JP5181575B2 - スターリングエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンリングや潤滑油を使用しないでシリンダ内をピストンが往復運動するスターリングエンジンに関する。
近年、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載される内燃機関の排熱や工場排熱を回収するために、理論熱効率に優れたスターリングエンジンが注目されてきている。特許文献1には、圧縮された作動流体をピストンの内部に導入し、ピストンの側周部に設けた孔からピストンとシリンダとの間に作動流体を噴射することで、気体軸受を構成するスターリングエンジンが開示されている。
特開2006−183566号公報
特許文献1に開示されたスターリングエンジンでは、微小な異物が作動流体に混入していると、ピストンとシリンダとの間へ噴射される作動流体とともに異物も噴射されるおそれがある。その結果、ピストンとシリンダとの間に異物が侵入し、ピストンやシリンダの耐久性を低下させるおそれがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ピストンの内部に導入した作動流体をピストンとシリンダとの間に流出させて気体軸受を形成する構造において、ピストンとシリンダとの間への異物の侵入を抑制して、ピストンやシリンダの耐久性低下を抑制することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明に係るスターリングエンジンは、作動流体を加熱するヒータと、前記ヒータと接続されるとともに前記作動流体が通過する再生器と、前記再生器に接続されるとともに前記作動流体を冷却するクーラーとを含んで構成される熱交換器と、前記熱交換器を通過した作動流体が流入し、流出するシリンダと、前記シリンダ内を往復運動するピストンと、前記ピストンの外殻で囲まれる蓄圧空間と、前記シリンダ内の作動空間と前記蓄圧空間とを連通して、前記作動空間内の前記作動流体を前記蓄圧空間に導入する気体導入通路と、前記ピストンの側部に複数設けられ、前記蓄圧空間内の前記作動流体を前記ピストンの側部と前記シリンダとの間に流出させて、前記ピストンと前記シリンダとの間に気体軸受を形成する給気孔と、前記気体導入通路と前記給気孔との間に設けられて、前記作動流体に含まれる異物を捕捉する異物捕捉手段と、前記蓄圧空間の内部へ配置され、前記蓄圧空間へ開口した前記気体導入通路の開口部から前記作動空間内の前記作動流体を前記蓄圧空間へ導入し、また、前記蓄圧空間内の作動流体が前記作動空間内へ逆流することを防止する加圧状態保持手段を備えたピストン機関と、前記ピストンを支持して前記ピストンを近似的に直線運動させる近似直線機構と、を備え、前記異物捕捉手段は、前記加圧状態保持手段と前記給気孔との間に設けられ、かつ、前記加圧状態保持手段を囲むとともに、前記加圧状態保持手段は逆止弁であり、前記逆止弁の開弁圧力は、前記作動空間内における前記作動流体の平均圧力に、前記作動空間内における前記作動流体の圧力の変動幅の1/2を加算した値よりも小さいとともに、前記逆止弁は、スターリングエンジンの運転時には、前記作動空間内圧力が前記開弁圧力よりも高くなると、常に開弁することを特徴とする。このような構成により、ピストンとシリンダとの間への異物の侵入を抑制して、ピストンやシリンダの耐久性低下を抑制できる。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記給気孔の一部は、前記ピストンと前記シリンダとの間に流出した前記作動流体による潤滑領域において、前記ピストンの中心軸方向における前記潤滑領域の中央部よりも前記ピストンの頂部側に設けられることが好ましい。
本発明は、ピストンの内部に導入した作動流体をピストンとシリンダとの間に流出させて気体軸受を形成する構造において、ピストンとシリンダとの間への異物の侵入を抑制して、ピストンやシリンダの耐久性低下を抑制できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。なお、以下においては、ピストン機関の一例としてスターリングエンジンを取り上げるが、ピストン機関はこれに限定されるものではない。また、ピストン機関であるスターリングエンジンを用いて、車両等に搭載される内燃機関の排熱を回収する例を説明するが、排熱の回収対象は内燃機関に限られない。例えば工場やプラント、あるいは発電施設の排熱を回収する場合にも本発明は適用できる。
本実施形態に係るピストン機関は、スターリングエンジンであり、シリンダ内の作動空間から、ピストンの外殻とピストンの内部の仕切り部材とで囲まれる蓄圧空間内へ作動流体を導入させ、この作動流体をピストンの側部に設けた給気孔からピストンとシリンダとの間に流出させ、ピストンとシリンダとの間に気体軸受(静圧気体軸受)を形成するピストン機関である。本実施形態は、このようなピストン機関において、ピストンの外殻に設けられて作動流体を蓄圧空間内へ導入する気体導入通路と、作動流体を流出させる給気孔との間に、作動流体に含まれる異物を捕捉する異物捕捉手段を備える点に特徴がある。
図1は、本実施形態に係るピストン機関であるスターリングエンジンの構成を示す断面図である。図2は、本実施形態に係るスターリングエンジンが備える気体軸受の構成例、及びピストンの支持構造を示す説明図である。本実施形態に係るピストン機関であるスターリングエンジン100は、いわゆるα型の直列2気筒スターリングエンジンである。本実施形態において、スターリングエンジン100は、内燃機関の排ガスExを通過させる通路として機能するヒータケース3に熱交換器108を配置して、内燃機関の排ガスExから熱エネルギーを回収する、排熱回収装置として用いられる。
スターリングエンジン100は、高温側シリンダ30H内に収められた高温側ピストン20Hと、低温側シリンダ30L内に収められた低温側ピストン20Lとが直列に配置されている。なお、以下において、高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとを区別しない場合にはシリンダ30といい、高温側ピストン20Hと低温側ピストン20Lとを区別しない場合にはピストン20という。
高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとは、基準体である基板111に、直接又は間接的に支持、固定されている。本実施形態に係るスターリングエンジン100においては、この基板111が、スターリングエンジン100の各構成要素の位置基準となる。このように構成することで、前記各構成要素の相対的な位置精度を確保できる。また、後述するように、本実施形態に係るスターリングエンジン100は、高温側シリンダ30Hと高温側ピストン20Hとの間、及び低温側シリンダ30Lと低温側ピストン20Lとの間に気体軸受GBを介在させる。
本実施形態に係るスターリングエンジンは、基準体である基板111に、高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとを直接又は間接的に取り付けることにより、ピストンとシリンダとのクリアランスを精度よく保持することができる。これによって、気体軸受GBの機能を十分に発揮させることができる。さらに、スターリングエンジン100の組み立ても容易になる。
高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとの間には、略U字形状のヒータ(加熱器)105と再生器106とクーラー107とで構成される熱交換器108が設けられる。このように、ヒータ105を略U字形状にすることによって、内燃機関の排気通路内のような比較的狭い空間にも、ヒータ105を容易に配置することができる。また、このスターリングエンジン100のように、高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとを直列に配置することにより、内燃機関の排ガス通路のような筒状の空間にもヒータ105を比較的容易に配置することができる。
ヒータ105の一方の端部は高温側シリンダ30H側に配置され、他方の端部は再生器106側に配置される。ヒータ105は、作動流体を加熱する。再生器106は、一方の端部がヒータ105側に配置され他方の端部はクーラー107側に配置されて、ヒータ105又はクーラー107から流入する作動流体が通過する。クーラー107の一方の端部は再生器106側に配置され、他方の端部は低温側シリンダ30L側に配置される。クーラー107は、作動流体を冷却する。高温側シリンダ30H及び低温側シリンダ30Lは、熱交換器108を通過した作動流体が流入し、流出する。
高温側シリンダ30H、低温側シリンダ30L及び熱交換器108内には作動流体(本実施形態では空気)が封入されており、ヒータ105から供給される熱によってスターリングサイクルを構成し、スターリングエンジン100を駆動する。ここで、例えば、ヒータ105、クーラー107は、熱伝導率が高く耐熱性に優れた材料のチューブを複数束ねて構成することができる。クーラー107は空冷としてもよいし、水冷としてもよい。また、再生器106は、多孔質の蓄熱体で構成することができる。なお、ヒータ105、クーラー107及び再生器106の構成は、この例に限られるものではなく、排熱回収対象の熱条件やスターリングエンジン100の仕様等によって、好適な構成を選択することができる。
高温側ピストン20Hと低温側ピストン20Lとは、高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30L内に気体軸受GBを介して支持されている。すなわち、ピストンリングを介さず、潤滑油を用いないで、ピストンをシリンダ内に支持する構造である。これによって、ピストンとシリンダとの間の摩擦を低減して、スターリングエンジン100の効率を向上させることができる。また、ピストンとシリンダとの摩擦を低減することにより、例えば、内燃機関の排熱回収のような低熱源、低温度差の運転条件下でスターリングエンジン100を使用する場合でも、スターリングエンジン100により排熱から熱エネルギーを回収できる。
気体軸受GBを構成するため、図2に示すように、ピストン20(高温側ピストン20H、低温側ピストン20L)とシリンダ30(高温側シリンダ30H、低温側シリンダ30L)との間には、所定のクリアランスtcを設ける。クリアランスtcは、ピストン20の全周にわたって10μm〜数10μmとする。高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lの往復運動は、コネクティングロッド61によって出力軸であるクランク軸110に伝達され、ここで回転運動に変換される。
ここで、気体軸受GBは、ピストン20の直径方向(横方向、スラスト方向)の力に耐える能力(負荷能力)が低いため、ピストン20のサイドフォースFsを実質的にゼロにすることが好ましい。このため、シリンダ30の軸線(中心軸)に対するピストン20の直線運動精度を高くする必要がある。これを実現するため、本実施形態において、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lは、図2に示す近似直線機構(例えばグラスホッパ機構)60によって支持される。
グラスホッパ機構60は、一端部がスターリングエンジン100の筐体100Cへ回動可能に取り付けられる第1腕62と、同じく一端部がスターリングエンジン100の筐体100Cへ回動可能に取り付けられる第2腕63と、一端部がコネクティングロッド61の端部と回動可能に連結され、他端部が第2腕63の他端部と回動可能に連結される第3腕64とで構成される。コネクティングロッド61は、クランク軸110と回動可能に取り付けられる端部とは異なる端部が、第3腕64の端部と回動可能に連結される。また、第1腕62の他端部は、第3腕63の両端部の間に、回動可能に連結される。
このように構成されるグラスホッパ機構60を用いれば、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lを略直線状に往復運動させることができる。その結果、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20LのサイドフォースFsがほとんど0になるので、負荷能力の小さい気体軸受GBによっても十分にピストン20を支持できる。なお、ピストン20を支持する近似直線機構はグラスホッパ機構に限られるものではなく、ワットリンク等を用いてもよい。
なお、グラスホッパ機構60は、他の直線近似機構に比べて、同じ直線運動精度を得るために必要な機構の寸法が小さくて済むため、スターリングエンジン100全体がコンパクトになるという利点がある。特に、本実施形態に係るスターリングエンジン100を車両に搭載される内燃機関の排熱回収に用い、内燃機関の排ガスの通路に熱交換器108を配置するというような、限られたスペースにスターリングエンジンを設置する場合、スターリングエンジン100の全体がコンパクトである方が設置の自由度は向上する。また、グラスホッパ機構60は、同じ直線運動精度を得るために必要な機構の質量が他の機構よりも軽量で済むため、熱効率を向上させる点で有利である。さらに、グラスホッパ機構60は、機構の構成が比較的簡単であるため、製造・組み立てが容易であり、また製造コストも低減できるという利点もある。
図1に示すように、スターリングエンジン100を構成する高温側シリンダ30H、高温側ピストン20H、コネクティングロッド61、クランク軸110等の構成要素は、筺体100Cに格納される。スターリングエンジン100の筺体100Cは、クランクケース114Aと、シリンダブロック114Bとを含んで構成される。筺体100C内には気体が充填される。本実施形態において、前記気体は、スターリングエンジン100の作動流体と同一である。筺体100C内に充填される気体は、圧力調整手段であるポンプ115により加圧される。ポンプ115は、例えば、スターリングエンジン100の排熱回収対象である内燃機関によって駆動してもよいし、例えば電動機のような駆動手段を用いて駆動してもよい。
スターリングエンジン100は、ヒータ105とクーラー107との温度差が同じ場合、作動流体の平均圧力が高い程、高温側と低温側との圧力差が大きくなるので、より高い出力が得られる。本実施形態に係るスターリングエンジン100は、筺体100C内に充填される気体を加圧することにより、作動空間MS内の作動流体を高圧に保持して、スターリングエンジン100からより多くの出力を取り出すように構成してある。これによって、排熱回収のように低質な熱源しか用いることができない場合でも、より多くの出力をスターリングエンジン100から取り出すことができる。ここで、スターリングエンジン100の出力は、筺体100C内に充填される気体の圧力にほぼ比例して大きくなる。
本実施形態に係るスターリングエンジン100では、筺体100Cにシール軸受116が取り付けられており、クランク軸110はシール軸受116により支持される。本実施形態に係るスターリングエンジン100は、筺体100C内に充填される気体を加圧するが、シール軸受116により、筺体100C内に充填される気体の漏れを最小限に抑えることができる。クランク軸110の出力は、例えば、オルダムカップリングのようなフレキシブルカップリング118を介して筺体100Cの外部へ取り出される。次に、本実施形態に係るスターリングエンジン100が備えるピストン20の構成を説明する。
図3−1は、本実施形態に係るスターリングエンジンが備えるピストンの構成を示す断面図である。図3−2は、図3−1に示すピストンの頂部付近の拡大図である。図3−3は、本実施形態に係るスターリングエンジンが備えるピストンに適用できる他の逆止弁を示す説明図である。図4は、本実施形態に係るスターリングエンジンが備えるピストンの他の構成例示す断面図である。図5は、図3−1のA−A矢視図である。図6は、図3−1のB−B矢視図である。
図3−1に示すように、ピストン20は、頂部20Tと、側部20Sと、底部20Bとを外殻とし、頂部20Tと、側部20Sと、底部20Bとで囲まれる空間を、蓄圧空間20Iとする。なお、図4に示すピストン20’は、内周部に隔壁20Pを取り付けて、コップ状のピストン20’の内側を仕切ることにより、蓄圧空間20I’を形成する。すなわち、ピストン20’は、頂部20T’と、側部20S’と、隔壁20Pとを外殻とし、頂部20T’と、側部20S’と、隔壁20Pとで囲まれる空間を、蓄圧空間20I’とする。
ピストン20の頂部20Tには、蓄圧空間20Iと連通する気体導入通路21が設けられる。作動空間MS内の作動流体FLは、気体導入通路21を通ってピストン20の蓄圧空間20Iへ導入される。図4に示すピストン20’は、頂部20T’の作動空間MSとは反対側に、ピストン20’を支持するピストン支持部20Fが取り付けられる。ピストン20’の頂部20T’には第1の気体導入通路21aが設けられ、また、ピストン支持部20Fには第2の気体導入通路21bが設けられる。作動空間MS内の作動流体FLは、第1の気体導入通路21a及び第2の気体導入通路21bを通って、ピストン20’の蓄圧空間20I’へ導入される。
図3−2に示すように、ピストン20の気体導入通路21は、頂部20Tの作動空間MS側に開口する開口部(作動空間側開口部)21oを有し、また、蓄圧空間20Iへ開口する開口部(蓄圧空間側開口部)21iを有する。気体導入通路21の蓄圧空間側開口部21iには、蓄圧空間20I内に導入された作動流体の逆流を防止するため、加圧状態保持手段として逆止弁40が設けられる。逆止弁40は、蓄圧空間20Iの内部へ配置され、蓄圧空間側開口部21iから作動空間MS内の作動流体FLを蓄圧空間20Iへ導入し、また、蓄圧空間20I内の作動流体FLが作動空間MS内へ逆流することを防止する。
逆止弁40は、ボール43とばね44とで構成される、いわゆるチェック弁である。逆止弁40は、弁筐体41の内部に、ボール43と、このボール43を蓄圧空間側開口部21iに向かって押圧するばね44と、を格納して構成される。弁筐体41には、気体導入通路21から流入した作動空間MS内の作動流体FLが、ピストン20の蓄圧空間20Iへ流入するための連通孔41hが設けられている。
ボール43は、ばね44の押し付け力により蓄圧空間側開口部21iへ押し付けられて、蓄圧空間側開口部21iを閉じている。ピストン20の動きにより図3−1に示すシリンダ30内の作動空間MSに存在する作動流体FLの圧力(作動空間内圧力)Pcが上昇し、ばね44の押し付け力に打ち勝ったときにボール43が蓄圧空間側開口部21iから離れる方向に移動する。これによって、逆止弁40が開弁して、作動空間MS内の作動流体FLが気体導入通路21を通って弁筐体41内へ流入する。そして、作動流体FLは、弁筐体41の連通孔41hを通って蓄圧空間20Iへ導入される。ここで、逆止弁40が開弁する圧力(開弁圧力)Poは、蓄圧空間20I内の圧力(蓄圧空間内圧力)Ppよりも高い所定の圧力に設定される。
また、逆止弁40は、ピストン20の動きにより作動空間内圧力Pcが下がり、開弁圧力Poよりも低くなったときには、ボール43が蓄圧空間側開口部21iに押し付けられて、蓄圧空間20I内の作動流体FLが作動空間MSへ逆流することを防ぐ。このように、逆止弁40は、蓄圧空間20I内の加圧状態を保持する加圧状態保持機能を有するとともに、作動流体FLを蓄圧空間20I内へ導入する作動流体導入機能を有する。
図3−3に示すピストン20aの逆止弁40aは、いわゆるリード弁式の逆止弁であり、リード弁45が開くことにより、作動空間MS内の作動流体FLを蓄圧空間20I内へ導入する。リード弁45は、リード弁ガイド46とともに、固定手段であるねじ47によって弁座24に固定される。リード弁45は、板状の弾性体であり、例えば、ステンレス等の薄板(0.2mm〜0.5mm程度)によって作られる。リード弁45は、動作の応答性を向上させるため、できるだけ軽量化することが好ましい。
リード弁45は、一端部がねじ47によって弁座24に固定される。これによって、リード弁45は片持ち状態となって、固定された端部を中心として図3−3の矢印C方向に揺動し、気体導入通路21の蓄圧空間側開口部21iを開閉する。このように、リード弁45を片持ちで構成することにより、ピストン20の中心軸、すなわちピストン軸Zp方向に対するリード弁45の長さを短くできる。リード弁ガイド46は、リード弁の開き過ぎを抑制し、リード弁の耐久性低下を抑制する。
リード弁45は、気体導入通路21を通る作動流体FLの流れを、作動空間MSから蓄圧空間20Iに向かう方向に限定する。リード弁45は、ピストン20の動きにより作動空間内圧力Pcが上昇し、蓄圧空間内圧力Ppよりも高くなったときに開いて、作動空間MS内の作動流体FLを蓄圧空間20I内へ導入する。また、リード弁45は、ピストン20の動きにより作動空間内圧力Pcが下がり、蓄圧空間内圧力Ppよりも低くなったときには、弁座24に押し付けられて、蓄圧空間20I内の作動流体FLが作動空間MSへ逆流することを防ぐ。このように、リード弁45は、加圧状態保持機能を有するとともに、作動流体導入機能を有する。
加圧状態保持手段であるリード弁45の動作方向は、ピストン20の運動方向、すなわちピストン軸Zpと平行な方向と直交する。これによって、リード弁45の動作方向は、ピストン20のTDC(Top Dead Center:上死点)あるいはBDC(Bottom Dead Center:下死点)において、ピストン20の往復運動に起因して発生する加速度の方向と直交することになる。
その結果、ピストン20の往復運動に起因する加速度がリード弁45に加わっても、リード弁45の動作にはほとんど影響を与えない。すなわち、リード弁45の弾性率や厚さ等で決定されるリード弁45の開弁圧力は、前記加速度によってはほとんど影響を受けない。これによって、前記加速度に関係なく、リード弁45を開閉させることができる。そして、図1に示すスターリングエンジン100が高回転で運転されても、すなわち高加速度下においてもリード弁45は確実に動作して、TDCにおいてピストン内空間に気体を導入し、次の気体の導入までこれを維持することができる。
図5、図6に示すように、ピストン20の側部20Sには、ピストン20の周方向に向かって略等間隔(約90度)に複数の給気孔22が設けられている。図5に示すように、ピストン20のA−A断面、すなわち、ピストン20の頂部20T側においては、給気孔22が4個設けられる。また、図6に示すように、ピストン20のB−B断面、すなわち、ピストン20の裾部側においては、ピストン20の頂部20T側の給気孔22と約45度ずらして、4個の給気孔22が設けられる。このように給気孔22配置することで、気体軸受GBの荷重負荷能力がピストン20の周方向で偏ることを抑制できる。なお、気体放出孔の数、配置はこの例に限られるものではない。
図3−1に示すように、作動空間MSからピストン20の蓄圧空間20Iへ導入された作動流体FLは、給気孔22を通ってピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間のクリアランスtcに流出する。これによって、ピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間に気体軸受GBが構成される。なお、気体軸受GBは、静圧気体軸受である。
図1に示すスターリングエンジン100の運転時には、ピストン20の上昇にともない、作動空間MSの作動流体FLが圧縮されて、作動空間内圧力Pcが逆止弁40の開弁圧力よりも高くなると、逆止弁40が開弁する。そして、気体導入流路21を介して、作動空間MSの作動流体FLの一部が蓄圧空間20Iに導入される。蓄圧空間20Iへ導入された作動流体FLは、その一部が、給気孔22を通ってピストン20とシリンダ30との間のクリアランスtcに流出し、気体軸受GBを形成する。
スターリングエンジン100は、特に熱交換器108内における作動流体の通路が複雑で、微小な塵やゴミ等の異物を完全に除去できるとは限られない。また、熱交換器108のヒータ105等から、長時間運転後に異物が遊離するおそれもある。このため、スターリングエンジン100の作動流体FLには、異物が混入するおそれがある。
本実施形態に係るスターリングエンジン100は、ピストン20とシリンダ30との間の微小なクリアランスtcに、ピストン20内の蓄圧空間20Iから作動流体FLを流出させて気体軸受GBを形成し、これによってピストン20をシリンダ30内へ支持する。このため、作動流体FLに微小な異物が混入していても、ピストン20やシリンダ30の表面に影響を与えてこれらの耐久性を低下させたり、ピストン20とシリンダ30との間の摺動抵抗を増加させたりするおそれがある。
本実施形態では、図3−1に示すように、ピストン20は、気体導入通路21と給気孔22との間に、作動流体FLに含まれる異物を捕捉するための異物捕捉手段として、フィルタ23が設けられる。これによって、蓄圧空間20Iから給気孔22を通ってピストン20とシリンダ30との間のクリアランスtcに流出する作動流体FLからは異物を除去できるので、清浄な作動流体FLがクリアランスtcへ流出する。その結果、異物がピストン20の側部20Sの表面やシリンダ30の内壁30Iの表面に与える影響を最小限に抑えて、安定してピストン20をシリンダ30内で往復運動させることができる。次に、本実施形態において、フィルタ23が異物を捕捉する様子を説明する。
図7−1、図7−2は、本実施形態に係るスターリングエンジンのピストンが備えるフィルタの近傍を拡大した模式図である。本実施形態では、加圧状態保持手段である逆止弁40と、図3−1に示す給気孔22との間に異物捕捉手段であるフィルタ23を備える。より具体的には、フィルタ23は、作動空間MSとは反対側におけるピストン20の頂部20Tに、逆止弁40を囲んで取り付けられる。図7−1は逆止弁40が開いた状態であり、作動空間MS中の作動流体FLがピストン20の蓄圧空間20I内へ流入する。このとき、作動流体FL中に異物Dが含まれていると、異物Dは、気体導入通路21を通って作動流体FLとともに逆止弁40の弁筐体41内に流入する。
弁筐体41内に流入した異物は、さらに、作動流体FLとともに連通孔41hを通過して、ピストン20の蓄圧空間20I内へ流入しようとする。しかし、本実施形態に係るピストン20は、弁筐体41と、図3−1に示す給気孔22との間にフィルタ23を設けるので、ピストン20の蓄圧空間20I内へ流入しようとする異物Dは、図7−1に示すようにフィルタ23に捕捉される。
これによって、異物Dはピストン20の蓄圧空間20I内へ流入しないので、異物Dの存在しない清浄な作動流体FLが、図3−1に示すピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間のクリアランスtcに流出する。これによって、図3−1に示すピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間に異物Dが侵入することを防ぐことができるので、ピストン20やシリンダ30の耐久性低下を効果的に抑制できる。
また、逆止弁40と、図3−1に示す給気孔22との間にフィルタ23が設けられるので、異物Dは、逆止弁40の弁筐体41とフィルタ23との間に捕捉される。これによって、フィルタ23によって捕捉された異物Dが作動空間MSへ戻ろうとしても、逆止弁40によって作動空間MSへの異物Dの逆流が防止される。また、作動流体FL中の異物を確実に取り除くことができる。
フィルタ23は、異物Dの最大通過粒径を、図3−1に示すピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間のクリアランスtcよりも小さくすることが好ましく、フィルタ23を通過可能な異物Dの最大粒径を5μm未満が望ましい。このようにすることで、図3−1に示すピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間に侵入し、ピストン20やシリンダ30の耐久性に影響を与える異物を確実に除去して、ピストン20やシリンダ30の耐久性低下を効果的に抑制できる。ここで、フィルタ23は、不織布、ペーパーフィルタ、セラミックフィルタ等を用いることができるが、図1に示す高温側ピストン20Hは高温になるため、これに用いるフィルタ23は、耐熱性の高いものを用いることが好ましい。
図8は、スターリングエンジンの作動空間圧力の変動を示す概念図である。図8の横軸は、図1に示すスターリングエンジン100が備えるクランク軸110のクランク角度CAであり、縦軸は、作動空間内圧力Pcである。図1に示すスターリングエンジン100の作動空間内圧力Pcは、図8に示すように周期的に増減する。作動空間内圧力Pcの最大値(最大作動空間内圧力)をPcmax、最小値(最小作動空間内圧力)をPcmin、平均値(平均作動空間内圧力)をPcaとすると、作動空間内圧力PcはPcminからPcmaxまで変動する。すなわち、作動空間内圧力Pcの変動幅(作動空間内圧力変動値)ΔPcは、(Pcmax−Pcmin)となる。
本実施形態において、逆止弁40、40aの開弁圧力Poは、作動空間内圧力変動値ΔPcの1/2(ΔPc/2)よりも小さく、かつ0よりも大きい値を平均作動空間内圧力Pcaに加算した大きさに設定することが好ましい。すなわち、Pca<Po<(Pca+ΔPc/2)とすることが好ましい。このようにすれば、図3−1に示すピストン20の蓄圧空間20Iから給気孔22を通ってピストン20とシリンダ30との間のクリアランスtcに流出する作動流体FLの流れは、時間平均すると必ず作動空間MS側に向かうようになる。これによって、図3−1に示すピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間に異物Dが侵入することをより効果的に防ぐことができるので、ピストン20やシリンダ30の耐久性低下をより効果的に抑制できる。
図9−1、図9−2は、ピストンに設ける給気孔の配置を説明するための側面図である。図9−1は、図1に示す高温側ピストン20Hであり、図9−2は、図1に示す低温側ピストン20Lである。図9−1に示すように、高温側ピストン20Hに設けられる給気孔22のうち少なくとも一部は、ピストン軸Zp方向における気体軸受による気体潤滑領域GLAの中央部CLよりも作動空間側、すなわち高温側ピストン20Hの頂部20HT側に配置することが好ましい。また、図9−2に示すように、低温側ピストン20Lに設けられる給気孔22のうち少なくとも一部は、ピストン軸Zp方向における気体軸受による気体潤滑領域GLAの中央部CLよりも作動空間側、すなわち低温側ピストン20Lの頂部20LT側に配置することが好ましい。
本実施形態において、ピストン軸Zp方向における高温側ピストン20Hの気体潤滑領域GLAの長さをh1とすると、給気孔22のうち少なくとも一部は、ピストン軸Zp方向における気体潤滑領域GLAの中央部CLから頂部20HTへ向かってh1/2の領域に設けられる。また、ピストン軸Zp方向における低温側ピストン20Lの気体潤滑領域GLAの長さをh2とすると、給気孔22のうち少なくとも一部は、ピストン軸Zp方向における気体潤滑領域GLAの中央部CLから頂部20LTへ向かってh2/2の領域に設けられる。
これによって、図3−1に示すピストン20とシリンダ30との間のクリアランスtcに流出した作動流体FLが作動空間MSへ向かう流れを強化できるので、作動空間MSからピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間に異物Dが侵入することをより効果的に防ぐことができる。また、上記構成により、図3−1に示す作動空間MSの作動流体FLが、瞬間的にピストン20とシリンダ30との間のクリアランスtcへ流入する頻度を低減できるので、作動空間MSからピストン20の側部20Sとシリンダ30の内壁30Iとの間に異物Dが侵入することをより効果的に防ぐことができる。
ここで、図1に示すスターリングエンジン100が備える高温側ピストン20Hは、頂部20HTが高温の作動流体と接触して熱膨張するため、頂部20HTの直径を気体潤滑領域GLAの直径よりも小さくしてある。この領域を、熱膨張領域HEAという。これによって、図1に示すスターリングエンジン100の運転中に高温側ピストン20Hが熱膨張しても、高温側シリンダ30Hとの接触を回避できる。一方、図1に示すスターリングエンジン100が備える低温側ピストン20Lの頂部20LTが接触する作動流体は比較的低温であるため、熱膨張領域HEAは設けていない。
図10、図11は、本実施形態の変形例に係るピストンの構成を示す断面図である。図10に示すピストン20bでは、ピストン20bの蓄圧空間20Iの内部に円筒状のフィルタ23bを設け、逆止弁40を取り囲み、かつすべての給気孔22をフィルタ23bで覆うようにしてある。また、図11に示すピストン20cでは、それぞれの給気孔22の蓄圧空間20I側にフィルタ23cを設けてある。
このようにしても、加圧状態保持手段である逆止弁40と、給気孔22との間に異物捕捉手段であるフィルタ23b、23cを配置するので、作動空間MSから蓄圧空間20Iへ流入した作動流体FL中の異物Dをフィルタ23b、23cで捕捉して、ピストン20b、20cの側部20Sと図3−1に示すシリンダ30の内壁30Iとの間に異物Dが侵入することを防ぐことができる。その結果、ピストン20やシリンダ30の耐久性低下を効果的に抑制できる。
また、異物Dは、逆止弁40の弁筐体41とフィルタ23b、23cとの間に捕捉される。その結果、フィルタ23b、23cによって捕捉された異物Dが作動空間MSへ戻ろうとしても、逆止弁40によって作動空間MSへの異物Dの逆流が防止され、作動流体FL中の異物を確実に取り除くことができる。
図12は、本実施形態に係るスターリングエンジンを内燃機関の排熱回収に用いる場合の構成例を示す模式図である。本実施形態では、スターリングエンジン100の出力を、スターリングエンジン用変速機5を介して内燃機関用変速機4へ入力し、内燃機関1の出力と合成して取り出す。
本実施形態において、内燃機関1は、例えば、乗用車やトラック等の車両に搭載されて、前記車両の動力源となる。内燃機関1は、前記車両の走行中においては主たる動力源として出力を発生する。一方、スターリングエンジン100は、排ガスExの温度がある程度の温度にならないと、必要最低限の出力を生み出すことができない。したがって、本実施形態において、スターリングエンジン100は、内燃機関1の排出する排ガスExの温度が所定温度を超えたら内燃機関1の排ガスExから熱エネルギーを回収して出力を発生し、内燃機関1とともに前記車両を駆動する。このように、スターリングエンジン100は、前記車両の従たる動力源となる。
スターリングエンジン100が備えるヒータ105は、内燃機関1の排気通路2内に配置される。なお、排気通路2内には、スターリングエンジン100の再生器(図1参照)106を配置してもよい。スターリングエンジン100が備えるヒータ105は、排気通路2に設けられる中空のヒータケース3内に設けられる。
本実施形態において、スターリングエンジン100を用いて回収した排ガスExの熱エネルギーは、スターリングエンジン100で運動エネルギーに変換される。スターリングエンジン100の出力軸であるクランク軸110には、動力断続手段であるクラッチ6が取り付けられており、スターリングエンジン100の出力は、クラッチ6を介してスターリングエンジン用変速機5に伝達される。
内燃機関1の出力は、内燃機関1の出力軸1sを介して内燃機関用変速機4に入力される。そして、内燃機関用変速機4は、内燃機関1の出力と、スターリングエンジン用変速機5から出力されるスターリングエンジン100の出力とを合成して、変速機出力軸9に出力し、デファレンシャルギヤ10を介して駆動輪11を駆動する。
ここで、動力断続手段であるクラッチ6は、内燃機関用変速機4とスターリングエンジン100との間に設けられる。本実施形態では、スターリングエンジン用変速機5の入力軸5sとスターリングエンジン100のクランク軸110との間に設けられる。クラッチ6は、係合、解放することによって、スターリングエンジン100のクランク軸110と、スターリングエンジン用変速機5の入力軸5sとの機械的な接続を断続する。ここで、クラッチ6は、機関ECU50によって制御される。
スターリングエンジン100は、内燃機関1の排出する排ガスExの熱エネルギーを回収するため、内燃機関1の冷間始動時等のように排ガスExの温度が低い場合には、排ガスExから熱エネルギーを回収できず、出力を発生することができない。このため、スターリングエンジン100が出力を発生できるようになるまではクラッチ6を解放して、スターリングエンジン100と内燃機関1とを切り離して、スターリングエンジン100が内燃機関1に駆動されることによるエネルギー損失を抑制する。
クラッチ6を係合すると、スターリングエンジン100のクランク軸110と内燃機関1の出力軸1sとは、スターリングエンジン用変速機5及び内燃機関用変速機4を介して直結される。これによって、スターリングエンジン100の発生する出力と内燃機関1の発生する出力とは、内燃機関用変速機4で合成され、変速機出力軸9から取り出される。一方、クラッチ6を開放すると、内燃機関1の出力軸1sはスターリングエンジン100のクランク軸110と切り離されて回転する。
図12に示す本実施形態のスターリングエンジン100が備えるピストンは、上述した構成により作動流体FLに含まれる異物を除去し、ピストン内の蓄圧空間や作動空間からピストンとシリンダとの間へ異物が侵入することを防止するので、ピストンやシリンダの耐久性低下を抑制して、安定した運転が実現できる。また、本実施形態に係るスターリングエンジン100は、ピストンとシリンダとの間に異物はほとんど侵入しない。
これによって、車両に搭載されるスターリングエンジン100が振動を受けてピストンとシリンダとのクリアランスが変化したとしても、ピストンとシリンダとの間の異物によってピストンやシリンダの耐久性が低下することを回避できる。このように、本実施形態に係るスターリングエンジン100を、車両に搭載された内燃機関1の排熱回収に用いる場合には、安定して排熱を回収できるとともに、十分な耐久性を確保できる。
以上、本実施形態では、シリンダ内の作動空間からピストン内の蓄圧空間に導入した作動流体を給気孔からピストンとシリンダとの間に流出させて気体軸受を形成する構造において、作動空間内の作動流体を蓄圧空間に導入する気体導入通路と、給気孔との間に異物捕捉手段を設ける。これによって、ピストンとシリンダとの間への異物の侵入を抑制して、ピストンやシリンダの耐久性低下を抑制できる。また、ピストンとシリンダとの間への異物の混入を抑制できるので、気体軸受の荷重負荷能力を確実に発揮させるとともに、ピストンとシリンダとの間の潤滑を確保できる。
また、洗浄では除去し切れなかった塵や部品のバリ等が作動流体へ混入したり、ピストン機関がスターリングエンジンである場合は、高温にさらされた熱交換器の構成部品からの異物等が作動流体へ混入したりすることが考えられる。本実施形態の構成によれば、そのような異物も確実に除去できるので、ピストンとシリンダとの間への異物の侵入を抑制して、ピストンやシリンダの耐久性低下を抑制できる。
以上のように、本発明に係るピストン機関及びスターリングエンジンは、ピストンリングを用いないピストン機関に有用であり、特に、ピストン内に形成した蓄圧空間からピストンとシリンダとの間へ気体を流出させて気体軸受を構成するピストン機関に適している。
本実施形態に係るピストン機関であるスターリングエンジンの構成を示す断面図である。 本実施形態に係るスターリングエンジンが備える気体軸受の構成例、及びピストンの支持構造を示す説明図である。 本実施形態に係るスターリングエンジンが備えるピストンの構成を示す断面図である。 図3−1に示すピストンの頂部付近の拡大図である。 本実施形態に係るスターリングエンジンが備えるピストンに適用できる他の逆止弁を示す説明図である。 本実施形態に係るスターリングエンジンが備えるピストンの他の構成例示す断面図である。 図3−1のA−A矢視図である。 図3−1のB−B矢視図である。 本実施形態に係るスターリングエンジンのピストンが備えるフィルタの近傍を拡大した模式図である。 本実施形態に係るスターリングエンジンのピストンが備えるフィルタの近傍を拡大した模式図である。 スターリングエンジンの作動空間圧力の変動を示す概念図である。 ピストンに設ける給気孔の配置を説明するための側面図である。 ピストンに設ける給気孔の配置を説明するための側面図である。 本実施形態の変形例に係るピストンの構成を示す断面図である。 本実施形態の変形例に係るピストンの構成を示す断面図である。 本実施形態に係るスターリングエンジンを内燃機関の排熱回収に用いる場合の構成例を示す模式図である。
符号の説明
20、20a、20b、20c ピストン
20B 底部
20F ピストン支持部
20I 蓄圧空間
20P 隔壁
20S 側部
20T、20HT、20LT 頂部
21、21a、21b 気体導入通路
21i 蓄圧空間側開口部
22 給気孔
23、23b、23c フィルタ
30 シリンダ
30I 内壁
40、40a 逆止弁
41 弁筐体
41h 連通孔
43 ボール
60 グラスホッパ機構
61 コネクティングロッド
62 第1腕
63 第2腕
64 第3腕
100 スターリングエンジン
100C 筐体
105 ヒータ
106 再生器
107 クーラー
108 熱交換器
110 クランク軸

Claims (2)

  1. 作動流体を加熱するヒータと、前記ヒータと接続されるとともに前記作動流体が通過する再生器と、前記再生器に接続されるとともに前記作動流体を冷却するクーラーとを含んで構成される熱交換器と、
    前記熱交換器を通過した作動流体が流入し、流出するシリンダと、
    前記シリンダ内を往復運動するピストンと、前記ピストンの外殻で囲まれる蓄圧空間と、前記シリンダ内の作動空間と前記蓄圧空間とを連通して、前記作動空間内の前記作動流体を前記蓄圧空間に導入する気体導入通路と、前記ピストンの側部に複数設けられ、前記蓄圧空間内の前記作動流体を前記ピストンの側部と前記シリンダとの間に流出させて、前記ピストンと前記シリンダとの間に気体軸受を形成する給気孔と、前記気体導入通路と前記給気孔との間に設けられて、前記作動流体に含まれる異物を捕捉する異物捕捉手段と、前記蓄圧空間の内部へ配置され、前記蓄圧空間へ開口した前記気体導入通路の開口部から前記作動空間内の前記作動流体を前記蓄圧空間へ導入し、また、前記蓄圧空間内の作動流体が前記作動空間内へ逆流することを防止する加圧状態保持手段を備えたピストン機関と、
    前記ピストンを支持して前記ピストンを近似的に直線運動させる近似直線機構と、
    を備え、
    前記異物捕捉手段は、前記加圧状態保持手段と前記給気孔との間に設けられ、かつ、前記加圧状態保持手段を囲むとともに、
    前記加圧状態保持手段は逆止弁であり、前記逆止弁の開弁圧力は、前記作動空間内における前記作動流体の平均圧力に、前記作動空間内における前記作動流体の圧力の変動幅の1/2を加算した値よりも小さいとともに、前記逆止弁は、スターリングエンジンの運転時には、前記作動空間内圧力が前記開弁圧力よりも高くなると、常に開弁することを特徴とするスターリングエンジン。
  2. 前記給気孔の一部は、前記ピストンと前記シリンダとの間に流出した前記作動流体による潤滑領域において、前記ピストンの中心軸方向における前記潤滑領域の中央部よりも前記ピストンの頂部側に設けられることを特徴とする請求項1に記載のスターリングエンジン。
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