JPS6246933Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車におけるストラツト型サスペン
シヨン（マクフアーソン式）に組込まれるストラ
ツトスラスト軸受に関するものである。

一般にストラツト型サスペンシヨンは主に自動
車の前輪に用いられ、車軸と一体となつた外筒の
中に油圧式シヨツクアブソーバを内蔵したストラ
ツトアツセンブリにコイルバネを組合わせたサス
ペンシヨンである。

上記サスペンシヨンはステアリングの操作によ
りストラツトアツセンブリがコイルバネとともに
回るさい、該アツセンブリのピストンロツドが回
る型式のものと、該ピストンロツドが回らない型
式のものとがあるが、いずれの型式においてもス
トラツトアツセンブリの回動を円滑に許容するべ
く、車体側の取付部材とコイルバネの上部バネ座
シート間にラジアル軸受およびあるいはスラスト
軸受が必要とされる。

そして、従来よりこの個所の軸受にはボールあ
るいはニードルを使用したころがり軸受あるいは
合成樹脂製すべり軸受が使用されているが、前者
においては微小揺動、振動荷重等によりボールあ
るいはニードルに疲労破壊を生ずる恐れがあり、
また後者においては、とくに荷重時にストラツト
アツセンブリが上方の力を受けたさい、取付部材
と上部バネ座シート間に配されたスラスト軸受に
はその周縁部において該取付部材と密に圧接する
片当り現象を生じ、当該部位の摩耗を促進させて
耐久性を悪化し、円滑なステアリング操作を維持
しがたいという問題がある。

加えてこれら軸受には摺動面への塵埃等の異物
の侵入を防止するべくダストシールが装着されて
いるが、完全とは言い難く侵入した異物によりカ
ジリを起すことがあり、またダストシール（通常
ゴム弾性体）の摩擦力が高いため操舵力が高いな
どの問題もある。

本考案は上述したストラツトアツセンブリのピ
ストンロツドがステアリング操作により回らない
型式のストラツト型サスペンシヨンに使用され、
上述した問題点を解決したストラツトスラスト軸
受に係わるもので、詳細には車体側に固定された
スラスト受け部材とストラツトマウントインシユ
レータを介して車体側に固定されたピストンロツ
ドに遊挿されたコイルバネの上部バネ座シートと
の間に配されるストラツトスラスト軸受におい
て、円筒部と該円筒部の端部に一体に形成された
鍔部とからなり、該鍔部の両端面はそれぞれ鍔部
外周に向うにつれて下方に傾斜する截頭円錐面に
形成されており、該円筒部の突出方向の鍔部截頭
円錐面には該円筒部を囲んで複数個の環状凹溝と
該環状凹溝と連通し、該截頭円錐面を貫通する複
数個の放射溝が形成されており、該鍔部外周縁に
は径方向に延設し、かつ端部が截頭円錐面よりも
突出する薄肉弾性舌片部が一体に形成されている
ストラツトスラスト軸受を提供するものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づき詳細に説
明する。

１はストラツトアツセンブリＡを構成するシヨ
ツクアブソーバ、２はそのピストンロツドであ
る。３は一方の側に大開口部４１、該大開口部４
１に連なるフランジ部４２を有し、他方の側に小
開口部４３を有するキヤツプ４と、該キヤツプ４
内に配された支持部材５と、該支持部材５を包囲
し該キヤツプ４内に該キヤツプ４と支持部材５を
一体的に結合したゴム弾性体６とから構成された
ストラツトマウントインシユレータである。

該マウントインシユレータ３はキヤツプ４のフ
ランジ部４２において車体７側に固定されてい
る。前記ピストンロツド２はその一端がシヨツク
アブソーバ１内に挿入され、その他端がシヨツク
アブソーバ１より突出して前記ストラツトマウン
トインシユレータ３の支持部材５にナツト８によ
り固定されている。

９は前記キヤツプ４の大開口部４１側に配され
たスラスト受け部材であり、該スラスト受け部材
９には円孔９１が形成されており、該スラスト受
け部材９はその周縁部において車体７側に前記ス
トラツトマウントインシユレータ３とともに固定
されている。

１０はシヨツクアブソーバ１の外筒に固定され
た下部バネ座シートである。

１１は該下部バネ座シート１０と相対向して配
された上部バネ座シートであり、該上部バネ座シ
ート１１には円筒突出部１１１と該円筒突出部１
１１に連なる平面部１１２が形成されている。

該上部バネ座シート１１は円筒突出部１１１の
内面において前記ピストンロツド２の外周面に遊
挿されるとともに該円筒突出部１１１の外周面は
前記スラスト受け部材９の円孔９１と隙間をもつ
て配置されている。

１２は下部バネ座シート１０と上部バネ座シー
ト１１間に配されたコイルバネである。

１３は前記上部バネ座シート１１とスラスト受
け部材９下面との間に配された合成樹脂製スラス
ト軸受である。

該スラスト軸受１３はその内面に挿通孔１３１
を有する円筒部１３２と該円筒部１３２の端部に
一体に形成された鍔部１３３とからなる。

該鍔部１３３の両端面はそれぞれ鍔部外周に向
うにつれて下方に傾斜する截頭円錐面１３４，１
３５に形成されている。

１３６は該鍔部１３３の一方の截頭円錐面、す
なわち円筒部１３２の突出側の截頭円錐面１３４
に該円筒部１３２を囲んで形成された複数個の環
状凹溝である。

１３７は該環状凹溝１３６と連通し該截頭円錐
面１３４を径方向に貫通して形成された複数個の
放射溝である。

これら環状凹溝１３６および放射溝１３７はそ
れぞれグリースなどの潤滑剤の溜り部となる。

そしてスラスト軸受１３は環状凹溝１３６およ
び放射溝１３７が形成された鍔部截頭円錐面１３
４において前記スラスト受け部材９と摺接する摺
動面を形成している。

１３８は鍔部１３３の外周縁に径方向に延設
し、かつ端部が截頭円錐面１３４よりも突出して
該鍔部と一体に形成された薄肉弾性舌片部であ
る。

第５図は鍔部外周縁に形成された薄肉弾性舌片
部１３８の他の実施例を示すもので、薄肉弾性舌
片部１３８を鍔部外周縁に一体に径方向に延設
し、かつ端部が外方に向うにつれて截頭円錐面１
３４よりも突出するテーパー状に形成して、該薄
肉弾性舌片部１３８により弾性効果をもたせたも
のである。

このように形成された薄肉弾性舌片部１３８は
上下方向、すなわちスラスト軸受の軸線方向に弾
性変形可能であり、前記上部バネ座シート１１と
スラスト受け部材９下面との間に配されたさい、
該薄肉弾性舌片部１３８はスラスト受け部材９側
に押圧され、該スラスト受け部材９下面と密に摺
接することにより鍔部１３３の截頭円錐面１３
４、すなわち摺動面への塵埃等の侵入を防止する
役割を果すものである。

上述したスラスト軸受１３を構成する材料は合
成樹脂、とくに摩擦摩耗特性、自己潤滑性に加え
て耐衝撃性に優れた、たとえばポリアセタール樹
脂ポリアミド樹脂、あるいはこれらの樹脂に潤滑
油剤を含有させた含油合成樹脂が使用されて好適
である。

上述した構成からなるスラスト軸受１３は、そ
の中央部挿通孔１３１内に上部バネ座シート１１
の円筒突出部１１１が嵌挿され、該スラスト軸受
の円筒部１３２を該上部バネ座シート１１の円筒
突出部１１１外周面とスラスト受け部材９の円孔
９１間の隙間に位置させて上部バネ座シート１１
の平面部１１２上に配される。

そして、スラスト軸受１３は上部バネ座シート
１１と下部バネ座シート１０間に配されたコイル
バネ１２の弾発力により、上部バネ座シート１１
側の鍔部截頭円錐面１３５は弾性変形して上部バ
ネ座シート１１の平面部１１２にならつて該平面
部１１２と密に接触し、該スラスト軸受１３の回
り止めの役割を果す。

一方、薄肉弾性舌片部１３８はスラスト受け部
材９下面側に押圧されて弾性変形し、該スラスト
受け部材９と密に摺接せしめられる。

この薄肉弾性舌片部１３８がスラスト受け部材
９下面と密に摺接することにより、外部から摺動
面への塵埃等の侵入が防止される。

そして、組立時においては、鍔部截頭円錐面１
３４はスラスト受け部材９の下面とは隙間Ｃをも
つて位置せしめられる。

この隙間Ｃを設けることはスラスト軸受の耐久
性を良好にするという観点から重要なことであ
る。それは、ストラツトアツセンブリＡが上方の
荷重を受けたさい、スラスト軸受１３にはスラス
ト受け部材９の円孔９１周縁部を上方に変形（曲
げ）させようとする力が作用する。

スラスト軸受の摺動面がスラスト受け部材と全
面で摺接している従来のものでは、荷重時にスラ
スト軸受の周縁部がスラスト受け部材と強く圧接
する片当り現象を生じ、当該部位の摩耗を促進し
スラスト軸受の耐久性を悪化させる原因となつて
いる。

これに対し、本考案のごとく、鍔部截頭円錐面
１３４、すなわち摺動面とスラスト受け部材９間
に隙間Ｃを設けることにより、荷重時に摺動面と
スラスト受け部材９下面とが径方向にほゞ均一に
摺接することになり、片当り現象は防止され耐久
性が非常に良好となる。

第６図は他の実施例を示すもので、薄肉弾性舌
片部１３８を鍔部１３３の外周縁に径方向に二股
状に開脚し、それぞれの端部が外方に向うにつれ
て截頭円錐面１３４，１３５よりも突出するテー
パー状に形成したものである。

この実施例においては、鍔部１３３の截頭円錐
面１３４がスラスト受け部材９下面との摺動面を
形成することは前述した実施例と同様であるが、
スラスト軸受が本来の摺動面、すなわち截頭円錐
面１３４においてスラスト受け部材９と摺動する
ことなく、万一鍔部截頭円錐面１３５において上
部バネ座シート１１と摺動した場合においても、
截頭円錐面１３５と上部バネ座シート１１間への
塵埃等の異物の侵入を防止したものである。

以上説明したように、本考案によれば、スラス
ト軸受の端面を截頭円錐面に形成し、組立時にス
ラスト受け部材下面と隙間をもつて配置させるこ
とにより、荷重時に截頭円錐面、すなわち摺動面
とスラスト受け部材とが径方向にほぼ均一に摺接
するため、片当り現象を防止しスラスト軸受の耐
久性を大幅に向上させることができるものであ
る。また、従来必要とされていたダストシールを
使用することなく、スラスト軸受の外周縁に一体
に形成した薄肉弾性舌片部がその弾性変形により
スラスト受け部材下面と密に摺接して摺動面への
塵埃等の異物の侵入を防止する密封効果を発揮す
るため、ダストシールによるステアリング操作時
の操舵力が高いという従来の欠点も解消されるも
のである。

さらには、ダストシールを不要とすることによ
り、組立時の取付けが簡易化されるばかりでなく
部品点数の減少、ひいてはコストダウンとなるな
どの効果ももたらされるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案ストラツトスラスト軸受の使用
態様を示す縦断面図、第２図は本考案ストラツト
スラスト軸受の平面図、第３図は第２図のＸ−Ｘ
線断面図、第４図は第３図の一部拡大断面図、第
５図および第６図は他の実施例を示す一部拡大断
面図である。 １……シヨツクアブソーバ、２……ピストンロ
ツド、３……ストラツトマウントインシユレー
タ、７……車体、９……スラスト受け部材、１１
……上部バネ座シート、１２……コイルバネ、１
３……スラスト軸受、１３５，１３５……截頭円
錐面、１３６……環状凹溝、１３７……放射溝、
１３８……薄肉弾性舌片部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車体側に固定されたスラスト受け部材とスト
   ラツトマウントインシユレータを介して車体側
   に固定されたピストンロツドに遊挿されたコイ
   ルバネの上部バネ座シートとの間に配されるス
   トラツトスラスト軸受において、円筒部と該円
   筒部の端部に一体に形成された鍔部とからな
   り、該鍔部の両端面はそれぞれ鍔部外周に向う
   につれて下方に傾斜する截頭円錐面に形成され
   ており、該円筒部の突出方向の鍔部截頭円錐面
   には該円筒部を囲んで複数個の環状凹溝と該環
   状凹溝と連通し、該截頭円錐面を貫通する複数
   個の放射溝が形成されており、該鍔部外周縁に
   は径方向に延設し、かつ端部が截頭円錐面より
   も突出する薄肉弾性舌片部が一体に形成されて
   いることを特徴とするストラツトスラスト軸
   受。 (2) 薄肉弾性舌片部は円筒部突出方向の鍔部截頭
   円錐面側の周縁部に一体に径方向に延設され、
   かつ端部が外方に向うにつれて截頭円錐面より
   も突出するテーパー状に形成されていることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   のストラツトスラスト軸受。 (3) 薄肉弾性舌片部は鍔部外周縁に径方向に二股
   状に開脚され、それぞれの端部が外方に向うに
   つれて截頭円錐面よりも突出するテーパー状に
   形成されていることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項記載のストラツトスラスト軸
   受。