JP5165674B2 - 吻合装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体組織の吻合に関し、より詳細には、管腔構造の圧迫吻合用装置に関する。さらに、本発明は、本装置の管腔構造への取付方法に関する。
発明の背景
結腸直腸癌は、毎年およそ百万人の新患者が発生している世界で3番目に頻度が高い種類の癌である。癌の発生は、世界の先進工業地域でかなり高い頻度で起こる。
中空臓器の吻合を機械的に実行するための現行の技法は、円形の機械式ステープラーを使用し、金属またはプラスチックのステープルにより、切開した中空臓器の組織縁部を接続する。様々な外科用ステープラーが、胃、食道および腸の手術のために開発されている。外科の吻合ステープルを行う際、一般に、ループが閉じているステープルリングにより中空臓器の2片が接合される。端々吻合は一般に、一対の互い違いのステープルリングを送り込む管腔用外科ステープラーにより行われる。この過程中に、円形ナイフの刃を用いて、円形リング内側に保持される組織を切り離す。次いで、切り離した組織をステープラーにより除去して、ステープルラインに沿って管腔内に円形の開口部を形成する。
吻合治療に関する主な課題は、治癒過程中の吻合部の血液循環である。過去数十年にわたる手術技法の飛躍的な進展にもかかわらず、胃腸管内切除後の、例えば吻合部からのリークによる罹患率および死亡率が、重大な問題として残っている。治癒過程において当たり前のように起こる虚血および炎症が、吻合領域で患者にとって致命的なリークおよび二次感染を起こすことがある。従って、特に吻合が結腸の下部および直腸で行われた場合、腸から外れたストーマを施すことにより吻合部から圧力を開放するのが一般的な方法となっている。治癒過程中の吻合部からの圧力および糞便の流れを開放することにより、リークの発生を減少させ、吻合部裂開による致命的な結末を回避することができる。患者は約3〜6ヶ月の間、一時的にストーマを付けていなければならないし、そのストーマ閉鎖のために2回目の手術を受けなければならないので、患者にとって不便であるのは明白である。残念なことに多くの場合、ストーマを閉鎖しても元に戻すことができず、患者は永久的にストーマを付けたままの生活を強いられ、費用がかさんで生活の質が低下する。
吻合ステープルが起こす別の問題は、吻合部の狭窄である。重要な治癒領域は、接続される管腔構造の二つの端部の接触領域である。接続部は、耐液性でなければならず、内腔断面は元の内腔と同じ位、幅広、かつ柔軟であるべきである。ステープラーの大きさは内腔の寸法、ひいては両端部の接触領域を決定する。外科用ステープラーは、両端部を接続する管腔構造内側のステープルのために、元の内腔断面より小さく、剛性の高い開口部を作成し、つまり、狭窄をもたらす環状カラーが形成されることになる。この問題を解決するために、繰り返し拡張する必要性が要求される。
機械式ステープラーと関連する別の欠点は、後で発見されて腹部敗血症となることがある吻合部機能不全を管理する迅速、簡単かつ信頼性の高い方法がないということである。
さらにステープラーは、腸管内腔に器具を挿入するための腸切開を必要とする。この付随的な切開が手術の時間を長引かせ、手術と関連する二次感染および吻合部リーク等のリスクを増大させる。
ステープラー自体が重要な課題を有している。なぜなら吻合部のリークおよび吻合部の狭窄等、幾つかの重要な問題が、外科的吻合をステープルで行う際の機械式ステープラーの使用と関連しているからである。他の不利な点は、実施に非常に時間を費やすことと、器具が高価なことである。
米国特許第5,931,057号は、管状臓器の吻合を成し遂げる際に使用する圧迫吻合用連結部材アセンブリを開示している。このアセンブリは、組み込まれる結合部材が不注意により分解されるのを防ぐための締結機能を有する。一つのアセンブリ部材には、切断ガイドおよび切断リングが含まれる。組み込み時にこのアセンブリ内に管状臓器を一様に配置するのは困難である。その理由は、管状臓器の二枚のシートをアセンブリの二つの部材間に配置するときに互いに重なり合うからであり、これがリークリスクを高める。
本発明の目的は、上記欠点の内の少なくとも一つを払拭することであり、これはクレーム1の特性を本装置に割当てることにより達成される。
本発明のさらに別の目的は、管腔構造に本装置を取り付ける方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、概ね中空の開口構成の部材を備える、管腔構造の吻合装置が提供される。本装置は第1部材および第2部材であって、それぞれ剛体部および弾性部を備える第1および第2部材と、第1および第2部材を互いに締結する接続部材とを備える。第1の実施の形態によれば、接続部材は第1部材の剛体部と一体化され、舌片を間に形成する縦スリットが設けられ、少なくとも一つの舌片には外向きの突起が設けられている。第2の実施の形態によれば、接続部材は第1および第2部材とは別体である。
剛体部は断面が部分的に半円状の外面を有し、非接続端部の直径は接続端部の直径より大きいかまたは等しく、後者の直径は縁部で終端する。第1および第2部材が互いに接続されると、ある距離が弾性部同士の間に形成される。管腔構造が本装置に配置されると、剛体部と接続部材と管腔構造との間にキャビティが形成される。
弾性部は、基本的に円形リングであり、例えば、高分子材料、生体性適合材料および/または生分解性材料で作製される。本発明の別の態様によれば、接続される第1端部および第2端部を有する管腔構造に本装置を取り付ける方法が提供され、その方法は、管腔構造内側の第1端部に第1弾性部を配置し、第1弾性部上で第1端部の縁部を折り返すステップと、次いで、第1弾性部と第1剛体部との間に管腔構造が配置されるように、第1部材を形成する第1剛体部上に第1弾性部を取り付けるステップと、管腔構造内側の第2端部に第2弾性部を配置し、第2弾性部上で第2端部の縁部を折り返すステップと、次いで、第2弾性部と第2剛体部との間に管腔構造が配置されるように、第2部材を形成する第2剛体部上に第2弾性部を取り付けるステップ、その後、第1および第2部材を接続部材により互いに締結するステップとを含む。管腔構造の第1および第2端部が、相互接続される第1および第2部材に配置されたら、これら両端部に圧力を加える。圧力は両端部の円周で基本的に一様である。
本発明のさらに別の目的、特徴および利点は、以下の詳細説明、添付の図面および従属クレームから明らかとなろう。
発明の実施形態の説明
本発明を説明するために、図面を参照して本発明の幾つかの実施の形態を以下に説明する。
腸吻合の裂開は、高い罹患率および死亡率に結びつく。腸吻合の迅速かつ効果的な創傷治癒は、吻合手術を受ける患者の安全で速やかな回復に重要である。創傷治癒は、急性炎症、増殖(細胞分裂およびマトリックスタンパク質合成)、および新規組織が機械的要求に適合するための自然な組織の再構成を含む予測される一連の事象に沿った比較的典型的な組織反応である。
本吻合装置の特性は、創傷治癒過程が、以前は無傷であった組織、すなわち、吻合リングにより互いに接合され、吻合装置の構造により開始される治癒応答により癒合する管腔構造の分割された断片それぞれの腸の漿膜、に起こる局部的な組織虚血および壊死により開始されるということにある。注意すべきは、健康な生体の腹腔では、腸の一断片の漿膜は、互いに癒合することなく腸の他の断片の漿膜と常時接触しているということであり、さもなければ、例えば、腸閉塞を起こすことになって潜在的に危険な筈である。
対照的に、本装置により維持される圧力により、腸内の虚血の環状領域が作成され、それが、二つに分割された腸の漿膜側面を互いに封止する治癒過程をもたらす組織応答を誘発し、さらに吻合の完了に至る。
分子レベルでは、虚血は、白血球の補充および組織の浮腫を含む局部的な炎症反応を誘発する。従って、治癒領域内における白血球の漏出を誘発するサイトカイン(cytokines)およびケモカイン(chemokines)を分泌するマクロファージ(macrophages)および肥満細胞のような局部細胞は、壊死細胞を感知する。さらにまた、局部虚血自体が、マクロファージおよび肥満細胞を刺激して炎症誘発性のメディエータ(mediators)を分泌する。
白血球の補充は、漿膜表面の完全性を分解するのはもとより、虚血組織の分解に必要な活性酸素種およびメタロプロテイナーゼ(MMP)を含む、蓄積した炎症細胞が放出する化合物に起因する、圧迫がもたらす腸吻合の治癒にとって重要である。
MMPは、マトリクスタンパク質の分解に必要であり、特に重要なのは、腸の粘膜下層に豊富にあるコラーゲンタイプ1であるが、タイプIIIおよびVのコラーゲンも重要である。炎症細胞は、腸吻合の圧迫がもたらす治癒の初期段階でともに活性が高いMMP−2およびMMP−9を主として分泌する。
虚血組織の分解は、組織分解および本装置からの腸断片の開放にとって重要である。加えて、漿膜表面(臓側腹膜)は無数の中皮細胞を含み、強いMMPおよび血管形成因子を分泌することにより虚血に応答する。
漿膜表面の完全性の破壊は、腸の漿膜側が、腹腔内の腸の断片間の接着を避ける非接着機能を通常働かせていることを心得ている本装置がもたらす独特の治癒過程の前提条件である。同時に、腸の線維芽細胞および上皮細胞は、治癒組織内の新しい血管の成長を刺激する血管の内皮成長因子を含む血管形成因子を分泌することにより、CARP装置が誘発する虚血性壊死に応答する。
さらに、この複雑な反応では、腸の線維芽細胞および上皮細胞もまた、マトリクスタンパク質の分解、および圧迫がもたらす吻合治癒のための準備をする組織の分解に貢献するメタロプロテイナーゼ(MMP−1、MMP−7およびMMP−10)を分泌する。
図1Aは、第1の実施の形態に係る装置10の分解図である。装置10は、第1剛体部11および第2弾性部12を備える第1部材と、第2剛体部13および第2弾性部12を備える第2部材と、シーリング14ならびに接続部材15とを備える。剛体部11、13および弾性部12は、概ね中空の開口構成を有する。
装置10の第1の実施の形態によれば、接続部材15は第1剛体部11と一体化されている。第1部材および第2部材は、接続部材15によりオスメス要素として互いに連結可能である。
図1Bは、外周側面で開口している第1剛体部11の環状壁面周囲に対称配置された4つの孔17(図3B参照)に取り付けられた4本のカテーテル16を備えた第1剛体部11を示す。その孔を通じてさらに延びる各カテーテルにより自由通路が形成されている。
剛体部11、13および弾性部12は高分子材料、より詳細には生体性適合材料により、さらに詳細には生分解性材料により作製される。
弾性部12は、断面を、例えば、円形、楕円形、矩形または平面の任意形状とすることができ、直径は約2〜9mm、またはより詳細には4〜8mm、またはさらに詳細には5〜7mmである。弾性部12は、実質的に円形の対称リングであり、稠密体として、または空気、気体または流体で満たすことができるチューブとして作製され、例えば、40〜70ショアの高分子弾性材料により作製される。弾性部12は、後述するように、剛体部11、13の最小外径より小さい内径を有する。
図2Aは、第1の実施の形態に係る取付具20を示し、図2Bは、第2の実施の形態に係る取付具21を示す。取付具20、21は、装置10を管腔構造に配置するのに必要であり、詳細に後述する。
図3Aに示すように、第1の実施の形態に係る第1剛体部11は、概ね円筒状の内面を有し、非接続端部30で外側に開いている。外面は曲面をなし、非接続端部30と接続端部との間で部分的に半円の面を形成している。非接続端部30の直径は接続端部の直径より大きいか等しい。半径方向の面34が接続端部に設けられ、部分的に円形の曲面を画定している。非接続端部30の縁部35は僅かに傾斜が付けられ、表面34は、面34を半円形の面と接続する縁部36で終端している。
接続部材15は、図3Aに示すように第1剛体部11と一体化され、自由端部から横断方向のスリット37を外周に備えて、スリット37間に舌片38を形成する。舌片38の少なくとも一つは、舌片自由端部と近接して、またはある距離をおいて配置される外向きの突起39を備える。スリット37の数は変更してもよく、スリット37の長さは、図3Aに示すように接続部材15の全幅と同じ長さでよく、それより短くてもよい。スリット37は、対称または非対称に外周に設けられ、同様な幅または異なる幅をもつ舌片を形成する。図3Bは、実施例として、外周に対称に配置した突起のない6つの舌片および突起付きの6つの舌片を有する接続部材15を示すが、突起付きの舌片は突起のない舌片より幅が狭い。舌片の数は変更してもよく、例えば、2〜10個を設け、対称または非対称に外周に配置できる。接続部材15は、その外径周りに円周方向の凹部31を有し、シーリング14に適合している。
第2剛体部13は、図4Aに示すように、非接続端部40で外側に開いている概ね円筒状の内面を有する。外面は曲面をなし、非接続端部40と接続端部41との間で部分的に半円の面を形成し、非接続端部40の最も外側の縁部47には僅かに傾斜が付けられている。非接続端部40の直径は接続端部41の直径より大きいか等しい。傾斜42が接続端部41に設けられ、後述するように、接続部材15を第2剛体部13内に挿入するのを容易にしている。部分的に円形の曲面のために面44が接続端部41に設けられる。面34および44は同一寸法であり、それぞれ縁部36および縁部46で終端する。溝45つまり条が、第2剛体部13の円筒状内面に設けられ、接続端部41と近い部分に配設されている。接続部材15により第1部材と第2部材とを連結するために、突起39と溝45との間を係合すると、締結機能が働く。
図5Aを参照すると、第1の実施の形態に係る取付具20は、一端に上部円錐体51を有し、他端にねじ部52を備える、中心軸を形成する剛体ロッド50を備える。上部円錐体は、閉じた遠位端部を有し、軸と一体化されている。工具20は、例えば6〜8片の幾つかの側面円錐片54により形成される円錐台をさらに備える。円錐台は、上部円錐体に隣接する小径の端部、および曲面部55を有する大径の端部を有する。さらに、取付具20は、円筒部56および端部キャップ58を有するハンドル57を備える。工具20の要素は、それら要素の対称配設される孔でロッドと同軸にまとめられている。取付具20は、円錐台の大端部の曲面部を備える剛体部11、13を係止する係止部48’’を備え、剛体部13に対して図8Aに示すように、傾斜縁部48’を有する非接続端部30、40を係止する寸法としてある。工具20は、上部円錐体と円錐片を含む円錐台とを備える円錐部も備える。この円錐部は、円錐片を備える開放可能な部分を有する。図5Aは、係止部に配置されるべき剛体部11、13、および図6Aに示すように、剛体部まで滑らかに転移する円形円錐体を形成するために、上部円錐体と剛体部との間で中心軸上に配置されるべき円錐片を示す。円錐台の大径端部は、剛体部の外径と等しいかまたは僅かに大きい。円筒部は、第1剛体部11と一体化したときに接続部材15に適合するよう剛体部に面する側に凹部(不図示)を有する。上部円錐体と円筒部に接する剛体部との間の側面円錐片は、上記した全ての要素がハンドルにまとめられ、端部キャップにより回転しないように固定されるので、定位置に堅固に固定される。取付具20を用いて、第2剛体部13を配置する場合、円筒部を、円形の凹部がハンドルに面するようにロッド周りを180度回転させる。
代替の実施の形態では、円筒部はハンドルと一体化してもよい。別の代替の実施の形態では、円筒断面がロッドの周囲の側面円錐片の編成を提供してもよい。
第2の実施の形態に係る取付具21は、カテーテル16が備えられた第1の実施の形態の第1剛体部11を有する装置10を取り付けるために使用される。第2の実施の形態の取付具21は、軸に沿って遠位端部に対称に配置された凹部59が中心軸50’に設けられている点が第1の取付具20と異なり、図5Bおよび図6Bに示すように、その凹部は、上部円錐体を通って延びていて、それぞれの凹部が一本のカテーテルを受ける。凹部は、上部円錐体51’の上部で孔60内に開いていて、カテーテル16が出て行く(図7A参照)。端部チップ62を備える可塑性のある環状ガイド61が孔に設けられ、図8に示すようにカテーテルを受け入れ、安定化させるように構成される。第2の実施の形態に係る取付具21の他の説明は、第1の実施の形態に係る取付具20の上記説明と同様である。
ロッドは、例えば、金属材料または高分子材料により作製される。上部円錐体および円錐片は、例えば、高分子材料、ステンレス鋼または別の金属材料により作製される。工具20、21の他の要素は、高分子材料、ステンレス鋼または別の金属材料により作製される。
互いに癒合される第1端部120および第2端部121を有する管腔構造90に装置10を取り付ける方法を説明するために、図9〜図11を参照する。説明する実施例では、装置10は、カテーテル16を備えた第1剛体部11を有し、従って、取付けを実行するために第2の実施の形態に係る工具21が使用される。第1剛体部11は、最初に、上記したように、円筒部56の円形の凹部内に配置される接続部材15を有する工具21の係止部に配置される。弾性部12は、図9に示すように、一端部120で管腔構造90の内側に配置され、この端部120の縁部は弾性部12の上で折り返される。剛体部11が円錐台の曲面48’’内に配置され、カテーテルが軸50’に沿って凹部59内に配置されてガイド61を通って延びる工具21を、図10に示すように、折り返された端部120から管腔構造90内に挿入して、弾性部12を拡張させ、剛体部11の円周に弾性部を嵌め込むまで、管腔構造90で3つの側面上を取り囲み、つまり包み込む。次いで、図11に示すように、凹部を形成する部分的に半円の曲面により弾性部12を剛体部11に結合する。この嵌め込み動作では、一方の手で弾性部12が配置されている端部120を、他方の手で工具21を確実に保持したままにするよう術者は要求される。工具21から第1部材11を外すには、まず端部キャップ58を外す。工具21および剛体部11が回転して管腔構造に損傷を与えるのを防ぐために、ハンドル57をしっかりと握ったままにすることが必要であり、ハンドルはねじ部の軸上の平面により軸50’に対して回転しないようになっている。次いで、ハンドルを軸から抜き取る。その後、円筒部56を緩めて取り外す。軸50'が自由になると、側面円錐片54を備える円錐台はバラバラになるので、剛体部11により形成される開口部を通じて一対の鉗子により円錐台を取り出す。次いで、第1部材を軸50'から外し上部円錐体の向こうに押しやる。
説明した操作を、第2剛体部13を他端部121に配置するために、第1の実施の形態20または第2の実施の形態21の取付具の何れかを用いて繰り返す。こうして装置10の第1および第2部材が端部120、121にそれぞれ形成され、管腔構造90が剛体部11、13と弾性部12との間に配置される。従って、管腔構造90の単一層が剛体部11、13と弾性部12との間に強く挟まれる。
第1端部120の先端は、第1剛体部11と弾性部12との間に折り返され、配置されると、図13に見られるように基本的に円形の第1唇部、つまり接触面130を形成する。同様に、第2端部121は、第2唇部、つまり接触面131を形成する。基本的に均一で等しい圧力が、周囲全体にわたって接触面130、131上に加えられる。
装置10を形成するための最終作業は、接続部材15により第1部材と第2部材を接続することであるが、術者が手で押し込む動作をするだけでよい。第1の実施の形態では、接続部材15は剛体部11と一体化され、接続部材15を含む第1部材と第2部材とは、手で両部材を連結することにより互いに締結される。接続部材15上に配置された突起39を有する一部または全ての舌片38は、第2剛体部13の内面に編成された溝45と相互作用し、締結動作を行う。こうして、接続部材15が第2剛体部13と係合して、第1と第2部材は互いに堅く密着する。
第1および第2部材は、剛体部11、13と両弾性部12との間に管腔構造90の二つの端部120、121をそれぞれ配置せずに両部材を連結した場合に、面34と面44(図3、図4参照)との間に空隙があくように、寸法を決める。第1部材および第2部材を、それに配置される管腔構造90と連結すると、その空隙は面34と面44との間に依然として存在し、接触面130、131は互いに押し付けられる。両端部120、121は、弾性部12、14と剛体部11、12との間でそれぞれ圧迫され、その成果、両端部120、121は空隙内で僅かにクリープし、それぞれ縁部44および36の上を覆う。
接触領域201は、接触面130と131との間に作成され、壊死ポイント202、というより壊死ラインは、図21に示すように、管腔構造90が、弾性部12からの圧力により縁部44および36に対してそれぞれ押し付けられるポイントとして定義される。接触領域201および壊死ポイント202は、壊死過程において非常に重要である。
図19で説明する代替の実施の形態では、第1剛体部191と一体化している接続部材は、外周に一つまたは幾つかの円周溝を有する。この場合、第2剛体部193は、接続端部と隣接する内周に配置される刻み目192と係合するための突起194を有し、第1剛体部191と第2剛体部192とを連結する。
吻合装置200の第2の実施の形態を、図16A、図16B、図17および図18を参照して説明する。装置200は、それぞれ中空の開口構成である第1部材、第2部材および接続部材160を備える。第1および第2部材は同一であり、それぞれ剛体部13および弾性部12を備え、剛体部13は、装置10の第1の実施の形態に係る第2剛体部13と同一の構成を有する。接続部材160は、概ね円筒状の別体部品、すなわち第1および第2部材と分離している部品として作製され、剛体部13の内側円筒面に設けられる溝45、つまり条と係合するための外面上に配置される刻み目170(図17参照)を有する。接続部材160は、図18に示すように、剛体部13の内側に配置されると、第1および第2部材を連結するような寸法となっている。凹部172が、例えば対称に、接続部材160の外面に設けられ、それぞれ、Oリングのような円形のシーリング部材(不図示)に適合している。接続部材160はオプションで、接続部材160の環状壁面を貫通する少なくとも二つの孔161を、例えば中心の対称線に有する。少なくとも二つの乳頭部(不図示)を、後述する少なくとも二本のチューブまたはカテーテルを接続するために、孔161と係合させることができる。図17は、第1および第2の剛体部13ならびに連結する前の接続部材160を示す。図18は、接続部材160により連結された同一の第1および第2剛体部13を示す。ある距離、つまり空隙180が剛体部13の面87の間に設けられる。
管腔構造90の端部120、121で接触面130、131に加えられる圧力は、装置10、200で編成した場合、空隙203、180の寸法を調整することにより増減させることができる。第1の実施の形態の装置10の場合、空隙203は、接続部材15上の刻み目39を舌片38の自由端に近づけるか離して配置することにより、変更することができる。第2の実施の形態に係る装置200を用いる場合、空隙180は、剛体部13の内側に接続部材160を基準位置より深くまたは浅く配置することにより、変更することができる。
第1および第2部材ならびに接続部材160の中空の開口構成を、基本的に円形であるとして側面図(図18参照)で示すが、他の任意の形状、例えば、楕円もしくは長円、または部分的に矩形もしくは三角形とすることができ、図16Bに示すように断片化することができる。
図20Aは、管腔構造90に配置される第1の実施の形態の装置10を示す。カテーテル16は、孔17に配置され、管腔構造90を通って延びている。孔に配置されるカテーテル16の第1端部は、キャビティ203内に開き、カテーテル16の第2端部は、直腸を通って外に出る。ガイド61はカテーテルの第2端部が外に出てしまったら取り外す。カテーテルのこれら端部は、管腔構造端部の癒着を監視または管理するために用いられる、例えば、注射器、ポンプまたは他の装置に接続することができる。後述するように、キャビティ203に、成長促進物質または造影剤等の各種の流体を供給することも可能である。
拡大した図20Bは、弾性部12と剛体部13との間の管腔構造90の圧迫を示す。
管腔構造90は、端部120、121で腫れているので、面34と面44との間の空隙を閉じると、圧迫された管腔構造90、接続部材15ならびに剛体部11、13の面34および面44により画成される閉じたキャビティ203が形成される。接触領域201は、接触面130、131と、管腔構造90が弾性部12からの圧力により縁部36および46に対して押し付けられるポイント202として定義される壊死ポイントまたはライン202との間に作成される。管腔構造90の両端部120、121における血流または血液循環は遮断され(抑制され)、壊死ポイント202までずっと停止する。組織再生が接触領域201で起きて、管腔構造90の両端部120、121を互いに癒合することになる。管腔構造両端部が癒合すると、すなわち癒着してしまうと、装置10、200は自動的に外れて、直腸を通って糞便流に続いて管腔構造から出る。
図20Aは、装置10に固定され、管腔構造90の内側に沿って配置されているカテーテル16を示す。ガイド61により、カテーテル端部は、直腸を通って管腔構造90から外に出る。
カテーテル16によりキャビティ203に様々な流体を供給することが可能である。例えば、選定した特定の液体をキャビティ203に連続流または間歇流で供給することができる。その液体は、白血球の補充および/またはサイトカインおよびケモカインの分泌を刺激する等の、組織成長を促進し、または治癒を加速するための何らかの他の作用を実行する。
さらに、例えば閉止または逆リークに関して、吻合の放射線管理を実行するために、カテーテル16を通じて造影剤を供給することができ、これは本装置を管腔構造に取り付けた直後に特に重要である。一本のカテーテルに特定圧力の供給液体を供給し、他のカテーテルを閉じることにより、リーク圧力の計測値が得られる。この方法で、管腔構造両端部の治癒過程を連続的に監視することが可能になる。吻合部のリークが少ない場合は、一本のカテーテルを真空ポンプ(不図示)に接続するだけで、キャビティ203に低圧または僅かな真空を加えることができる。
選定した流体の供給に関する上記説明は、装置200、190を用いる場合にも適用できる。孔161に配置される乳頭部により接続部材160に接続される細いカテーテルまたはチューブにより様々な流体をキャビティ203に供給することができる。さらに、例えば閉止または逆リークに関して、吻合の放射線管理を実行するために造影剤を供給することができ、治癒過程を連続的に監視することができる。吻合部のリークが少ない場合は、カテーテルの一端を乳頭部により孔161に接続し、他端を真空ポンプ(不図示)に接続するだけで、キャビティ203に低圧または僅かな真空を加えることができる。
図21、図22、図23は、直腸に近い(低位吻合の)装置10の配置を示し、第1剛体部11にはカテーテル16が備えられている。図21は、封止端部211を有する管腔構造90に挿入される直腸鏡210を示す。直腸鏡210は、内側スリーブおよび外側スリーブ212を備える。内側スリーブの前面縁部には、装置10の弾性部12が固定される凹部がある。この凹部は弾性部12の内径に適合している。直腸鏡210は、パイプまたはチューブ213により真空吸引ポンプおよびコントローラ(不図示)、例えばコンピュータ、に接続されている。
直腸鏡は、取り外し可能なレンズ215および孔216を含むハンドル214を備える。真空吸引ポンプへの空気流は、通常はハンドルの孔を通過し、管腔構造90に影響を与えない。例えば、人差し指の指先でハンドルの孔を塞ぐと真空状態が直腸鏡内部に発生し、管腔構造の封止端部が直腸鏡内部に吸引されることになる。第1剛体部11に配置されるカテーテルは、一端に取り外しできる鋭い先端218、他端に漏斗219がある溝付きのフレキシブルチューブ217内部に配置される。このチューブは、図22に示すように、封止端部211内部に挿入され、レンズ215を取り外した孔を通って外に出る。次いで、剛体部13が弾性部12の近くに配置され、直腸鏡210の第2スリーブ212により、弾性部12が剛体部11の周囲に取り付けられる。説明したこの取付け過程は、図9〜図11で説明した過程と同等と見なせるので、図12〜図15をこの過程に続けることができる。図23は、第1および第2部材が取り付けられた管腔構造90の、これら部材が連結される前の第1端部120および第2端部121を示す。最後に、直腸鏡210内に適切なツールを挿入して封止端部211を切開して開く。
本明細書で、技術者が本発明を実施できるように本発明の幾つかの実施の形態を、図面を参照して説明した。しかし、これら実施の形態に含まれる特徴および方法ステップにより本発明は限定されない。さらに、特徴および方法ステップは詳細に説明したものと異なる方法で組み合せることができる。
弾性部12の断面は概ね円形として示されている。しかし、矩形、三角形、六角形、八角形等の他の形状を用いてもよい。剛体部11、13の外面はそれぞれ、弾性部12を係止するよう意図された凹部を備える。この凹部の少なくとも一部は、弾性部12の形状と相補的な形状を有する。従って、この凹部は、矩形、三角形、六角形、八角形等としてもよい。
弾性部12の構成つまり外形は、円形の外形輪郭を有する概ね円筒状として示す。しかし、矩形、三角形、六角形、八角形等としてもよい。
弾性部は、一部だけを弾性体とすることができる。その弾性は、弾性部12と剛体部11、13との間の管腔構造90を特定の力で圧迫するために用いられる。同一機能を実行する他の手段を使用することも可能である。
代替の実施の形態では、上部円錐体は、端部キャップと同様にハンドルの中心軸に嵌め込んでもよい。さらに、円錐台は、低部位吻合では直腸を通して軸から取り外せる一体化した部品として作製することができる。
クレームでは、用語「備える/備えている」は他の要素またはステップの存在を排除しない。さらに、個々にリストアップしているが、複数の手段、要素または方法ステップを実施してもよい。加えて、異なる実施の形態で個別の特徴を包含しているが、これらは他の方法で組み合せることができ、異なる実施の形態における包含が、特徴を組み合せることが実行不可能であることを意味しない。さらに、単数の参照は複数であることを排除しない。用語「不定冠詞」は複数であることを排除しない。クレーム内の参照符号は実施例を明解にするために提供しているに過ぎず、いずれにせよクレームの範囲を限定していると解釈してはならない。
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る装置の分解斜視略図である。 図1Bは、カテーテルを備えた図1Aの本装置の第1剛体部の分解斜視略図である。 図2Aは、図1Aの本装置の剛体部を管腔構造に取り付けるための第1の実施の形態に係る取付具の斜視略図である。 図2Bは、図1Bの本装置の剛体部を管腔構造に取り付けるための第2の実施の形態に係る取付具の斜視略図である。 図3Aは、剛体部と一体的に作製された接続部材を有する第1の実施の形態に係る本装置の第1剛体部の断面図である。 図3Bは、カテーテルを備えた図3Aの第1剛体部の斜視図である。 図4Aは、第1の実施の形態に係る本装置の第2剛体部の断面図である。 図4Bは、図4Aの第2剛体部の斜視図である。 図5Aは、側面円錐片を取り付ける前の第1の実施の形態に係る取付具の軸および上部円錐体の斜視図である。 図6Aは、定位置に取り付けた側面円錐片、およびそれに配置した剛体部を有する図5Aの軸および上部円錐体の斜視図である。 図7Aは、剛体部を取り付けて使用準備が整った第1の実施の形態に係る取付具の斜視図である。 図8Aは、剛体部を配置する前の、本装置の剛体部を係止するための係止部を備える円錐台の断面図を示す。 図5Bは、カテーテルを備えた剛体部を配置する前の、第2の実施の形態に係る取付具の軸および上部円錐体の斜視図である。 図6Bは、側面円錐片を定位置に取り付ける前の、剛体部のカテーテルが配置された図5Bの軸および上部円錐体の斜視図である。 図7Bは、側面円錐片を定位置に取り付け、剛体部を配置した後の、図6Bに係る斜視図である。 図8Bは、剛体部を配置し、端部のチップをガイドに取り付ける前のガイドを備えた第2の実施の形態に係る取付具の斜視図である。 図9は、管腔構造の一端部の内側に配置された弾性部の斜視略図であり、この端部の縁部は弾性部の上で折り返されている。 図10は、弾性部を第1剛体部上に取り付ける前の、管腔構造内に挿入される第2の実施の形態に係る取付具を示す図9に基づく斜視略図である。 図11は、第1剛体部上に取り付けられた弾性部を示す図10に基づく斜視略図である。 図12は、管腔構造の一端部に配置された本装置の第1部材を示す斜視略図である。 図13は、管腔構造の一端部に配置された第1部材、および管腔構造の他端部に配置された第2部材を示す斜視略図である。 図14は、第1および第2部材が連結されたときの図13に基づく斜視略図である。 図15は、両端部が癒着した後に開放されるときの、管腔構造を通過する本装置を示す斜視略図である。 図16Aは、弾性部を取り付けていない第2の実施の形態に係る装置の側面図である。 図16Bは、図16Aの本装置の線A−Aに沿う断面図である。 図17は、第1および第2剛体部を連結する前の、図16Aの装置の一部の断面図である。 図18は、第1および第2剛体部を連結した後の、図17の装置を示す。 図19は、代替の実施の形態に係る装置の断面図である。 図20Aは、カテーテルを備え、両端部を癒合する管腔構造に配置される第1の実施の形態に係る本装置を示す断面略図である。 図20Bは、接触領域および壊死ポイントを示す図20Aの円内の領域の拡大図である。 直腸鏡による本装置の管腔構造への取付けを示す側面略図である。 直腸鏡による本装置の管腔構造への取付けを示す側面略図である。 直腸鏡による本装置の管腔構造への取付けを示す側面略図である。 本説明の理解を深めやすく明解にするように、図の同一部分を示すのに同一参照符号を用いる。

Claims (16)

  1. 管腔構造を吻合するための装置であって、
    前記装置は;概ね中空の開口構成の第1および第2部材であって、前記第1および第2部材はそれぞれ、剛体部および弾性部をそれぞれ備え;ならびに、前記第1および第2部材を互いに接続するための接続部材を備え、
    前記各弾性部は前記各剛体部の円周にそれぞれ配置されるように構成され、それにより、使用時に、前記弾性部同士の間の接触領域で吻合が得られるようにすることを特徴とする装置。
  2. 前記接続部材が、前記第1部材の前記剛体部と一体化されていることを特徴とする請求項1の装置。
  3. 前記接続部材に、舌片を間に形成する縦スリットが設けられていることを特徴とする請求項1または2の装置。
  4. 前記少なくとも一つの舌片には外向きの突起が設けられていることを特徴とする請求項3の装置。
  5. 前記接続部材が、独立した部材として構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの装置。
  6. 前記弾性部が、基本的に円形リングであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの装置。
  7. 前記弾性部が、エラストマ等の高分子材料により作製されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの装置。
  8. 前記弾性部が生体適合性材料により作製されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの装置。
  9. 前記弾性部が、生分解性材料により作製されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの装置。
  10. 前記剛体部は断面が部分的に半円形の外面を有し、非接続端部の直径が接続端部の直径より大きいかまたは等しいことを特徴とする請求項1〜9のいずれかの装置。
  11. 前記剛体部の接続端部の直径は、縁部で終端することを特徴とする請求項1〜10のいずれかの装置。
  12. ある距離が前記弾性部の間に形成されるように、前記第1および第2部材が互いに接続されことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかの装置。
  13. 前記管腔構造が前記装置内に配置されると、前記剛体部と前記接続部材と前記管腔構造との間にキャビティが形成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれかの装置。
  14. 前記第1部材の前記剛体部に、前記リングの外周に配置した少なくとも二つの孔を設け、前記それぞれの孔はカテーテルの第1端部をそれに配置させ、前記カテーテルの前記第1端部は前記キャビティ内に開口し、前記カテーテルの第2端部は前記管腔構造を通過して直腸を通って外に出ることを特徴とする請求項13の装置。
  15. 前記接続部材は前記外周に少なくとも一つの溝を有し、前記第2剛体部は前記内周に配置される突起を有することを特徴とする、
    請求項1〜14のいずれかの装置。
  16. 前記各弾性部および対応する剛体部は、使用中に、壊死を誘発する連続した接触ラインを形成することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかの装置。
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