JP5157210B2 - スラスト滑り軸受並びにこのスラスト滑り軸受とピストンロッド及びコイルばねとの組合せ機構 - Google Patents

Description

本発明は、スラスト滑り軸受、特に四輪自動車におけるストラット型サスペンション（マクファーソン式）の滑り軸受として組込まれて好適なスラスト滑り軸受並びにこのスラスト滑り軸受とストラット型サスペンションにおけるショックアブソーバのピストンロッド及びコイルばねとの組合せ機構に関する。

特開平８−３２６７５８号公報 特開２００４−２６３７７３号公報 特開２００４−２２５７５４号公報

四輪自動車の前輪に用いられるストラット型サスペンションは、一般に、主軸と一体となった外筒の中に油圧式ショックアブソーバを内蔵したストラットアッセンブリにコイルばねを組合せた構造をもっている。斯かるサスぺンションにおいては、ステアリング操作においてストラットアッセンブリがコイルばねと共に回る際に、ストラットアッセンブリのピストンロッドが回る形式のものと、ピストンロッドが回らない形式のものとがあるが、いずれの形式においてもストラットアッセンブリの円滑な回動を許容するべく、ストラットアッセンブリの車体への取付機構とコイルばねの一端を受容する板金製の上部ばね座部材との間に、ころがり軸受に代えて、合成樹脂製のスラスト滑り軸受が使用される場合がある。

ところで、ストラットアッセンブリにおいて、コイルばねは、上述の通り、その一端部で板金製の上部ばね座部材に受容されているのであるが、板金製の上部ばね座部材は、走行中に雨水、泥をかぶり易いために、塗装等の錆対策を上部ばね座部材に施す必要があり、また、合成樹脂製のスラスト滑り軸受と共にストラットアッセンブリを車体に組み付ける場合には、合成樹脂製のスラスト滑り軸受の取付けと上部ばね座部材の取付けとの二工程又は二種類の作業を必要とし、必ずしも組み付け性が優れているとはいえず、コストアップの要因ともなる。のみならず、板金製の上部ばね座部材を用いる場合には、コイルばねが金属製であるために、コイルばねの一端と上部ばね座部材との接触が金属同士となって互いの剛性的な干渉が生じる場合がある。

本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、板金製の上部ばね座部材を用いないでも、コイルばねの一端を受容でき、而して、板金製の上部ばね座部材を用いることによる塗装等の錆対策を不要とできる上に、ストラットアッセンブリの組み立て作業を簡単化し得てコスト低減を図り得、しかも、金属同士の接触に起因する剛性的干渉をなくすことができるスラスト滑り軸受並びにこのスラスト滑り軸受とストラットアッセンブリにおけるピストンロッド及びコイルばねとの組合せ機構を提供することにある。

本発明のスラスト滑り軸受は、環状上面及び環状下面を有した合成樹脂製の環状の第一の軸受体と、この第一の軸受体に当該第一の軸受体の軸心の回りで相対的に回転自在となるように重ね合わされると共に第一の軸受体の環状上面に対面した環状下面を有する合成樹脂製の環状の第二の軸受体と、第一の軸受体の環状上面に接触している環状下面及び第二の軸受体の環状下面に対面した環状上面を有する板金製の補強部材と、この補強部材の環状上面及び第二の軸受体の環状下面間に介在されていると共に補強部材の環状上面及び第二の軸受体の環状下面に摺動自在に接触した環状下面及び環状上面を有したスラスト滑り軸受手段とを具備しており、第一の軸受体は、その環状下面でコイルばねの一端を受容するようになっている。

本発明によるスラスト滑り軸受によれば、第一の軸受体の環状上面に接触している環状下面及び第二の軸受体の環状下面に対面した環状上面を有する板金製の補強部材を具備する上に、第一の軸受体がその環状下面でコイルばねの一端を受容するようになっているために、板金製の上部ばね座部材を省くことができ、而して、板金製の上部ばね座部材を用いることによる塗装等の錆対策を不要とできる上に、ストラットアッセンブリの車体への組み立て作業を簡単化し得てコスト低減を図り得、しかも、金属同士の接触に起因する剛性的干渉をなくすことができる。

好ましい例では、第一の軸受体は、その環状上面の内周縁に連接した環状内周面を有しており、補強部材は、該環状下面及び環状上面を有した環状板部と、この環状板部の内周縁から一体的に軸方向に伸びていると共に第一の軸受体の環状内周面に接触している環状外周面を有した円筒部とを具備しており、第二の軸受体は、該環状下面を有した上側軸受本体と、上側軸受本体の内周縁から一体的に軸方向に伸びていると共に補強部材の円筒部の環状内周面に対面する環状外周面を有した円筒部とを具備しており、補強部材の円筒部の環状内周面と第二の軸受体の円筒部の環状外周面との間には、ラジアル滑り軸受手段が配されている。

本発明において、スラスト滑り軸受手段は、第二の軸受体とは別体の合成樹脂製のスラスト滑り軸受片を具備していても、これに代えて、第二の軸受体に一体的に形成された合成樹脂製のスラスト滑り軸受部を具備していてもよい。

第一の軸受体は、合成樹脂からなっており、合成樹脂としては、具体的には、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂又はこれら樹脂にガラス繊維、炭素繊維等の補強充填材を含有した強化合成樹脂を挙げることができる。

第二の軸受体は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びフッ素樹脂のうちの少なくとも一つを含む合成樹脂からなっているとよく、スラスト滑り軸受手段をスラスト滑り軸受片をもって具体化する場合には、斯かるスラスト滑り軸受片は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びフッ素樹脂のうちの少なくとも一つを含む合成樹脂からなっているとよく、第二の軸受体には、スラスト滑り軸受片を構成する合成樹脂と同様の合成樹脂が使用され得るが、特にスラスト滑り軸受片に使用される合成樹脂と摩擦特性の良好な組合せの合成樹脂が使用され、その望ましい組合せについて例示すると、スラスト滑り軸受片と第二の軸受体とに対して、ポリアセタール樹脂とポリアミド樹脂との組合せ、ポリオレフィン樹脂、特にポリエチレン樹脂とポリアセタール樹脂との組合せ、ポリアセタール樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂、特にポリブチレンテレフタレート樹脂との組合せ及びポリアセタール樹脂とポリアセタール樹脂との組合せがある。ラジアル滑り軸受片は、スラスト滑り軸受片と同様の合成樹脂からなっているとよい。

板金製の補強部材は、好ましい例では、鋼、ステンレスなどの鋼板からなっているが、これに代えて銅合金、チタン合金などの非鉄合金板であってもよい。

本発明のスラスト滑り軸受とピストンロッド及びコイルばねとの組合せ機構、好ましい例では、四輪自動車におけるストラット型サスペンションに用いるための組合せ機構は、上記のいずれかの態様のスラスト滑り軸受と、ストラット型サスペンションにおけるショックアブソーバのピストンロッドとコイルばねとを具備しており、ピストンロッドは、その上端部で車体への取付機構の取付板に固定されており、第一の軸受体の環状下面には、コイルばねの一端が接触しており、第二の軸受体は、その環状上面で取付板の下面に接触している。

本発明によれば、板金製の上部ばね座部材を用いないでも、コイルばねの一端を受容でき、而して、板金製の上部ばね座部材を用いることによる塗装等の錆対策を不要とできる上に、ストラットアッセンブリの組み立て作業を簡単化し得てコスト低減を図り得、しかも、金属同士の接触に起因する剛性的干渉をなくすことができるスラスト滑り軸受並びにこのスラスト滑り軸受とストラットアッセンブリにおけるピストンロッド及びコイルばねとの組合せ機構を提供することができる。

次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。

図１から図５において、本例のスラスト滑り軸受１は、軸方向Ａに対して直交して伸びた、即ち径方向に伸びた環状上面２、環状上面２の外周縁に連接して軸方向Ａに伸びた環状外周面３及び軸方向Ａに対して直交して伸びていると共に環状上面２に対向した環状下面４を有した合成樹脂製の環状の軸受体５と、軸受体５に当該軸受体５の軸心Ｏの回りでＲ方向に相対的に回転自在となるように重ね合わされると共に軸受体５の環状上面２に対面して軸方向Ａに対して直交して伸びている環状下面６を有する合成樹脂製の環状の軸受体７と、軸方向Ａに対して直交して伸びていると共に軸受体５の環状上面２に接触している環状下面８及び軸受体７の環状下面６に対面していると共に軸方向Ａに対して直交して伸びた環状上面９を有する板金製の補強部材１０と、補強部材１０の環状上面９及び軸受体７の環状下面６間に介在されていると共に補強部材１０及び軸受体７とは別体である、スラスト滑り軸受手段としての環状の合成樹脂製のスラスト滑り軸受片１１と、補強部材１０の円筒部１２の環状内周面１３と軸受体７の円筒部１４の環状外周面１５との間に配されたラジアル滑り軸受手段としての環状の合成樹脂製のラジアル滑り軸受片１６とを具備している。

軸受体５は、環状上面２、環状外周面３、環状上面２の内周縁に連接していると共に軸方向Ａに伸びた環状内周面２１及び環状外周面３に連接する環状下面４を有した環状の下側軸受本体２２と、下側軸受本体２２の環状内周面２１から斜め径方向内方に伸びた後に軸方向Ａに伸びて垂下する円筒部２３と、環状内周面２１に連接する円筒部２３の凹状湾曲上端面２４に一体形成されていると共に凹状湾曲上端面２４から環状下面６に向かって直立した環状の内側突出部２５と、下側軸受本体２２の環状上面２に環状下面６に向かって直立して一体形成されていると共に内側突出部２５よりも径方向外側に配された環状の外側突出部２６と、下側軸受本体２２の環状上面２の最外縁に環状下面６に向かって直立して一体形成されていると共に外側突出部２６よりも径方向外側に配された環状の最外縁側突出部２７と、下側軸受本体２２及び最外縁側突出部２７に一体形成されていると共に下側軸受本体２２の環状外周面３の一部及び最外縁側突出部２７の環状の外周面から径方向外側に突出した環状の係合突起２８とを一体に具備している。

下側軸受本体２２は、軸受体７の上側軸受本体３４の軸方向Ａの厚みよりも十分に大きい軸方向Ａの厚みを有している。なお、下側軸受本体２２の厚みは、下側軸受本体２２を形成する合成樹脂によっては軸受体７の上側軸受本体３４の軸方向Ａの厚みと同じであってもよい。

円筒部２３は、凹状湾曲上端面２４に加えて、凹状湾曲上端面２４に連接して中央貫通孔３５を規定すると共に軸方向Ａに伸びた環状内周面３６と、環状下面４に連接すると共に軸方向Ａに伸びた環状外周面３７とを具備している。

内側突出部２５は、環状内周面３６の径よりも大きな径を有した環状の内周面４１と、凹状湾曲上端面２４と協同して円環状の凹所４２を規定する環状の外周面４３と、内側の円筒部１４の下端面４４に環状の隙間４５をもって対面する環状頂面４６とを有しており、環状の内周面４７及び外周面４８を有した外側突出部２６は、環状下面６に環状の隙間４９をもって対面した環状頂面５０を有しており、最外縁側突出部２７は、環状上面２及び外周面４８と協同して円環状の凹所５１を規定する環状の内周面５２と、環状下面６に環状の隙間５３をもって対面した環状頂面５４とを有している。

軸受体７は、環状下面６及び環状下面６に対向する環状上面６１を有した上側軸受本体３４と、上側軸受本体３４の下面６の内周縁から軸方向Ａに伸びて垂下する内側の円筒部１４と、上側軸受本体３４の下面６の外周縁から軸方向Ａに伸びて垂下する外側の円筒部６２と、上側軸受本体３４の環状下面６に一体形成されていると共に環状下面６から下側軸受本体２２の環状上面２に向かって垂下した環状の突出部６３と、円筒部１４の下端面４４に一体形成されていると共に凹状湾曲上端面２４に向かって垂下した環状の突出部６４と、突出部６４よりも径方向外側において円筒部１４の下端面４４に一体形成されていると共に凹状湾曲上端面２４に向かって垂下した環状の突出部６５とを一体に有している。

円筒部１４は、環状下面６の内周縁に段部７０を介して連接する環状外周面１５及び凹状湾曲上端面２４に対面する下端面４４に加えて、突出部６４の内周面７１と協同して中央貫通孔３５と同心の中央貫通孔７２を規定すると共に環状上面６１の内周縁に連接して軸方向Ａに伸びた環状の内周面７３を具備している。

円筒部６２は、係合突起２８に対面する環状の内周面７５と、内周面７５に当該内周面７５から径方向内方に突出して一体的に形成されていると共に係合突起２８にスナップフィット式に係合する係合突起７６とを具備しており、係合突起７６の係合突起２８への係合でもって軸受体５と軸受体７との重ね合わせの容易な解除が阻止されるようになっている。

突出部６３は、外周面４８と隙間をもって対面する内周面７７と、内周面５２と隙間をもって対面する外周面７８と、環状上面２に隙間７９をもって対面すると共に凹所５１に配された頂面８０とを有しており、突出部６４は、内周面７１に加えて、内周面４１と隙間をもって対面する外周面８１と、凹状湾曲上端面２４に隙間８２をもって対面した環状頂面８３とを具備しており、突出部６５は、下端面４４及び外周面８１と協同して環状凹所８４を規定する内周面８５と、環状外周面１５に連接した外周面８６と、凹状湾曲上端面２４と隙間８７をもって対面する環状頂面８８とを具備しており、内側突出部２５の環状頂面４６は環状凹所８４に配されている。突出部６３の外周面７８は、環状下面６及び内周面７５と協同して環状の凹所８９を規定しており、凹所８９に最外縁側突出部２７の環状頂面５４が配されている。

補強部材１０は、環状下面８及び環状上面９を有していると共に軸方向Ａに対して直交して伸びた環状板部９１と、環状板部９１の内周縁から一体的に軸方向Ａに伸びていると共に環状内周面１３に加えて軸受体５の下側軸受本体２２の環状内周面２１に接触している環状外周面９２を有した円筒部１２と、円筒部１２の下端から一体的に径方向内方に伸びている環状の縮径部９３とを一体的に具備しており、円筒部１４の環状外周面１５は円筒部１２の環状内周面１３に対面している。

径方向において円筒部１４の環状外周面１５と外側突出部２６の内周面４７との間の空間９５に配されて、しかも、外側突出部２６の内周面４７により径方向に関して位置決めされた円盤状のスラスト滑り軸受片１１は、上側軸受本体３４の環状下面６にＲ方向に相対的に滑り自在に接触する平坦な環状上面９６と、補強部材１０の環状上面９にＲ方向に相対的に滑り自在に接触する平坦な環状下面９７と、上面９６及び下面９７の夫々において径方向であって放射状に伸びる複数の溝９８及び複数の溝９８に連通した環状の溝９９と、外側突出部２６の内周面４７にＲ方向に相対的に滑り自在に接触する環状の外周面１００と、中央貫通孔１０１を規定する環状の内周面１０２とを有しており、上面９６及び下面９７は、環状下面６及び環状上面９と同様に、軸心Ｏに対して直交して平坦に伸びており、上面９６及び下面９７の夫々の複数の溝９８及び溝９９には、グリース等の潤滑剤が溜められるようになっている。

径方向において円筒部１２の環状内周面１３と円筒部１４の環状外周面１５との間の環状の空間１１０に配されている共に段部７０及び縮径部９３により軸方向Ａに関して位置決めされている環状のラジアル滑り軸受片１６は、環状内周面１３にＲ方向に相対的に滑り自在に接触し得る環状外周面１１１と、環状外周面１５にＲ方向に相対的に滑り自在に接触し得ると共に中央貫通孔１１２を規定する環状内周面１１３と、軸方向Ａに伸びて環状の上端面１１４及び下端面１１５で開口していると共に環状内周面１１３に形成された複数の溝１１６とを有している。

スラスト滑り軸受片１１及び補強部材１０の環状板部９１が配される空間９５は、径方向外周側で、隙間４９、５３及び７９を含む外側ラビリンスを介して外部に連通されており、径方向内周側で、空間１１０に連通されており、空間１１０は、軸方向の下方側で、隙間４５及び８２を含む内側ラビリンスを介して外部に連通されており、而して、空間９５は、径方向内周側で、空間１１０及び溝１１６並びに隙間４５及び８２からなる内側ラビリンスを介して外部に連通されている。

以上のスラスト滑り軸受１では、係合突起２８への係合突起７６の合成樹脂の撓み性を利用したスナップフィット式の係合でもって軸受体５と軸受体７とは、補強部材１０、ラジアル滑り軸受片１６及びスラスト滑り軸受片１１を当該軸受体５と軸受体７との間に収容して重ね合わされて連結されており、軸心Ｏの周りの軸受体７に対する軸受体５及び補強部材１０の相対的なＲ方向の回転において、スラスト滑り軸受片１１の上面９６と上側軸受本体３４の環状下面６との間又はスラスト滑り軸受片１１の下面９７と補強部材１０の環状上面９との間に低摩擦のＲ方向の滑りを生じさせ、斯かる軸心Ｏの周りの軸受体７に対する軸受体５及び補強部材１０の相対的なＲ方向の回転において軸受体７に対して軸受体５及び補強部材１０がラジアル方向に変位する場合には、ラジアル滑り軸受片１６の環状外周面１１１と円筒部１２の環状内周面１３との間の低摩擦のＲ方向の滑り又はラジアル滑り軸受片１６の環状内周面１１３と円筒部１４の環状外周面１５との間の低摩擦のＲ方向の滑りを生じさせ、而して、軸心Ｏの周りの軸受体７に対する軸受体５及び補強部材１０の相対的なＲ方向の回転を極めて低い摩擦抵抗をもって行わせる。

斯かるスラスト滑り軸受１は、図６に示すように、ピストンロッド１２１を具備した油圧式のショックアブソーバ（図示せず）及び斯かる油圧式のショックアブソーバを取り囲んで配されたコイルばね１２２を有した車両のストラット型サスペンション、例えば四輪自動車におけるストラット型サスペンション１２３とストラット型サスペンション１２３を車体に取り付ける取付機構１２４との間に介在されて用いられる。

ピストンロッド１２１は、軸受体５及び軸受体７の中央貫通孔３５及び７２を貫通した大径の本体部１３０と、本体部１３０よりも小径であって本体部１３０に一体的に形成されている小径の上端部１３１と、本体部１３０及び上端部１３１間においてこれらに一体的に形成されている鍔部１３２とを具備しており、取付機構１２４は、鍔部１３２が埋設された環状の弾性部材１３６と、間に弾性部材１３６を挟持していると共に互いにねじ又は溶接により固着された一対の取付板１３７とを具備しており、こうして、ピストンロッド１２１は、その上端部１３１で車体への取付機構１２４の取付板１３７に固定されており、スラスト滑り軸受１は、コイルばね１２２の弾性力により軸受体７の環状上面６１が下側の取付板１３７の環状の下面１３８に接触して押し付けられて、コイルばね１２２と下側の取付板１３７との間に介在されており、軸受体５は、その環状下面４で当該環状下面４に接触するコイルばね１２２の一端１４０を受容するようになっている。

以上のスラスト滑り軸受１とストラット型サスペンション１２３におけるピストンロッド１２１及びコイルばね１２２との組合せ機構では、ステアリング操作によりコイルばね１２２が軸心Ｏの周りでＲ方向に回転されると、軸受体７に対して軸受体５が同様にＲ方向に相対的に回転され、軸受体５のこの回転は、軸受体５及び軸受体７間に配されたスラスト滑り軸受片１１により滑らかになされ、したがってステアリング操作も抵抗なく行われる。

スラスト滑り軸受１によれば、軸受体５の環状上面２に接触している環状下面８及び軸受体７の環状下面６に対面した環状上面９を有する板金製の補強部材１０を具備する上に、軸受体５がその環状下面４でコイルばね１２２の一端１４０を受容するようになっているために、板金製の上部ばね座部材を省くことができ、而して、板金製の上部ばね座部材を用いることによる塗装等の錆対策を不要とできる上に、スラスト滑り軸受１及びストラット型サスペンション１２３の車体への組み立て作業を簡単化し得てコスト低減を図り得、しかも、金属同士の接触に起因する剛性的干渉をなくすことができる。

以上のスラスト滑り軸受１は、スラスト滑り軸受手段として、軸受体７とは別体のスラスト滑り軸受片１１を具備した例であるが、これに代えて、スラスト滑り軸受手段として軸受体７の環状下面６に一体的に形成された合成樹脂製の環状のスラスト滑り軸受部を具備していてもよい。

本発明の実施の形態の一例の断面図である。 図１に示す例の分解断面図である。 図１に示す例のスラスト滑り軸受片の平面図である。 図１に示す例のラジアル滑り軸受片の平面図である。 図１に示す例の一部拡大断面図である。 図１に示す例をストラット型サスペンションに用いた例の断面図である。

符号の説明

１ スラスト滑り軸受
２、９ 環状上面
３ 環状外周面
４、６、８ 環状下面
５、７ 軸受体
１０ 補強部材
１１ スラスト滑り軸受片

Claims (4)

1. 環状上面及び環状下面を有した合成樹脂製の環状の第一の軸受体と、この第一の軸受体に当該第一の軸受体の軸心の回りで相対的に回転自在となるように重ね合わされると共に第一の軸受体の環状上面に対面した環状下面を有する合成樹脂製の環状の第二の軸受体と、第一の軸受体の環状上面に接触している環状下面及び第二の軸受体の環状下面に対面した環状上面を有する板金製の補強部材と、この補強部材の環状上面及び第二の軸受体の環状下面間に介在されていると共に補強部材の環状上面に摺動自在に接触した環状下面及び第二の軸受体の環状下面に摺動自在に接触した環状上面を有したスラスト滑り軸受手段とを具備しており、第一の軸受体は、その環状下面でコイルばねの一端を受容するようになっているスラスト滑り軸受。
2. 第一の軸受体は、その環状上面の内周縁に連接した環状内周面を有しており、補強部材は、該環状下面及び環状上面を有した環状板部と、この環状板部の内周縁から一体的に軸方向に伸びていると共に第一の軸受体の環状内周面に接触している環状外周面を有した円筒部とを具備しており、第二の軸受体は、該環状下面を有した上側軸受本体と、上側軸受本体の内周縁から一体的に軸方向に伸びていると共に補強部材の円筒部の環状内周面に対面する環状外周面を有した円筒部とを具備しており、補強部材の円筒部の環状内周面と第二の軸受体の円筒部の環状外周面との間には、ラジアル滑り軸受手段が配されている請求項１に記載のスラスト滑り軸受。
3. 請求項１又は２に記載のスラスト滑り軸受と、ストラット型サスペンションにおけるショックアブソーバのピストンロッドとコイルばねとを具備しており、ピストンロッドは、その上端部で車体への取付機構の取付板に固定されており、第一の軸受体の環状下面には、コイルばねの一端が接触しており、第二の軸受体は、その環状上面で取付板の下面に接触しているスラスト滑り軸受とピストンロッド及びコイルばねとの組合せ機構。
4. 四輪自動車におけるストラット型サスペンションに用いるための請求項３に記載のスラスト滑り軸受とピストンロッド及びコイルばねとの組合せ機構。

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