面を向けて形成されており、外周リング70の円筒内に先に挿通される内歯部材10の外盤面と対面するようになっている。
そして、図1に戻って、外周リング70の図示左方側の内歯部材10や外歯部材20の挿通を受け入れる受入口側の開口端面は、その円周方向の4箇所に明き70a・・が形成された開断面形状に形成されている。これら明き70a・・は、外周リング70の端面から軸方向に延びて形成されており、外歯部材20に形成された各凸部20y・・をそれぞれ軸方向に受け入れられるようになっている。ここで、各明き70a・・は、それらの円周方向の径寸法が、各凸部20y・・の円周方向の径寸法よりも若干小さく設定されている。これにより、各凸部20y・・は、各明き70a・・の内部に軸方向に圧入されることによって、それらの内部に嵌め込まれて結合されるようになっている。
ここで、各凸部20y・・が各明き70a・・の内部に圧入されると、その圧入力によって、外周リング70の開断面状の円筒部をなす各円筒片71・・が、それぞれ、円周方向の両端部から円周方向の押圧力を受けて撓み変形する。このとき、各円筒片71・・は、互いの間に明き70a・・を有した構成となっているため、それぞれが各凸部20y・・の圧入力に対して円周方向に撓み変形し易くなっている。したがって、各凸部20y・・の圧入に無理な力をかけることなく上記の挿通を行えるため、外歯部材20を外周リング70の円筒内部にその挿通位置の微調整を高精度に行いながら嵌め込むことができる。
そして、外周リング70の円筒内部に嵌め込まれた外歯部材20は、各凸部20y・・が、上述した円周方向に撓み変形した各円筒片71・・から復元変形に伴う弾発力の作用を受ける。これにより、各凸部20y・・がそれぞれ円周方向の両端側から挟持された状態として保持されるため、外歯部材20が外周リング70に対して堅固に組み付けられた状態とされる。
したがって、外歯部材20が外周リング70の円筒内部に高精度に位置決めされて挿通されることにより、先に挿通された内歯部材10の外盤面と外周リング70の保持面72との間の隙間寸法も、予定された寸法に高精度に定めることができる。これにより、内歯部材10の外盤面と外周リング70の保持面72との間の隙間が広すぎて内歯部材10をガタつかせたり、或いは逆に隙間が狭すぎて内歯部材10の相対回転(摺動回転)を妨げたりすることがないように、上記の組み付けを行うことができる。
そして、上述した各円筒片71・・は、各凸部20y・・が各明き70a・・の内部に圧入された状態時には、外歯部材20の各凹部20x・・に入り込んだ状態となって、外歯部材20を外周面側から囲い込んだ状態となる(図8参照)。
そして、これら円筒片71・・は、図4に示されるように、クッションフレーム3fに貫通形成された各長孔3h・・(図1参照)内に嵌め込まれた状態で、その内周縁側の嵌合部位がクッションフレーム3fと一体的に溶着されて接合されている。これにより、外周リング70が、クッションフレーム3fと強固に一体的に連結された状態とされている。そしてこれにより、クッションフレーム3fにかかる負荷荷重が、外歯部材20ばかりでなく外周リング70にも伝達されて、両者によって担持されるようになっている。
詳しくは、各円筒片71・・は、外歯部材20に形成されたダボ23・・よりも半径方向の外方側に位置してクッションフレーム3fと接合されている。これにより、クッションフレーム3fにかかる負荷荷重が、これを半径方向の外方側の位置で受け止める外周リング70(円筒片71・・)によっても強く担持されるようになっている。具体的には、例えばクッションフレーム3fに回転方向の負荷がかかると、この回転方向の負荷は、各円筒片71・・に入力される。そして、各円筒片71・・に入力された回転方向の負荷は、外歯部材20の各凸部20y・・へと伝達されて支持される。
続いて、本実施例の使用方法を説明する。
すなわち、図5に示されるように、リクライニング装置4は、操作軸60の軸回動操作が行われる前の常時は、各偏心部材30A,30Bの食い込み力によって、外歯車21の公転運動が押し留められた状態に保持されている。したがって、この状態では、図3に示されるように、シートバック2の背凭れ角度が維持された状態として保持される。
そして、図6に示されるように、操作軸60が例えば図示時計回り方向に軸回動操作されることにより、図示左側の偏心部材30Aが押動されて食い込み状態から外されると共に、この動きによって右側の偏心部材30Bも食い込み状態から外される。そして、この動きと共に、外歯車21が内側から押圧されることで内歯車11の内周面(内歯面)に沿って相対的に公転運動していくため、図3に示されるように、この動きによってシートバック2の背凭れ角度の調整が行われる。
そして、操作軸60の軸回動操作が止まることにより、各偏心部材30A,30Bが再び食い込んだ状態となるため、外歯車21の公転運動が再び押し留められた状態となって、シートバック2の背凭れ角度がその調整された位置に保持される。
このように、本実施例のリクライニング装置4によれば、外周リング70の円筒内部に後に挿通される外歯部材20は、その突出形成された凸部20y・・が外周リング70の開口端面に形成された明き70a・・に圧入された状態として、外周リング70に組み付けられる。このとき、外周リング70は、凸部20y・・が明き70a・・の内部に圧入される圧入力によって、円周方向の押圧力を受けて撓み変形する。詳しくは、外周リング70は、その開口端部が開断面形状に形成されているため、凸部20y・・の圧入力に対して撓み変形し易くなっている。したがって、凸部20y・・の圧入に無理な力をかけることなく、外歯部材20を外周リング70の円筒内部に挿通して嵌め込むことが可能となる。そして、外周リング70の円筒内部に嵌め込まれた外歯部材20は、各凸部20y・・が、円周方向に撓み変形した外周リング70の各円筒片71・・から復元に伴う弾発力の作用を受けて円周方向に挟持された状態として保持される。これにより、外歯部材20を、外周リング70に対して、堅固に、かつ、軸方向の挿通位置の位置決めを高精度に行えるように組み付けることができる。
そして、外周リング70の各円筒片71・・が外歯部材20と共にクッションフレーム3fと一体的に連結されることにより、この外歯部材20を外周リング70の円筒内部に保持するための軸方向の保持力が更に高められる。そして、外周リング70は、その外歯部材20を外周面側から囲い込む円筒型形状によって、外歯部材20よりも半径方向外方側に離れた位置でクッションフレーム3fと連結される。これにより、クッションフレーム3fにかかる負荷荷重を、外周リング70にも伝達して担持することができる。
そして、外歯部材20は、その円周方向の複数箇所に均等配置された各凸部20y・・が、それぞれ、外周リング70の各円筒片71・・によって円周方向に挟持された状態として保持される。これにより、外歯部材20を、外周リング70に対して、より堅固に、そして円周方向に均衡な保持力をかけた状態で組み付けることができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。
例えば、上記実施例では、本発明の回転留め装置を、傾動式シートバックのシートクッションへの連結装置として適用したものを示した。しかし、この回転留め装置は、傾動式シートバックを車体フロアに対して連結する連結装置としても適用することができる。また、シート本体を車体フロアに対して旋回方向に回転移動させられるように構成するための連結装置としても適用することができる。また、着座者の下腿部を下方側から持ち上げて支持するいわゆるオットマン装置をシートクッションや車体フロアに対して傾動可能に連結する連結装置としても適用することができる。
また、回転留め装置として、外歯部材の外歯車が内歯部材の内歯車の内周面上を公転運動するいわゆる無段階タイプのリクライニング装置を例示したが、特開2002−360368号公報に開示されているような内歯と外歯とを噛合させたり外したりして回転をロックしたり解除したりするロック解除作動タイプのリクライニング装置にも本発明の構成を適用することができる。
また、外歯部材の受入口側の開口端面が、明きが形成されたことによって開断面状に形成された構成を例示したが、明きとは別にスリットを形成することによって受入口側の開口端面を開断面状に形成してもよい。
実施例1のリクライニング装置の分解斜視図である。 リクライニング装置を図1とは異なる軸方向側から見た分解斜視図である。 車両用シートの概略構成図である。 リクライニング装置の組み付け状態を表した斜視図である。 図4のV-V線断面図である。 図5の状態から偏心部材の食込状態が外された状態を表した構成図である。 図5のVII-VII線断面図である。 図5のVIII-VIII線断面図である。
符号の説明
1 車両用シート
2 シートバック(可動側部材)
2f バックフレーム
2a ダボ孔
2c 挿通孔
3 シートクッション(ベース側部材)
3f クッションフレーム
3a ダボ孔
3c 挿通孔
3h 長孔
4 リクライニング装置(回転留め装置)
10 内歯部材(一方側の連結部材)
11 内歯車
11a 内歯
11r 中心
12 筒部
12a 挿通孔
13 ダボ
20 外歯部材(他方側の連結部材)
20x 凹部
20y 凸部
21 外歯車
21a 外歯
21r 中心
22 貫通孔
23 ダボ
30A,30B 偏心部材
40 バネ部材
41A,41B 掛部
50 押動部材
51 筒部
51a 嵌合孔
52 押部
60 操作軸
70 外周リング(保持部材)
70a 明き
71 円筒片
72 保持面

Claims (4)

  1. 車両用シートの傾動式シートバックのようにシートクッション等のベース側部材に対して回転可能に配設される可動側部材を、該ベース側部材に対して回転留め可能に連結する回転留め装置であって、
    前記可動側部材又は前記ベース側部材の相異なる側の部材にそれぞれ連結されて互いに相対回転可能な状態に軸方向に組み付けられる二枚の円盤状の連結部材と、
    該二枚の連結部材を互いに軸方向に組み付けた状態に保持する保持部材と、
    前記二枚の連結部材の間に配設されてこれらの回転留めをする回転留め構造と、を有し、
    前記保持部材は、前記二枚の連結部材を軸方向に挿通して内部に組み付け可能な円筒型形状で、かつ、当該二枚の連結部材のうちの先に挿通される一方側の連結部材の外側の盤面を軸方向にあてがえることのできる保持面を有した形状とされ、
    前記保持部材の前記二枚の連結部材の挿通を受け入れる軸方向の受入口側の開口端部は、前記二枚の連結部材のうちの後に挿通される他方側の連結部材の外周部に形成された半径方向の外側に突出する凸部を軸方向に受け入れ可能な明きを有した開断面形状とされており、該明きは、該明きによって分断される円周方向に隣り合う円筒片同士を同一面内で互いに繋がらせないように分断する軸方向の空隙長さを有した形状とされており、前記他方側の連結部材は前記凸部が前記保持部材の前記明きに軸方向に圧入されて前記保持部材に一体的に結合された状態に嵌め込まれる構成となっていることを特徴とする回転留め装置。
  2. 請求項1に記載の回転留め装置であって、
    前記保持部材の前記受入口側の開口端部が前記他方側の連結部材が連結される前記可動側部材又は前記ベース側部材と一体的に連結されていることを特徴とする回転留め装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の回転留め装置であって、
    前記保持部材が、段差のある円筒形状に形成されており、後から挿通される前記他方側の連結部材が、前記凸部が前記明きに臨む前記段差の面部に面当接する位置まで圧入されるようになっていることを特徴とする回転留め装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の回転留め装置であって、
    前記凸部と前記明きとの嵌合構造が、円周方向の複数箇所に等間隔に配置形成されていることを特徴とする回転留め装置。
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