JP5175500B2 - 超伝導マグネット装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高分解能NMR装置等に用いられる超伝導マグネット装置に関する。
従来、例えば高分解能NMR装置に用いられる超伝導マグネット装置が知られている(特許文献1参照)。
このような超伝導マグネット装置は、特定領域に定常磁場を形成するための超伝導コイルを備えている。そして、前記定常磁場には、その時間的な変動が約10−8/hr以下という極めて高い安定性が要求される。
なお、上記特許文献1には、磁場の空間的な分布を均一にするという目的で、磁性体シム(磁性体の小片)を液体窒素容器に取付ける技術が開示されている。上記磁性体は、外部磁場が作用していると磁化が強く発生する材料、例えば鉄、ニッケル、コバルト単体かそれらを含む合金である。
特開2000−37366号公報
しかしながら、上記超伝導コイルを、外部電源に常時接続した状態、いわゆる電源駆動モードで運転した場合、電源の出力電流の時間的な変動に起因して、定常磁場が上述した磁場安定性を大きく超えて変動するという問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、定常磁場の時間的な変動を抑制することが可能な超伝導マグネット装置を提供することを目的とする。
本願発明者らは、定常磁場の時間的な変動を抑制するために超伝導材料を用いた磁気ダンパを設けることを考え付いた。しかし、この磁気ダンパが超伝導マグネット装置の立上げ段階から機能すると、超伝導コイルによる磁場形成にとって障害となるため、立上り時には磁気ダンパの超伝導状態を解消しておくことが求められる。そこで、超伝導コイルの運転温度よりも高い温度で運転する熱シールド部材に着目し、当該熱シールド部材に磁気ダンパを取付ければ、磁気ダンパの状態移行を容易に行い、かつ、装置の通常運転時には定常磁場の時間的な変動を抑えることができるのではないかと考えた。
本発明は、このような観点からなされたものであり、請求項1に記載の超伝導マグネット装置は、特定領域に磁場を形成するための超伝導マグネット装置であって、前記特定領域を囲むように配置され、超伝導状態で通電されることにより前記特定領域に磁場を形成する超伝導コイルと、前記特定領域を囲む中空状をなし、前記超伝導コイルを収容し、かつ、この超伝導コイルを液体ヘリウムにより超伝導温度まで冷却するための超伝導コイル槽と、前記超伝導コイル槽をその径方向の内側及び外側の双方から囲むように配置され、冷却後の温度が前記超伝導コイルの運転温度よりも高くなるように前記超伝導コイル槽と熱伝導可能に接続される熱シールド部材と、超伝導材料により形成され、その超伝導状態で前記超伝導コイルにより前記特定領域に形成される磁場の変動を抑えることが可能な位置に配設される磁気ダンパと、を備え、前記磁気ダンパは、前記熱シールド部材の運転温度にて超伝導状態となる超伝導材料からなる線材が前記超伝導コイルと前記特定領域との間で当該特定領域を取り巻くようにソレノイドコイル状に巻回された磁気ダンパコイルを含み、前記磁気ダンパコイルは、前記線材の始端部分と終端部分とが電気的に接続されることにより電流の循環回路を構成し、且つ、前記熱シールド部材と熱伝導可能となるように当該熱シールド部材に取付けられることを特徴とする。
この請求項1に記載の超伝導マグネット装置では、上記のように、熱シールド部材の運転温度で超伝導状態となる超伝導材料により形成された磁気ダンパを、熱シールド部材に取付けることによって、超伝導マグネット装置の立上り後の通常運転時には、磁気ダンパが超伝導状態となるので、当該磁気ダンパを変動抑制のためのダンパとして機能させることができる。
また、立上げ時には磁気ダンパを昇温させて、その超伝導状態を解消することで、磁気ダンパのダンパ機能を解消することになる。このとき、磁気ダンパを取付けた熱シールド部材の運転温度が、超伝導コイルの運転温度よりも高いので、磁気ダンパの温度を臨界温度よりも高くしやすい。これにより、立上げ時に磁気ダンパを容易に昇温させてその超伝導状態を解消させることができるので、超伝導コイルによる磁場形成を円滑に行うことができる。
また、磁気ダンパを、超伝導コイル槽と熱伝導可能に接続される熱シールド部材に取付けることによって、常伝導状態にある磁気ダンパの熱が熱シールド部材を介して超伝導コイル槽に移動するので、当該磁気ダンパの温度を速やかに低下させることができる。これにより、磁気ダンパが常伝導状態から超伝導状態に移行するのに要する時間を短縮することができるので、超伝導コイルにより定常磁場が形成された直後から当該定常磁場の時間的な変動を抑制することができる。
また、磁気ダンパにソレノイドコイルとしての機能を持たせることができるので、当該磁気ダンパに起因する磁場の位置的な乱れを小さくすることができる。また、当該磁気ダンパコイルを熱シールド部材に巻き付ける構成とした場合には、容易に、両者を熱的に接触させることができる。
上記請求項1記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパは、前記熱シールド部材のうち前記特定領域と前記超伝導コイルとの間に介在する部位に取付けられることが好ましい(請求項2)。
このように構成すれば、磁気ダンパを特定領域に近い位置に配設することになるので、特定領域の磁場の時間変動を十分に抑制することができる。
上記請求項2記載の超伝導マグネット装置において、前記熱シールド部材は、前記特定領域と前記超伝導コイルとの間に介在する内側円筒部を有し、前記磁気ダンパは、当該内側円筒部に取付けられるのが好ましい(請求項3)。
このように、熱シールド部材の内側円筒部に磁気ダンパを取付ければ、特定領域の磁場の時間変動を十分に抑制することができる。
上記請求項3記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパは、前記内側円筒部の外周面上に取付けられる(請求項4)。
このように構成すれば、磁気ダンパを熱シールド部材の内側円筒部の内周面上に取付ける場合と比べて、その取付けが容易となるので、磁気ダンパの取付作業性を向上させることができる。
上記請求項1〜4のいずれか一項に記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパを当該磁気ダンパの超伝導状態が解消される温度まで加温するためのヒータを備えるのが好ましい(請求項5)。
このように構成すれば、ヒータにより磁気ダンパの温度を上昇させることができるので、磁気ダンパを容易に常伝導状態にすることができる。また、ヒータによる磁気ダンパの加温を停止するだけで、容易に、磁気ダンパの温度を低下させて当該磁気ダンパを超伝導状態に移行させることができる。
請求項5記載の超伝導マグネット装置において、前記ヒータが前記熱シールド部材に取付けられることが好ましい(請求項6)。
このように構成すれば、熱シールド部材を媒介として磁気ダンパを効率良く加温することができる。
請求項5または6記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパの温度を検出するための温度センサと、前記温度センサによる検出温度を一定に保つ方向に前記ヒータの熱量を調節する制御装置と、を備えることが好ましい(請求項7)。
このように構成すれば、制御装置により磁気ダンパの温度の時間的な変動を小さくすることができるので、特定領域の磁場の時間変動をさらに小さくすることができる。
上記請求項1〜7のいずれかに記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパコイルは、前記超伝導コイルの軸方向の中心位置を挟んで当該軸方向に対称となるように配置されるのが好ましい(請求項)。
このように構成すれば、磁気ダンパコイルによる磁場変動の抑制作用が、超伝導コイルにより形成される特定領域の磁場に対して、当該磁場の中心位置を基準に対称に機能するので、特定領域の磁場に極端な位置的乱れが発生するのを抑えることができる。
上記請求項1〜7のいずれかに記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパは、複数の磁気ダンパコイルにより構成され、これらの磁気ダンパコイルが前記超伝導コイルの軸方向の中心位置を挟んで当該軸方向に対称となるように当該軸方向に互いに離間して配列されていてもよい(請求項)。
このように構成すれば、複数の磁気ダンパコイルによる磁場変動の抑制作用が、超伝導コイルにより形成される特定領域の磁場に対して、当該磁場の中心位置を基準に対称に機能するので、特定領域の磁場に極端な位置的乱れが発生するのを抑えることができる。また、この場合、磁気ダンパコイルの配置位置を各々調整することで、複数の磁気ダンパコイルによる磁場変動抑制作用を機能させた状態の特定領域の磁場が空間的に乱れることのないような磁気ダンパコイルの配置位置を容易に見出すことができるので、特定領域の磁場に位置的な乱れが発生するのを容易に、かつ効率良く抑えることが可能になる。
上記請求項記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパは、同一構成の一対の磁気ダンパコイルであり、これらの磁気ダンパコイルは、前記超伝導コイルの軸方向の中心位置から互いに等しい間隔をおいて相互反対位置に各々配されるのが好ましい(請求項10)。
このように構成すれば、最小限の磁気ダンパコイルで、特定領域の磁場に位置的な乱れが発生するのを容易に、かつ効率良く抑えることができる。
上記請求項〜10のいずれかに記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパコイルは、前記超伝導材料からなる線材が、径方向に並ぶ2つのコイル層を構成するように軸方向で折返しつつ巻回された磁気ダンパコイルであり、前記線材の長さ方向の端部同士が接合部によって電気的に接続された状態で接合されているのが好ましい(請求項11)。
このように、線材を軸方向で折返しつつ巻回し、当該線材の両端を接合部によって電気的に接合すれば、容易に、磁気ダンパコイルに電流の循環回路(閉ループ)を形成することができる。これにより、超伝導状態の磁気ダンパコイル内に、当該磁気ダンパコイルの内側の磁場を一定にしようとする誘導電流を発生させて、前記磁場の時間的な変動を抑えることができる。
上記請求項1〜11のいずれかに記載の超伝導マグネット装置において、前記超伝導コイル槽を収容する形状を有し、かつ、この超伝導コイル槽の径方向外側の領域で液体窒素を収容する液体窒素槽を備えるとともに、前記熱シールド部材は、前記液体窒素槽と前記超伝導コイル槽との双方に熱伝導可能に接続されるのが好ましい(請求項12)。
このように構成すれば、熱シールド部材の運転温度を、超伝導コイル槽の運転温度より高く、かつ、液体窒素槽の運転温度より低い温度に維持することができる。
上記請求項12記載の超伝導マグネット装置において、超伝導コイル槽が、液体ヘリウムの蒸発通路となる首管を備え、熱シールド部材と液体窒素槽とが前記首管に熱伝導可能に接続されているのが好ましい(請求項13)。
このように構成した場合、熱シールド部材の温度が超伝導コイル槽の液体ヘリウムに与える熱的影響を小さくすることができる。
上記請求項1〜13のいずれかに記載の超伝導マグネット装置において、前記磁気ダンパを構成する材料は、酸化物超伝導材であることが好ましい(請求項14)。
このように、酸化物超伝導材からなる磁気ダンパを用いれば、当該磁気ダンパを熱シールド部材の運転温度にて確実に超伝導状態にすることができる。
本発明の超伝導マグネット装置によれば、熱シールド部材の運転温度で超伝導状態となる超伝導材料により形成された磁気ダンパを、熱シールド部材に取付けることによって、超伝導マグネット装置の立上り後の通常運転時には、磁気ダンパが超伝導状態となるので、当該磁気ダンパを変動抑制のためのダンパとして機能させることができる。また、立上げ時には磁気ダンパを昇温させて、その超伝導状態を解消することで、磁気ダンパのダンパ機能を解消することになる。このとき、磁気ダンパを取付けた熱シールド部材の運転温度が、超伝導コイルの運転温度よりも高いので、磁気ダンパの温度を臨界温度よりも高くしやすい。これにより、立上げ時に磁気ダンパを容易に昇温させてその超伝導状態を解消させることができるので、超伝導コイルによる磁場形成を円滑に行うことができる。
また、磁気ダンパを、超伝導コイル槽と熱伝導可能に接続される熱シールド部材に取付けることによって、常伝導状態にある磁気ダンパの熱が熱シールド部材を介して超伝導コイル槽に移動するので、当該磁気ダンパの温度を速やかに低下させることができる。これにより、磁気ダンパが常伝導状態から超伝導状態に移行するのに要する時間を短縮することができるので、超伝導コイルにより定常磁場が形成された直後から当該定常磁場の時間的な変動を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による超伝導マグネット装置の全体構成を示した正面断面図である。また、図2および図3は、図1に示した超伝導マグネット装置における磁気ダンパコイルの熱シールド槽への取付け状態を示した正面図および断面図である。また、図4は、図1に示した超伝導マグネット装置の電気的構成を示したブロック図である。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による超伝導マグネット装置の構成について説明する。
本実施形態の超伝導マグネット装置は、超伝導コイル1のコイル軸R1方向が鉛直方向とほぼ一致する、いわゆる、縦置き型の超伝導マグネット装置である。この超伝導マグネット装置は、図1に示すように、装置中央に設けられた貫通穴100内の試料空間Eに磁場(定常磁場)を形成するように構成されており、超伝導コイル1と、液体ヘリウム槽2と、熱シールド槽3と、液体窒素槽4と、真空容器5とを備えている。なお、液体ヘリウム槽2は、本発明の「超伝導コイル槽」の一例であり、熱シールド槽3は、本発明の「熱シールド部材」の一例である。超伝導コイル1と液体ヘリウム槽2と熱シールド槽3と液体窒素槽4と真空容器5とは、装置中央の貫通穴100を取り巻くようにドーナツ状に積層配置されており、超伝導コイル1と貫通穴100とは、ほぼ同軸となっている。
超伝導コイル1は、試料空間Eを囲むように配置されており、超伝導状態で通電される
ことにより前記試料空間Eに定常磁場を形成するように構成されている。この超伝導コイル1は、例えば、NbTiやNbSnなどの低温超伝導体からなる超伝導線を巻線部の外側部位に配設するとともに、Bi系やY系などの酸化物超伝導体からなる超伝導線を巻線部の内側部位に配設することにより構成されている。そして、上記のような酸化物超伝導体を含む超伝導コイル1は、図略の外部電源に常時接続された状態で、いわゆる電源駆動モードで運転される。
液体ヘリウム槽2は、試料空間Eを囲む中空状を呈しており、超伝導コイル1を収容し、かつ、この超伝導コイル1を液体ヘリウム11により臨界温度まで冷却するための機能を有している。
この液体ヘリウム槽2は、約4.2Kの液体ヘリウム11を収容可能な液体ヘリウム貯留部2aと、この液体ヘリウム貯留部2aの上部から上方に向かって延設される首管2bとを含んでいる。そして、液体ヘリウム貯留部2a内には、超伝導コイル1が液体ヘリウム11中に浸漬された状態で配設されている。また、液体ヘリウム貯留部2a内で気化(蒸発)したヘリウムガスは、前記首管2bを通って槽外に排出されるようになっている。
熱シールド槽3は、液体ヘリウム槽2をその軸方向の上下双方およびその径方向の内外双方から囲むように配置されることで液体ヘリウム槽2を収容し、超伝導コイル1の運転温度よりも高い温度に冷却されるように液体ヘリウム槽2の首管2bと熱伝導可能に接続されている。この熱シールド槽3は、試料空間Eと超伝導コイル1との間に介在する内側円筒部3aを有しており、この内側円筒部3aに後述の磁気ダンパコイル7が取付けられている。また、熱シールド槽3は、液体窒素槽4にも熱伝導可能に接続されている。なお、熱シールド槽3は、通常運転時には約40〜50K程度に冷却されている。
液体窒素槽4は、熱シールド槽3を収容する形状を有しており、この熱シールド槽3の径方向外側の領域で液体窒素12を収容するものである。この液体窒素槽4は、熱シールド槽3を収容する中空状の収容部4aと、約77Kの液体窒素12を収容する液体窒素貯留部4bと、液体窒素貯留部4bの上部から上方に向かって延設される首管4cとを含んでいる。液体窒素貯留部4bは、溶接、ろう付け、半田付け等の手段による接合部6によって収容部4aに接合されている。また、首管4cは、液体窒素貯留部4b内で気化(蒸発)した窒素ガスを、当該首管2bを通って外部に排出するためのものである。
真空容器5は、液体窒素槽4を収容する形状を有している。この真空容器5は、液体窒素槽4を収容する収容部5aと、収容部5aの上部から上方に向かって延設される首管5bとを有している。首管5bは、液体ヘリウム槽2の首管2bおよび液体窒素槽4の首管4cよりも管径が大きく設定されており、各管の軸心が互いに合致するように配設されている。そして、首管2b、4cの外周面に首管5bの上端部が溶接、ろう付け、半田付け等の手段により各々接合された状態となっている。また、真空容器5の内側円筒部5cにより、上記貫通穴100が形成されている。
また、熱シールド槽3の上部および液体窒素槽4の収容部4aの上部には、液体ヘリウム槽2の首管2bを挿通させるための開口が各々設けられている。そして、熱シールド槽3および液体窒素槽4の各開口の縁部が、首管2bの外周面に接合部6によって接合されている。また、液体ヘリウム槽2と熱シールド槽3との間、熱シールド槽3と液体窒素槽4との間、および、液体窒素槽4と真空容器5との間には、それぞれ、図示しない連結棒が適宜配設されている。
また、液体ヘリウム槽2、熱シールド槽3、液体窒素槽4および真空容器5は、それぞれ、非磁性材料により構成されており、その具体的な材質は特に問わないが、液体ヘリウ
ム槽2および真空容器5の材質としては、たとえばステンレス鋼が好適であり、熱シールド槽3および液体窒素槽4の材質としては、たとえば熱伝導性に優れた銅、アルミニウムそれらを含む合金、またはステンレス合金が好適である。
ここで、本実施形態の超伝導マグネット装置は、超伝導コイル1により試料空間Eに形成される磁場の時間的な変動を抑えるための磁気ダンパコイル7を備えている。
磁気ダンパコイル7は、熱シールド槽3の運転温度(約40〜50K)にて超伝導状態となる超伝導材料により形成されている。そして、磁気ダンパコイル7は、その超伝導状態で超伝導コイル1により試料空間Eに形成される磁場の変動を抑えることが可能な位置に取付けられている。具体的には、磁気ダンパコイル7は、図2に示すように、超伝導コイル1の軸方向の中心位置である中心線R2を挟んで当該軸方向に対称となるように、熱シールド槽3のうち試料空間Eと超伝導コイル1との間に介在する内側円筒部3aの外周面3b上に取付けられている。これにより、磁気ダンパコイル7は、熱シールド槽3と熱伝導可能となっている。なお、本実施形態の磁気ダンパコイル7の臨界温度は、約70〜90Kである。
また、磁気ダンパコイル7は、試料空間Eを取り巻くように軸方向で折返しつつ巻回されたテープ状の酸化物超伝導線材であり、当該線材の始端部分と終端部分とが電気的に接続されることにより閉ループを構成している。これにより、超伝導状態の磁気ダンパコイル7内に、当該磁気ダンパコイル7の内側の磁場を一定にしようとする誘導電流が発生して、前記磁場の時間的な変動が抑えられるようになっている。
詳細には、磁気ダンパコイル7は、図3に示すように、内側コイル層71と、外側コイル層72とを有している。そして、内側コイル層71の最上部(始端部分)と外側コイル層72の最上部(終端部分)とが半田付けによる半田接合部73によって電気的に接続された状態で接合されている。また、内側コイル層71と熱シールド槽3の内側円筒部3aの外周面3bとが半田付けによる半田接合部74によって接合されている。なお、内側コイル層71全体を内側円筒部3aの外周面3bに半田付けするとともに、その内側コイル層72に外側コイル層72全体を半田付けにより接合する構成であってもよい。また、磁気ダンパコイル7の適所を、ネジにより熱シールド槽3の内側円筒部3aに締結固定する構成であってもよい。
また、本実施形態のように単一の磁気ダンパコイル7を配する場合、当該磁気ダンパコイル7は、そのコイル軸R1方向の長さがその直径の約5倍以上となるように構成されるのが好ましい。この場合、磁気ダンパコイル7がソレノイドコイルとして十分に機能するため、当該磁気ダンパコイル7の寸法に起因する磁場の位置的な乱れを小さくすることができる。
上記磁気ダンパコイル7の熱シールド槽3の内側円筒部3aへの取付方法について説明する。磁気ダンパコイル7の構成材料であるテープ状の酸化物超伝導線材を、予め巻回状態にし、その巻回状態の酸化物超伝導線材を、当該装置の組立段階で熱シールド槽3の内側円筒部3aに嵌め込む。このような磁気ダンパコイル7の内側円筒部3aへの取付けは、熱的接触を考慮すると、半田付けにより行われるのが好ましい。
また、熱シールド槽3の内側円筒部3aの外周面3bのうち磁気ダンパコイル7の上方および下方の双方に、それぞれ、ヒータ8および温度センサ9が配設されている。ヒータ8は、磁気ダンパコイル7を当該磁気ダンパコイル7の超伝導状態が解消される温度である臨界温度まで加温するためのものである。また、温度センサ9は、磁気ダンパコイル7の温度を検出するためのものである。なお、温度センサ9としては、抵抗温度計、熱電対が挙げられる。
上記のように、ヒータ8を磁気ダンパコイル7の上下双方に配することによって、加温時の磁気ダンパコイル7の温度分布を小さくすることができる。なお、ヒータ8を、磁気ダンパコイル7の上下のいずれか一方のみに配設する構成であってもよい。また、ヒータ8は、磁気ダンパコイル7から離間した位置で熱シールド槽3の内側円筒部3aの外周面3bに取付けることで、磁気ダンパコイル7を間接的に加温しているが、これに限らず、磁気ダンパコイル7に接触させるように配設して当該磁気ダンパコイル7を直接的に加温する構成であってもよい。
また、超伝導マグネット装置は、図4に示すように、制御装置10を備えている。この制御装置10は、ヒータ8および温度センサ9に電気的に接続されており、温度センサ9からの検出信号を受けて、温度センサ9による検出温度を一定に保つ方向にヒータ8の熱量を調節する機能を有している。
本実施形態では、磁気ダンパコイル7が、熱シールド槽3に熱伝導可能に取付けられており、該熱シールド槽3が、液体ヘリウム槽2の首管2bに熱伝導可能に接続されている。そして、前記首管2b内には、液体ヘリウム貯留部2a内で気化した液体ヘリウム11が通過するようになっている。このため、液体ヘリウム11の気化速度にムラが生じた場合、首管2bおよび熱シールド槽3の温度が変動し、これによって磁気ダンパコイル7の温度が時間的に変動することになる。
そこで、上記のような制御装置10を設けることによって、磁気ダンパコイル7の温度変動を抑えるように構成されている。この制御装置10により制御される磁気ダンパコイル7の温度変動は、好ましくは±5K以下、より好ましくは±0.05K以下である。
次に、上記構成の超伝導マグネット装置の立上り時の動作について説明する。
まず、超伝導マグネット装置を始動させ、超伝導コイル1を臨界温度以下に冷却して超伝導状態にする。次に、超伝導コイル1に外部電源から電流を供給して、試料空間Eに当該超伝導コイル1による磁場を形成する。このとき、磁気ダンパコイル7は、ヒータ8によって臨界温度以上に加温されることで常伝導状態となっているため、超伝導コイル1による試料空間Eにおける磁場形成が妨害されることなく円滑に行われる。
なお、磁気ダンパコイル7を取付けた熱シールド槽3は、液体ヘリウム槽2と熱伝導可能に接続されているものの、液体ヘリウム貯留部2a内の液体ヘリウム11とは直接的に接していないので、磁気ダンパコイル7の温度を上昇させたとしても、前記液体ヘリウム11に与える影響は微小である。
その後、超伝導コイル1により試料空間Eに定常磁場が形成された、すなわち定常磁場が十分に立上った状態になったことを起点として、ヒータ8による加温が停止される。そして、磁気ダンパコイル7の温度が臨界温度以下に速やかに低下し、当該磁気ダンパコイル7が常伝導状態から超伝導状態に移行する。これにより、超伝導状態の磁気ダンパコイル7内に、当該磁気ダンパコイル7の内側の磁場、つまり試料空間Eの定常磁場を一定にしようとする誘導電流が発生し、前記磁場の時間的な変動が抑えられる。
本実施形態では、上記のように、熱シールド槽3の運転温度で超伝導状態となる酸化物超伝導材料により形成された磁気ダンパコイル7を、熱シールド槽3に取付けることによって、超伝導マグネット装置の立上り後の通常運転時には、磁気ダンパコイル7が超伝導状態となるので、当該磁気ダンパコイル7を変動抑制のためのダンパとして機能させることができる。また、立上げ時には磁気ダンパコイル7を昇温させて、その超伝導状態を解消することで、磁気ダンパコイル7のダンパ機能を解消することになる。このとき、磁気
ダンパコイル7を取付けた熱シールド槽3の運転温度が、超伝導コイル1の運転温度よりも高いので、磁気ダンパコイル7の温度を臨界温度よりも高くしやすい。これにより、立上げ時に磁気ダンパコイル7を容易に昇温させてその超伝導状態を解消させることができるので、超伝導コイル1による磁場形成を円滑に行うことができる。
また、磁気ダンパコイル7を、液体ヘリウム槽2と熱伝導可能に接続される熱シールド槽3に取付けることによって、常伝導状態にある磁気ダンパコイル7の熱が熱シールド槽3を介して液体ヘリウム槽2に移動するので、当該磁気ダンパコイル7の温度を速やかに低下させることができる。これにより、磁気ダンパコイル7が常伝導状態から超伝導状態に移行するのに要する時間を短縮することができるので、超伝導コイル1により定常磁場が形成された直後から当該定常磁場の時間的な変動を抑制することができる。
なお、磁気ダンパコイル7を、液体ヘリウム槽2の運転温度よりも高い運転温度の液体窒素槽4に取り付けることも考えられるが、この構成では、立上げ時に磁気ダンパコイル7の超伝導状態を解消するのが困難であるとともに、当該超伝導マグネット装置の運転時の安定性が著しく低下する虞がある。すなわち、磁気ダンパコイル7を液体窒素槽4に取付けた場合、磁気ダンパコイル7が昇温するためには、液体窒素貯留部4b内の液体窒素12が蒸発する必要がある。これにより、磁気ダンパコイル7の超伝導状態の解消までに要する時間が長くなる。また、このとき、液体窒素貯留部4b内の液体窒素12が完全に蒸発し、液体ヘリウム貯留部2a内の液体ヘリウム11の蒸発速度が速くなった状態で、超電導コイル1が励磁された場合には、液体ヘリウム貯留部2a内の液体ヘリウム11が早期になくなる等の当該装置の運転にとって大きな支障となる事由が発生する。
また、本実施形態では、上記のように、磁気ダンパコイル7を熱シールド槽3の内側円筒部3aに取付けることによって、磁気ダンパコイル7を試料空間Eに近い位置に配設することになるので、試料空間Eの磁場の時間変動を十分に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、磁気ダンパコイル7を熱シールド槽3の内側円筒部3aの外周面3bに取付けることによって、磁気ダンパコイル7を前記内側円筒部3aの内周面上に取付ける場合と比べて、その取付けが容易となるので、磁気ダンパコイル7の取付作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、磁気ダンパコイル7を、当該磁気ダンパコイル7の超伝導状態が解消される臨界温度まで加温するためのヒータ8を設けることによって、ヒータ8により磁気ダンパコイル7の温度を上昇させることができるので、磁気ダンパコイル7を容易に常伝導状態にすることができる。また、ヒータ8による磁気ダンパコイル7の加温を停止するだけで、容易に、磁気ダンパコイル7の温度を低下させて当該磁気ダンパコイル7を超伝導状態に移行させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、ヒータ8を熱シールド槽3に取付けることによって、熱シールド槽3を媒介として磁気ダンパコイル7を効率良く加温することができる。
また、本実施形態では、上記のように、磁気ダンパコイル7の温度を検出するための温度センサ9と、この温度センサ9による検出温度を一定に保つ方向に、ヒータ8の熱量を調節する制御装置10とを設けることによって、制御装置10により磁気ダンパコイル7の温度の時間的な変動を小さくすることができるので、磁気ダンパコイル7の膨張収縮を抑制することができる。これにより、磁気ダンパコイル7の寸法変化に起因する磁束密度の時間変動を抑えることができるので、試料空間Eの磁場の時間変動をさらに小さくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、試料空間Eを取り巻くように熱シールド槽3の内側円筒部3aに巻回された磁気ダンパコイル7を用いることによって、磁気ダンパコイル7にソレノイドコイルとしての機能を持たせることができるので、当該磁気ダンパコイル7に起因する磁場の位置的な乱れを小さくすることができる。また、この構成によれば、容易に、磁気ダンパコイル7を熱シールド槽3に熱的に接触させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、磁気ダンパコイル7を、超伝導コイル1の軸方向の中心位置を通る中心線R2を挟んで当該中心線R2に対称となるように配置することによって、磁気ダンパコイル7による磁場変動の抑制作用が、超伝導コイル1により形成される試料空間Eの磁場に対して、当該磁場の中心位置を基準に対称に機能するので、試料空間Eの磁場に極端な位置的乱れが発生するのを抑えることができる。
また、本実施形態では、上記のように、超伝導線材を軸方向で折返しつつ巻回することで磁気ダンパコイル7を構成し、かつ、超伝導線材の長さ方向の端部同士、すなわち、磁気ダンパコイル7の内側コイル層71の最上部と外側コイル層72の最上部とを半田接合部73によって電気的に接続された状態で接合することによって、容易に、磁気ダンパコイル7に電流の循環回路(閉ループ)を形成することができる。これにより、超伝導状態の磁気ダンパコイル7内に、当該磁気ダンパコイル7の内側の磁場を一定にしようとする誘導電流を発生させて、前記磁場の時間的な変動を抑えることができる。また、径方向に並ぶ内側コイル層71および外側コイル層72を有する磁気ダンパコイル7を用いることによって、径方向に並ぶ例えば3つ以上のコイル層を有する磁気ダンパコイルを用いる場合と比べて、磁気ダンパコイル7が径方向に厚くなり過ぎるのを抑えることができるので、比較的狭い空間にも磁気ダンパコイル7を容易に設置することができる。
また、本実施形態では、上記のように、熱シールド槽3と液体窒素槽4とが液体ヘリウム槽2の首管2bに熱伝導可能に接続されるように構成することによって、熱シールド槽3の運転温度を、液体ヘリウム槽2の運転温度より高く、かつ、液体窒素槽4の運転温度より低い温度に維持することができる。また、この場合、熱シールド槽3の温度が液体ヘリウム槽2の液体ヘリウム11に与える熱的影響を小さくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、酸化物超伝導材からなる磁気ダンパコイル7を用いることによって、当該磁気ダンパコイル7を熱シールド槽3の運転温度にて確実に超伝導状態にすることができる。
以下、上記実施形態における磁場の時間的変動を抑制するという効果を証明するために行った実験1について説明する。
上記実施形態に相当する実施例による超伝導マグネット装置、すなわちBi系の酸化物超伝導線材からなる磁気ダンパコイル7を装着した超伝導マグネット装置における定常磁場の時間変動を測定し、その結果を図5に示した。また、従来の超伝導マグネット装置に相当する比較例による超伝導マグネット装置、すなわち磁気ダンパコイルを具備しない超伝導マグネット装置における定常磁場の時間変動を測定し、その結果を図6に示した。なお、上記実験1で用いた磁気ダンパコイル7は、その内径が40mm、外径が40.88mm、コイル軸R1方向の長さが215mm、線材の積層数が2層、総ターン数が100、インダクタンスが6.887×10−5(H)である。また、磁気ダンパコイル7を構成するBi系の酸化物超伝導線材は、その幅が4.2mm、厚みが0.2mmである。
図5を参照して、実施例の超伝導マグネット装置では、定常磁場の変動幅が、±0.05ppmの範囲にほぼ抑えられている。一方、図6を参照して、比較例の超伝導マグネット装置では、定常磁場の変動幅が、±0.5ppm程度となっている。このことから、磁気ダンパコイル7を装着することによって、定常磁場の時間変動を約1/10にまで抑制できることが判明した。したがって、上記実施形態の効果が、十分に得られていることがわかった。
なお、上記実施形態では、単一の磁気ダンパコイル7を備えた超伝導マグネット装置について示したが、これに限らず、図7に示すように、同一構成の一対の磁気ダンパコイル107を備えた上記実施形態の変形例による超伝導マグネット装置であってもよい。この変形例による超伝導マグネット装置の磁気ダンパコイル107は、超伝導コイル1の軸方向の中心位置を通る中心線R2から互いに等しい間隔をおいて相互反対位置に各々配されている。なお、これらの磁気ダンパコイル107も上述した磁気ダンパコイル7と同様に径方向に2つのコイル層を有する構造となっている。
このように構成した場合、一対の磁気ダンパコイル107による磁場変動の抑制作用が、超伝導コイル1により形成される試料空間Eの磁場に対して、当該磁場の中心位置を基準に対称に機能するので、試料空間Eの磁場に極端な位置的乱れが発生するのを抑えることができる。
さらに、上記のように構成した場合、磁気ダンパコイル107の配置位置を各々調整することで、一対の磁気ダンパコイル107による磁場変動抑制作用を機能させた状態の試料空間Eの磁場が空間的に乱れることのないような磁気ダンパコイル107の配置位置を容易に見出すことができるので、試料空間Eの磁場に位置的な乱れが発生するのを容易に、かつ効率良く抑えることが可能になるという効果を奏する。以下、当該効果を証明するために行った実験2について説明する。
この実験2では、上記変形例に相当する一対の磁気ダンパコイル107を装着した超伝導マグネット装置における試料空間Eの磁場の空間的な変動率と、上記実施形態に相当する磁気ダンパコイル7を装着した超伝導マグネット装置における試料空間Eの磁場の空間的な変動率とを求め、それら変動率の比較検討を行った。なお、磁場の空間変動率は、磁場をルジャンドル関数で展開したときの2次の誤差項で表現される。この場合、超伝導コイル1によって試料空間Eに発生する磁場の強さをB0とし、磁気ダンパコイル107に10(A)の電流が流れたとき、当該磁気ダンパコイル107によって試料空間Eに発生する磁場をルジャンドル関数で展開したときの2次の誤差項をΔBとすれば、前記空間変動率をΔB/B0で表すことができる。
まず、変形例に相当する超伝導マグネット装置の磁場の空間変動率ΔB/B0(以下、Vとする)(ppm)を求める。この変動率Vは、磁気ダンパコイル107のサイズ(内直径d(mm)および巻き幅w(mm))およびその配置位置(当該磁気ダンパコイル107の中心と中心線R2との距離で定義)Z(mm)によって決定されるものであり、磁気ダンパコイル107のサイズが固定されている場合は磁気ダンパコイル107の配置位置Zに依存することになる。言い換えれば、変動率Vの絶対値が最小となり、超伝導コイル1によって形成される試料空間Eの空間的に均一な磁場を、空間的にほとんど乱すことがないような磁気ダンパコイル107の好適な配置位置Zが、当該磁気ダンパコイル107の内直径dおよび巻き幅wによって決まる。
このような磁気ダンパコイル107の好ましい配置位置Zを決定する具体的な方法としては、例えば以下に示す2つの方法が挙げられる。
第1の方法は、内直径dおよび巻き幅wが決定された磁気ダンパコイル107の配置位置Zを様々に変化させ、当該変化に伴って推移する変動率Vと配置位置Zとの関係を示すデータを取得し、このデータから好適な配置位置Zを得るというものである。
この方法によれば、例えば、内直径d=62,巻き幅w=51.6の磁気ダンパコイル107の配置位置Zを変化させたときの磁場の空間変動率Vは、図8のグラフに示すようになっており、Zの値が27.57のときに、変動率Vの値がほぼ0となる。このことは、内直径が62mmで巻き幅が51.6mmの一対の磁気ダンパコイル107を、その各中心位置が超伝導コイル1の軸方向の中心線R2から軸方向の相互反対側に27.57mm離れるように配置したときには、磁場の空間変動率がほぼ0となり、磁気ダンパコイル107に誘導電流が流れても、超伝導コイル1によって形成される試料空間Eの均一磁場を空間的にほとんど乱すことがないことを示している。
第2の方法は、磁気ダンパコイル107の好ましい配置位置Zを算出可能な当該磁気ダンパコイル107のサイズ(内直径dおよび巻き幅w)に係る関係式を予め求めておき、その関係式に上記磁気ダンパコイル107のサイズを代入することによって、好適な配置位置Zを速やかに、かつ容易に得るというものである。
そして、本願発明者らは、磁気ダンパコイル107のサイズおよび配置位置Zを様々に変化させたときの各変動率Vを求め、その結果から好適な配置位置Zの値を速やかに、かつ容易に得ることのできる以下の4つの式を見出した。
Z=a2×w+a1×w+a0
a2=0.00000004129×d+0.000007061×d−0.0003053
a1=−0.00001881×d−0.0009907×d+0.5585
a0=0.002101×d−0.03169×d−1.357
本実施形態では、特に、内直径dの範囲が50mm〜150mmで、巻き幅wの範囲が20mm〜200mmであるようなサイズの磁気ダンパコイル107を備えた超伝導マグネット装置において、これらの式により導かれる配置位置Zに磁気ダンパコイル107を配すると、変動率Vをほぼ0にすることができることを見出した。なお、磁気ダンパコイル107を、式より導出されたその好適な配置位置Zから±0.5mm軸方向にずれた位置内に配するのであれば、変動率Vを±2ppm程度までに抑えることができる。この場合、試料空間Eの均一磁場を空間的にほとんど乱すことなく、磁気ダンパコイル107による効果が十分に発揮されたと見なすことができる。
上記式を用いれば、例えば、内直径d=62,巻き幅w=51.6の磁気ダンパコイル107の好適な配置位置Zが約27.45であることを容易に求めることができる。なお、このときの変動率Vの値はほぼ0である。(正確には、約−0.25ppmである。これは、上記式を、広範囲な値の内直径dおよび巻き幅wにも適用可能となるように導出したことに起因する。しかしながら、上述の変動率Vの許容範囲である±2ppm内に十分に収まっており、磁気ダンパコイル107による効果は十分に得られる。)
これに対して、磁気ダンパコイル7を装着した実施形態に相当する超伝導マグネット装置の磁場の空間変動率は、磁気ダンパコイル7のサイズにのみ依存しており、例えば磁気ダンパコイル7の内直径が62mmで、その巻き幅が103.2mm(磁気ダンパコイル107の巻き幅wの2倍)のときの変動率は−3.95ppmである。
以上のことから、一対の磁気ダンパコイル107を中心線R2を挟んで軸方向の対称位置に各々配した変形例による超伝導マグネット装置では、磁場の空間変動率の絶対値が、実施形態の超伝導マグネット装置に比べて約1/16となり、超伝導コイル1によって形成される試料空間Eの磁場をより乱さないようにすることが可能であることが判明した。
なお、上記変形例による構成の場合、最小限の数の磁気ダンパコイルで、試料領域Eの磁場に位置的な乱れが発生するのを容易に、かつ効率良く抑えることができるという効果も奏する。
また、上記実施形態では、本発明を、冷媒としての液体ヘリウム11を収容する液体ヘリウム槽2内に超伝導コイル1を浸漬する湿式の超伝導マグネット装置に適用する例について示したが、これに限らず、熱シールド槽の内側に冷熱源としてのコイル冷却ステージを備え、そのステージ上に超伝導コイルを固定する無冷媒式(乾式)の超伝導マグネット装置にも本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、磁気ダンパコイル7を、内側コイル層71および外側コイル層72の2層からなる構成としたが、これに限らず、単層あるいは3層以上の複層構造の磁気ダンパコイル7であってもよい。
また、上記実施形態では、磁気ダンパコイル7を熱シールド槽3の内側円筒部3aの外周面3bに取付ける例について示したが、これに限らず、磁気ダンパコイル7を内側円筒部3aの内周面に取付けてもよい。
また、上記実施形態では、本発明を縦置きの超伝導マグネット装置に適用したが、これに限らず、超伝導コイルのコイル軸方向が、例えば水平方向とほぼ一致するように鉛直方向と角度を成した、いわゆる、横置き型の超伝導マグネット装置にも適用可能である。
本発明の一実施形態による超伝導マグネット装置の全体構成を示した正面断面図である。 図1に示した超伝導マグネット装置における磁気ダンパコイルの熱シールド槽への取付け状態を示した正面図である。 図2のIII−III線に沿った断面図である。 図1に示した超伝導マグネット装置の電気的構成を示したブロック図である。 本発明の一実施形態による超伝導マグネット装置の試料空間の磁場の時間変動を示したグラフである。 従来の超伝導マグネット装置の試料空間の磁場の時間変動を示したグラフである。 変形例による磁気ダンパコイルの配置位置を示した正面断面図である。 変形例による磁気ダンパコイルの配置位置と磁場の空間変動率との関係を示したグラフである。
符号の説明
1 超伝導コイル
2 液体ヘリウム槽(超伝導コイル槽)
2b 首管
3 熱シールド槽(熱シールド部材)
3a 内側円筒部
3b 外周面
4 液体窒素槽
7、107 磁気ダンパコイル(磁気ダンパ)
8 ヒータ
9 温度センサ
10 制御装置
11 液体ヘリウム
12 液体窒素
71 内側コイル層(コイル層)
72 外側コイル層(コイル層)
73 半田接合部(接合部)
E 試料空間(特定領域)

Claims (14)

  1. 特定領域に磁場を形成するための超伝導マグネット装置であって、
    前記特定領域を囲むように配置され、超伝導状態で通電されることにより前記特定領域に磁場を形成する超伝導コイルと、
    前記特定領域を囲む中空状をなし、前記超伝導コイルを収容し、かつ、この超伝導コイルを液体ヘリウムにより超伝導温度まで冷却するための超伝導コイル槽と、
    前記超伝導コイル槽をその径方向の内側及び外側の双方から囲むように配置され、冷却後の温度が前記超伝導コイルの運転温度よりも高くなるように前記超伝導コイル槽と熱伝導可能に接続される熱シールド部材と、
    超伝導材料により形成され、その超伝導状態で前記超伝導コイルにより前記特定領域に形成される磁場の変動を抑えることが可能な位置に配設される磁気ダンパと、を備え、
    前記磁気ダンパは、前記熱シールド部材の運転温度にて超伝導状態となる超伝導材料からなる線材が前記超伝導コイルと前記特定領域との間で当該特定領域を取り巻くようにソレノイドコイル状に巻回された磁気ダンパコイルを含み、
    前記磁気ダンパコイルは、前記線材の始端部分と終端部分とが電気的に接続されることにより電流の循環回路を構成し、且つ、前記熱シールド部材と熱伝導可能となるように当該熱シールド部材に取付けられることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  2. 請求項1記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパは、前記熱シールド部材のうち前記特定領域と前記超伝導コイルとの間に介在する部位に取付けられることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  3. 請求項2記載の超伝導マグネット装置において、
    前記熱シールド部材は、前記特定領域と前記超伝導コイルとの間に介在する内側円筒部を有し、前記磁気ダンパは、当該内側円筒部に取付けられることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  4. 請求項3記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパは、前記内側円筒部の外周面上に取付けられることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパを当該磁気ダンパの超伝導状態が解消される温度まで加温するためのヒータを備えることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  6. 請求項5記載の超伝導マグネット装置において、
    前記ヒータが前記熱シールド部材に取付けられることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  7. 請求項5または6記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパの温度を検出するための温度センサと、
    前記温度センサによる検出温度を一定に保つ方向に前記ヒータの熱量を調節する制御装置と、を備えることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパコイルは、前記超伝導コイルの軸方向の中心位置を挟んで当該軸方向に対称となるように配置されることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパは、複数の前記磁気ダンパコイルにより構成され、これらの磁気ダンパコイルが前記超伝導コイルの軸方向の中心位置を挟んで当該軸方向に対称となるように当該軸方向に互いに離間して配列されることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  10. 請求項記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパは、同一構成の一対の磁気ダンパコイルであり、
    これらの磁気ダンパコイルは、前記超伝導コイルの軸方向の中心位置から互いに等しい間隔をおいて相互反対位置に各々配されることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  11. 請求項〜10のいずれかに記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパコイルは、前記超伝導材料からなる線材が、径方向に並ぶ2つのコイル層を構成するように軸方向で折返しつつ巻回された磁気ダンパコイルであり、
    前記線材の長さ方向の端部同士が接合部によって電気的に接続された状態で接合されていることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の超伝導マグネット装置において、
    前記超伝導コイル槽を収容する形状を有し、かつ、この超伝導コイル槽の径方向外側の領域で液体窒素を収容する液体窒素槽を備えるとともに、
    前記熱シールド部材は、前記液体窒素槽と前記超伝導コイル槽との双方に熱伝導可能に接続されることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  13. 請求項12記載の超伝導マグネット装置において、
    前記超伝導コイル槽が、液体ヘリウムの蒸発通路となる首管を備え、
    熱シールド部材と液体窒素槽とが前記首管に熱伝導可能に接続されていることを特徴とする超伝導マグネット装置。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の超伝導マグネット装置において、
    前記磁気ダンパを構成する材料は、酸化物超伝導材であることを特徴とする超伝導マグネット装置。
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