JP6113480B2 - 燃料電池及びその運転方法 - Google Patents
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Description
このような燃料電池は、燃料側の電極である燃料極と、空気(酸化剤)側の電極である空気極と、これらの間にありイオンのみを通す電解質とにより構成されており、電解質の種類によって様々な形式が開発されている。
このようなSOFCにおいては、発電室内の温度を検知して制御に反映させることが行われている。
また、下記の特許文献2には、燃料電池セルの少なくとも一方の端部と略中央部との間の温度差を検出し、燃料ガスと空気との圧力差を制御することが開示されている。
また、下記の特許文献3では、複数の部位に熱伝対を設けて得た温度情報に基づいて、温度分布を均一にすべく各部位の熱収支を制御可能とすることが開示されている。
一方、燃料電池側における発電室内の温度調整は、上述したパラメータの偏差に与える影響が少ない。従って、複数のカートリッジを組み合わせて構成される燃料電池においては、複数あるカートリッジの軸方向に対する温度分布を運転状態の制御に反映させることが望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃料電池側の運転制御に関与するパラメータの偏差に対する関与が小さい発電室内の温度調整により、高効率な運転を実現できる燃料電池及びその運転方法を提供することにある。
本発明に係る燃料電池は、複数のカートリッジを備える複数の燃料電池ユニットにより構成され、前記燃料電池ユニットから排出されたガスの少なくとも一部を内燃機関へ導入し発電を行う複合発電システムの燃料電池であって、燃料が供給される燃料供給室と、酸化性ガスが供給される酸化性ガス供給室と、前記カートリッジ間の間隙部に設置した複数の温度センサーと、前記温度センサーから検出値の入力を受けるとともに、前記燃料電池ユニットの前記酸化性ガス供給室に供給する前記酸化性ガス流量、及び前記燃料電池ユニットの発電電力値を調整し交流に変換するインバータ出力の少なくとも一つのパラメータを操作する制御部とを備え、前記制御部は、前記温度センサーで閾値以上の温度を検出した前記燃料電池ユニットの発電室温度を、前記パラメータを操作して燃料電池ユニット単位で低下させる温度制御運転モードを備えていることを特徴とするものである。
図4に示す複合発電システム(燃料電池及び内燃機関による発電システム)1は、高温型の燃料電池であるSOFC10と、内燃機関であるガスタービンやガスエンジンの一例としてマイクロガスタービン(以下、「MGT」と呼ぶ)50とを組み合わせることにより、効率のよい発電を行うものである。
さらに、MGT50から排出される高温の燃焼排ガスを排熱回収ボイラに導入すれば、蒸気タービンによる発電も組み合わせた複合発電システムの構築も可能である。
このようなSOFC10は、例えば図1〜図3に示すように、1または複数のSOFCユニット(SOFCモジュール)SUを適宜組み合わせた構成とされる。また、SOFCユニットSUは、複数のSOFCカートリッジ11(図5及び図7参照)と、これら複数のSOFCカートリッジ11を収納する圧力容器81とを有している。
なお、図1〜図3に示す構成例では、4組のSOFCカートリッジ11によりSOFCユニットSUを構成し、さらに、4セットのSOFCユニットSUによりSOFC10を構成しているが、特に限定されるものではい。
本実施形態のSOFCカートリッジ11は、燃料ガス供給室14と燃料ガス排出室15と酸化性ガス供給室16と酸化性ガス排出室17とが図示のように配置されることで、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック12の内側と外側とを対向して流れる構造となっている。しかし、必ずしもこの配置や構成に限定されることはなく、例えば、セルスタックの内側と外側とを平行して流れる、または、酸化性ガスがセルスタックの長手方向と直交する方向へ流れるようにしてもよい。
以下の説明では、燃料として都市ガスをSOFC10の外部または内部で改質して使用し、酸化性ガスとして空気を使用する場合について説明するが、この場合の空気は、MGT50から供給される圧縮空気となる。
圧縮機51は、フィルタ54を介して導入した大気(空気)を圧縮するもので、この場合の駆動源はタービン53となる。圧縮機51で圧縮された圧縮空気は、燃焼器52や再生熱交換器55を介してSOFC等へ供給される。
燃焼器52は、圧縮空気の供給を受けて燃料の都市ガスを燃焼させ、高温高圧の燃焼排ガスを生成してタービン53へ供給する。
タービン53で仕事をした燃焼排ガスは、再生熱交換器55で圧縮空気との熱交換により昇温させた後、煙突60から大気へと放出される。
燃料供給系20は、開閉弁21aを備えた都市ガス(燃料ガス)供給ライン21と、開閉弁21aの下流側に接続された窒素ガス供給ライン22及び水蒸気供給ライン23とを備えている。
また、水蒸気供給ライン23には、都市ガス供給ライン21との合流点より上流側に設置された開閉弁23aを備えている。
燃料ガス排出系26は、流量調整弁27と、排燃料ブロワ28を有する排燃料ライン26aと、排燃料ライン26aを経由してSOFC50に排燃料ガスを再循環させる再循環ライン26bと、排燃料ライン26aを経由してMGT50と接続する排燃料供給ライン26cとにより構成されている。
再循環ライン26bは、流量調整弁29を介してSOFC10から流出した排燃料のガスを燃料供給系20に戻しており、このようにして戻される排燃料流量を再循環流量と呼ぶ。この再循環流量は、流量調整弁29の開度調整により制御可能である。
また、酸化性ガス排出系75は、SOFC10から排出された酸化性ガスをMGT50へ供給する流路であり、SOFC10とMGT50との間が開閉弁76を備えた流路を介して連結されている。
具体的に説明すると、複合発電システム1の運転中において、各SOFCカートリッジ11の発電室内温度を検出するため、本実施形態では、各SOFCユニットSUに複数個の温度センサー30を適宜配置して設け、各温度センサー30が検出した発電室内温度に基づいて「温度制御運転モード」を実施する。
従って、図1に示すように、隣接するSOFCカートリッジ11の間には、SOFCカートリッジ11の上下(軸)方向に延びる間隙部31が合計3本形成されている。
さらに、左右の間隙部31には、上下方向の中央位置付近にそれぞれ1個の温度センサー30が設置されている。
なお、以下の説明において、合計5個設置されている温度センサー30を区別する必要がある場合には、5個の温度センサー30について中央上部センサー30a、中央部センサー30b、中央下部センサー30c、右中央センサー30d、左中央センサー30eと呼ぶことにする。
また、各SOFCユニットSUは、燃料供給系20から分岐した燃料供給配管32に設けた供給燃料制御弁33を備えている。この供給燃料制御弁33は、SOFCユニットSU内に設置された4組のSOFCカートリッジ11に供給する都市ガス流量について、総流量(4組へ供給する合計ガス流量)の流量制御を行うために設けた流量制御弁である。なお、供給燃料制御弁33で流量制御された都市ガスは、SOFCカートリッジ11毎に分岐する燃料供給枝管34を介して、各SOFCカートリッジ11に対して略均等に分配される。
都市ガスの供給流量は、制御部40から出力される供給燃料制御弁33の開度信号により制御される。同様に、酸化性ガスの供給流量は、制御部40から出力される供給酸化性ガス制御弁73の開度信号により制御される。また、再循環流量を制御する流量調整弁29の開度やインバータ35の出力についても、制御部40から開度信号や出力増減の制御信号により制御される。
なお、複数あるSOFCユニットSCについては、ひとつの制御部40が全てを制御するようにしてもよいし、あるいは、個別の制御部40を各々備えていてもよい。
さて、温度制御運転モードにおいて、操作(制御)対象となるパラメータは、燃料である都市ガス流量、酸化性ガスである空気流量、SOFCユニットSUを通過して排燃料と呼ばれる都市ガスの再循環流量、及びインバータ35により設定される発電負荷(「インバータ出力」ともいう)であり、これらのパラメータを適宜操作することにより、燃料利用率及び/または空気利用率を変動させることができ、この結果、発電室温度をSOFCユニットSC単位で所望の方向へ変動させることが可能になる。
最初の最高温度選出段階は、各温度センサー30から制御部40に入力される発電室温度の中から、SOFCユニットSU内で検出された最高温度検出値を選択する制御段階である。すなわち、最高温度選出段階では、各SOFCユニットSC内に設置された5個の温度センサー30から検出温度が制御部40に入力されるので、この検出温度の中から最も高い温度を選択することにより、発電室温度が異常に高いSOFCユニットSCを特定する。
なお、以下の説明では、最高温度検出値が閾値以上となって温度低減運転段階に進むSOFCユニットSUを「対象ユニット」と呼び、それ以外のSOFCユニットSCを「その他ユニット」と呼ぶことにする。
この実施例1では、対象ユニットの最高温度検出値を下げるため、空気流量及び再循環流量を現状(定格運転)のまま維持し、供給燃料制御弁33の開度を絞って都市ガス流量を定格運転時の供給量から低減するとともに、インバータ35により設定される発電の負荷(インバータ出力)を下げて発電出力を低下させる。この場合、SOFC10へ供給する都市ガス供給量については、総量を一定にして対象ユニットの供給量を低減する総量一定方式と、対象ユニットの供給量低減分だけ総量も減少させる総量低減方式とがある。
なお、総量一定方式の場合、その他ユニットの都市ガス供給量が対象ユニットの供給量低減分に応じて「供給量低減分/その他ユニットの数」だけ増加するのに対して、総量低減方式では都市ガス供給量に変化がない。
上述した空気利用率の低下は、都市ガス量の当量比に対して、空気量が多い空気量余剰の状態となっている。空気利用率の低下により生じた余剰空気についても発電室温度の低下に貢献する。
一方、その他ユニットでは、燃料供給量の増加により燃料利用率が低下するので、発電室温度は上昇する方向となるが、発電室温度が閾値以下であれば問題はない。この場合、空気利用率については変動がない。
実施例2の温度低減運転段階では、対象ユニットの最高温度検出値を下げるため、再循環流量を現状のまま維持するとともに、都市ガス流量、空気流量及びインバータ出力を変化させる。
この実施例では、空気流量を変化させる点が上述した実施例1と異なっている。この空気流量調整は、供給酸化性ガス制御弁73の開度を増すことで、対象ユニットの空気流量を定格運転時の供給量から増加させるものである。このような空気流量の増加は、対象ユニットの空気利用率を低下させることになり、しかも、増加分の空気が冷却に貢献するので、上述した実施例1と同様に発電室温度を低下させることができる。
しかし、本実施例では、空気流量を総量一定方式としている。この方式では、対象ユニットの空気量増加に伴ってその他ユニットの空気流量は減少するが、対象ユニット及びその他ユニットを含めた全てのユニットの総空気流量に変化はない。従って、本実施例の場合、空気流量の観点から見れば、空気流量が減少するその他ユニットにおいては、空気利用率の増加により発電室温度が上昇する方向となるが、発電室温度が閾値以下であれば問題はない。
また、この実施例では、都市ガス流量も変化させているので、空気流量及び都市ガス流量の増減に応じて空気利用率や燃料利用率も変化する。従って、空気流量及び都市ガス流量を適宜増減し、対象ユニットの空気利用率が低下する方向に調整すれば、発電室温度を低下させることができる。
実施例3の温度低減運転段階では、対象ユニットの最高温度検出値を下げるため、都市ガス流量、空気流量及び再循環流量を現状のまま維持するとともに、対象ユニットのインバータ出力を低減する方向に変化させる。
このようなインバータ出力の低減は、対象ユニットの発電反応割合を相対的に低下させることになる。この結果、対象ユニットでは、発電反応による発熱量が低減するので、発電室温度を低下させることができる。この場合、インバータ出力の低減量は、排燃料の都市ガス成分をMGT50の燃焼器52で燃焼できる範囲に制御することが好ましい。
実施例4の温度低減運転段階では、あるSOFCユニットSUで閾値を超える発電室温度を検出した場合、この対象ユニットに隣接する位置にある隣接ユニットの発電室温度を算出する。そして、隣接ユニットの算出値が設定値を超えていることを検知した場合、すなわち、対象ユニットとの温度差が所定値以上ある場合には、対象ユニット及び隣接ユニットの両方に対して上述した各実施例のいずれかにより温度調整制御を実行する。
一方、対象ユニットが端部に位置している場合、温度の高い対象ユニットについては、温度低減運転段階の制御パラメータを逆方向に変化させて温度上昇を図り、中央部の隣接ユニットについては通常運転のまま維持する。
上述したパラメータは、空気流量を低減することにより、再循環流量を増すことにより、そして、インバータ出力を低減することにより、それぞれ単独で、あるいは適宜組み合わせることにより、発電室温度を低減する効果を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、例えば燃料電池がSOFCに、そして、内燃機関がMGTに限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
10 SOFC(固体酸化物形燃料電池)
11 SOFCカートリッジ
12 セルスタック
13 発電室
14 燃料ガス供給室
15 燃料ガス排出室
16 酸化性ガス供給室
17 酸化性ガス排出室
20 燃料供給系
21 都市ガス(燃料ガス)供給ライン
22 窒素ガス供給ライン
23 水蒸気供給ライン
26 燃料ガス排出系
26a 排燃料ライン
26b 再循環ライン
26c 排燃料供給ライン
27,29 流量調整弁
28 排燃料ブロワ
30 温度センサー
31 間隙部
32 燃料供給配管
33 供給燃料制御弁
34 燃料供給枝管
35 インバータ
40 制御部
50 MGT(マイクロガスタービン)
51 圧縮機
52 燃焼器
53 タービン
60 煙突
70 酸化性ガス供給系
72 酸化性ガス供給配管
73 供給酸化性ガス供給弁
74 酸化性ガス供給枝管
SU SOFCユニット
Claims (5)
- 複数のカートリッジを備える複数の燃料電池ユニットにより構成され、前記燃料電池ユニットから排出されたガスの少なくとも一部を内燃機関へ導入し発電を行う複合発電システムの燃料電池であって、
燃料が供給される燃料供給室と、
酸化性ガスが供給される酸化性ガス供給室と、
前記カートリッジ間の間隙部に設置した複数の温度センサーと、
前記温度センサーから検出値の入力を受けるとともに、前記燃料電池ユニットの前記酸化性ガス供給室に供給する前記酸化性ガス流量、及び前記燃料電池ユニットの発電電力値を調整し交流に変換するインバータ出力の少なくとも一つのパラメータを操作する制御部とを備え、
前記制御部は、前記温度センサーで閾値以上の温度を検出した前記燃料電池ユニットの発電室温度を、前記パラメータを操作して燃料電池ユニット単位で低下させる温度制御運転モードを備えていることを特徴とする燃料電池。 - 前記温度センサーは、前記間隙部の発電室中央部付近に各々設置した中央センサーと、前記間隙部の上部及び下部に設置した上部センサー及び下部センサーと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記温度制御運転モードは、前記温度センサーから前記制御部に入力される温度の中から前記燃料電池ユニットの最高温度検出値を選択する最高温度選出段階と、前記最高温度検出値を予め設定された閾値と比較する閾値比較段階と、前記最高温度検出値が前記閾値以上となった前記燃料電池ユニットの発電室温度を低下させる温度低減運転段階と、を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
- 前記温度低減運転段階は、前記酸化性ガス流量を増加させる操作及び前記インバータ出力を低減する操作の中から、少なくとも一つを選択して実施することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池。
- 複数のカートリッジを備えている複数の燃料電池ユニットにより構成され、前記燃料電池から排出されたガスの少なくとも一部を内燃機関へ導入し発電を行う複合発電システムに用いられる燃料電池の運転方法であって、
前記カートリッジ間の間隙部に設置された複数の温度センサーの検出値に基づいて、前記燃料電池ユニットの中から発電室温度が閾値以上の対象ユニットを特定し、
前記対象ユニットに供給する酸化性ガス流量を増加させる操作及び前記燃料電池ユニットの発電電力値を調整し交流に変換するインバータ出力を低減する操作の中から少なくとも一つを選択して発電室温度を低下させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
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