JP5164589B2 - インプリント装置 - Google Patents

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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

本発明は、被転写体の表面にスタンパの微細な凹凸形状を転写するインプリント装置に関する。
近年、半導体集積回路は微細化が進んでおり、その微細加工を実現するために、例えばフォトリソグラフィ装置によって半導体集積回路のパターンを形成する際にその高精度化が図られている。その一方で、微細加工のオーダが露光光源の波長に近づいてきたことで、パターンの形成の高精度化は限界に近づいてきた。そのため、さらなる高精度化を図るために、フォトリソグラフィ装置に代えて荷電粒子線装置の一種である電子線描画装置が用いられるようになった。
しかしながら、電子線描画装置によるパターンの形成は、i線,エキシマレーザ等の光源を使用した一括露光方法によるものと異なって、電子線で描画するパターンが多ければ多いほど露光(描画)時間がかかる。したがって、半導体集積回路の集積化が進むにつれてパターンの形成に要する時間が長くなって、スループットが著しく劣ることとなる。
そこで、電子線描画装置によるパターンの形成の高速化を図るために、各種形状のマスクを組み合わせて、それらに一括して電子線を照射する一括図形照射法の開発が進められている。しかしながら、一括図形照射法を使用する電子線描画装置は大型化するとともに、マスクの位置をより高精度に制御する機構がさらに必要となって装置自体のコストが高くなるという問題がある。
また、他のパターンの形成技術として、所定のスタンパを型押ししてその表面形状を転写するインプリント技術が知られている。このインプリント技術は、形成しようとするパターンの凹凸に対応する凹凸形状(表面形状)が形成されたスタンパを、例えば所定の基板上に樹脂層を形成して得られる被転写体に型押しするものであり、1枚のスタンパを繰り返し使用して、凹凸幅が50nm以下の微細構造を形成した被転写基板を複数枚製造できる。そして、このインプリント技術は、例えば、大容量記録媒体における記録トラックやビットパターンの形成への応用が検討されている。大容量記録媒体用基板は、インプリント技術で形成したパターン形成層の凸部をマスクとして、基板をエッチングすることで製造することができる。
大容量記録媒体の記録トラックやビットパターンを形成する際、インプリントによるパターン転写精度が重要となる。インプリント技術には、熱可塑性の樹脂を適用する熱式のインプリントと、紫外光等の照射によって硬化する光硬化性樹脂を適用する光式のインプリントがある。熱式のインプリントには加熱/冷却工程が含まれており、基板やスタンパの熱膨張,収縮する影響から、パターン形状が崩れる。従って、50nm以下の微細構造の形成には、熱式ほど顕著な温度の変化が無い光式のインプリントが向いていると考えられる。
また、大容量記録媒体の記録トラックやビットパターンは、基板の両面に形成する必要がある。その際、片面ずつのインプリントでパターンを形成する方法や、両面同時のインプリントでパターンを形成する方法が挙げられる。前者の場合、従来の装置でインプリントを行えるが、被転写体とスタンパが接触する面に対して裏の被転写体表面が、装置の加圧ステージと接触するため、裏面の汚染や裏面に形成されているパターンの崩れといった問題が生じる。そこで、後者の両面同時インプリントのように、被転写体の両面をスタンパで挟み、加圧するのが望ましい。
前述したように、光式のインプリントでは光硬化性樹脂を硬化させるためには樹脂に含まれる光開始材が反応する波長の光を樹脂に照射する必要がある。光硬化性樹脂は、スタンパと被転車体の間で加圧されている。従って、従来のインプリント装置を用いて被転写体の片面のみにパターンを転写する場合、スタンパもしくは被転写体のいずれか一方を透明体とし、透明体を通して光を樹脂に照射すれば良い。
一方、被転写体の両面に光を照射するには、従来のインプリント装置では、被転写体とスタンパが透明であれば被転写体の両面に光を照射することが可能になる。しかしながら、大容量記録媒体の基板は、アルミ等の金属、又は基板表面に金属の多層膜が形成されているため不透明体である。つまり、光照射機構に対して被転写対の裏面側には光を照射することができない。
不透明な被転写体の裏面に光を照射する手段として、光照射機構を被転写体の裏面に設置することが考えられる。例えば特許文献1では、被転写体の裏面側にパラボラ状の反射板を設置し、被転写表面から照射される光を、反射板を介して被転写体の裏面に照射する機構が提案されている。しかしながら、本発明では反射板と被転写体の間に配置される加圧ステージの部品が影となり、裏全面に光を照射するのは容易でない。また、特許文献2では、被転写体面と同じ高さに光照射機構を設置し、不透明な被転写体と不透明なスタンパの隙間に光を照射する機構が提案されている。しかし、スタンパと被転写体の隙間が数nmから数十nmであり、光を被転写体の外周部から内周部に渡って全面に照射することは困難である。
特開2007−026589号公報 特許3889386号公報
前述したように、従来のインプリント装置では、不透明基板の両面に同時にインプリントする際に、光照射機構に対して被転写対の裏面側には光を照射することが実質困難である。
そこで、本発明は、不透明基板の両面に同時に微細パターンを転写できる光式のインプリント装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明は、微細パターンが形成された透明体からなるスタンパと被転写体とを接触させて前記被転写体の表面に前記スタンパの微細パターンを転写する際、前記被転写体表面に形成した光硬化性樹脂の層に光を照射する光源を備えたインプリント装置であって、前記スタンパは前記複数の光源と前記被転写体との間に配置され、前記複数の光源は、前記スタンパの外周方向であって前記スタンパの表面と平行となる面上に配置され、前記スタンパの裏面から微細形状が形成されている表面に対して斜めの入射角で光を入射し、入射した光を前記スタンパ中で導波、散乱させることで前記被転写体と前記スタンパの間に光を照射することを特徴とする。
さらに、本発明は、被転写体の両面に、微細パターンが形成された透明体からなる2つのスタンパを両面に接触させて前記被転写体の表面に前記スタンパの微細パターンを転写する際、前記被転写体の両面に形成した光硬化性樹脂の層に光を照射する光源を備えたインプリント装置であって、前記スタンパは前記複数の光源と前記被転写体との間に配置され、前記複数の光源は、前記スタンパの外周方向であって前記スタンパの表面と平行となる面上に配置され、前記スタンパの裏面から微細形状が形成されている表面に対して斜めの入射角で光を入射し、入射した光を前記スタンパ中で導波、散乱させることで前記被転写体と前記スタンパの間に光を照射することを特徴とする。
なお、本発明において、微細パターンとは数nm〜10μm程度の寸法サイズの凹凸形状を意味する。
前記入射角は1度〜45度である。
前記スタンパの外径は前記基板の外径よりも大きく、光源からの光が該基板と該スタンパが接触していない外周部に入射することを特徴とする。
また、前記スタンパの基板と接触する面とは異なる面に、光を反射する層が形成されているスタンパを備え付けてもよい。
また、前記スタンパの基板と接触する面とは異なる面に、光を導光する層が形成されているスタンパを備え付けてもよい。
また、前記スタンパの基板と接触する面とは異なる面に、該スタンパと該基板を押付けるステージが設置されおり、該ステージ表面には光を反射する層を形成してもよい。
また、前記スタンパの基板と接触する面とは異なる面に、該スタンパと該基板を押付けるステージが設置されおり、該ステージ表面には光を導光する層を形成してもよい。
本発明のインプリント装置によれば、不透明基板の両面に同時に微細パターンを転写することが可能になる。
次に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。
始めに、本発明のインプリント装置の説明を行う前に、基板の片面にのみパターンを転写するための従来の基本プロセスを説明する。図6は光式のインプリントの基本プロセスを説明する図である。(a)被転写体1表面に光硬化性樹脂8を塗布する。ここでは感光性物質を添加した樹脂材料を塗布する。(b)前記被転写体を加圧機構の加圧ステージ3に、前記被転写体1を設置する。(c)被転写体1の表面と、該被転写体表面と接するスタンパ2の表面を大気圧以下の雰囲気にさらした後、スタンパ2と被転写体1を加圧する。(d)スタンパ2の背面に設置した紫外線照射機構6から紫外光を放射し、スタンパ2を通して光硬化性樹脂8に紫外光を照射することで、該樹脂を硬化する。(e)光硬化性樹脂8が硬化した後、スタンパ2を被転写体1から剥離する。(f)被転写体表面に薄膜層(ベースとなる層)を下地とし微細パターン11が転写される。従来のインプリント方法では、スタンパ2及び被転写体1が透明であれば、紫外線照射機構6からの紫外光を被転写体1の裏面(加圧ステージ3)にも照射することが可能になる。ところが、被転写体1が不透明体の場合、被転写体1の裏面には紫外光は当らない。
次に、不透明基板の両面に同時にインプリントを行う本発明のインプリント装置の機構を図1に示す。紫外光を透過しない不透明な被転写体1は、2枚の透明なスタンパ2,2′に挟まれるように設置されている。このとき、被転写体1の両面には、予め光硬化性の樹脂が塗布されている。スタンパの微細パターンが形成されている面(表面)は、それぞれ被転写体1の表面に向けて配置されている。スタンパ2′は加圧ステージ3上に設置されており、その外径は被転写体の外径よりも大きくする。他方、スタンパ2は被転写体1の上面に配置された透明なバックアッププレート4に固定されている。バックアッププレート4を保持する保持部材5とステージ3で、被転写体1とスタンパ2,2′の表面を真空雰囲気下にさらすためにチャンバを構成する。バックアッププレート4の上方にはUV光源6が配置されており、被転写体1とスタンパ2の間に紫外線を照射する。また、ステージ7には、ファイバで導かれた紫外光を出射する光源7が配置されている。光源7は、スタンパ2′の表面に対して斜めに紫外光を照射するよう設置されている。スタンパ2′に入射した紫外光は、スタンパ2′中を導波,散乱しながら、被転写体1とスタンパ2′の間に紫外線を照射する。本発明のインプリント装置によって、不透明な被転写体の両面に同時にスタンパを押し当てながら、紫外光を照射することが可能となり、微細パターンを被転写体の両面に転写することが可能になる。
本実施形態での被転写体1は、後記するように転写パターンの形成材料となる光硬化性樹脂が塗布されたものである。この光硬化性樹脂2としては、公知のものでよく、樹脂材料に感光性物質を添加したものを使用することができる。樹脂材料としては、例えば、主成分がシクロオレフィンポリマー,ポリメチルメタクリレート,ポリスチレンポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリ乳酸,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリビニルアルコール等が挙げられる。
樹脂の塗布方法としては、ディスペンス法や、スピンコート法を使用することができる。ディスペンス法では、樹脂が被転写体1の表面に滴下される。そして、滴下された樹脂は、スタンパ2,2′が被転写体1に接触することで被転写体1の表面に広がる。この際、樹脂の滴下位置が複数の場合、滴下位置の中心間距離は液滴の直径よりも広く設定する。
また、樹脂を滴下する位置は、形成しようとする微細パターンに対応する樹脂の広がりを予め評価しておき、この評価結果に基づいて定めるとよい。樹脂は、転写パターン9が形成するのに必要な樹脂量と同じか、または多くなるように滴下する樹脂の1滴の量、および滴下する位置が調整される。
スピンコート法においては、樹脂が、転写パターンを形成するのに必要な樹脂量と同じか、または多くなるようにスピン回転速度や樹脂の粘度が調整される。
また、前記した被転写体1以外に本発明で使用できる被転写体1としては、例えば、シリコン,ガラス,アルミニウム合金,樹脂等の各種材料を加工したものが挙げられる。また、被転写体1は、その表面に金属層,樹脂層,酸化膜層等が形成された多層構造体であってもよい。
また、被転写体1の紫外光透過率が低い程効果が大きい。例えば365nmの波長の紫外光の透過率が50%以下となる材質の場合に有効である。
このような被転写体1の外形は、被転写体1の用途に応じて、円形,楕円形,多角形のいずれであってもよく、中心穴が加工されていてもよい。
スタンパ2,2′は、前記したように、被転写体1に転写するための微細パターンを有するものである。この微細パターンを構成する凹凸をスタンパ2,2′の表面に形成する方法としては、例えば、フォトリソグラフィ,集束イオンビームリソグラフィ,電子ビーム描画法等が挙げられる。これらの方法は、形成する微細パターンの加工精度に応じて適宜に選択することができる。ちなみに本実施形態でのスタンパ2,2′は、被転写体1に塗布された光硬化性樹脂にこのスタンパ2,2′を介して紫外光を照射する必要があることから透明性を有するものから選択される。光硬化性樹脂を硬化させる光の波長において、透過率が50%以上であることが望ましい。
スタンパ2,2′の材料としては、例えば、ガラス等の透明体又は、樹脂等が挙げられる。また、スタンパの外形は、加圧方式に応じて、円形,楕円形,多角形のいずれであってもよく、このようなスタンパ3には、中心穴が加工されていてもよい。また、スタンパ2,2′の表面には、光硬化性樹脂2とスタンパ3との剥離を促進するために、フッ素系,シリコーン系などの離型剤を施すこともできる。
スタンパ2,2′の外径を被転写体の外径よりも大きくすることで、後述する、UV光源からの紫外光を受光しやすくなる。
スタンパの厚さを紫外光の波長よりも十分大きすることで、紫外光は自由空間中と同様に伝搬,拡散させることが可能になり、スタンパ中での紫外光の干渉を抑制できる。光硬化性樹脂の硬化に必要な波長よりも少なくとも1000倍厚いことが望ましい。
紫外線を照射する光源6は、被転写体1全面を照射可能とするスポット径であれば1つ設置すれば良い。またスポット径が被転写体1全面よりも小さい場合でも、光源を複数設置または、光源を稼動させて被転写体1の全面を照射しても良い。
紫外線を照射する光源7は、スタンパ表面に対して任意の角度で紫外光を入射させるように出射方向を調整しておくとよい。本発明では、UV光源の設置位置に応じてスタンパ表面に対して1度〜45度の範囲で光源からの出射角度を設定すると良い。
また、紫外光をスタンパ2′の側面から入射しても良い。その際、スタンパ2′の側面は鏡面に加工しておくのがよく、紫外光の入射角をスタンパ表面に対して0度〜10度の範囲に設定すると良い。
紫外線を照射する光源7は、ファイバを通して紫外光を導入しているが、レーザダイオード等の発光素子をステージ3の底部、又は側壁に取り付けてもよい。
紫外線を照射する光源7は、スタンパ2′の外周方向から内周方向に向かって紫外光を照射する。このとき、光源7を少なくとも2方向に設置することで、被転写体の全面に市街線を照射することが可能なる。
スタンパ2′において、スタンパと被転写体が接触する面とは異なる面に、紫外線の反射率を上げる反射層を形成してもよい。例えば、アルミ,誘電体等で構成される多層膜を成膜しておいてもよい。
スタンパ2′において、スタンパと基板が接触する面とは異なる面に、紫外線を導光する層を形成してもよい。例えば、誘電体で構成される導波層を成膜するとよい。
ステージ3の材質は、スタンパと被転写体を押し当てるのに必要な圧力に耐えうる材質であれば良い。例えば、銅,真鍮,ステンレス等が挙げられる。
ステージ3の表面には、紫外線の反射率を上げる反射層を形成してもよい。例えば、アルミ、誘電体等で構成される多層膜を成膜しておいてもよい。
ステージ3の表面には、紫外線を導光する層を形成してもよい。例えば、誘電体で構成される導波層を成膜するとよい。
本実施形態では被転写体1の両面に紫外光を照射したが、片面のみに照射する場合も適用可能である。例えば、図1において、ステージ3上にスタンパ2′、不透明な被転写体1の順で配置した場合、スタンパ2′を透明体とすることで被転写体の下面に微細パターンを転写できる。
前記実施形態で微細パターンが転写された被転写体1は、磁気記録媒体や光記録媒体等の情報記録媒体に適用可能である。また、この被転写体1は、大規模集積回路部品や、レンズ,偏光板,波長フィルタ,発光素子,光集積回路等の光学部品,免疫分析,DNA分離,細胞培養等のバイオデバイスへの適用が可能である。
次に、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、図1に示すインプリント装置を使用して、不透明な被転写体の両面に微細パターンを転写する方法を説明する。
本実施例のインプリント装置は、上下に可動するステンレス製のステージ3の表面が鏡面状に加工されている。さらにステージ最表面には、厚さ1μmのアルミ層、さらにその上には保護膜として厚さ3nmのSiO2層を形成した。そして、ステージ3上には石英製のスタンパ2′を配置した。また、石英製のスタンパ2を、石英製のバックアッププレート4に固定した。被転写体1は、スタンパ2とスタンパ2′の間に配置した。
ここでは、被転写体1として直径65mm,厚さ0.631mm,中心穴径20mmの磁気記録媒体用基板を使用した。基板はガラス製であり、表面には磁気記録層等が形成されており不透明体である。
スタンパ2,2′には最外直径100mm,厚さ2mmの石英基板を使用した。そしてスタンパ2,2′には、直径で23mmから63mmまでのパターン形成領域に、フォトリソグラフィ法にて幅2μm,ピッチ4μm,深さ80nmの溝パターンが同心円状に形成した。溝パターンは、中心穴の中心軸と同心となるように配置した。
ステージ3には、スタンパ2′の外周部より紫外光を照射するUV光源7を配置した。UV光源7は図示しないレーザダイオードから発せられた365nmの光がファイバ中を通った後、レンズ系を介してスタンパ2′に照射される機構とした。UV光源7の先端には、スポット径4mmΦ,焦点距離15mmとなるレンズユニットを取り付けた。また、UV光源7は被転写体1を取り囲むように60度ずつ6機が配置された。
バックアッププレート4の上部には、スタンパ2を介して被転写体1の表面に紫外光を照射するためのUV光源6を配置した。UV光源6の照射範囲は直径80mmとし、被転写体1の表面に1回で照射可能とした。
被転写体1の両面には、ディスペンス法で樹脂が滴下された。樹脂は感光性物質を添加したアクリレート系樹脂であり、粘度が4MPa・sになるように調合された。樹脂は、ノズルが512(256×2列)個配列され、ピエゾ方式で樹脂を吐出する塗布ヘッドで塗布された。塗布ヘッドのノズル間隔は、列方向に70μm,列間140μmである。各ノズルからは約5pLの樹脂が吐出されるように制御された。
吐出位置は、スタンパ2又は2′と被転写体1を加圧することで求められる樹脂一滴分の広がりより決定した。前記被転写体1の表面に樹脂を滴下し、スタンパ2を押し当てた結果、樹脂は溝パターンに対して、溝パターンと垂直方向(被転写体1の半径方向)に約140μm、溝パターンと平行方向(被転写体1の周回方向)に約850μmとなる楕円状に広がった。結果として、樹脂の滴下ピッチは、直径20mmから25mmの範囲で、半径方向に80μmとされ、周回方向ピッチは510μmとされた。
被転写体1をスタンパ2′とスタンパ2との間に配置した。このとき、被転写体1の両面は、スタンパ2′及びスタンパ2のいずれにも接しないよう、図示しない保持機構で保持されている。ステージ3と保持部材5で構成されるチャンバ内の雰囲気を減圧した後、ステージ3を上昇させて、被転写体1をスタンパ2とスタンパ2′とで挟み込み加圧した。被転写体をスタンパ2とスタンパ2′で加圧した状態で、スタンパ2′の裏側に配置したUV光源7より、バックアッププレート4の上部に配置したUV光源6よりそれぞれUV光を照射した。UV光の照射により、被転写体1の両面に形成した光硬化性の樹脂が効果した。樹脂が硬化した後、スタンパ2,スタンパ2′の順で被転写体1から剥離した。剥離した被転写体を取り出すことで、スタンパ2及び2′の表面に形成した微細パターンに対応する、幅2μm,ピッチ4μm,深さ80nmの溝パターンが両面に形成された被転写体が作製された。
本実施例では、ステージ3の最表面に厚さ1μmのアルミ層、さらにその上には保護膜として厚さ3nmのSiO2層を形成したが、スタンパ2′の裏面に同じ層を形成してもよい。このとき、アルミ層を形成する面は被転写体1と同じ径とし、スタンパ2′の外周部から紫外光を入射するようにすれば良い。
また、本実施例では、ステージ3の最表面に厚さ1μmのアルミ層、さらにその上には保護膜として厚さ3nmのSiO2層を形成したが、アルミ層上に屈折率の異なる多層の誘電体層を形成し、紫外光を被転写体中心まで導光させても良い。また、誘電体層はスタンパ2′の裏面に形成しても同様の効果が得られる。誘電体層を構成する材料としては、SiO2,Al2O3,TiO2,Ta25等が挙げられる。
(実施例2)
次に、本発明の第2実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図2は、第2実施形態に係るインプリント装置を示す図である。第1実施形態と異なるバックアッププレート4及びUV光源6に関してのみ説明する。
スタンパ2を保持するバックアッププレート4はステンレス製であり、表面は鏡面状に加工されている。さらにステージ最表面には、厚さ1μmのアルミ層、さらにその上には保護膜として厚さ3nmのSiO2層を形成した。
さらに、バックアッププレート4には、スタンパ2の外周部より紫外光を照射するUV光源6を配置した。UV光源6は図示しないレーザダイオードから発せられた365nmの光がファイバ中を通った後レンズ系を介してスタンパ2′に照射される機構とした。また、UV光源6は被転写体1を取り囲むように60度ずつ6機が配置された。
第一実施形態と同様の工程を経ることで、幅2μm,ピッチ4μm,深さ80nmの溝パターンが両面に形成された被転写体が作製された。
(実施例3)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図3は、第3実施形態に関わるインプリント装置を示す図である。第2実施形態と異なるUV照射機構の配置のみ説明する。
UV光源6及びUV光源7は、ステンレス製のバックアッププレート4に設置した。UV光源6は、スタンパ2′に対して紫外光を照射し、被転写体1の裏面側に紫外光が照射するように調整した。UV光源6は被転写体1を取り囲むように60度ずつ6機が配置された。他方、UV光源7は、スタンパ2に対して紫外紫外光を照射し、被転写体1の表面側に紫外光が照射するよう調整した。UV光源7は、UV光源とは30度異なる方向に配置されており、計6機が配置されている。
第二実施形態と同様の工程を経ることで、幅2μm,ピッチ4μm,深さ80nmの溝パターンが両面に形成された被転写体が作製された。
(実施例4)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図4は、第4実施形態に関わるインプリント装置を示す図である。第2実施形態とは異なるステージ3の構造のみ説明する。
図4に示すように、上下に可動するステンレス製のステージ3の上に、厚さ0.5mmのシリコーンゴム層(図示せず)を設置して緩衝層とし、この緩衝層上にスタンパ2′を配置した。ステージ3は、その上面が曲面となっており、その上面が中高となるように配置されている。
本実施例の加圧ステージ3を用いることで、被転写体1の中心から外周方向へ向かって樹脂層を押し広げる力をかけることが可能となり、微細パターンの下地層(ベース層)の薄膜化が容易になる。第二実施形態と同様の工程を経ることで、幅2μm,ピッチ4μm,深さ80nmの溝パターンが両面に形成されると共に、平均厚さ10.3ナノメートルのベース層を形成した被転写体が作製された。
本実施形態において、ステージ3の曲面は、曲率が同じ球面であってもよいし、微細パターンが転写される領域の外側部分での曲率よりも、パターン転写領域の曲率が大きくなった非球面(湾曲面)であってもよい。また、ステージ3の最も突出した部分の位置は、パターン転写領域の中央部の1箇所に限定されるものではなく、例えば、パターン転写領域の中央部から外して設定してもよい。また、ステージ3の最も突出した部分は、峰状に連なって冠状に閉領域を画するものであってもよい。
また、緩衝層は、ステージ3の曲面上に形成される弾性層であって、ステージ3を構成する材料や、被転写体1、およびスタンパ2を構成する材料と比較して弾性率が小さい部材で形成されている。このような弾性率の緩衝層は、被転写体1にスタンパ2が加圧される際に被転写体1の位置がずれることを防止することができる。このような緩衝層としては、例えば、ポリスチレン,ポリイミド,ポリカーボネート等の樹脂や、シリコーンを含んだゴムで形成することができる。また、この緩衝層には、フッ素等の剥離促進材料を含ませてもよいし、緩衝層の表面に剥離促進材料を含んだ層を形成してもよい。
(実施例5)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図5は、第5実施形態に関わるインプリント装置を示す図である。第3実施形態とは異なるステージ3の構造のみ説明する。
図5(a)に示すように、本実施形態に係るインプリント装置は、ステージ3の上面、つまりスタンパ2′側の面が平坦になっている。そして、インプリント装置は、加圧された流体が流通する複数の流路Hを備えており、これらの流路Hのそれぞれは、ステージ3の上面で開口している。
図5(b)に示すように、ステージ3の上面における流路Hの開口は、5つの同心円上に並んでいる。そして、同じ同心円上で開口同士が並ぶ各流路Hは、相互に同じ配管に接続されている。具体的には、図5(b)に示すように、開口が最も内側の同心円上に並ぶ流路Hは、環状の配管P1に接続され、さらにその外側の同心円上に並ぶ流路Hは、順次に外側に向かうほど、環状の配管P2,配管P3,配管P4、および配管P5にそれぞれ接続されている。なお、これらの配管P1,P2,P3,P4,P5は、図示しないが昇降機構9の内部に配置されている。そして、図5(b)に示すように、これらの配管P1,P2,P3,P4,P5のそれぞれには、各配管P1,P2,P3,P4,P5内を流れる流体の圧力を調節する圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5が接続されている。そして、圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5は、同じ同心円上の流路Hの開口から噴出する圧力を調節するようになっている。
本実施例では、前記各圧力調整系統から出力される窒素の噴出量を制御して噴出する窒素の圧力を、ステージ内集側から順に0.5メガパスカル,0.5メガパスカル,0.45メガパスカル,0.4メガパスカル,0.4メガパスカルに設定した。このとき、被転写体1の内側が最大圧力になり、被転写体の外周端部に向かって圧力が小さくなる同心円状の圧力等高線分布になった。
第3実施形態と同様の工程を経ることで、幅2μm,ピッチ4μm,深さ80nmの溝パターンが両面に形成されると共に、厚さ20ナノメートル以下のベース層を形成した被転写体が作製された。
(実施例6)
本実施例では、実施例5と同じ方法で大容量記磁気録媒体(ディスクリートトラックメディア)用の微細パターンが転写されたものを作製した。
被転写体1には、予めプリコート層,磁区制御層、軟磁性下地層,中間層,垂直記録層等からなる磁気記録媒体形成層が公知のDCマグネトロンスパッタリング法により形成された。
スタンパ2,2′には、周知の電子線直接描画法で幅50nm,深さ100nm,ピッチ100nmのラインが同心円状に配列したパターンが形成された。このとき、同心円状の溝の中心軸が、被転写体1の中心穴の中心軸と一致するように配置された。
実施例5と同じ方法で、被転写体1の両面にはスタンパ2,2′の表面に形成した微細パターンに対応する、幅50nm,深さ100nm,ピッチ100nmのライン同心円状に配列したパターンが転写した被転写体を作製した。図7は、転写パターンを示す電子顕微鏡写真像である。
(実施例7)
本実施例では、実施例6と同じ方法で大容量記磁気録媒体(ビットパターンドメディア)用の微細パターンが転写されたものを作製した。
スタンパ2,2′には、直径25nm,深さ60nm,ピッチ45nmの穴が同心円状に配列したパターンが形成された。このとき、同心円状の溝の中心軸が、被転写体1の中心穴の中心軸と一致するように配置された。
実施例6と同じ方法で、被転写体1の両面にはスタンパ2,2′の表面に形成した微細パターンに対応する、直径25nm,深さ60nm,ピッチ45nmの柱状構造が同心円状に配列した被転写体が作製された。図8は、転写パターンを示す原子間力顕微鏡写真像である。
(実施例8)
本実施例では、実施例6で作製した微細パターンが両面に転写された被転写体1を用いたディスクリートトラックメディアの製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。図9の(a)から(c)は、ディスクリートトラックメディアの製造工程の説明図である。
まず、図9(a)に示すように、実施例6で得られた、基板20の両面に、スタンパ2,2′の表面形状が転写された光硬化性樹脂からなるレジストパターン21を有するものが準備された。
次に、レジストパターン21をマスクとして、周知のミリング法で基板20の表面の垂直記録層のみを加工した。このとき、ミリング法は片面ずつ実施した。その結果、図9(b)に示すように、基板20の両面には、レジストパターン21のパターンに対応する凹凸が削り出された。なお、ここでのミリングにはアルゴン系ガスが用いられた。なお、ミリングを行う前に、フッ素系ガスでレジストパターンの下地層を除去し、パターン凹部に相当する部分の基板表面を露出した。
次に、図9(c)に示すように、凹凸が形成された基板20上には、非磁性体22が付与されることで、基板20の表面は平坦化された。その結果、面記録密度200Gbpsi相当のディスクリートトラックメディアが得られた。
実施形態1に係るインプリント装置の構成図。 実施形態2に係るインプリント装置の構成図。 実施形態3に係るインプリント装置の構成図。 実施形態4に係るインプリント装置の構成図。 実施形態5に係るインプリント装置の構成図。 光式のインプリント基本プロセスを説明する図。 実施例6で作製した転写パターン示す原子間力顕微鏡像。 実施例7で作製した転写パターンの断面を示す電子顕微鏡写真。 (a)から(c)は、ディスクリートトラックメディアの製造工程の説明図。
符号の説明
1 被転写体
2,2′ スタンパ
3 加圧ステージ
4 バックアッププレート
5 スタンパ保持部材
6,7 UV光源
8 光硬化性樹脂
11 微細パターン
20 基板
21 レジストパターン
22 非磁性層

Claims (14)

  1. 微細パターンが形成された透明体からなるスタンパと被転写体とを接触させて前記被転写体の表面に前記スタンパの微細パターンを転写する際、前記被転写体表面に形成した光硬化性樹脂の層に光を照射する複数の光源を備えたインプリント装置であって、
    前記スタンパは前記複数の光源と前記被転写体との間に配置され、
    前記複数の光源は、前記スタンパの外周方向であって前記スタンパの表面と平行となる面上に配置され、前記スタンパの裏面から微細形状が形成されている表面に対して斜めの入射角で光を入射し、入射した光を前記スタンパ中で導波、散乱させることで前記被転写体と前記スタンパの間に光を照射することを特徴とするインプリント装置。
  2. 請求項1に記載のインプリント装置において、
    前記入射角は1度〜45度であることを特徴とするインプリント装置。
  3. 請求項1に記載のインプリント装置において、
    前記スタンパの外径は前記被転写体の外径よりも大きく、前記光源からの光が該被転写体と該スタンパが接触していない外周部に入射することを特徴とするインプリント装置。
  4. 請求項1に記載のインプリント装置において、
    前記スタンパの前記被転写体と接触する面とは異なる面に、光を反射する層が形成されていることを特徴とするインプリント装置。
  5. 請求項1に記載のインプリント装置において、
    前記スタンパの前記被転写体と接触する面とは異なる面に、光を導光する層が形成されていることを特徴とするインプリント装置。
  6. 請求項1に記載のインプリント装置において、
    該スタンパと該被転写体を押付けるステージが設置されおり、該ステージ表面には光を反射する層が形成されていることを特徴とするインプリント装置。
  7. 請求項1に記載のインプリント装置において、
    該スタンパと該被転写体を押付けるステージが設置されおり、該ステージ表面には光を導光する層が形成されていることを特徴とするインプリント装置。
  8. 被転写体の両面に、微細パターンが形成された透明体からなる2つのスタンパを両面に接触させて前記被転写体の表面に前記スタンパの微細パターンを転写する際、前記被転写体の両面に形成した光硬化性樹脂の層に光を照射する複数の光源を備えたインプリント装置であって、
    前記スタンパは前記複数の光源と前記被転写体との間に配置され、
    前記複数の光源は、前記スタンパの外周方向であって前記スタンパの表面と平行となる面上に配置され、前記スタンパの裏面から微細形状が形成されている表面に対して斜めの入射角で光を入射し、入射した光を前記スタンパ中で導波、散乱させることで前記被転写体と前記スタンパの間に光を照射することを特徴とするインプリント装置。
  9. 請求項8に記載のインプリント装置において、
    前記入射角は1度〜45度であることを特徴とするインプリント装置。
  10. 請求項8に記載のインプリント装置において、
    前記スタンパの外径は前記被転写体の外径よりも大きく、前記光源からの光が該被転写体と該スタンパが接触していない外周部に入射することを特徴とするインプリント装置。
  11. 請求項8に記載のインプリント装置において、
    前記スタンパの前記被転写体と接触する面とは異なる面に、光を反射する層が形成されていることを特徴とするインプリント装置。
  12. 請求項8に記載のインプリント装置において、
    前記スタンパの前記被転写体と接触する面とは異なる面に、光を導光する層が形成されていることを特徴とするインプリント装置。
  13. 請求項8に記載のインプリント装置において、
    該スタンパと該被転写体を押付けるステージが設置されおり、該ステージ表面には光を反射する層が形成されていることを特徴とするインプリント装置。
  14. 請求項8に記載のインプリント装置において、
    該スタンパと該被転写体を押付けるステージが設置されおり、該ステージ表面には光を導光する層が形成されていることを特徴とするインプリント装置。
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