JP5184312B2 - エアバッグ及びエアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車の座席に着席した乗員の下肢部に対向する位置に膨張展開するエアバッグ及びこのエアバッグを備えたエアバッグ装置に関する。
従来、自動車の座席に着座した乗員の膝部などに対向してエアバッグを展開するエアバッグ装置であるいわゆるニーエアバッグ装置が知られている。このニーエアバッグ装置は、例えば、インストルメントパネルの、運転席前方のハンドルの下方、あるいは、助手席前方のグローブボックスの下方などに配置され、ケース体の内側に、袋状のエアバッグを小さく折り畳んで収納している。そして、制御装置が車両の前方衝突などの衝撃を検出した際に、エアバッグにインフレータからガスを供給し、エアバッグをケース体から突出させ、さらにインストルメントパネルと乗員の膝部との間に膨張展開させて、乗員を保護するようになっている。
この点、上下に並ぶ複数のチャンバを備え、インフレータからガスが供給される中央チャンバを乗員の膝の正面側に膨張展開させる構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、この構成では、中央チャンバの下側に展開するチャンバは、中央チャンバの上側に展開するチャンバよりも容積あるいは厚さ寸法が小さく設定されている。
しかしながら、この構成では、膝の正面側でエアバッグが膨張展開するため、エアバッグから膝に加わる力を抑制するためのインフレータのガスの噴射特性の設定やガスを分配するチャンバなどの構造などが必要になり、製造コストの低減が容易でない。
また、ニーエアバッグ装置について、エアバッグを、膨張展開時に下方の厚さ寸法が大きくなるように形成し、乗員が前方に滑り込む現象を抑制する構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、この構成では、エアバッグは、上下に延びる連結部材により前面部と後面部とが連結され、エアバッグの展開形状を規定している。
この構成では、上下に延びる連結部材によりエアバッグの展開形状が規定されるため、エアバッグをインストルメントパネルと乗員の下肢部との間の狭い空間に円滑迅速に膨張展開させるためには、インストルメントパネルなどの構造に応じて連結部材の形状を設定するなどの必要があり、製造コストの低減が必ずしも容易でない。
特許第4146962号公報 (第1頁、図1) 特開2005−335593号公報 (図1、図4、図5)
上記のように、インストルメントパネルと乗員の下肢部との間の狭い空間に円滑迅速に膨張展開して乗員を保護できるとともに、着席した乗員の膝部などに加わる力を抑制できるエアバッグ装置が求められている。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、着席した乗員の下肢部に対向し好ましい特性で膨張展開するエアバッグ及びエアバッグ装置を提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグは、乗員側に面する第1の基布部と、所定面側に面する第2の基布部とを備えて前記所定面から膨出し、着席した乗員の膝部及び脛部を含む下肢部に対向して、前記所定面と前記下肢部との間に沿って上側に向かって膨張展開する膨出部を備えたエアバッグであって、前記膨出部は、前記第1の基布部と第2の基布部との内面同士を連結する隔壁部を備えてガスが導入され前記脛部に対向して展開する下側の基部からガスの下流側である上側の先端部に向かい順次連通する複数の気室に区画され、これら複数の気室の膨張展開時における前記所定面と前記下肢部との間の最大の厚さ寸法及びこれら気室の容積は、下側に位置する前記気室に対し上側に位置する前記気室が順次小さくなるものである。
そして、この構成では、エアバッグの膨出部にガスが供給されると、膨出部が着席した乗員の下肢部に対向する位置に膨張展開し、乗員を拘束して移動を抑制するとともに、所定面側の部材への当接を抑制し、乗員を保護する。そして、膨出部は、基布部同士を隔壁部を介して連結することにより上下に並ぶ複数の気室に区画され、下側の基部からガスを導入すると、先ず、下側の気室が脛部に対向して膨張展開し、次いで、膨張展開した気室を台として、上側の気室が所定面と下肢部との間に沿って上側に向かって膨張展開する。基布部同士を直接密着して連結する構成に比べ、乗員側に面する第1の基布部の展開時の形状を平滑な所望の形状とすることが容易になる。そして、下側に位置する気室に対し上側に位置する気室の膨張展開時の厚さ寸法及び容積が順次小さく設定されているため、下側の気室に次いで展開する上側の気室は、容積を小さくしたため、初期に展開する下側の気室が大きな容積で展開し、乗員を確実に拘束するとともに、所定面と下肢部との間の離間寸法が小さい場合や乗員の移動により所定面と下肢部との間の空間が小さくなった場合にも、所定面と下肢部との間の空間に膨出部が円滑迅速に膨張展開する。また、膨出部は、区画された部分で屈曲しやすくなるため、所定面が湾曲している場合にも、膨出部が所定面に沿って円滑に展開する。さらに、膨出部は、膝部に向かって正面側から膨張展開するものではないため、エアバッグが膨張展開する際に膝部に加える力が抑制される。
求項記載のエアバッグ装置は、請求項記載のエアバッグと、このエアバッグの膨出部の基部にガスを供給するインフレータと、乗員が着席する座席に対向して配置された所定面を構成するパネルの背面側に位置し折り畳まれた前記エアバッグを収納するケース体とを具備するものである。
そして、この構成では、請求項記載のエアバッグを備えたため、エアバッグの膨出部が着席した乗員の下肢部とパネルとの間に円滑に膨張展開し、乗員を拘束して移動を抑制するとともに、パネルへの当接を抑制し、乗員が保護される。
本発明によれば、エアバッグの膨出部にガスを供給することにより、膨出部が着席した乗員の下肢部に対向する位置に膨張展開し、乗員を拘束して移動を抑制するとともに、所定面側の部材への当接を抑制し、乗員を保護できる。そして、膨出部は、下側に位置する気室に対し上側に位置する気室の膨張展開時の厚さ寸法及び容積が順次小さく設定されているため、下側の気室に次いで展開する上側の気室は、容積を小さくしたため、初期に展開する下側の気室が大きな容積で展開し、乗員を確実に拘束できるとともに、所定面と下肢部との間の離間寸法が小さい場合や乗員の移動により所定面と下肢部との間の空間が小さくなった場合にも、所定面と下肢部との間の空間に膨出部を円滑迅速に膨張展開させることができる。また、膨出部は、区画された部分で屈曲しやすいため、所定面が湾曲している場合にも、膨出部を所定面に沿って円滑に展開させることができる。さらに、膨出部は、膝部に向かって正面側から膨張展開するものではないため、エアバッグが膨張展開する際に膝部に加える力を抑制できる。このようにして、エアバッグの膨出部を、着席した乗員の下肢部に対向し好ましい特性で膨張展開させることができる。
以下、本発明のエアバッグ及びエアバッグ装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図3において、1はエアバッグで、このエアバッグ1を備えたエアバッグ装置2は、被取付部材としての車両である自動車の車体の室内部としての車室4に面した所定面を構成するパネル5の主として背面側に配置されている。そして、このエアバッグ装置2は、ニーエアバッグ装置すなわち膝保護用エアバッグ装置とも呼ばれるもので、前面衝突などの衝撃を受けた際に、図1(a)及び図2(b)に示すように、乗員の足元すなわち膝部A1及び脛部A2を含む下肢部Aに対向して展開し、乗員の膝部A1及び脛部A2を含む下肢部Aを拘束して乗員を保護するようになっている。なお、以下、前後方向などの方向は、車体の直進方向を基準とし、すなわち、図1に示すように、車両の下側(矢印D方向)かつ前方(矢印F方向)がエアバッグ1の基端側となり、車両の上側(矢印U方向)かつ後方(矢印B方向)をエアバッグ1の先端側すなわち乗員側として説明する。さらに、車両の左右方向である幅方向が、エアバッグ1の両側方向すなわち左右方向である幅方向(図3に示す矢印W方向)となる。なお、図1及び図2において、Cは乗員を模したダミーである。
そして、この車体は、車室4内に乗員が着座可能な両側一対の座席Sを備えているとともに、これら座席Sの前方には、フロントガラスとインストルメントパネル12とが配置されている。さらに、このインストルメントパネル12の下方の下部あるいは中段部には、インストルメントパネル12を構成するダッシュパネルなどとも呼ばれるパネル5が配置され、このパネル5に、各座席Sに対向して、エアバッグ装置2が取り付けられている。なお、このパネル5の部分を含みインストルメントパネル12は、上下方向に曲面状などをなして傾斜している。 また、本実施の形態では一方の座席Sは、運転席であり、インストルメントパネル12とパネル5との間には、ハンドル13が配置されている。また図示しない他方の座席Sは、助手席であり、インストルメントパネル12とパネル5との間には、グローブボックスなどが配置されている。なお、上記のエアバッグ装置2の他に、この車室4には、図2に示すように、ハンドル13にハンドル用エアバッグ装置13aが設けられ、さらに、インストルメントパネル12、座席Sの側部、ドア上方のルーフサイドレールなどに、図示しないエアバッグ装置が備えられている。なお、図2に示す車両は、運転席が左側に位置するもので、ドアなどを取り外した衝突実験用の車両である。
そして、パネル5に設けられたエアバッグ装置2は、容器部であるケース体21と、このケース体21に取り付けられるインフレータ22、エアバッグ1、カバー体23及び図示しないリテーナなどを備えている。そして、ケース体21は、ハウジングなどとも呼ばれるもので、乗員に面する後面を開口部21aとした略箱状をなすケース本体部21bを備え、このケース本体部21bの内側が、エアバッグ収納部28となっている。また、この開口部21aは、両側方向を長手方向とする矩形状で、かつ、若干下方に向かって傾斜されている。また、ケース本体部21bには、カバー体23を係止する取付片部が設けられているとともに、ブラケットが取り付けられ、このブラケットが、車体の取付部材に固定されている。
また、インフレータ22は、略円柱状をなすインフレータ本体部を備え、このインフレータ本体部の一端部近傍にガス噴射部が設けられているとともに、他端部に接続部が設けられている。そして、このインフレータ22は、接続部に接続されるハーネスを介して制御装置に接続され、このハーネスを介して制御装置から供給される起動信号に基づき、ガス噴射部からガスを噴射する。
また、リテーナは、図示しないが、インフレータ22を保持するリテーナ本体部と、このリテーナ本体部から突設された取付ボルトとを備えている。
さらに、カバー体23は、リッドなどとも呼ばれるもので、図1及び図4に示すように、パネル5と組み合わされて、あるいはパネル5と一体をなし、合成樹脂にて形成されている。そして、このカバー体23は、ケース体21の開口部21aを覆うとともに、エアバッグ1の膨張展開時に破断可能な脆弱な破断部であるテアラインが略U字状などに形成されている。
そして、エアバッグ1は、ニーエアバッグとも呼ばれるもので、複数枚の基布を縫い合わせて袋状に形成され、所定の形状に折り畳まれてケース体21のエアバッグ収納部28に収納されている。そして、本実施の形態では、エアバッグ1は、袋状の外殻を構成するエアバッグ本体部30が、主として2枚の基布すなわち第1及び第2の基布部31,32で形成されているとともに、このエアバッグ本体部30の内側に、隔壁部としての第1ないし第3の隔壁部35,36,37が配置され、ガスが供給される基部39側から先端部40側に向けて、第1ないし第4の気室41,42,43,44が区画して形成されている。さらに、各隔壁部35,36,37には、所定の通気抵抗でガスが流通可能に連通部が設けられ、第1ないし第4の気室41,42,43,44は基部39側から先端部40側に向けて順次連通し、すなわち、インフレータ22が位置するガスの上流側から下流側に向けて順次連通している。そして、後側すなわち乗員側に位置する第1の基布部31と、前側すなわちパネル5側に位置する第2の基布部32とは、互いに同じ形状で、樹脂などを塗布していないいわゆるノンコートの基布で形成され、外周部に沿った外周縫合線46で互いに縫合した状態で、図3に示すように、基部39側に開口部39aを設けた袋状のエアバッグ本体部30が形成されている。そして、このエアバッグ本体部30は、基部39側が最も幅寸法が小さく、先端部40に向かって幅寸法が大きくなるより、所定の位置から先端部40側は一定の幅寸法となるように構成されている。そこで、このエアバッグ本体部30は、基部39側の部分は両側方向には折り畳まずにエアバッグ収納部28に収納される一方、基部39より先端部40側の部分は、エアバッグ収納部28すなわち開口部21aより幅寸法が大きく、両側方向に折そして、これら隔壁部35,36,37により区画形成される複数の気室41,42,43,44は、チャンバとも呼ばれるもので、折り畳むことによりエアバッグ収納部28に収納可能な膨出部48となっている。
また、各隔壁部35,36,37は、テザーあるいはバッフルなどとも呼ばれるもので、1枚あるいは複数枚の帯状の基布で構成され、基部39側から先端部40側に向かい、第1の隔壁部35、第2の隔壁部36、第3の隔壁部37の順で互いに平行に配置され、それぞれ第1及び第2の基布部31,32に縫着などして連結されている。なお、本実施の形態では、第1の隔壁部35は、複数枚の基布により構成され、これら基布の間が連通部となっている。また、第2及び第3の隔壁部36,37は、1枚の基布で構成され、円孔などの連通部が形成されている。そして、複数の気室41,42,43,44は、隔壁部35,36,37に設けた連通部により互いに連通し、本実施の形態では、基部39に直接連通する第1の気室41、この第1の気室41の先端側すなわち下流側に連通する第2の気室42、この第2の気室42の先端側すなわち下流側に連通する第3の気室43、この第3の気室43の先端側すなわち下流側に連通する第4の気室44が構成されている。
さらに、膨張展開したエアバッグ1の厚さ方向である各隔壁部35,36,37の短手方向の寸法、すなわち、第1の基布部31と第2の基布部32とが離間可能な長さ寸法は、図1(b)に示すように、上流側すなわち基部39側の第1の隔壁部35の長さ寸法L11が最も大きく、下流側に向かい第2の隔壁部36の長さ寸法L12、第3の隔壁部37の長さ寸法L13の順で小さくなるように形成されている。そして、これら隔壁部35,36,37により区画形成された各気室41,42,43,44についても、図1に示すように、上流側すなわち基部39側の第1の気室41の最大厚さ寸法L1及び容積V1が最も大きく、下流側に向かい、第2の気室42、第3の気室43、第4の気室44順で最大厚さ寸法L2,L3,L4及び容積V1,V3,V4が小さくなるように形成されている。
また、第1の気室41に連通する基部39には、インフレータ22が配置されるガス導入部が設定され、このガス導入部には、図3に示すように、防炎布などとも呼ばれる補強布49,50が第1あるいは第2の基布部31,32の内側あるいは外側に重ねて配置されている。
さらに、エアバッグ1のガス導入部の部分には、これら第1の基布部31、第2の基布部32、及び補強布49,50などを貫通して、円孔状の取付孔54,55が複数形成されている。そして、開口部39aから離間した側の取付孔54は、一方の基布部例えば第2の基布部32側のみに形成され、開口部39aに近接した側の取付孔55は、第1の基布部31と第2の基布部32とを貫通して形成されている。
なお、このエアバッグ1には、ベントホールなどとも呼ばれるガス排気口は形成されていない。
次に、このエアバッグ装置2の組み立て工程を説明する。
まず、エアバッグ1、インフレータ22、及びリテーナなどを組み合わせて、組立体を構成する。この工程は、まず、インフレータ22をリテーナのリテーナ本体部の内側に挿入して固定する。そして、インフレータ22を取り付けたリテーナを、開口部39aからエアバッグ1の内側の基部39のガス導入部に挿入し、リテーナの取付ボルトを一方の取付孔54から引き出す。そして、エアバッグ1の開口部39aの近傍を折り返し、リテーナの取付ボルトを他方の取付孔55に貫通させる。次いで、エアバッグ1を、ロール状、蛇腹状、あるいはこれらを組み合わせた方法などで小さく折り畳み、必要に応じてラッピングを被せて折り畳み形状を保持し、組立体を構成する。
次いで、この組立体を、開口部21aを介してケース体21に挿入し、ケース体21の底部などに設けた取付孔にリテーナの取付ボルトを貫通させ、ケース体21の外側から取付ボルトにナットを螺合して、組立体すなわちエアバッグ1、インフレータ22、及びリテーナなどをケース体21に固定する。次いで、ケース体21にカバー体23を取り付け、開口部21aすなわちエアバッグ1を覆うことにより、パネル5の背面側に折り畳んだエアバッグ1を配置したエアバッグ装置2が構成される。
そして、ケース体21のブラケットを、ボルト及びナットなどの取付具を用いて車体の取付部材に固定し、カバー体23の表板部がパネル5と面一になるようにエアバッグ装置2を車体に取り付けるとともに、インフレータ22に接続したハーネスを制御手段に電気的に連結することにより、エアバッグ装置2が車体に設置される。
次に、このエアバッグ装置2の展開動作を説明する。
制御装置が自動車の正面衝突などの衝撃を検出すると、この制御装置はハーネスを通じて起動信号である電力を供給し、インフレータ22を作動させる。そして、インフレータ22からエアバッグ1内にガスが供給されると、エアバッグ1は、ケース体21の内側で膨張し、まず、ラッピングを破断し、ついで、カバー体23をテアラインで破断し、形成された扉部23aを下方に展開させ、エアバッグ1の突出口を形成する。そして、エアバッグ1は、この突出口を介して、ケース体21からすなわちパネル5から車室4側に膨出し、さらに、パネル5に沿って上方に膨張展開する。
より詳細には、まず、インフレータ22から供給されるガスは、リテーナのリテーナ本体で拡散されつつ、エアバッグ1の基部39のガス供給部に供給される。すると、まず、エアバッグ1の基部39及びこの基部39に直接連通する第1の気室41が脛部A2に正対すなわち正面から対向して最初に膨張展開を開始する。そして、第1の気室41が脛部A2に対向して十分に膨張すると、第1の隔壁部35の連通部を介して、第2の気室42にガスが供給される。すると、この第2の気室42は、膨張した第1の気室41を台として、上方に膨張展開し、さらに、第2の気室42がある程度膨張すると、第2の隔壁部36の連通部を介して、第3の気室43にガスが供給されて第3の気室43が上方に膨張展開して膝部A1の前方に位置し、さらに、第3の気室43がある程度膨張すると、第3の隔壁部37の連通部を介して、第4の気室44にガスが供給されて第4の気室44が上方に膨張展開する。
そして、図1(a)に示すように、エアバッグ1が膨張展開すると、エアバッグ本体部30の膨出部48は、インストルメントパネル12の表面側に沿って上側に膨張展開し、すなわち、乗員の下肢部Aとインストルメントパネル12との間に沿って上側に膨張展開し、下肢部Aを拘束して、乗員の下方への滑り込みを防止して保護する。なお、図1(b)は、乗員や座席Sが存在しない場合のエアバッグ1の膨張展開形状である。また、図2(a)はエアバッグ装置1の起動前の状態、図2(b)はエアバッグ装置1の起動後60ミリ秒の状態である。
例えば、インストルメントパネル12と膝部A1との間の寸法が約65ミリで、ダミーCとして、比較的大柄な米国人男性を模したダミー(AM95%、質量102kg)を用いた実験の結果、衝突後すなわちエアバッグ装置2の起動後、14ミリ秒後には、膨張展開時の厚さ寸法が約100ミリのエアバッグ1を先端部40まで十分に膨張展開させ、膝部A1の移動を6ミリ以内とすることができた。すなわち、衝突後20ミリ秒を経過すると、下肢部Aがインストルメントパネル12に近接し、エアバッグ1を下肢部Aとインストルメントパネル12との間に膨張展開させることが困難になるが、本実施の形態では、14ミリ秒後には先端部40まで展開し、乗員の十分な保護が可能であることが分かった。
なお、この実験に用いたエアバッグ装置2などの条件は、以下のとおりである。
エアバッグ1の第1の気室41の最大の厚さ寸法L1は113ミリ、容積V1は6.3リットル、第2の気室42の最大の厚さ寸法L2は109ミリ、容積V2は6.1リットル、第3の気室43の最大の厚さ寸法L3は102ミリ、容積V3は5.2リットル、第4の気室44の最大の厚さ寸法L4は77ミリ、容積V4は4.3リットルである。また、これら厚さ寸法L1〜L4に沿った方向と平行な方向で、第1の隔壁部35の長さ寸法L11は65ミリ、第2の隔壁部36の長さ寸法L12は45ミリ、第3の隔壁部37の長さ寸法L13は35ミリである。
また、膝部A1とインストルメントパネル12との間の最短の寸法L21は69ミリ、水平方向の寸法L22は86ミリ、脛部A2とインストルメントパネル12との間の最短の寸法L23は64ミリ、水平方向の寸法L24は84ミリである。
なお、座席Sの位置については、座面の前端上部S1とインストルメントパネル12との間の最短の寸法L31は170ミリ、水平方向の寸法L32は230ミリに設定して実験している。
このように、本実施の形態によれば、インストルメントパネル12の下側部に配置され、パネル5の表面に沿ってエアバッグ1を膨張展開し、着席した乗員の下肢部Aを保護するいわゆるニーエアバッグ装置であるエアバッグ装置2について、エアバッグ1の膨出部48が着席した乗員の膝部A1及び脛部A2を含む下肢部Aに対向する位置に膨張展開し、移動してくる乗員を拘束するとともに、パネル5など車体側の部材との当接を抑制し、いわゆるサブマリン現象を防止して、乗員を保護できる。
そして、この膨出部48は、パネル5の下側から膨出し上方に膨張展開するため、エアバッグ1から乗員に対して加わる力を容易に抑制できる。すなわち、正面衝突などの衝突時には、乗員には前方に投げ出されるような力が加わり、下肢部Aとインストルメントパネル12との寸法は小さくなるように変化する。また、衝突時以外の通常時においても、インストルメントパネル12の意匠上、下肢部Aの上部である膝部A1とインストルメントパネル12との間の寸法、及び、下肢部Aの下部である脛部A2とインストルメントパネル12との間の寸法は、極めて小さくなる場合がある。そこで、本実施の形態では、エアバッグ1は、膝部A1の正面からすなわち膝部A1に正対して展開するのではなく、エアバッグ装置2の起動後の最初期には、比較的空間に余裕のある足首から脛部A2に正対する状態で第1の気室41を膨張展開し、次いで、膨張展開した第1の気室41を台として、時間の経過に従い徐々に小さくなる下肢部Aとインストルメントパネル12との間に沿って滑り込むように膝部A1の前まで膨張展開するため、下肢部Aの膝部A1とインストルメントパネル12との間の寸法が小さい場合にも、エアバッグ1から乗員に加わる力、特に、膝部A1及び膝部A1周辺部に加わる力を抑制できる。
また、エアバッグ1の膨出部48は、下側の基部39側から上側の先端部40側に向かい、順次連通する複数の気室41,42,43,44に区画され、これら複数の気室41,42,43,44の膨張展開時におけるパネル5と下肢部Aとの間の最大の厚さ寸法L1,L2,L3,L4及び容積V1,V2,V3,V4は、下側に位置する気室に対し上側に位置する気室が順次小さく形成されている。そこで、下側に位置する第1の気室41は、十分な厚さ寸法L1かつ十分な容積V1で展開させ、すなわち十分な衝撃吸収ストロークを確保し、足首から脛部A2にかかる部分を安定して拘束して乗員を保護できるとともに、この第1の気室41を強固な台として、他の気室42,43,44を安定して上方に膨張展開させることができる。一方、上側の気室42,43,44は、厚さ寸法L2,L3,L4が順次小さくなり、すなわち、膨出部48の上側部の厚さ寸法を小さくしたため、上方に向かって下肢部Aとインストルメントパネル12との間の離間寸法が小さくなり時間をおってさらに小さくなる下肢部Aとインストルメントパネル12との間に、膨出部48を円滑に膨張展開させることができるとともに、容積V2,V3,V4も順次小さくなるため、上側の気室42,43,44を迅速に膨張展開させることができる。さらに、膨出部48の上側部の厚さ寸法を小さくすることにより、膝部A1下方すなわち脛部A2上部に対する押圧力を容易に小さくできる。
また、エアバッグ1は、乗員側に面する第1の基布部31と、パネル5側に面する第2の基布部32とを、複数の隔壁部35,36,37で連結して複数の気室41,42,43,44を区画形成している。これら基布部31,32同士は糸などで直接縫い合わせて連結することもできるが、本実施の形態のように、基布部31,32同士を隔壁部35,36,37を介して連結することにより、基布部31,32同士を糸などで直接縫い合わせて連結する構成などに比べ、エアバッグ1の膨出部48の膨張展開時の立体形状をより容易に所望の形状に規制でき、特に、乗員側に面する第1の基布部31の膨張展開時の形状を容易に平滑な所望の形状にして、下肢部Aの各部を均一な圧力で支え、膝部A1などの移動を抑制することができる。
また、エアバッグ1の膨出部48は、区画された部分、すなわち隔壁部35,36,37を基布部31,32に縫着した部分で屈曲しやすいとともに、隔壁部35,36,37は両側方向を長手方向として互いに平行に配置されたいわゆる横テザーとしている。そこで、上下方向に延びるいわゆる縦テザーに比べ、パネル5を含むインストルメントパネル12が上下方向に大きく湾曲している場合にも、エアバッグ1に下肢部Aが接触した際にも、下肢部Aに加わる力を抑制しつつ、膨出部48をインストルメントパネル12に沿って先端部40まで円滑に膨張展開させることができる。
また、エアバッグ1の外殻を構成する第1及び第2の基布部31,32は、樹脂などを塗布していないいわゆるノンコートの基布を用い、さらに、各基布部31,32同士あるいは各基布部31,32と各隔壁部35,36,37とを縫い合わせた糸目の部分にも気密性を向上するシール部などを設けていないため、各基布部31,32の全体や糸目などからのガスの排気を可能とし、衝撃吸収特性を容易に良好にできる。
このようにして、エアバッグ1の膨出部48を、車両の座席Sに着席した乗員の下肢部Aに対向する位置で、下方から上方に向かって迅速に安定して膨張展開させ、着席した乗員の下肢部Aを安定して保護できるという好ましい特性で膨張展開させることができる。
なお、上記の実施の形態では、エアバッグ1には、3カ所の隔壁部35,36,37により、4カ所の気室41,42,43,44を設けたが、この構成に限られず、複数の気室を備えた構成であれば、気室及び隔壁部の数は適宜設定することができ、例えば気室の数は、2個、3個、あるいは5以上とすることもできる。
例えば、図5に示すように、2カ所の隔壁部35,36により、3カ所の気室41,42,43を設ける構成とすることもできる。この構成では、先端部40に位置する第3の気室43が、膝部A1の前方に対向して展開するようになっている。
また、隔壁部35,36,37同士の間に位置して、第1の基布部31と第2の基布部32とをテザーと呼ばれる細い帯状の基布で連結することもできる。
また、上記の実施の形態では、エアバッグ本体部30は、2枚の基布略同形状の基布部31,32の外周部を縫着して形成したが、この縫着した部分は、接着など他の手段で接合することもできる。
また、パネル5の部分を含みインストルメントパネル12は、上下方向に曲面状などをなして傾斜しているとともに、両側方向についても曲面状などをなして傾斜している場合にも適用できる。この場合には、エアバッグ1の膨出部48は、左右で厚さ寸法を変えて形成し、乗員に対向する面が両側方向に傾斜せずに正対するようにすることもできる。
本発明は、車両に備えられるエアバッグ装置の他、車両以外の移動体に備えて乗員を保護することもできる。
本発明のエアバッグ装置の一実施の形態を示す説明図であり、(a)は乗員が存在する場合のエアバッグの膨張展開時の説明図、(b)は乗員が存在しない場合のエアバッグの膨張展開時の説明図である。 同上エアバッグ装置の図4のI−I断面相当位置の説明図であり、(a)はエアバッグ装置の起動前の説明図、(b)はエアバッグ装置の起動後60ミリ秒の状態の説明図である。 同上エアバッグ装置のエアバッグを平面上に広げた状態の平面図である。 同上エアバッグ装置のパネルの斜視図である。 同上エアバッグ装置の他の実施の形態のエアバッグの膨張展開時の説明図である。
1 エアバッグ
2 エアバッグ装置
5 所定面を構成するパネル
21 ケース体
22 インフレータ
31 第1の基布部
32 第2の基布部
35 隔壁部としての第1の隔壁部
36 隔壁部としての第2の隔壁部
37 隔壁部としての第3の隔壁部
39 基部
40 先端部
41 気室としての第1の気室
42 気室としての第2の気室
43 気室としての第3の気室
44 気室としての第4の気室
48 膨出部
A 下肢部
A1 膝部
A2 脛部
L1,L2,L3,L4 厚さ寸法
V1,V2,V3,V4 容積
S 座席

Claims (2)

  1. 乗員側に面する第1の基布部と、所定面側に面する第2の基布部とを備えて前記所定面から膨出し、着席した乗員の膝部及び脛部を含む下肢部に対向して、前記所定面と前記下肢部との間に沿って上側に向かって膨張展開する膨出部を備えたエアバッグであって、
    前記膨出部は、前記第1の基布部と第2の基布部との内面同士を連結する隔壁部を備えてガスが導入され前記脛部に対向して展開する下側の基部からガスの下流側である上側の先端部に向かい順次連通する複数の気室に区画され、これら複数の気室の膨張展開時における前記所定面と前記下肢部との間の最大の厚さ寸法及びこれら気室の容積は、下側に位置する前記気室に対し上側に位置する前記気室が順次小さくなる
    ことを特徴とするエアバッグ
  2. 請求項記載のエアバッグと、
    このエアバッグの膨出部の基部にガスを供給するインフレータと、
    乗員が着席する座席に対向して配置された所定面を構成するパネルの背面側に位置し折り畳まれた前記エアバッグを収納するケース体と
    を具備することを特徴とするエアバッグ装置。
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