JP4482961B2 - 合成樹脂製の滑り軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の滑り軸受に関し、更に詳しくは四輪自動車におけるストラット型サスペンション(マクファーソ式)に組込まれて好適な合成樹脂製の滑り軸受に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
四輪自動車の前輪に用いられるストラット型サスペンションは、一般に、主軸と一体的となった外筒の中に油圧式ショックアブソーバを内蔵したストラットアッセンブリにコイルバネを組合わせた構造をもっている。斯かるサスぺンションにおいては、ステアリング操作においてストラットアッセンブリがコイルバネと共に回る際に、ストラットアッセンブリのピストンロッドが回る形式と、ピストンロッドが回らない形式のものがあるが、いずれの形式においてもストラットアッセンブリの回動を円滑に許容するべく、車体の取付部材とコイルバネの上部バネ座シートとの間に、転がり玉軸受に代えて、合成樹脂製の滑り軸受が使用される場合がある。
【0003】
合成樹脂製の滑り軸受は、通常、合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースに重ねられた合成樹脂製の上部ケースとを具備し、これら下部ケースと上部ケースとの間の空間に滑り軸受部材又は滑り軸受突部を配してなるが、この空間に塵埃、泥水等が侵入すると、所望の軸受機能が得られなくなってしまう虞がある。一方、ストラット型サスペンションは、車輌走行中に塵埃、泥水などが直接作用する部位に装着されるため、車体の取付部材とコイルバネの上部バネ座シートとの間に装着される滑り軸受の使用環境も極めて過酷なものとなる。したがって、滑り軸受部材又は滑り軸受突部が配された空間の外周側及び内周側が直接外部に開口していると、ここからの塵埃、泥水などの空間への侵入の危険が極めて高くなり、ここでの密封性が極めて重要になる。特に、空間での水分等の滞留を防止するために、空間の内周側を下方に開口させて下部ケース及び上部ケースを形成した合成樹脂製の滑り軸受では、上記の危険がますます高くなる。
【0004】
加えて、合成樹脂製の滑り軸受は、上記のように自動車の前輪等のきわめて振動の激しい部位に装着されるために、塵埃、泥水等の空間への侵入を防止するために当該空間の開口部を閉塞するシール手段に対しては、振動等によって容易に脱落しないように、それがしっかりと空間の開口部に装着されることが要求される。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、シール手段によって、摺動面への塵埃等の侵入を確実に防止し得て、塵埃等の侵入に起因する摺動特性の低下を生じさせることがなく、しかも、振動等によって容易に脱落しないようにシール手段を装着でき、而して、ステアリング操作時の円滑な操舵を長期間にわたって維持できる合成樹脂製の滑り軸受を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の合成樹脂製の滑り軸受は、合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースに重ねられた合成樹脂製の上部ケースと、上部及び下部ケース間に配された合成樹脂製の滑り軸受手段と、下部ケースの外面を覆って配されており、両環状の端部で下部及び上部ケース間の空間の外側及び内側環状開口を閉塞した弾性シール手段とを具備している。
【0007】
第一の態様の滑り軸受によれば、両環状の端部で上部及び下部ケース間の空間の外側及び内側環状開口を閉塞する弾性シール手段が下部ケースの外周面を覆って配されているために、滑り軸受が車体の取付部材とコイルバネの上部バネ座シートとの間に取付けられると、弾性シール手段が上部バネ座シート又は上部バネ座シート上に設置される座金にしっかりと固定される結果、弾性シール手段の脱落を確実に防止でき、しかも、当該弾性シール手段によって、摺動面への塵埃等の侵入を確実に防止し得て、塵埃等の侵入に起因する摺動特性の低下を生じさせることがなく、而して、ステアリング操作時の円滑な操舵を長期間にわたって維持できる。
【0008】
本発明の第二の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第一の態様の滑り軸受において、下部ケースは、円筒状の内周面を有した筒部と、この筒部の一端部に一体的に形成された第一の環状板部とを備えており、上部ケースは、下部ケースの筒部の内周面と同心な内周面及び外周面を有して、下部ケースの筒部内に配された内側円筒部と、この内側円筒部の一端部に一体的に形成された第二の環状板部と、この第二の環状板部の環状外周端部に一体的に形成されており、下部ケースの筒部の内周面と同心な内周面を有した外側円筒部とを具備しており、弾性シール手段は、下部ケースの筒部の外周面及びこの外周面に連接する環状端面並びに第一の環状板部の環状外側面及びこの環状外側面に連接する環状端面を覆った本体部と、この本体部の外側一端部に一体的に形成されており、外側環状開口を閉塞する外側弾性リップ部と、本体部の内側一端部に一体的に形成されており、内側環状開口を閉塞する内側弾性リップ部とを具備している。
【0009】
第二の態様の滑り軸受によれば、下部ケースの筒部の外周面及び環状端面並びに第一の環状板部の環状外側面及び環状端面を覆った本体部の内側及び外側一端部に環状の内側及び外側弾性リップ部が形成されているために、この内側及び外側弾性リップ部の上部ケースの内側及び外側円筒部への弾性的な接触により、外側及び内側環状開口の密封をほぼ完全にできる。
【0010】
本発明の第三の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第二の態様の滑り軸受において、滑り軸受手段は、下部ケースの第一の環状板部と上部ケースの第二の環状板部との間に配されたスラスト滑り軸受と、下部ケースの筒部と上部ケースの内側円筒部との間に配されたラジアル滑り軸受とを備えている。
【0011】
第三の態様の滑り軸受において、スラスト滑り軸受は、第一の環状板部及び第二の環状板部のうちの少なくとも一方に一体的に形成しても、これに代えて、それらのうちの少なくとも一方に対して別体に形成してもよく、ラジアル滑り軸受も同様に、筒部及び内側円筒部のうちの少なくとも一方に一体的に形成しても、これに代えて、それらのうちの少なくとも一方に対して別体に形成してもよい。
【0012】
本発明の第四の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第二又は第三の態様の滑り軸受において、外側弾性リップ部は、その環状の外側一端部で、上部ケースの外側円筒部に弾性的に接触しており、内側弾性リップ部は、その環状の内側一端部で上部ケースの内側円筒部に弾性的に接触している。
【0013】
本発明の第五の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第二から第四のいずれかの態様の滑り軸受において、弾性シール手段の本体部は、心金部材を具備しており、弾性シール手段の外側及び内側弾性リップ部の夫々は、弾性材からなっている。
【0014】
本発明の第六の態様の合成樹脂製の滑り軸受では、第五の態様の滑り軸受において、心金部材は、下部ケースの筒部の外周面及び環状端面並びに第一の環状板部の環状外側面及び環状端面を覆って伸びて、弾性材に被覆されており、外側及び内側弾性リップ部の夫々の弾性材は、心金部材を被覆した弾性材から伸びて当該弾性材と一体的になっている。
【0015】
本発明の第五の態様の滑り軸受では、弾性シール手段が心金部材を具備し、外側及び内側弾性リップ部が弾性材からなり、第六の態様の滑り軸受では、下部ケースの外面を覆った心金部材が弾性材で被覆されて、外側及び内側弾性リップ部の夫々が心金部材を被覆した弾性材から一体的に延長された弾性材からなるために、弾性シール手段を下部ケースの外面に垂れることなしに配置でき、しかも、弾性材からなる外側及び内側弾性リップ部でもって外側及び内側環状開口の密封をほぼ完全に達成できる。弾性材としては、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム弾性体あるいはポリエステル、ポリウレタンなどのプラスチックエラストマーが使用される。
【0016】
本発明では、滑り軸受手段を、第七の態様の滑り軸受のように、下部ケース及び上部ケースの少なくとも一方に一体的に形成して設けても、第八の態様の滑り軸受のように、下部ケース及び上部ケースに対して別体に形成して設けてもよく、ここで、滑り軸受手段を、スラスト滑り軸受とラジアル滑り軸受とから構成する場合には、第三の態様のように、これらをも下部ケース及び上部ケースの少なくとも一方に一体的に形成又は別体に形成して設けてよい。更に、滑り軸受手段には、第九の態様の滑り軸受のように、グリース溜めを形成してもよく、このグリース溜めにグリースを配して用いると、ステアリング操作時の更なる円滑な操舵を長期に亘って得ることができる。
【0017】
本発明における上部及び下部ケースを構成する合成樹脂は、耐摩耗性、耐衝撃性、耐クリープ性等の摺動特性及び機械的特性に優れていることが好ましく、また上部及び下部ケース間に配される滑り軸受手段を構成する合成樹脂は特に自己潤滑性を有することが好ましく、例えばポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等が良好に使用され、このほかポリカーボネート樹脂等も使用し得る。
【0018】
上部及び下部ケースには、滑り軸受手段を構成する合成樹脂と同様の合成樹脂が使用され得るが、特に滑り軸受手段に使用される合成樹脂と摩擦特性の良好な組合わせであって、しかも比較的剛性の高い合成樹脂であることが望ましい。その望ましい組合わせについて例示すると、滑り軸受手段と上部及び下部ケースとに対して、ポリアセタールとポリアミドとの組み合わせ、ポリエチレンとポリアセタールとの組み合わせ、ポリアセタールとPBTとの組み合わせ及びポリアセタールとポリアセタールとの組み合わせがある。
【0019】
なお、外側及び内側環状開口の少なくとも一方に、ラビリンスシール手段を更に設けて、このラビリンスシール手段と弾性シール手段との協同により、外周側及び内周側の少なくとも一方の密封性を更に向上させてもよい。
【0020】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0021】
【実施の形態】
図1から図4において、本例の合成樹脂製の滑り軸受1は、合成樹脂製の下部ケース2と、下部ケース2に重ねられた合成樹脂製の上部ケース3と、上部及び下部ケース2及び3間の空間8に配された合成樹脂製の滑り軸受手段4と、下部ケース2の外面5を覆って配されており、両環状の端部6及び7で上部及び下部ケース2及び3間の空間8の外側及び内側環状開口9及び10を閉塞した弾性シール手段11とを具備している。
【0022】
下部ケースは2、円筒状の内周面15を有した筒部16と、筒部16の一端部に一体的に形成された環状板部17とを備えている。
【0023】
上部ケース3は、下部ケース2の筒部16の内周面15と同心な内周面22及び外周面23を有して、下部ケース2の筒部16内に配された内側円筒部24と、内側円筒部24の一端部に一体的に形成された環状板部25と、環状板部25の環状外周部に一体的に形成されており、下部ケース2の筒部16の内周面15と同心な内周面26を有した外側円筒部27と、外側円筒部27の内周面26に、径方向内方に突出して一体的に形成された環状突起28とを備えている。
【0024】
内側円筒部24は、厚肉円筒部31と薄肉円筒部32とからなり、外周面23は、厚肉円筒部31の外周面33と薄肉円筒部32の外周面34とからなる。内側円筒部24の内周面22は、図5に示すストラットアッセンブリのピストンロッド36が挿着される挿通孔37を規定している。
【0025】
滑り軸受手段4は、下部ケース2の環状板部17と上部ケース3の環状板部25との間に配されて、環状板部17の環状内側面41に、軸方向に突出して一体的に形成された環状のスラスト滑り軸受42と、下部ケース2の筒部16と上部ケース3の内側円筒部24との間に配されて、筒部16の内周面15に、径方向内方向に突出して一体的に形成された円筒状のラジアル滑り軸受44とを備えており、スラスト滑り軸受42の突出環状面45は、環状板部25の一方の環状の側面(環状内面)46に摺動自在となるように接触しており、ラジアル滑り軸受44の円筒状の突出円筒面47は、厚肉円筒部31の円筒状の外周面33に摺動自在となるように接触している。
【0026】
滑り軸受手段4において、突出環状面45には、放射方向に伸びるグリース溜めとしての複数本の溝48が、突出円筒面47には、軸方向に伸びる同じくグリース溜めとしての複数本の溝49が夫々角度方向に等間隔に形成されている。
【0027】
弾性シール手段11は、下部ケース2の筒部16の円筒状の外周面51及び外周面51に連接する環状端面52並びに環状板部17の環状外側面53及び環状外側面53に連接する環状端面54を覆った本体部55と、外側環状開口9を閉塞するように、本体部55の環状の外側一端部56から折り返されて徐々に拡径して伸びて、環状の外側一端部である先端57が外側円筒部27の内周面26に弾性的に接触しており、本体部55と同軸であって本体部55の外側一端部56に一体的に形成されて、環状の端部6を構成する環状の外側弾性リップ部58と、内側環状開口10を閉塞するように、本体部55の環状の内側一端部59から折り返されて徐々に縮径して伸びて、環状の内側一端部である先端60が薄肉円筒部32の外周面34に弾性的に接触しており、本体部55と同軸であって本体部55の内側一端部59に一体的に形成されて、環状の端部7を構成する環状の内側弾性リップ部61とを具備している。
【0028】
弾性シール手段11において、本体部55は、心金部材65とゴムあるいはプラスチックエラストマーからなる弾性材66とを具備しており、外側及び内側弾性リップ部58及び61は、ゴムあるいはプラスチックエラストマーからなる弾性材からなり、心金部材65は、下部ケース2の外面5である筒部16の外周面51及び環状端面52並びに環状板部17の環状外側面53及び環状端面54を覆って且つこれらに接触して伸びて、弾性材66に被覆されており、外側及び内側弾性リップ部58及び61の弾性材は、心金部材66を被覆した弾性材66から伸びて当該弾性材66と一体的になっている。外側及び内側弾性リップ部58及び61の夫々は、先端に向かうに従って厚肉となるように形成されている。
【0029】
以上の合成樹脂製の滑り軸受1は、図5に示すように、ストラットアッセンブリにおけるショックアブソーバのピストンロッド36を挿通孔37に挿通させ、上部ケース3の上面71を、ピストンロッド36の一端が取り付けられる車体側の取付部材72にぴったりと当接させ、弾性シール手段11の円筒状外面73及び環状外面74を、ストラットアッセンブリにおけるコイルバネ75の上部バネ座シート76に座金77を介してぴったりと当接させて、取付部材72と上部バネ座シート76との間に装着されて用いられる。
【0030】
ステアリング操作によりストラットアッセンブリが回動されると、上部ケース3に対して下部ケース2が回転され、下部ケース2のこの回転は、上部及び下部ケース3及び2間に配されたスラスト滑り軸受42及びラジアル滑り軸受44により滑らかになされ、したがってステアリング操作も抵抗なく行われる。また、上部及び下部ケース3及び2間の空間8への外側及び内側環状開口9及び10を介する塵埃等の侵入は、外周側では外側弾性リップ部58により、内周側では内側弾性リップ部61により防止され、而してスラスト滑り軸受42及びラジアル滑り軸受44の各摺動面間である突出環状面45と側面46との間及び突出円筒面47と外周面33との間への塵埃等の侵入が確実に防止される。
【0031】
すなわち、合成樹脂製の滑り軸受1によれば、両環状の端部6及び7で上部及び下部ケース3及び2間の空間8の外側及び内側環状開口9及び10を閉塞する弾性シール手段11が下部ケース2の外面5である外周面51、環状端面52、環状外側面53及び環状端面54を覆って配されているために、滑り軸受1が車体の取付部材72とコイルバネ75の上部バネ座シート76との間に取付けられると、弾性シール手段11が上部バネ座シート76又は上部バネ座シート76上に設置される座金77にしっかりと固定される結果、弾性シール手段11の脱落を確実に防止でき、しかも、当該シール手段11によって、スラスト滑り軸受42及びラジアル滑り軸受44における突出環状面45と側面46との間及び突出円筒面47と外周面33との間への塵埃等の侵入を確実に防止し得て、塵埃等の侵入に起因する摺動特性の低下を生じさせることがなく、而して、ステアリング操作時の円滑な操舵を長期間にわたって維持できる。
【0032】
また滑り軸受1によれば、筒部16の外周面51及び環状端面52並びに環状板部17の環状外側面53及び環状端面54を覆った本体部55の内側及び外側一端部59及び56に環状の内側及び外側弾性リップ部61及び58が形成されているために、内側及び外側弾性リップ部61及び58の上部ケース3の内側及び外側円筒部24及び27への弾性的な接触により、内側及び外側環状開口10及び9の密封をほぼ完全にできる。
【0033】
加えて滑り軸受1では、弾性シール手段11が心金部材65を具備し、外側及び内側弾性リップ部58及び61が弾性材からなり、下部ケース2の外面5を覆った心金部材65が弾性材66で被覆されて、外側及び内側弾性リップ部58及び61が心金部材65を被覆した弾性材66から一体的に延長された弾性材からなるために、弾性シール手段11を下部ケース2の外面5から垂れることなしに配置でき、しかも、弾性材からなる外側及び内側弾性リップ部58及び61でもって密封をほぼ完全に達成できる。更に滑り軸受1では、グリース溜めとしての溝48及び49が形成されているために、溝48及び49にグリースを配して用いると、ステアリング操作時の更なる円滑な操舵を長期に亘って得ることができる。
【0034】
ところで上記の滑り軸受1では、滑り軸受手段4を下部ケース2に一体的に形成したが、これに代えて、図6及び図7に示すように滑り軸受手段4を下部ケース2及び上部ケース3に対して別体に形成してもよい。すなわち図6及び図7に示す滑り軸受1は、下部ケース2及び上部ケース3に対して別体に形成された滑り軸受手段4を具備しており、合成樹脂製の軸受手段4は、スラスト滑り軸受となる環状のスラスト滑り軸受部81と、スラスト滑り軸受部81に一体的に形成されたラジアル滑り軸受となる円筒状のラジアル滑り軸受部82とを具備しており、スラスト滑り軸受部81の一方の環状の側面83には、溝46と同様の複数の溝84と、溝84の一端を夫々連通した環状の溝85とが形成されており、スラスト滑り軸受部81の他方の環状の側面86にも、同様の溝84と、溝84の一端を夫々連通した環状の溝85とが形成されており、ラジアル滑り軸受部82の内外周面87及び88には、溝49と同様の複数の溝89及び90が形成されており、滑り軸受手段4は、スラスト滑り軸受部81の側面83が環状板部25の側面46に、スラスト滑り軸受部81の側面86が環状板部17の環状内側面41に夫々摺動自在となるように接触し、ラジアル滑り軸受部82の内周面87が厚肉円筒部31の外周面33に、ラジアル滑り軸受部82の外周面88が筒部16の内周面15に夫々摺動自在となるように接触して、下部ケース2及び上部ケース3との間の空間8に配されている。
【0035】
図6及び図7に示すような滑り軸受手段4を具備した滑り軸受1でも、図1から図4で示される滑り軸受1と同様な効果を得ることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、シール手段によって、摺動面への塵埃等の侵入を確実に防止し得て、塵埃等の侵入に起因する摺動特性の低下を生じさせることがなく、しかも、振動等によって容易に脱落しないようにシール手段を装着でき、而して、ステアリング操作時の円滑な操舵を長期間にわたって維持できる合成樹脂製の滑り軸受を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の一例の断面図である。
【図2】図1に示す例の一部拡大断面図である。
【図3】図1に示す例の弾性シール手段の拡大断面図である。
【図4】図1に示す例の下部ケースと滑り軸受手段との斜視図である。
【図5】図1に示す例をストラットアッセンブリに用いた例の断面図である。
【図6】本発明の好ましい実施の形態の他の例の断面図である。
【図7】図6に示す滑り軸受手段の斜視図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂製の滑り軸受
2 下部ケース
3 上部ケース
4 滑り軸受手段
8 空間
9 外側環状開口
10 内側環状開口
11 弾性シール手段
Claims (4)
- 合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースに重ねられた合成樹脂製の上部ケースと、上部及び下部ケース間に配された合成樹脂製の滑り軸受手段と、下部及び上部ケース間の空間の外側環状開口を閉塞した一方の環状の端部及び下部及び上部ケース間の空間の内側環状開口を閉塞した他方の環状の端部を夫々有すると共に当該一方及び他方の環状の端部の間で下部ケースの外面全体を覆って且つ当該外面全体に接触して配された弾性シール手段とを具備しており、下部ケースは、円筒状の内周面を有した筒部と、この筒部の一端部に一体的に形成された第一の環状板部とを備えており、上部ケースは、下部ケースの筒部の内周面と同心な内周面及び外周面を有して、下部ケースの筒部内に配された内側円筒部と、この内側円筒部の一端部に一体的に形成された第二の環状板部と、この第二の環状板部の環状外周端部に一体的に形成されており、下部ケースの筒部の内周面と同心な内周面を有した外側円筒部とを具備しており、弾性シール手段は、下部ケースの筒部の外周面及びこの外周面に連接する環状端面並びに第一の環状板部の環状外側面及びこの環状外側面に連接する環状端面を覆った本体部と、この本体部の外側一端部に一体的に形成されており、外側環状開口を閉塞する一方の環状の端部としての外側弾性リップ部と、本体部の内側一端部に一体的に形成されており、内側環状開口を閉塞する他方の環状の端部としての内側弾性リップ部とを具備しており、滑り軸受手段は、下部ケースの第一の環状板部と上部ケースの第二の環状板部との間に配されたスラスト滑り軸受と、下部ケースの筒部と上部ケースの内側円筒部との間に配されたラジアル滑り軸受とを一体的に備えており、外側弾性リップ部は、その環状の外側一端部で、上部ケースの外側円筒部の内周面に弾性的に接触しており、内側弾性リップ部は、その環状の内側一端部で上部ケースの内側円筒部の外周面に弾性的に接触しており、弾性シール手段において、本体部は、心金部材を具備しており、外側及び内側弾性リップ部の夫々は、弾性材からなり、心金部材は、下部ケースの筒部の外周面及び環状端面並びに第一の環状板部の環状外側面及び環状端面を覆って伸びて、弾性材に被覆されており、外側及び内側弾性リップ部の夫々の弾性材は、心金部材を被覆した弾性材から伸びて当該弾性材と一体的になっている合成樹脂製の滑り軸受。
- 滑り軸受手段は、下部ケース及び上部ケースのうちの一方に一体的に形成されている請求項1に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
- 滑り軸受手段は、下部ケース及び上部ケースに対して別体に形成されている請求項1に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
- 滑り軸受手段には、グリース溜めが形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
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