JP2001018584A - 転写具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写媒体の容量を減らさず、使い勝手を損な
うこともなく、小型化を図り、他の筆記文房具と共に筆
箱などに収納できる転写具を提供する。 【解決手段】 本発明の転写具１は、筐体２内に枢支さ
れ、塗膜Ｐ（転写媒体）を貼着した帯状フィルムＦを巻
装した送出軸３（送出軸部）と、送出軸３から塗膜Ｐを
貼着した帯状フィルムＦを送り出して被転写体に対して
塗膜Ｐを転写すると共に該帯状フィルムＦを該筐体２内
に送る転写ローラ５と、この転写ローラ５を通過した帯
状フィルムＦが収納される収納部４とを備えたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、表面に転写媒体を
貼着した帯状フィルムを筐体内から送り出し、被転写体
に対して転写媒体を転写し、被転写体に転写媒体を転写
した後の帯状フィルムを筐体内に収納する転写具に係
り、転写媒体の容量を減らすことなく、また、使い勝手
を損なうもことなく、他の筆記文房具と共に筆箱などに
収納可能とした転写具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、例えば液状の修正液や液状の糊に
代って、適量を容易に使用できる使い易さなどといった
利点から、白色の転写媒体を貼着した帯状フィルムを筐
体内から送り出し、紙などの被転写体に対して転写媒体
を転写して、被転写体に記された修正個所を前記白色の
転写媒体でもって修正する転写具や、また、両面に粘着
性を呈する塗膜を転写媒体として貼着した帯状フィルム
を、同じく筐体内から送り出し、紙などの被転写体と他
の貼着体とを貼り付ける転写具が、普及してきている。

【０００３】例えば上記した両面に粘着性を呈する塗膜
を使用する転写具は、図２に示すような構成となってい
る。図２に示す転写具３１は、筐体３２内に、表面に例
えば塗膜Ｐが貼着された状態の帯状フィルムＦを巻装し
た送出リール３３と、この送出リール３３から送り出さ
れた帯状フィルムＦを巻き取る巻取リール３４とを枢支
し、送出リール３３から巻取リール３４に至る該筐体３
２の一端部に開口３２ａが形成され、この開口３２ａ
に、帯状フィルムＦを送出リール３３から巻取リール３
４へと送ると共に被転写体Ｔに対して塗膜Ｐを転写する
転写ローラ３５を露出した状態で設けている。

【０００４】さらに、送出リール３３及び巻取リール３
４には、その軸部外周にギヤ３３ａ及びギヤ３４ａが設
けられ、これらギヤ３３ａ及びギヤ３４ａ間には、送出
リール３３における帯状フィルムＦの送出方向の回転に
伴って、巻取リール３４を帯状フィルムＦの巻取方向に
回転させるため、該送出リール３３の回転に連動して該
巻取リール３４を巻取方向に回転させる連動ギヤ３６が
互いに噛合している。

【０００５】なお、図２には、被転写体と他の貼着体と
を貼り付ける塗膜Ｐを使用する転写具３１を示したが、
被転写体の記載を修正する白色の転写媒体を使用する転
写具においても転写媒体が異なるだけで同様の構造とな
っている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
転写具は、上記したように転写媒体を貼着した帯状フィ
ルムを送り出し、巻き取るために、送出リール及び巻取
リールさらにはこれらの軸部外周に設けたギヤ、並びに
これらのギヤを連動させる連動ギヤが設けられていたの
で、その分、これらを収納する筐体が厚み方向にもまた
送出リール及び巻取リールの軸方向にも大きくなり、筆
記具と共に例えば筆箱などに収納することができないと
いった不具合があった。

【０００７】そこで、送出リールや巻取リール、これら
のギヤ、及び連動ギヤの径を小さくして、筐体自体を小
さくするといったことも考えられるが、どうしても送出
リールや巻取リール、これらのギヤ、及び連動ギヤ部材
を有する以上、筐体の小型化にも限界があり、また、筐
体を小さくすることは、すなわち、転写媒体を貼着した
帯状フィルムの容量を減少させることとなり、単に筐体
を小さくするのみでは全く無意味である。

【０００８】本発明は、上記の問題を解決するものであ
り、転写媒体の容量を減らすことなく、また、使い勝手
も損なうことなく、小型化を図り、従って他の筆記文房
具と共に筆箱などに収納することができる転写具を提供
することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、転写媒体を貼着した帯状フィルムを巻
装した送出軸部と、筐体の一端部に形成された開口に、
送出軸部と平行に枢支され、該送出軸部から転写媒体を
貼着した帯状フィルムを送り出して被転写体に対して転
写媒体を転写すると共に該帯状フィルムを該筐体内に送
る転写ローラと、この転写ローラを通過した帯状フィル
ムが収納される収納部とを備えたものである。

【００１０】すなわち、本発明は、従来のように送出リ
ールや巻取リール、これらの軸部外周に設けたギヤ、及
びこれらギヤ間に設けた連動ギヤを省略している。そし
て、転写媒体を貼着した帯状フィルムを従来のように送
出リールに巻装することに代えて軸部自体に巻装し、転
写ローラを通過後の帯状フィルムは、巻き取らず、収納
部に収納するようにしている。このようにすることで、
筐体を小さくすることができ、また筐体を小さくしたに
も拘わらず転写媒体の容量を減少させることがない。

【００１１】また、本発明は、帯状フィルムが送出軸部
に再度巻き付くことを防止する分離部材を備えれば、転
写ローラを通過した帯状フィルムが、送出軸部に巻装さ
れた未だ送り出されていない帯状フィルムに再度巻き付
くことなく、収納部に収納され、従って安定して使用す
ることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の転写具は、筐体内に枢支
され、転写媒体を貼着した帯状フィルムを巻装した送出
軸部と、筐体の一端部に形成された開口に、送出軸部と
平行に枢支され、該送出軸部から転写媒体を貼着した帯
状フィルムを送り出して被転写体に対して転写媒体を転
写すると共に該帯状フィルムを該筐体内に送る転写ロー
ラと、この転写ローラを通過した帯状フィルムが収納さ
れる収納部とを備えたものである。

【００１３】上記の構成において、転写媒体とは、白色
などの透明でない修正用の膜体、両面に粘着性を呈する
塗膜など、をいう。そして、転写媒体は、転写ローラか
ら未だ送り出されていない状態では帯状フィルムに貼着
されており、転写ローラによって上記転写媒体を貼着し
た帯状フィルムが送出軸部から送り出される。

【００１４】転写ローラによって被転写体に転写媒体が
転写されると、転写媒体は帯状フィルムから剥離し、転
写媒体が剥離した後の帯状フィルムは、転写ローラを通
過後、筐体内へと戻る。このとき、転写ローラ通過後の
帯状フィルムは、収納部で収納される。収納部は、帯状
フィルムの幅よりやや大きい厚みの中空の空間となって
いて、巻取リールやこれを駆動するギヤなどの部材は設
けられていない。

【００１５】このようにすることで、転写媒体の容量を
減少させることなく、また、使い勝手を損なうことな
く、筐体の厚み方向、及び送出軸部の軸方向に筐体を小
さくすることができ、従って筆記具を収納する筆箱など
に筆記具と共に収納することが可能となる。

【００１６】また、本発明の転写具は、上記構成におい
て、常に送出軸部の軸芯方向に付勢され、付勢面に該送
出軸部に巻装され未だ送り出されない転写媒体を貼着し
た帯状フィルムが位置し、反付勢面に転写ローラを通過
した帯状フィルムが位置するように設けた分離部材を備
えたものである。

【００１７】この分離部材は、未だ送り出されない帯状
フィルム面上に分離部材が送出軸部の軸芯方向に付勢さ
れて常に位置している。これにより、仮に転写ローラか
ら収納部へ至る経路状で一旦は巻き付いたとしても、分
離部材の位置する箇所で分離され、転写ローラを通過し
た帯状フィルムが、収納部へ再度巻き付くことなく送ら
れ、従って、安定して使用することができるのである。

【００１８】

【実施例】以下に本発明の実施例について、本発明の転
写具の構成を示す図１を参照して説明する。なお、以下
の実施例では、例えば転写媒体として両面に粘着性を呈
する塗膜を使用した場合を説明する。

【００１９】図において、１は、被転写体（不図示）に
塗膜Ｐを転写する本発明の転写具であり、以下のように
構成されている。２は、転写具１の外形を構成し、後述
する部材を収納した筐体であり、この筐体２は、図示す
る状態では、中央縦で２分割した一方のみを示してい
る。また、筐体２は、その一端部に開口２ａが形成され
ている。

【００２０】３は、表面側に塗膜Ｐが貼着された帯状フ
ィルムＦを巻装した送出軸部としての送出軸であり、こ
の送出軸３は、筐体２内で開口２ａ側に位置し、回転可
能に枢支されている。４は、筐体２内で開口２ａから送
出軸３より奥方に位置する収納部であり、この収納部４
は、帯状フィルムＦの幅よりやや大きい厚みの中空の空
間となって、後述する転写ローラ５を通過した帯状フィ
ルムＦを巻き取ることなく収納する。

【００２１】５は、開口２ａから露出した状態で設けた
転写ローラであり、この転写ローラ５は、送出軸３から
送り出された帯状フィルムＦの送出経路の途中箇所に位
置し、該転写ローラ５を被転写体に押し付けて図示矢印
方向に該帯状フィルムＦが送られるように筐体２を移動
させることで、帯状フィルムＦを送出軸３から収納部４
へと送ると共に、塗膜Ｐを被転写体に転写させる。

【００２２】６は、筐体２内で、例えばその先端部が、
送出軸３における帯状フィルムＦの送出方向とは反対方
向に向けられ、送出軸３の軸芯方向に付勢された分離部
材である。この分離部材６は、転写ローラ５を通過した
帯状フィルムＦが送出軸３に再度巻き付くことを防止す
るものであり、付勢面に該送出軸３に巻装され未だ送り
出されない塗膜Ｐが貼着された帯状フィルムＦが位置
し、反付勢面に該転写ローラ５を通過した帯状フィルム
Ｆが位置するようにしている。

【００２３】また、分離部材６は、上記したように付勢
面に、送出軸３に巻装され未だ送り出されない帯状フィ
ルムＦが位置することから、該帯状フィルムＦ上に貼着
された塗膜Ｐが分離部材６に貼着しないように、例えば
シリコンをコーティングしたり、フッ素樹脂素材を使用
している。そして、分離部材６は、筐体２の帯状フィル
ムＦを送り出す側の内壁から前記位置まで隙間を空ける
ことなく設けられているので、収納部４へ送られた使用
済みの帯状フィルムＦが送出軸３側に侵入することもな
い。

【００２４】上記構成において、転写具１は、転写ロー
ラ５を被転写体に押し付けた状態で筐体２を移動させる
と、被転写体との摩擦抵抗で転写ローラ５が回転し、こ
れにより塗膜Ｐを貼着した状態の帯状フィルムＦが送出
軸３から送り出され、転写ローラ５と被転写体との押し
付け箇所にて、塗膜Ｐが被転写体に転写されると共に、
塗膜Ｐの剥離した状態の帯状フィルムＦが収納部４へ送
られる。

【００２５】このとき、仮に転写ローラ５を通過した帯
状フィルムＦが送出軸３に再度巻き付こうとしても、分
離部材６によって確実に分離され、従って転写ローラ５
を通過した帯状フィルムＦは、収納部４へ送られ収納さ
れる。

【００２６】このように、転写具１は、従来構成に存在
した帯状フィルムＦの送出及び巻取リール、及びこれら
の軸部外周に設けたギヤ、さらにはこれらギヤ間に設け
た連動ギヤを省略しているので、筐体２をその厚み方向
及び巻取軸３の軸方向に小型化することができ、筆記具
と共に筆箱などに収納することができる。

【００２７】また、筐体２の大きさは、上記した構成と
することにより、塗膜Ｐの容量、つまり送出軸３の巻き
量によって決定することができ、従来のように部材によ
って制限が加わることがなく、よって例えば送出軸３
を、２つの軸間にベルトを架けて楕円状とすれば、筐体
２を大きくすることなく塗膜Ｐの容量を増加することが
できる。

【００２８】さらに、転写具１は、特に転写ローラ５を
巻き取るための構成を省略して収納部４を設け、さらに
分離部材６を設けたので、筐体２内で、転写ローラ５を
通過した後の帯状フィルムＦが送出軸３に再度巻き付く
ことなく、正しく収納部４に収納され、その動作上に何
ら支承を来すことがない。

【００２９】なお、上記実施例では、転写媒体として塗
膜Ｐを使用した例を示したが、白色などの透明でない修
正用の膜体においても、上記と同様の作用効果が得られ
ることは言うまでもない。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の転写具
は、転写媒体を貼着した帯状フィルムを巻装した送出軸
部と、送出軸部から転写媒体を貼着した帯状フィルムを
送り出して被転写体に対して転写媒体を転写すると共に
該帯状フィルムを該筐体内に送る転写ローラと、この転
写ローラを通過した帯状フィルムが収納される収納部と
を備えたので、従来のように送出リールや巻取リール、
これらの軸部外周に設けたギヤ、及びこれらギヤ間に設
けた連動ギヤを省略して筐体を小さくして筆記具と共に
筆箱などに収納することができ、また筐体を小さくした
にも拘わらず転写媒体の容量を減少させることがなく、
また、使い勝手を損なうこともなく、さらに製作コスト
を削減することができる。

【００３１】また、本発明の転写具は、上記した構成
に、常に送出軸部の軸芯方向に付勢され、付勢面に該送
出軸部に巻装され未だ送り出されない転写媒体を貼着し
た帯状フィルムが位置し、反付勢面に転写ローラを通過
した帯状フィルムが位置するように設けた分離部材を備
えることで、転写ローラを通過した帯状フィルムが、送
出軸部に巻装され未だ送り出されない帯状フィルムに再
度巻き付くことが防止され、従って安定して使用するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の転写具の構成を示すために、縦中央で
２分割した筐体の一方を取り外した状態の図である。

【図２】従来の転写具の構成を示すために、縦中央で２
分割した筐体の一方を取り外した状態の図である。

【符号の説明】

１ 転写具 ２ 筐体 ３ 送出軸（送出軸部） ４ 収納部 ５ 転写ローラ ６ 分離部材 Ｆ 帯状フィルム Ｐ 塗膜

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に転写媒体を貼着した帯状フィルム
   を筐体内から送り出し、被転写体に対して転写媒体を転
   写し、被転写体に転写媒体を転写した後の帯状フィルム
   を前記筐体内に収納する転写具において、前記筐体内に
   枢支され、転写媒体を貼着した帯状フィルムを巻装した
   送出軸部と、前記筐体の一端部に形成された開口に、前
   記送出軸部と平行に枢支され、該送出軸部から転写媒体
   を貼着した帯状フィルムを送り出して被転写体に対して
   転写媒体を転写すると共に該帯状フィルムを該筐体内に
   送る転写ローラと、この転写ローラを通過した帯状フィ
   ルムが収納される収納部とを備えたことを特徴とする転
   写具。
2. 【請求項２】 常に送出軸部の軸芯方向に付勢され、付
   勢面に該送出軸部に巻装され未だ送り出されない転写媒
   体を貼着した帯状フィルムが位置し、反付勢面に転写ロ
   ーラを通過した帯状フィルムが位置するように設けた分
   離部材を備えたことを特徴とする請求項１記載の転写
   具。