以下、本発明に係る画像形成装置および光プリントヘッドについて、添付図面を参照しつつ具体的に説明する。
まず、本発明の光出射ヘッドを備えて構成される、本発明の画像形成装置の一例について、図を参照して概略の構成および機能を説明しておく。図1に示した画像形成装置Mは、電子写真感光体1、帯電装置2、光出射ヘッド3、現像装置4、転写装置5、定着装置6、クリーニング装置7、および除電装置8を備えたものである。
電子写真感光体1は、画像信号に基づいた静電潜像およびトナー像が形成されるものであり、図1の矢印A方向に回転可能とされている。図2にも示しているように、電子写真感光体1は、円筒状基体10の外周面に、感光層11を形成したものである。
円筒状基体10は、少なくとも表面に導電性を有するものであり、たとえばアルミニウムなどにより形成されている。
感光層11は、アモルファスシリコンなどの無機半導体や有機半導体から成る光導電層を被着させた構造を有しており、光導電層に光出射ヘッド3からの光が照射されると、光導電層の比抵抗を急激に低下させて、光導電層に所定の潜像を形成するものである。感光層11はまた、円筒状基体10からのキャリアの注入を阻止するためのキャリア注入阻止層や電子写真感光体1の表面を保護するための表面層を備えたものであってもよい。
帯電装置2は、電子写真感光体1の表面を、光導電層の種類に応じて、正極性または負極性に一様に帯電させるためのものである。電子写真感光体1の帯電電位は、通常、200〜1000Vとされる。
光出射ヘッド3は、電子写真感光体1の表面に静電潜像を形成するために、画像信号に応じて電子写真感光体1(感光層11)の表面に光を照射するものである。図2は、画像形成装置Mの光出射ヘッド3の近傍部分を拡大して示す、概略断面図である。この光出射ヘッド3は、電子写真感光体1に対して、所定の距離だけ離間するようにして略平行に配置されている。光出射ヘッド3では、コネクタ98と、画像形成装置Mの制御手段9に接続された装置側コネクタ91とが接続されている。光出射ヘッド3は、画像形成装置Mの制御手段9から送信される画像信号を、コネクタ98から受け取り、この画像信号に応じて光を出射する。本発明の光出射ヘッドの一実施形態である光出射ヘッド3の構成については、後に詳述する。
制御手段9は、画像形成装置M全体の動作を制御する部位であり、例えば図示しないCPUやメモリ等を有するコンピュータで構成されている。制御手段9は、装置Mの外部から入力された画像信号を、光出射ヘッド3の駆動用信号に変換し、コネクタ91を介して光出射ヘッド3に出力する。なお、本明細書において、外部から入力される画像信号と、光出射ヘッド3の駆動用信号とは、特に区別して記載しない(いずれも画像信号として記載している)。制御手段9は、また、装置Mのその他の各部(電子写真感光体1、帯電装置2、現像装置4、転写装置5、定着装置6、クリーニング装置7、および除電装置8等)とも接続されており、画像形成処理における各部の動作を制御する。制御手段9は、図示しない、例えばマウスやキーボード等からなる操作情報受付手段や、CD−ROMドライブやモデム等の画像信号受付手段等を有している。制御手段9は、外部から受け付けた操作指示および画像信号に応じて各部の動作を制御して、受け付けた画像信号に応じた画像を形成させる。
図1に示した現像装置4は、電子写真感光体1の静電潜像を現像してトナー像を形成するためのものである。この現像装置4は、現像剤を保持しているとともに、現像スリーブ40を備えている。
現像剤は、電子写真感光体1の表面に形成されるトナー像を構成するためのものであり、現像装置4において摩擦帯電させられる。現像剤としては、磁性キャリアと絶縁性トナーとから成る二成分系現像剤、あるいは磁性トナーから成る一成分系現像剤を使用することができる。
現像スリーブ40は、電子写真感光体2と現像スリーブ40との間の現像領域に現像剤を搬送する役割を果すものである。
現像装置4においては、現像スリーブ40により摩擦帯電したトナーが一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で搬送され、電子写真感光1と現像スリーブ40との間の現像域において、このトナーによって静電潜像が現像されてトナー像が形成される。トナー像の帯電極性は、正規現像により画像形成が行われる場合には、電子写真感光体1の表面の帯電極性と逆極性とされ、反転現像により画像形成が行われる場合には、電子写真感光体1の表面の帯電極性と同極性とされる。
転写装置5は、電子写真感光体1と転写装置5との間の転写領域に給紙された記録紙Pにトナー像を転写するためのものであり、転写用チャージャ50および分離用チャージヤ51を備えている。この転写装置5では、転写用チャージャ50において記録紙Pの背面(非記録面)がトナー像とは逆極性に帯電され、この帯電電荷とトナー像との静電引力によって、記録紙P上にトナー像が転写される。転写装置5ではさらに、トナー像の転写と同時的に、分離用チャージャ51において記録紙Pの背面が交流帯電させられ、記録紙Pが電子写真感光体1の表面から速やかに分離させられる。
なお、転写装置5としては、電子写真感光体1の回転に従動し、かつ電子写真感光体1とは微小間隙(通常、0.5mm以下)を介して配置された転写ローラを用いることも可能である。この場合の転写ローラは、たとえば直流電源により、電子写真感光体2上のトナー像を記録紙P上に引きつけるような転写電圧を印加するように構成される。このような転写ローラを用いる場合には、分離用チャージャ51のような転写材分離装置は省略することもできる。
定着装置6は、記録紙Pに転写されたトナー像を定着させるためのものであり、一対の定着ローラ60,61を備えている。この定着装置6では、一対のローラ60,61の間に記録紙Pを通過させることにより、熱、圧力などによって記録紙Pに対してトナー像が定着させられる。画像形成装置Mでは、このようにして、記録紙Pに画像が記録される。
クリーニング装置7は、電子写真感光体1の表面に残存するトナーを除去するためのものであり、クリーニングブレード70を備えている。このクリーニング装置7では、クリーニングブレード70によって、電子写真感光体1の表面に残存するトナーが掻き取られて回収される。クリーニング装置7において回収されたトナーは、現像装置4内にリサイクルするようにしてもよい。
除電装置8は、電子写真感光体1の表面電荷を除去するためのものである。この除電装置8は、たとえば光出射により、電子写真感光体2の表面電荷を除去するように構成されている。クリーニング装置7および除電装置8の動作によって、電子写真感光体1の表面の状態は、初期状態(すなわち、トナーが付着しておらず、かつ帯電していない状態)にリセットされ、帯電装置2から定着装置6における画像形成に再び送られる。画像形成装置Mでは、このようにして、連続して供給される記録媒体Pに、画像を形成・記録する。
以下、本発明の光プリントヘッドの一例であるLEDヘッド3について、より詳細に説明する。図3は、LEDヘッド3の構成について説明する概略斜視図であり、LEDヘッド3の構成部材をそれぞれ分離して示している。図4は、LEDヘッド3の一部を拡大して示す概略斜視図であり、図3の下側から見た状態の図である。LEDヘッド3は、ケース30、基体31、ロッドレンズアレイ32、および支持体80を有して構成されている。
基体31は、図示しない導電性配線が所定のパターンで形成された絶縁性基板33の表側基板面33A(一方の主面)に、複数の発光素子アレイチップ34およびドライバーIC35が列状に実装されている(図3参照)。また、絶縁性基板33の裏側基板面33B(他方の主面)には、制御用電極92A、入力用電極92B、後述する補正情報(光量補正データ)等を記憶することができるメモリ94、容量素子であるコンデンサ96、コネクタ98が配置されている(図4参照)。
LEDヘッド3では、発光素子アレイチップ34と表側電極パッド33Eとが、絶縁性基板33における第1の部分領域Xに配置されている。第1の部分領域Xとは、絶縁性基板33の表側面33Aに垂直な平面P(図7、図8参照)によって区分される、基板31の一部分である。また、コネクタ98、コンデンサ96、メモリ94、制御用電極92A、および入力用電極92Bは、絶縁性基板33の、第1の部分領域Xを除いた第2の部分領域Yに対応する領域に設けられている。さらにいれば、裏側基板面33Bに設けられたこれらの構造物は、第2部分領域Yのうち、絶縁性基板33の中央部近傍にある中央領域Y1(図7、図8参照)に設けられている。また、表側基板面33AのドライバIC35は、第2の部分領域Yにおける、中央領域Y1を除いたドライバ配置領域Y2(図7、図8参照)に設けられている。各配置領域については、後に詳述する。
図3は、基体31に配置された各部材の接続状態を示す概略構成図である。絶縁性基板33は、ガラスエポキシ樹脂、ガラス、あるいはセラミックスなどの電気絶縁性材料からなる、一般的な回路配線用基板である。絶縁性基板33には、基板を厚さ方向に貫通して表側基板面33Aと裏側基板面33Bとを接続する、図示しない貫通配線が設けられている。絶縁性基板33では、この貫通配線を介して表側面33A表面に形成された電極パッド(図3、図7等に示す表側電極パッド33Eなど)や、裏側基板面33Bの表面に形成された電極パッド(図8に示す裏側電極パッド33Fなど)が、電気的に接続されている。絶縁性基板33に設置された各部は、後述するように、ハンダやダイボンディングペースト等を介して、絶縁性基板33の表面に形成された各電極パッドと接続されており、図示しない導電性配線を介して各部は電気的に接続している。なお、本発明の基板の材料は、特に限定されない。
発光素子アレイチップ34は、図3に示すように、複数の発光素子37が、たとえば600dpi(dot per inch)の密度で列状に配置されたチップである。発光素子アレイチップ34は、公知のボンディングペーストによって、絶縁性基板33の表側基板面33Aに接合されている。複数の発光素子アレイチップ34は、絶縁性基板33の長手方向(主走査方向)に沿って並んだ状態で、表側基板面33Aに配置されている。発光素子アレイチップ34には、複数の発光素子37それぞれに電流を印加するための、複数の素子側電極パッド37E(図3では、複数の発光素子37のうちの一部のみを示している)を備えている。
LEDヘッド3では、この素子側電極パッド37Eと、絶縁性基板33に設けられた表側電極パッド33Eとが、例えば金(Au)からなるワイヤ43(図3では、複数の発光素子37のうちの一部のみを示している)によって電気的に接続(結線)されている。このワイヤ43は、例えばサーモ・ソニック・ボールボンディング方式を用いたワイヤボンディングによって、素子側電極パッド37Eおよび表側電極パッド33Eと、十分強固に結合されている。なお、本明細書および図面では、説明の簡略化のため、1つの発光素子37に対し、1つの素子側電極パッド37Eおよび1つの表側電極パッド33Eが設けられている如く記載しているが、電極パッドやワイヤの個数に関して特に制限はない。例えば、1つの発光素子37が、グランド用電極パッドと電圧印加用電極パッドと、の2つの電極パッドを備えていても構わず、1つの発光素子37において、それぞれに対応して2つのワイヤが結線されていてもよい。本発明によれば、各発光素子37の電極パッドと基板側電極パッドとを接合するワイヤとを、いずれも最適な条件でワイヤボンディングすることができる。このため、本発明の光プリントヘッドでは、複数の発光素子37のいずれにおいても、断線や発光素子37の欠陥に起因する発光不良が発生することを抑制することができる。この点については、後に詳述する。
発光素子37は、たとえばGaAlAs系やGaAsP系のLEDなどからなり、p型半導体とn型半導体とをpn接合した構成とされている。各発光素子37は、外部から素子側電極パッド37Eに電源電力が印加されると、p型半導体の内部に電子が、n型半導体の内部に正孔がそれぞれ注入され、これらのキャリアをpn接合付近で再結合させ、この結合の際に生じたエネルギーを光に変換することによって所定の輝度で発光するものである。すなわち、各発光素子37は、外部より電流が供給されることにより、電流の供給時間に対応した所定の時間だけ発光する。なお、本発明において発光素子37は、LED素子であることに特に限定されない。
ドライバーIC35は、コネクタ98を介して制御手段9から入力される画像信号に応じて、各発光素子37の点灯状態を個別に制御する。ドライバーIC35も、ボンディングペーストによって絶縁性基板33の表側基板面33Aに設置されている。ドライバーIC35も、発光素子37と同様、ドライバーIC35の図示しない電極パッドと表側基板面33Aに設けられた図示しない電極パッドとが、図示しないワイヤボンディングによって結線されている。また、コネクタ98は、絶縁性基板33の裏側基板面33Bに設けられた裏側電極パッドと、ハンダ付けによって接合されている。コネクタ98とドライバーIC35は、図示しない導電性パターンおよび貫通配線を介して、電気的に接続している。ドライバーIC35は、メモリやコネクタなどの構造物に比べて小さく、発光素子と同じ側の主面に設置したとしても、基板の面積を特に大きくすることがない。本発明において、ドライバーIC35は、発光素子と反対の側の主面に設置されていても構わない。
ドライバーIC35は、また、絶縁性基板33に形成された図示しない導電性配線を介して、発光素子アレイチップ34に電気的に接続されている。このドライバーIC35は、複数の定電流電源を備え、コネクタ98を介して入力される画像信号(駆動信号)に応じて、定電流電源から各発光素子37へ供給する電流の通電時間を制御する。すなわち、ドライバーIC35では、画像形成装置Mの制御手段9から入力される画像信号に応じて、各発光素子37の発光時間をそれぞれ制御することで、感光層11に画像信号に応じた静電潜像を形成する。
画像形成の際に、ドライバーIC35の光量補正部では、後述する補正情報に基づいて、各発光素子37に供給する電流の大きさを各々調整する。メモリ94には、各発光素子37それぞれに対応した補正情報が予め記憶されており、ドライバーIC35の光量補正部では、この補正情報に基づいて、各発光素子37に供給する電流の大きさを各々調整する。メモリ94は、LEDヘッド3の製造において主に機能する入力用電極92Bと、図示しない導電性パターンを介して電気的に接続されている。具体的には、入力用電極92Bには、LEDヘッド3の製造における、後述の補正情報を記憶する工程において、メモリ94に記憶させるための補正情報が入力される。この補正情報を記憶する工程については、後に詳述する。メモリ94も、コネクタ98と同様、裏側基板面33Bに設けられた電極パッド(図7に示す裏側電極パッド33F)と、ハンダづけによって固定されている。
制御用電極92Aは、図示しない導電性パターンや貫通配線を介してドライバーIC35と接続されており、LEDヘッド3の製造において主に用いられる。制御用電極92Aには、LEDヘッド3の製造における後述する発光検査工程において、ドライバーIC35を駆動させるための検査信号が外部から入力される。制御用電極92Aおよび入力用電極92Bは、いずれも本発明の検査用電極に対応する。LEDヘッド3では、制御用電極92A、入力用電極92B、メモリ94、コンデンサ96、およびコネクタ98等を、発光素子アレイチップ34やドライバーIC35が実装された表側面33Aには設けず、表側面33Aと反対の側の裏側基板面33Bに設けている。これにより、基体31の基板面積を十分小さく抑制し、LEDヘッド3のコンパクト化を実現している。
支持体80は、本発明の支持体に対応する部位である。支持体80は、主走査方向に延びた板状の基板搭載部82と、基板搭載部82の長手方向の両側部に設けられた一対の脚部84と、を備えた断面コの字状の部材である。支持体80は、例えばアルミ等の金属など、絶縁性基板33に比べて硬い部材からなり、さらに脚部84を有し断面がコの字状であるので、十分な曲げ強度を有している。さらに、脚部84は下端部で折り返されて、金属平板が折り重なった多層構造となっており(図2参照)、曲げ強度をより十分なものとしている。支持体80は本発明の基体に対応する。本発明の基体の材料は、アルミなどの金属に特に限定されない。また、本発明の基体は、基板と接合する板状部を備えていればよく、断面形状などについても、特に限定されない。
絶縁性基板33の裏側基板面33Bは、例えば粘着テープや接着材などによって、支持体80の基板搭載部82の表面に接合されている。支持体80の板状の基板搭載部82には、貫通孔86が形成されている。図4に示すように、絶縁性基板33の裏側基板面33Bに設置された各種構造物(制御用電極92A、入力用電極92B、メモリ94、コンデンサ96、およびコネクタ98)は、それぞれ基板搭載部82の貫通孔86に対応する位置に配置されている。絶縁性基板33の裏側基板面33Bの、上記第1部分領域Xに対応する部分全体は、基板搭載部82の表面に一様に当接された状態で、絶縁性基板33と支持体80とが接合されている。これにより、第1部分領域Xに対応する範囲において、絶縁性基板33の捩れや撓みが抑えられる。
制御用電極92A、入力用電極92B、メモリ94、コンデンサ96、およびコネクタ98は、貫通孔86を通じて開放されている。ここで、構造物が開放されているとは、対象構造部の表面が閉塞されておらず、対象構造物の表面に、貫通孔を通じて外部から任意の部材を当接させることが出来る状態をいう。
なお、絶縁性基板33の裏側基板面33Bに配置された構造物のうち、メモリ94、コンデンサ96、およびコネクタ98は、支持体80の基板搭載部82の裏側表面から突出している。メモリ94やコンデンサ96やコネクタ98は、比較的大きな構造物である。仮に、基板搭載部82に貫通孔86が設けられていない場合、メモリ94やコンデンサ96およびコネクタ98は、絶縁性基板33の表側面33Aに設ける必要があり、この場合、絶縁性基板ひいては光プリントヘッドを比較的大きくする必要があった。本実施形態のLEDヘッド3では、支持体80の基板搭載部82に貫通孔86が設けられており、裏側基板面33Bに設置された構造物を、この貫通孔86の位置に配置することで、裏側基板面33Bにも構造物が設置されたコンパクトな基板であっても、十分な曲げ強度を有する支持体80に接合することを可能としている。
また、画像形成装置Mにおいて、筋ムラ等のない高精度な画像(画像を構成する各画素位置の精度が高い画像)を記録するには、LEDヘッド3における発光素アレイチップ34の配置位置の精度は、なるべく高くしておく必要がある。複数の発光素子アレイチップ34の配置位置の精度を高くするためには、複数の発光素子アレイチップ34を、一枚の基板に設けられた共通のターゲットを基準に、この一枚の基板に対して順次実装していくことが好ましい。このため、本実施形態のLEDヘッド3は、一方向(主走査方向)に沿って延びた長矩形状の絶縁性基板33の表面に、複数の発光素子アレイチップ34を、主走査方向に一列に並べて配置している。ガラスエポキシ樹脂、ガラス、あるいはセラミックスなどからなる絶縁性基板33は比較的軟らかく、さらに一方向に長い長尺形状であるので、絶縁性基板33だけでは、特に長尺方向の中央部分において、歪みや捩れ等が発生し易い。本実施形態のLEDヘッド3では、絶縁性基板33を比較的コンパクトにしつつ、絶縁性基板33を支持体80に固定し、絶縁性基板33の撓みや捩れを抑制している。
ケース30は、ロッドレンズアレイ32を保持するためのものであり、たとえば黒色樹脂を用いた樹脂成型により形成されている。ケース30は、基体31が接合されている支持体80の基板搭載部82と接合して固定されている。すなわち、ケース30も、比較的硬い材料からなり曲げ剛性が比較的高い支持体80に対して固定されており、ケース30によって保持するロッドレンズアレイ32と発光素子アレイ34との相対位置は、殆ど変動することはない。
ロッドレンズアレイ32は、ホルダ32Bに複数のロッドレンズ32Aが配置されて構成されている。複数のロッドレンズ32Aは、絶縁性基板の長手方向(主走査方向)に千鳥状に並ぶように配置されており、直径が、例えば0.3mm以上1.1mm以下、長さが4mm以上17mm以下の円柱状とされている。発光素子アレイチップ34の各発光素子37から発せられた光は、ロッドレンズアレイ32によって整形されて、外部の電子写真感光体1に照射・結像される。LEDヘッド3は、以上のように構成されている。なお、本発明は、複数のロッドレンズが千鳥状に配列されたロッドレンズアレイを使用した光プリントヘッドに限らず、複数のロッドレンズが一列に配列されたロッドレンズアレイを使用した光プリントヘッド、あるいはロッドレンズに変えて、凸レンズを使用した光プリントヘッドにも適用することができる。本発明において、レンズ等の光学系の位置を固定する手段は、特に限定されない。本発明においては、発光素子37からの光を整形する光学系についても、レンズであることに特に限定されない。
上述のように、LEDヘッド3は十分にコンパクトであり、かつ、絶縁性基板33に歪みや撓みが生じて発光素子37の位置や角度が変動することも、殆どない。また、各発光素子37とロッドレンズ32Aとの相対位置も、ほとんど変動することがない。本発明の光プリントヘッドを備えて構成される、本発明の画像形成装置の一例である画像形成装置Mは、比較的簡略かつコンパクトな構成で、十分に高精度な画像を形成することができる。
以下、本発明の光プリントヘッドの製造方法について説明する。図6は、本発明の光プリントヘッドの製造方法の一例を示すフローチャートである。図7(a)〜(e)は、図6に示すフローチャートに示す工程のうち、一部の工程について説明する図であり、絶縁性基板33の表面上側から見た概略平面図である。また、図8(a)〜(e)は、図7(a)〜(e)に示すD−D´線で切断した断面図である。図7(a)〜(e)および図8(a)〜(e)に示す各図は、図6に示すステップS102〜S108にそれぞれ対応している。
まず、図7(a)および図8(a)に示すように、上述した、図示しない導電性パターンおよび貫通配線、表側電極パッド33Eおよび裏側電極パッド33Fを含む各種電極パッド、および各電極(制御用電極92A、入力用電極92B)等が形成された絶縁性基板33を準備する(ステップS102)。ここで、少なくとも表側電極パッド33Eは、表側基板面に垂直な平面Pによって区分される、絶縁性基板33の第1部分領域Xに対応する部分に配置されている。本実施形態では、絶縁性基板33における主走査方向に直交する方向(図7における縦方向)の長さの中心を通り、長尺方向に延びた中線Cが、第1部分領域Xを除いた第2部分領域Yに含まれている。
次に、図7(b)および図8(b)に示すように、この絶縁性基板33の裏側基板面33Bに、メモリ94、コンデンサ96、およびコネクタ98等を設置する(ステップS104)。これらのメモリ94、コンデンサ96、およびコネクタ98は、絶縁性基板33の裏側基板面33Bの、第2部分領域Yに対応する部分に配置される。この第2部分領域Yは、表側電極パッド33Eが配置された第1部分領域Xの範囲外の領域である。すなわち、絶縁性基板33の表側基板面33Aに設けられた表側電極パッド33Eと、メモリ94やコンデンサ96やコネクタ98とは、それぞれ異なる部分領域に配置される。いうなれば、表側電極パッド33Eの裏側には、コネクタ98やコンデンサ96およびメモリ94などの、比較的大きな構造物は配置されていない。また、さらにいえば、メモリ94、コンデンサ96、およびコネクタ98等の構造物は、第2の部分領域Yにおける中央領域Y1内に配置する。
ステップS104では、メモリ94やコンデンサ96およびコネクタ98のそれぞれの端子を、裏側基板面33Bの導電性パッドにハンダ付けして固定する。各部を代表し、メモリ94について説明すると、ステップS104では、図8(b)に示すように、裏側電極パッド33Fに、メモリ94の端子をハンダ付けによって接合する。例えば、裏側基板面33Bに予め印刷されたハンダパターンにメモリ94の端子を接触させて、メモリ94を配置する。配置後、リフロー温度220〜250℃程度に加熱してハンダを溶融させた後に固化させて、固化したハンダ39によって、メモリ94の端子と裏側電極パッド33Fとを接合する。
次に、図7(c)および図8(c)に示すように、裏側基板面33Bにメモリ94等が設置された絶縁性基板33と、支持体80とを接合する(ステップS105)。絶縁性基板33の裏側基板面33Bには、各電極(制御用電極92A、入力用電極92B)、メモリ94、コンデンサ96、およびコネクタ98が設けられており、上述のように、裏側基板面33Bの各構造物を基板搭載部82の貫通孔86内に配置して接合する。本実施形態のLEDヘッド3では、絶縁性基板33の裏側基板面33Bと、支持体80の基板搭載部82とが、両面粘着テープによって接着されている。なお、絶縁性基板33と基板搭載部82との接合形態に、特に限定はなく、例えば接着材を用いてもよいし、機械的に固定してもよい。
絶縁性基板33の第1部分領域Xには、裏側基板面33Bに、制御用電極92Aおよび入力用電極92Bやメモリ94やコンデンサ96やコネクタ98など、比較的大きな構造物が設けられていない。このため、裏側基板面33Bの第1部分領域Xは、全体が基板搭載部82と当接して、第1部分領域Xと基板搭載部82とが接合される。このため、基板搭載部82の第1部分領域Xでは、捩れや撓みなどが特に発生し難い。
また、LEDヘッド3では、裏側基板面33Bの各構造物を基板搭載部82の貫通孔86内に配置して接合するので、裏側基板面33Bと基板搭載部82の表面とが、比較的広い接触面積で接合される。これにより、絶縁性基板33と支持体80との接合強度を十分に確保し、絶縁性基板33の捩れや防止を抑制する。また、本実施形態では、表側基板面33Aに発光素子37等を設置するに先がけて、比較的早い段階で絶縁性基板33と支持体80とを接合するので、特に中央部分で捩れや撓みが比較的生じやすい絶縁性基板33のみで取り扱う場合と比べて、取り扱い(いわゆるハンドリング)が容易であるといった効果がある。同様に、製造時のハンドリングにおいて基板に歪みや捩れが発生することを
、効果的に抑制することができるといった効果も奏する。
次に、図7(d)および図8(d)に示すように、絶縁性基板33の表側基板面33Aに、複数の発光素子アレイチップ34を実装する(ステップS106)。このステップS106では、発光素子アレイチップ34を、絶縁性基板33の表側基板面33Aの、第1部分領域Xに対応する部分に配置する。 発光素子アレイチップ34を実装する際は、発光素子アレイチップ34を、絶縁性基板33の表側基板面33Aに予め形成されている位置合せ用ターゲットを基準に、公知の実装用装置を用いて実装する。発光素子アレイチップ34にも、発光素子37の位置に応じて形成されたキーマークが形成されており、実装装置では、このキーマークと表側基板面33Aのターゲットとが、所定の位置関係となるよう位置調整されて実装する。これにより、一枚の絶縁性基板33の表側基板面33Aに対し、複数の発光素子アレイチップ34が高精度に位置合わせされて配置され、各発光素子37が表側基板面33Aにおける所望の位置に正確に位置合わせされて配置される。
また、発光素子アレイチップ34は、絶縁性基板33の表側基板面33Aに、ボンディングペーストによって実装される。例えば、ボンディングペーストとして、エポキシ樹脂を主成分とする公知のボンディングペーストを用いればよい。一般的に、ペーストの融点は、メモリ94やコネクタ98の設置に用いるハンダの融点よりも低い。本実施形態では、絶縁性基板33の表側基板面33Aおよび裏側基板面33Bのそれぞれに構造物を配置し、絶縁性基板33をコンパクトにしているので、ハンダ付け等の工程において絶縁性基板33の温度が比較的高くなり易い。特に、ハンダ付けを行う、メモリ94やコネクタ98に近い部分では、ハンダの融点に近い温度まで温度が上昇する可能性がある。仮に、発光素子アレイチップ34がペーストによって接合された状態で、絶縁性基板をハンダ融点に近い温度まで上昇すると、ペーストが溶融して発光素子アレイチップ34の位置ずれが生じる可能性もある。本実施形態では、ペーストを用いた発光素子アレイチップ34の実装に先がけて、表側基板面33Aにメモリ94やコネクタ98等をハンダ付けしている。これにより、発光素子アレイチップ34の実装のために表側基板面33Aに設けられた発光素子アレイチップ34のペーストが、再度熱せられることはなく、発光素子アレイチップ34の位置ずれ等が起こることはない。
本実施形態では、このように、発光素子アレイチップ34を、絶縁性基板33の表側基板面33Aの、第1部分領域Xに対応する部分に配置している。第1部分領域Xには、メモリ94やコンデンサ96やコネクタ98など、比較的大きな構造物が設けられておらず、複数の発光素子アレイチップ34を切断する断面の形状は、長尺方向(主走査方向)に沿って連続して一致している。発光素子アレイチップ34には、複数の発光素子37、および各発光素子37に対応して設けられた素子側電極37Eが設けられている。
発光素子アレイチップ34が、絶縁性基板33の第1部分領域Xに設けられていることで、素子側電極37Eを通り主走査方向と直交する平面で切断した断面は、複数の素子側電極37Eそれぞれで全て同様となっている。具体的には、いずれの素子側電極37Eについても、断面構造は、図8(d)に示すように、素子側電極37Eの直下に発光素子アレイチップ34(発光素子37)が位置し、その下部に、硬化したボンディングペースト41を介して絶縁性基板33が位置し、その下部に、図示しない接着材や粘着テープ等を介して支持体80の基板搭載部82が位置している。
なお、このステップS106では、発光素子アレイチップ34とともに、ドライバーIC35を絶縁性基板33の表側基板面33Aに設置する。ドライバーIC35は、表側基板面33Aの、ドライバ配置領域Y2に対応する部分に設置する。ドライバーIC35は、発光素子アレイチップ34と同様、絶縁性基板33の表側基板面33Aに、ボンディングペーストを用いて実装すればよい。ドライバ配置領域Y2は、上述のように、第2部分領域における中央領域Y1を除いた領域である。
次に、発光素子アレイチップ34に設けられた図示しない電極パッドと、絶縁性基板33に設けられた導電性パッドとを、例えば金(Au)からなるワイヤ43によって結線する(ステップS108)。この際、公知のボンディング装置を用いて、例えば、サーモ・ソニック・ボールボンディング方式によって接続する。
例えばサーモ・ソニック・ボールボンディング方式のように、超音波方式を用いてワイヤボンディングを行う場合、最適なボンディング条件は、素子側電極パッド37Eや発光素子37、および絶縁性基板33における超音波伝搬状態に応じて決定される。超音波方式を用いたボンディングにおいて、ボンディング状態を決定づけるパラメータとしては、超音波時間、超音波力、およびボンディング荷重などが挙げられる。これらのパラメータの各値の最適な組み合わせ(最適ボンディング条件)は、発光素子37および絶縁性基板33における超音波伝搬状態に応じて決定される。仮に、ボンディングを行う部分、すなわち超音波を印加する部分の下部構造が、ボンディングする部分毎に異なっているとすると、超音波の伝搬状態が相違してしまう。例えば、具体的には、ボンディング部分の積層構造の違いに応じて、このボンディング部分における共振周波数等が異なり、場合によっては、電極パッドの破壊やワイヤの破断、発光素子自体の破壊など、重大な欠陥が生じる場合がある。
本実施形態のLEDヘッド3では、発光素子アレイチップ34が絶縁性基板33の第1部分領域Xに設けられているので、上述のように、ボンディングにおいて超音波が直接印加される素子側電極37Eに対応する部分の構造は、複数の素子側電極37Eそれぞれで全て同様となっている。すなわち、本実施形態の光プリントヘッドの製造方法によれば、絶縁性基板33の長尺方向(主走査方向)に沿って並んだ複数の発光素子37全てについて、一定の条件でワイヤボンディングを行っても、全ての発光素子37において同様のボンディング状態が得られる。本発明の光プリントヘッドの製造方法を用いれば、1つの最適なボンディング条件をもって、素子側電極37Eのボンディングを全て最適な状態で行うことができる。ここで最適とは、ワイヤ43の断線や発光素子37の破壊などの欠陥を生じることもなく、十分な信頼性で(すなわち十分に強固に)、素子側電極37Eと表側電極33Eとがワイヤ43によって結線されている状態を指す。
なお、このステップS108では、ドライバーIC35に設けられた図示しない電極パッドと絶縁性基板33に設けられた電極パッドも、同じくワイヤボンディングによって接続する。ドライバーIC35は、上述のように、ドライバー配置領域Y2内に配置されており、ドライバーIC35の裏面には、コネクタ98やメモリ94などの比較的大きな構造体は位置していない。このため、ドライバーIC35に対してワイヤボンディングを行う場合も、全てのワイヤについて、ボンディング時のエラーなく、十分な信頼性で結線することができる。
次に、ステップS108までの各工程を経て製造された第1構造体を用い、発光素子アレイチップ34の各発光素子37それぞれの発光検査を行う(ステップS110)。この発光検査では、各発光素子37自体の不良や、ステップS108のワイヤボンディングの不良などに起因する発光不良を発見することを目的に行う。この発光検査では、基板搭載部82の貫通孔86を通じて開放された制御用電極92Aに、各発光素子37を発光させるための検査用信号を入力して各発光素子37を発光させ、各発光素子の発光強度が所定の強度以上であるか否かを判定する。上述のように、制御用電極92AはドライバーIC35と接続されており、制御用電極92Aから検査用信号を入力することで、所望の発光素子37を発光させることができる。制御用電極92Aは、貫通孔86を通じて開放されており、検査用の電源と接続した検査用端子を、外部から容易に当接させることができる。発光素子37の発光は、例えばフォトダイオードを用いた公知の光量検査装置によって測定すればよい。
本発明の光プリントヘッドでは、支持体に設けられた貫通孔を通じて、検査用端子を制御用電極92Aに容易に当接させることができる。すなわち、画像形成装置と接続して用いる、光プリントヘッドの側のコネクタと、検査装置の側のコネクタとを接合することなく、制御用電極に検査用端子を当接させるだけで発光検査を行うことができる。これにより、発光検査において、光プリントヘッドと検査装置のコネクタとを着脱する手間が必要なく、発光検査を短い時間で実施することが可能となる。
これにより、発光検査において、光プリントヘッドと検査装置のコネクタとを着脱する手間が必要なく、発光検査を短い時間で実施することが可能となる。光プリントヘッドは、一旦画像形成装置に装着してからは、メンテナンスなど特別なときを除いて、画像形成装置に対して着脱する機会は少ない。このため、光プリントヘッドと画像形成装置とを接続するコネクタは、接続信頼性や高周波性能などを特に重視し、着脱の容易性が低い場合が殆どである。本実施形態のコネクタ98も、接続信頼性等は高いが、着脱にはある程度多くの労力を必要とする。発行検査において、光プリントヘッドと検査装置のコネクタとを着脱する手間を削減することは、光照射ヘッドを製造するコストを低下する面で、十分な効果を奏する。
ステップS108の発光検査において、発光不良が生じた(すなわち、所定の発光強度を達成できない)発光素子37の存在が確認された第1構造体については、次の工程には回さず、不良要因の調査を行う。複数の発光素子37全てにおいて、発光が良好な場合(発光不良が認められない場合)、当該第1構造体を次の工程へと進める。
次の工程では、ベースプレート112に対し、ケース30を接合固定する(ステップS112)。例えば、ケース30から突出した図示しないピン形状部と、支持体80の脚部84の図示しないピン係止部とを係合させて、ケース30と第1構造体とを機械的に接合する。なお、ケース30と第1構造体との接合には、接着材や接着テープを用いてもよく、特に限定されない。
次に、ロッドレンズアレイ32を、複数の発光素子37に対して位置合わせして固定する(ステップS114)。この際、まず、発光素子37に対するロッドレンズアレイ32の相対位置を仮固定する。この仮固定した状態で、基板搭載部82の貫通孔86を通じて開放された制御用電極92Aに、各発光素子37を発光させるための信号を入力して各発光素子37を発光させ、ロッドレンズアレイ32によって整形された発光素子37からの光を、フォトダイオード素子などの光量測定手段の受光面に入射させる。この際、光量測定装置の受光面は、画像形成装置MにLEDヘッド3が固定されたときの、感光層11の表面に対応する位置に配置される。すなわち、光量測定装置により、ロッドレンズアレイ32がこの相対位置に固定されている場合に、装置Mにおいて上述の感光層11の表面に照射される光の強度を測定する。ステップS114では、測定した、この光の強度に基づいて、ロッドレンズアレイ32の最適な相対位置を探索し、この最適な相対位置で、ロッドレンズアレイ32をケース30に固定する。
ステップS114では、発光素子37とロッドレンズアレイ32との相対位置を、順次異なる相対位置に設定して、各相対位置毎に発光素子37からの発光を測定することで、ロッドレンズアレイ32の最適な配置位置を探索する。ロッドレンズアレイ32の最適な配置とは、具体的に、画像形成装置MにLEDヘッド3を固定した際、感光層11の表面に照射される各発光素子37からの光のスポット径が、いずれも所定の範囲となる配置である。または、最適な配置とは、感光層11の表面に照射される各発光素子37からの光の強度が、いずれも所定の範囲となる配置であってもよい。ステップ114では、ロッドレンズ32の最適な位置を探索した後、例えば樹脂などの接着材を用いて、この最適な位置で、ロッドレンズアレイ32とケース30とを接合固定する。光量測定手段による光量測定結果に基づいて、発光素子37とロッドレンズアレイ32との相対位置を探索するに当たっての、最適な配置位置の探索アルゴリズムについては、特に限定されない。
次に、ロッドレンズアレイ32が発光素子37に対して固定された第2構造体について、各発光素子37毎の補正情報を生成する(ステップS116)。この補正情報の生成では、具体的には、各発光素子37の発光出力をそれぞれ測定し、この測定結果に基づいて、各発光素子の発光出力を所要の範囲内にて均一化するため補正パラメータを生成する。この補正パラメータは、たとえば図9に示したビーム測定装置22を用いて測定される各発光素子の光量に基づいて作成することができる。
ビーム測定装置22は、LEDヘッド3における各発光素子37からの光を、ロッドレンズアレイ32を介してCCDカメラ24によって観察するように構成されたものである。CCDカメラ24は、駆動系によって発光素子の列に沿って移動可能とされている。この際、CCDカメラ24の受光面は、画像形成装置MにLEDヘッド3が固定されたときの、感光層11の表面に対応する位置に配置される。すなわち、ビーム測定装置22では、上述の感光層11の表面に対応する位置における、LEDヘッド3からの光の照射強度を測定する。CCDカメラ24において撮像された画像は、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置26において画像処理される。情報処理装置26では、例えば、複数の発光素子の強度分布に基づいて、各発光素子の発光出力とこれらの平均値(基準値)との差を埋めるために必要な所定の電力値を求め、この値に対応させた各発光素子37毎の補正パラメータを生成する。この際、上述のステップS110の場合と同様、基板搭載部82の貫通孔86を通じて開放された制御用電極92Aに、各発光素子37を発光させるための検査用信号を入力して各発光素子37を発光させればよい。
なお、本発明では、例えば、種々の測定角における主走査方向におけるビームスポットの径のバラツキと印画濃度のバラツキとの相関性に基づいて、第2の補正パラメータを生成してもよい。例えば、第2の補正パラメータは、発光素子アレイチップ34の各発光素子を、第1の補正パラメータに基づいて略等しい輝度で発光させたときにビームスポットを、CCDカメラ90を移動させつつ撮像した画像を処理することにより作成すればよい。ビームスポットの径のバラツキと印画濃度のバラツキとの相関性に基づいて生成する、第2の補正パラメータの一例として、本願出願人による出願である特許願2007−14445号明細書に記載の第2の補正パラーメが挙げられる。
次に、補正情報を、絶縁性基板33に設けられたメモリ94に入力して、メモリ94に記憶(保持)させる(ステップS118)。この補正用パラメータは、基板搭載部82の貫通孔86を通じて開放された入力用電極92Bに、データ入力用端子を当接し、この入力用電極92Bからメモリ94に入力すればよい。本実施形態では、補正情報がメモリ94に記憶されて、LEDヘッド3が完成される。
本実施形態のLEDヘッド3は、各発光素子37に対してロッドレンズ32Aが固定された状態で、基体80に設けられた貫通孔を通じて開放された制御用電極およびデータ入力用電極を用いて、補正情報の生成および入力まで行うことができる。このため、本実施形態のLEDヘッド3では、実際に画像形成装置に配置して感光層に照射される光の状態に基づいた、精度の高い補正情報を生成することができる。また、本実施形態の光プリンタでは、コネクタの着脱に係る余分な手間が必要なく、補正情報の生成および記憶を、短い時間で実施することが可能となる。
また、本実施形態のLEDヘッド3は、メモリ94に、自身の発光状態を好適に調整するための補正パラメータを記憶することができる。この補正パラメータがメモリ94に記憶されていることで、LEDヘッド3のユーザは、画像形成装置に光プリントヘッドを設置する(コネクタを接続する)だけで、余分な調整処理を行うことなく高精度な画像形成が可能となる。本実施形態のLEDヘッド3は、このメモリ94を、発光素子アレイチップ34が配置されている表側基板面33Aとは反対側の、裏側基板面33Bに設置している。これにより、自身の発光状態を好適に調整するための補正パラメータを記憶したLEDヘッド3を、比較的コンパクトに実現している。
また、上述のように、本実施形態の光プリントヘッドの製造方法では、各発光素子のボンディング状態を一様化して、複数の発光素子全てで最適なボンディング状態を得ることができる。これにより、本実施形態の光プリントヘッドの製造方法によれば、一つのワイヤボンディング条件で、同一基板上に設けられている複数の発光素子の全てについて最適なボンディング状態を実現できる。具体的には、一つのワイヤボンディング条件で、同一基板上に設けられている複数の発光素子の全てについて、ワイヤの断線や発光素子の破壊等の不良の発生を抑制することができる。本発明の光プリントヘッドでは、複数の発光素子のいずれにおいても、断線や発光素子の欠陥に起因する発光不良が発生することがない。また、本発明の画像形成装置では、断線や発光素子の欠陥に起因する画像欠陥を生じることがない。本発明の光プリントヘッドおよび画像形成装置は、十分に低い価格で十分に高い信頼性を有する。
本発明は、電子写真方式を採用した画像形成装置に限らず、たとえば感光紙などの感光性媒体に光を照射して感光性媒体に画像形成する画像形成装置に対しても適用することができる。
以上、本発明の光プリントヘッド、光プリントヘッドの製造方法、および画像形成装置について説明したが、本発明の光プリントヘッド、光プリントヘッドの製造方法、および画像形成装置は上記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。