JP5158346B2 - 塗膜転写装置 - Google Patents
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Description
上記問題点に鑑み、先の特願2006−174270に示されるような、幅広の転写テープを用いて、被転写体が移動した範囲のみに塗膜を転写させることで、転写される塗膜の範囲や長さを自由に変更することができる塗膜転写方法及び装置が発明された。
その一つは、繰出リールと巻取リール間に巻回された無端状のベルトにより両リールを連動回転させる方式であり、この方式による転写具が、特許文献2に開示されている。このようなベルト式連動機構を用いる場合、ベルトはゴム製であるから、テープ幅が狭いものを用いたとしても、使用を重ねることで変形したり、内径が大きくなって正常な連動回転がされなくなったりする。幅の広いテープを用いると、このような問題が、より顕著に現れる。
このような歯車式連動機構を用いれば、ベルト式連動機構を用いる場合の上記のような問題は生じない。
しかし、ギアを大きくすると、装置全体が大きくなり過ぎる。また、幅の狭いテープでは、テープ自体のコストがさほど高くならないため、部品数が多少増えてもコスト面の問題は起きないが、幅の広い転写テープの場合は、狭い転写テープに比して転写テープそのものが比較的高価にならざるを得ないため、さらに、ギアのような部品数まで増えてしまうと、製造コストが増大するという問題がある。
本発明は、また、転写テープを交換式にすることで、環境汚染を招く廃棄物の量を最小限にし、同時に、装置のランニングコストを減らすことを目的とする。転写テープを交換式にすることに伴い、交換が簡単、且つ、確実にできるようにし、また、幾度交換しても、繰出リールと巻取リール間の連動が確実、且つ、スムーズに行われるようにすることも、本発明の目的である。
加えて、持運びに便利なように装置を小型化することも本発明の目的である。
複数の中間ギアは同軸状に形成され、両リールギアは、両リールとそれぞれ一体形成されるのが好ましい。
また、繰出リール、転写手段、巻取リールを含むカバーと、複数の中間ギアを具えるケースと、転写台を有する台で構成し、カバーはケースに開閉自在に連結されるようにし、カバーを開けることで両リール及び転写テープが露出するようにするのが望ましい。なお、本発明において、「カバー」及び「ケース」とは、開閉自在に連結されたもののうち開閉される方を「カバー」、他方を「ケース」と表現したものである。
さらに、繰出リールギアの軸心と繰出リールギアと噛合う第1中間ギアの軸心間の距離と、巻取リールギアの軸心と巻取リールギアと噛合う第2中間ギアの軸心間の距離が異なるようにするのがよい。
同時に、繰出リールのギアと巻取リールのギアとをそれぞれリールと一体形成することで、部品数を少なくして、コストを削減することができる。そして、繰出リールが転写手段を兼ねる構成にすれば、別に転写ヘッドを必要としないため、さらにコストを削減できる。
また、本発明の塗膜転写装置では、転写テープ、繰出リール及び巻取リールのみを交換可能とすることで、環境汚染を招く廃棄物の量を減らすことができる。そして、塗膜転写装置のカバー内に両リール、転写手段及び転写テープが納められ、当該カバーを開閉可能とすることで、カバーを開けた時に両リール、転写手段及び転写テープが露出するため、転写テープの交換作業が容易にできるようになる。
さらに、繰出リールギアの軸心と繰出リールギアと噛合う第1中間ギアの軸心間の距離と、巻取リールギアの軸心と巻取リールギアと噛合う第2中間ギアの軸心間の距離を、それぞれ異なるものとすることで、交換時にリールの配置を誤ってセットしてしまう可能性をなくすことができる。
加えて、繰出リールと巻取リールを連動回転させる複数のギアを、同軸状に配置することで、ギアの収納スペースを少なくし、塗膜転写装置の小型化につなげることができる。
図1は、本発明の塗膜転写装置のカバーを開けた状態の平面図である。図2は、本発明の塗膜転写装置のカバーを開けた状態の側面図である。(図1、2を右側から見た場合が正面である。)
図に示すように、本発明の塗膜転写装置10は、カバー20、ケース30、及び台40からなる。
カバー20は、さらに、繰出リール50から繰出された転写テープT上の塗膜を被転写体(図示せず。)に転写するための転写ヘッド22、ケース30に対しカバー20を開閉可能に支持するヒンジ24、カバー20とケース30を合体させるための嵌合部26を具える。
ヒンジ24は周知の構造でよい。嵌合部26は、ケース30の嵌合部に合致し、カバー20とケース30を、互いに動かないように固定する。
両リールのギア52及び62がそれぞれ繰出リール50及び巻取リール60と一体形成されているので、部品数を少なくし、製造コストを低減できる。
両リールは、カバー20に着脱可能に支持されるが、その支持の仕方としては、周知の軸受を使用した方法等でよい。また、後述する第2実施形態に示すように、両リールは、ケース30側に着脱可能に支持されてもよい。この場合、連動機構70は、カバー側に設けられる。
両リールは着脱自在のため、転写テープを使い切った時には両リール及び転写テープのみを交換すればよく、転写装置本体は何度でも使用できるので、廃棄物が少なくなり環境汚染の度合いが低い。
両中間ギア72及び74が同軸状に形成されているので、収納スペースが節約され、塗膜転写装置10全体を小型化できる。
また、中間ギア間は、周知のスリップ機構によって、転写テープに所定の大きさ以上の張力(テンション)がかからないようにされる(周知のため説明は省略)。
この装置の使用方法は、比較的大型のホッチキスの使用方法に似ている。
まず、転写台42上に、転写開始位置が転写ヘッド22の真下に、そして塗膜を転写したい部分が転写ヘッド22より装置内側になるように、被転写体を載置する。なお、転写開始位置を分かりやすくするために、転写台42上に印をつけるか、又は、カバー20やケース30を透明な素材で構成する等しておくとよい。
転写ヘッド22の先端が被転写体に接触した状態を保ったまま、もう一方の手で被転写体をテープ長さ方向手前に引くと、繰り出しリール50から転写テープTが繰出され、被転写体の転写開始位置からテープ長さ方向手前に引いただけの部分に、塗膜が転写される。繰出リール50の回転によって繰出リール50と噛合う第1中間ギア72が回転し、それに伴い、第2中間ギア74も回転することから、巻取リール60にも回転が伝わり、そうして、塗膜転写後の基材T’が巻取られる。
転写後にカバー20を押さえていた手を離すと、連結部32の働きにより、カバー20及びケース30は元の位置に戻り、転写ヘッド22も転写台42から離れる。なお、連結部32は、一度手で押して転写ヘッド22を転写台42上の被転写体に接触させたら、再度手で持上げるまで、その接触した状態を維持できるような構造にしてもよい。
塗膜転写装置の使用回数が増えるに伴い被転写体との摩擦等により、表面の離型性が劣化することを考えて、離型性に優れた素材のシートを表面に貼付け、離型性が失われた場合には、当該表面のシートのみを貼替える構造にしてもよい。具体的には、一方の面に粘着材が層状に形成され、他方の面には離型性の良い物質が層状に形成された機能性フィルム(例えば、特開平10−95073号公報参照。)を利用することが考えられる。
また、滑り性にも限界があることから、転写台42自体を引張りコイルばね等を利用して、リール回転方向に移動可能なようにしてもよい。移動した転写台42は、引張りコイルばねの弾性力で元の位置に戻る。移動式転写台の場合は、被転写体との接触面の滑り性は必要でなく、塗膜に対する離型性のみで十分である。
ヒンジ24を介して、カバー20を開き、転写ヘッド22を露出可能としたので、転写ヘッド22に掛回された転写テープ(又は基材)を外し易く、また再度掛回すことも容易である。さらに、繰出リール50及び巻取リール60の着脱も、確実、且つ、容易にすることができる。
図に示すように、第2実施形態の塗膜転写装置100では、第1実施形態の塗膜転写装置10とは逆に、繰出リール150及び巻取リール160はケース130側に装着されるようになっており、連動機構170がカバー120側に設けられている。
繰出リール150は、巻取リール160に対してテープ長さ方向手前に位置し、図9に最も明らかなように、ケース130から突出するように装着される。
第1実施形態と同様にしてケース130と一体となったカバー120を上から押すと、繰出リール150上の転写テープTが、転写台142に接触する。すなわち、第1実施形態では、転写テープTは繰出リール50から繰出された後、転写ヘッド22を経由し、転写ヘッド22において被転写体に転写された後、巻取リール60に巻取られたが、第2実施形態の塗膜転写装置100では、繰出リール150に巻回された転写テープTは、直接、繰出リール150において被転写体に転写され、その後、巻取リール160に巻取られる。
転写方法やその他の構成は、第1実施形態と同様であるから、説明は省略する。
第2実施形態の上記構成によれば、さらに部品数を少なくすることができるため、製造コストが低減される。
20,120:カバー
22:転写ヘッド(転写手段)
30,130:ケース
40:台
42,142:転写台
50:繰出リール
52:繰出リールギア
150:繰出リール兼転写手段
60,160:巻取リール
62:巻取リールギア
70,170:連動機構
72,74:中間ギア
Claims (10)
- 基材上に塗膜がコーティングされた転写テープを繰出す繰出リール、前記塗膜を被転写体に押圧して転写する転写手段、前記被転写体が載置される転写台、転写後の前記基材を巻取る巻取リール、及び両リールを連動させる連動手段を具え、前記塗膜を前記被転写体が移動した範囲のみに転写させる塗膜転写装置であって、
前記連動手段が前記繰出リールに設けられた繰出リールギア、前記巻取リールに設けられた巻取リールギア、及び両ギアとそれぞれ噛合う複数の中間ギアを有する連動機構からなり、前記繰出リール、転写手段、及び巻取リールを含むカバーと、前記複数の中間ギアを具えるケースと、前記転写台を有する台からなり、前記カバーが前記ケースに開閉自在に連結されていることを特徴とする、塗膜転写装置。 - 前記転写手段が転写ヘッドである、請求項1の塗膜転写装置。
- 前記繰出リールが前記転写手段を兼ねる、請求項1の塗膜転写装置。
- 基材上に塗膜がコーティングされた転写テープを繰出す繰出リール、前記塗膜を被転写体に押圧して転写する転写手段、前記被転写体が載置される転写台、転写後の前記基材を巻取る巻取リール、及び両リールを連動させる連動手段を具え、前記塗膜を前記被転写体が移動した範囲のみに転写させる塗膜転写装置であって、
前記連動手段が前記繰出リールに設けられた繰出リールギア、前記巻取リールに設けられた巻取リールギア、及び両ギアとそれぞれ噛合う複数の中間ギアを有する連動機構からなり、前記繰出リールが前記転写手段を兼ね、前記繰出リールと巻取リールを含むケース、前記複数の中間ギアを具えるカバー、及び前記転写台を有する台からなり、前記カバーが前記ケースに開閉自在に連結されていることを特徴とする、塗膜転写装置。 - 前記複数の中間ギアが同軸状に形成されている、請求項1から4のいずれかの塗膜転写装置。
- 前記繰出リールギア及び巻取リールギアが、それぞれ前記繰出リール及び巻取リールと一体形成されている、請求項1から5のいずれかの塗膜転写装置。
- 前記繰出リール及び巻取リールが交換可能である、請求項1から6のいずれかの塗膜転写装置。
- 前記繰出リールギアの軸心と該繰出リールギアと噛合う第1中間ギアの軸心間の距離と、前記巻取リールギアの軸心と該巻取リールギアと噛合う第2中間ギアの軸心間の距離とが異なる、請求項1から7のいずれかの塗膜転写装置。
- 前記複数の中間ギア間にスリップ機構を設けた、請求項1から8のいずれかの塗膜転写装置。
- 前記複数の中間ギアと同軸状にノブを設け該中間ギアを手動回転可能とした、請求項1から9のいずれかの塗膜転写装置。
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