JP5161497B2 - 高温型燃料電池および高温型燃料電池の制御方法 - Google Patents
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Description
一方で、燃料電池は作動温度が上昇するに伴って、発電効率などの性能が向上するという利点を備えている。
また、上述の燃料電池における発電反応は発熱反応であるため、外部からのヒータ等による温度調節を行わない場合には、燃料電池中心部は温度が高くなり、周辺部は温度が低くなるという温度分布が生じていた。
このような温度分布が生じると、燃料電池中心部の最高温度を1000℃以下とする制限があるため、燃料電池周辺部での温度を十分に高温とすることが出来ず、燃料電池の平均温度が低下して、燃料電池全体が発揮する性能が低下し、発電効率などの性能の向上が十分に図れないという問題があった。
本発明の高温型燃料電池は、筒状の燃料電池セルと、該燃料電池セルの一方の開口端から前記燃料電池セルの内部に燃料ガスを供給する燃料ガス供給室と、前記燃料電池セルの他方の開口端から燃料極排ガスを受け取る燃料ガス排出室と、前記燃料ガス供給室および前記燃料ガス排出室の間に前記燃料電池セルの外周面に空気を供給する発電室と、前記ガス供給室または前記ガス排出室と前記発電室との間を仕切るとともに、シール層を介して前記燃料電池セルを支持する仕切板と、前記燃料電池セルにおける前記一方または他方のうち少なくとも1つの端部と、略中央部との間の温度差を検出する温度検出部と、該温度検出部の出力に基づいて、前記燃料ガスと前記空気との圧力差を制御する圧力制御部を有し、前記圧力制御部は、前記圧力差を制御することで前記燃料ガスを前記シール層から前記発電室に流入させることを特徴とする。
一方、予め定められた範囲として第2の所定範囲を用いることにより、第1の所定範囲を用いた場合と比較して、発電室に流入する燃料ガスの流量を減らすことができ、高温型燃料電池における発電効率を高めることができる。
図1は、本実施形態に係るSOFC複合発電システムの概略を説明する模式図である。
SOFC複合発電システム1には、図1に示すように、SOFC発電部2と、マイクロガスタービン発電部3と、が設けられている。
SOFC4には、空気と燃料ガスである都市ガスとが供給されることにより発電を行うセルチューブ41が設けられている(図2参照)。
SOFCインバータ部5はセルチューブ41と電気的に接続され、SOFC4により発電された電力を、外部の系統に供給するために直流電流を交流電流へ変換するものである。具体的には、発電された直流電力を外部系統の周波数等と一致した交流電力に変換するものである。
空気極排ガス配管10におけるSOFC4と空気バイパス配管11の接続部との間には、燃焼器35への空気極排ガスの流入を制御する空気極排ガス用遮断弁14が設けられている。
SOFC4には、SOFC4内における燃料ガスが流れる燃料ガス流通部15A内の圧力と、圧縮空気が流れる空気流通部8A内の圧力との差圧を検出するSOFC差圧センサ20が設けられ、SOFC差圧センサ20の出力が制御部45に入力されている。
マイクロガスタービン30には、コンプレッサ34と、燃焼器35と、タービン36と、回転軸37と、が設けられている。
コンプレッサ34には、外部から空気が供給される供給流路38と、圧縮された空気をSOFC4に導く圧縮空気配管8とが接続されている。圧縮空気配管8には、タービン36から流出した排ガスとの間で熱交換を行う再生熱交換器31が設けられている。このようにすることで、圧縮空気の温度をさらに上昇させることができ、SOFC複合発電システム1の発電効率の向上を図ることができる。
燃焼器35には、上述の空気極排ガス配管10および燃料極排ガス配管18と、ガスタービン用燃料配管15Gとが接続されている。
ガスタービン用燃料配管15Gは、燃料配管15と燃焼器35との間を繋ぐ配管であり、ガスタービン用燃料配管15Gには、燃焼器35に流入する燃料ガスの流量を制御するガスタービン用調整弁39が設けられている。
タービン36には、タービン36から排出された排ガスを外部に導く排ガス流路40が設けられ、排ガス流路40には、上述の再生熱交換器31が設けられている。
SOFC4には、図2に示すように、発電を行うセルチューブ(燃料電池セル)41と、セルチューブ41に燃料ガスを供給する燃料ガス供給室42と、セルチューブ41から燃料ガスが流入する燃料ガス排出室43と、圧縮空気が流入する発電室44と、燃料ガスと圧縮空気との差圧を制御する制御部(圧力制御部)45と、が設けられている。
セルチューブ41は、一方の開口端41Aが燃料ガス供給室42内に開口し、他方の開口端41Bが燃料ガス排出室43内に開口するように配置されている。このように構成することで、セルチューブ41の内部の燃料極に燃料ガスが供給される。
なお、セル温度センサ46は、上述のように、一つのセルチューブ41に対して複数配置してもよいし、一つのセルチューブ41に一つのセル温度センサ46を配置してもよいし、一つのSOFC4に一つのセル温度センサ46を配置してもよく、特に限定するものではない。
燃料ガス供給室42には燃料配管15が接続され、発電室44との間に、燃料ガス供給室42と発電室44とを仕切る仕切板47が配置されている。
仕切板47は、図2および図3に示すように、上述のように燃料ガス供給室42と発電室44とを仕切るとともに、セルチューブ41を支持するものである。仕切板47を形成する材料としては、例えば、耐熱性を有する金属(例えば、耐熱合金鋼や、ステンレス鋼など)が挙げられる。
仕切板47には、図3に示すように、セルチューブ41が挿入される貫通孔48が形成され、仕切板47とセルチューブ41との間には円筒部49が配置されている。
円筒部49は、耐熱性を有する金属から形成された部材であり、内部にセルチューブ41が挿通されるものである。
円筒部49とセルチューブ41との間には接着性があるシール層50が設けられ、円筒部49はシール層50を介してセルチューブ41を支持している。
なお、シール層50は、上述のように無機系接着剤の他に、ガラス系接着剤や、樹脂系接着剤などを用いてもよいし、これらの接着剤を組み合わせて用いてもよく、特に限定するものではない。これら接着剤の組み合わせは、シール層50に要求される接着強度やシール性能や、電気的な絶縁性や、燃料ガスの透過性を考慮して定められる。
燃料ガス排出室43には燃料極排ガス配管18が接続され、燃料ガス供給室42と同様に、発電室44との間に燃料ガス供給室42と発電室44とを仕切る仕切板47が配置されている。
空気排出室52は発電室44を挟んで空気供給室51と対向する位置に設置されている。空気排出室52と発電室44の境界には断熱材(図示せず)が設置されている。発電に用いられた後の空気極排ガスは断熱材とセルチューブ41の間を通過して空気排出室52へ流入し、空気極排ガス配管10から流出する。
具体的には、温度センサ13の出力に基づいて開度が制御される空気バイパス弁12により空気バイパス配管11を流れる圧縮空気の流量が制御される。空気バイパス配管11を流れる圧縮空気の流量が増えると、SOFC4に供給される圧縮空気の流量が減少し、空気バイパス配管11を流れる圧縮空気の流量が減ると、SOFC4に供給される圧縮空気の流量が増加する。
具体的には、SOFC差圧センサ20の出力、および、セル温度センサ46の出力に基づいて差圧制御弁19の開度が制御され、燃料ガス供給室42、セルチューブ41および燃料ガス排出室43における燃料ガスの圧力が制御される。
効率優先モードにおけるセルチューブ41の温度分布は、図4に示すように、セルチューブ41の略中央部41Cと、一方および他方の開口端41A,41Bとの温度差が約50℃から100℃の効率優先の範囲(第2の所定範囲、予め定められた範囲)となっている。
一方、図3に示すように、一方および他方の開口端41A,41Bの熱はシール層50を介して円筒部49および仕切板47に伝わるため、セルチューブ41の略中央部41Cと比較して、一方および他方の開口端41A,41Bは低温となる。
制御部45は、検出結果に基づいて燃料ガス流通部15A内の燃料ガスと、空気流通部8A内の圧縮空気との間の圧力差を制御し、上述の温度差が上述の範囲内に収まるように制御する。
流入した燃料ガスはシール層50の近傍領域で燃焼され、セルチューブ41の一方および他方のうち少なくとも1つの開口端41A,41Bの近傍領域の温度を上昇させる。そのため、セルチューブ41における上述の温度差が上述の範囲内に収まるように制御される。
具体的には、燃料圧力制御弁24の上流側に配置されたガスタービン圧力センサ23の出力に基づいて燃料圧力制御弁24の開度が制御され、燃焼器35に導かれる燃料極排ガスの圧力が調節される。
その後、圧縮空気は、圧縮空気配管8を介してSOFC4に供給される。
燃焼器35内では、燃料ガスおよび燃料極排ガスに含まれる未燃の燃料ガスが燃焼され、高温の燃焼ガスが形成される。
排ガス流路40を流れる排ガスは、再生熱交換器31において圧縮空気と熱交換することにより圧縮空気を加熱し、外部に放出される。
出力優先モードにおけるセルチューブ41の温度分布は、図5に示すように、セルチューブ41の略中央部41Cと、一方および他方の開口端41A,41Bとの温度差が約50℃以内の出力優先の範囲(第1の所定範囲、予め定められた範囲)となっている。
制御部45は、検出結果に基づいて燃料ガス流通部15A内の燃料ガスと、空気流通部8A内の圧縮空気との間の圧力差を制御し、上述の温度差が出力優先の範囲内に収まるように制御する(圧力差制御ステップ)。
図6は、SOFC発電部の起動時におけるセルチューブの温度と、燃料ガス流通部15A内の燃料ガスと、空気流通部8A内の圧縮空気との圧力差との関係を説明するグラフである。
SOFC発電部2を起動する場合には、図2に示すように、高温の圧縮空気および燃料ガスがSOFC4に供給される。セルチューブ41の温度が約600℃に到達するまでは、図6に示すように、燃料ガス流通部15A内の燃料ガスと、空気流通部8A内の圧縮空気との圧力差は、効率優先モードの場合と同様の範囲に制御される。
この期間では、セルチューブ41は圧縮空気等で加熱されるとともに、外部から供給される電力により発熱するSOFC発電部2近傍に設置されたヒータ(図示されず)により加熱され、温度を上昇させてゆく。
この期間では、さらに、セルチューブ41の一方および他方のうち少なくとも1つの開口端41A,41Bの近傍で燃料ガスが燃焼され、燃焼熱によりセルチューブ41の一方および他方のうち少なくとも1つの開口端41A,41Bは加熱される。
セルチューブ41の温度が通常運転時の温度、例えば約1000℃に到達すると、燃料ガス流通部15A内の燃料ガスと、空気流通部8A内の圧縮空気との圧力差は、その後の運転モードに併せて制御される。
一方、上述の温度差の範囲として効率優先の範囲を用いることにより、出力優先の範囲を用いた場合と比較して、発電室44に流入する燃料ガスの流量を減らすことができ、SOFC4における発電効率を高めることができる。
例えば、上記の実施の形態においては、燃料ガスの圧力を制御する差圧制御弁を用いて燃料ガスと空気との差圧を制御する構成に適用して説明したが、SOFC4に供給される圧縮空気の圧力を制御する圧力制御弁を設け、当該圧力制御弁により上述の差圧を制御する構成に適用してもよく、特に限定するものではない。
19 差圧制御弁
41 セルチューブ(燃料電池セル)
41A 一方の開口端
41B 他方の開口端
42 燃料ガス供給室
43 燃料ガス排出室
44 発電室
45 制御部(圧力制御部)
Claims (5)
- 筒状の燃料電池セルと、
該燃料電池セルの一方の開口端から前記燃料電池セルの内部に燃料ガスを供給する燃料ガス供給室と、
前記燃料電池セルの他方の開口端から燃料極排ガスを受け取る燃料ガス排出室と、
前記燃料ガス供給室および前記燃料ガス排出室の間に前記燃料電池セルの外周面に空気を供給する発電室と、
前記ガス供給室または前記ガス排出室と前記発電室との間を仕切るとともに、シール層を介して前記燃料電池セルを支持する仕切板と、
前記燃料電池セルにおける前記一方または他方のうち少なくとも1つの端部と、略中央部との間の温度差を検出する温度検出部と、
該温度検出部の出力に基づいて、前記燃料ガスと前記空気との圧力差を制御する圧力制御部を有し、
前記圧力制御部は、前記圧力差を制御することで前記燃料ガスを前記シール層から前記発電室に流入させることを特徴とする高温型燃料電池。 - 筒状の燃料電池セルと、
該燃料電池セルの一方の開口端から前記燃料電池セルの内部に燃料ガスを供給する燃料ガス供給室と、
前記燃料電池セルの他方の開口端から燃料極排ガスを受け取る燃料ガス排出室と、
前記燃料ガス供給室および前記燃料ガス排出室の間に前記燃料電池セルの外周面に空気を供給する発電室と、
前記ガス供給室または前記ガス排出室と前記発電室との間を仕切るとともに、シール層を介して前記燃料電池セルを支持する仕切板と、
が設けられている高温型燃料電池の制御方法であって、
前記燃料電池セルにおける前記一方または他方のうち少なくとも1つの端部と、略中央部との間の温度差を検出する検出ステップと、
前記検出された温度差に基づいて、前記燃料ガスと前記空気との圧力差を制御する圧力差制御ステップを有し、
前記圧力差制御ステップは、前記燃料ガスの圧力を前記空気の圧力よりも高くすることで燃料ガスを前記シール層から前記発電室に流入させて燃焼させることを特徴とする高温型燃料電池の制御方法。 - 前記圧力差制御ステップにおいて、前記圧力差は、前記温度差が予め定められた範囲内に収まるように制御されることを特徴とする請求項2記載の高温型燃料電池の制御方法。
- 前記予め定められた範囲は、より範囲の狭い第1の所定範囲と、より範囲の広い第2の所定範囲とがあることを特徴とする請求項3記載の高温型燃料電池の制御方法。
- 前記燃料電池セルの温度が定常運転時の温度より低い場合には、前記第1の所定範囲が部分的に用いられることを特徴とする請求項4記載の高温型燃料電池の制御方法。
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