JP5181634B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池において電気化学反応が進行する際には、一方の電極において水が生じる。また、特に固体高分子型燃料電池では、電解質膜を湿潤状態に保つ必要があるため、燃料電池に供給するガスを加湿する場合があり、このような構成にすると、ガス中の水分がガス流路において凝縮する可能性がある。このようにガス流路内で液水が生じ得る燃料電池では、電極に対するガスの給排が液水によって妨げられることに起因する電池性能の低下を防止するために、電極に対して給排されるガスの通り道を確保すると共に、生じた液水が排出される通り道を確保することが必要である。ガスおよび水の通り道を確保する構成として、電極に近接して、疎水性を有する細孔および親水性を有する細孔を形成した多孔質の保持層を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、疎水性の細孔によってガスの通り道が確保され、親水性の細孔によって液水の通り道が確保される。
特表2002−513200号公報 特開2006−100155号公報 特開2006−4920号公報 特開2004−31325号公報 特開2005−141979号公報
しかしながら、このように疎水性の細孔と親水性の細孔とを設けることによってガスおよび液水の通り道を確保しても、多孔質体からの排水効率には限界があり、燃料電池の運転状態によっては、排水性が不十分となる場合があった。例えば、燃料電池の内部温度が低下したときには、飽和蒸気圧が低下するために、電極に供給されるガスが過加湿となる場合があり、このような場合には、親水性の細孔によって液水の通り道を確保するだけでは充分に排水することができない場合があった。燃料電池の内部に水が滞留すると、ガスの供給が部分的に不十分となって、電池性能が次第に低下する可能性がある。そのため、より安定した電池性能を実現するために、燃料電池においては、さらなる排水性の向上が望まれていた。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池内部のガス流路における排水性能を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池は、電解質層と、前記電解質層上に形成された電極と、前記電解質層および前記電極と共に積層され、前記電極との間で、電気化学反応に供される反応ガスが流れるガス流路を形成するガスセパレータと、前記電極と前記ガスセパレータとの間に配置されると共に、前記電極との間で水が移動可能に接続され、前記電極の面の方向に水を導く第1の水誘導部と、前記ガス流路の端部において、少なくとも一部が前記第1の水誘導部の端部と重なって開口し、前記ガス流路を流れる反応ガスを前記ガス流路から排出するためのガス排出口であって、前記ガス流路の内部よりも、前記反応ガスが流れる際の抵抗が大きくなる形状を有するガス排出口と、を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池によれば、少なくとも一部が第1の水誘導部の端部と重なって開口するガス排出口が、ガス流路の内部よりも反応ガスが流れる際の抵抗が大きくなる形状を有するため、ガス排出口近傍において反応ガスの流速が速くなる。ここで、電極から移動した水は、第1の水誘導部によって電極の面の方向に導かれているため、反応ガスの流れによって、第1の水誘導部から、連続的に排水することができる。これにより、燃料電池内のガス流路に水が滞留することに起因して生じる不都合を抑えることができる。
なお、本発明の燃料電池において、電解質層上に形成された電極は、例えば電極に供給するガスの拡散性を向上させるための多孔質体から成る層であるガス拡散層を、さらに備えていても良い。また、ガス拡散層には撥水処理が施され、第1の水誘導部には親水処理が施されていても良い。
本発明の燃料電池において、前記第1の水誘導部は、前記電極全体を覆って配置されていることとしても良い。このような構成とすれば、電極全体を覆って配置され、電極から水が移動する第1の水誘導部によって、電極の面方向に水を導いて排水性を高めることができる。
本発明の燃料電池において、前記第1の水誘導部は、前記ガス流路を流れる前記反応ガスが流入可能な細孔であって、少なくとも前記電極の面の方向に連通して拡がる細孔を、内部に有する第1の多孔質体によって形成されていることとしても良い。このような構成とすれば、第1の水誘導部である第1の多孔質体へと電極から伝えられた水は、第1の多孔質体に形成された細孔を介して、電極の面方向へと連続して導かれることができる。そして、ガス排出口近傍においては、流路抵抗が大きいことによって、反応ガスの流速が速められると共に、反応ガスの第1の多孔質体内への流入が促進される。そのため、反応ガスのガス流れを利用して、第1の多孔質体から連続的に排水することができる。
このような燃料電池において、前記ガス流路における前記ガス排出口側の端部は閉塞されており、前記ガス排出口は、前記第1の多孔質体の端部であることとしても良い。このような場合には、ガス排出口から排出される反応ガスは、全て、第1の多孔質体端部近傍において第1の多孔質体内へと流入し、第1の多孔質体端部から排出されることになる。そのため、第1の多孔質体からの排水を、反応ガスを利用して効率良く行なうことができる。
このような燃料電池において、前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口側の端部において、断面の一部が閉塞されていることとしても良い。このような構成とすれば、ガス流路のガス排出口におけるガスが流れる際の抵抗がさらに大きくなるため、反応ガスの流速がさらに速くなる。したがって、ガス流れを利用した第1の水誘導部からの排水性をさらに向上させることができる。
あるいは、本発明の燃料電池において、前記ガス排出口は、前記第1の多孔質体の端部に加えて、前記ガス流路の断面の一部に対して開口することとしても良い。このような場合には、ガス排出口から排出される反応ガスは、その一部が、第1の多孔質体端部において第1の多孔質体内へと流入する。そのため、第1の多孔質体内に流入した反応ガスの流れによって、第1の多孔質体から連続して排水させることができる。
本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口近傍において、他の部位よりも平均細孔径が小さく形成されていることとしても良い。このような構成とすれば、ガス排出口近傍において、第1の多孔質体内の細孔を反応ガスが通過する際の抵抗がさらに大きくなる。そのため、反応ガスが第1の多孔質体から水を引っ張る力が、より強く働くようになる。そのため、第1の多孔質体からの排水効率を向上させることができる。
あるいは、本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口近傍において、他の部位よりも平均細孔径が大きく形成されていることとしても良い。このような構成とすれば、ガス排出口近傍において、第1の多孔質体内の細孔を反応ガスが通過する際の抵抗が、より小さくなる。そのため、反応ガスが第1の多孔質体から水を引っ張る力が抑制される。したがって、第1の多孔質体からの排水過多に起因する燃料電池内部の水不足を抑制することができる。
本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口近傍において、他の部位よりも親水度が高く形成されていることとしても良い。このような構成とすれば、ガス排出口近傍において水を保持する働きが強まり、水が集まりやすくなるため、ガス排出口近傍からの排水が行なわれ易くなり、第1の多孔質体からの排水効率を向上させることができる。
あるいは、本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口近傍において、他の部位よりも親水度が低く形成されていることとしても良い。このような構成とすれば、第1の多孔質体において、ガス排出口近傍における保水力が相対的に低くなり、第1の多孔質体内部においてガス排出口近傍への水の集まりが抑制される。そのため、ガス排出口からの排水が抑制され、第1の多孔質体からの排水過多に起因する燃料電池内部の水不足を抑制することができる。
本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体に形成された前記細孔は、前記電極の面方向に加えて、前記積層の方向にも連通して拡がり、前記第1の多孔質体は、前記電極上に接して、前記電極全体を覆って設けられ、前記ガス流路は、前記第1の多孔質体と前記セパレータとの間に形成されていることとしても良い。このような構成とすれば、第1の多孔質体によって電極全体が覆われているため、電極のいかなる場所で生じた水も、速やかに第1の多孔質体へと移動し、連続的に排水することができる。
このような本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体あるいは前記セパレータは、対向する前記セパレータあるいは前記第1の多孔質体と接する複数の凸部を有し、前記ガス流路は、前記複数の凸部の間に形成される空間によって形成されることとしても良い。
このような構成とすれば、ガス流路全体を、第1の多孔質体と同様の多孔質体内の細孔によって形成する場合に比べて、ガス流路における圧損を低減することができる。このように圧損の上昇を抑えることにより、反応ガスを供給のための補機損(反応ガスを供給するための装置が消費する電力)を抑え、燃料電池システム全体のエネルギ効率の低下を抑えることができる。
あるいは、本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体は、前記セパレータにおける前記ガス流路を形成する面上に配置され、前記ガス流路は、前記電極と前記多孔質体との間に形成され、前記燃料電池は、さらに、前記電極と前記第1の多孔質体との間を、水が移動可能に接続する第2の水誘導部を備えることとしても良い。このような構成とすれば、電極から第1の多孔質体へと、第2の水誘導部を介して水を伝えて、ガス排出口近傍において、第1の多孔質体から連続的に排水することができる。
このような本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体は、対向する前記電極と接する複数の凸部を有し、前記ガス流路は、前記複数の凸部の間に形成される空間によって形成され、前記第2の水誘導部は、前記複数の凸部であることとしても良い。
このような構成とすれば、第2の水誘導部として第1の多孔質体に設けた複数の凸部によって、電極から第1の多孔質体へと水が伝えられ、ガス排出口近傍において、第1の多孔質体から連続的に排水することができる。また、ガス流路全体を、第1の多孔質体と同様の多孔質体内の細孔によって形成する場合に比べて、ガス流路における圧損を低減し、補機損に起因する燃料電池システム全体のエネルギ効率の低下を抑えることができる。
このような本発明の燃料電池において、さらに、前記電極上に接して、前記電極全体を覆う第2の多孔質体を備え、前記ガス流路は、前記第1の多孔質体と前記第2の多孔質体との間に形成され、前記第2の水誘導部は、前記第1の多孔質体と前記第2の多孔質体との間を、水が移動可能に接続することとしても良い。このような構成とすれば、電極で生じた水を、速やかに第2の多孔質体に吸収することができるため、電極への反応ガスの拡散の液水による阻害を抑制して、反応ガスの利用効率を高めることができる。また、第2の多孔質体が吸収した水の一部が第1の多孔質体へと移動するため、第2の多孔質体内の水による反応ガスの電極への拡散の阻害が抑制され、ガスの利用効率を向上させて、電池性能を高めることができる。
このような燃料電池において、前記第2の多孔質体は、前記第1の多孔質体よりも薄く形成されていることとしても良い。このような構成とすれば、第1の多孔質体における保水量が増大して、第2の多孔質体から第1の多孔質体へと移動する水の量がより多くなり、第2の多孔質体内の液水に起因する、電極への反応ガスの流れの阻害を抑制することができる。
また、このような燃料電池において、前記第2の多孔質体は、前記第1の多孔質体よりも、平均細孔径が大きいこととしても良い。このような構成とすれば、より多くの液水が、第2の多孔質体から第1の多孔質体へと移動するようになり、第2の多孔質体内の液水に起因する、電極への反応ガスの流れの阻害を抑制することができる。
本発明の燃料電池において、前記第1の多孔質体は、該第1の多孔質体の基部を構成する材料から成る部材における接触角を金の接触角以下にする表面処理を、前記材料から成る多孔質体に対して施して成ることとしても良い。
このような構成とすれば、第1の多孔質体の表面の親水性を高めることができる。そのため、電極から伝えられた水は、局所的に滞留することなく第1の多孔質体内の細孔表面に沿ってガス排出口側へと連続して導かれる。また、細孔表面に沿って水が導かれることにより、細孔の水による閉塞が抑えられ、細孔内に形成される空間によって反応ガスの流れが確保されるため、液水の滞留に起因する電池性能の低下を抑制する効果を高めることができる。
本発明の燃料電池において、前記第1の水誘導部は、前記セパレータにおける前記ガス流路を形成する面に形成された複数の溝であり、前記ガス排出口は、前記第1の水誘導部と連続して形成されると共に、前記ガス流路の断面の一部に対して開口し、前記燃料電池は、さらに、前記電極と前記第1の水誘導部との間を、水が移動可能に接続する第2の水誘導部を備えることとしても良い。
このような構成とすれば、第2の水誘導部によって第1の水誘導部である複数の溝へと電極から伝えられた水は、複数の溝を介して、電極の面方向へと連続して導かれることができる。そして、ガス排出口が、ガス流路断面の一部に対して開口するため、ガス排出口においてガスが流れる際の抵抗が大きくなり、反応ガスの流速が速まる。そのため、ガス排出口近傍において流速が速められた反応ガスが複数の溝の表面を流れることによって、複数の溝から連続的に排水することができる。
本発明の燃料電池において、前記ガス排出口は、水を吸収して膨張すると共に水を放出して収縮する水吸収材を、開口する壁面の一部に備えることとしても良い。このような構成とすれば、ガス排出口近傍における水分量が増加するときには、水吸収材が水を吸収して膨潤することによりガス排出口が小さくなる。このように、ガス排出口が小さくなることで、ガス排出口における流路抵抗が大きくなり、反応ガスの流速が速まるため、反応ガスによって第1の水誘導部から排出される水の量を増加させることができる。また、ガス排出口近傍における水分量が減少するときには、水吸収材が水を放出して収縮することによりガス排出口が大きくなる。このように、ガス排出口が大きくなることで、ガス排出口における流路抵抗が小さくなり、反応ガスの流速が遅くなるため、反応ガスによって第1の水誘導部から排出される水の量を減少させることができる。
本発明の燃料電池において、前記ガス排出口の一部は、前記第1の水誘導部の端部で開口すると共に、前記ガス排出口の残りの部分は、前記第1の水誘導部との間で水が移動可能に接続された第2の多孔質体に覆われていることとしても良い。このような構成とすれば、ガス排出口から反応ガスが排出される際に、第1の水誘導部の端部に加えて、反応ガスが内部を通過する第2の多孔質体からも、排水を行なうことができる。
このような本発明の燃料電池において、前記第1の水誘導部は、前記ガス流路を流れる前記反応ガスが流入可能な細孔であって、少なくとも前記電極の面の方向に連通して拡がる細孔を、内部に有する第1の多孔質体によって形成されており、前記第1の多孔質体と前記第2の多孔質体とは、平均細孔径が異なることとしても良い。このような構成とすれば、反応ガスがガス排出口から排出される際には、反応ガスは、抵抗がより小さい箇所、すなわち、平均細孔径がより小さい多孔質体の内部を通過するため、排出される反応ガスの流速を速めることができる。そのため、反応ガスの流れを利用して排水する力を強め、排水効率を向上させることができる。
あるいは、このような本発明の燃料電池において、前記第2の多孔質体は、平均細孔径の異なる複数の部分によって構成されていることとしても良い。このような構成とすれば、反応ガスのガス排出口からの排出時に、第2の多孔質体内を通過する際には、反応ガスは、抵抗がより小さい箇所、すなわち、平均細孔径がより小さい部分を通過する。そのため、排出される反応ガスの流速を速めることによって、反応ガスの流れを利用して排水する力を強め、排水効率を向上させることができる。
本発明の燃料電池において、さらに、前記第1の水誘導部の端部に設けられ、前記第1の水誘導部との間で水が移動可能に接続されると共に、前記ガス流路へと前記反応ガスが流入するガス流入口の少なくとも一部を覆って設けられた第3の多孔質体を備えることとしても良い。このような構成とすれば、電極からの水が伝えられる第1の水誘導部から、さらに第3の多孔質体へと水が移動するため、反応ガスが第3の多孔質体を介してガス流路に流入する際に、第3の多孔質体に移動した水を用いて、反応ガスの加湿を行なうことができる。
本発明の燃料電池システムは、本発明の燃料電池であって、さらに、前記反応ガスが流れる際の抵抗が前記ガス排出口よりも小さく形成されており、前記ガス流路へと前記反応ガスが流入するガス流入口を備えた燃料電池と、前記燃料電池に対して前記反応ガスを供給するガス供給部と、前記ガス供給部と前記燃料電池とを接続する第1の配管と、前記燃料電池に接続されて、前記燃料電池から排出された前記反応ガスが流れる第2の配管と、前記燃料電池の内部が、水分不足であるか否かを判定するドライ運転状態判定部と、前記ドライ運転状態判定部が水分不足であると判定したときには、前記ガス供給部を、前記第1の配管に代えて前記第2の配管に接続させて、前記燃料電池の内部における前記反応ガスの流れ方向が反転するように、前記第1の配管および前記第2の配管における接続状態を切り替える流路切り替え部と、を備えることを要旨とする。
このような本発明の燃料電池によれば、燃料電池の内部における水分状態に応じて反応ガスの流れ方向を切り替えることにより、燃料電池内部の水分量の適正化を図ることが可能になる。すなわち、燃料電池の内部が水不足と判断されないときには、本発明の燃料電池と同じ向きに反応ガスを流すことによって、ガス流路内からの排水を促し、過剰な液水に起因する電池性能の低下を抑制することができる。また、燃料電池の内部が水不足と判断されたときには、本発明の燃料電池とは逆向きに反応ガスを流すため、本発明の燃料電池がさらに備える抵抗のより小さいガス流入口が、ガス排出口へと切り替わる。このように、ガス流路からガスが排出される際の抵抗が、より小さくなるため、ガス流路内からの排水を促進する働きが弱まり、燃料電池内部における水不足の進行を抑制することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、燃料電池内ガス流路からの排水方法などの形態で実現することが可能である。
A.燃料電池の全体構成:
図1は、本発明の第1実施例である燃料電池の構成の概略を表わす分解斜視図であり、図2は、図1における2−2断面を表わす断面模式図である。本実施例の燃料電池は、単セルを複数積層したスタック構造を有しているが、図1および図2では、スタックの構成単位である単セル10を中心にして、燃料電池の構成を表わしている。
本実施例の燃料電池は、固体高分子型の燃料電池である。単セル10は、電解質膜と、電解質膜上に形成された電極であるアノードおよびカソードからなる膜−電極接合体20(以後、MEA(Membrane-electrode assembly)20と呼ぶ)を備える。アノードおよびカソード上には、それぞれ、ガス拡散層21,22が配置されている(図2参照)。また、カソード側のガス拡散層22上には、さらに、流路形成多孔質体23が配置されている。これらの、MEA20,ガス拡散層21,22、流路形成多孔質体23から成る積層体は、1対のガスセパレータ25によって挟持されている。
電解質膜は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。
アノードおよびカソードは、触媒として、例えば白金、あるいは白金合金を備えており、これらの触媒を、導電性を有する担体上に担持させることによって形成されている。より具体的には、アノードおよびカソードは、上記触媒を担持したカーボン粒子と、電解質膜を構成する高分子電解質と同様の電解質と、を含有する電極ペーストを作製し、この電極ペーストを、電解質膜上、あるいはガス拡散層21,22上に塗布し、乾燥・固着させることにより形成することができる。
ガス拡散層21,22は、ガス透過性を有する導電性部材、例えば、カーボンペーパやカーボンクロスによって形成することができる。本実施例のガス拡散層21,22は、いずれも、全体として平坦な形状の薄板状部材である。このようなガス拡散層は、電気化学反応に供されるガスの流路を形成しつつ、電気化学反応に供されるガスの拡散性を向上させると共に、集電を行なう。本実施例のガス拡散層21,22は、さらに、撥水処理が施されている。具体的には、撥水性物質、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の微粒子が、スプレー等を用いて、上記した導電性部材の表面に塗布されている。なお、本実施例では、カソード側のガス拡散層22は、アノード側のガス拡散層21よりも薄く形成されている。
流路形成多孔質体23は、ガス透過性を有する導電性部材によって形成されており、本実施例では、金メッキを施した発泡チタンによって形成している。この流路形成多孔質体23は、ガス拡散層を構成する導電性部材よりも平均細孔径が大きく、ガスが透過する際の圧力損失が、より小さい層として形成されている。この流路形成多孔質体23は、その内部に、面方向および厚み方向に連通する多数の細孔を備えており、これらの細孔によって形成される空間は、カソードに供給される酸化ガスの流路を形成する。
ガスセパレータ25は、ガス不透過な導電性部材、例えば、金メッキを施したチタン部材や、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン、あるいは焼成カーボンにより形成することができる。ガスセパレータ25は、MEA20との間に反応ガス(水素を含有する燃料ガスあるいは酸素を含有する酸化ガス)が流れるガス流路の壁面を成す部材であって、その表面には、ガス流路を形成するための凹凸形状が形成されている。具体的には、互いに平行な複数の線状凹部である溝62あるいは溝63が形成されている。単セル10内では、溝62が形成されたガスセパレータ25の一方の面と、流路形成多孔質体23を配置したMEA20の一方の面との間に、酸化ガスの流路である単セル内酸化ガス流路が形成される(図2参照)。また、溝63が形成されたガスセパレータ25の他方の面と、MEA20の他方の面との間に、燃料ガスの流路である単セル内燃料ガス流路が形成される(図2参照)。なお、本実施例では、溝62が形成する単セル内酸化ガス流路と、溝63が形成する単セル内燃料ガス流路とは、互いに直交している。酸化ガス流路と燃料ガス流路は平行であっても良く、酸化ガスと燃料ガスは対向して流れても良い。
ガスセパレータ25は、その外周近くの互いに対応する位置に、孔部83〜86を備えている。ガスセパレータ25を、MEA20やガス拡散層21,22、および流路形成多孔質体23と共に積層して燃料電池を組み立てると、積層された各セパレータの対応する位置に設けられた孔部は、互いに重なり合って、ガスセパレータの積層方向に燃料電池内部を貫通する流路を形成する。すなわち、単セル内ガス流路に対して反応ガスを供給・排出する給排ガス流路であるガスマニホールドを形成する。具体的には、溝62と連通する孔部83は、各単セル内酸化ガス流路に酸化ガスを分配する燃料ガス供給マニホールドを形成し、孔部84は、各単セル内酸化ガス流路から排出されるカソード排ガスが集合する酸化ガス排出マニホールドを形成する。また、溝63と連通する孔部85および孔部86は、それぞれ、燃料ガス供給マニホールドと、燃料ガス排出マニホールドを形成する。
ここで、ガスセパレータ25におけるアノードと対向する側に形成される溝63は、孔部85と孔部86とを連通させるように形成されている。これに対して、カソードと対向する側に形成される溝62は、孔部83とは連通するものの、孔部84と連通することなく、孔部84の手前で行き止まる形状となっている。ガスセパレータ25におけるカソードと対向する側において、溝62の端部と孔部84との間の領域を、以下、流路閉塞部65と呼ぶ。
MEA20、ガス拡散層21,22、および流路形成多孔質体23は、溝62,63によって形成される単セル内流路全体と、さらに流路閉塞部65と、を覆うように配置されている(図2参照)。
また、MEA20の周囲は、接着剤によって形成されるシール部66によって、ガスセパレータ25との間でシール性が確保されている(図2参照)。すなわち、MEA20の周囲において、単セル内ガス流路とガスマニホールドとの連通部以外の箇所は、シール部66が形成されている。このようなシール部66によって、電解質膜の外周部を介した単セル内燃料ガス流路と単セル内酸化ガス流路間のガス漏れ(クロスリーク)や、単セル10外への燃料ガスや酸化ガスの漏れ出しが防止されている。さらに、ガスセパレータに設けられた孔部83〜86の周囲にも、同様のシール部66が設けられることによって、隣接するガスセパレータ25との間でシール性が確保されている。シール部66のようにガスシール性を確保するための構造は、接着剤以外によって形成しても良く、例えば、ガスケットによって形成しても良い。
なお、燃料電池内において、隣り合う単セル10間、あるいは、単セル10を所定数積層する毎に、冷媒流路を設けることとしても良い。
B.ガス流れによる排水の動作:
図3は、単セル内酸化ガス流路の端部における酸化ガスおよび水の流れを表わす断面模式図である。既述したように、孔部83によって形成される酸化ガス供給マニホールドを流れる酸化ガスは、溝62および流路形成多孔質体23によって形成される単セル内酸化ガス流路へと分配される。溝62によって形成される空間と、流路形成多孔質体23内に形成される空間とでは、溝62によって形成される空間の方が、ガスが流れる際の抵抗が小さいため、単セル内酸化ガス流路に分配された酸化ガスは、主として、溝62によって形成される空間を流れる。流路形成多孔質体23内に形成される細孔は、流路形成多孔質体23の厚み方向にも連続して形成されているため、単セル内酸化ガス流路内を流れる酸化ガスは、流路形成多孔質体23を厚み方向に移動して、さらにガス拡散層22を介して、電解質膜上のカソードに供給される。
ここで、ガスセパレータ25においては、孔部84の近傍に流路閉塞部65が設けられており、溝62は、孔部84の近傍で行き止まる形状となっている。そのため、溝62が形成する空間内を流れる酸化ガスは、溝62の端部においては、流路形成多孔質体23内へと流れ込む。そして、単セル内酸化ガス流路内を流れる酸化ガスは全て、流路形成多孔質体23端部で開口するガス排出口68から、孔部84が形成する酸化ガス排出マニホールドへと排出される。図3では、溝62が形成する空間内を流れてガス排出口68から排出される酸化ガスの流れを、白抜きの矢印で示している。
このように単セル内酸化ガス流路を酸化ガスが流れ、燃料電池が発電する際には、カソードにおいては、電気化学反応の進行に伴って水が生じる。ここで、ガス拡散層22は、既述したように撥水処理が施されているため、ガス拡散層22によって、カソードで生じた生成水の一部は電解質膜側へと押し戻されて電解質膜の湿潤状態の維持に寄与し、他の一部は流路形成多孔質体23側へと弾かれる。流路形成多孔質体23は、既述したように金メッキを施した発泡チタンによって形成されており、金メッキによって、表面の親水性が高められている。そのため、流路形成多孔質体23側へと弾かれた生成水は、流路形成多孔質体23の表面と馴染んで、流路形成多孔質体23内に広がる。そして、燃料電池が発電して、流路形成多孔質体23への生成水の供給が継続して行なわれることにより、流路形成多孔質体23の内部では、細孔の表面全体が生成水の膜で覆われた状態となる。流路形成多孔質体23内の細孔は、その厚み方向に加えて、その面方向にも連続して形成されているため、流路形成多孔質体23内では、生成水が、厚み方向および面方向に連続して存在することになる。なお、流路形成多孔質体23内において、生成水は上記のように細孔の表面に沿って広がるため、細孔の表面よりも中程は空間として残存し、流路形成多孔質体23内における酸化ガスの通り道は確保される。
既述したように、単セル内酸化ガス流路を流れる酸化ガスは、ガス排出口68近傍において、流路形成多孔質体23内に潜り込んで、流路形成多孔質体23端部で開口するガス排出口68から排出される。すなわち、溝62と流路形成多孔質体23とから成る単セル内酸化ガス流路は、その出口部は、流路形成多孔質体23の端部においてのみ開口しており、単セル内酸化ガス流路は、その出口部近傍において、他の領域に比べて流路抵抗が高まる構成となっている。このように、出口部近傍において流路抵抗が高まる、すなわち圧損が高まる形状を有しており、単セル内酸化ガス流路に供給される酸化ガス流量が確保されていると、上記出口部近傍領域では、他の領域に比べて酸化ガスの流速が速まることになる。このように、出口部において流速が高まることで、酸化ガスが単セル内酸化ガス流路から排出される際には、酸化ガスは、流路形成多孔質体23内部の細孔表面の生成水の一部を引っ張り、ガス流れと共に酸化ガス排出マニホールド側へと導く。このように、流路形成多孔質体23の端部において生成水の一部が引っ張られると、生成水は、流路形成多孔質体23内の細孔表面において連続して存在するため、流路形成多孔質体23内の生成水は、全体としてガス排出口68側へと引き寄せられる。したがって、燃料電池が発電して、カソードにおける水生成が継続して行なわれても、酸化ガスの流速によって、ガス排出口68から流路形成多孔質体23端部の生成水が引っ張られることによって、流路形成多孔質体23内からは、連続的に排水が行なわれる。図3では、流路形成多孔質体23における水の流れを、矢印で示している。
以上のように構成された本実施例の燃料電池によれば、流路形成多孔質体23によってカソードで生じる水を面方向に導くと共に、単セル内酸化ガス流路を流れる酸化ガスを、流路形成多孔質体23内に潜り込ませて排出させることによって、酸化ガスの流速を利用して、単セル内酸化ガス流路から連続的に排水することができる。したがって、単セル内酸化ガス流路に生成水が滞留することに起因して生じる不都合を抑えることができる。
また、このような本実施例の燃料電池によれば、単セル内酸化ガス流路を、溝62が形成する空間と、流路形成多孔質体23内の細孔により形成される空間とにより形成しているため、単セル内ガス流路全体を多孔質体内の細孔により形成する場合に比べて、流路内の圧損を低減することができる。このように圧損の上昇を抑えることにより、酸化ガス供給のための補機損(例えば、酸化ガスである空気を供給するためのブロワにおける消費電力)を抑え、燃料電池システム全体のエネルギ効率の低下を抑えることができる。
さらに、本実施例の燃料電池によれば、ガス拡散層22上に配置した流路形成多孔質体23を金メッキすることで、流路形成多孔質体23表面の親水性を高めているため、生成水は、流路形成多孔質体23内の細孔表面に沿って、流路形成多孔質体23全体に広がることができる。そのため、流路形成多孔質体23において、局所的に生成水が滞留してガス流れを妨げることが無く、滞留した生成水に起因する電池性能の低下を抑制することができる。
本実施例の燃料電池の効果を確認するために、流路閉塞部65を有するガスセパレータ25を備えた実施例の単セルと、流路閉塞部65を有しないガスセパレータを備えた比較例の単セルとを作製し、両者の性能を比較した。比較例の単セルにおける単セル内酸化ガス流路と酸化ガス排出マニホールドとの接続部近傍の様子を、図3と同様に示した断面模式図を、図4に示す。比較例の単セルでは、ガスセパレータ25に代えて、ガスセパレータ125を備えている。このガスセパレータ125では、複数の溝62に代えて、複数の溝162が形成されている。複数の溝162は、複数の溝62と同様に、互いに略平行に形成された複数の線状の溝であるが、ガスセパレータ125には流路閉塞部65が形成されていないため、溝162は、実施例の溝63と同様に、ガスマニホールドを形成する孔部83と孔部84とを連通させる形状となっている。また、比較例の単セルでは、単セル内酸化ガス流路から酸化ガスが排出される排出口として、ガス排出口68に代えてガス排出口168が形成されている。なお、図4では、図3に示した実施例の燃料電池と共通する部分には、同じ参照番号を付した。また、上記実施例の単セルおよび比較例の単セルは、さらに、図示しない冷媒流路を備えており、冷媒水流路内を流れる冷媒の温度を調節することにより、各単セル内温度を所望の温度に保つことが可能となっている。
比較例の単セルでは、図4に示すように、ガスセパレータ125に流路閉塞部65が形成されていないため、溝162が形成する空間から成る単セル内酸化ガス流路を流れた酸化ガスは、ガス排出口168の近傍において、特に流路形成多孔質体23内へと潜り込むことはない。そのため、酸化ガスは、溝162の端部に形成されるガス排出口168から、酸化ガス排出マニホールドへとそのまま排出される。このとき、表面の親水度が高められた流路形成多孔質体23では、実施例の単セルと同様に、生成水が、細孔表面に沿って流路形成多孔質体23全体に広がる。しかしながら、酸化ガスは、ガス排出口168の近傍で流路形成多孔質体23内に積極的に潜り込むことがないため、流路形成多孔質体23内の生成水においては、実施例の単セルのように酸化ガスのガス流れによって引っ張る力が加わることがない。
上記のような実施例の単セルと比較例の単セルとを作製し、まず、第1の条件で発電を行なわせた。第1の条件とは、冷媒の出口温度を80℃に保ち、燃料ガス(水素)および酸化ガス(空気)を、80℃で飽和蒸気圧となるように加湿する条件である。燃料ガスおよび酸化ガスの加湿は、具体的には、加湿器としてバブラを用い、バブラ温度を80℃に設定することによって行ない、燃料ガスおよび酸化ガスの露点温度を80℃にした。このような第1の条件下では、実施例の単セルおよび比較例の単セルのいずれも、同等の高い性能を示した。すなわち、供給する水素量および酸素量を大過剰(発電量に対して理論的に必要とされる量の4倍)にして、発電の際の電流密度を次第に変化させると、いずれの単セルも、電流密度の広い範囲にわたって、同様の高い電圧を維持することができた。これは、いずれの単セルも、流路形成多孔質体23として、表面の親水性が高い多孔質体を用いることで、生成水が面全体に広がって局所的に滞留することがないため、カソードへのガス拡散性が電極面全体で充分に確保された結果であると考えられる。また、80℃という温度条件下では、実施例および比較例の単セル共に、流路形成多孔質体23からの排水がある程度良好に行なわれるものと考えられる。ただし、実施例の単セルの方が、比較例の単セルよりも、電流密度をより高くした場合にも、より高い出力電圧を維持することができた。上記第1の条件で、電流密度を変化させたときの、実施例及び比較例の出力電圧および抵抗を調べた結果を、図5に示す。
その後、第1の条件から第2の条件へと変更して、発電を行なわせた。第2の条件とは、冷媒の出口温度を60℃に保ち、燃料ガスの露点温度が60℃、酸化ガスの露点温度が80℃となるように、バブラを用いて燃料ガスおよび酸化ガスの加湿を行う条件である。すなわち、燃料電池の運転温度をより低く設定すると共に、酸化ガスが水分過剰となる条件を設定した。このような第2の条件下で、供給する水素量は大過剰にしつつ、供給する酸素量を、大過剰である状態から次第に減少させて、一定の電流密度で発電を行なわせた。この場合には、実施例の単セルでは、供給する酸素量が理論的な必要量を超える充分量である限り、安定した電圧で発電を行なうことができた。一方、比較例の単セルでは、発電を開始した直後に電圧が急降下し、発電を行なうことができなかった。この結果から、実施例の単セルでは、ガス流速を利用した流路形成多孔質体23からの強制的な排水を行なうことにより、流路形成多孔質体23からの水分の気化等を利用した自然な排水が行なわれ難い低温で水分過剰な条件下であっても、良好に発電できることが確かめられた。
なお、比較例の単セルについては、その後単セル内を乾燥させ、改めて第1の条件で発電を行なわせたところ、当初と同等の発電性能を回復した。したがって、比較例の単セルが第2の条件下で発電を行なうことができなかったのは、流路形成多孔質体23内に生成水が投入水が滞留してガス流れが阻害されたことが原因であると考えられる。
C.第2実施例:
第1実施例では、流路形成多孔質体23を平板状に形成して、ガスセパレータ25の表面に、単セル内酸化ガス流路を形成するための溝62を設けたが、異なる構成としても良い。図6は、ガスセパレータと流路形成多孔質体との凹凸関係を逆にした第2実施例の燃料電池の構成を表わす分解斜視図である。第2実施例の燃料電池は、ガスセパレータ25に代えてガスセパレータ225を備え、流路形成多孔質体23に代えて流路形成多孔質体223を備えている。なお、図6では、第1実施例と共通する部分には同じ参照番号を付しており、詳しい説明は省略する。
ガスセパレータ225は、カソードと対向する側の面に、底面が平坦面である略四角形状の凹部261を有している。凹部261は、その一辺において、酸化ガス供給マニホールドを形成する孔部83と連通すると共に、上記一辺と対向する辺は、酸化ガス排出マニホールドを形成する孔部84と離隔している。上記対向する辺と孔部84との間のには、線状の凸部である流路閉塞部265が形成されている。
流路形成多孔質体223は、流路形成多孔質体23と同様に、金メッキを施した発泡チタンによって形成された、外形が略四角形状の薄板状部材である。この流路形成多孔質体223には、凹部261に対向する側の面に、互いに略平行であって、凹部261の深さと略同一の高さを有する複数の線状凸部である凸条264が形成されている。複数の凸条264の間に形成される複数の溝262は、ガスセパレータ225との間に、溝62と同様に単セル内酸化ガス流路として機能する空間を形成する。図7は、流路形成多孔質体223における凸条264が形成された側の面の様子を表わす平面図である。凸条264は、ガスセパレータ225の孔部83に対応する側の辺から、同じく孔部84に対応する側の辺に向かう方向を、長手方向とする。このような流路形成多孔質体223における孔部84に対応する側の辺の近傍には、凸条264が形成されていない領域である平坦領域266が存在する。この平坦領域266は、既述した流路閉塞部265と略同一の幅に形成されている。また、各々の凸条264の長さは、ガスセパレータ225が有する凹部261における、孔部83から流路閉塞部265までの長さと略同一となっている。燃料電池を組み立てる際には、流路形成多孔質体223を、凸条264の端部がガスセパレータ225の凹部261の底面に当接するように嵌め込むと共に、流路形成多孔質体223の平坦領域266を、ガスセパレータ225の流路閉塞部265へと当接させる。なお、ガスセパレータ225において、アノードと対向する側の面は、第1実施例のガスセパレータ25と同様の形状を有している。
このような第2実施例の燃料電池では、流路形成多孔質体223に設けられた溝262に形成される空間、および、流路形成多孔質体223内の細孔に形成される空間から成る単セル内酸化ガス流路を、酸化ガスが流れる。そして、単セル内酸化ガス流路の端部では、酸化ガスの流れは、流路形成多孔質体223の平坦領域266に当接する流路閉塞部265に阻まれて、酸化ガスは流路形成多孔質体223の平坦領域266内へと潜り込み、酸化ガス排出マニホールドへと排出される。したがって、第2実施例の燃料電池によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
D.第3実施例:
第1実施例および第2実施例では、酸化ガスは、単セル内酸化ガス流路の端部において、全て流路形成多孔質体内に潜り込むこととしたが、異なる構成としても良い。図8は、第3実施例の燃料電池の構成を、図3と同様に示す断面模式図である。第3実施例の燃料電池は、第1実施例の燃料電池と類似する構成を有しているが、ガスセパレータ25に代えてガスセパレータ325を備えている。なお、図8では、第1実施例と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
第3実施例の燃料電池が備えるガスセパレータ325は、ガスセパレータ25が備える流路閉塞部65と同様の位置に、流路閉塞部365を備えている。この流路閉塞部365は、流路閉塞部65よりも低く形成されており、流路形成多孔質体23に当接しない。そのため、単セル内酸化ガス流路から酸化ガスが排出されるガス排出口368は、流路形成多孔質体23の端部に加えて、溝62が形成する流路の断面の一部に対して開口するように形成されている。
このような構成とすれば、ガス排出口368が、溝62の断面の一部に対しても開口しているため、酸化ガスの一部は流路形成多孔質体23内に潜り込むことなく排出される。しかしながら、溝62が形成する空間に対して開口する部分は、溝62が形成する空間の断面よりも小さい面積となっているため、酸化ガスが開口部から排出される際には、溝62が形成する空間内を流れるときに比べて、流路抵抗が大きくなる。したがって、ガス排出口368近傍では、流路形成多孔質体23内への酸化ガスの潜り込みが促進されて、流路形成多孔質体23の端部において細孔の表面から水を引っ張る力が強められ、ガス流れを利用した連続的な排水を効率良く行なうことが可能になる。すなわち、第1実施例と同様の効果を得ることができる。このように、ガス排出口の少なくとも一部が、単セル内酸化ガス流路の端部において流路形成多孔質体23の端部と重なって開口し、ガス排出口の近傍において、単セル内酸化ガス流路の他の領域よりも酸化ガスが流れる際の抵抗が高まる形状であるならば、同様の効果を奏することができる。
第3実施例の燃料電池において、ガス排出口に、吸水性高分子材料を配置しても良い。図9は、第3実施例の変形例の燃料電池の構成を、図3と同様に示す断面模式図である。第3実施例の変形例としての燃料電池は、第3実施例の燃料電池と類似する構成を有しているが、ガスセパレータ325に代えてガスセパレータ425を備えており、ガス排出口368に代えてガス排出口側468が設けられている。なお、図9では、第3実施例と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
第3実施例の変形例の燃料電池が備えるガスセパレータ425は、ガスセパレータ325と同様に、流路形成多孔質体23とは当接しない、流路閉塞部65よりも低く形成された流路閉塞部365を備えている。すなわち、単セル内酸化ガス流路から酸化ガスが排出されるガス排出口468は、流路形成多孔質体23の端部に加えて、溝62が形成する流路の断面の一部に対して開口するように形成されている。ここで、流路閉塞部365上には、流路形成多孔質体23に対向する端部において、水吸収材から成る開口調節部467が、さらに設けられている。すなわち、ガス排出口468の壁面の一部は、開口調節部467によって形成されている。ここで、水吸収材とは、周囲の水分量が多いときには水分を吸収して膨潤すると共に、周囲の水分量が低下したときには水分を放出して収縮する材料である。このような水吸収材としては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドンといった吸水性高分子材料を挙げることができる。
このような開口調節部467を備えることで、開口調節部467近傍における水分量が増加するときには、開口調節部467が水を吸収して膨潤することによりガス排出口468が小さくなる。また、開口調節部467近傍における水分量が減少するときには、開口調節部467が水を放出して収縮することによりガス排出口468が大きくなる。したがって、第3実施例の変形例の燃料電池では、酸化ガス中の水分量が多いときには、ガス排出口468が小さくなることで、より多くの酸化ガスが流路形成多孔質体23内に潜り込むことになる。そのため、酸化ガス中の水分量が多いときには、流路形成多孔質体23の端部から水を引っ張る力を強めて、排水効率を高めることができる。また、酸化ガス中の水分量が少ないときには、ガス排出口468が大きくなることで、流路形成多孔質体23内に潜り込む酸化ガス量が少なくなる。そのため、酸化ガス中の水分量が少ないときには、流路形成多孔質体23の端部から水を引っ張る力が弱まり、排水が抑制される。
E.第4実施例:
第1実施例ないし第3実施例では、ガス拡散層22上に重ね合わせて流路形成多孔質体23を配置したが、異なる構成としても良い。すなわち、電極で生じた水が伝えられて、この水を電極の面方向に連続して導く第1の水誘導部を、面全体で電極と接触するように設けるのではなく、電極と離隔させて配置することとしても良い。図10は、第4実施例の燃料電池の構成を表わす分解斜視図である。第4実施例の燃料電池は、ガスセパレータ25に代えてガスセパレータ525を備え、流路形成多孔質体23に代えて水誘導多孔質体523を備えている。また、図11は、第4実施例の燃料電池における単セル内酸化ガス流路端部の様子を、図3と同様に示す断面模式図である。図10および図11では、第1実施例と共通する部分には同じ参照番号を付しており、詳しい説明は省略する。
ガスセパレータ525は、カソードと対向する側の面に、底面が平坦面である略四角形状の凹部561を有している。凹部561は、酸化ガス供給マニホールドを形成する孔部83および酸化ガス排出マニホールドを形成する孔部84と、連通している。なお、凹部561における孔部84との接続部近傍においては、孔部84に沿う細長い形状であり、凹部561の深さよりも薄く形成された薄板状部材である流路閉塞部565が、凹部561の周囲と略同一の高さになるように嵌め込まれる。これによって、凹部561と流路閉塞部565との間には、ガス排出口568となる空間が形成される(図11参照)。
水誘導多孔質体523は、流路形成多孔質体23と同様に、金メッキを施した発泡チタンによって形成された、外形が略四角形状の薄板状部材である。この水誘導多孔質体523は、一方の面は平坦に形成されており、他方の面には、互いに略平行な複数の線状凸部である凸条564が形成されている。水誘導多孔質体523の外形は、ガスセパレータ525の凹部561と略同一形状に形成されており、平坦に形成された上記一方の面が凹部561の底面に接触するように、凹部561に嵌め込まれる。このようにして燃料電池を組み立てると、カソードに対向する上記他方の面に形成された凸条564の端部は、ガス拡散層22に当接すると共に、複数の凸条564の間に形成される複数の溝562は、ガス拡散層22との間に、単セル内酸化ガス流路として機能する空間を形成する。凸条564は、ガスセパレータ525の孔部83から孔部84に向かう方向に対応する方向を長手方向とするが、水誘導多孔質体523における孔部84に対応する側の辺の近傍には、凸条564が形成されていない平坦な領域が存在する。すなわち、水誘導多孔質体523は、図7に示した第2実施例の流路形成多孔質体223に形成された平坦領域266と同様の平坦領域566を有している(図10参照)。この平坦領域566の厚みは、本実施例では、凹部561の底面と、ガスセパレータ525に嵌め込まれた流路閉塞部565との間の距離よりも薄く形成されている。そのため、本実施例のガス排出口568は、水誘導多孔質体523の端部に加えて、溝562が形成する空間の一部に対して開口することになる(図11参照)。なお、図11に示す断面は、溝562が形成する空間に対応する断面を表わしており、図11では、凸条564は表われていない。
このような第4実施例の燃料電池では、カソードで生じた水は、凸条564を伝って、ガスセパレータ525表面に配置された水誘導多孔質体523の平坦部へと伝えられ、この水誘導多孔質体523の平坦部において、電極の面方向へと連続して導かれる。すなわち、凸条564は、電極の面方向に水を連続して導く第1の水誘導部である上記平坦部へと、電極から水を伝える第2の水誘導部として機能する。このとき、溝562が形成する単セル内酸化ガス流路を酸化ガスが流れる際には、流路閉塞部565によって、ガス排出口568近傍において酸化ガスが流れる際の抵抗が高められる。そのため、第1ないし第3実施例と同様に、ガス排出口568近傍では、酸化ガスの水誘導多孔質体523内への潜り込みが促進される。そして、酸化ガス流れによって、水誘導多孔質体523内の細孔表面に連続して存在する水が引っ張られ、単セル内酸化ガス流路からの連続的な排水が行なわれる。
なお、第4実施例では、水誘導多孔質体523端部の平坦領域566と流路閉塞部565との間に空隙を設けているが、上記平坦領域566と流路閉塞部565とを当接させ、第1実施例と同様に、酸化ガスを全て水誘導多孔質体523内に潜り込ませることとしても良い。また、第4実施例では、水を面方向に導く第1の水誘導部と、この第1の水誘導部へと電極から水を導く第2の水誘導部とを、水誘導多孔質体523として一体で形成したが、両者を別体で形成しても良い。
F.第5実施例:
第1ないし第4実施例の燃料電池では、第1の水誘導部として機能する多孔質体あるいはガスセパレータ表面に設けた溝が形成する空間を流れる酸化ガスの流れを、ガス排出口近傍において流路閉塞部によって妨げて、酸化ガスを上記多孔質体内へと潜り込ませたが、異なる構成としても良い。例えば、上記溝が形成する空間の端部を、第1の水誘導部と連続して設けられた多孔質体によって塞いで、ガス排出口を形成しても良い。このような構成を、第5実施例として以下に説明する。
図12は、第5実施例の燃料電池の構成を表わす分解斜視図である。第5実施例の燃料電池は、ガスセパレータ25に代えてガスセパレータ625を備え、流路形成多孔質体23に代えて流路形成多孔質体623を備えている。また、図13は、第5実施例の燃料電池における単セル内酸化ガス流路端部の様子を、図3と同様に示す断面模式図である。図12および図13では、第1実施例と共通する部分には同じ参照番号を付しており、詳しい説明は省略する。
ガスセパレータ625は、カソードと対向する側の面に、略平行な複数の線状凸部である凸条664と、凸条664の間に形成された溝662と、から成る凹凸形状が形成されている。溝662は、孔部83および孔部84と連通しており、第1実施例の溝62と同様に、流路形成多孔質体623との間に、単セル内酸化ガス流路となる空間を形成する。ここで、各々の凸条564は、一方の端部は、孔部83と接する位置にまで形成されているものの、他方の端部は、孔部84と離間している。すなわち、孔部84の近傍には、孔部84に沿って、凸条564が形成されておらず溝62と連続して形成され、底面が平坦な凹部666が形成されている(図12参照)。
流路形成多孔質体623は、流路形成多孔質体23と同様に、金メッキを施した発泡チタンによって形成され、ガスセパレータ625における孔部83と孔部84の間の領域を覆うように配置される、外形が略四角形状の薄板状部材である。この流路形成多孔質体623の一方の面は平坦に形成されており、ガス拡散層22に重ね合わせて配置される。また、流路形成多孔質体623の他方の面には、孔部84に近接する一辺に沿って、線状の凸部665が形成されている。この線状凸部665は、ガスセパレータ625における凸条664と略同一の高さに形成されている。流路形成多孔質体623とガスセパレータ625とを重ね合わせる際には、線状凸部665は、ガスセパレータ625表面の凹部666へと嵌め込まれる。これにより、ガスセパレータ625に設けた凸条664の端部は、流路形成多孔質体623の表面に当接し、流路形成多孔質体623に設けた線状凸部665の端部は、ガスセパレータ625表面の凹部666の底面に当接する(図13参照)。なお、図13に示す断面は、溝662が形成する空間に対応する断面を表わしており、図13では、凸条664は表われていない。
このような第5実施例の燃料電池では、カソードで生じた水は、親水性を有する流路形成多孔質体623内の細孔表面を伝って、電極の面方向へと連続して伝えられる。ここで、溝662が形成する空間の端部は、流路形成多孔質体623に設けられた線状凸部665によって塞がれている。そのため、溝662が形成する空間を流れた酸化ガスは、多孔質体によって形成される線状凸部665内部の細孔が形成する空間を介して、孔部84が形成する酸化ガス排出マニホールドへと排出される。このような、多孔質体から成る線状凸部665内の空間は、ガスが流れる際の抵抗が大きく、溝662を流れる酸化ガスが多孔質体内の細孔を通過する際には、圧損が高くなる。また、線状凸部665は、流路形成多孔質体623において一体で形成されているため、流路形成多孔質体623内の水は、線状凸部665内の細孔表面にまで連続している。そのため、線状凸部665内を通過して酸化ガスが排出される際には、酸化ガスの流速が速められ、酸化ガス流れによって、線状凸部665内の細孔表面に連続して存在する水が引っ張られて、単セル内酸化ガス流路からの連続的な排水が行なわれる。
第5実施例の燃料電池は、第1実施例と同様に、ガスセパレータ625の表面に、単セル内酸化ガス流路を形成するための溝662を設けたが、第2実施例と同様に、ガスセパレータと流路形成多孔質体との凹凸関係を逆にしても良い。この場合には、流路形成多孔質体623において、線状凸部665に加えて、第2実施例の凸条264と同様の複数の凸条を設ければ良い。
また、第5実施例では、線状凸部665をガスセパレータ625の凹部666の底面に当接させたが、両者の間に空隙を設け、酸化ガスの一部は、線状凸部665内を通過しない構成としても良い。この場合にも、ガス排出口668の近傍で酸化ガスが流れる際の抵抗が高まることにより、同様の効果が得られる。
また、ガス拡散層22と面全体で接触する流路形成多孔質体623に代えて、第4実施例と同様に、ガスセパレータの表面に接して配設され、ガスセパレータ上で水を電極面の方向に導く水誘導多孔質体を設けることとしても良い。このような構成を、第5実施例の変形例として以下に説明する。図14は、第5実施例の変形例としての燃料電池の構成を表わす分解斜視図である。また、図15は、第5実施例の変形例としての燃料電池における単セル内酸化ガス流路端部の様子を、図3と同様に示す断面模式図である。図14および図15では、第4実施例と共通する部分には同じ参照番号を付しており、詳しい説明は省略する。第5実施例の変形例の燃料電池は、水誘導多孔質体523に代えて、水誘導多孔質体633を備えている。水誘導多孔質体633は、水誘導多孔質体523と同様に、カソードと対向する面側に、互いに略平行であって、間に溝562が形成された複数の凸条564を備える。そして、孔部84に近接する一辺に沿って、凸条564と略同一の高さに形成された線状凸部635を備える。このような水誘導多孔質体633を、ガスセパレータ525の凹部561に嵌め込んで各部材を積層すると、線状凸部635は、カソード22の表面に当接する。第5実施例の変形例の燃料電池は、流路閉塞部565は有しておらず、線状凸部635が形成された水誘導多孔質体633の端部において、孔部84が形成する酸化ガス排出マニホールドへのガス排出口568を形成している。この場合にも、ガス排出口を、水誘導多孔質体との間で水が移動可能に接続する多孔質体で覆うことにより、同様の効果が得られる。
さらに、第5実施例では、水を面方向に導く第1の水誘導部と、ガス排出口を塞ぐ多孔質体から成る線状凸部665とを、流路形成多孔質体623として一体で形成したが、両者を別体で形成しても良い。ガス排出口の少なくとも一部を塞ぐ多孔質体が、水を面方向に導く流路形成多孔質体等の第1の水誘導部との間で、水が移動可能に接続されていれば、同様の効果を奏することができる。
また、水を面方向に導く第1の水誘導部と、ガス排出口を塞ぐ多孔質体である線状凸部との間で、平均細孔径を異ならせることとしても良い。第1の水誘導部と線状凸部の平均細孔径を異ならせると、酸化ガスがガス排出口から排出される際に、平均細孔径がより大きく流路抵抗が小さい部分を通過するようになる。したがって、酸化ガスが排出される際の流速がさらに速まり、多孔質体表面の液水を引っ張る力が強まって、単セル内酸化ガス流路からの排水性がさらに向上する。このような効果は、第1の水誘導部と線状凸部の平均細孔径を異ならせることにより得られる効果であるが、平均細孔径を異ならせる際に、第1の水誘導部の平均細孔径をより小さくするならば、第1の水誘導部における保水性を向上させることができるため、第1の水誘導部による水の誘導を利用した排水性を高めることができて望ましい。また、第5実施例のように、溝が形成する空間から成る単セル内酸化ガス流路の排出側端部を多孔質体で塞ぐ場合には、線状凸部の平均細孔径をより大きくする方が、酸化ガスがガス排出口から排出される際の圧損を抑えることができる。そのため、燃料電池への酸化ガス供給のために消費するエネルギを削減し、エネルギ効率を向上させることができる。
また、ガス排出口を塞ぐ多孔質体である線状凸部を、平均細孔径の異なる複数の部分から成ることとしても良い。このような構成とすることで、ガス排出口から排出される酸化ガスは、平均細孔径がより大きく流路抵抗が小さい部分を主として通過するようになり、酸化ガスが排出される際の流速がさらに速まり、ガス流れを利用した単セル内酸化ガス流路からの排水性がさらに向上する。このような構成の一例を図16に示す。図16は、図14に示した第5実施例の変形例としての燃料電池が備える水誘導多孔質体633を表わす平面図である。図16では、水誘導体633の線状凸部635において、凸条564との接続箇所の近傍領域であるA領域と、溝562のガス排出口側端部の近傍領域であるB領域とを、それぞれ波線で囲んで示している。線状凸部635において、上記A領域とB領域とで、平均細孔径を異ならせることができる。例えば、A領域の方がB領域よりも平均細孔径を大きくすることができる。
上記のように、第1の水誘導部と線状凸部とで平均細孔径を異ならせる場合、あるいは、線状凸部を、平均細孔径の異なる複数の部分によって構成する場合には、例えば、平均細孔径を異ならせて別々に作製した多孔質体を組み合わせることによって、上記部材を作製することができる。あるいは、上記部材を構成する発泡金属を作製する際に、材料中に発泡剤を混ぜ込む場合には、用いる発泡剤の種類を部位によって異ならせることによって、細孔径を部位によって異ならせても良い。あるいは、材料中に、後の焼成工程で焼失するビーズを混ぜ込む場合には、用いるビーズの粒径を部位によって異ならせることによって、細孔径を部位によって異ならせても良い。
G.第6実施例:
第1ないし第5実施例では、水を電極の面方向に導く多孔質体として、面全体で電極と接触する多孔質体、あるいは、電極と離隔して、ガスセパレータ面に接触して設けられた多孔質体を用いたが、両方の多孔質体を備えることとしても良い。このような構成の一例を、第6実施例として以下に説明する。第6実施例の燃料電池は、図14に示した第5実施例の変形例の燃料電池において、水誘導多孔質体633に加えて、さらに、電極面(実際にはガス拡散層22)に接して配置される第1実施例の流路形成多孔質体23と同様の流路形成多孔質体637を備えている。図17は、第6実施例の燃料電池における単セル内酸化ガス流路端部の様子を、図3と同様に示す断面模式図である。第6実施例の燃料電池では、水誘導多孔質体633の線状凸部635と凸条564(図示せず)は、流路形成多孔質体637と接している。
このような燃料電池では、カソードで生じた生成水の一部は、流路形成多孔質体637内に広がると共に、凸条564を介して、水誘導多孔質体633へと移動する。そして、流路形成多孔質体637および水誘導多孔質体633によって、水が面方向に導かれる。ガス排出口においては、多孔質体、すなわち、線状凸部635を備える水誘導多孔質体633および流路形成多孔質体637の端部によって、単セル内酸化ガス流路が覆われて、流路抵抗が高められているため、既述した実施例と同様に、酸化ガス流れによって多孔質体内からの排水が促進される効果が得られる。
さらに、第6実施例の燃料電池によれば、流路形成多孔質体637内の水が水誘導多孔質体633へと移動するため、第1実施例のように電極上に配置した流路形成多孔質体23だけを有する場合に比べて、電極と単セル内酸化ガス流路との間に存在する液水の量を減らすことができる。そのため、酸化ガスが、液水に阻害されることなく電極へと拡散し易くなり、酸化ガスの利用効率を高めることができる。また、電極上に流路形成多孔質体637を設けることで、カソードで生じた水を速やかに流路形成多孔質体637に吸収することができるため、第5実施例のように水誘導多孔質体633だけを有する場合に比べて、酸化ガスが水に阻害されることなくカソードへと到達しやすくなり、酸化ガスの利用効率を高めることができる。
第6実施例の燃料電池では、流路形成多孔質体637の厚みは、水誘導多孔質体633のガスセパレータ面に沿った部分の厚みよりも、薄くすることが望ましい。これにより、カソードから移動した水が、水誘導多孔質体633において、より多く保持されるようになり、流路形成多孔質体637内の液水に起因する、カソードに対する酸化ガス流れの阻害を抑制することができる。図18は、流路形成多孔質体および水誘導多孔質体に係る構成が異なる3種類の燃料電池について、発電性能を調べた結果の一例を示す説明図である。図18のグラフ(1)は、図14、15に示した第5実施例の変形例の燃料電池(水誘導多孔質体633の平面部分の厚みは0.6mm)の結果を示す。図18のグラフ(2)は、第6実施例の燃料電池であって、水誘導多孔質体633の平面部分を流路形成多孔質体637よりも厚く形成した燃料電池(水誘導多孔質体633の平面部分の厚みは0.6mm、流路形成多孔質体637の厚みは0.3mm)の結果を示す。図18のグラフ(3)は、第6実施例の燃料電池であって、水誘導多孔質体633の平面部分と流路形成多孔質体637とを同じ厚みに形成した燃料電池(水誘導多孔質体633の平面部分および流路形成多孔質体637の厚みは0.5mm)の結果を示す。
発電性能を調べる際には、上記した3種類の単セルを作製し、冷媒の出口温度を80℃に保ち、燃料ガス(水素)および酸化ガス(空気)を、80℃で飽和蒸気圧となるように加湿しつつ、大過剰の一定量を供給し、出力電流を次第に変化させて、出力電圧および抵抗を測定した。その結果、図18に示すように、グラフ(1)よりもグラフ(2)および(3)の方が、出力電流値が大きくなっても、より高い電圧値を維持することができた。すなわち、水誘導多孔質体633に加えてさらに流路形成多孔質体637を備えることで、カソード上のガス拡散層22から速やかに水を移動させて、カソードへのガス流れを確保することができ、電池性能が向上することが確認された。また、図18に示すように、グラフ(3)よりもグラフ(2)の方が、出力電流値が大きくなっても、より高い電圧値を維持することができた。すなわち、水誘導多孔質体633を流路形成多孔質体637よりも厚く形成することで、ガス拡散層22上の流路形成多孔質体637内に保持される水の量が削減され、カソードに対する酸化ガスの拡散性が向上して電池性能が向上することが確認された。
また、第6実施例の燃料電池において、流路形成多孔質体637を構成する多孔質体の平均細孔径は、水誘導多孔質体633を構成する多孔質体の平均細孔径よりも、大きくすることが望ましい。流路形成多孔質体637の細孔径を大きくすることにより、流路形成多孔質体637を介した、単セル内酸化ガス流路からカソードへの酸化ガスの拡散性が、より確保し易くなる。また、液水は、細孔径がより小さい多孔質体の内部へと移動するため、上記のように水誘導多孔質体633の平均細孔径を小さくすることにより、流路形成多孔質体637から水誘導多孔質体633への液水の移動を促進することができる。そのため、単セル内酸化ガス流路からカソードへの酸化ガスの拡散性がさらに高まり、電池性能を向上させることができる。
さらに、上記のように流路形成多孔質体637と水誘導多孔質体633との平均細孔径を異ならせる場合には、ガス排出口においては、排出される酸化ガスは、細孔径が大きく流路抵抗が小さい部分を通過するため、細孔径が大きな部分におけるガス流速が速まることにより、ガス流れを利用した排水の効率をさらに向上させることができる。なお、排水性向上の効果を得るためであれば、多孔質体の平均細孔径を異ならせる組み合わせは、上記した組み合わせに限られない。水誘導多孔質体633の平面部分におけるガス排出口側の端部と、線状凸部635と、流路形成多孔質体637におけるガス排出口側の端部と、の平均細孔径が異なっていればよい。すなわち、ガス排出口を覆う多孔質体において、平均細孔径の分布が不均一であれば、細孔径の大きな部分を通過する酸化ガスの流速を速めて、排水性を向上させることができる。
H.第7実施例;
第1ないし第6実施例のように、単セル内酸化ガス流路において水を電極面方向に導く第1の水誘導部と、流路抵抗が高められたガス排出口を備える燃料電池を用いて、酸化ガスの流れ方向を切り替えることにより、燃料電池内部の水分量の適正化を図ることが可能になる。このような燃料電池システムを、第7実施例として以下に説明する。
図19は、第7実施例の燃料電池システム40の概略構成を表わすブロック図である。燃料電池システム40は、燃料電池42と、水素タンク41と、ブロワ43と、制御部47と、を備える。燃料電池42は、第1ないし第6実施例で説明したいずれかの燃料電池とすることができる。水素タンク41は、水素ガスが貯蔵されると共に、燃料電池42における既述した燃料ガス供給マニホールドへと配管で接続されており、燃料電池に対して燃料ガスである水素を供給する。なお、本実施例は、酸化ガス流路の切り替えに特徴があるため、燃料ガス流路についての詳しい説明は省略する。ブロワ43は、空気を取り込んで、取り込んだ空気を酸化ガスとして燃料電池42に供給する。ブロワ43には、酸化ガス流路50が接続されている。酸化ガス流路50は、三方弁であるバルブ44を介して、酸化ガス流路51、52に分岐している。酸化ガス流路51は、バルブ45を介して、酸化ガス流路53、56に分岐している。酸化ガス流路52は、バルブ46を介して、酸化ガス流路54、55に分岐している。酸化ガス流路53は、燃料電池42における既述した酸化ガス供給マニホールドに接続しており、酸化ガス流路54は、燃料電池42における既述した酸化ガス排出マニホールドに接続している。また、酸化ガス流路55、56は、大気中に解放されている。
制御部47は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、CPU、ROM、RAM、および、各種の信号を入出力する入出力ポート等を備える。この制御部47は、燃料電池42に対する負荷要求に係る信号や、後述するドライ運転情報に係る信号を取得すると共に、これらに基づいて、既述したブロワ43やバルブ44〜46等に対して駆動信号を出力する。
ここで、制御部47が取得するドライ運転情報とは、燃料電池42の内部が、水分過剰となり易い状態であるか、水分不足となり易い状態であるかを判定するための情報である。このようなドライ運転情報としては、例えば、燃料電池42の内部温度や、燃料電池42における抵抗値(内部抵抗)、あるいは燃料電池42からの出力電圧を挙げることができる。燃料電池42の内部温度は、燃料電池42の内部、あるいは、燃料電池42の内部温度を反映する箇所、例えば燃料電池42から酸化ガスが排出される流路に温度センサを設けることにより検出できる。燃料電池42の内部抵抗や出力電圧は、燃料電池42が接続される配線に、電流計や電圧計を配置することで検出可能になる。内部抵抗は、具体的には、例えば交流インピーダンス法により求めることができる。
制御部47のCPUは、上記ドライ運転情報を取得して、例えば、燃料電池42の内部温度や内部抵抗が基準値以下のとき、あるいは、燃料電池42の出力電圧が基準値を上回るときには、燃料電池42の内部が、水分過剰となり易い状態(ウエット運転状態)であると判定する。また、燃料電池42の内部温度や内部抵抗が基準値を上回るとき、あるいは、燃料電池42の出力電圧が基準値以下のときには、燃料電池42の内部が、水分不足となり易い状態(ドライ運転状態)であると判定する。
ウエット運転状態であると判定すると、制御部47のCPUは、バルブ44〜46に駆動信号を出力して、燃料電池42における酸化ガスの流れの向きを、第1ないし第6実施例で説明した向きにする。すなわち、バルブ44〜46が制御されることで、酸化ガス流路52、56への酸化ガスの流入が遮断されて、酸化ガスは、酸化ガス流路50、51、53を介して、燃料電池42の酸化ガス供給マニホールドへと導かれる。そして、燃料電池42の酸化ガス排出マニホールドから排出された酸化ガスは、酸化ガス流路54、55を介して、大気中へと放出される。
これに対して、ドライ運転状態であると判定すると、制御部47のCPUは、バルブ44〜46に駆動信号を出力して、燃料電池42における酸化ガスの流れの向きを、第1ないし第6実施例で説明した向きと逆向きにする。すなわち、バルブ44〜46が制御されることで、酸化ガス流路51、55への酸化ガスの流入が遮断されて、酸化ガスは、酸化ガス流路50、52、54を介して、燃料電池42の、実施例で説明した酸化ガス排出マニホールドへと導かれる。この場合には、燃料電池42からは、実施例で説明した酸化ガス供給マニホールドから酸化ガスが排出され、排出された酸化ガスは、酸化ガス流路53、56を介して、大気中に放出される。
以上のように構成された第7実施例の燃料電池システム40によれば、第1ないし第6実施例の燃料電池を備えて、燃料電池内における酸化ガスの流れの向きを切り替えることによって、燃料電池内における水分量の適正化を容易に図ることが可能になる。すなわち、ウエット運転状態と判定されるときには、実施例と同様の向きに酸化ガスを流すことによって、既述したように単セル内酸化ガス流路からの連続排水を促進し、水分過剰に起因する問題の発生を抑制することができる。また、ドライ運転状態と判定されるときには、燃料電池の内部で、実施例とは逆向きに酸化ガスを流すことによって、単セル内酸化ガス流路からの排水を抑制することができる。すなわち、単セル内酸化ガス流路における酸化ガスの流れ方向を逆にする場合には、単セル内酸化ガス流路から酸化ガスが排出される際に流路抵抗が増大することがなく、ガス流れを利用した多孔質体内からの排水が行なわれ難くなり、燃料電池内におけるドライ状態の進行を抑制することができる。さらに、実施例で説明したガス排出口が酸化ガスの流入口になり、酸化ガスが単セル内酸化ガス流路に流入する際には、ガス排出口を覆う多孔質体内を通過するため、多孔質体内の水によって、流入する酸化ガスを加湿することができる。これにより、燃料電池内におけるドライ状態の進行を抑える効果をさらに高めることができる。
I.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
I1.変形例1:
第1ないし第5実施例では、単セル内酸化ガス流路において水を面方向に導く第1の水誘導部を構成する親水性多孔質体として、金メッキを施した発泡チタンを用いたが、異なる多孔質体を用いても良い。燃料電池内部の環境で充分な耐食性を示し、多孔質基材(実施例ではチタン)よりも親水性が高い(接触角が小さい)材料によって表面を被覆することで、親水性の高い第1の水誘導部を得ることができる。あるいは、多孔質基材として、金属多孔質体に代えてカーボン多孔質体を用い、このカーボン多孔質体を酸処理して表面を粗げると共に親水基である水酸基を導入して、第1の水誘導部となる親水性多孔質体を作製しても良い。このとき、カーボン多孔質体に対して、さらにプラズマ処理を行なっても良い。第1の水誘導部を構成する多孔質体は、例えば、この第1の多孔質体の基部を構成する材料から成る部材における接触角を、金の接触角以下にする表面処理を、上記した材料から成る多孔質体に対して施して形成することで、充分な親水性を有する多孔質体とすることができる。
なお、第1の水誘導部となる親水性多孔質体の性質は、内部の細孔表面に連続した水の層を形成可能であって、多孔質体の表面に水を垂らすと、直ちに、あるいは10秒以内程度のうちに水を吸収する性質ということができる。あるいは、第1の水誘導部となる多孔質体の含水量が飽和状態である場合に、多孔質体の一端に吸水性物質(例えば、吸水性の不織布)を接触させると、多孔質体の他端に滴下した水滴が連続的に吸収される性質ということができる。このような親水性多孔質体は、平均細孔径が0.1〜200μmであれば良く、好ましくは1〜80μmであればよい。
I2.変形例2:
水を面方向に導く第1の水誘導部を形成する親水性多孔質体は、その細孔径を、多孔質体全体で均一に形成するのではなく、ガス排出口近傍において、他の領域よりも細孔径を小さくしても良い。このような構成とすることで、ガス排出口近傍において、酸化ガスが通過する際の抵抗がさらに大きくなるため、細孔表面に連続して存在する水をガスが引っ張る力が、より強く働くようになる。また、上記構成とすることで、第1の水誘導部において、ガス排出口近傍領域における保水力を、他の領域よりも高めることができるため、単セル内酸化ガス流路内の水が、ガス排出口近傍へと集まりやすくなる。そのため、ガス排出口を介した第1の水誘導部からの排水効率を向上させることができる。また、第1の水誘導部を構成する多孔質体において、ガス排出口近傍の平均細孔径のみをより小さくするため、第1の水誘導部全体の平均細孔径を小さくする場合に比べて、ガス流路全体の圧損の上昇を抑えることができる。したがって、酸化ガスを供給するための補機損を抑え、システム効率の低下を抑制することができる。このような構成は、特に、燃料電池の内部が水分過剰となり易い運転状態(ウエット運転状態)で燃料電池を運転する場合に、過剰な液水に起因する問題の発生を抑制できて望ましい。なお、既述した第7実施例では、燃料電池の発電中に、ウエット運転状態とドライ運転状態とに状態が変動する場合を問題にしていたが、ここでいうウエット運転状態は、燃料電池が発電中に、常に水分過剰となり易いような場合を指している。例えば、比較的低い状態(例えば60℃)で燃料電池の発電を行なう場合を挙げることができる。
上記構成とは逆に、燃料電池の内部が水分不足となり易い運転状態(ドライ運転状態)で燃料電池を運転する場合には、第1の水誘導部を形成する親水性多孔質体における細孔径を、ガス排出口近傍において、他の領域よりも大きくしても良い。このような構成とすれば、第1の水誘導部のガス排出口近傍領域において、他の領域に比べて保水力が低下して、ガス排出口近傍へと液水が集まりにくくなる。また、ガス排出口近傍において、酸化ガスが通過する際の抵抗の上昇が抑制されるため、ガス流れを利用して単セル内酸化ガス流路から排水する力が弱まる。そのため、単セル内酸化ガス流路からの排水を抑制することができる。上記ドライ運転状態としては、例えば、燃料電池に供給するガス(燃料ガスおよび/または酸化ガス)を加湿しない運転状態を採用する場合を挙げることができる。
上記のように、第1の水誘導部を親水性多孔質体によって形成する場合には、ガス排出口近傍領域と他の領域との間で平均細孔径を異ならせることによって、酸化ガス流れを利用して単セル内酸化ガス流路から連続排水する際の排水効率を調節し、単セル内の水分量を適正化することが可能になる。
I3.変形例3:
第1の水誘導部を形成する親水性多孔質体において、ガス排出口近傍において、他の領域よりも、表面の親水度を高めることとしても良い。このような構成とすることで、ガス排出口近傍において水を保持する働きを強めることができるため、ガス排出口近傍からの排水が行なわれ易くなり、第1の水誘導部からの排水効率を向上させることができる。このような構成は、特に、上記変形例2で説明したウエット運転状態で燃料電池を運転する場合に、過剰な液水に起因する問題の発生を抑制できて望ましい。
例えば、カーボンは、親水化の際の親水化時間を変える(OH−基の数を変える)ことで親水度、すなわち部材表面のぬれ性を変更することができる。そのため、第1の水誘導部をカーボン多孔質体によって形成する場合には、領域によって親水化時間を変更して他の領域よりもガス排出口近傍の親水度を高めることによって、すなわち、他の領域からガス排出口近傍にかけての親水度を傾斜させて高めることによって、第1の水誘導部からの排出効率を向上させることができる。
あるいは、第1の水誘導部を形成する親水性多孔質体において、ガス排出口近傍と他の領域とで、表面粗さを異ならせることによって、ガス排出口近傍の親水度を高めても良い。表面粗さとは、第1の水誘導部表面の微細な凹凸状態を指しており、表面粗さが粗いほど、表面における親水性が向上し、多孔質体における保水力が増す。例えば、第1ないし第6実施例のように、第1の水誘導部を形成する親水性多孔質体を、金メッキを施した発泡チタンによって構成する場合には、金メッキを施す際の条件や方法を異ならせることにより、メッキした表面における微細な凹凸の状態を、領域によって異ならせることができる。あるいは、第1の水誘導部を形成する親水性多孔質体を、カーボン製の多孔質体によって構成する場合には、カーボン多孔質体に対して変形例1で説明した酸処理を施す際に、酸処理の強度、例えば酸処理の時間を異ならせることにより、多孔質体表面における微細な凹凸状態を、領域によって異ならせることができる。また、第1の水誘導部を形成する親水性多孔質体の表面に対して、物理的に微細な傷を付けるための機械的な処理を施すことによって、表面における微細な凹凸状態を変更させても良い。この場合には、傷を付る量を異ならせることによって、多孔質体表面における微細な凹凸状態を、領域によって異ならせることができる。上記のような方法により、第1の水誘導部を形成する多孔質体において、ガス排出口近傍の表面粗さを、他の領域よりも粗くすれば良い。
上記構成とは逆に、上記変形例2で説明したドライ運転状態で燃料電池を運転する場合には、第1の水誘導部を形成する親水性多孔質体において、ガス排出口近傍において、他の領域よりも表面の親水度を低くすることとすれば良い。第1の水誘導部のガス排出口近傍の親水度を相対的に低くするには、既述したように、第1の水誘導部をカーボン多孔質体により構成する場合には、親水化の処理時間を変更すればよい。あるいは、ガス排出口近傍の表面粗さを、他の領域よりも滑らかにしても良く、第1の水誘導部をカーボン多孔質体によって構成する場合には、例えば、酸処理の条件を領域によって異ならせればよい。また、第1の水誘導部を、金メッキを施した発砲チタンにより形成する場合には、メッキ処理を施す際の条件や方法を異ならせればよい。あるいは、第1の水誘導部を構成する多孔質体に対して、物理的に微細な傷を付ける際の付ける傷の量を異ならせることによって、表面粗さを滑らかにすれば良い。このような構成とすれば、第1の水誘導部のガス排出口近傍領域において、他の領域に比べて保水力が低下して、ガス排出口近傍へと液水が集まりにくくなり、単セル内酸化ガス流路からの排水を抑制することができる。そのため、特に、上記変形例2で説明したドライ運転状態で燃料電池を運転する場合には、燃料電池内の水分不足に起因する問題の発生を抑制することができる。
I4.変形例4:
第1および第2実施例のように、単セル内酸化ガス流路となる空間の端部を流路閉塞部によって塞ぎ、ガス排出口近傍における酸化ガスの流れを、第1の水誘導部である多孔質体の内部に導く場合に、上記多孔質体のガス排出口側の端部の一部を、さらに閉塞させることとしても良い。図20は、このような変形例5の燃料電池における単セル内酸化ガス流路端部の様子を、図3と同様に示す断面模式図である。図20では、第1実施例と共通する部分には同じ参照番号を付しており、詳しい説明は省略する。
図20に示す燃料電池は、ガス排出口68を構成する流路形成多孔質体23の端部において、さらに、上記流路形成多孔質体23端部の一部に、排出口狭窄部765を備えている。排出口狭窄部765は、流路形成多孔質体23の端部の一部において、例えば、多孔質体内に形成される細孔にポリマを充填することによって形成することができる。充填するポリマとしては、例えばポリエチレンを用いることができ、120℃以上に加熱して溶解させたポリエチレンを、多孔質体表面から塗り込めば良い。あるいは、酸化ガス排出マニホールドを形成する孔部84に沿って配置するシール部材で、流路形成多孔質体23の端部の一部を覆うことによって、排出口狭窄部765を形成しても良い。このように、第1の水誘導部である多孔質体におけるガス排出口側の端部の断面の一部を塞ぐことで、酸化ガスが単セル内酸化ガス流路から排水される際の流路抵抗を、さらに高めることができる。したがって、多孔質体内の水をガス流れによって引っ張る力を強め、ガス流れを利用した排水性を、さらに高めることができる。
I5.変形例5:
第1ないし第5実施例では、単セル内酸化ガス流路となる空間を形成するために、ガスセパレータや流路形成多孔質体、あるいは水誘導多孔質体の表面に、互いに略平行な複数の溝を設けたが、異なる形状の凹凸構造を設けても良い。ガス流路を形成する凹凸構造は、酸化ガス供給マニホールドと酸化ガス排出マニホールドとを連通させることができる形状であればよい。例えば、酸化ガスを直進させるのではなく、途中でガスの流れ方向を変更させる折れ曲がり部を有するガス流路を形成する形状としても良い。あるいは、ガスセパレータや流路形成多孔質体、あるいは水誘導多孔質体の表面に、所定の間隔を置いて配置する複数の突起を設け、突起の間に形成される空間によって、単セル内酸化ガス流路を形成しても良い。異なる形状であっても、単セル内酸化ガス流路の出口部において、第1の水誘導部と重なる形状であって流路抵抗が高くなる形状のガス排出口が形成されていれば、実施例と同様の効果が得られる。
I6.変形例6:
第1ないし第5実施例では、ガスセパレータや流路形成多孔質体、あるいは水誘導多孔質体の表面に、複数の凸条および溝から成る凹凸形状を形成して、親水性多孔質体内の細孔以外に酸化ガスが流れる空間を確保している。このように、酸化ガスを導く空間を形成すると共に、MEA20とガスセパレータとの間の集電を確保するために、上記した凹凸形状の形成に代えて、エキスパンドメタルなどのスペーサを用いても良い。
例えば第1実施例の流路形成多孔質体23と同様に平坦な流路形成多孔質体と、第2実施例のガスセパレータ225と同様に底面が平坦な凹部を有するガスセパレータとを組み合わせ、これらの間に、1枚または複数枚のエキスパンドメタルなどのスペーサを配置することができる。このような構成とすれば、エキスパンドメタルのメッシュの形状や細かさ、あるいは配置するエキスパンドメタルの枚数などを適宜設定することにより、第1実施例と同様に、酸化ガス流路全体の圧損を抑える効果を得ることが可能になる。また、エキスパンドメタルなどのスペーサによって、ガスセパレータと電極との間の集電性を確保することができる。
あるいは、第4実施例において、ガスセパレータ525の凹部561に嵌め込む水誘導多孔質体523に代えて、凸条564を有しない平板状の水誘導多孔質体を用い、この水誘導多孔質体とガス拡散層22との間に、上記したエキスパンドメタルなどのスペーサを配置しても良い。この場合には、用いるエキスパンドメタルには、親水性を高める処理を施せば良く、例えば、金メッキを施したチタンによってエキスパンドメタルを形成すればよい。また、エキスパンドメタルのメッシュの細かさは、電極面全体から均等に水を伝えることができるように、充分に細かく設定することが望ましい。このような構成では、エキスパンドメタルなどのスペーサは、水を面方向に導く第1の水誘導部へと、電極から水を伝える第2の水誘導部として機能する。
I7.変形例7:
第1ないし第5実施例では、水を面方向に連続して導く第1の水誘導部として、親水性多孔質体を用いたが、異なる構成としても良い。図21は、親水性多孔質体とは異なる第1の水誘導部を備える燃料電池の構成の一例を示す分解斜視図である。図21において、実施例の燃料電池と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。
図21の燃料電池は、ガスセパレータ725を備えている。このガスセパレータ725は、図10に示す第4実施例のガスセパレータ525と類似する構成を有しているが、底面が平坦な凹部561に代えて、底面全体に、孔部83と孔部84とを結ぶ互いに略平行な複数の溝723が形成された凹部761を備えている。また、この凹部761の底面と、ガス拡散層22との間には、上記底面およびガス拡散層22と接するように、既述した変形例5と同様の1枚または複数枚のエキスパンドメタル767が配置される。なお、図21では、1枚のエキスパンドメタル767を配置する様子を示している。
ここで、ガスセパレータ725は、その表面に対して、親水性を高める処理が施されている。例えば、ガスセパレータ725をチタンによって形成し、その表面を金メッキすればよい。ガスセパレータ725表面に形成された溝723は、水が存在する場合に、表面張力によって、溝に沿って連続的に水を保持可能な幅に形成されている。なお、ガスセパレータ725の表面に対する親水化処理は、溝723の表面に対してのみ行なっても良い。ただし、溝723以外の領域においては、導電性を損なうことなく耐食性を確保する必要がある。そのため、本実施例では、溝723においては親水性を高め、それ以外の領域においては導電性を損なうことなく耐食性を高めるために、ガスセパレータ725の表面全体に対して金メッキを施している。また、エキスパンドメタル767も、その表面に対して親水性を高める処理が施されており、例えば、エキスパンドメタル767をチタンによって形成し、その表面を金メッキすればよい。
図22は、このような変形例の燃料電池の単セル内酸化ガス流路の端部における酸化ガスおよび水の流れを、図3と同様に表わす断面模式図である。なお、図22では、ガス拡散層22とガスセパレータ725の間に配置されるエキスパンドメタル767の記載は省略している。このような燃料電池が発電する際には、カソードで生じた水は、エキスパンドメタル767の表面を伝って、ガスセパレータ725の凹部761側へと導かれる。そして、凹部761の底面に形成された溝723へと導かれ、溝723内に沿って広がる。単セル内酸化ガス流路の端部は、流路閉塞部565が配置されることによって、流路断面積が狭められ、ガスが流れる際の抵抗が大きくなる形状となっており、ガス排出口768として開口している。このガス排出口768は、溝723の端部と重なって開口しているため、溝723の端部近傍の表面において、流速が速められた酸化ガスの流れによって水が引っ張られて、酸化ガス流れと共にガス排出口768から水が排出される。
このような燃料電池においては、ガスセパレータ725の表面に形成した複数の溝723は、水を面方向へと連続して導く第1の水誘導部として働く。また、エキスパンドメタル767は、電極で生じた水を、第1の水誘導部である溝723へと導く第2の水誘導部として働く。これにより、実施例と同様に、酸化ガスの流速を利用して単セル内酸化ガス流路から連続的に排水する同様の効果が得られる。
なお、このような変形例6の構成に、第3実施例の変形例の構成を組み合わせても良い。すなわち、図22の流路閉塞部565において、図9の流路閉塞部365に設けた水吸収材から成る開口調節部467を設け、ガス流路中の水分量に応じて、ガス排出口768の大きさを変更可能にしても良い。
I8.変形例8:
電極の面方向に連続して水を導く第1の水誘導部を備える本発明の燃料電池において、単セル内酸化ガス流路へと酸化ガスが流入するガス流入口の少なくとも一部を覆う多孔質体をさらに設けることとしても良い。このような多孔質体を、第1の水誘導部との間で水が移動可能になるように配置すれば、この多孔質体内に酸化ガスを通過させることによって、単セル内酸化ガス流路へと流入する酸化ガスの加湿を行なうことが可能になる。
このような燃料電池とする場合には、例えば、図12に示した第5実施例の燃料電池が備える流路形成多孔質体623に設けた線状の凸部665と同様の線状の凸部を、流路形成多孔質体において、ガス供給側である孔部83に近接する一辺に沿って設ければ良い。この場合には、ガスセパレータにおいては、図12に示した第5実施例のガスセパレータ625の孔部84に沿って設けた凹部666と同様の凹部を、孔部83に沿って設ければ良い。
図23は、このような変形例の燃料電池の単セル内酸化ガス流路のガス流入側端部における酸化ガスおよび水の流れを、図3と同様に表わす断面模式図である。なお、図23では、実施例と共通する部分には同じ参照番号を付しており、詳しい説明は省略する。このような燃料電池が発電する際には、カソードで生じた水は、金メッキによって親水性が高められた発泡金属等から成る流路形成多孔質体823内の細孔表面に沿って電極の面方向に広がる。このように流路形成多孔質体823内で水が広がると、広がった水は、流路形成多孔質体823と一体で設けられ、孔部83に近接する一辺に沿って設けた親水性を有する線状の凸部865にも導かれる。そのため、孔部83が形成する酸化ガス供給マニホールドから単セル内酸化ガス流路へと酸化ガスが流入する際に、酸化ガスが凸部865内を通過する際には、凸部865内へと導かれた水によって酸化ガスを加湿することができる。
図23では、凸部865は、単セル内酸化ガス流路へと酸化ガスが流入するガス流入口全体を覆うこととしたが、溝62によって形成される単セル内酸化ガス流路の端部の一部は、酸化ガス供給マニホールドに開放されていても良い。また、凸部865は、第1の水誘導部である流路形成多孔質体823と一体で形成することとしたが、別体で形成しても良く、第1の水誘導部との間で水が移動可能に接続されていればよい。なお、図23では、図12に示した第5実施例と同様の燃料電池が備える流路形成多孔質体に凸部865を設けたが、他の実施例において、第1の水誘導部から水を伝えられて、単セル内酸化ガス流路に流入する酸化ガスを加湿する同様の多孔質体を設けることとしても良い。
I9.変形例9:
第1ないし第7実施例、および上記変形例1ないし9では、カソードとガスセパレータとの間で電極の面方向に水を導く第1の水誘導部を、電極全体を覆うように配置しているが、電極上の一部の領域だけを覆うように配置しても良い。例えば、図21に示した変形例8の燃料電池において、第1の水誘導部としてガスセパレータ表面に形成した溝723を、電極が重なる範囲全体にわたって形成するのではなく、例えば、酸化ガス排出マニホールドを形成する孔部84に近い半分の領域だけに形成することとしても良い。電極と重なる領域の少なくとも一部において、ガス排出口へと面方向に水を導く第1の水誘導部を設けるならば、電極から第1の水誘導部へと移動した水をガス流れを利用して排水することによる同様の効果を得ることができる。
I10.変形例10:
実施例では、単セル内酸化ガス流路側において、電極で生じた水を面方向に導く第1の水誘導部を設けると共に、少なくとも一部が第1の水誘導部と重なって開口するガス排出口において、酸化ガスが流れる際の抵抗が大きくなる形状にして、第1の水誘導部からの連続的な排水を可能にしている。カソードは、電気化学反応に伴って水が生じるため、排水性を向上させることによる効果が大きいが、同様の構成を、単セル内酸化ガス流路側に代えて単セル内燃料ガス流路側に設けても良く、双方に設けても良い。少なくともいずれか一方の単セル内ガス流路において、このような構成を設けることで、設けた側のガス流路における排水性を向上させることができる。
第1実施例の燃料電池の概略構成を表わす分解斜視図である。 図1における2−2断面を表わす断面模式図である。 酸化ガスおよび水の流れを表わす断面模式図である。 比較例の単セルを表わす断面模式図である。 燃料電池の発電性能を調べた結果を示す説明図である。 第2実施例の燃料電池の構成を表わす分解斜視図である。 流路形成多孔質体223を表わす平面図である。 第3実施例の燃料電池を表わす断面模式図である。 第3実施例の変形例の燃料電池を表わす断面模式図である。 第4実施例の燃料電池の構成を表わす分解斜視図である。 第4実施例の燃料電池を表わす断面模式図である。 第5実施例の燃料電池の構成を表わす分解斜視図である。 第5実施例の燃料電池の構成を表わす断面模式図である。 第5実施例の変形例の構成を表わす分解斜視図である。 第5実施例の変形例の構成を表わす断面模式図である。 水誘導多孔質体633を表わす平面図である。 第6実施例の燃料電池の構成を表わす断面模式図である。 燃料電池の発電性能を調べた結果を示す説明図である。 燃料電池システム40の概略構成を表わすブロック図である。 変形例5の燃料電池の構成を表わす断面模式図である。 変形例の燃料電池の構成を示す分解斜視図である。 変形例の燃料電池を表わす断面模式図である。 変形例の燃料電池を表わす断面模式図である。
符号の説明
10…単セル
20…MEA
21,22…ガス拡散層
23,223,623…流路形成多孔質体
25,125,225,325,425,525,625,725…ガスセパレータ
40…燃料電池システム
41…
42…燃料電池
43…ブロワ
44〜46…バルブ
47…制御部
50〜56…酸化ガス流路
62,63,162,262,562,662…溝
65,265,365,565…流路閉塞部
66…シール部
68,168,368,468,568,668,768…ガス排出口
83〜86…孔部
261,561,761…凹部
264,564,664…凸条
266…平坦領域
467…開口調節部
523,633…水誘導多孔質体
566…平坦領域
665,635…線状凸部
666…凹部
723…溝
765…排出口狭窄部
767…エキスパンドメタル
823…流路形成多孔質体
865…凸部

Claims (27)

  1. 燃料電池であって、
    電解質層と、
    前記電解質層上に形成された電極と、
    前記電解質層および前記電極と共に積層され、前記電極との間で、電気化学反応に供される反応ガスが流れるガス流路を形成するガスセパレータと、
    前記電極と前記ガスセパレータとの間に配置されると共に、前記電極との間で水が移動可能に接続され、前記電極の面の方向に水を導く第1の水誘導部と、
    前記ガス流路の端部において、少なくとも一部が前記第1の水誘導部の端部と重なって開口し、前記ガス流路を流れる反応ガスを前記ガス流路から排出するためのガス排出口であって、前記ガス流路の内部よりも、前記反応ガスが流れる際の抵抗が大きくなる形状を有するガス排出口と
    を備える燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記第1の水誘導部は、前記電極全体を覆って配置されている
    燃料電池。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記第1の水誘導部は、前記ガス流路を流れる前記反応ガスが流入可能な細孔であって、少なくとも前記電極の面の方向に連通して拡がる細孔を、内部に有する第1の多孔質体によって形成されている
    燃料電池。
  4. 請求項3記載の燃料電池であって、
    前記ガス流路における前記ガス排出口側の端部は閉塞されており、
    前記ガス排出口は、前記第1の多孔質体の端部である
    燃料電池。
  5. 請求項4記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口側の端部において、断面の一部が閉塞されている
    燃料電池。
  6. 請求項3記載の燃料電池であって、
    前記ガス排出口は、前記第1の多孔質体の端部に加えて、前記ガス流路の断面の一部に対して開口する
    燃料電池。
  7. 請求項3ないし6いずれか記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口近傍において、他の部位よりも平均細孔径が小さく形成されている
    燃料電池。
  8. 請求項3ないし6いずれか記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口近傍において、他の部位よりも平均細孔径が大きく形成されている
    燃料電池。
  9. 請求項3ないし8いずれか記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口近傍において、他の部位よりも親水度が高く形成されている
    燃料電池。
  10. 請求項3ないし8いずれか記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体は、前記ガス排出口近傍において、他の部位よりも親水度が低く形成されている
    燃料電池。
  11. 請求項3ないし10いずれか記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体に形成された前記細孔は、前記電極の面方向に加えて、前記積層の方向にも連通して拡がり、
    前記第1の多孔質体は、前記電極上に接して、前記電極全体を覆って設けられ、
    前記ガス流路は、前記第1の多孔質体と前記セパレータとの間に形成されている
    燃料電池。
  12. 請求項11記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体あるいは前記セパレータは、対向する前記セパレータあるいは前記第1の多孔質体と接する複数の凸部を有し、
    前記ガス流路は、前記複数の凸部の間に形成される空間によって形成される
    燃料電池。
  13. 請求項3ないし10いずれか記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体は、前記セパレータにおける前記ガス流路を形成する面上に配置され、
    前記ガス流路は、前記電極と前記多孔質体との間に形成され、
    前記燃料電池は、さらに、前記電極と前記第1の多孔質体との間を、水が移動可能に接続する第2の水誘導部を備える
    燃料電池。
  14. 請求項13記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体は、対向する前記電極と接する複数の凸部を有し、
    前記ガス流路は、前記複数の凸部の間に形成される空間によって形成され、
    前記第2の水誘導部は、前記複数の凸部である
    燃料電池。
  15. 請求項13または14記載の燃料電池であって、さらに、
    前記電極上に接して、前記電極全体を覆う第2の多孔質体を備え、
    前記ガス流路は、前記第1の多孔質体と前記第2の多孔質体との間に形成され、
    前記第2の水誘導部は、前記第1の多孔質体と前記第2の多孔質体との間を、水が移動可能に接続する
    燃料電池。
  16. 請求項15記載の燃料電池であって、
    前記第2の多孔質体は、前記第1の多孔質体よりも薄く形成されている
    燃料電池。
  17. 請求項15または16記載の燃料電池であって、
    前記第2の多孔質体は、前記第1の多孔質体よりも、平均細孔径が大きい
    燃料電池。
  18. 請求項3ないし17いずれか記載の燃料電池であって、
    前記第1の多孔質体は、該第1の多孔質体の基部を構成する材料から成る部材における接触角を金の接触角以下にする表面処理を、前記材料から成る多孔質体に対して施して成る
    燃料電池。
  19. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記第1の水誘導部は、前記セパレータにおける前記ガス流路を形成する面に形成された複数の溝であり、
    前記ガス排出口は、前記第1の水誘導部と連続して形成されると共に、前記ガス流路の断面の一部に対して開口し、
    前記燃料電池は、さらに、前記電極と前記第1の水誘導部との間を、水が移動可能に接続する第2の水誘導部を備える
    燃料電池。
  20. 請求項6または19記載の燃料電池であって、
    前記ガス排出口は、水を吸収して膨張すると共に水を放出して収縮する水吸収材を、開口する壁面の一部に備える
    燃料電池。
  21. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池であって、
    前記ガス排出口の一部は、前記第1の水誘導部の端部で開口すると共に、前記ガス排出口の残りの部分は、前記第1の水誘導部との間で水が移動可能に接続された第2の多孔質体に覆われている
    燃料電池。
  22. 請求項21記載の燃料電池であって、
    前記第1の水誘導部は、前記ガス流路を流れる前記反応ガスが流入可能な細孔であって、少なくとも前記電極の面の方向に連通して拡がる細孔を、内部に有する第1の多孔質体によって形成されており、
    前記第1の多孔質体と前記第2の多孔質体とは、平均細孔径が異なる
    燃料電池。
  23. 請求項21または22記載の燃料電池であって、
    前記第2の多孔質体は、平均細孔径の異なる複数の部分によって構成されている
    燃料電池。
  24. 請求項1ないし23いずれか記載の燃料電池であって、さらに、
    前記第1の水誘導部の端部に設けられ、前記第1の水誘導部との間で水が移動可能に接続されると共に、前記ガス流路へと前記反応ガスが流入するガス流入口の少なくとも一部を覆って設けられた第3の多孔質体を備える
    燃料電池。
  25. 請求項1ないし24いずれか記載の燃料電池であって、
    前記第1の水誘導部には、親水処理が施されている燃料電池。
  26. 請求項25記載の燃料電池であって、
    前記電極はさらに、撥水処理が施されたガス拡散層を備える
    燃料電池。
  27. 燃料電池システムであって、
    請求項1ないし26いずれか記載の燃料電池であって、さらに、前記反応ガスが流れる際の抵抗が前記ガス排出口よりも小さく形成されており、前記ガス流路へと前記反応ガスが流入するガス流入口を備えた燃料電池と、
    前記燃料電池に対して前記反応ガスを供給するガス供給部と、
    前記ガス供給部と前記燃料電池とを接続する第1の配管と、
    前記燃料電池に接続されて、前記燃料電池から排出された前記反応ガスが流れる第2の配管と、
    前記燃料電池の内部が、水分不足であるか否かを判定するドライ運転状態判定部と、
    前記ドライ運転状態判定部が水分不足であると判定したときには、前記ガス供給部を、前記第1の配管に代えて前記第2の配管に接続させて、前記燃料電池の内部における前記反応ガスの流れ方向が反転するように、前記第1の配管および前記第2の配管における接続状態を切り替える流路切り替え部と
    を備える燃料電池システム。
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