JP4194712B2 - 転写具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に転写媒体を貼着した帯状フィルムを筐体内から送り出し、被転写体に対して転写媒体を転写し、被転写体に転写媒体を転写した後の帯状フィルムを筐体内に収納する転写具に係り、転写媒体の容量を減らすことなく、また、使い勝手を損なうこともなく、他の筆記文房具と共に筆箱等に収納可能とした転写具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば液状の修正液や液状の糊に代って、適量を容易に使用できる使い易さなどといった利点から、白色の転写媒体を貼着した帯状フィルムを筐体内から送り出し、紙などの被転写体に対して転写媒体を転写して、被転写体に記された修正個所を前記白色の転写媒体でもって修正する転写具や、また、両面に粘着性を呈する塗膜を転写媒体として貼着した帯状フィルムを、同じく筐体内から送り出し、紙などの被転写体と他の貼着体とを貼り付ける転写具が、普及してきている。
【0003】
例えば上記した両面に粘着性を呈する塗膜を使用する転写具は、図2に示すような構成となっている。図2に示す転写具31は、筐体32内に、表面に例えば塗膜Pが貼着された状態の帯状フィルムFを巻装した送出リール33と、この送出リール33から送り出された帯状フィルムFを巻き取る巻取リール34とを枢支し、送出リール33から巻取リール34に至る該筐体32の一端部に開口32aが形成され、この開口32aに、帯状フィルムFを送出リール33から巻取リール34へと送ると共に被転写体Tに対して塗膜Pを転写する転写ローラ35を露出した状態で設けている。
【0004】
さらに、送出リール33及び巻取リール34には、その軸部外周にギヤ33a及びギヤ34aが設けられ、これらギヤ33a及びギヤ34a間には、送出リール33における帯状フィルムFの送出方向の回転に伴って、巻取リール34を帯状フィルムFの巻取方向に回転させるため、該送出リール33の回転に連動して該巻取リール34を巻取方向に回転させる連動ギヤ36が互いに噛合している。
【0005】
なお、図2には、被転写体と他の貼着体とを貼り付ける塗膜Pを使用する転写具31を示したが、被転写体の記載を修正する白色の転写媒体を使用する転写具においても転写媒体が異なるだけで同様の構造となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の転写具は、上記したように転写媒体を貼着した帯状フィルムを送り出し、巻き取るために、ギヤ、並びにこれらのギヤを連動させる連動ギヤが設けられていたので、その分、これらを収納する筐体が厚み方向にもまた送出リール及び巻取リールの軸方向にも大きくなり、筆記具と共に例えば筆箱などに収納することができないといった不具合があった。
【0007】
そこで、送出リールや巻取リール、これらのギヤ、及び連動ギヤの径を小さくして、筐体自体を小さくするといったことも考えられるが、どうしても送出リールや巻取リール、これらのギヤ、及び連動ギヤ部材を有する以上、筐体の小型化にも限界があり、また、筐体を小さくすることは、すなわち、転写媒体を貼着した帯状フィルムの容量を減少させることとなり、単に筐体を小さくするのみでは全く無意味である。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、転写媒体の容量を減らすことなく、また、使い勝手も損なうことなく、小型化を図り、従って他の筆記文房具と共に筆箱などに収納することができる転写具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、筐体内に枢支され、転写媒体を貼着した帯状フィルムを巻装した送出軸部と、筐体の一端部に形成された開口に、送出軸部から転写媒体を貼着した帯状フィルムを送り出して被転写体に対して転写媒体を転写すると共に該帯状フィルムを該筐体内に送る転写ローラと、転写ローラを通過した帯状フィルムを巻き取る巻取軸部とを備え、転写ローラと巻取軸部とにベルトを架けたのである。
【0010】
すなわち、本発明は、従来のギヤ、及びこれらギヤ間に設けた連動ギヤを省略している。そして、転写媒体を貼着した帯状フィルムを従来のように送出リールに巻装することに代えて送出軸部自体に巻装し、転写ローラを通過後の帯状フィルムは、巻取軸部自体に巻き取って筐体内に収納するようにしている。
【0011】
また、送出軸部を転写ローラの回転による帯状フィルムの張力でもって回転させ、また、転写ローラの回転力を巻取軸に架けたベルトでもって伝達して巻取軸部を回転させるようにしているので、ギヤや連動ギヤを必要とせず、よって筐体を小さくすることができ、また筐体を小さくしたにも拘わらず転写媒体の容量を減少させることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の転写具は、筐体内に枢支され、転写媒体を貼着した帯状フィルムを巻装した送出軸部と、筐体の一端部に形成された開口に、送出軸部と平行に枢支され、該送出軸部から転写媒体を貼着した帯状フィルムを送り出して被転写体に対して転写媒体を転写すると共に該帯状フィルムを該筐体内に送る転写ローラと、送出軸部及び転写ローラと平行に枢支され、かつ該送出軸部より該転写ローラ側に位置し、転写ローラを通過した帯状フィルムを巻き取る巻取軸部とを備え、転写ローラと巻取軸部とにベルトを架けたものである。
【0013】
上記の構成において、転写媒体とは、白色などの透明でない修正用の膜体、両面に粘着性を呈する塗膜など、をいう。そして、転写媒体は、転写ローラから未だ送り出されていない状態では帯状フィルムに貼着されており、転写ローラによって上記転写媒体を貼着した帯状フィルムが送出軸部から送り出され、該転写ローラによって被転写体に転写媒体が転写されると、該転写媒体は帯状フィルムから剥離し、転写媒体が剥離した後の帯状フィルムは、転写ローラを通過後、筐体内の巻取軸部に巻き取られる。
【0014】
本発明の転写具は、筐体の開口から奥方に向けて、転写ローラ、巻取軸部、送出軸部の順に筐体に枢支されている。そして、転写ローラと巻取軸部にはベルトが架けられ、転写ローラの回転力は巻取軸部へと伝達されて巻取軸部が回転する。一方、送出軸部は、転写ローラの回転によって引き出される転写媒体を貼着した帯状フィルムの張力によって回転する。
【0015】
本発明は、こうした構成によって、ギヤなどを必要とせず簡単な構成で確実に転写ローラ、巻取軸部、送出軸部を駆動することができ、転写媒体の容量を減少させることなく、また、使い勝手を損なうことなく、筐体の厚み方向、及び送出及び巻取軸部の軸方向に筐体を小さくすることができ、従って筆記具を収納する筆箱などに筆記具と共に収納することが可能となる。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の実施例について、本発明の転写具の構成を示す図1を参照して説明する。なお、以下の実施例では、例えば転写媒体として両面に粘着性を呈する塗膜を使用した場合を説明する。
【0017】
図において、1は、被転写体(不図示)に塗膜Pを転写する本発明の転写具であり、以下のように構成されている。2は、転写具1の外形を構成し、後述する部材を収納した筐体であり、この筐体2は、図示する状態では、中央縦で2分割した一方のみを示している。また、筐体2は、その一端部に開口2aが形成されている。
【0018】
3は、表面側に塗膜Pが貼着された帯状フィルムFを巻装した送出軸部としての送出軸であり、この送出軸3は、筐体2内で開口2aの奥方側に位置し、回転可能に枢支されている。4は、筐体2内で開口2aから送出軸3より手前側に位置し、後述する転写ローラ5を通過した帯状フィルムFを巻き取る巻取軸部としての巻取軸である。
【0019】
5は、開口2aから露出した状態で設けた転写ローラであり、この転写ローラ5は、送出軸3から送り出された帯状フィルムFの送出経路の途中箇所に位置し、該転写ローラ5を被転写体に押し付けて筐体2を移動させて、帯状フィルムFを送出軸3から巻取軸4へと送ると共に、塗膜Pを被転写体に転写させる。6は、転写ローラ5のローラ軸の片面と帯状フィルムFの巻取軸4の片面に架けられた例えばゴムでなるベルトである。
【0020】
上記構成において、転写具1は、転写ローラ5を被転写体に押し付けた状態で筐体2を移動させると、被転写体との摩擦抵抗で転写ローラ5が回転し、これにより塗膜Pを貼着した状態の帯状フィルムFが、転写ローラ5と被転写体との押し付け箇所にて、塗膜Pが被転写体に転写されると共に、塗膜Pの剥離した状態の帯状フィルムFが巻取軸4へ送られる。
【0021】
このとき、帯状フィルムFが巻取軸4側へ引っ張られて送出軸3が回転し、新たに塗膜Pを貼着した帯状フィルムFが順次送り出される。一方、転写ローラ5が回転すると、この転写ローラ5の回転力がベルト6を介して巻取軸4へと伝達されて該巻取軸4が回転して、転写ローラ5を通過し、塗膜Pの剥離した状態の帯状フィルムFが該巻取軸4にて巻き取られる。
【0022】
このように、転写具1は、転写ローラ5のローラ軸と帯状フィルムFの巻取軸4に架けられたベルト6による回転力の伝達で帯状フィルムFを巻き取るので、従来構成に存在したギヤ、さらにはこれらギヤ間に設けた連動ギヤを必要としないので、筐体2をその厚み方向及び送出軸3や巻取軸4の軸方向に小型化することができ、筆記具と共に筆箱などに収納することができる。
【0023】
また、筐体2の大きさは、上記した構成とすることにより、塗膜Pの容量、つまり送出軸3の巻き量によって決定することができ、従来のように部材によって制限が加わることがなく、よって例えば送出軸3を、2つの軸間にベルトを架けて楕円状とすれば、筐体2を大きくすることなく塗膜Pの容量を増加することができる。
【0024】
なお、上記実施例では、転写媒体として塗膜Pを使用した例を示したが、白色などの透明でない修正用の膜体においても、上記と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の転写具は、筐体内に枢支され、転写媒体を貼着した帯状フィルムを巻装した送出軸部と、筐体の一端部に形成された開口に、送出軸部から転写媒体を貼着した帯状フィルムを送り出して被転写体に対して転写媒体を転写すると共に該帯状フィルムを該筐体内に送る転写ローラと、転写ローラを通過した帯状フィルムを巻き取る巻取軸部とを備え、転写ローラと巻取軸部とにベルトを架けたので、従来のギヤ、及びこれらギヤ間に設けた連動ギヤを省略して筐体を小さくして筆記具と共に筆箱などに収納することができ、また筐体を小さくしたにも拘わらず転写媒体の容量を減少させることがなく、また、使い勝手も損なうことがなく、さらに製作コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写具の構成を示すために、縦中央で2分割した筐体の一方を取り外した状態の図である。
【図2】従来の転写具の構成を示すために、縦中央で2分割した筐体の一方を取り外した状態の図である。
【符号の説明】
1 転写具
2 筐体
3 送出軸(送出軸部)
4 巻取軸(巻取軸部)
5 転写ローラ
6 ベルト
F 帯状フィルム
P 塗膜
Claims (1)
- 表面に転写媒体を貼着した帯状フィルムを筐体内から送り出し、被転写体に対して転写媒体を転写し、被転写体に転写媒体を転写した後の帯状フィルムを前記筐体内に収納する転写具において、前記筐体内に枢支され、転写媒体を貼着した帯状フィルムを巻装した送出軸部と、前記筐体の一端部に形成された開口に、前記送出軸部と平行に枢支され、該送出軸部から転写媒体を貼着した帯状フィルムを送り出して被転写体に対して転写媒体を転写すると共に該帯状フィルムを該筐体内に送る転写ローラと、前記送出軸部及び前記転写ローラと平行に枢支され、かつ該送出軸部より該転写ローラ側に位置し、前記転写ローラを通過した帯状フィルムを巻き取る巻取軸部とを備え、前記転写ローラと前記巻取軸部とにベルトを架けたことを特徴とする転写具。
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