JP4419217B2

JP4419217B2 - 合成樹脂製の滑り軸受

Info

Publication number: JP4419217B2
Application number: JP20234099A
Authority: JP
Inventors: 篤志上野; 和幸宮田
Original assignee: Oiles Corp
Current assignee: Oiles Corp
Priority date: 1999-07-15
Filing date: 1999-07-15
Publication date: 2010-02-24
Anticipated expiration: 2019-07-15
Also published as: JP2001027227A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の滑り軸受に関し、更に詳しくは四輪自動車におけるストラット型サスペンション（マクファーソ式）に組込まれて好適な合成樹脂製の滑り軸受に関する。
【０００２】
【発明が解決しようとする課題】
四輪自動車の前輪に用いられるストラット型サスペンションは、一般に、主軸と一体となった外筒の中に油圧式ショックアブソーバを内蔵したストラットアッセンブリにコイルバネを組合わせた構造をもっている。斯かるサスぺンションにおいては、ステアリング操作においてストラットアッセンブリがコイルバネと共に回る際に、ストラットアッセンブリのピストンロッドが回る形式と、ピストンロッドが回らない形式のものがあるが、いずれの形式においてもストラットアッセンブリの回動を円滑に許容するべく、車体の取付部材とコイルバネの上部バネ座シートとの間に、転がり玉軸受に代えて、合成樹脂製の滑り軸受が使用される場合がある。
【０００３】
合成樹脂製の滑り軸受は、通常、合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースに重ねられた合成樹脂製の上部ケースとを具備し、これら下部ケースと上部ケースとの間の空間に滑り軸受部材又は滑り軸受突部を配してなるが、この空間に塵埃、泥水等が侵入すると、所望の軸受機能が得られなくなってしまう虞がある。一方、ストラット型サスペンションは、車輌走行中に塵埃、泥水などが直接作用する部位に装着されるため、車体の取付部材とコイルバネの上部バネ座シートとの間に装着される滑り軸受の使用環境も極めて過酷なものとなる。したがって、滑り軸受部材又は滑り軸受突部が配された空間の外周側及び内周側が直接外部に開口していると、ここからの塵埃、泥水などの空間への侵入の危険が極めて高くなり、ここでの密封性が極めて重要になる。特に、空間での水分の滞留を防止するために、空間の内周側を下方に開口させて下部ケース及び上部ケースを形成した合成樹脂製の滑り軸受では、上記の危険がますます高くなる。
【０００４】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、滑り軸受部材又は滑り軸受突部が配された空間の特に内周側からの摺動面への塵埃等の侵入を防止し、塵埃等の侵入に起因する摺動特性の低下を生じさせることなくステアリング操作時の円滑な操舵を長期間にわたって維持できる合成樹脂製の滑り軸受を得ることを目的とするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の合成樹脂製の滑り軸受は、合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースに重ねられた合成樹脂製の上部ケースと、上部及び下部ケース間において外周側に配された外側弾性シール手段と、上部及び下部ケース間において内周側に配された内側弾性シール手段と、外側及び内側弾性シール手段間であって、且つ上部及び下部ケース間に配された合成樹脂製の滑り軸受手段とを具備しており、ここで、下部ケースは、円筒状の内周面を有した筒部と、この筒部の一端部に一体的に形成された第一の環状板部とを備えており、上部ケースは、下部ケースの筒部の内周面と同心な内周面及び外周面を有して、下部ケースの筒部内に配された円筒部と、この円筒部の一端部に一体的に形成された第二の環状板部とを備えており、内側弾性シール手段は、下部ケースの筒部の内周面又は上部ケースの円筒部の外周面に装着された環状の本体部と、この本体部に取り付けられており、環状の一端部側が上部ケースの円筒部又は下部ケースの筒部に弾性的に接触した環状の弾性リップ部とを備えている。
【０００６】
第一の態様の合成樹脂製の滑り軸受によれば、上部及び下部ケース間において内周側に配された内側弾性シール手段を具備しているために、内周側からの滑り軸受手段の摺動面への塵埃等の侵入を防止でき、塵埃等の侵入に起因する摺動特性の低下を生じさせることなくステアリング操作時の円滑な操舵を長期間にわたって維持でき、しかも、環状の弾性リップ部の一端部側が上部ケースの円筒部又は下部ケースの筒部に弾性的に接触しているために、密封をほぼ完全にできる。
【０００７】
本発明の第二の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第一の態様の合成樹脂製の滑り軸受において、内側弾性シール手段の本体部は、心金部材を具備しており、内側弾性シール手段の弾性リップ部は、弾性材からなる。弾性材としては、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム弾性体あるいはポリエステル、ポリウレタンなどのプラスチックエラストマーが使用される。
【０００８】
第二の態様の合成樹脂製の滑り軸受によれば、心金部材を介して内側弾性シール手段が下部ケースの筒部の内周面又は上部ケースの円筒部の外周面に装着されることになるために、強固に装着し得て内側弾性シール手段の脱落を効果的に防止でき、しかも、弾性材からなる弾性リップ部でもって密封をほぼ完全に達成できる。
【０００９】
本発明の第三の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第一又は第二の態様の合成樹脂製の滑り軸受において、弾性リップ部は、その一端部側が上部ケースの円筒部の外周面又は下部ケースの筒部の内周面に弾性的に接触するように形成されている。
【００１０】
本発明の第四の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第一又は第二の態様の合成樹脂製の滑り軸受において、弾性リップ部は、その一端部側が上部ケースの円筒部の環状の端面又は下部ケースの筒部の環状の端面に弾性的に接触するように形成されている。
【００１１】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受では、弾性リップ部を、第三の態様のように、外周面又は内周面に弾性的に接触させても、第四の態様のように、端面に接触させてもよいのであるが、より密封性等を得るために、これらを傾斜面として形成してもよい。
【００１２】
本発明の第五の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第一から第四のいずれかの態様の合成樹脂製の滑り軸受において、本体部は、その環状の一部が下部ケースの筒部の内周面又は上部ケースの円筒部の外周面に形成された環状の段部に着座して、当該筒部の内周面又は円筒部の外周面に装着されている。
【００１３】
本発明の第六の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第五の態様の合成樹脂製の滑り軸受において、本体部の環状の一部が着座する段部の環状水平面は、上方に面している。
【００１４】
第五及び第六の態様の合成樹脂製の滑り軸受によれば、本体部が環状の段部に着座して装着される結果、装着性が向上して、しかも、第六の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、段部の環状水平面が上方に面しているので、ここで内側弾性シール手段の脱落を確実に防止できることになる。
【００１５】
本発明に係る参考例としての第七の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第五の態様の合成樹脂製の滑り軸受において、本体部の環状の一部が着座する段部の環状水平面は、下方に面している。
【００１６】
第七の態様の合成樹脂製の滑り軸受によれば、段部の環状水平面が下方に面しているために、組み立てにおいて内側弾性シール手段を最後に装着でき、製造性の向上を図ることができる。
【００１７】
本発明の第八の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第一から第七のいずれかの態様の合成樹脂製の滑り軸受において、滑り軸受手段は、下部ケースの第一の環状板部と上部ケースの第二の環状板部との間に配されたスラスト滑り軸受と、下部ケースの筒部と上部ケースの円筒部との間に配されたラジアル滑り軸受とを備えている。
【００１８】
本発明の第九の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第八の態様の合成樹脂製の滑り軸受において、スラスト滑り軸受及びラジアル滑り軸受の少なくとも一方は、上部及び下部ケースと別体の合成樹脂製の滑り軸受部材からなる。
【００１９】
本発明における上部及び下部ケースを構成する合成樹脂は、耐摩耗性、耐衝撃性、耐クリープ性等の摺動特性及び機械的特性に優れていることが好ましく、また上部及び下部ケース間に収容される滑り軸受手段を構成する合成樹脂は特に自己潤滑性を有することが好ましく、例えばポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等が良好に使用され、このほかポリカーボネート樹脂等も使用し得る。
【００２０】
上部及び下部ケースには、滑り軸受手段を構成する合成樹脂と同様の合成樹脂が使用され得るが、特に滑り軸受手段に使用される合成樹脂と摩擦特性の良好な組合わせであって、しかも比較的剛性の高い合成樹脂であることが望ましい。その望ましい組合わせについて例示すると、滑り軸受手段と上部及び下部ケースとに対して、ポリアセタールとポリアミドとの組み合わせ、ポリエチレンとポリアセタールとの組み合わせ、ポリアセタールとＰＢＴとの組み合わせ及びポリアセタールとポリアセタールとの組み合わせがある。
【００２１】
なお、外側弾性シール手段及び内側弾性シール手段の少なくとも一方に、ラビリンスシール手段を更に加えて、このラビリンスシール手段と弾性シール手段との協同により、外周側及び内周側の少なくとも一方の密封性を更に向上させてもよい。
【００２２】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【００２３】
【実施の形態】
図１及び図２において、本例の合成樹脂製の滑り軸受１は、合成樹脂製の下部ケース２と、下部ケース２に重ねられた合成樹脂製の上部ケース３と、上部及び下部ケース２及び３間において外周側に配された外側弾性シール手段４と、上部及び下部ケース２及び３間において内周側に配された内側弾性シール手段５と、外側及び内側弾性シール手段４及び５間であって、且つ上部及び下部ケース２及び３間の空間６に配された合成樹脂製の滑り軸受手段７とを具備している。
【００２４】
下部ケースは２、円筒状の内周面１１を有した筒部１２と、筒部１２の内周面１１に形成された環状段部１３及び１４と、筒部１２の一端部に一体的に形成された環状板部１５と、環状板部１５の上面１６に一体的に形成された環状突起１７及び１８と、環状板部１５の下面１９に形成された環状段部２０とを備えている。環状段部１３及び１４の夫々は、上方に面している環状水平面２１及び２２を有しており、環状突起１７及び１８の夫々は、上部ケース３の環状板部３４に向かって突出しており、環状段部２０は、環状垂直面２３を有している。
【００２５】
上部ケース３は、下部ケース２の筒部１２の内周面１１と同心な内周面３１及び外周面３２を有して、下部ケース２の筒部１２内に配された円筒部３３と、円筒部３３の一端に一体的に、環状板部１５に対面して並置されるように、形成された前記の環状板部３４と、環状板部３４の外周部に一体的に形成されており、下部ケース２の内周面１１と同心な内周面３５を有した外筒部３６と、円筒部３３の外周面３２に形成された環状段部３７及び３８と、外筒部３６の内周面３５に一体的に形成された突起３９とを備えている。上部ケース３の内周面３１は、図３に示す車体側の取付部材４１の有底円筒部４２が挿着される貫通孔４３を規定しており、外周面３２は、下端に向かうに従って縮径した傾斜外周面４４を有しており、環状段部３７は、水平面４５を有しており、環状突起３９は、径方向内方向に突出している。
【００２６】
外側弾性シール手段４は、円筒状本体部５１と、円筒状本体部５１の環状の一端から折り返されて徐々に拡径して円筒状本体部５１の他端側に向って伸び、円筒状本体部５１と同軸であって円筒状本体部５１の外側に配された環状の弾性リップ部５２と、円筒状本体５１の環状の他端から一体的に伸び、内周端に環状リップ５３を有した鍔部５４とを備えており、環状リップ部５３を有する鍔部５４、円筒状本体５１及び弾性リップ部５２は、弾性材から一体形成されており、円筒状本体５１及び鍔部５４には、心金５５が取り付けられている。鍔部５４、円筒状本体部５１及び弾性リップ部５２を形成する弾性材としては、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム弾性体あるいはポリエステル、ポリウレタンなどのプラスチックエラストマーが使用される。自由端側に向うに従って厚肉にされた弾性リップ部５２の環状の先端部は、上部ケース３の外筒部３６の内周面３５に弾性的に当接しており、円筒状本体部５１は、心金５５を介して環状板部１５の外周側に取り付けられており、鍔部５４は、環状板部１５の下面１９の外周側に形成された環状段部２０に配されている。鍔部５４の環状リップ５３は、環状段部２０において環状垂直面２３に弾性的に当接している。本外側弾性シール手段４より、合成樹脂製の滑り軸受１において外周側の密封部を形成している。
【００２７】
内側弾性シール手段５は、下部ケース２の筒部１２の内周面１１に装着されて、径方向外方向に伸びた環状の鍔部６１を有した環状の本体部６２と、本体部６２の環状の一端から折り返されて徐々に縮径して本体部６２の他端側に向って伸び、本体部６２と同軸であって本体部６２の内側に取付けられた環状の弾性リップ部６３とを備えており、本例では本体部６２は、弾性リップ部６３に対して心金となる断面Ｌ字状の金属部材６４からなり、その環状の一部である鍔部６１が下部ケース２の筒部１２の段部１４に着座して、当該筒部１２の内周面１１に装着されており、弾性リップ部６３は、金属部材６４に固着された弾性材から一体形成されてなり、自由端側である内周側に向うに従って薄肉にされた弾性リップ部６３の予め折り曲げられた一端部（内周部）側は、円筒部３３の傾斜外周面４４に弾性的に接触している。本内側弾性シール手段５より、合成樹脂製の滑り軸受１において外周側の密封部を形成している。弾性リップ部６３を形成する弾性材としては、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム弾性体あるいはポリエステル、ポリウレタンなどのプラスチックエラストマーが使用される。
【００２８】
滑り軸受手段７は、空間６において下部ケース２の環状板部１５と上部ケース３の環状板部３４との間の環状空間に、これら環状板部１５及び環状板部３４の上面１６及び下面７１に摺動自在に夫々接触して配され、環状板部１５及び３４に対して別体なスラスト滑り軸受７２と、空間６において下部ケース２の筒部１２と上部ケース３の円筒部３３との間の円筒状空間に、これら筒部１２及び円筒部３３の内周面１１及び外周面３２に夫々摺動自在に接触して配され、筒部１２及び円筒部３３に対して別体なラジアル滑り軸受７３とを備えており、スラスト滑り軸受７２は、合成樹脂製のスラスト滑り軸受環状部材からなり、ラジアル滑り軸受７３は、合成樹脂製のラジアル滑り軸受円筒部材からなっている。スラスト滑り軸受７２は、環状突起１７及び１８間に配されており、これらにより径方向において位置決めされており、ラジアル滑り軸受７３は、環状段部１４よりも上方において形成された環状段部１３及び３７間に配されており、これらにより垂直方向（軸方向）において位置決めされている。
【００２９】
以上の合成樹脂製の滑り軸受１は、図３に示すように、ストラットアッセンブリにおけるショックアブソーバのピストンロッド８１を挿通孔４３に貫通させ、ピストンロッド８１の一端が取り付けられる車体側の取付部材４１に上部ケース３の上面８４をぴったりと当接させ、下部ケース２の下面１９を、ストラットアッセンブリにおけるコイルバネ８２の上部バネ座シート８３に座金８５を介してぴったりと当接させて、上部バネ座シート８３と取付部材４１との間に装着されて用いられる。この際、内周面３１は取付部材４１の有底円筒部４２の外周面にぴったりと当接される。
【００３０】
ステアリング操作によりストラットアッセンブリが回動されると、上部ケース３に対して下部ケース２が回転され、下部ケース２のこの回転は、上部及び下部ケース３及び２間に配されたスラスト滑り軸受７２及びラジアル滑り軸受７３により滑らかになされ、したがってステアリング操作も抵抗なく行われる。また、上部及び下部ケース３及び２間の空間６への塵埃等の侵入は、内周側では内側弾性シール手段５により、外周側では外側弾性シール手段４により防止され、而して外側弾性シール手段４及び内側弾性シール手段５の間に配されたスラスト滑り軸受７２及びラジアル滑り軸受７３の各摺動面への塵埃等の侵入が確実に防止される。
【００３１】
すなわち、合成樹脂製の滑り軸受１によれば、上部及び下部ケース３及び２間において内周側に配された内側弾性シール手段５を具備しているために、内周側からの滑り軸受手段７の摺動面への塵埃等の侵入を防止でき、塵埃等の侵入に起因する摺動特性の低下を生じさせることなくステアリング操作時の円滑な操舵力を長期間にわたって維持でき、しかも、環状の弾性リップ部６３の一端部側が上部ケース３の円筒部３３の傾斜外周面４４に弾性的に接触しているために、密封をほぼ完全にできる。
【００３２】
また合成樹脂製の滑り軸受１によれば、金属部材６４を介して内側弾性シール手段５が下部ケース２の筒部１２の内周面１１に装着されているために、内側弾性シール手段５を強固に装着し得て内側弾性シール手段５の下部ケース２からの脱落を効果的に防止でき、しかも、弾性材からなる弾性リップ部６３でもって密封をほぼ完全に達成でき、更に、本体部６２が環状の段部１４に着座して装着される結果、装着性が向上して、しかも、段部１４の環状水平面２２が上方に面しているので、ここで内側弾性シール手段５の脱落を確実に防止できる。
【００３３】
上記の合成樹脂製の滑り軸受１では、弾性リップ部６３の一端部側を、円筒部３３の傾斜外周面４４に弾性的に接触させたが、これに代えて、図４に示すように、弾性リップ部６３の一端部側を上部ケース３の円筒部３３の下方に面した環状の端面８７に弾性的に接触するように内側弾性シール手段５を形成してもよく、更に、本体部６２となる断面Ｌ字状の金属部材６４を前記とは逆に配して、鍔部６１に弾性リップ部６３を取付け、しかも、下方に面した環状水平面８８を形成する筒部１２の段部８９に本体部６２を着座させるように、内側弾性シール手段５を形成してもよい。
【００３４】
また図４に示す内側弾性シール手段５に代えて、図５に示すように、弾性リップ部６３を、一端部側である内周端部側が予め曲折されていない環状板から形成し、この弾性リップ部６３の外周端部を断面Ｌ字状の金属部材６４からなる本体部６２の鍔部６１に固着し、その内周端部を円筒部３３の傾斜内周面４４に弾性的に接触させるようにして、内側弾性シール手段５を構成してもよい。この場合、上部ケース３の円筒部３３に、環状段部３８を形成することなしに、傾斜内周面４４を設けてもよい。
【００３５】
更に、図４に示すような形態の内側弾性シール手段５を径方向に関して逆転した図６に示すような内側弾性シール手段５を、上部ケース３の円筒部３３に取り付けて、弾性リップ部６３の外周端部を下部ケース２の筒部１２の下方に面した環状の端面９１に弾性的に接触させるようにしてもよく、この場合、内側弾性シール手段５の本体部６２を上部ケース３の円筒部３３の外周面３２に形成された環状の段部３８に着座させて、当該円筒部３３の外周面３２に装着するとよい。
【００３６】
上記では、環状板部１５及び３４の夫々に対して別体なスラスト滑り軸受７２と筒部１２及び円筒部３３の夫々に対して別体なラジアル滑り軸受７３とにより滑り軸受手段７を構成したが、これに代えて図６に示すように、滑り軸受手段７を、例えば環状板部３４に一体に形成された環状のスラスト滑り軸受突部９５と筒部１２に一体に形成された環状のラジアル滑り軸受突部９６とから構成してもよい。この場合、位置決め用の環状突起１７及び１８並びに環状段部１３及び３７を省いてもよい。図６に示す例では上部ケース３に対する下部ケース２の回転は、上面１６及び外周面３２での摺動で行われる。
【００３７】
【発明の効果】
本発明によれば、滑り軸受環状部材又は滑り軸受突部が配された環状空間の特に内周側からの摺動面への塵埃等の侵入を防止し、塵埃等の侵入に起因する軸受の摺動特性の低下を生じさせることなくステアリング操作時の円滑な操舵を長期間にわたって維持できる合成樹脂製の滑り軸受を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好ましい実施の形態の一例の断面図である。
【図２】図１に示す例の一部拡大断面図である。
【図３】図１に示す例をストラットアッセンブリに用いた例の断面図である。
【図４】本発明の好ましい実施の形態の他の例の一部拡大断面図である。
【図５】本発明の好ましい実施の形態の更に他の例の一部拡大断面図である。
【図６】本発明の好ましい実施の形態の更に他の例の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
１合成樹脂製の滑り軸受
２下部ケース
３上部ケース
４外側弾性シール手段
５内側弾性シール手段
７滑り軸受手段

Claims

合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースに重ねられた合成樹脂製の上部ケースと、上部及び下部ケース間において外周側に配された外側弾性シール手段と、上部及び下部ケース間において内周側に配された内側弾性シール手段と、外側及び内側弾性シール手段間であって、且つ上部及び下部ケース間に配された合成樹脂製の滑り軸受手段とを具備しており、下部ケースは、円筒状の内周面を有した筒部と、この筒部の一端部に一体的に形成された第一の環状板部とを備えており、上部ケースは、下部ケースの筒部の内周面と同心な内周面及び外周面を有して、下部ケースの筒部内に配された円筒部と、この円筒部の一端部に一体的に形成された第二の環状板部とを備えており、内側弾性シール手段は、下部ケースの筒部の内周面又は上部ケースの円筒部の外周面に装着された環状の本体部と、この本体部に取り付けられており、環状の一端部側が上部ケースの円筒部又は下部ケースの筒部に弾性的に接触した環状の弾性リップ部とを備えており、心金部材を具備した本体部は、心金部材を含むその環状の一部が下部ケースの筒部の内周面又は上部ケースの円筒部の外周面に形成された環状の段部に着座して、当該筒部の内周面又は円筒部の外周面に装着されており、心金部材を含む本体部の環状の一部が着座する段部の環状水平面は、上方に面しており、内側弾性シール手段の弾性材からなる弾性リップ部は、その一端部側が上部ケースの円筒部の環状の端面又は下部ケースの筒部の環状の端面に弾性的に接触するように形成されており、上部ケースの円筒部の環状の端面又は下部ケースの筒部の環状の端面は、下方に面しており、滑り軸受手段は、下部ケースの第一の環状板部と上部ケースの第二の環状板部との間に配されていると共に下部ケース及び上部ケースと別体に形成されたスラスト滑り軸受と、下部ケースの筒部と上部ケースの円筒部との間に配されていると共に下部ケース及び上部ケースと別体に形成されたラジアル滑り軸受とを備えており、ラジアル滑り軸受は、下部ケースの筒部の内周面又は上部ケースの円筒部の外周面に形成された環状の段部よりも上方において下部ケースの筒部の内周面に形成された他の環状の段部により垂直方向において位置決めされている合成樹脂製の滑り軸受。
合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースに重ねられた合成樹脂製の上部ケースと、上部及び下部ケース間において外周側に配された外側弾性シール手段と、上部及び下部ケース間において内周側に配された内側弾性シール手段と、外側及び内側弾性シール手段間であって、且つ上部及び下部ケース間に配された合成樹脂製の滑り軸受手段とを具備しており、下部ケースは、円筒状の内周面を有した筒部と、この筒部の一端部に一体的に形成された第一の環状板部とを備えており、上部ケースは、下部ケースの筒部の内周面と同心な内周面及び外周面を有して、下部ケースの筒部内に配された円筒部と、この円筒部の一端部に一体的に形成された第二の環状板部とを備えており、内側弾性シール手段は、下部ケースの筒部の内周面又は上部ケースの円筒部の外周面に装着された環状の本体部と、この本体部に取り付けられており、環状の一端部側が上部ケースの円筒部又は下部ケースの筒部に弾性的に接触した環状の弾性リップ部とを備えており、心金部材を具備した本体部は、心金部材を含むその環状の一部が下部ケースの筒部の内周面に形成された環状の段部に着座して、当該筒部の内周面に装着されており、心金部材を含む本体部の環状の一部が着座する段部の環状水平面は、上方に面しており、内側弾性シール手段の弾性材からなる弾性リップ部は、その一端部側が上部ケースの円筒部の傾斜外周面に弾性的に接触するように形成されており、上部ケースの円筒部の傾斜外周面は、下端に向かうに従って縮径されており、滑り軸受手段は、下部ケースの第一の環状板部と上部ケースの第二の環状板部との間に配されていると共に下部ケース及び上部ケースと別体に形成されたスラスト滑り軸受と、下部ケースの筒部と上部ケースの円筒部との間に配されていると共に下部ケース及び上部ケースと別体に形成されたラジアル滑り軸受とを備えており、ラジアル滑り軸受は、下部ケースの筒部の内周面又は上部ケースの円筒部の外周面に形成された環状の段部よりも上方において下部ケースの筒部の内周面に形成された他の環状の段部により垂直方向において位置決めされている合成樹脂製の滑り軸受。