JP2006188958A - ピストン装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】できるだけ低い静圧でより多くの負荷に耐えること。
【解決手段】このピストン装置が備えるピストン20は、内部に気体を蓄える蓄圧室を備えている。蓄圧室内に蓄えられた気体は、ピストン20の側周部20scに設けられた給気孔27からピストン20とシリンダとの間に流出する。また、ピストン20の側周部20scには、圧力漏れ抑制手段として、複数の溝からなる凹部28と、ピストン20の頂部側端部20tt又はピストン20の裾側端部20stに開口する開口部29oを有する動圧発生手段29とが設けられる。
【選択図】 図5
【解決手段】このピストン装置が備えるピストン20は、内部に気体を蓄える蓄圧室を備えている。蓄圧室内に蓄えられた気体は、ピストン20の側周部20scに設けられた給気孔27からピストン20とシリンダとの間に流出する。また、ピストン20の側周部20scには、圧力漏れ抑制手段として、複数の溝からなる凹部28と、ピストン20の頂部側端部20tt又はピストン20の裾側端部20stに開口する開口部29oを有する動圧発生手段29とが設けられる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、シリンダ内をピストンが往復するピストン装置に関する。
近年、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載される内燃機関の排熱や工場排熱を回収するために、理論熱効率に優れたスターリングエンジンが注目されてきている。スターリングエンジンを含む外燃機関に適用可能なピストン装置として、特許文献1に開示された技術が知られている。
上記特許文献1に開示された外燃機関が備えるピストン装置は、ピストンのシリンダ内の往復運動にともなって作動空間内で圧縮、膨張を繰り返す作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサを用いるタイプのスターリングエンジンに適用されるものであって、ピストン内部に形成され、作動空間内で圧縮された作動媒体を一時的に蓄える加圧室と、加圧室内の作動媒体が作動空間内へ逆流することを防止する逆止弁と、加圧室内の作動媒体をピストンとシリンダとのクリアランス部に噴出させるオリフィスとを具備するものである。
ところで、特許文献1に開示された技術では、オリフィスから流出する作動媒体(気体)が、ピストンとシリンダとのクリアランス部から漏れてしまう。その結果、静圧によりピストンをシリンダから浮上させる効果が低減して、負荷能力が低下してしまう。また、特許文献1に開示された技術では、加圧室内の作動媒体(気体)を用いるため、ピストンの浮上に用いることのできる作動媒体を潤沢に供給できる訳ではなく、あまり大きな静圧は発生させることができない。このため、できるだけ低い静圧でより多くの負荷に耐えるためには、改善の余地がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、できるだけ低い静圧でより多くの負荷に耐えることのできるピストン装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明に係るピストン装置は、内部に作動流体を蓄える中空部を備え、シリンダ内を往復運動するピストンと、前記ピストンの側周部に設けられて、前記ピストンと前記シリンダとの間に、前記中空部内の作動流体を流出させる静圧発生手段と、前記ピストンの側周部であって、前記静圧発生手段と前記ピストンの頂部側端部との間、又は前記静圧発生手段と前記ピストンの裾側端部との間のうち、少なくとも一方に設けられる凹部と、を含むことを特徴とする。
このピストン装置は、前記静圧発生手段と前記ピストンの頂部側端部との間、又は前記静圧発生手段と前記ピストンの裾側端部との間のうち、少なくとも一方に、圧力漏れ抑制手段としての凹部が形成される。これによって、静圧発生手段から流出した作動流体が、ピストンとシリンダとの間から漏れる量を低減できる。その結果、静圧発生用の作動流体をより有効に利用して、できるだけ低い静圧でより多くの負荷に耐えることができる
次の本発明に係るピストン装置は、前記ピストン装置において、さらに、前記ピストンの頂部側端部、又は前記ピストンの裾側端部に開口する開口部を有し、かつ、前記開口部から対向する端部へ向かって前記ピストンの側周部表面からの深さが小さくなる動圧発生手段を含むことを特徴とする。
次の本発明に係るピストン装置は、前記ピストン装置において、前記静圧発生手段と前記動圧発生手段とは、前記ピストンの周方向に向かって交互に配置されることを特徴とする。
次の本発明に係るピストン装置は、前記ピストン装置において、前記動圧発生手段は、前記静圧発生手段よりも前記ピストンの頂部側端部側、又は前記静圧発生手段よりも前記ピストンの裾部側端部側の少なくとも一方に設けられることを特徴とする。
次の本発明に係るピストン装置は、内部に作動流体を蓄える中空部を備え、シリンダ内を往復運動するピストンと、前記ピストンの側周部に設けられて、前記ピストンと前記シリンダとの間に、前記中空部内の作動流体を流出させる静圧発生手段と、前記ピストンの頂部側端部、又は前記ピストンの裾側端部に開口する開口部を有し、前記開口部から対向する端部へ向かって前記ピストンの側周部の表面からの深さが小さくなる動圧発生手段と、を含むことを特徴とする。
このピストン装置は、静圧発生手段に加え、動圧発生手段も備える。このように、静圧発生手段の他に、動圧発生手段によってもピストンをシリンダから浮上させるので、できるだけ低い静圧でより多くの負荷に耐えることができる。
次の本発明に係るピストン装置は、前記ピストン装置において、前記静圧発生手段と前記動圧発生手段とは、前記ピストンの周方向に向かって交互に配置されることを特徴とする。
次の本発明に係るピストン装置は、前記ピストン装置において、前記動圧発生手段は、前記静圧発生手段よりも前記ピストンの頂部側端部側、又は前記静圧発生手段よりも前記ピストンの裾部側端部側の少なくとも一方に設けられることを特徴とする。
この発明に係るピストン装置は、できるだけ低い静圧でより多くの負荷に耐えることができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記発明を実施するための最良の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
なお、以下においては、ピストン装置を備える装置の一例としてスターリングエンジンを取り上げるが、この発明に係るピストン装置が適用できる装置はこれに限定されるものではない。また、以下においては、スターリングエンジンを用いて車両等に搭載される内燃機関の排熱を回収する例を説明するが、排熱の回収対象は内燃機関に限られない。例えば工場やプラント、あるいは発電施設の排熱を回収する場合にも本発明は適用できる。
この実施例に係るピストン装置は、次の点に特徴がある。すなわち、静圧発生手段が設けられるピストンの側周部であって、前記静圧発生手段と前記ピストンの頂部側端部との間、又は前記静圧発生手段と前記ピストンの裾側端部との間に凹部を設ける。また、前記ピストンの頂部側端部、又は前記ピストンの裾側端部に開口する開口部を有し、この開口部から対向する端部へ向かって、ピストンの側周部表面からの深さが小さくなる動圧発生手段を備える。ここで、頂部側端部とは、ピストンの頂部、すなわち受圧面側の端部をいい、上死点方向の端部をいう。また、裾側端部とは、ピストンがクランク軸と対向する側の端部をいい、下死点方向の端部をいう。
図1は、この実施例に係るスターリングエンジンを示す断面図である。図2は、この実施例に係るスターリングエンジンの気体軸受を示す断面図である。この実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジン100は、いわゆるα型のスターリングエンジンであって、高温側ピストン装置1と、低温側ピストン装置2とを備える。高温側ピストン装置1には、高温側シリンダ3aの内部に内に収められて往復運動する高温側ピストン20aが含まれる。また、低温側ピストン装置2には、低温側シリンダ3bの内部に内に収められて往復運動する低温側ピストン20bが含まれる。ここで、低温側ピストン20bは、高温側ピストン20aに対して、クランク角で90°程度の位相差がつけられている。
高温側シリンダ3aと低温側シリンダ3bとは、ヒータ5と再生器6とクーラー7とで構成される熱交換器8によって接続されている。ヒータ5の一端は高温側シリンダ3aに接続され、他端は再生器6に接続される。再生器6は、一端がヒータ5に接続され他端はクーラー7に接続される。クーラー7の一端は再生器6に接続され、他端は低温側シリンダ3bに接続される。また、高温側シリンダ3aと低温側シリンダ3bとには、作動流体(この実施例では気体であり空気)が封入されており、ヒータ5から供給される熱によってスターリングエンジン100が駆動される。
この実施例に係るスターリングエンジン100は、例えば車両において、ガソリンエンジンのような内燃機関とともに用いられて、内燃機関の排気ガスを熱源として駆動される。この場合、スターリングエンジン100のヒータ5は、車両に搭載される内燃機関の排気管内部に配置される。そして、内燃機関の排気ガスから回収した熱エネルギにより作動流体が加熱されて、スターリングエンジン100が作動する。
この実施例に係るスターリングエンジン100は、排気管の内部にそのヒータ5が収容される。このように、このスターリングエンジン100は、車両内の限られたスペースに設置されるため、装置全体がコンパクトである方が設置の自由度が増し、好ましい。そのために、このスターリングエンジン100では、高温側及び低温側シリンダ3a、3bを、V字形ではなく、直列並行に配置した構成を採用している。
図1、図2に示すように、高温側ピストン20aと低温側ピストン20bとは、高温側シリンダ3aと低温側シリンダ3b内に気体軸受12を介して支持されている。ここで、気体軸受12は、高温側ピストン20a等と、高温側シリンダ3a等との間の微小なクリアランスで発生する気体の圧力を利用して、高温側ピストン20a等を、高温側シリンダ3a等に浮いた状態とする。
この実施例においては、作動流体に空気を用いるため、気体軸受12は、空気によって構成される。なお、作動流体に、例えば窒素やヘリウム等を使用した場合には、これらによって高温側ピストン20a等を高温側シリンダ3a等から浮上させることができる。この場合は、これらの気体によって気体軸受12が構成される。
気体軸受12を構成するために、ピストンとシリンダとの間隔tcは全周にわたって10〜30μm程度とする。すなわち、ピストンリングを使用せず、また潤滑油も使用しないで、ピストンをシリンダ内で往復運動させる構造である。これによって、ピストンとシリンダとの摩擦を低減して、スターリングエンジン100の熱効率を向上させることができる。また、ピストンとシリンダとの摩擦を低減することにより、内燃機関の排熱回収のような低熱源、低温度差の運転条件下においてもスターリングエンジン100を運転することができる。なお、高温側及び低温側シリンダ3a、3bの内周面に固体潤滑材を付してもよい。これによって、ピストンとシリンダとの摺動抵抗をさらに低減させることができる。
高温側ピストン20a、低温側ピストン20bの往復運動は、まずピストンピン17からピストン側連結棒16に伝えられ、次に、ピストン側連結棒16、連結棒9を含む直線近似機構11を介してクランク軸10に伝達されて、ここで回転運動に変換される。クランク軸10は、クランクケース15内に軸受14を介して支持されている。クランク軸10の端部は、シール部13を介してクランクケース15の外部へ突出しており、スターリングエンジン100の出力は、ここから取り出される。なお、クランクケース15内は、加圧手段により加圧してもよい。これは、高温側及び低温側シリンダ3a、3b、及びヒータ5内の作動流体(本実施例では空気)を加圧して、スターリングエンジン100からより多くの出力を取り出すためである。
図3は、この実施例に係るピストン装置が備える直線近似機構の一例を示す説明図である。この実施例において、高温側及び低温側ピストン20a、20bの往復運動は、例えば、図3に示す直線近似機構(この実施例ではグラスホッパ機構)11を介して、クランク軸10に伝達される。これによって、高温側及び高温側ピストン20a、20bのサイドフォース(ピストンの径方向に向かう力)Fをほとんど0にできるので、負荷能力の小さい気体軸受12を用いても、高温側及び高温側ピストン20a、20bを支持することができる。次に、この実施例に係るスターリングエンジン100が備えるピストン装置について、より詳細に説明する。
図4は、この実施例に係るピストン装置が備えるピストンの断面図である。図5は、この実施例に係るピストン装置が備えるピストンを示す側面図である。図6−1は、図5のA−A断面図である。図6−2は、図5のB−B断面図である。図6−3は、図5のC−C一部断面図である。この実施例に係るスターリングエンジン100は、高温側ピストン装置1も低温側ピストン装置2も同様の構成である。したがって、以下においては、高温側ピストン装置1について説明する。
図4に示すように、高温側ピストン装置(以下ピストン装置)1(図1)が備える高温側ピストン20a(以下ピストン20)は、内部に仕切り部材21を備える。この実施例において、仕切り部材21は、ピストン20の裾側端部20st側でピストン20の内壁20iwに取り付けられる。そして、図4に示すように、仕切り部材21は、ピストン側連結棒16にピストン20を取り付けるためのピストンピン17を避けるように構成される。このような構成によって、ピストン20は、仕切り部材21によって裾側端部20st側が塞がれて、内部に中空部(蓄圧室)23が形成される。
ピストン20は、高温側シリンダ(図1参照;以下シリンダという)3に対して摺動する側周部20scと、側周部20scと一体として(連続的に)蓋状に設けられる頂面(受圧面)20tpとを有している。頂面20tpの蓄圧室23側には、内部に導入流路24を備える弁座25が設けられる。導入流路24は、シリンダ3内と蓄圧室23とを連通する。導入流路24は、頂面20tpに作動流体入口24iが開口し、蓄圧室23内には作動流体出口24oが開口している。作動流体出口24oには、蓄圧室23内に導入された作動流体の逆流を防止するため、加圧状態保持手段としてリード弁26が設けられている。
リード弁26は、ねじ25sによって固定部261が弁座25に固定される(図4参照)。リード弁26は、板状の弾性体であり、例えば、ステンレス等の薄板(0.2mm〜0.5mm程度)によって作られる。これによって、リード弁26は片持ち状態となって、固定部261を中心として動作部262が動き、導入流路24の作動流体出口24oを開閉する。
リード弁26は、導入流路24を通る作動流体の流れを、シリンダ3内から蓄圧室23に向かう方向に限定する。これによって、ピストン20が往復運動する過程でシリンダ3内に存在する作動流体の圧力Pcが上昇し、前記圧力Pcが蓄圧室23内の圧力Ppよりも高くなったときには、リード弁26が開いてシリンダ3内の作動流体を蓄圧室23内へ導入する。また、ピストン20が往復運動する過程でシリンダ3内に存在する作動流体の圧力(シリンダ内圧)Pcが下がり、蓄圧室23内の圧力Ppよりも低くなったときには、リード弁26が導入流路24の作動流体出口24oを閉じて、蓄圧室23内の作動流体がシリンダ3内へ逆流することを防ぐ。
このように、リード弁26は、加圧状態保持機能を有するとともに、作動流体導入機能を有する。また、このリード弁26は、ピストン20の運動方向に対して略直交する方向に動作する。これによって、ピストン20の往復運動に起因する加速度がリード弁26に加わっても、リード弁26の動作はほとんど影響を受けない。その結果、リード弁26に作用する加速度が大きい場合であっても、リード弁26の動作不良を抑制して、確実に蓄圧室23内へ作動流体を蓄えることができる。また、リード弁26が誤作動するおそれは極めて低いため、誤作動による作動流体の流出を極めて低減できる。その結果、蓄圧室23内に蓄えた作動流体を、静圧発生のために漏れなく有効に活用することができるので、静圧によるピストン浮上の効果が向上する。
なお、加圧状態保持手段としては、リード弁26の代わりに、例えば、作動流体入口24iから蓄圧室23へ作動流体が流入する場合の流体抵抗よりも、蓄圧室23内には作動流体出口24oへ作動流体が流出する場合の流体抵抗の方が大きくなるように設定された流体素子を用いてもよい。さらに、例えば、図2に示すクランク軸10、連結棒9を含む直線近似機構11、ピストン側連結棒16及びピストンピン17内に流体通路を形成し、この流体通路を通して気体軸受12を構成するための気体を供給してもよい。
図4、図5に示すように、ピストン20の側周部20scには、静圧発生手段である給気孔27が設けられる。図5、図6−1、図6−2に示すように、複数の給気孔27が、ピストン20の周方向に向かって、略等間隔に設けられている。また、この実施例において、給気孔27は、ピストン20の頂部側と、ピストン20の裾部側とに、ピストン20の周方向に向かってそれぞれ1列ずつ設けられる。そして、頂部側における給気孔27の配置位置と裾部側における給気孔27の配置位置とは、ピストン20の周方向に対してそれぞれずれている。すなわち、給気孔27は、ピストン20の頂部側と裾部側とに、ピストン20の周方向に向かって交互に配置される。
ピストン20が往復運動すると(図5中矢印Z方向)、給気孔27によって形成される静圧領域は、往復運動方向に引きずられ、引き伸ばされた形状になるが、静圧領域は、ピストン20の周方向に向かって、ピストン20の頂部側と裾部側とに交互に形成される。ピストン20は回転運動ではなく往復運動するため、ピストンの側周部20scに給気孔27を設ける場合には、負荷に強い方向と弱い方向とが存在するが、上記のように給気孔27を配置すれば、これを緩和できる。
なお、給気孔27の配置はこの例に限定されるものではなく、ピストン20の往復運動方向(図5のZ方向)に向かって3列以上設けてもよいし、1列でもよい。ここで、ピストン20の頂部側は、ピストン20の往復運動方向におけるピストン20の中央部CLよりも頂部側端部20tt側をいう。また、ピストン20の裾部側は、ピストン20の往復運動方向におけるピストン20の中央部CLよりも裾側端部20st側をいう。
図7−1、図7−2は、この実施例に係るピストンが備える給気孔を示す説明図である。図7−1、図7−2に示すように、給気孔27は、オリフィス27oと拡大部27sとで構成される。蓄圧室23(図4)内の作動流体は、オリフィス27oを通って拡大部27sで広がり、ピストン20とシリンダ3との間のクリアランスに流出する。これによって、作動流体が拡大部27sの周辺まで速やかに広がるので、ピストン20の起動時には、ピストン20の受圧面積を大きくして、より大きな力で安定してピストン20を浮上させることができる。また、ピストン20が往復運動を開始した後、ピストン20とシリンダ3との間のクリアランスが変化した場合には、オリフィス27oによって流量が調整され、ピストン20の周方向における圧力バランスが調整される。これによって、ピストン20とシリンダ3との間のクリアランスが略一定に保たれる。
ピストン20の上昇にともない、シリンダ3の作動空間の作動流体が圧縮されて、その作動流体の圧力Pcが蓄圧室23の圧力Ppよりも高くなると、リード弁26が開く。そして、導入流路24を通って、シリンダ3内の作動流体の一部が蓄圧室23に導入される。作動流体が蓄圧室23に導入されると、蓄圧室23内の作動流体の一部が、給気孔27を通ってピストン20とシリンダ3との間のクリアランスに流出する。これによって発生した静圧によって、ピストン20はシリンダ3から浮上する。
図4、図5、図6−3に示すように、この実施例に係るピストン20は、給気孔27と頂部側端部20ttとの間、又は給気孔27と裾側端部20stとの間のうち少なくとも一方に、圧力漏れ抑制手段である凹部28を備える。より具体的には、この実施例において、圧力漏れ抑制手段である複数の凹部28は、ピストン20の周方向に向かって延在する複数の溝28tで構成される。
この実施例において、溝28tの本数は、圧力漏れ抑制手段の一箇所につき3本であるが、溝28tの本数はこれに限定されるものではなく、ピストン装置1(図1)の仕様等に応じて適宜変更できる。また、溝28tの深さhtは数μmであり、溝28tの幅Wt(ピストン20の往復運動方向と平行な方向の長さ)も、数μmである(図6−3)。そして、気体軸受12を構成する作動流体の圧力漏れを抑制するという観点から、溝28tの長さLt(ピストン20の周方向と平行な方向の長さ;図5)は、できるだけ長い方が好ましい。
また、図5、図6−1〜図6−3に示すように、この実施例に係るピストン20は、側周部20scに、動圧発生手段29が設けられる。動圧発生手段29は、静圧発生手段よりも頂部側端部20tt側、又は裾側端部20st側の少なくとも一方に配置されている。図5、図6−3に示すように、動圧発生手段29は、頂部側端部20tt、又は裾側端部20stに開口する開口部29oを有する。そして、動圧発生手段29は、ピストン20の往復運動方向におけるピストン20の中央部CLに向かって、徐々にピストンの側周部20scの表面からの深さhsが小さくなる、スロープを有する。このスロープは、ピストン20の往復運動方向に向かって、前記深さhsが一定の割合で変化している。
すなわち、動圧発生手段29は、ピストン20の頂部側端部20tt、又はピストン20の裾側端部20stに開口する開口部29oを有するとともに、開口部29oから対向する端部へ向かってピストンの側周部20scの表面からの深さhsが小さくなっている。そして、ピストン20が往復運動すると、動圧発生手段29の開口部29oから作動流体が流入し、動圧発生手段29内では動圧が発生する。なお、動圧発生手段29の深さhsは、必ずしもピストン20の往復運動方向に向かって一定の割合で変化する必要はなく、前記深さhsの変化率はピストン20の往復運動方向に向かって変化してもよい。また、この実施例において、動圧発生手段29の平面形状は矩形であるが、動圧を発生する機能が達成できれば、平面形状は問わない。
また、この実施例において、図5、図6−1に示すように、動圧発生手段29は、ピストン20の周方向に向かって、静圧発生手段である給気孔27と交互に設けられる。図8−1は、この実施例に係るピストンが静止している場合における圧力分布を示す概念図である。図8−2は、この実施例に係るピストンが往復運動している場合における圧力分布を示す概念図である。ピストン20が静止している場合には、図8−1に示すように、静圧発生手段である給気孔27から作動流体が流出して、静圧領域Psを形成する。
ピストン20が往復運動を開始すると、図8−2に示すように、静圧領域Psはピストン20の往復運動方向に引き伸ばされる。このとき、動圧発生手段29には、開口部29oから作動流体が流入して、動圧領域Pdが生成される。これによって、ピストン20の周方向には、静圧領域Ps1と動圧領域Pdとが交互に形成される。すなわち、静圧発生手段である給気孔27のみを設けた場合と比較して、ピストン20の運動中においては、圧力の高い領域の割合が高くなる。これによって、気体軸受12(図1、図3、図4)の負荷能力が向上するとともに、気体軸受12が安定して機能する。
このように、この実施例に係るピストン20は、その運動中において、静圧のみならず動圧も利用してシリンダ3から浮上するので、給気孔27によって発生する静圧が低い場合でも、十分な負荷能力を発揮することができる。これによって、高い圧力の静圧を用意する必要がなくなるので、高い圧力の静圧を用意することによる損失を抑制できる。
また、ピストン20の運動によりピストン20内部の蓄圧室23へ導入した作動流体によって静圧を発生させ、ピストン20を浮上させる場合、静圧発生のために作動流体を無制限には使用できない。この実施例に係るピストン20では、静圧の他に動圧も利用するので、静圧発生のために利用できる作動流体が少ない場合であっても、気体軸受12に十分な負荷能力を発揮させることができる。このため、この実施例に係る構成は、ピストン内蓄圧室の作動流体を利用するようなピストンには、特に好適である。
また、給気孔27と頂部側端部20ttとの間、又は給気孔27と裾側端部20stとの間に、圧力漏れ抑制手段である凹部28が設けられる。これによって、図8−2に示すように、ピストン20が往復運動したときには、頂部側端部20ttや裾側端部20stからの静圧の漏れを抑制できる。その結果、静圧領域が拡大するので(図8−2中のPs2)、静圧によるピストン20の浮上効果は向上する。
(変形例1)
変形例1は、上記実施例と略同様の構成であるが、ピストンの頂部側に設けられる静圧発生手段の配置位置と、ピストンの裾部側に配置される静圧発生手段の配置位置とを、ピストンの周方向に対して揃える点が異なる。他の構成は上記実施例と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成には同一の符号を付す。
変形例1は、上記実施例と略同様の構成であるが、ピストンの頂部側に設けられる静圧発生手段の配置位置と、ピストンの裾部側に配置される静圧発生手段の配置位置とを、ピストンの周方向に対して揃える点が異なる。他の構成は上記実施例と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成には同一の符号を付す。
図9は、この実施例の変形例1に係るピストンを示す側面図である。このピストン20αは、図1に示した高温側ピストン装置1や低温側ピストン装置2に組み込まれて使用される。ピストン20αの側周部20scには、ピストン20αの周方向に向かって、略等間隔で、複数の給気孔27(静圧発生手段)が設けられる。また、変形例1において、給気孔27は、ピストン20の頂部側とピストン20の裾部側とに、ピストン20の周方向に向かってそれぞれ1列ずつ設けられる。そして、頂部側における給気孔27の配置位置と、裾部側における給気孔27の配置位置とは、それぞれピストン20αの周方向に対して揃えてある。すなわち、ピストン20αの往復運動方向と平行な直線上に、頂部側における給気孔27と裾部側における給気孔27とが配置される。
ピストン20αは、上記実施例に係るピストン20(図5)と同様に、給気孔27と頂部側端部20ttとの間、又は給気孔27と裾側端部20stとの間の少なくとも一方に、圧力漏れ抑制手段である凹部28を備える。また、ピストン20αは、側周部20scに、動圧発生手段29が設けられる。この動圧発生手段29は、ピストン20αの周方向に向かって略等間隔で配置されるとともに、静圧発生手段である給気孔27と交互に設けられる。
このように、給気孔27と動圧発生手段29とを、ピストン20αの周方向に向かって交互に配置するので、静圧発生手段である給気孔27のみを設けた場合と比較して、ピストン20αの運動中においては、圧力の高い領域の割合が高くなる。これによって、気体軸受12(図1、図3、図4)の負荷能力が向上するとともに、気体軸受12が安定して機能する。また、給気孔27と頂部側端部20ttとの間、又は給気孔27と裾側端部20stとの間に、圧力漏れ抑制手段である凹部28が設けられるので、ピストン20αが往復運動したときには、頂部側端部20ttや裾側端部20stからの静圧の漏れを低減できる。その結果、静圧によるピストン20αの浮上効果が向上する。
(変形例2)
図10は、この実施例の変形例2に係るピストンを示す側面図である。このピストン20βは、図1に示した高温側ピストン装置1や低温側ピストン装置2に組み込まれて使用される。このピストン20βは、静圧発生手段である給気孔27が、ピストン20βの周方向に向かって一列に配置される。そして、動圧発生手段29は、給気孔27に対して、ピストン20βの頂部側と裾部側とに配置される。すなわち、給気孔27は、ピストン20βの頂部側に設けられる動圧発生手段29と、ピストン20βの裾部側に設けられる動圧発生手段29との間に配置される。また、圧力漏れ抑制手段である凹部28も動圧発生手段29と同様に、給気孔27に対して、ピストン20βの頂部側と裾部側とに配置される。すなわち、凹部28は、給気孔27と頂部側端部20ttとの間、又は給気孔27と裾側端部20stとの間に配置される。
図10は、この実施例の変形例2に係るピストンを示す側面図である。このピストン20βは、図1に示した高温側ピストン装置1や低温側ピストン装置2に組み込まれて使用される。このピストン20βは、静圧発生手段である給気孔27が、ピストン20βの周方向に向かって一列に配置される。そして、動圧発生手段29は、給気孔27に対して、ピストン20βの頂部側と裾部側とに配置される。すなわち、給気孔27は、ピストン20βの頂部側に設けられる動圧発生手段29と、ピストン20βの裾部側に設けられる動圧発生手段29との間に配置される。また、圧力漏れ抑制手段である凹部28も動圧発生手段29と同様に、給気孔27に対して、ピストン20βの頂部側と裾部側とに配置される。すなわち、凹部28は、給気孔27と頂部側端部20ttとの間、又は給気孔27と裾側端部20stとの間に配置される。
この構成も、静圧発生手段である給気孔27と動圧発生手段29とが備えられるので、静圧発生手段のみを設けた場合と比較して、ピストン20βの運動中においては、圧力の高い領域の割合が高くなる。これによって、気体軸受12(図1、図3、図4)の負荷能力が向上するとともに、気体軸受12が安定して機能する。また、給気孔27と頂部側端部20ttとの間、又は給気孔27と裾側端部20stとの間に設けられる凹部28によって、頂部側端部20ttや裾側端部20stからの静圧の漏れを低減できる。その結果、静圧によるピストン20βの浮上効果が向上する。
以上、この実施例及び変形例では、静圧発生手段と動圧発生手段とを備えるので、静圧発生手段のみを設けた場合と比較して、ピストンの運動中においては、圧力の高い部分の割合が高くなる。これによって、気体軸受の負荷能力が向上するとともに、気体軸受が安定して機能する。また、静圧発生手段と頂部側端部との間、又は静圧発生手段と裾側端部との間に設けられる圧力漏れ抑制手段によって、頂部側端部や裾側端部からの静圧の漏れを低減できる。その結果、静圧によるピストン浮上の効果が向上する。
なお、上記においては、スターリングエンジンが備えるピストン装置を例として、その構成、作用、効果を説明したが、この実施例に係るピストン装置は、スターリングエンジン以外に対する用途にも容易に適用可能である。そして、適用された場合には、上記と同様の作用、効果を奏し、また、上記と同様の有用性を有する。
以上のように、本発明に係るピストン装置は、気体軸受によってシリンダから浮上するピストン装置に有用であり、特に、できるだけ低い静圧でより多くの負荷に耐えることに適している。
1 高温側ピストン装置(ピストン装置)
2 低温側ピストン装置
3 シリンダ
3a 高温側シリンダ
3b 低温側シリンダ
10 クランク軸
12 気体軸受
20、20α、20β ピストン
20a 高温側ピストン
20b 低温側ピストン
20iw 内壁
20sc 側周部
20st 裾側端部
20tt 頂部側端部
20tp ピストン頂面
23 蓄圧室
27 給気孔
27o オリフィス
27s 拡大部
28 凹部
28t 溝
29 動圧発生手段
29o 開口部
100 スターリングエンジン
2 低温側ピストン装置
3 シリンダ
3a 高温側シリンダ
3b 低温側シリンダ
10 クランク軸
12 気体軸受
20、20α、20β ピストン
20a 高温側ピストン
20b 低温側ピストン
20iw 内壁
20sc 側周部
20st 裾側端部
20tt 頂部側端部
20tp ピストン頂面
23 蓄圧室
27 給気孔
27o オリフィス
27s 拡大部
28 凹部
28t 溝
29 動圧発生手段
29o 開口部
100 スターリングエンジン
Claims (7)
- 内部に作動流体を蓄える中空部を備え、シリンダ内を往復運動するピストンと、
前記ピストンの側周部に設けられて、前記ピストンと前記シリンダとの間に、前記中空部内の作動流体を流出させる静圧発生手段と、
前記ピストンの側周部であって、前記静圧発生手段と前記ピストンの頂部側端部との間、又は前記静圧発生手段と前記ピストンの裾側端部との間のうち、少なくとも一方に設けられる凹部と、
を含むことを特徴とするピストン装置。 - さらに、前記ピストンの頂部側端部、又は前記ピストンの裾側端部に開口する開口部を有し、かつ、前記開口部から対向する端部へ向かって前記ピストンの側周部表面からの深さが小さくなる動圧発生手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のピストン装置。
- 前記静圧発生手段と前記動圧発生手段とは、前記ピストンの周方向に向かって交互に配置されることを特徴とする請求項2に記載のピストン装置。
- 前記動圧発生手段は、前記静圧発生手段よりも前記ピストンの頂部側端部側、又は前記静圧発生手段よりも前記ピストンの裾部側端部側の少なくとも一方に設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載のピストン装置。
- 内部に作動流体を蓄える中空部を備え、シリンダ内を往復運動するピストンと、
前記ピストンの側周部に設けられて、前記ピストンと前記シリンダとの間に、前記中空部内の作動流体を流出させる静圧発生手段と、
前記ピストンの頂部側端部、又は前記ピストンの裾側端部に開口する開口部を有し、前記開口部から対向する端部へ向かって前記ピストンの側周部の表面からの深さが小さくなる動圧発生手段と、
を含むことを特徴とするピストン装置。 - 前記静圧発生手段と前記動圧発生手段とは、前記ピストンの周方向に向かって交互に配置されることを特徴とする請求項5に記載のピストン装置。
- 前記動圧発生手段は、前記静圧発生手段よりも前記ピストンの頂部側端部側、又は前記静圧発生手段よりも前記ピストンの裾部側端部側の少なくとも一方に設けられることを特徴とする請求項5又は6に記載のピストン装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004381688A JP2006188958A (ja) | 2004-12-28 | 2004-12-28 | ピストン装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004381688A JP2006188958A (ja) | 2004-12-28 | 2004-12-28 | ピストン装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006188958A true JP2006188958A (ja) | 2006-07-20 |
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ID=36796391
Family Applications (1)
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JP2004381688A Pending JP2006188958A (ja) | 2004-12-28 | 2004-12-28 | ピストン装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006188958A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015503700A (ja) * | 2011-12-29 | 2015-02-02 | エタジェン, インコーポレイテッド | ピストン機関の隙間を管理する方法およびシステム |
-
2004
- 2004-12-28 JP JP2004381688A patent/JP2006188958A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015503700A (ja) * | 2011-12-29 | 2015-02-02 | エタジェン, インコーポレイテッド | ピストン機関の隙間を管理する方法およびシステム |
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