JP5162597B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ビード部、サイドウォール部およびトレッド部の各部にわたって連続して延びるカーカス層を備えた空気入りラジアルタイヤに関する。
この種の従来技術に関連して、特許文献1に開示された空気入りラジアルタイヤがある。
この空気入りラジアルタイヤは、車両装着外側のサイドウォール部において、タイヤ幅方向に沿って、最も突出する最大幅部を有する。最大幅部におけるゴムゲージ(タイヤ外郭からカーカス層までのゴムの厚み)は、車両装着内側のサイドウォール部の最大幅部におけるゴムゲージより薄く設定される。
これにより、空気入りラジアルタイヤは、タイヤの軽量化を図るとともに、走行時にトレッド部で発生する騒音の車室内への伝達を抑制する。
特開平8−156532号公報
しかしながら、上述した空気入りラジアルタイヤでは、タイヤの軽量化を図れるとともに車室内の騒音を低減できるが、ゴムゲージの厚さを変えるため、空気充填時のタイヤ外郭形状が変わることについて配慮されていなかった。
また、上述した空気入りラジアルタイヤでは、コーナーなどでの車両旋回時に発生する遠心力によって、空気入りラジアルタイヤに横方向の負荷がかかり、車両装着外側のサイドウォール部に大きな負荷がかかるため、サイドウォール部およびトレッド部が、変形する場合がある。この場合、トレッド部の接地面積が減るため、空気入りラジアルタイヤは、車両旋回時の操縦安定性を損なうという問題があった。
また、上記のようなサイドウォール部の変形を抑制するために、トレッド部の車両装着外側および車両装着内側において、両方のサイドウォール部の剛性を向上させた空気入りラジアルタイヤが考えられる。しかし、このような空気入りラジアルタイヤが、車両直進時にトレッド部の車両装着内側が主に接地する場合、車両装着内側のサイドウォール部は、剛性が高すぎるため、変形し難くなる。従って、このような空気入りラジアルタイヤは、トレッド部の路面追従性が劣り、車両の直進安定性および加減速性を損なうおそれがあった。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、車両の直進安定性を確保するとともに、車両旋回時の操縦安定性を向上できる空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とする。
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、環形状を有する一対のビード部(ビード部2A,2B)と、一対のビード部のタイヤ径方向の外方に配置され、タイヤ幅方向の中心線であるタイヤ赤道線(タイヤ赤道線CL)を含むトレッド踏面部(トレッド踏面部3a)を有するトレッド部(トレッド部3)と、トレッド部のタイヤ幅方向の両端部(タイヤ幅方向端部3b、タイヤ幅方向端部3c)とビード部のタイヤ径方向の外方端とを連結する一対のサイドウォール部(サイドウォール部4A,4B)と、ビード部、サイドウォール部およびトレッド部の各内部にわたって連続して延設され、タイヤの骨格を形成するカーカス層(カーカス層5)とを備えた空気入りラジアルタイヤ(タイヤ1)であって、タイヤ幅方向に沿った断面において、タイヤ幅方向に沿ったトレッド部の両端部におけるタイヤ外郭からカーカス層までの厚みである第1ゴムゲージ(第1ゴムゲージG1、G2)は、車両装着内側に比べて車両装着外側が厚く、サイドウォール部のタイヤ幅方向に最も突出する最大幅部(最大幅部4a、4b)におけるタイヤ外郭からカーカス層までのタイヤ幅方向に沿った厚みである第2ゴムゲージ(例えば、第2ゴムゲージG3、G4)は、車両装着内側より車両装着外側が薄いことを要旨とする。
かかる特徴によれば、タイヤ幅方向に沿ったトレッド部の両端部におけるタイヤ外郭からカーカス層までの第1ゴムゲージは、車両装着内側に比べて車両装着外側が厚い。また、サイドウォール部のタイヤ幅方向に最も突出する最大幅部におけるタイヤ外郭からカーカス層までの第2ゴムゲージは、車両装着内側に比べて車両装着外側が薄い。
このため、タイヤ空気充填時の空気入りラジアルタイヤにおけるサイドウォール部のバットレス部分(トレッド部のタイヤ幅方向端部からサイドウォール部の最大幅部までの部分)において、カーカス層のケースラインの表面曲率半径は、車両装着内側に比べて車両装着外側が大きくなる。
その結果、バットレス部分にてカーカス層が受け持つ張力は、車両装着内側に比べて車両装着外側が大きくなる。つまり、空気入りラジアルタイヤは、車両装着内側に比べて車両装着外側のサイドウォール部の剛性が強くなる。
空気入りラジアルタイヤは、コーナーなどでの車両旋回時に横方向に遠心力を受けて車両装着外側へ付勢された際、トレッド部の接地部分がタイヤ赤道線から車両装着外側に分布し、車両装着外側のサイドウォール部に大きな負荷が掛かかる。
この場合、車両装着外側のサイドウォール部は、サイドウォール部の変形を抑制してトレッド部の接地面積を大きく確保できる。これにより、空気入りラジアルタイヤは、車両旋回時の操縦安定性を向上できる。
一方、車両が直進する際、車両のキャンバー角の設定より前輪のトレッド部の接地部分がタイヤ赤道線から車両装着内側に分布し、車両装着内側のサイドウォール部に大きな負荷が掛かかる。この場合、車両装着外側に比べて、車両装着内側に設けられたサイドウォール部の剛性は、弱く、車両装着内側のサイドウォール部は、変形しやすい。
つまり、車両の直進時に、車両装着外側のサイドウォール部と比べて、車両装着内側のサイドウォール部に大きな負荷が掛かる際、サイドウォール部は、変形しやすいため、トレッド部の路面追従性が良くなる。従って、空気入りラジアルタイヤは、車両の直進安定性および加減速性能を向上できる。
発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、カーカス層は、タイヤ幅方向に沿った断面において、カーカス層の中心を通る線であるケースラインを形成し、トレッド部のタイヤ幅方向の端部から、サイドウォール部の最大幅部までの部分に沿ったケースラインの表面曲率半径は、車両装着内側より車両装着外側が大きいことを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、最大幅部からビード部までのタイヤ径方向に沿った長さ(例えば、長さH1)は、車両装着内側より車両装着外側が短いことを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、ビード部のタイヤ径方向外方に、ビードフィラー(例えば、ビードフィラー6A)を含み、タイヤ幅方向に沿った断面において、車両装着外側に配置されるビードフィラーの断面積は、車両装着内側に配置されるビードフィラーの断面積に比べて大きいことを要旨とする
本発明の第5の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、ビード部のタイヤ径方向外方に、ビードフィラーを含み、タイヤ幅方向に沿った断面において、車両装着外側に配置されるビードフィラーの硬度は、車両装着内側に配置されるビードフィラーの硬度に比べて高いことを要旨とする。
本発明の第6の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、ビード部のタイヤ径方向外方に、ビードフィラーを含み、車両装着外側に配置されるビードフィラーに沿ってタイヤ径方向内側から外側へシート状のビードフィラーシートを設けることを要旨とする。
本発明の第7の特徴は、本発明の第4の特徴に係り、車両装着外側に配置されるビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さは、車両装着内側に配置される前記ビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さに比べて長いことを要旨とする。
本発明の第8の特徴は、本発明の第4の特徴に係り、車両装着外側に配置されるビードフィラーのタイヤ幅方向に沿った最大厚みは、車両装着内側に配置されるビードフィラーのタイヤ幅方向に沿った最大厚みより厚いことを要旨とする。
本発明の第9の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、タイヤ赤道線を含むタイヤ赤道部および該タイヤ赤道部より車両装着内側に、タイヤ周方向に延びる主溝が形成されることを要旨とする。
発明の特徴によれば、車両の直進安定性を確保するとともに、車両旋回時の操縦安定性を向上できる空気入りラジアルタイヤを提供できる。
図1は、本発明の一実施形態を示し、空気充填時における空気入りラジアルタイヤの断面図である。 図2は、本発明の一実施形態を示し、空気入りラジアルタイヤの斜視図である。 図3は、本発明の一実施形態を示し、空気入りラジアルタイヤのトレッド部に設けられるパターンの展開図である。 図4は、本発明の実施例1を示し、従来例と実施例1の空気入りラジアルタイヤの接地幅および接地面積を評価するとともに、サーキット用テストコースにおいて平均走行速度を同一タイヤ・同一試験車両で評価し、その際の各種データを示す図である。 図5は本発明の実施例2を示し、実施例1に対しての空気入りラジアルタイヤの接地幅および接地面積を評価するとともに、サーキット用テストコースにおいて平均走行速度を同一タイヤ・同一試験車両で評価し、その際の各種データを示す図である。
[実施形態]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。具体的には、(1)空気入りラジアルタイヤの全体構成、(2)トレッド踏面部の詳細構成、(3)外側横溝の詳細構成、(4)作用・効果について説明する。
図1〜図3は本発明の一実施形態を示す。図1は空気充填時における空気入りラジアルタイヤの断面図である。
(1)空気入りラジアルタイヤの全体構成
空気入りラジアルタイヤの全体構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態の空気入りラジアルタイヤ(以下、タイヤと称する)1は、左右一対のビード部2A,2Bと、トレッド部3と、左右一対のサイドウォール部4A,4Bと、カーカス層5を備えている。
ビード部2A,2Bは、環形状を有する。トレッド部3は、ビード部2A,2Bのタイヤ径方向の外方に配置されるとともに、トレッド踏面部3aを有する。サイドウォール部4A,4Bは、トレッド部3のタイヤ幅方向両端部3b、3cとビード部2A,2Bのタイヤ径方向外方端とを連結する。ビード部2A,2B、サイドウォール部4A,4Bおよびトレッド部3の各内部には、これらの各部にわたって連続して延びるカーカス層5が設けられている。
なお、車両装着外側のサイドウォール部4Aのうち、トレッド部3のタイヤ幅方向端部3bからサイドウォール部4Aの最大幅部4aまでの部分に、バットレス部が形成されている。同様に、車両装着内側のサイドウォール部4Bのうち、トレッド部3のタイヤ幅方向端部3cからサイドウォール部4Bの最大幅部4bまでの部分に、車両装着内側のバットレス部が形成されている。
また、本実施形態のタイヤ1において、車両装着外側のビード部2Aのタイヤ径方向外方にビードフィラー6Aが設けられる。タイヤ1では、カーカス層5の一端が、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道線側から、ビード部2Aおよびビードフィラー6Aを包み込んで車両装着外側に折り返される。また、タイヤ1では、折り返し部5aの終端が、ビードフィラー6Aのタイヤ径方向外方に配置される。
同様に、タイヤ1には、車両装着内側のビード部2Bのタイヤ径方向外方にビードフィラー6Bが設けられる。タイヤ1では、カーカス層5の他端が、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道線側から、ビード部2Bおよびビードフィラー6Bを包み込んで車両装着内側に折り返される。また、タイヤ1では、折り返し部5bの終端がビードフィラー6Bのタイヤ径方向外方に配置される。
本実施形態のタイヤ1は、ビード部2A,2B側の端部がリムフランジ7側に取付けられた状態で所定気圧の空気が充填される。タイヤ1は、車両装着方向の内側および外側が指定されており、一方のビード部2Aおよびサイドウォール部4Aが車両装着外側に配置され、他方のビード部2Bおよびサイドウォール部4Bが車両装着内側に配置されている。
サイドウォール部4A,4Bは、タイヤ幅方向の外側に膨出している最大幅部4a、4bをそれぞれ備える。
リムガード部8A,8Bは、最大幅部4a、4bよりリムフランジ7側に形成される。リムガード部8A,8Bは、リムフランジ7よりタイヤ幅方向外側に突出する。
最大幅部4a、4bは、リムガード部8A,8Bの部分を除いた場合にタイヤ幅方向外側に最も突出している。
最大幅部からビード部までのタイヤ径方向に沿った長さは、車両装着内側より車両装着外側が短い。
具体的には、車両装着外側のサイドウォール部4Aの最大幅部4aからビード部2Aの端部までのタイヤ径方向に沿った長さH1は、車両装着内側のサイドウォール部4Bの最大幅部4bからビード部2Bの端部までのタイヤ径方向の長さH2より短い。
タイヤ幅方向に沿った断面において、タイヤ幅方向に沿ったトレッド部3の両端部におけるタイヤ外郭からカーカス層5までの厚みである第1ゴムゲージは、車両装着内側に比べて車両装着外側が厚い。
具体的には、タイヤ幅方向に沿った断面において、タイヤ幅方向に沿ったトレッド部3の車両装着外側のタイヤ幅方向端部3bにおけるタイヤ外郭からカーカス層5までのゴムの厚みである第1ゴムゲージG1は、トレッド部3の車両装着内側のタイヤ幅方向端部3cにおけるタイヤ外郭からカーカス層5までのゴムの厚みである第1ゴムゲージG2より厚い。
なお、第1ゴムゲージG1とは、タイヤ幅方向端部3bを通り、カーカス層5に垂直に交わる直線において、タイヤ外郭からタイヤ外郭側のカーカス層5の端部までの厚みを示す。第1ゴムゲージG2とは、タイヤ幅方向端部3cを通り、カーカス層5に垂直に交わる直線において、タイヤ外郭からタイヤ外郭側のカーカス層5の端部までの厚みを示す。
タイヤ幅方向に沿った断面において、サイドウォール部4A,4Bのタイヤ幅方向に最も突出する最大幅部4a、4bにおけるタイヤ外郭からカーカス層5までのタイヤ幅方向に沿った厚みである第2ゴムゲージは、車両装着内側より車両装着外側が薄い。
具体的には、タイヤ幅方向に沿った断面において、車両装着外側のサイドウォール部4Aの最大幅部4aにおけるタイヤ外郭からカーカス層5までのゴムの厚みである第2ゴムゲージG3は、車両装着内側のサイドウォール部4Bの最大幅部4bにおけるタイヤ外郭からカーカス層5までのゴムの厚みである第2ゴムゲージG4より薄い。
なお、第2ゴムゲージG3とは、最大幅部4aを通り、カーカス層5に垂直に交わる直線において、タイヤ外郭からタイヤ外郭側のカーカス層5の端部までの厚みを示す。第2ゴムゲージG4とは、最大幅部4bを通り、カーカス層5に垂直に交わる直線において、タイヤ外郭からタイヤ外郭側のカーカス層5の端部までの厚みを示す。
カーカス層5は、タイヤ幅方向に沿った断面において、カーカス層5の中心を通る線であるケースラインを形成する。トレッド部3のタイヤ幅方向の端部から、サイドウォール部4A,4Bの最大幅部までの部分に沿ったケースラインの
表面曲率半径は、車両装着内側より車両装着外側が大きい。
具体的には、タイヤ1の空気充填時に車両装着外側のバットレス部(タイヤ幅方向端部3bから最大幅部4aまでの部分)におけるカーカス層5のケースラインの表面曲率半径R1は、車両装着内側のバットレス部(タイヤ幅方向端部3cから最大幅部4bまでの部分)におけるカーカス層5のケースラインの表面曲率半径R2より大きい。
その結果、車両装着外側のバットレス部にてカーカス層5が受け持つ張力は、車両装着内側のバットレス部にてカーカス層5が受け持つ張力より大きくなる。
車両装着外側に配置されるビードフィラー6Aのタイヤ幅方向に沿った最大厚みは、車両装着内側に配置されるビードフィラー6Bのタイヤ幅方向に沿った最大厚みより厚い。
タイヤ幅方向に沿った断面において、ビード部2Aの中心C1およびビード部2Bの中心C2を結ぶビード線BLと直角をなすビート線BLの中心Tを通過するタイヤ赤道線CLと、カーカス層5の中心を通過するケースライン(図示せず)とが交差した点を交差地点Pとする。
交差地点Pから、ケースラインに沿ってビード部2Aの内端に最も接近する地点P1までの距離である外側カーカスペリフェリ長Ca1は、交差地点Pからケースラインに沿ってビード部2Bの内端に最も接近する地点P2までの距離である内側カーカスペリフェリ長Ca2より短い。
(2)トレッド踏面部の詳細構成
トレッド踏面部の詳細構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、空気入りラジアルタイヤの斜視図である。図3は、空気入りラジアルタイヤのトレッド部に設けられるパターンの展開図である。
図2及び図3に示すように、タイヤ1のトレッド踏面部3aには、タイヤ周方向に沿って延びる2本の主溝9、10と、タイヤ周方向に沿って延在する複数の陸部列11、12、13とが形成されている。
主溝9は、タイヤ赤道線CLを含むタイヤ赤道部に形成される。主溝10は、タイヤ赤道部よりも車両装着内側に形成される。主溝9及び主溝10は、タイヤ幅方向に互いに間隔をあけて形成されている。
したがって、トレッド踏面部3aは、2本の主溝9,10によって、センター陸部列11と、内側ショルダー陸部列12と、外側ショルダー陸部列13とに区画されている。
センター陸部列11は、タイヤ赤道部より少し車両装着内側に位置する。内側ショルダー陸部列12は、センター陸部列11よりも車両装着内側に位置する。外側ショルダー陸部列13は、タイヤ赤道部よりも車両装着外側に位置する。
外側ショルダー陸部列13のタイヤ幅方向に沿った幅は、内側ショルダー陸部列12のタイヤ幅方向に沿った幅よりも広い。具体的には、外側ショルダー陸部列13のタイヤ幅方向に沿った幅は、内側ショルダー陸部列12のタイヤ幅方向に沿った幅に対して、約1.5倍になるように設定されている。なお、約1.5倍とは、1.5倍のみを示すのではなく、1.3〜1.8倍までを含むことを意味する。
外側ショルダー陸部列13は、タイヤ周方向に沿って延びるV字状溝14により、第1外側ショルダー陸部列13Aと、第2外側ショルダー陸部列13Bとに区画されている。
内側ショルダー陸部列12には、タイヤ幅方向に延びる内側横溝15が、タイヤ周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。
具体的には、タイヤ周方向に隣接する内側横溝15のピッチは、トレッド部3の周長の2.5%〜5%の範囲に設定されている。
内側横溝15は、タイヤ幅方向に沿った内方端である内方端15aと、タイヤ幅方向に沿った外方端とを有する。具体的には、内方端15aは、車両装着内側に配置された主溝10よりも車両装着内側に位置される。内側横溝15の外方端は、トレッド部3の両側部のうち車両装着内側の側部に位置される。
つまり、内側横溝15は、トレッド踏面部3aの車両装着内側におけるタイヤ幅方向の端部を跨いでタイヤ幅方向に沿って延在している。
第1外側ショルダー陸部列13Aには、タイヤ幅方向に延びる第1外側横溝16および第2外側横溝17がタイヤ周方向に交互に形成されている。
第1外側横溝16は、タイヤ幅方向に沿った内方端と、タイヤ幅方向に沿った外方端とを有する。
具体的には、第1外側横溝16の内方端は、V字状溝14に連通する。第1外側横溝16の外方端は、トレッド踏面部3aにおける車両装着外側の端部を跨いで、トレッド部3の両側部のうち車両装着外側の側部にまで到達している。
その結果、第1外側ショルダー陸部列13Aは、第1外側横溝16により複数の外側ショルダー陸部18に区画されている。
第2外側横溝17は、そのタイヤ幅方向の両端が各外側ショルダー陸部18内で終端しており、V字状溝14およびトレッド部3の車両装着外側の側部まで到達していない。
すなわち、トレッド部3の車両装着外側の接地端部を含む第1外側ショルダー陸部列13Aの一部が、タイヤ周方向に連続するブロック18aを形成している。
具体的には、タイヤ周方向に隣接するブロック18aにおける第1外側横溝16のピッチは、トレッド部3の周長の5%〜10%の範囲に設定されている。
つまり第1外側横溝16のピッチは、内側横溝15のピッチに比べて大きい。具体的には、第1外側横溝16のピッチは、内側横溝15のピッチに対して、約2倍の間隔に設定されている。
(3)外側横溝の詳細構成
次に、本実施形態における外側横溝の詳細構成について、図3を用いて、説明する。
第2外側ショルダー陸部列13Bには、タイヤ幅方向に延びる第3外側横溝19および第4外側横溝20が、タイヤ周方向に交互に形成されている。
第3外側横溝19は、第2外側ショルダー陸部列13Bの車両装着内側の端部に、タイヤ周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。第3外側横溝19は、タイヤ赤道部に形成される主溝9と連通している。
第3外側横溝19は、主溝9に面する一端19aの間口が広く形成され、第2外側ショルダー陸部列13Bのタイヤ幅方向の中間部に位置する他端19bに向かうにしたがって次第に閉じる。これにより、第3外側横溝19は、V字形に形成されている。
第4外側横溝20は、第2外側ショルダー陸部列13Bの車両装着外側の端部に、タイヤ周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。第4外側横溝20は、V字状溝14と連通している。
第4外側横溝20は、V字状溝14に面する一端の間口が広く形成され、第2外側ショルダー陸部列13Bのタイヤ幅方向の中間部に位置する他端20bに向かうにしたがって次第に閉じる。これにより、第4外側横溝20は、V字形に形成されている。
外側ショルダー陸部18は、タイヤ幅方向の外側に位置する第1頂面部18bと、この第1頂面部18bからタイヤ幅方向の内側に向かうに従い漸次、タイヤ径方向内方に向けたへこみ量が大きくなる第1傾斜面部18cとを備えている。
同様に、第2外側ショルダー陸部列13Bは、タイヤ幅方向の外側に位置する第2頂面部21aと、この第2頂面部21aからタイヤ幅方向の外側に向かうに従い漸次、タイヤ径方向内方に向けたへこみ量が大きくなる第2傾斜面部21bとを備えている。
なお、第1頂面部18bおよび第2頂面部21aは、このタイヤ1を正規条件下で平坦路面に置いた静止状態で接地するタイヤ接地面の一部を構成している。
第1傾斜面部18cおよび第2傾斜面部21bが、互いにタイヤ周方向で重なり合うことにより、タイヤ赤道部よりも車両装着外側に位置する外側ショルダー陸部列13に、第1傾斜面部18cおよび第2傾斜面部21bを側壁の一部に有するV字状溝14が形成されている。
V字状溝14は、深さ(タイヤ径方向の寸法)が2本の主溝9、10のように一定ではなく、タイヤ周方向の位置によって変化している。V字状溝14には、第1外側横溝16および第4外側横溝20と連通する部分で、第1外側横溝16および第4外側横溝20と同様の深さの平坦な底部が形成される。V字状溝14には、第1傾斜面部18cおよび第2傾斜面部21bの部分で傾斜し、かつ第1横溝16および第4外側横溝20より浅い底部が形成される。
すなわち、V字状溝14は、第1外側横溝16および第4外側横溝20と同様の深さでタイヤ周方向に連続しておらず、不連続な状態で形成されている。
(4)作用・効果
以上説明したように、本実施形態によるタイヤ1によれば、タイヤ幅方向に沿ったトレッド部3のタイヤ幅方向端部3b、3cにおけるタイヤ外郭からカーカス層5までの第1ゴムゲージG1、G2は、車両装着内側に比べて車両装着外側が厚い。また、サイドウォール部4A,4Bのタイヤ幅方向に最も突出する最大幅部4a、4bにおけるタイヤ外郭からカーカス層5までの第2ゴムゲージG3、G4は、車両装着内側に比べて車両装着外側が薄い。
このため、タイヤ空気充填時のタイヤ1におけるサイドウォール部4A,4Bのバットレス部分(トレッド部3のタイヤ幅方向端部3b、3cからサイドウォール部4A,4Bの最大幅部4a、4bまでの部分)において、カーカス層のケースラインの表面曲率半径は、車両装着内側に比べて車両装着外側が大きくなる。
その結果、バットレス部分にてカーカス層5が受け持つ張力は、車両装着内側に比べて車両装着外側が大きくなる。つまり、タイヤ1は、車両装着内側に比べて車両装着外側のサイドウォール部4Aの剛性が強くなる。
タイヤ1は、コーナーなどでの車両旋回時に横方向に遠心力を受けて車両装着外側へ付勢された際、トレッド部3の接地部分がタイヤ赤道線CLから車両装着外側に分布し、車両装着外側のサイドウォール部4Aに大きな負荷が掛かかる。
この場合、車両装着外側のサイドウォール部4Aは、サイドウォール部4Aの変形を抑制してトレッド部の接地面積を大きく確保できる。これにより、タイヤ1は、車両旋回時の操縦安定性を向上できる。
一方、車両が直進する際、車両のキャンバー角の設定より前輪のトレッド部3の接地部分がタイヤ赤道線CLから車両装着内側に分布し、車両装着内側のサイドウォール部4Bに大きな負荷が掛かかる。この場合、車両装着外側に比べて、車両装着内側に設けられたサイドウォール部4Bの剛性は、弱く、車両装着内側のサイドウォール部4Bは、変形しやすい。
つまり、車両の直進時に、車両装着外側のサイドウォール部4Aと比べて、車両装着内側のサイドウォール部4Bに大きな負荷が掛かる際、サイドウォール部4Bは、変形しやすいため、トレッド部3の路面追従性が良くなる。従って、タイヤ1は、車両の直進安定性および加減速性能を向上できる。
本実施形態では、トレッド部3のタイヤ幅方向のタイヤ幅方向端部3bから、サイドウォール部4Aの最大幅部4aまでの部分に沿ったケースラインの表面曲率半径R1が、トレッド部3のタイヤ幅方向のタイヤ幅方向端部3cから、サイドウォール部4Bの最大幅部4bまでの部分に沿ったケースラインの表面曲率半径R2より大きい。つまり、バットレス部分にてカーカス層5が描く表面曲率半径R1及び表面曲率半径R2の差が生じるため、タイヤ1は、車両装着内側と車両装着外側との非対称性を高めることができる。なお、このような特徴は、サイドウォール部の高さが比較的高く、表面曲率半径の設定自由度が高い比較的高扁平タイプのタイヤに更に効果的である。
本実施形態では、車両装着内側サイドウォール部4Aのタイヤ幅方向の最大幅部4aからビード部2Aまでのタイヤ径方向に沿った長さH1は、車両装着内側サイドウォール部4Bのタイヤ幅方向の最大幅部4bからビード部2Bまでのタイヤ径方向に沿った長さH2より短い。
従って、車両装着内側のサイドウォール部4Bの剛性は、サイドウォール部4Aの剛性に比べて弱くて変形しやすいため、タイヤ1は、車両直進時にトレッド部3の路面追従性が更によくなる。
一方、車両装着外側のサイドウォール部4Aの剛性は、サイドウォール部4Bの剛性に比べて強くて変形しにくいため、タイヤ1は、車両旋回時に車両装着外側のサイドウォール部4Aの変形を抑制してトレッド部3の接地面積を大きく確保できる。
本実施形態では、タイヤ幅方向に沿った断面において、車両装着外側に配置されるビードフィラー6Aの断面積は、車両装着内側に配置されるビードフィラー6Bの断面積に比べて大きいため、タイヤ1は、車両装着外側のサイドウォール部4Aの剛性を更に高めるとともに、車両装着内側のサイドウォール部4Bの剛性を更に低く抑えることができる。
本実施形態では、車両装着外側に配置されるビードフィラー6Aの硬度は、車両装着内側に配置されるビードフィラー6Bの硬度に比べて高いため、タイヤ1は、車両装着外側のサイドウォール部4Aの剛性を更に高めるとともに、車両装着内側のサイドウォール部4Bの剛性を更に低く抑えることができる。
本実施形態では、車両装着外側に配置されるビードフィラー6Aに沿ってタイヤ径方向内側から外側へシート状のビードフィラーシートを設けるため、タイヤ1は、車両装着外側のサイドウォール部4Aの剛性を高めることができる。
また、車両装着内側には上記ビードフィラーシートを設けないので、タイヤ1は、車両装着内側のサイドウォール部4Bの剛性を低く抑えることができる。
なお、このような特徴は、タイヤが装着される車両の重量が重くてタイヤ変形が比較的大きい場合に更に効果的である。
本実施形態では、車両装着外側に配置されるビードフィラー6Aのタイヤ径方向に沿った長さは、車両装着内側に配置されるビードフィラー6Bのタイヤ径方向に沿った長さに比べて長いため、タイヤ1は、車両装着外側のビードフィラー6Aの断面積を、車両装着内側のビードフィラー6Bの断面積よりも容易に大きくすることができる。
これに伴って、タイヤ1は、車両装着外側のサイドウォール部4Aの剛性を車両装着内側よりさらに高めることができる。このような特徴は、コーナリング性能が高い車両に装着されて、車両旋回時のサイドウォール部の変形が比較的大きい場合に更に効果的である。
本実施形態では、車両装着外側に配置されるビードフィラー6Aのタイヤ幅方向に沿った最大厚みは、車両装着内側に配置されるビードフィラー6Bのタイヤ幅方向に沿った最大厚みより厚いため、タイヤ1は、ビードフィラー6Aの断面積を、ビードフィラー6Bの断面積よりも容易に大きくすることができる。
これに伴って、タイヤ1は、車両装着外側のサイドウォール部4Aの剛性を高めるとともに、車両装着内側のサイドウォール部4Bの剛性を低く抑えることができる。このような特徴は、コーナリング性能が高い車両に装着されて、車両旋回時のサイドウォール部の変形が比較的大きく、かつサイドウォール部の高さが比較的低い低扁平タイプのタイヤに更に効果的である。
本実施形態では、車両直進時にトレッド部3の主な接地部分であるタイヤ赤道部から車両装着内側に形成された主溝9、10がタイヤ周方向に延びているため、タイヤ1は、直進安定性を向上できる。また、タイヤ1は、主溝9,10により排水を行なうことによりトレッド部3の排水性を向上できる。
さらに、タイヤ1は、車両旋回時に横方向に遠心力を受けて車両装着外側へ付勢され、トレッド部3の接地部分が車両装着外側に分布した場合、トレッド部3の接地面積が車両装着内側に比べて車両装着外側が広いため、タイヤ1は、トレッド部3の接地面積を大きく確保できる。
本実施形態では、トレッド部3の車両装着外側の接地端部を含む第1外側ショルダー陸部列13Aの一部が、タイヤ周方向に連続するリブ部18aを形成している。また、第2外側横溝17のタイヤ幅方向の外方端は、各外側ショルダー陸部18内で終端し、ブロック18aにおける第1外側横溝16のピッチをトレッド部3の周長の5%〜10%の範囲、つまり内側横溝15のピッチの約2倍の間隔に設定している。
従って、タイヤ1は、トレッド部3の車両装着外側の接地端部での剛性を向上できるため、トレッド部3の変形を抑制して接地面積を大きく確保できるとともに、トレッド部3の耐久性を向上できる。
また、タイヤ1において、トレッド部3のタイヤ赤道部を境として車両装着外側および車両装着内側パターンを非対称に形成し、タイヤ赤道部と車両装着内側にそれぞれ主溝9、10を配置するとともに、車両装着内側の横溝15のピッチをトレッド部3の周長の2.5%〜5%の範囲に設定し、横溝15のピッチと比べて、車両装着外側の第1外側横溝16及び第2外側横溝17のピッチを大きくすることにより、トレッド部3の接地面積は、車両装着内側に比べて車両装着外側が広く設定されている。
本実施形態では、車両装着外側のカーカスペリフェリ長Ca1が、車両装着内側のカーカスペリフェリ長Ca2に比べて短いため、タイヤ1は、コニシティが発生して車両旋回時の横力がスムースに立ち上がり、車両旋回時の操縦安定性を向上させることができる。
また、タイヤ1を左右両輪に装着することによって、コニシティが車両の左側と右側と反対方向に発生するため、当該コニシティを互いに打ち消し合い直進性能を確保することできる。
以上説明したように、本実施形態によるタイヤ1によれば、トレッド部3の車両装着外側および内側に形成される非対称なパターンと、車両装着外側および内側に設けられる非対称なタイヤ構造とを組み合わせて備える。
このため、タイヤ1によれば、車両直進時に、車両装着内側のサイドウォール部4Bに比較的大きな負荷が掛かる場合、サイドウォール部4Bが変形しやすくトレッド部3の路面追従性が良くなる。従って、タイヤ1は、車両の直進安定性および加減速性能を向上できる。
また、タイヤ1は、車両旋回時に横方向に遠心力を受けて車両装着外側へ付勢されたとき、車両装着内側に比べて車両装着外側のトレッド部3の接地面積が広い。更に、タイヤ1は、サイドウォール部4Aの変形を抑制することにより、トレッド部3の接地面積を大きく確保できる。
従って、タイヤ1は、車両旋回時の操縦安定性を向上できる。
つまり、タイヤ1は、通常走行時に快適な乗り心地を提供できるとともに、車両のサーキットでの限界走行時のラップタイムを向上できる。
[実施例]
従来例と一実施例の空気入りラジアルタイヤの接地幅および接地面積を評価するとともに、サーキット走行用テストコースにおいて平均走行速度を同一タイヤ・同一試験車両で評価した。図4は、その際の実施例1における各種データを示す。
使用した空気入りラジアルタイヤは、サイズが225/45R17のものである。ゴムゲージおよびカーカス層ケースラインのタイヤ径方向の曲率は、210kPaの空気充填状態で測定した。その際の測定条件は8.0J−17である。
タイヤの接地幅および接地面積は、230kPaの空気充填状態で7.5kNの荷重を掛けて測定し、実施例1の測定結果を指数100で表示した。その際の測定条件は8.0J-17で、キャンバー角(CA)が2.0度である。指数が大きいほど接地幅および接地面積が大きい。
また、インプッサSTiでエビス東コースを走行し、5周計測してベストラップ3周の平均時間を求めて平均走行速度の指数に換算した。なお、その際の測定条件は7.5J−17で、Fr/Re:230/190kPaである。指数が大きいほど平均走行速度が速い。
従来例は、実施例1と同様のトレッドパターンを有するとともに、トレッド部端部の第1ゴムゲージ、およびサイドウォール部の最大幅部の第2ゴムゲージがそれぞれ車両装着外側および内側で同じであり、また、カーカス層のケースラインの表面曲率半径が、それぞれ車両装着外側および内側で同じである。すなわち、従来例は、左右対称の構造を備えている。
実施例1は、車両装着外側のトレッド部端部の第1ゴムゲージが10.0で、車両装着内側のトレッド部端部の第1ゴムゲージが9.0であり、車両装着外側が大きく設定されている。
また、実施例1は、車両装着外側サイドウォール部の最大幅部の第2ゴムゲージが3.0で、車両装着内側サイドウォール部の最大幅部の第2ゴムゲージが4.0であり、車両装着内側が大きく設定されている。
実施例1は、車両装着内側のカーカス層のケースラインの表面曲率半径が50で、従来例と同様であるのに対して、車両装着外側のカーカス層のケースラインの表面曲率半径が85であり、比較的大きく設定されている。
さらに、実施例1は、車両装着外側サイドウォール部の最大幅部からビード部までのタイヤ径方向の長さが従来例と同等の53で、車両装着内側サイドウォール部の最大幅部からビード部までのタイヤ径方向の長さが55である。
つまり、実施例1は、車両装着内側サイドウォール部の最大幅部のタイヤ径方向の長さが長さ設定されている。したがって、実施例1は、左右非対称の構造を備えている。なお、実施例1は、車両装着外側のビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さと、車両装着内側のビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さは、同じになるように設定されている。
その結果、実施例1は、タイヤの接地幅の指数が101で、接地面積の指数が103であった。従って、実施例1は、タイヤの接地幅および接地面積の向上が認められた。これに伴って、実施例1は、旋回時の操縦安定性が良好となるので、平均走行速度の指数が101となり、平均走行速度の向上が認められた。
次に、実施例2について、タイヤの接地幅および接地面積を評価するとともに、サーキット走行用テストコースにおいて平均走行速度を同一タイヤ・同一試験車両で評価した結果を示す。図5は、その際の実施例2における各種データを示す。
実施例2は、実施例1と同様のトレッドパターンを有するとともに、図5に示される各寸法に設定されている。つまり、実施例2は、図4に示される実施例1とは、ビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さが異なる以外は、各寸法が同等である。
実施例2は、車両装着外側のビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さが従来例と同等の40で、車両装着内側のビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さが35である。
つまり、実施例2は、車両装着内側のビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さが、車両装着外側に比べて、短く設定されている。
これにより、実施例2は、車両装着内側のビードフィラーの断面積が車両装着外側のビードフィラーの断面積より小さく設定されて、車両装着内側のサイドウォール部の剛性が車両装着外側のサイドウォール部よりも低くなる。
その結果、実施例2は、加減速性能が改善され、平均走行速度の向上が認められた。なお、実施例2のタイヤの接地幅、および実施例2の接地面積の指数は、実施例1と同等である。
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
例えば、上記一実施形態では、車両装着外側のビードフィラー6Aの最大厚みを車両装着内側のビードフィラー6Bの最大厚みより厚く設定したが、さらに、車両装着外側のビードフィラー6Aのタイヤ径方向に沿った長さを、車両装着内側のビードフィラー6Bのタイヤ径方向に沿った長さより長く設定することによっても、車両装着外側ビードフィラー6Aの断面積を、車両装着内側ビードフィラー6Bの断面積より大きくして、車両装着外側サイドウォール部4Aの剛性を高めるとともに、車両装着内側サイドウォール部4Bの剛性を低く抑えることができる。
また、車両装着外側のビードフィラー6Aの硬度を車両装着内側のビードフィラー6Bの硬度より高く設定することによっても、車両装着外側サイドウォール部4Aの剛性を高めるとともに、車両装着内側サイドウォール部4Bの剛性を低く抑えることができる。
さらに、車両装着外側ビードフィラー6Aに沿ってタイヤ径方向内側から外側へシート状のビードフィラーシートを設けることによっても、車両装着外側サイドウォール部4Aの剛性を高めることができるとともに、車両装着内側には上記ビードフィラーシートを設けないので、車両装着内側サイドウォール部4Bの剛性を低く抑えることができる。
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
なお、日本国特許出願第2007−286341号(2007年11月2日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。
以上のように、本発明に係る空気入りラジアルタイヤは、車両の直進安定性を確保するとともに、車両旋回時の操縦安定性を向上できるため、有用である。

Claims (9)

  1. 環形状を有する一対のビード部と、
    前記一対のビード部のタイヤ径方向の外方に配置され、タイヤ幅方向の中心線であるタイヤ赤道線を含むトレッド踏面部を有するトレッド部と、
    前記トレッド部のタイヤ幅方向の両端部と前記ビード部のタイヤ径方向の外方端とを連結する一対のサイドウォール部と、
    前記ビード部、前記サイドウォール部および前記トレッド部の各内部にわたって連続して延設され、タイヤの骨格を形成するカーカス層とを備えた空気入りラジアルタイヤであって、
    タイヤ幅方向に沿った断面において、
    タイヤ幅方向に沿った前記トレッド部の両端部におけるタイヤ外郭から前記カーカス層までの厚みである第1ゴムゲージは、車両装着内側に比べて車両装着外側が厚く、
    前記サイドウォール部のタイヤ幅方向に最も突出する最大幅部における前記タイヤ外郭から前記カーカス層までのタイヤ幅方向に沿った厚みである第2ゴムゲージは、車両装着内側より車両装着外側が薄い空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記カーカス層は、タイヤ幅方向に沿った断面において、前記カーカス層の中心を通る線であるケースラインを形成し、
    前記トレッド部のタイヤ幅方向の端部から、前記サイドウォール部の前記最大幅部までの部分に沿った前記ケースラインの表面曲率半径は、車両装着内側より車両装着外側が大きい請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記最大幅部から前記ビード部までのタイヤ径方向に沿った長さは、車両装着内側より車両装着外側が短い請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ビード部のタイヤ径方向外方に、ビードフィラーを含み、
    タイヤ幅方向に沿った断面において、車両装着外側に配置される前記ビードフィラーの断面積は、車両装着内側に配置される前記ビードフィラーの断面積に比べて大きい請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記ビード部のタイヤ径方向外方に、ビードフィラーを含み、
    車両装着外側に配置される前記ビードフィラーの硬度は、車両装着内側に配置される前記ビードフィラーの硬度に比べて高い請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記ビード部のタイヤ径方向外方に、ビードフィラーを含み、
    車両装着外側に配置される前記ビードフィラーに沿ってタイヤ径方向内側から外側へシート状のビードフィラーシートを設ける請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 車両装着外側に配置される前記ビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さは、車両装着内側に配置される前記ビードフィラーのタイヤ径方向に沿った長さに比べて長い請求項4に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  8. 車両装着外側に配置される前記ビードフィラーのタイヤ幅方向に沿った最大厚みは、車両装着内側に配置される前記ビードフィラーのタイヤ幅方向に沿った最大厚みより厚い請求項4に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  9. タイヤ赤道線を含むタイヤ赤道部および該タイヤ赤道部より車両装着内側に、タイヤ周方向に延びる主溝が形成される請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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