JP5473812B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、車両の座席の側方にエアバッグを展開するサイドエアバッグ装置に関する。
従来、例えば、自動車の座席に着席した乗員の側方にエアバッグを展開して乗員を保護するサイドエアバッグ装置が知られている。このサイドエアバッグ装置は、座席の側部に収納されたエアバッグ及びこのエアバッグにガスを供給するインフレータを備え、側面衝突時に着席した乗員とドアとの間にエアバッグを展開して、乗員を保護するようになっている。
このようなサイドエアバッグ装置として、エアバッグの基布の対向する部分を縫着したシームを形成し、エアバッグの内側を主膨張室と副膨張室とに区画するとともに、シームの部分はガスを通過可能とした構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、主膨張室は、乗員の胸郭部に対応するように配置され、展開初期に主膨張室の内圧を確保し、乗員がエアバッグに当接すると、シームの通路を介してガスを主膨張室から副膨張室へ流し、主膨張室の内圧を低減することを図っている。
すなわち、この構成では、主膨張室は、乗員の胸郭部に対応するように配置され、シームの前端部は乗員の胸郭部より前方に配置されている。
特開2005−29073号公報
上記従来のように、乗員の胸郭部に対応する主膨張室を備えた構成では、展開初期にエアバッグはシームの位置すなわち乗員の胸郭部を超える位置まで前方に展開する。ここで、乗員がシートベルトを装着して座席の適正な位置に着席しておらず、例えば、エアバッグが展開するドアに沿った位置などの非適正乗車位置に乗員が存在するいわゆるOOP(Out of position)の状態では、乗員がエアバッグにより一定の寸法まで前方に押圧されることになる。一方、展開初期にエアバッグが展開する寸法が小さいと、適正な位置の乗員を拘束する領域が小さくなる。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適正な位置の乗員を保護できるとともに非適正乗車位置の乗員に対する影響を抑制できるサイドエアバッグ装置を提供することを目的とする。
請求項1記載のサイドエアバッグ装置は、車両の車室に設けられ、座席に着席した乗員と前記車室の側壁部との間に沿って、前記乗員の背面側から正面側に向かう展開方向に膨張展開するエアバッグと、このエアバッグにガスを供給するインフレータとを有するサイドエアバッグ装置であって、前記エアバッグは、前記インフレータからガスが導入される膨張部と、この膨張部を前記展開方向に区画し前記ガスの上流側の第1膨張部とこの第1膨張部の下流側の第2膨張部とを形成する隔壁と、この隔壁に設けられ前記第1膨張部と前記第2膨張部とを連通する連通口とを具備し、前記隔壁は、前記エアバッグの展開状態で、前記第1膨張部の前記展開方向の先端部の位置が、前記座席の適正な位置に着席した乗員の肋骨部の側部に対応した位置に配置されたものである。
請求項2記載のサイドエアバッグ装置は、請求項1記載のサイドエアバッグ装置において、エアバッグは、膨張部の外殻を構成し展開状態で座席側に位置する内側基布部と側壁部側に位置する外側基布部とを備え、隔壁は、幅方向に寸法を有する帯状で、前記内側基布部と前記外側基布部とを前記幅方向に離間可能に連結するものである。
請求項1記載のサイドエアバッグ装置によれば、エアバッグの膨張展開時にインフレータから膨張部に供給されるガスは、まず、上流側の第1膨張部に供給され、この第1膨張部を膨張展開させ、次いで、この第1膨張部から隔壁の連通口を介して下流側の第2膨張部に供給され、この第2膨張部を膨張展開させる。座席に着席した乗員は、これら第1膨張部及び第2膨張部が膨張展開したエアバッグにより拘束されて側方への移動が抑制されるとともに、側壁部への当接が抑制されて保護される。エアバッグの展開初期には、第1膨張部が迅速に所定の内圧で膨張展開し、乗員の少なくとも肋骨部の側部の一部を所定の反力で拘束して保護できる。一方、第1膨張部の展開方向の先端部の位置は、座席の適正な位置に着席した乗員の肋骨部の側部に対応した位置に配置されたため、乗員が非適正乗車位置であるエアバッグの展開方向の正面に存在する場合にも、この非適正乗車位置の乗員が第1膨張部により押圧して移動される距離を小さくできる。第1膨張部に続いて膨張展開する第2膨張部は、第1膨張部よりも低圧で徐々に膨張展開するため、非適正乗車位置の乗員に与える影響を抑制して保護できる。隔壁に設けた連通口を調整することにより、第1膨張部及び第2膨張部の乗員拘束時の反力の特性を容易に調整できる。
請求項2記載のサイドエアバッグ装置によれば、請求項1記載の効果に加え、隔壁は、幅方向に寸法を有する帯状としたため、隔壁の位置における内側基布部と外側基布部との離間可能すなわち膨張部のストロークが確保され、乗員の側壁部への当接を抑制して保護できる。
本発明のサイドエアバッグ装置の一実施の形態を示すエアバッグが展開した状態の側方から見た説明図である。 同上サイドエアバッグ装置の上方から見た説明図である。 同上サイドエアバッグ装置のエアバッグの斜視図である。 同上サイドエアバッグ装置の側方から見た説明図である。 同上サイドエアバッグ装置の非適正乗車位置の乗員に対する動作を説明する説明図であり、(a)は展開初期の状態、(b)は(a)に続く状態である。 同上サイドエアバッグ装置の動作を説明するグラフである。 同上サイドエアバッグ装置の動作を説明するグラフである。 本発明のサイドエアバッグ装置の他の実施の形態を示すエアバッグが展開した状態の側方から見た説明図である。
以下、本発明のサイドエアバッグ装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図4において、1はサイドエアバッグ装置で、このサイドエアバッグ装置1は、自動車である車両2の車室3の座席4に取り付けられ、座席4に着席した乗員Aとドアなどの車室3の側壁部6との間に沿ってエアバッグ11を膨張展開し、乗員を拘束するとともに側壁部6との当接を抑制して着席した乗員Aを保護する。なお、各図において、乗員Aはダミーにより示しており、図1及び図3に示す乗員Aは、成人男性を模した側突用ダミー(商品名 ES-2 dummy model)である。また、図5に示す乗員Bは、子供を模したダミーである。また、前後、両側、上下などの方向は、車両2の直進方向を基準とし、図1におけるFが展開方向としての前方、Uが上方、図2におけるWが幅方向に沿った外側方である。また、座席4は、座部4aと、この座部4aの後部から上側に立設された背部(シートバック)4bとを備えている。そして、この背部4bは、角度調整可能に設けられ、図1に示すように通常は傾斜した状態で用いられるものであるが、以下、方向については、図4に示すように、背部4bが垂直状に上側に立設された状態として説明する。
そして、このサイドエアバッグ装置1は、ガスが供給されて膨張展開する袋状のエアバッグ11と、このエアバッグ11にガスを供給するインフレータ12と、これらエアバッグ11及びインフレ−タ12を座席4に固定する取付部材である固定具16と、これら部材を収納するカバーである図示しない樹脂製のケース体となどを備え、座席4の背部4bの側部に設けられた収納位置18に収納され、座席4のフレーム(シートフレーム)4cに固定されている。また、このサイドエアバッグ装置1は、車両2に設けられた図示しない制御装置を備え、この制御装置によりインフレ−タ12が制御される。
そして、インフレータ12は、略円柱状の本体部21と、この本体部21の一端部である上端部から突設されたガス供給部22とを備えている。また、本体部21の他端部である下端部には、制御手段に接続されインフレ−タ12を起動させるための図示しないコネクタが設けられている。そして、ガス供給部22は、ディフューザとも呼ばれるもので、本体部21の一端部から、本体部21より径寸法の小さい円柱状に突設され、周面にはガス吐出口となる複数の円孔が形成されている。なお、インフレータ12は、種々の形式を採り得るものであるが、例えばいわゆるハイブリッドタイプで、コネクタに点火信号が流れることにより、本体部21の内部に充填した推進薬を反応させるとともに、本体部21の内部のボンベに貯留したガスを開放して、ガス供給部22から比較的低い温度のガスを噴射する。
また、固定具16は、リテーナとも呼ばれるもので、板金を折曲形成したリテーナ本体部25と、このリテーナ本体部25に固着された図示しない取付手段である一対のボルトとを備えている。そして、リテーナ本体部25は、略平板状の基板部26と、この基板部26から外側方である表側に一体に延設されたインフレータ保持部27とを備えている。そして、インフレータ保持部27は、各インフレ−タ12の本体部21を挿入可能な略円筒状に湾曲され、先端部をボルトやリベットなどの固定具で基板部26に締め付け固定することにより、インフレ−タ12を固定して保持する。また、ボルトは、リテーナ本体部25の基板部26に固着され、裏面側に突設されている。
また、エアバッグ11は、乗員Aの背面側から正面側すなわち後側から前側に向かう展開方向に膨張展開するもので、1枚あるいは複数枚のパネルとも呼ばれる基布を縫合し、内側をインフレータ12からガスが導入される気室である膨張部30とする袋状に構成されている。本実施の形態では、展開状態で座席4側すなわち乗員A側に位置する内側基布部31と、この内側基布部31の外側方に位置し側壁部6側に位置する外側基布部32と、これら基布部31,32の外周部を連結する外周基布部33とを図4に示す接合線34に沿って縫い合わせて接合することにより、両側面、上下の面及び前面がそれぞれ1枚の基布で構成された扁平な袋体の外殻35が構成されている。また、外殻35の後端部には、インフレ−タ12などを挿入する開口37が設けられ、インフレ−タ12は膨張部30の後側部に配置される。
さらに、エアバッグ11の内側には、帯状の隔壁40が設けられ、この隔壁40により、膨張部30が展開方向すなわち前後に区画され、後側に位置しガスの上流側の気室となる第1膨張部41と、この第1膨張部41の前側に位置しガスの下流側の気室となる第2膨張部42とを備えている。すなわち、展開方向と交差する方向を長手方向として膨張部30を仕切る隔壁40を分割ラインとして、高圧室である第1膨張部41と低圧室である第2膨張部42とが区画形成されたいわば並列バッグとなっている。そして、この隔壁40は、幅方向に寸法を有する帯状の基布によりいわば分割帯として形成され、両側部が内側基布部31と外側基布部32とに図4に示す隔壁接合線43で縫合して接合され、すなわち内側基布部31と外側基布部32とを幅方向に離間可能に連結し、エアバッグ11の膨張部30すなわち外殻35の両側方向の展開寸法を規制するとともに所定の幅寸法で扁平に展開可能としている。また、この隔壁40は、上端部が外周基布部33の上側部に縫合して接合され、下端部が外周基布部33の下側部に縫合して接合されている。なお、この隔壁40は、長手方向すなわち上下方向の中間部分は垂直状あるいは若干傾斜した平板状であり、側方から見て直線状となっている。また、この隔壁40は、外周基布部33に連結される上下の端部の近傍のみが後側に向かい曲面状に湾曲している。そして、この隔壁40すなわち第1膨張部41の先端部である前端部の位置は、後述するように、エアバッグ11の展開状態で、座席4の適正位置に着席しシートベルトを装着した乗員Aの肋骨部Lに対応した位置すなわち肋骨部Lの側部に対向する位置に配置され、より好ましくは乗員Aの肋骨部Lの前後方向の中央位置に沿って配置されている。すなわち、第1膨張部41と第2膨張部42とを合わせた膨張部30は、乗員Aの肋骨部Lの側方の前後方向の全体を覆うが、第1膨張部41は、適正位置の乗員Aの側方の前後方向の全体を覆うものではなく、一部のみを覆う。
また、この隔壁40には、第1膨張部41と第2膨張部42とを連通する連通口44が形成されている。この連通口44は、第1膨張部41と第2膨張部42とを所定の通気抵抗を有しつつガスを連通させるもので、単数あるいは複数の通孔で形成され、本実施の形態では、上下に離間して配置された2個の円孔により形成されている。
さらに、エアバッグ11の外殻35には、膨張部30を外部に連通する排気口であるベントホール46が設けられている。このベントホール46は、本実施の形態では、エアバッグ11の前端部で上下方向の中間部に位置する外周基布部33に、前方に向かって開口する1個の円孔として形成されている。
また、このエアバッグ11の外殻35の開口37を設けた後端側の部分は、内側方に折り重ねられる基部48となっており、この基部48の部分には、基布部31,32を貫通する図示しない取付孔が形成されている。
また、図示しないが、外殻35の内側あるいは外側には、必要に応じて防炎布などとも呼ばれる補強布が重ねて縫い合わされている。
次に、このサイドエアバッグ装置1の組み立て工程を説明する。
まず、固定具16にインフレ−タ12を取り付けて、インフレータユニットを構成する。そして、このインフレータユニットを、縫製したエアバッグ11の後端の開口37から膨張部30内に挿入し、エアバッグ11の基部48を折り重ねるとともに、固定具16のボルトを取付孔から外側に引き出し、図示しないナットなどで固定する。この状態で、インフレ−タ12のガス供給部22は、第1膨張部41の後端部近傍に配置される。
そして、このようにインフレータ12及び固定具16と組み合わされたエアバッグ11を所定の形状に小さく折り畳み、さらに、これらエアバッグ11、インフレータ12及び固定具16を必要に応じてケースに収納し、サイドエアバッグ装置1が構成される。そして、このサイドエアバッグ装置1は、座席4の側部の収納位置18に収納され、固定具16の各ボルトを座席4のフレーム4cなどに固定することにより、自動車の座席4に取り付けられ、すなわち、固定具16を介して、エアバッグ11及びインフレータ12が車体に取り付けられる。さらに、サイドエアバッグ装置1のインフレ−タ12のコネクタを図示しないハーネスを介して車両2側に備えられた制御装置に接続する。そして、この制御装置は、CPUを備えるとともに、単数あるいは複数のセンサが接続され、これらセンサにより得られる乗員の状態や衝突の状況に応じて、インフレ−タ12を所定のタイミングで起動させる。
次に、このサイドエアバッグ装置1の展開動作を説明する。
車両2が側面衝突などの衝撃を受けると、制御手段は、乗員の保護に適切な状態でインフレ−タ12を起動し、ガス供給部22からガスを噴射する。すると、このガスはまず直接に第1膨張部41に供給され、この第1膨張部41を膨張展開させる。すると、この膨張展開する圧力により、エアバッグ11は、カバーを開いて座席4から突出し、前方に向かって膨張展開する。この展開初期の状態では、隔壁40によりガスの第2膨張部42への流入が抑制されるため、第1膨張部41が迅速に展開して、すなわち、第2膨張部42よりも第1膨張部41の内圧が迅速に大きくなり、必要な反力が確保される。さらに、第1膨張部41が膨張展開した後の展開後期には、隔壁40の連通口44を介して第1膨張部41から第2膨張部42へガスが徐々に導入され、第2膨張部42が徐々に膨張展開し、これら第1膨張部41と第2膨張部42との圧力が等しくなる。
そこで、例えば、座席4の正規位置に着席しシートベルトを装着した平均的な成人男性の体格の乗員Aの場合は、図1、図2、及び図4に示すように、主として乗員Aの胸部の側方に位置し、乗員Aと車両2の側壁部6との間に所定の面積、所定の厚さ寸法、かつ所定の内圧すなわち所定の反力でエアバッグ11の膨張部30を展開して、乗員Aを保護する。そして、膨張部30を構成する第1膨張部41は展開初期に十分な内圧すなわち反力で迅速に膨張展開するため、仮に乗員Aが展開初期に側方に移動しようとしても、エアバッグ11は第1膨張部41により乗員Aを拘束して保護できる。すなわち、適正乗車位置に着座している乗員Aに対しては、高圧である第1膨張部41により乗員Aの背部4b側を早期段階から拘束でき、さらに、第1膨張部41の展開に引き続き第1膨張部41よりも低圧な第2膨張部42の圧力が第1膨張部41と同じ大きさになった後に、大きく形成されている乗員拘束面で乗員全体を拘束できる。さらに、エアバッグ11が完全に展開した状態の後、あるいは乗員Aがエアバッグ11に当接した状態で、ベントホール46からガスが排気される。
一方、乗員Bが非適正乗車位置に存在する場合、例えば、図5に示すように、子供である乗員Bが非適正乗車位置であるエアバッグ11の展開方向の正面部に後ろ向きの乗車姿勢で存在する近接展開の場合や、着座した乗員Aがエアバッグ11の展開方向に位置をずらして着座している場合について、エアバッグ11は、展開初期の状態では、第1膨張部41のみ十分な内圧で迅速に膨張展開し、すなわち、図5(a)に示すように、最大でも乗員Aの肋骨部Lの側部に対応した位置までのみ、十分な内圧で迅速に膨張展開する。すなわち、高圧な第1膨張部41は、膨張部30の全体に対して前後方向の寸法が短く形成されている。そこで、仮に乗員Bが座席4の背部4bの外側の縁部に極めて近接している場合でも、正規位置の乗員Aを保護するために十分な内圧で迅速に膨張展開する第1膨張部41により非正規位置の乗員Bが押動される距離は僅かであり、いわば乗員Aの側方を一体に覆う気室を備えたエアバッグに比べて押圧力は大幅に減少され、非正規位置の乗員Bに対する影響は抑制される。そして、展開後期では、図5(b)に示すように、第2膨張部42が膨張展開し、この第2膨張部42により乗員Bが押動されるが、第2膨張部42は隔壁40の連通口44によりガスの流入が抑制されている。そこで、低圧で徐々に膨張展開する第2膨張部42により、乗員Bは柔らかく前方に押圧され、非正規位置の乗員Bに対する影響は抑制される。
図6に、非適正乗車位置の乗員Bに対しエアバッグ11から加わる反力を測定した実験結果の波形のグラフを示す。横軸tは時間〔ミリ秒〕、縦軸F1は反力〔kN〕で、B1は上記実施の形態の隔壁40を備えたエアバッグ11、B2は比較例として用いた隔壁を備えないエアバッグである。この比較例のエアバッグでは、インフレータ12のガスの入力はそのまま乗員への反力になるのに対し、本実施の形態のエアバッグ11は、一度上流側の第1膨張部41でガスの入力を受け止め、連通口44を通して先端側の第2膨張部42へガスを流すため、乗員Bへの反力は低下する。そして、この実験結果のグラフにより、図中のCの分だけ、本実施の形態のエアバッグ11は展開初期の反力の最大値が小さくなり、近接展開の乗員Bへの反力を低減できることが確認された。
また、図7に、適正位置の乗員Aに対するエアバッグ11の反力を測定した実験結果の波形のグラフを示す。横軸Sはエアバッグ11の厚さ寸法すなわち残ストローク量〔ミリ〕マイナスの値として示したもので、左側に行くほど残ストローク量が大きい状態で、右側の原点はエアバッグが潰れて残ストロークがない状態である。また、縦軸F2はエアバッグ11が適正位置の乗員Aと当接した時点の反力〔kN〕で、D1は上記実施の形態の隔壁40を備えたエアバッグ11、D2は比較例として用いた隔壁を備えないエアバッグである。このグラフは、同じ残ストローク量すなわち同じ厚さ寸法となった状態で比較すると、隔壁40を設けた本実施の形態のエアバッグ11の方が、比較例よりも反力が大きいことが示されている。これは、比較例の1室で構成されたエアバッグは、容量が大きいため内圧が上昇すなわち乗員を拘束するために必要な反力を得るために時間がかかるのに対し、2室から構成された本実施の形態では、小容量の第1膨張部41の内圧が迅速に上昇した結果と理解される。そして、この実験結果のグラフにより、図中のD1,D2に挟まれたEの領域において、2室化した本実施の形態のエアバッグ11は、いわば反力の立ち上がりの傾きを高め、展開初期の拘束を良好にして、適正位置の乗員Aを早期に拘束できたことが確認された。
このように、本実施の形態によれば、車両2の車室3に設けられ、座席4に着席した乗員Aと車室3の側壁部6との間に沿って乗員Aの背面側から正面側に向かう展開方向に膨張展開するエアバッグ11と、このエアバッグ11にガスを供給するインフレータ12とを有するサイドエアバッグ装置1について、エアバッグ11は、インフレータ12からガスが導入される膨張部30と、この膨張部30を展開方向に区画しガスの上流側の第1膨張部41とこの第1膨張部41の下流側の第2膨張部42とを形成する隔壁40と、この隔壁40に設けられ第1膨張部41と第2の膨張部42とを連通する連通口44とを具備し、隔壁40は、エアバッグ11の展開状態で、第1膨張部41の展開方向の先端部の位置が、座席4の適正な位置に着席した乗員Aの肋骨部Lの側部に対応した位置に配置されている。そこで、エアバッグ11の膨張展開時にインフレータ12から膨張部30に供給されるガスは、まず、上流側の第1膨張部41に供給され、この第1膨張部41を膨張展開させ、次いで、この第1膨張部41から隔壁40の連通口44を介して下流側の第2膨張部42に供給され、この第2膨張部42を膨張展開させる。座席4に着席した乗員Aは、これら第1膨張部41及び第2膨張部42が膨張展開したエアバッグ11により拘束されて側方への移動が抑制されるとともに、側壁部6への当接が抑制されて保護される。
そして、エアバッグ11の展開初期には、第1膨張部41が所定の十分な内圧ですなわち所定の十分な反力で迅速に膨張展開するため、仮に乗員Aが展開初期に側方に移動しようとしても、エアバッグ11は第1膨張部41により適正位置に着席した乗員Aの少なくとも肋骨部Lの側部の一部を所定の反力で拘束して保護できる。
一方、第1膨張部41の展開方向の先端部の位置は、座席4の適正な位置に着席した乗員の肋骨部Lの側部に対応した位置に配置されているため、展開初期の状態では、最大でも乗員Aの肋骨部Lの側部に対応した位置までのみ迅速に膨張展開する。そこで、仮に乗員Bが非適正乗車位置であるエアバッグ11の展開方向の正面に近接して存在するいわゆるOOPの場合にも、この非適正乗車位置の座席4の乗員Bが第1膨張部41により押圧して移動される距離を小さくできるとともに、第1膨張部41に続いて膨張展開する第2膨張部42は第1膨張部41よりも低圧で徐々に膨張展開するため、展開したエアバッグ11による乗員Bへの押圧力を大幅に減らし、非適正乗車位置の乗員Bに与える影響を抑制して保護できる。
このように、適正位置の乗員Aの肋骨部Lの位置に設けた隔壁40により第1膨張部41と第2膨張部42とを分ける構成により、乗員拘束性能と乗員に対する影響の軽減の両立、すなわち、適正位置の乗員Aを早期から十分な反力で保護しつつ非適正乗車位置の乗員Bに与える影響を抑制するとの好ましい特性を容易に実現できる。
また、エアバッグ11は、第1膨張部41から第2膨張部42へのガスの移動を許容する隔壁40の連通口44の通気抵抗すなわち開口面積や形状を調整することにより、これら第1膨張部41及び第2膨張部42の内圧すなわち乗員拘束時の反力の特性を容易に調整できる。
さらに、エアバッグ11は、隔壁40により膨張部30を区画して上流側に第1膨張部41を形成したため、ガスの圧力を効率良く利用して第1膨張部41を十分な内圧で円滑迅速に膨張展開できるとともに、インフレ−タ12の小形化が可能になる。
また、エアバッグ11は、膨張部30の外殻35を構成し展開状態で座席4側に位置する内側基布部31と側壁部6側に位置する外側基布部32とを備え、隔壁40は、幅方向に寸法を有する帯状で、内側基布部31と外側基布部32とを幅方向に離間可能に連結するもので、隔壁40は、幅方向に寸法を有する帯状としたため、隔壁40の位置における内側基布部31と外側基布部32との離間可能すなわち膨張部30のストロークが確保され、乗員Aの側壁部6への当接を抑制して保護できる。
さらに、本実施の形態では、膨張部30の外殻35の外周部にまち状の外周基布部33を設け、エアバッグ11の保護領域である膨張部30のほぼ全体でストロークを確保し、乗員Aの側壁部6への当接を抑制して保護できる。
なお、上記の実施の形態では、内側基布部31と外側基布部32とを連結する隔壁40及び外周基布部33をともに帯状の基布で形成したが、この構成に限られない。例えば、これら隔壁40及び外殻35の外周の接合部は、糸を用いた縫合などにより内側基布部31と外側基布部32とを直接的に連結して形成することもできる。
また、エアバッグ11の展開形状は、保護が必要な領域の形状などに応じて適宜の形状を採ることができる。例えば、図8に示すように、側面視で、第1膨張部41について、基端である後端部から先端側である隔壁40の部分に向かい、上下方向の寸法が次第に大きくなるように形成することもできる。
また、インフレータ12は、ハイブリッドタイプの他、燃焼によりガスを供給するいわゆるパイロ式の構成などを採ることもできる。
本発明は、例えば、自動車の座席の側部に収納され、乗員とドアとの間にエアバッグを展開して乗員を保護するサイドエアバッグ装置として用いられる。
1 サイドエアバッグ装置
2 車両
3 車室
4 座席
6 側壁部
11 エアバッグ
12 インフレータ
30 膨張部
31 内側基布部
32 外側基布部
35 外殻
40 隔壁
41 第1膨張部
42 第2膨張部
44 連通口
A 乗員
F 展開方向
L 肋骨部

Claims (2)

  1. 車両の車室に設けられ、座席に着席した乗員と前記車室の側壁部との間に沿って、前記乗員の背面側から正面側に向かう展開方向に膨張展開するエアバッグと、このエアバッグにガスを供給するインフレータとを有するサイドエアバッグ装置であって、
    前記エアバッグは、前記インフレータからガスが導入される膨張部と、この膨張部を前記展開方向に区画し前記ガスの上流側の第1膨張部とこの第1膨張部の下流側の第2膨張部とを形成する隔壁と、この隔壁に設けられ前記第1膨張部と前記第2膨張部とを連通する連通口とを具備し、
    前記隔壁は、前記エアバッグの展開状態で、前記第1膨張部の前記展開方向の先端部の位置が、前記座席の適正な位置に着席した乗員の肋骨部の側部に対応した位置に配置された
    ことを特徴とするサイドエアバッグ装置。
  2. エアバッグは、膨張部の外殻を構成し展開状態で座席側に位置する内側基布部と側壁部側に位置する外側基布部とを備え、
    隔壁は、幅方向に寸法を有する帯状で、前記内側基布部と前記外側基布部とを前記幅方向に離間可能に連結する
    ことを特徴とする請求項1記載のサイドエアバッグ装置。
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