JP5161402B1 - 印字装置 - Google Patents

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Abstract

被印字材の厚さなどが変わった場合にも、煩雑な調整を行うこと無く、印字ヘッドと被印字材との距離を設定された距離に保って精度の高い印字を行うことができる。塗料吐出部10の吐出動作と印字ヘッド昇降手段12の昇降動作を制御する制御手段40とを備え、制御手段40は、移動距離検出手段22の出力と空間距離検出手段13の出力に基づいて、移動手段20の移動方向に沿った空間距離Lの変化パターンを認識し、この変化パターンに基づいて、塗料吐出部10の吐出動作と印字ヘッド昇降手段12の昇降動作を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被印字材上に塗料を吐出して印字する印字装置に関するものである。
造船などの大型構造物を製造するに際して、構成部品の鋼材などに部品を管理するための文字や記号を記入して、その後の部品管理を円滑に行うことがなされている。一般には、人手を介して鋼材の表面に文字や記号を書き込むことが行われているが、鋼材の搬送速度を高めて作業効率の向上を図ろうとする場合に、人手による書き込み作業がボトルネックになって高い作業効率が得られない問題が生じる。
これに対処するために、構成部品の鋼材などを被印字材とする印字装置が提案されている。下記特許文献1に記載の印字装置は、鋼材などの表面にドットマトリクスで印字を行う装置であり、鋼材の搬送方向に対して垂直な方向にペンキ又はインクを吐出する複数のノズルを配置したものである。
特開平10−86448号公報
前述した従来の印字装置は、印字されるドットの大きさを設定された大きさにするために、印字ヘッドの先端から被印字材までの距離を均一に維持することが必要になる。これに対して被印字材の厚さは様々であるから、印字ヘッドの先端と被印字材までの距離を一定にするための調整を被印字材の厚さが変わる毎に行うことになり、この調整に多大な労力を要する問題があった。また、比較的薄厚の被印字材の流れの中に厚手の被印字材が混在している場合などは、前述した調整を怠ると被印字材が印字ヘッドに干渉して、印字ヘッドを破損させてしまう問題もあった。
また、被印字材における所望の位置に印字を行うためには、被印字材の先端部(エッジ)を検出する必要があるが、スラットコンベヤで被印字材を搬送する場合などは、被印字材の上方から被印字材の位置を検知しようとすると、被印字材と一緒に移動するスラットバーと被印字材との区別がつかず、被印字材の先端部を正確に検出することができない問題があった。これに対して、被印字材の側方からその厚さを検知することも考えられるが、幅広の鋼材などが被印字材になる場合は鋼材の歪みや、塗料かすなどの異物で検出誤差が生じやすく、精度の高い先端部の検出や厚さの検知ができない問題があった。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、被印字材の厚さが変わった場合にも、煩雑な調整を行うこと無く、印字ヘッドと被印字材との距離を設定された距離に保って精度の高い印字を行うことができること、また、被印字材の厚さが変わった場合にも、被印字材と印字ヘッドが衝突して印字ヘッドを破損させてしまう不具合を回避することができること、被印字材がスラットコンベヤのような搬送手段で移動する場合にも、被印字材の先端部を正確に検出して被印字材上の設定された位置に文字等を印字することができること、等が本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明の印字装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
被印字材上にドット状の塗料を吐出する塗料吐出部と、該塗料吐出部を複数個線状に配列した印字ヘッドと、被印字材を側面視で点支持するスラットバーを備え、前記スラットバーに支持された被印字材を前記塗料吐出部の配列方向と交差する方向に沿って移動させる移動手段と、前記塗料吐出部に塗料を供給する塗料供給手段と、前記印字ヘッドを被印字材の厚さ方向に沿って昇降させる印字ヘッド昇降手段と、前記移動手段の移動距離を検出する移動距離検出手段と、被印字材上の基準位置から被印字材の厚さ方向に沿った空間距離を検出する空間距離検出手段と、前記移動距離検出手段の出力と前記空間距離検出手段の出力に基づいて前記塗料吐出部の吐出動作と前記印字ヘッド昇降手段の昇降動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記移動距離に対する前記空間距離の変化率に基づいて、前記空間距離検出手段の下を通過する物体が前記スラットバーであるか被印字材であるかを判別し、被印字材であると認識したときだけ、前記塗料吐出部の吐出動作と前記印字ヘッド昇降手段の昇降動作を制御することを特徴とする印字装置。
このような特徴を有する印字装置によると、塗料吐出部と被印字材との間の空間距離の変化パターンを認識して、この変化パターンに基づいて印字ヘッド昇降手段を制御するので、被印字材の厚さなどが変わった場合にも、煩雑な調整を行うこと無く、印字ヘッドと被印字材との距離を設定された距離に保って精度の高い印字を行うことができる。また、比較的薄手の被印字材の中に比較的厚手の被印字材が混在して流れている場合にも、被印字材が印字ヘッドに干渉して印字ヘッドを破損させるような不具合を回避することができる。
更には、この印字装置によると、塗料吐出部と被印字材との間の空間距離の変化パターンを認識して、この変化パターンに基づいて塗料吐出部の吐出動作を制御するので、被印字材がスラットコンベヤのような搬送手段で移動する場合にも、被印字材とスラットバーを判別することで被印字材の先端部を正確に検出して被印字材上の設定された位置に文字等を印字することができる。
本発明の一実施形態に係る印字装置の全体構成を示した説明図である。 本発明の一実施形態に係る印字装置における印字ヘッドの構造を示した説明図である(同図(a)が側面図、同図(b)が平面図)。 本発明の一実施形態に係る印字装置の制御手段による印字ヘッド昇降手段の昇降動作制御と塗料吐出部の吐出動作制御を説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る印字装置における印字ヘッド昇降手段の昇降制御の更に具体的な制御例を示した説明図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る印字装置の全体構成を示した説明図である。印字装置1は、塗料吐出部10と、この塗料吐出部10を備える印字ヘッド11と、被印字材Wを移動させる移動手段20と、塗料吐出部10に塗料を供給する塗料供給手段30と、印字ヘッド11を被印字材Wの厚さ方向に沿って昇降させる印字ヘッド昇降手段12と、塗料吐出部10の吐出動作と印字ヘッド昇降手段の昇降動作を制御する制御手段40を備えている。
塗料吐出部10は、塗料供給手段30によって供給流路31を経由して供給される塗料を吐出して、被印字材W上にドット状の文字を印字するものである。この塗料吐出部10は、例えば、制御手段40からの出力で制御される高圧エアーで駆動する塗料ガンを用いることができる。塗料吐出部10の吐出動作は制御手段40からの出力によって吐出タイミングと吐出時間が任意に調整できるようになっている。
印字ヘッド11は、複数の塗料吐出部10を備えており、塗料吐出部10が複数個(例えば10個)線状に配列されている。印字ヘッド11は印字ヘッド昇降手段12によって被印字材Wの厚さ方向に沿って昇降される。
図示の例では、印字ヘッド昇降手段12は、支持部12Aに平行リンク12Bの一端側が軸支されており、平行リンク12Bの他端側を連結する連結アーム12Cに印字ヘッド11が支持されている。また、支持部12Aには平行リンク12Bと一体にスイングアーム12Eが軸支されており、昇降モータ12Fがチェーン12Gを巻き上げると、スイングアーム12Eが立ち上がり平行リンク12Bを引き起こして印字ヘッド11が上昇する。昇降モータ12Fがチェーン12Gを緩めると印字ヘッド11は自重で下降する。支持部12Aには印字ヘッド11とのウエイトバランスを維持するため、平行リンク12Bとスイングアーム12Eと一体にカウンタウエイト12Hが軸支されている。そして、昇降モータ12Fの動作が制御手段40によって制御されている。
支持部12Aには、被印字材W上の基準位置から被印字材Wの厚さ方向に沿った空間距離を検出する空間距離検出手段13が備えられている。空間距離検出手段13は、超音波センサなどを用いることができ、センサ位置から下方に被印字材Wなどが存在する場合にセンサ位置からそこまでの空間距離を検出する。この空間距離検出手段13は、塗料吐出部10の設置位置に対して移動手段20の移動方向上流側に設定距離X0だけ離して設けており、この検出信号が制御手段40に入力されることで、制御手段40は前述した空間距離を塗料吐出部10の下に被印字材Wが到達する前に認識する。
また、塗料吐出部10の位置には、塗料吐出部10に被印字材Wが設定距離より接近したことを検知する接近検知手段14を設けている。この接近検知手段14は、空間距離検出手段13と同様の超音波センサを用いることができ、塗料吐出部10に対して過剰に何らかの物体が接近したこと検知して、この検知信号を制御手段40に入力する。制御手段40は、この検知信号によって被印字材Wが塗料吐出部10に過剰に接近したことを認識する。
移動手段20は、被印字材Wを塗料吐出部10の配列方向と交差する方向に沿って移動させるものであり、ここでは、スラットコンベヤが用いられている。スラットコンベヤは、被印字材Wを点支持するスラットバー21を矢印方向に移動させるものである。この移動手段20はスラットバー21の移動を検出する移動距離検出手段(エンコーダ)22を備えており、この移動距離検出手段22の検出信号が制御手段40に入力されることで、制御手段40は移動手段20による被印字材Wの移動距離を認識することができる。
塗料供給手段30は、図示省略した塗料タンクや塗料タンクから所定圧で供給流路31に塗料を供給する加圧手段などを備えている。供給流路31には電磁弁32が設けられ、制御手段40からの出力信号によって電磁弁32を開閉制御できるようにしている。
制御手段40は、塗料吐出部10の吐出動作(吐出タイミングや吐出時間など)と印字ヘッド昇降手段12の昇降動作を制御するものであり、移動手段20に設けた移動距離検出手段(エンコーダ)22からの検出信号,空間距離検出手段13からの検出信号,接近検知手段14からの検知信号がそれぞれ入力され、塗料吐出部10の吐出動作(吐出タイミングと吐出時間),電磁弁32の開閉動作,印字ヘッド昇降手段12の昇降動作(昇降モータの動作)を制御する。
図2は、印字ヘッドの構造を示した説明図である(同図(a)が側面図、同図(b)が平面図)。印字ヘッド11は、複数個線状に配列した塗料吐出部10を備えており、図示の例では、被印字材Wの印字面Waに略垂直な回転軸12Dによって、印字ヘッド昇降手段12の連結アーム12Cに回転自在に支持されている。塗料吐出部10のそれぞれには一本の供給流路31から分岐した複数の分岐供給流路31aが接続しており、塗料供給手段30は複数の分岐供給流路31aを介して複数の塗料吐出部10のそれぞれに塗料を供給している。印字ヘッド11は一つであっても、複数のユニットを備えていても良く、複数のユニットを備える場合は、連結アーム12Cに沿って複数のユニットが所定の間隔で並べて配置される。
印字ヘッド11の回転軸12D回りの回転は手動であっても自動であってもよい。自動の場合は制御手段40からの信号で図示省略した駆動モータが駆動して印字ヘッド11を設定角度だけ回転させる。印字ヘッド11を回転軸12D回りに回転させると、塗料吐出部10の配列方向が変更され、図2(b)の実線で示すように配列方向が移動手段20の移動方向(図示矢印方向)に対して垂直な状態から、図2(b)の一点破線で示すように傾斜した状態に変更される。
印字装置1の基本的な印字動作を説明する。印字装置1は、制御手段40の出力によって印字の準備動作を行う。印字の準備動作としては、塗料供給手段30が所定の圧力で塗料を供給流路31に送り、印字情報が印加されるまでは、電磁弁32は閉止状態になっている。移動手段20が被印字材Wを矢印で示す一方向に沿って設定された速度で移動させている状態で、制御手段40に印字情報が入力されると、制御手段40は移動距離検出手段22からの検出信号に基づいて被印字材Wの移動距離を認識し、空間距離検出手段13が被印字材Wを検出した後に、電磁弁32を開放して、設定されたタイミングで印字ヘッド11の塗料吐出部10(101〜1010)を吐出動作させる。印字の基本動作としては、印字情報に基づく吐出タイミングで各塗料吐出部10(101〜1010)を設定された吐出時間だけ動作させる。これによって、被印字材Wの設定された位置に印字情報に基づくドットマトリクス状の文字が印字される。
また、塗料吐出部10の吐出動作は移動手段20の移動動作に連動しており、制御手段40は移動距離検出手段22からの検出信号によって移動手段20が停止又は逆転したことを検知すると、塗料吐出部10の吐出動作を停止させ、移動手段20が正規の方向に再度移動したことを検知すると、塗料吐出部10の吐出動作を再開させる。これによって、移動手段20の一旦停止、再始動、速度変動があった場合にも、印字される文字のドット間隔が乱れないようにしている。
次に、図3に基づいて、制御手段による印字ヘッド昇降手段の昇降動作制御と塗料吐出部の吐出動作制御について更に詳細に説明する。本発明の実施形態に係る印字装置1の制御手段40は、移動距離検出手段22の出力と空間距離検出手段13の出力に基づいて、移動手段20の移動方向に沿った空間距離の変化パターンを認識し、この変化パターンに基づいて、塗料吐出部10の吐出動作と印字ヘッド昇降手段12の昇降動作を制御している。
図3(a)は、空間距離の変化パターンを示している。空間距離検出手段13は、スラットバー21の上面を基準高さとしてそこから距離L0の高さ(センサ高さ)に設置されている。そして、そのセンサ高さから下方の空間距離Lを検出している。空間距離とは空間距離検出手段13の下方に何らかの物体が存在する場合のセンサ高さから物体までの距離を指す。空間距離検出手段13の下をスラットバー21が通過する場合には、センサ高さからスラットバー21の表面までの距離が空間距離になり、空間距離検出手段13の下を被印字材Wが通過する場合には、センサ高さから被印字材Wの印字面Waまでの距離が空間距離になる。
制御手段40は、空間距離検出手段13によって検出される空間距離Lを移動手段20の移動距離Xに対応して記憶しており、微小な移動距離Xの計測区間毎に空間距離Lを記憶している。そして、制御手段40は、移動手段20の移動方向に沿って空間距離Lがどのように変化するかの変化パターンを認識している。
図3に示すように、空間距離Lの変化パターンは、空間距離検出手段13の下をスラットバー21が通過する場合には、設定された移動距離ΔXの範囲で空間距離Lが比較的大きく変化する。これは、空間距離検出手段13が円柱状のスラットバー21の曲面を検出しているからである。一方、空間距離検出手段13の下を被印字材Wが通過する場合には、空間距離検出手段13が被印字材Wの平坦な印字面Waを検出しているので、設定された移動距離ΔXの範囲で空間距離Lはほぼ一定になっている。
制御手段40は、この変化パターンに基づいて、空間距離検出手段13の下を通過する物体の有無だけで無く、その物体がスラットバー21であるのか、或いは被印字材Wであるのかを判別する。そして、空間距離検出手段13の下を通過する物体が被印字材Wであると認識したときだけ、印字ヘッド昇降手段12を昇降動作させて塗料吐出部10の吐出端を印字面Wa上に設定距離だけ離して配置し、印字面Wa上に向けて塗料吐出部10の吐出動作を実行する。具体的には、変化パターンの変化率ΔL/ΔXが設定値以下の場合に、その変化パターンを被印字材W上のパターンであると認識する。また、この変化率ΔL/ΔXを移動距離Xに沿って逐次求め、検出面が大きな凸曲面である場合には検出面がスラットバー21であると判別し、検出面が直線的な面である場合には検出面を被印字材Wであると判別するようにしてもよい。
制御手段40は、空間距離Lの変化パターンに基づいて印字ヘッド昇降手段12を昇降制御することによって、塗料吐出部10の吐出端から被印字材W上までの距離を一定に制御する。これにより、厚さの異なる被印字材Wが移動手段20によって搬送されてきた場合にも、塗料吐出部10の吐出端から被印字材Wの印字面Waまでの距離は常に一定になるので、均一なドット径で印字を行うことができる。
具体的には、図3(a)に示すように、空間距離検出手段13の下を被印字材Wが通過していることを認識した場合の空間距離をLaとすると、被印字材Wの厚さTはT=L0−Laとして制御手段40に認識される。そして、制御手段40による印字ヘッド昇降手段12の昇降動作制御は、図3(b)に示すように、塗料吐出部10の吐出端から被印字材Wまでの設定距離をLeとすると、例えば、基準高さからの距離がT+Leとなる目標高さに塗料吐出部10の吐出端が位置するように制御がなされる。この際、空間距離検出手段13と塗料吐出部10とは移動手段20の移動方向に沿ってX0の距離だけ離れているので、空間距離検出手段13の下を被印字材Wが通過してから距離X0だけ離れた塗料吐出部10の下に到達するまでの間に、制御手段40は被印字材Wであることの判別を行い、更に目標高さに向けた印字ヘッド11の昇降制御を行う。図3(b)においては、印字ヘッド11の高さを待機高さから目標高さに合わせる例を示している。
また、制御手段40は、空間距離Lの変化パターンに基づいて被印字材Wの先端を検知し、この先端から設定距離だけ離れた被印字材W上に印字がなされるように、塗料吐出部10の吐出動作を制御する。すなわち、制御手段40は、図3(c)に示すように、空間距離Lの変化パターンに基づいて空間距離検出手段13の下を通過したものが被印字材Wであると認識した場合は、この認識によって被印字材Wの先端を検知し、被印字材Wが空間距離検出手段13の下を通過してから塗料吐出部10の下に到達するまでの距離X0間に吐出端を目標高さに設定し、被印字材の先端から設定距離X1が検出された時点で、塗料吐出部10の吐出動作を開始する。設定距離X1を距離X0より大きく設定することで、被印字材Wの印字面Wa上の設定された位置に文字を印字することが可能になる。また、設定距離X1を距離X0より小さく設定すると被印字材Wの上以外で塗料を捨て吐きすることができ、これによって塗料吐出部10のクリーニング動作を実行することが可能になる。
図4は、印字ヘッド昇降手段の昇降制御の更に具体的な制御例を示した説明図である。この制御例では、制御手段40は、空間距離Lの変化パターンによって、被印字材Wの高さが印字ヘッド11の昇降を必要とする高さであると判断した場合に、被印字材Wと印字ヘッド11との距離が衝突を避けうる最接近距離に達したときに、印字ヘッド昇降手段12を動作させている。
図4においては、厚さの異なる複数の被印字材W(W1〜W5)が移動手段20によって並んで移動しており、これに対して、印字ヘッド11を被印字材Wの厚さに応じて昇降制御している。図4(a)では、比較的厚さの薄い被印字材W1上に印字ヘッド11が配置されており、その後方に比較的厚さの厚い被印字材W2が大きな間隔を開けないで配列されている。このような状況で、制御手段20は、印字ヘッド11と被印字材W2との距離が被印字材W2との衝突を避けうる最接近距離Xnに達するまで印字ヘッド11の高さを維持し、最接近距離Xnに達した後に最大上昇軌跡Umで印字ヘッド11の高さを被印字材W2上の目標高さに上昇制御している。
この際の最接近距離Xnは、印字ヘッド昇降手段12の昇降速度Vzと移動手段20の移動速度Vxに基づいて設定される。図示の最大上昇軌跡Umの上昇角度はtanθ=Vz/Vxによって決められるが、制御手段40は、空間距離Lの変化パターンを認識しているので、どの程度まで接近したときに最大上昇軌跡Umでの上昇で被印字材W2との衝突を避けうるかを判断でき、最接近距離Xnを認識することができる。このような制御を行うことで、被印字材W1上での印字ヘッド11の印字範囲を最大限に確保することができる。
図4(b)は、比較的厚さの厚い被印字材W2上に印字ヘッド11が配置されており、その後方に比較的厚さの薄い被印字材W3が大きな間隔を開けないで配列されている場合を示している。このような状況で、制御手段20は、印字ヘッド11と被印字材W2との衝突を避け且つ最も被印字材W2に接近する最大下降軌跡Dmで印字ヘッド11の高さを被印字材W3上の目標高さに下降制御している。
この際の最大下降軌跡Dmの下降角度もtanθ=−Vz/Vxによって決められるが、制御手段40は、空間距離Lの変化パターンを認識しているので、どの程度まで接近したときに最大下降軌跡Dmでの下降で被印字材W2との衝突を避けうるかを判断できる。このような制御を行うことで、被印字材W2上での印字ヘッド11の印字範囲を最大限に確保できると共に、被印字材W3上での印字ヘッド11の印字範囲を最大限に確保できる。
これに対して、図4(c)に示すように、被印字材W4と被印字材W5の間隔が空いている場合で、その間に被印字材Wが存在しない場合には、制御手段40は、空間距離Lの変化パターンに基づいて、被印字材Wの厚さに変化が無く、その間に厚さの異なる被印字材が存在しないことを認識できるので、昇降動作を行わない制御がなされる。
また、本発明の更に具体的な実施形態によると、印字装置1は、図1に示すように、印字ヘッド11に印字ヘッド11を保護するための接近検知手段(接近検知センサ)14を備えている。この接近検知手段14は、印字ヘッド11に対して被印字材Wが設定距離より接近したことを検知するものであり、制御手段40は、接近検知手段14の出力に基づいて印字ヘッド11と被印字材Wが過剰に接近した場合に印字ヘッド11の昇降動作を衝突回避動作に切り替える。具体的には、印字ヘッド11と被印字材Wとの距離が10mm以下になった場合は、印字ヘッド11の下降動作を禁止する、更に、印字ヘッド11と被印字材Wとの距離が5mm以下になった場合には印字ヘッド11の強制上昇を実行する、といった制御がなされる。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る印字装置1によると、被印字材Wの厚さが変わった場合にも、煩雑な調整を行うこと無く、印字ヘッド11と被印字材Wとの距離を設定された距離に保って精度の高い印字を行うことができる。また、被印字材Wの厚さが変わった場合にも、被印字材Wと印字ヘッド11が衝突して印字ヘッド11を破損させてしまう不具合を回避することができる。更には、被印字材Wがスラットコンベヤのような搬送手段で移動する場合にも、スラットコンベヤのスラットバー21と被印字材Wとを判別することで、被印字材Wの先端部を正確に検出して被印字材W上の設定された位置に文字等を印字することができる。
そして、制御手段40は、空間距離Lの変化パターンに基づいて印字ヘッド昇降手段12と塗料吐出部10の吐出制御を行うので、厚さの異なる複数の被印字材Wが連続して移動している場合にも、印字ヘッド11と被印字材Wとの衝突をさけながら、各被印字材W上に最大限広域な印字範囲を設定することができる。これによって、被印字材W上の所望の位置に十分な情報量の印字を行うことが可能になる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
1:印字装置,10:塗料吐出部,11:印字ヘッド,
12:印字ヘッド昇降手段,
13:空間距離検出手段,14:接近検知手段,
20:移動手段,21:スタットバー,22:移動距離検出手段,
30:塗料供給手段,31:供給流路,32電磁弁,
40:制御手段,
W:被印字材

Claims (7)

  1. 被印字材上にドット状の塗料を吐出する塗料吐出部と、
    該塗料吐出部を複数個線状に配列した印字ヘッドと、
    被印字材を側面視で点支持するスラットバーを備え、前記スラットバーに支持された被印字材を前記塗料吐出部の配列方向と交差する方向に沿って移動させる移動手段と、
    前記塗料吐出部に塗料を供給する塗料供給手段と、
    前記印字ヘッドを被印字材の厚さ方向に沿って昇降させる印字ヘッド昇降手段と、
    前記移動手段の移動距離を検出する移動距離検出手段と、
    被印字材上の基準位置から被印字材の厚さ方向に沿った空間距離を検出する空間距離検出手段と、
    前記移動距離検出手段の出力と前記空間距離検出手段の出力に基づいて前記塗料吐出部の吐出動作と前記印字ヘッド昇降手段の昇降動作を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記移動距離に対する前記空間距離の変化率に基づいて、前記空間距離検出手段の下を通過する物体が前記スラットバーであるか被印字材であるかを判別し、被印字材であると認識したときだけ、前記塗料吐出部の吐出動作と前記印字ヘッド昇降手段の昇降動作を制御することを特徴とする印字装置。
  2. 前記制御手段は、前記変化に基づいて前記印字ヘッド昇降手段を昇降制御することによって、前記塗料吐出部の吐出端から被印字材上までの距離を一定に制御することを特徴とする請求項1記載の印字装置。
  3. 前記制御手段は、前記変化に基づいて被印字材の先端を検知し、該先端から設定距離だけ離れた被印字材上に印字がなされるように、前記塗料吐出部の吐出動作を制御することを特徴とする請求項1記載の印字装置。
  4. 前記制御手段は、前記変化率に基づいて、被印字材上における前記空間距離の変化パターンを認識することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印字装置。
  5. 前記空間距離検出手段を前記塗料吐出部の位置に対して前記移動手段の移動方向上流側に設定距離だけ離して設け、
    前記制御手段は、前記変化によって、被印字材の高さが前記印字ヘッドの昇降を必要とする高さであると判断した場合に、被印字材と前記印字ヘッドとの距離が衝突を避けうる最接近距離に達したときに、前記印字ヘッド昇降手段を動作させることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
  6. 前記最接近距離は、前記印字ヘッド昇降手段の昇降速度と前記移動手段の移動距離に基づいて設定されることを特徴とする請求項5記載の印字装置。
  7. 前記空間距離検出手段は、前記塗料吐出部の設置位置に対して前記移動手段の移動方向上流側に設定距離だけ離して設け、
    前記印字ヘッドには当該印字ヘッドに被印字材が設定距離より接近したことを検知する接近検知手段を設けており、
    前記制御手段は、前記接近検知手段の出力に基づいて前記印字ヘッドと被印字材が過剰に接近した場合に前記印字ヘッドの昇降動作を衝突回避動作に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
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