JP4847258B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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本発明は、このような観点からなされたものであって、肩拘束部を有するエアバッグにおいて、展開時における高さ方向の寸法を適切に制御し、肩拘束部をより効果的に展開膨張するエアバッグ装置を提供することを課題とする。
エアバッグは、車両事故の際、車両乗員とインストルメントパネルとの間の乗員拘束領域において展開膨張する構成を有する。本発明において、「基端部」は、エアバッグが車体側に支持される基部を示し、典型的にはエアバッグの車両前方側の端部に設けられる。また、「正面部」は、前面衝突時に乗員を拘束する面部であって、典型的には車両後方側の端部に、車両後方側に面して配置される。
各インナパネルは、各アウタパネルの内側に配置され、主に展開時に乗員と面する正面部を構成する。各インナパネルは外周縁部において各アウタパネルの外周縁部とそれぞれ接合され側方接合線が形成される、また、湾曲して形成された内周縁部を相互に接合され中央接合線が形成される。本発明においては、各インナパネルを相互に接合する内周縁部の周長は、各インナパネルを対応する各アウタパネルに接合する外周縁部の周長よりも短いため、エアバッグを展開膨張した際に、側方接合線よりも中央接合線の方が小径となり、基端部側に奥まって位置する。その結果、正面部の幅方向における中央部に、上下方向に延在する略溝状の凹部が形成される。そして、凹部を挟んだ両側には、乗員の肩部を拘束する一対の肩拘束部が形成される。
ただし、エアバッグが展開膨張時に高さ方向に過度に膨らむと、中央接合線が上下方向に開いてしまい、予定した凹部及び肩拘束部の形状を得ることができなくなってしまう。また、この場合、エアバッグの容積が増大して、必要な展開用ガスの量が増大する。
このような構成によれば、エアバッグの展開膨張時に、連結部がエアバッグの高さ方向の寸法を規制するテザーとして機能するから、エアバッグが高さ方向に過度に膨らむことを防止できる。このため、上述した中央接合線の開きを防止して、展開用ガスを乗員側に効果的に供給することによって、凹部、肩拘束部を適切な形態に展開することができる。
また、エアバッグの容積が増大することを防止し、ガス供給手段が発生する展開用ガスを有効に利用して、比較的少ないガス発生量であってもエアバッグの展開膨張を適切な形態で行うことができる。
このような構成によれば、エアバッグ内における基端部側の領域において、エアバッグ内を左右方向あるいは上下方向に連通させる空間部を拡大することができるから、エアバッグを左右均等に展開膨張させることができる。
なお、本明細書において、前後、上下、左右の方向は、エアバッグ装置が搭載される車両の前後、上下、左右方向をそれぞれ示すものとする。
エアバッグ装置は、例えば自動車の助手席用として用いられるものであって、インストルメントパネル10の上部に装着されるトップマウントタイプのものである。
エアバッグ装置は、エアバッグ100や、ケース210、衝突センサ220、コントローラ230、インフレータ240等を備えている。
エアバッグ100については、後にさらに詳しく説明する。
コントローラ230は、衝突センサ220の出力に基づいてエアバッグ100の展開要否を判別し、展開が必要と判定された場合に、インフレータ240に展開信号を供給する。
また、図4は、エアバッグ100を車幅方向左側から見た側面図である。図5は、エアバッグ100の上面図である。図6は、エアバッグ100を乗員側から見た正面図である。図7は、エアバッグ100の底面図である。なお、図5から図7は、それぞれ図4のV−V部、VI−VI部、VII−VII部矢視図である。
前面部101は車両の前方側に面して配置された略平坦な面部である。また、正面部105は、エアバッグ100の乗員P側(車両後方側)の端部において、乗員Pに面して配置され、衝突時に乗員Pを拘束する部分である。
側面部102、上面部103、下面部104は、前面部101及び正面部105の側縁部間、上縁部間、下縁部間にそれぞれわたして設けられた面部である。
前面部101は、車両前方側から見たときの投影面積が、正面部105よりも小さく形成され、その結果、エアバッグ100は、全体として前方側が窄まった略四角錐台状に形成されている。
凹部106は、正面部105の車幅方向における中央部を、略上下方向に延在する溝状に凹ませて形成されている。凹部106の上端部及び下端部は、上面部103及び下面部104の車両後方側の一部まで回り込んでいる。
肩拘束部107は、凹部106を車幅方向に挟んだ両側にそれぞれ設けられ、凹部106に対して相対的に乗員P側(車両後方側)へ突き出して形成されている。
エアバッグ100は、左側アウタパネル110、右側アウタパネル120、左側インナパネル130、右側インナパネル140、フロントパネル150を備えて構成されている。
左側アウタパネル110及び右側アウタパネル120は、それぞれ前端縁部111,121、上端縁部112,122、下端縁部113,123、後端縁部114,124から構成される外周縁部を備えている。このうち、上端縁部112,122、下端縁部113,123、後端縁部114,124は、これらを連続させるとリングを略半周程度にわたって切り出した形状となるように湾曲して形成されている。
また、各アウタパネル110,120は、展開膨張後のエアバッグ100の内圧を調整するためにエアバッグ100内から展開用ガスを排出する図示しないベントホールが適宜配設される。
左側インナパネル130及び右側インナパネル140は、それぞれ外周縁部131,141、内周縁部132,142、上側前端縁部133,143、下側前端縁部134,144、連結部135,145を備えている。
ここで、中央接合線Sc及び側方接合線Soは、側方から見たときに、車両前方側が開口した略円弧状となるように形成されるが、中央接合線Scの周長は、側方接合線Soの周長よりも短いことから、エアバッグ100の展開時には、この周長差による引きつりに起因して、中央接合線Scに沿って凹部106が形成される。
フロントパネル150は、左右の側縁部151、上端縁部152、下端縁部153からなる外周縁部を備えている。
上端縁部152は、各インナパネル130,140の上側前端縁部133,143と縫合される部分である。この縫合部は、エアバッグ100の上面部103に配置され、展開後のエアバッグ100の略幅方向に沿って延在している。
下端縁部153は、各インナパネル130,140の下側前端縁部134,144と縫合される部分である。この縫合部は、エアバッグ100の下面部104に配置され、エアバッグ100の略幅方向に沿って延在している。
また、フロントパネル150は、エアバッグ100の展開時に下面部104側となる領域に、吹込み口108が形成されている。
車両の通常使用時(衝突前)においては、エアバッグ100は、折畳まれてケース210に入れられた状態で、インストルメントパネル10の内部に収容される。
車両が前面衝突すると、衝突により発生する加速度を衝突センサ220が検出する。そして、コントローラ230は、衝突センサ220の出力に基づいて、エアバッグ100の展開が必要と判別すると、インフレータ240に展開信号を出力する。インフレータ240は、展開信号に応じて展開用ガスを発生し、この展開用ガスは吹込み口108を介してエアバッグ100内に導入され、この圧力によってエアバッグ100は展開膨張動作を開始する。
本実施の形態においては、エアバッグ100の展開時に、各インナパネル130,140に設けられた連結部135,145は、伸展されることによって、エアバッグ100の高さ方向の寸法を規制するテザーベルトとして機能する。
また、本実施の形態によれば、エアバッグ100の基端部側において、フロントパネル150を設けたことによって、左右の肩拘束部107を連通させる空間部を形成することができるから、左右の各肩拘束部に展開用ガスを十分に供給し、これらを均等に展開膨張させることができる。
なお、本発明は上記した実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
20 フロントスクリーン
100 エアバッグ
101 前面部
102 側面部
103 上面部
104 下面部
105 正面部
106 凹部
107 肩拘束部
108 吹込み口
110 左側アウタパネル
120 右側アウタパネル
130 左側インナパネル
131 外周縁部
132 内周縁部
135 連結部
140 右側インナパネル
141 外周縁部
142 内周縁部
145 連結部
150 フロントパネル
210 ケース
220 衝突センサ
230 コントローラ
240 インフレータ
Sc 中央接合線
So 側方接合線
Claims (2)
- 基布によって形成された複数のパネルを接合して構成された、展開時に乗員と面する正面部、該正面部から離間した展開用ガスを導入する吹込み口が設けられた基端部、並びに、前記正面部と前記基端部との間に配設された左右側面部及び上下面部を有するエアバッグと、
前記吹込み口に展開用ガスを供給するガス供給手段と
を備えるエアバッグ装置であって、
前記複数のパネルとして、
前記左右側面部をそれぞれ構成する左側アウタパネル及び右側アウタパネルと、
前記各アウタパネルの内側に配置されて前記正面部を構成し、その外周縁部において前記各アウタパネルの外周縁部とそれぞれ接合されるとともに、湾曲して形成された内周縁部において相互に接合される左側インナパネル及び右側インナパネルと、を含み、
前記各インナパネルの少なくとも一方は、当該インナパネルと共通の基布から切り出されることによって当該インナパネルと一体に形成され、前記内周縁部の複数箇所の間に掛け渡すように設けられた、前記エアバッグの展開時に略上下方向に延在してテザーとなる連結部を有すること
を特徴とするエアバッグ装置。 - 前記複数のパネルとして、前記エアバッグの前記基端部側の領域において、前記各アウタパネルの外周縁部間にわたして設けられたフロントパネルを含むこと
を特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
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