JP5170307B2 - 車室材構造 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、車室材構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ホットメルトフィルムによって非通気性が確保された天井材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】
特開平10−16660号公報
【特許文献2】
特開2002−67789号公報
【特許文献3】
特開2003−306131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、天井材のピラーガーニッシュへの接続部は、天井材で最も低い位置に設定されている。このため、ルーフパネルの車室内側の面に結露が生じ、この結露による水が天井材の上に落下した場合、この水は、天井材上をピラーガーニッシュに向かって流れる。
【0005】
ところが、天井材のピラーガーニッシュへの接続部において、表皮材のピラーガーニッシュ側の端末が表出されていた場合には、この表皮材の端末に到達した水が例えば毛細管現象等により表皮材に吸い上げられ、この吸い上げられた水が表皮材の車室内側に染み出す虞がある。この場合には、天井材の見栄えが悪化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、天井材の見栄えが悪化することを抑制することができる車室材構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
[0007]
前記課題を解決するために、本発明の第一態様に係る車室材構造は、表皮材と、前記表皮材に対する車室外側に設けられた基材及び通気止めフィルムとを積層状態で有し、前記ルーフパネルを車室内側から覆う天井材と、前記ルーフパネルを下側から支持するピラーの長手方向に沿って設けられて前記ピラーを車室内側から覆うピラーガーニッシュと、前記通気止めフィルムに別体又は一体に設けられると共に、前記ピラーガーニッシュに対する車室外側に位置され、且つ、前記表皮材の前記ピラーガーニッシュ側の端末に対して前記ピラーガーニッシュの下端部側に突出されて前記ピラーガーニッシュと前記ピラーの長手方向にオーバラップする水案内部と、を備えている。また、前記課題を解決するために、本発明の第二態様に係る車室材構造は、表皮材と、前記表皮材に対する車室外側に設けられた基材と、前記基材に対する車室外側に設けられた通気止めフィルムとを積層状態で有し、前記ルーフパネルを車室内側から覆う天井材と、前記ルーフパネルを下側から支持するピラーの長手方向に沿って設けられて前記ピラーを車室内側から覆うピラーガーニッシュと、前記基材と前記表皮材との間に設けられた水案内部材と、を備え、前記水案内部材は、前記ピラーガーニッシュに対する車室外側に位置されると共に、前記表皮材の前記ピラーガーニッシュ側の端末に対して前記ピラーガーニッシュの下端部側に突出されて前記ピラーガーニッシュと前記ピラーの長手方向にオーバラップする水案内部を有している。
[0008]
これらの車室材構造によれば、ルーフパネルの車室内側の面に結露が生じ、この結露による水が天井材の上に落下して、この水が天井材上をピラーガーニッシュに向かって流れてきた場合でも、この水が表皮材のピラーガーニッシュ側の端末へ到達することを水案内部によって抑制することができる。これにより、水が表皮材の車室内側に染み出すことを抑制することができるので、天井材の見栄えが悪化することを抑制することができる。
[0009]
[0010]
[0011]
[0012]
[0013]
[0014]
[0015]
[0016]
発明の効果
[0017]
以上詳述したように、本発明によれば、水が表皮材のピラーガーニッシュ側の端末へ到達することを水案内部によって抑制することができる。これにより、水が表皮材の車室内側に染み出すことを抑制することができるので、天井材の見栄えが悪化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
[0018]
[図1]本発明の第一実施形態に係る車室材構造を車室内側から見た斜視図である。
[図2]図1に示される車室材構造からピラーガーニッシュを取り外した状態を示す図である。
[図3]図1に示される車室材構造を車室外側から見た斜視図である。
[図4]図3の4−4線断面図である。
[図5]図4に示される車室材構造の変形例を示す図である。
[図6]図4に示される車室材構造の変形例を示す図である。
[図7]図4に示される車室材構造の変形例を示す図である。
[図8]図4に示される車室材構造の変形例を示す図である。
[図9]本発明の第二実施形態に係る車室材構造を車室外側から見た斜視図である。
[図10]図9の10−10線断面図である。
[図11]図10に示される車室材構造の変形例を示す図である。
[図12]第一参考例に係る車室材構造を車室外側から見た斜視図である。
[図13]図12の13−13線断面図である。
[図14]第二参考例に係る車室材構造を車室外側から見た斜視図である。
[図15]図14の15−15線断面図である。
[図16]比較例に係る車室材構造の断面図である。
[発明を実施するための形態]
[0019]
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
[0020]
図1,図2に示されるように、本発明の第一実施形態に係る車室材構造10は、天井材12と、ピラーガーニッシュ14と、水案内部材16とを備えている。
[0021]
天井材12は、ルーフパネル18を車室内側から覆っている。フロントピラー20は、ルーフパネル18を下側から支持しており、ピラーガーニッシュ14は、このフロントピラー20の長手方向に沿って設けられ、このフロントピラー20を車室内側から覆っている。
【0022】
図3,図4に示されるように、天井材12におけるピラーガーニッシュ14側には、接続部22が形成されており、ピラーガーニッシュ14の天井材12側には、接続部24が形成されている。接続部24は、接続部22に対する車室内側に位置されており、接続部22と重ね合わされている。また、接続部22,24は、天井材12の本体部26よりも下側に位置されている。
【0023】
天井材12は、図4に示されるように、表皮材28と、基材30と、通気止めフィルム32とを積層状態で有している。基材30は、表皮材28に対する車室外側に設けられており、通気止めフィルム32は、基材30に対する車室外側に設けられている。
【0024】
基材30は、例えば、硬質ウレタンフォーム等の断熱材により構成されており、表皮材28は、例えば、不織布、ニット、ファブリック等により構成されている。また、通気止めフィルム32は、例えば、樹脂や紙等により構成されている。
【0025】
水案内部材16は、通気止めフィルム32と別体に構成されて、この通気止めフィルム32の車室外側の面32Aに密着状態で接着されている。この水案内部材16は、ピラーガーニッシュ14に対する車室外側に位置されており、抑制部としての水案内部34を有している。
【0026】
水案内部34は、表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aに対してピラーガーニッシュ14の下端部側に突出されて、このピラーガーニッシュ14とフロントピラー20の長手方向にオーバラップしている。つまり、この水案内部34のオーバラップ長(突出長)は、長さL1とされている。
【0027】
なお、水案内部材16は、樹脂成形により形成されるか、又は、可撓性を有して構成されており、接続部22の形状に追従してこの接続部22に一体的に設けられている。
【0028】
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0029】
先ず、本発明の第一実施形態の作用及び効果をより明確にするために、比較例について説明する。図16に示される比較例に係る車室材構造70は、上述の本発明の第一実施形態に係る車室材構造10に対し、水案内部材16が省かれた構成とされている。
【0030】
この比較例に係る車室材構造70では、ルーフパネル18の車室内側の面18Aに結露が生じ、この結露による水Wが天井材12の上に落下した場合、この水は、通気止めフィルム32の車室外側の面32A上をピラーガーニッシュ14に向かって流れる。
【0031】
ところが、接続部22においては表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aが表出されている。このため、この表皮材28の端末28Aに到達した水Wが例えば毛細管現象等により表皮材28に吸い上げられ、この吸い上げられた水Wが表皮材28の車室内側に染み出す虞がある(水の染み出しW1が発生する虞がある)。この場合には、天井材12の見栄えが悪化するという問題がある。
【0032】
これに対し、本発明の第一実施形態に係る車室材構造10によれば、図4に示されるように、水Wが通気止めフィルム32の車室外側の面32A上をピラーガーニッシュ14に向かって流れてきた場合でも、水案内部34が水Wをピラーガーニッシュ14に案内するので、水Wが表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aへ到達することを抑制することができる。これにより、水Wが表皮材28の車室内側に染み出すことを抑制することができるので、天井材12の見栄えが悪化することを抑制することができる。
【0033】
なお、本実施形態において、水案内部材16は、通気止めフィルム32に対する車室外側に設けられていたが、図5に示されるように、基材30と通気止めフィルム32との間に設けられていても良い。
【0034】
また、水案内部材16は、図6に示されるように、基材30と表皮材28との間に設けられていても良い。なお、この場合には、水案内部材16と表皮材28とのオーバラップ長L2が長く確保されていると、水Wが基材30の端末30Aから基材30の内部を通って水案内部材16の上端16A側から表皮材28に到達することを抑制できるので好適である。
【0035】
また、本実施形態において、通気止めフィルム32は、基材30に対する車室外側に設けられていたが、図7,図8に示されるように、基材30と表皮材28との間に設けられていても良い。
【0036】
また、この場合に、水案内部材16は、図7に示されるように、基材30と通気止めフィルム32との間に設けられていても良く、また、図8に示されるように、通気止めフィルム32と表皮材28との間に設けられていても良い。
【0037】
以上の変形例によっても、水案内部34が水Wをピラーガーニッシュ14に案内するので、水Wが表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aへ到達することを抑制することができる。
【0038】
また、上記実施形態において、水案内部34は、先端側がピラーガーニッシュ14から離れていたが、全体として可撓性を有して構成され、先端側が自重によりピラーガーニッシュ14側に変形してこのピラーガーニッシュ14と接触していても良い。
【0039】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0040】
図9,図10に示される本発明の第二実施形態に係る車室材構造40は、上述の本発明の第一実施形態に係る車室材構造10に対し、水案内部材16が省かれると共に、次の構成とされたものである。
【0041】
つまり、通気止めフィルム32のピラーガーニッシュ14側の部分は、表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aに対してピラーガーニッシュ14の下端部側に延長(突出)されており、この延長部分は、抑制部としての水案内部44とされている(すなわち、水案内部44は、通気止めフィルム32に一体に設けられている)。
【0042】
また、水案内部44は、ピラーガーニッシュ14とフロントピラー20の長手方向にオーバラップしている。つまり、この水案内部44のオーバラップ長(突出長)は、長さL3とされている。
【0043】
このような構成によっても、図10に示されるように、水Wが通気止めフィルム32の車室外側の面32A上をピラーガーニッシュ14に向かって流れてきた場合には、水案内部44が水Wをピラーガーニッシュ14に案内するので、水Wが表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aへ到達することを抑制することができる。これにより、水Wが表皮材28の車室内側に染み出すことを抑制することができるので、天井材12の見栄えが悪化することを抑制することができる。
[0044]
なお、本実施形態において、水案内部44を有する通気止めフィルム32は、基材30に対する車室外側に設けられていたが、図11に示されるように、基材30と表皮材28との間に設けられていても良い。
[0045]
この変形例によっても、水案内部44が水Wをピラーガーニッシュ14に案内するので、水Wが表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aへ到達することを抑制することができる。
[0046]
[第一参考例]
次に、第一参考例について説明する。
[0047]
図12,図13に示される第一参考例に係る車室材構造50は、上述の本発明の第一実施形態に係る車室材構造10に対し、水案内部材16の代わりに、抑制部としてのカバー部材54が用いられたものである。
[0048]
カバー部材54は、例えば、樹脂成形品又はフィルム等により構成されており、防止性を有している。このカバー部材54は、断面C字状に形成されており、このカバー部材54の内部には、天井材12の接続部22(天井材12におけるピラーガーニッシュ14側の部分)が挿入されている。
[0049]
また、このカバー部材54は、通気止めフィルム32と密着されている。さらに、カバー部材54における表皮材28とのオーバラップ長は、長さL4とされている。
[0050]
このような構成によれば、水Wが通気止めフィルム32の車室外側の面32A上をピラーガーニッシュ14に向かって流れてきた場合でも、カバー部材54が水をブロックしつつピラーガーニッシュ14に案内するので、水Wが表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aへ到達することを抑制することができる。これにより、水Wが表皮材28の車室内側に染み出すことを抑制することができるので、天井材12の見栄えが悪化することを抑制することができる。
[0051]
また、天井材12の接続部22がカバー部材54に挿入されることにより、この天井材12の接続部22を保護することができる。
[0052]
なお、カバー部材54は、通気止めフィルム32に加えて、表皮材28と密着されていても良い。このようにすれば、カバー部材54が天井材12の接続部22に嵌合された状態となるので、この天井材12の接続部22を補強することができる。
[0053]
[第二参考例]
次に、第二参考例について説明する。
[0054]
図14,図15に示される第二参考例に係る車室材構造60は、上述の本発明の第一実施形態に係る車室材構造10に対し、水案内部材16の代わりに、抑制部としての吸水部材64が用いられたものである。
[0055]
吸水部材64は、例えば、スポンジや不織布等により構成されており、通気止めフィルム32の車室外側の面32Aに設けられている。また、吸水部材64は、天井材12のピラーガーニッシュ14側の端末12Aに対して長さL5だけ離間されており、且つ、予め想定される量の水を吸収し得る十分な体積を有している。
[0056]
このような構成によれば、水Wが通気止めフィルム32の車室外側の面32A上をピラーガーニッシュ14に向かって流れてきた場合でも、吸水部材64が水を吸収するので、水Wが表皮材28のピラーガーニッシュ14側の端末28Aへ到達することを抑制することができる。これにより、水Wが表皮材28の車室内側に染み出すことを抑制することができるので、天井材12の見栄えが悪化することを抑制することができる。
[0057]
以上、本発明の一実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論ある。
【0058】
また、上記各実施形態において、車室材構造10,40,50,60は、フロントピラー20を覆うピラーガーニッシュ14と天井材12とについて適用されていたが、その他のピラー(例えば、センターピラー、リアピラーなど)を覆うピラーガーニッシュと天井材12とについて適用されていても良い。

Claims (2)

  1. 表皮材と、前記表皮材に対する車室外側に設けられた基材及び通気止めフィルムとを積層状態で有し、前記ルーフパネルを車室内側から覆う天井材と、
    前記ルーフパネルを下側から支持するピラーの長手方向に沿って設けられて前記ピラーを車室内側から覆うピラーガーニッシュと、
    前記通気止めフィルムに別体又は一体に設けられると共に、前記ピラーガーニッシュに対する車室外側に位置され、且つ、前記表皮材の前記ピラーガーニッシュ側の端末に対して前記ピラーガーニッシュの下端部側に突出されて前記ピラーガーニッシュと前記ピラーの長手方向にオーバラップする水案内部と、
    を備えた車室材構造。
  2. 表皮材と、前記表皮材に対する車室外側に設けられた基材と、前記基材に対する車室外側に設けられた通気止めフィルムとを積層状態で有し、前記ルーフパネルを車室内側から覆う天井材と、
    前記ルーフパネルを下側から支持するピラーの長手方向に沿って設けられて前記ピラーを車室内側から覆うピラーガーニッシュと、
    前記基材と前記表皮材との間に設けられた水案内部材と、
    を備え、
    前記水案内部材は、前記ピラーガーニッシュに対する車室外側に位置されると共に、前記表皮材の前記ピラーガーニッシュ側の端末に対して前記ピラーガーニッシュの下端部側に突出されて前記ピラーガーニッシュと前記ピラーの長手方向にオーバラップする水案内部を有する、
    車室材構造。
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