JP5180612B2 - 非水電解液及び該電解液を用いた非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液及び該電解液を用いた非水電解液二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物を含有する非水電解液及び該非水電解液を用いた非水電解液二次電池に関し、さらに詳しくは、該化合物を非水電解液に用いることで、小さな内部抵抗と高い電気容量を長期使用において維持することが出来る電池を提供できる非水電解液、及び該非水電解液を用いた非水電解液二次電池に関する。
近年の携帯用パソコン、ハンディビデオカメラ、情報端末等の携帯電子機器の普及に伴い、高電圧、高エネルギー密度を有する非水電解液二次電池が電源として広く用いられるようになった。また、環境問題の観点から、電池自動車や電力を動力の一部に利用したハイブリッド車の実用化が行われている。
非水電解液二次電池は、高温保存時あるいは充放電を繰り返すことで電気容量の低下や内部抵抗の上昇が起る。非水電解液二次電池の安定性や電気特性の向上のために、種々の添加剤が提案されている。例えば、リチウム負極を使用する二次電池において、特許文献1には1,3−プロパンスルトンを含有する電解液が提案されており、特許文献2にはビニルエチレンカーボネートを含有する電解液が提案されており、特許文献3にはビニレンカーボネートを含有する電解液が提案されている。炭素負極を使用する二次電池において、特許文献4には1,3−プロパンスルトン及びブタンスルトンを含有する電解液が提案されている。結晶度の高い黒鉛系負極を使用する二次電池において、特許文献5及び特許文献6には、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネート等を含有する電解液が提案されている。
1,3−プロパンスルトン又はブタンスルトン等のスルトン化合物や、ビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネート等の不飽和基を有する環状カーボネート化合物を含有する電解液は、金属リチウム、天然黒鉛、人造黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、炭素コート天然黒鉛、ポリアセン等何れの負極に使用した場合にも一定の効果が得られるが、それは、添加剤が負極表面で重合及び還元分解することにより、負極の表面を電解液の還元分解を抑制する安定な被膜いわゆるSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質膜)を形成するためで、負極の表面を覆うことにより、負極表面で起こっていた溶媒の分解等の副反応が抑制され、初期の不可逆容量の低下等が改善される。特に高結晶性の天然黒鉛や人造黒鉛負極に対してビニレンカーボネートがグラファイト層の剥離抑制に効果を示すことから電解液添加剤として広く使用されてきた。
一方、スルトン化合物や不飽和基を有する環状カーボネート化合物以外にも負極上に被膜を形成する添加剤が報告されている。これらの添加剤は、柔軟性に富む被膜を形成すると考えられており、負極の膨張収縮に伴う被膜の欠損を抑制することができると期待されている。例えば、特許文献7及び特許文献8にはアルケニル基等の不飽和基を有するエステル化合物を含有する電解液提案されており、特許文献9〜12にはアルキニル基等の不飽和基を有するエステル化合物を含有する電解液が提案されている。
しかしながら、これらの添加剤の効果は十分なものではなかった。即ち、アルケニル基若しくはアルキニル基を有する不飽和エステル化合物等の添加剤は、負極上での重合性が十分ではなく、電解液の還元分解を抑制するのに十分な被膜が形成されないという問題点があり、またその被膜の耐久性が十分ではなかった。この弱点を補おうとして電解液中に過剰に添加した場合は、生成した被膜成分の抵抗が高く、抵抗上昇率が大きくなり、逆に電池性能低下を導くという問題が生じる。そのため、これらの添加剤の電解液への添加は、電池の出力と容量の両方のバランスを向上させるのには不十分であった。
特開昭63−102173号公報 特開平04−87156号公報 特開平05−74486号公報 特開平10−50342号公報 特開平8−045545号公報 特開2001−6729号公報 特開平11−273724号公報 特開平11−273725号公報 特開2000−195545号公報 特開2001−313072号公報 特開2001−256995号公報 特開2002−100399号公報
従って、本発明の目的は、小さな内部抵抗と高い電気容量を長期使用において維持することが出来る電池を提供できる非水電解液、及び該非水電解液を用いた非水電解液二次電池を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行なった結果、非水電解液を製造するに際して、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物を非水電解液中に含有させることにより、上記目的が達成し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、電解質塩を有機溶媒に溶解させた非水電解液において、炭素原子、水素原子及び酸素原子の三元素のみから構成され、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物である炭酸エステル化合物を含有することを特徴とする非水電解液を提供するものである。
また、本発明は、非水電解液として上記非水電解液を含む非水電解液二次電池を提供するものである。
本発明で提案する炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物を添加した非水電解液を使用することによって、電池に優れた耐久性と出力特性を付与することができる。本発明で提案する炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物は、電極の表面で重合及び電気分解することによって、電極の表面に電極を保護する被膜を形成するが、その被膜が従来のものよりも優れた性能を有している。
炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とでは、それぞれ重合反応の機構が異なる。この2つの異なる重合反応が同時に進行した結果、重合性が向上し、電極表面での電解液の還元分解を抑制するのに必要な被膜が形成される。この被膜は、2つの異なる重合反応による異なる重合部位を併せ持つために優れた耐久性を有している。本発明による効果は、この2つの重合反応が同時に進行した結果、得られたものであり、それによって、従来にはない性質を有するものである。
本発明で提案する炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物を添加した非水電解液を使用することによって、従来の添加剤、特に炭素炭素三重結合を有する化合物若しくは非芳香族系の炭素炭素二重結合を有する化合物を単独で使用した場合に比較して電池の耐久性と出力特性が高く、さらに、炭素炭素三重結合を有する化合物と非芳香族系の炭素炭素二重結合を有する化合物とを併用した場合に比較しても電池の耐久性と出力特性が高い。
即ち、本発明で提案する炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物を添加した非水電解液を使用することによって、高い電気容量と低い内部抵抗を長期間において維持する電池とすることが可能になった。これは、従来の添加剤を含有する電解液では得ることができなかったものである。
以下に本発明の非水電解液及び該非水電解液を用いた非水電解液二次電池について詳述する。
本発明の非水電解液に用いられる炭素原子、水素原子及び酸素原子の三元素のみから構成され、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物としては、分子内に炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを併せ持つ限り、特に制限されるわけではないが、例えば、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ炭酸エステル化合物が挙げられ、具体的には、下記一般式(1)、(2)又は(3)で表される炭酸エステル化合物が挙げられる。
Figure 0005180612
(式中、R1及びR2は、各々独立に、水素基若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3は炭素数3〜6のアルケニル基を示し、R4は炭素数3〜6のアルキニル基を示し、R5は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基、若しくは炭素数3〜6のアルキニル基を示す。)
上記一般式(1)、(2)及び(3)で表される炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ炭酸エステル化合物において、R1及びR2で示される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル基等が挙げられる。R3で示される炭素数3〜6のアルケニル基としては、アリル、クロチル、プレニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、1−トリフルオロメチルビニル等が挙げられる。R4で示される炭素数3〜6のアルキニル基としては、プロパルギル、メチルプロパルギル、ジメチルプロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が挙げられる。R5で示される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数3〜6のアルケニル基としては、アリル、クロチル、プレニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、1−トリフルオロメチルビニル等が挙げられ、炭素数3〜6のアルキニル基としては、プロパルギル、メチルプロパルギル、ジメチルプロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が挙げられる。
上記一般式(1)、(2)及び(3)で表される炭酸エステル化合物としては、下記一般式(4)、(5)又は(6)で表される炭酸エステル化合物がそれぞれ挙げられる。
Figure 0005180612
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R5は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基、若しくは炭素数3〜6のアルキニル基を示し、R6は水素基若しくは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
上記一般式(5)及び(6)において、R6で示される炭素原子数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基等が挙げられる。
上記一般式(4)、(5)及び(6)で表される化合物としては、より具体的には、化合物No.1〜No.19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005180612
Figure 0005180612
Figure 0005180612
Figure 0005180612
本発明の非水電解液において、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物の含有量は、非水電解液中、0.01〜5質量%が望ましく、0.03〜4質量%がより望ましく、0.05〜3質量%が特に望ましい。0.01質量%未満ではその効果が認められ難く、また、5質量%を超えて含有させても、効果はそれ以上発現しなくなるので無駄であるばかりでなく、却って電解液の特性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。尚、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の非水電解液には、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物と共重合させる若しくは重合末端を修飾することによって被膜の安定性を向上させるという点から、不飽和結合を有するケイ素化合物若しくはエチレンサルファイトを添加することが好ましい。
上記不飽和結合を有するケイ素化合物としては、例えば、下記一般式(7)で表されるケイ素化合物が挙げられる。
Figure 0005180612
(式中、R7、R8及びR9は、各々独立に、炭素数1から6のハロゲンを含んでよいアルキル基を示す。)
上記一般式(7)で表される不飽和結合を有するケイ素化合物において、R7、R8及びR9で示される炭素原子数1〜6のハロゲンを含んでよいアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、クロロメチル、クロロエチル、クロロプロピル、クロロブチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
上記一般式(7)で表されるケイ素化合物としては、下記の化合物No.20〜No.25等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005180612
本発明の非水電解液において、上記一般式(7)で表される不飽和結合を有するケイ素化合物若しくはエチレンサルファイトの含有量は、非水電解液中、0.001〜5質量%が望ましく、0.01〜2質量%がより望ましく、0.02〜1質量%が特に望ましい。0.001質量%未満ではその効果が認められ難く、また、5質量%を超えて含有させても、効果はそれ以上発現しなくなるので無駄であるばかりでなく、却って電解液の特性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。尚、上記一般式(7)で表される不飽和結合を有するケイ素化合物若しくはエチレンサルファイトは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明において、さらに必要に応じて、不飽和基を有する環状カーボネート化合物、鎖状カーボネート化合物若しくは不飽和ジエステル化合物も電解液に添加される。これらの不飽和基を有する環状カーボネート化合物、鎖状カーボネート化合物若しくは不飽和ジエステルも負極の表面に安定な皮膜を形成するが、これらによる被膜を共存させた方がよい結果が得られる場合もある。
上記不飽和基を有する環状カーボネート化合物としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、プロピリデンカーボネート、エチレンエチリデンカーボネート、エチレンイソプロピリデンカーボンート等が挙げられ、これらの中でもビニレンカーボネート若しくはビニルエチレンカーボネートが好ましい。
上記鎖状カーボネート化合物としては、ジプロパルギルカーボネート、プロパルギルメチルカーボネート、エチルプロパルギルカーボネート、ビス(1−メチルプロパルギル)カーボネート、ビス(1−ジメチルプロパルギル)カーボネート等が挙げられる。
上記不飽和ジエステル化合物としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジペンチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジヘプチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジペンチル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジヘプチル、フマル酸ジオクチル、アセチレンジカルボン酸ジメチル、アセチレンジカルボン酸ジエチル、アセチレンジカルボン酸ジプロピル、アセチレンジカルボン酸ジブチル、アセチレンジカルボン酸ジペンチル、アセチレンジカルボン酸ジヘキシル、アセチレンジカルボン酸ジヘプチル、アセチレンジカルボン酸ジオクチル等が挙げられる。
本発明の非水電解液において、不飽和基を有する環状カーボネート化合物、鎖状カーボネート化合物若しくは不飽和ジエステル化合物の含有量は、非水電解液中、0.005〜10質量%が望ましく、0.02〜5質量%がより望ましく、0.05〜3質量%が特に望ましい。0.005質量%未満ではその効果が認められ難く、また、10質量%を超えて含有させても、効果はそれ以上発現しなくなるので無駄であるばかりでなく、却って電解液の特性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。不飽和基を有する環状カーボネート化合物、鎖状カーボネート化合物、若しくは不飽和ジエステル化合物は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の非水電解液に用いられる有機溶媒としては、非水電解液に通常用いられているものを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体的には、環状カーボネート化合物、環状エステル化合物、スルホン又はスルホキシド化合物、アマイド化合物、鎖状カーボネート化合物、鎖状又は環状エーテル化合物、及び鎖状エステル化合物からなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。特に、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物をそれぞれ1種以上含有することが好ましく、この組み合わせを用いることで、サイクル特性に優れるばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量・出力等のバランスのとれた非水電解液が提供できる。
本発明の非水電解液に用いられる有機溶媒を、さらに具体的に以下に列挙する。しかしながら、本発明に用いられる有機溶媒は、以下の例示によって限定されるものではない。
環状カーボネート化合物、環状エステル化合物、スルホン又はスルホキシド化合物及びアマイド化合物は、比誘電率が高いため、電解液の誘電率を上げる役割を果たす。具体的には、環状カーボネート化合物としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2−ブチレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等が挙げられる。環状エステル化合物としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。スルホン又はスルホキシド化合物としては、スルホラン、スルホレン、テトラメチルスルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、プロパンスルトン、ブチレンスルトン等が挙げられ、これらの中でもスルホラン類が好ましい。アマイド化合物としては、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
鎖状カーボネート化合物、鎖状又は環状エーテル化合物及び鎖状エステル化合物は、非水電解液の粘度を低くすることができる。そのため、電解質イオンの移動性を高くすることができる等、出力密度等の電池特性を優れたものにすることができる。また、低粘度であるため、低温での非水電解液の性能を高くすることができる。具体的には、鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネート等が挙げられる。鎖状又は環状エーテル化合物としては、ジメトキシエタン(DME)、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、1,2−ビス(メトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)プロパン、エチレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル、i−プロピレングリコール(トリフルオロエチル)エーテル、エチレングリコールビス(トリフルオロメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル等が挙げられ、これらの中でもジオキソラン類が好ましい。鎖状エステル化合物としては、下記一般式(8)で表されるカルボン酸エステル化合物等が挙げられる。
Figure 0005180612
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは0、1又は2を示す。)
上記一般式(8)で表されるカルボン酸エステル化合物において、Rとして示れる炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチルが挙げられる。上記一般式(8)で表されるカルボン酸エステル化合物を具体的に例示すると、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸第二ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。上記一般式(8)で表されるカルボン酸エステル化合物は、凝固点が低く、有機溶媒、特に環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物をそれぞれ少なくとも1種以上含有する有機溶媒にさらに添加すると、低温においても電池特性を向上させることができるため好ましい。上記一般式(8)で表されるカルボン酸エステル化合物の添加量は、有機溶媒中において1〜50体積%好ましい。
本発明の非水電解液に用いられる有機溶媒としては、その他、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタンやこれらの誘導体を用いることもできる。
本発明の非水電解液には、難燃性を付与するために、ハロゲン系、リン系、その他の難燃剤を適宜添加することができる。リン系難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート等のリン酸エステル類が挙げられる。
上記難燃剤の添加量は、本発明の非水電解液を構成する有機溶媒中、5〜100質量%が好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。5質量%未満では十分な難燃化効果が得られない。
本発明の非水電解液において用いられる電解質塩としては、従来公知の電解質塩が用いられ、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiB(CF3SO34、LiB(C242、LiSbF6、LiSiF5、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlF4、LiAlCl4、NaClO4、NaBF4、NaI、あるいはこれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22及びLiC(CF3SO23並びにLiCF3SO3の誘導体、LiN(CF3SO22の誘導体及びLiC(CF3SO23の誘導体からなる群から選ばれる1種以上を用いるのが、電気特性に優れるので好ましい。
上記電解質塩は、本発明の非水電解液中の濃度が、0.1〜3.0モル/リットル、特に0.5〜2.0モル/リットルとなるように、上記有機溶媒に溶解することが好ましい。該電解質塩の濃度が0.1モル/リットルより小さいと、充分な電流密度を得られないことがあり、3.0モル/リットルより大きいと、非水電解液の安定性を損なう恐れがある。
本発明の非水電解液は、一次又は二次電池、特に後述する非水電解液二次電池を構成する非水電解液として好適に使用できる。
本発明の非水電解液二次電池は、非水電解液として、本発明の非水電解液を用いる以外は、従来の非水二次電池と同様に構成される。
本発明の非水電解液二次電池を構成する電極材料としては、正極及び負極があり、正極としては、正極活物質と結着剤と導電材とを有機溶媒又は水でスラリー化したものを集電体に塗布し、乾燥してシート状にしたものが使用される。正極活物質としては、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2、Li(1-x)MnO2、Li(1-x)Mn24、Li(1-x)CoO2、Li(1-x)NiO2、LiV23、V25等が挙げられる。なお、これらの正極活物質におけるXは0〜1の数を示す。これらの正極活物質は、各々にLi、Mg、Al、又はCo、Ti、Nb、Cr等の遷移金属を添加又は置換した材料等であってもよく、また、単独で用いるばかりでなくこれらを複数種類混合して用いることもできる。これらの正極活物質の中では、リチウム−金属複合酸化物が好ましい。
リチウム−金属複合酸化物としては、層状構造又はスピネル構造のリチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケル含有複合酸化物及びリチウムコバルト含有複合酸化物のうちの1種以上であることが好ましい。正極活物質の結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、EPDM、SBR、NBR、フッ素ゴム、ポリアクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されない。
負極としては、通常、負極活物質と結着剤とを有機溶媒又は水でスラリー化したものを集電体に塗布し、乾燥してシート状にしたものが使用される。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ・ケイ素化合物等の無機化合物、チタン酸化物、炭素質材料、導電性ポリマー等が挙げられる。特に、安全性の高いリチウムイオンを吸蔵、放出できる炭素質材料が好ましい。この炭素質材料は、特に限定されないが、黒鉛及び石油系コークス、石炭系コークス、石油系ピッチの炭化物、石炭系ピッチの炭化物、フェノール樹脂・結晶セルロース等樹脂の炭化物等、及びこれらを一部炭化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維等が挙げられる。負極活物質の結着剤としては、上記の正極活物質の結着剤と同様のものが挙げられる。
正極の導電材としては、黒鉛の微粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素の微粒子等、カーボンナノファイバー等が使用されるが、これらに限定されない。スラリー化する溶媒としては、結着剤を溶解する有機溶剤若しくは水が使用される。該有機溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、これに限定されない。
負極の集電体には、通常、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用され、正極の集電体には、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
本発明の非水電解液二次電池では、正極と負極との間にセパレータを用いるが、該セパレータとしては、通常用いられる高分子の微多孔フィルムを特に限定なく使用できる。該フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース等の種々のセルロース類、ポリ(メタ)アクリル酸及びその種々のエステル類等を主体とする高分子化合物やその誘導体、これらの共重合体や混合物からなるフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、単独で用いてもよいし、これらのフィルムを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。さらに、これらのフィルムには、種々の添加剤を用いてもよく、その種類や含有量は特に制限されない。これらのフィルムの中でも、本発明の非水電解液二次電池には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンからなるフィルムが好ましく用いられる。
これらのフィルムは、電解液がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化がなされている。この微多孔化の方法としては、高分子化合物と溶剤の溶液をミクロ相分離させながら製膜し、溶剤を抽出除去して多孔化する「相分離法」と、溶融した高分子化合物を高ドラフトで押し出し製膜した後に熱処理し、結晶を一方向に配列させ、さらに延伸によって結晶間に間隙を形成して多孔化をはかる「延伸法」等が挙げられ、用いられるフィルムによって適宜選択される。
本発明の非水電解液二次電池において、電極材料、非水電解液及びセパレータには、より安全性を向上する目的で、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物等を添加してもよい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3−第三ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられ、電極材料に添加する場合は、電極材料100重量部に対して、0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部が用いるのが好ましい。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
上記ヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
上記構成からなる本発明の非水電解液二次電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状とすることができる。図1は、本発明の非水電解液二次電池のコイン型電池の一例を、図2及び図3は円筒型電池の一例をそれぞれ示したものである。
図1に示すコイン型の非水電解液二次電池10において、1はリチウムイオンを放出できる正極、1aは正極集電体、2は正極から放出されたリチウムイオンを吸蔵、放出できる炭素質材料よりなる負極、2aは負極集電体、3は本発明の非水電解液、4はステンレス製の正極ケース、5はステンレス製の負極ケース、6はポリプロピレン製のガスケット、7はポリエチレン製のセパレータである。
また、図2及び図3に示す円筒型の非水電解液二次電池10’において、11は負極、12は負極集合体、13は正極、14は正極集電体、15は本発明の非水電解液、16はセパレータ、17は正極端子、18は負極端子、19は負極板、20は負極リード、21は正極板、22は正極リード、23はケース、24は絶縁板、25はガスケット、26は安全弁、27はPTC素子である。
以下に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、以下の実施例等により本発明はなんら制限されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、非水電解液二次電池(リチウム二次電池)は、以下の作製手順に従って作製された。
<作製手順>
(正極の作製)
正極活物質としてLiCoO2 85質量部、導電剤としてアセチレンブラック10質量部、及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部を混合して、正極材料とした。この正極材料をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させてスラリー状とした。このスラリーをアルミニウム製の正極集電体の両面に塗布し、乾燥後、プレス成型して、正極板とした。その後、この正極板を所定の大きさにカットして円盤状正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質として天然黒鉛92.5質量部、及び結着剤としてPVDF7.5質量部を混合して、負極材料とした。この負極材料をNMPに分散させてスラリー状とした。このスラリーを銅製の負極集電体の両面に塗布し、乾燥後、プレス成型して、負極板とした。その後、この負極板を所定の大きさにカットし、円盤状負極を作製した。
(化合物No.1、No.2、及びNo.3の合成)
化合物No.1、No.2、及びNo.3は、2−ブチン−1,4−ジオール若しくは3−ブチン−2−オールとクロロギ酸アリル、クロロギ酸メチル及びピジリンを使用したエステル化反応により合成し、減圧蒸留法により精製した。
(化合物No.14の合成)
化合物No.14は、2−ブテン−1,4−ジオール、クロロギ酸プロパルギル及びピリジンを使用したエステル化反応により合成し、減圧蒸留法により精製した。
(非水電解液の調製)
有機溶媒を後述の実施例又は比較例において示す配合量でそれぞれ混合し、さらに、LiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解し、試験化合物(表1又は表2に記載)を表1又は表2に記載の配合量(質量%)でそれぞれ添加して非水電解液とした。
(電池の組み立て)
得られた円盤状正極及び円盤状負極を、厚さ25μmのポリエチレン製の微多孔フィルムをはさんでケース内に保持した。その後、非水電解液をケース内に注入し、ケースを密閉、封止して、φ20mm、厚さ3.2mmのコイン型リチウム二次電池を製作した。
〔実施例1〜9及び比較例1〜6〕
エチレンカーボネート30体積%、エチルメチルカーボネート40体積%、及びジメチルカーボネート30体積%からなる混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解し、試験化合物A(表1参照)を所定量加えて、さらに必要に応じて試験化合物B(表1参照)を所定量添加して非水電解液とした。上記非水電解液を用いてリチウム二次電池を作製し、該リチウム二次電池について、下記試験方法に従って、サイクル特性試験を行った。サイクル特性試験において、放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を求めた。サイクル特性試験の試験方法は、それぞれ以下の通りである。尚、比較例として実施例と同様の方法によりリチウム二次電池を作成して同様の試験を行なった。但し、比較例で用いた試験化合物は以下の〔化10〕で示す比較化合物である。比較例の結果は〔表2〕に示す。
Figure 0005180612
<初期特性試験方法>
上記リチウム二次電池を、雰囲気温度20℃の恒温槽内に入れ、充電電流0.3mA/cm2(0.2C相当の電流値)で4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電電流0.3mA/cm2(0.2C相当の電流値)で3.0Vまで定電流放電する操作を5回行った。その後、充電電流0.3mA/cm2(0.2C相当の電流値)で4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電電流0.3mA/cm2(0.2C相当の電流値)で3.0Vまで定電流放電し、この時の放電容量を電池初期容量とした。なお、測定は20℃の雰囲気で行った。
放電容量比=[(6サイクル目の放電容量)/(実施例1における6サイクル目の放電容量)]×100
内部抵抗比=「(6サイクル目の内部抵抗)/(実施例1における6サイクル目の内部抵抗)]×100
<サイクル特性試験方法>
初期特性試験を測定し終えた上記リチウム二次電池を、雰囲気温度35℃の恒温槽内に入れ、充電電流1.5mA/cm2(1C相当の電流値、1Cは電池容量を1時間で放電する電流値)で4.2Vまで定電流充電し、放電電流1.5mA/cm2(1C相当の電流値)で3.0Vまで定電流放電を行うサイクルを500回繰り返して行った。その後、雰囲気温度を20℃に戻して、充電電流0.3mA/cm2(0.2C相当の電流値)で4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電電流0.3mA/cm2(0.2C相当の電流値)で3.0Vまで定電流放電し、このときの放電容量と初期放電容量とから、下記式により放電容量維持率(%)を求めた。また、上記の500回のサイクルの前後に、20℃における内部抵抗を測定し、その測定結果から下記式により内部抵抗比を求めた。尚、リチウム二次電池の初期放電容量及び内部抵抗は、下記測定方法により、それぞれ測定した。
放電容量回復率=[(サイクル後の放電容量)/(初期放電容量)]×100
内部増加率=「(サイクル後の内部抵抗−初期内部抵抗)/(初期内部抵抗)]×100
<内部抵抗測定方法>
まず、充電電流1.5mA/cm2(1C相当の電流値)で3.75Vまで定電流定電圧充電し、交流インピーダンス測定装置(モバイル計測ステーションCompactStat)を用いて、周波数100kHz〜0.02Hzまで走査し、縦軸に虚数部、横軸に実数部を示すコール−コールプロットを作成した。続いて、このコール−コールプロットにおいて、円弧部分を円でフィッティングして、この円の実数部分と交差する二点のうち、大きい方の値を抵抗値とし、電池の内部抵抗とした。
Figure 0005180612
Figure 0005180612
表1の結果から明らかなように、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物を添加した本発明の非水電解液を用いた非水電解液二次電池は、サイクル特性及び高温保存特性に優れていることが確認できた。これに対し、表2の結果から明らかなように、本発明とは異なる化合物を添加した非水電解液を用いた非水電解液二次電池におけるサイクル特性及び高温保存特性は、本発明の非水電解液を用いた非水電解液二次電池に比べると劣っていた。
産業上の利用の可能性
炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物を添加した本発明の非水電解液を用いることで、サイクル特性及び高温保存特性に優れた非水電解液二次電池を提供できる。
図1は、本発明の非水電解液二次電池のコイン型電池の構造の一例を概略的に示す縦断面図である。 図2は、本発明の非水電解液二次電池の円筒型電池の基本構成を示す概略図である。 図3は、本発明の非水電解液二次電池の円筒型電池の内部構造を断面として示す斜視図である。
符号の説明
1 正極
1a 正極集電体
2 負極
2a 負極集電体
3 非水電解液
4 正極ケース
5 負極ケース
6 ガスケット
7 セパレータ
10 コイン型の非水電解液二次電池
10’ 円筒型の非水電解液二次電池
11 負極
12 負極集合体
13 正極
14 正極集合体
15 非水電解液
16 セパレータ
17 正極端子
18 負極端子
19 負極板
20 負極リード
21 正極板
22 正極リード
23 ケース
24 絶縁板
25 ガスケット
26 安全弁
27 PTC素子

Claims (8)

  1. 電解質塩を有機溶媒に溶解させた非水電解液において、炭素原子、水素原子及び酸素原子の三元素のみから構成され、炭素炭素三重結合と非芳香族系の炭素炭素二重結合とを分子内に併せ持つ化合物である炭酸エステル化合物を含有することを特徴とする非水電解液。
  2. 上記炭素エステル化合物が、下記一般式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される炭酸エステル化合物である請求項に記載の非水電解液。
    Figure 0005180612
    (式中、R1及びR2は、各々独立に、水素基若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3は炭素数3〜6のアルケニル基を示し、R4は炭素数3〜6のアルキニル基を示し、R5は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基、若しくは炭素数3〜6のアルキニル基を示す。)
  3. 上記一般式(1)、(2)又は(3)で表される炭酸エステル化合物それぞれが、下記一般式(4)、(5)又は(6)で表される炭酸エステル化合物である請求項に記載の非水電解液。
    Figure 0005180612
    (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R5は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基、若しくは炭素数3〜6のアルキニル基を示し、R6は水素基若しくは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
  4. 上記炭酸エステル化合物が、下記化合物No.1、No.2又はNo.3の何れかである請求項1記載の非水電解液。
    Figure 0005180612
  5. 上記炭酸エステル化合物の含有量が、非水電解液中、0.01〜5質量%である請求項1〜の何れか1項に記載の非水電解液。
  6. 不飽和結合を有するケイ素化合物若しくはエチレンサルファイトを、非水電解液中、0.001〜5質量%添加してなる請求項1〜の何れか1項に記載の非水電解液。
  7. 上記不飽和結合を有するケイ素化合物が、下記一般式(7)で表されるケイ素化合物である請求項に記載の非水電解液。
    Figure 0005180612
    (式中、R7、R8及びR9は、各々独立に、炭素数1から6のハロゲンを含んでよいアルキル基を示す。)
  8. 非水電解液として請求項1〜の何れか1項に記載の非水電解液を含む非水電解液二次電池。
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